JP2005298362A - 防殺虫蒸散体 - Google Patents

防殺虫蒸散体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005298362A
JP2005298362A JP2004113300A JP2004113300A JP2005298362A JP 2005298362 A JP2005298362 A JP 2005298362A JP 2004113300 A JP2004113300 A JP 2004113300A JP 2004113300 A JP2004113300 A JP 2004113300A JP 2005298362 A JP2005298362 A JP 2005298362A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transpiration
drug
chemical
honeycomb structure
tetrafluoro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004113300A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoko Ishizuka
朋子 石塚
Satoshi Yamazaki
聡 山崎
Masaaki Sugiura
正昭 杉浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fumakilla Ltd
Original Assignee
Fumakilla Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fumakilla Ltd filed Critical Fumakilla Ltd
Priority to JP2004113300A priority Critical patent/JP2005298362A/ja
Publication of JP2005298362A publication Critical patent/JP2005298362A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Catching Or Destruction (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】 単位空間容積当りの蒸散量が比較的低くても、使用初期から長期間に亘って安定した防殺虫効果を発揮できる防殺虫蒸散体を提供する。
【解決手段】 合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を加工した薬剤保持材に、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート等から選ばれた少なくとも1種の殺虫剤を保持せしめた防殺虫蒸散体が提供される。上記薬剤保持材の形態としては、不織布及び/又は織編物及び/又は紙に加工されたシート状等の二次元的構造や、ハニカム状、格子状、網目状等のセル壁2で構成された立体状構造体1などの三次元的構造のいずれも可能である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、防殺虫蒸散体に関し、さらに詳しくは、殺虫、防虫、害虫忌避、昆虫成長阻害、刺咬阻止等を目的として、殺虫成分を通気性を持った薬剤保持材に含侵・保持させることにより常温下で大気中に放出させ、効果を発現させる防殺虫蒸散体に関する。
従来、長期間継続して殺虫成分を蒸散させ、効果を維持する蒸散性殺虫剤としては、固体、液体等の製剤を発熱体によって加熱して蒸散させる方法が知られている。加熱蒸散方式の例としては、薬液中に加熱蒸散体(吸液芯)の一部を浸漬することにより該加熱蒸散体に薬液を吸上げると共に、その上部を加熱することにより吸液された薬液を蒸散させる方式、いわゆる薬液吸上式の加熱蒸散方式が種々提案されている。
一方、常温蒸散性防虫材としては、貫通穴を有し、表面積/体積が1〜20cm-1の範囲にある担体に、常温蒸散性の防虫性化合物を保持することによる殺虫、防虫方法が提案されている(特許文献1参照)。また、従来から、塩化ビニル樹脂にDDVPのような蒸散性の高い薬剤を練り込み、常温下で薬剤を蒸散させて殺虫するプレート剤が製造販売されている。
しかしながら、薬液吸上式の加熱蒸散方法に用いられる薬液の溶剤は一般に有機溶剤であり、例えば殺虫液の場合、一般にピレスロイド系薬剤を一定濃度含有するn−パラフィン等の炭化水素溶液から成っているものが上市されている。しかし、炭化水素系溶剤は非常に燃焼し易いため、火災を招き易いという欠点を有している。また、昨今、フロン及び蒸散性有機化合物等による地球的規模でのオゾン層破壊や大気汚染が問題となっている。例えば薬液吸上方式を用いた市販品においても、殺虫目的には本来不要である炭化水素系溶剤等の溶剤が9割以上も含まれている。従って、この溶剤を削滅することは重要な課題となっている。さらに、吸液芯の上部を100℃以上の高い温度に加熱するものであるため、その部分で薬剤の分解や吸液芯の蒸散面の劣化、目詰り等を生じ易いという問題もある。
さらに、薬液吸上式の場合、気温及び大気圧等の変動により薬液容器内の内圧が変動し、液漏れを引き起こし、使用時や保管時に薬液による汚染が発生することがある。また、薬液吸上式の加熱蒸散方法は、薬剤を含有する薬液を蒸散させるため、熱効率を考慮すると、不必要な熱量を要していると言える。さらに薬液吸上式の加熱蒸散方法では、使用開始直後は、薬剤の蒸散量が安定せず、一方、使用期間が長くなればなるほど、使用期間中での安定した蒸散量を得ることが困難になるといった欠点を有している。また、加熱蒸散方式は多大なエネルギーを要するため、乾電池等による加熱蒸散はエネルギー効率上不利であり、持ち運びを可能とする製剤をつくる場合、何らかの工夫がいる。
一方、貫通穴を有し、表面積/体積が1〜20cm-1の範囲にある担体に、常温蒸散性の防虫性化合物を保持することによる殺虫、防虫方法については、20℃における蒸気圧が1×10-4mmHg以上の蒸散し易い薬剤しか用いることができず、効力の持続性や蒸散量の調節が困難であるだけでなく、製品の形状が制限され、また蒸散し難い薬剤を用いる場合には製品を大型化しなければならないなど、商品設計上の問題がある。
さらに、塩化ビニル樹脂にDDVPのような蒸散性の高い薬剤を練り込み、常温下で薬剤を蒸散させて殺虫するプレート剤は、使用されているDDVPが劇物であり、安全性の面で取り扱いが難しく、また、薬剤を練り込んだ場合、薬剤の蒸散量が極端に抑制されるという問題がある。
本発明者らは、前記のような問題を解消し、従来技術のような高エネルギーによる加熱をしなくても、また従来の薬液吸上式の加熱蒸散方式のように薬剤の分解や薬剤保持材の劣化を生ずることもなく、常温蒸散性の薬剤を長期間に亘って蒸散でき、さらに使用が簡便で製品の形態をコンパクトにして商品設計し易い薬剤蒸散体を提供するために、合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を密度0.05〜1.0g/cm3、厚さ0.02〜1mmに加工した薬剤保持材に、20℃における蒸気圧が1×10-6〜1×10-3mmHgの薬剤を保持せしめ、単位空間容積当りの蒸散量を0.01〜0.5mg/hr/m3に調整した薬剤蒸散体を開発し、既に特許出願している(特許文献2参照)。
特開平9−289855号公報(特許請求の範囲) 特開2000−189032号公報(特許請求の範囲)
前記した薬剤蒸散体により前述したような従来の問題は解決されるが、使用される常温蒸散性の薬剤を有効な薬量で蒸散できるように、単位空間容積当りの蒸散量が比較的高く設定されているため、長期間に亘って使用した場合に、使用後期に殺虫効果が低くなり易いという問題があった。また、最近の環境に対する厳密な要望の点から、単位空間容積当りの蒸散量が比較的低くても長期間に亘って安定した防殺虫効果が発揮できる防殺虫蒸散体が望まれている。
従って、本発明の目的は、このような問題を解消し、単位空間容積当りの蒸散量が比較的低くても、使用初期から長期間に亘って安定した防殺虫効果を発揮でき、また使用が簡便で製品の形態をコンパクトにして商品設計し易い防殺虫蒸散体を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を加工した薬剤保持材に、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、及び1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートから選ばれた少なくとも1種の殺虫剤を保持せしめたことを特徴とする防殺虫蒸散体が提供される。
好適な態様においては、上記薬剤保持材としては、不織布及び/又は織編物及び/又は紙に加工されたものを用いる。より好適な態様においては、薬剤保持材は多数のセル壁で構成される立体状構造体、より好ましくは折畳式の立体状構造体であり、薬剤蒸散方法は自然蒸散式又は送風式である。
本発明の防殺虫蒸散体は、繊維状で内部に空隙を有し、かつ薬剤蒸散が促進されるように、合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を加工した薬剤保持材、好ましくは多数のセル壁で構成される立体状構造体、より好ましくは折畳式の立体状構造体に、前記した特定の殺虫成分を塗布及び/又は含浸させて保持せしめたものであるため、単位空間容積当りの蒸散量が比較的低くても、使用初期から長期間に亘って安定した防殺虫効果を発揮できる。すなわち、前記した特定の殺虫成分は、防殺虫効力が極めて優れており、そのため、比較的僅かな蒸散量でも優れた防殺虫効果を発揮でき、単位空間容積当りの比較的低い所定の蒸散量で使用初期から長期間に亘って安定した防殺虫効果を発揮できる。また、薬剤保持材を種々の装飾品(例えば造花等)に加工することができるため、携帯用や室内のインテリア等にも使用することができ、製品設計が飛躍的に行い易くなる。特に、薬剤保持材を多数のセル壁で構成される立体状構造体、より好ましくは折畳式の立体状構造体に加工することにより、保持材内での通気がスムーズになり、かつ接触空気が薬剤をより効率的に大気中に放出できると共に、使用が簡便で、製品の形態をコンパクトにして商品設計し易くなる。
本発明の防殺虫蒸散体は、前記したように合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を加工した薬剤保持材に、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、及び1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートから選ばれた少なくとも1種の殺虫剤を保持せしめたことを特徴としているが、これらの中でも特に2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートが好ましい。これらの殺虫成分は、常温蒸散性で防殺虫効力が極めて優れており、そのため、比較的僅かな蒸散量でも優れた防殺虫効果を発揮できる。
前記殺虫成分を塗布及び/又は含浸させて保持させるための薬剤保持材は、合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を加工したものであればよく、形態的にはシート状等の二次元的構造や、ハニカム状、格子状、網目状等のセル壁で構成された立体状構造体などの三次元的構造のいずれも可能であるが、いずれも素材自体はシート状の繊維素材からなる。合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材は、密度0.05〜1.0g/cm3、厚さ0.02〜1mmのシート状に加工することが好ましい。これに前記した殺虫成分を塗布・含浸させて保持せしめた場合、単位空間容積当りの蒸散量を0.5mg/hr/m3以下に容易に調整でき、使用初期から長期間に亘って安定して薬剤を蒸散できる。
すなわち、薬剤保持シートの形態を練り込みシートでなく、繊維状で内部に空隙を有する形状とし、厚みを小さくし、かつ密度を低めに設定することにより、シート内での通気がスムーズになり、薬剤保持シートに接触した空気が薬剤を運搬できるようになり、より効率的に薬剤を大気中に放出できる。
その結果、本発明によれば、薬剤保持材から環境温度と空気の流れによって前記した殺虫成分を長期間効率的に蒸散させることができる自然蒸散式の防殺虫蒸散方法が提供される。ただし、本発明の防殺虫蒸散体の蒸散方式としては、自然蒸散方式の他、送風式や例えば使い捨てカイロを用いた加温(微加熱)式も少ないエネルギーで効率的に蒸散を可能とするという利点により適用可能であり、携帯可能なコンパクトな製品に設計できる。
また、本発明の防殺虫蒸散体は、従来の薬液吸上式の加熱蒸散方法のように薬剤を保持する吸液芯を加熱する電源が必要がなく、薬剤放出時の薬剤分解が著しく抑制でき、またいつでもどこにでも持ち運びが可能である。その結果、薬剤保持材の蒸散面の目詰まり等の劣化を生じることがなく、高い有効蒸散率で長期間に亘って安定した殺虫成分の蒸散が可能となる。さらに、加熱しなくても薬剤保持材から均一に殺虫成分が蒸散するため、長期間に亘って安定して蒸散し、残量も少量となり薬剤の無駄も減少し、経済的にも有利である。しかも、厚み、密度を任意に設定することにより、薬剤の種類や単位時間当りの薬剤蒸散量を容易に調節することが可能になる。また、機器等の表面への薬剤付着がないため、蒸散した殺虫成分すべてが大気中に放出され、殺虫成分の有効蒸散率も向上する。
本発明に用いることができる薬剤保持材は、必要な薬剤量を含浸させる能力が要求されるため、不織布や織編物等に加工してなる形態が好ましい。さらに材質としては、使用される薬剤に応じ、耐薬剤性を有することが望まれる。例えば、天然繊維としてパルプ、綿、羊毛、麻、絹等、合成繊維としてポレプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、レーヨン、メタアクリル酸樹脂、ガラス繊維等が挙げられる。
これらの薬剤保持材は、薬剤の保持力を確保するためには厚さ0.02mm以上、好ましくは0.03mm以上、密度が0.05g/cm3以上、好ましくは0.1g/cm3以上であることが望ましく、薬剤を常温において蒸散させ易くするためには厚さが1mm以下、好ましくは0.8mm以下、密度が1.0g/cm3以下、好ましくは0.8g/cm3以下であることが望ましい。また、厚さ1mmを超えると、微加熱蒸散方式の場合、熱伝導率の点で不利になる。
これらの薬剤保持材に薬剤を塗布・含浸させて製剤化するが、製剤としての薬剤蒸散量は効力面からは0.001mg/hr/m3以上、好ましくは0.003mg/hr/m3以上であることが望ましく、安全性及び経済性の面からは、薬剤蒸散量の上限は0.5mg/hr/m3以下が望ましい。
これらの薬剤保持材の蒸散面積(薬剤処理面積)は、自然蒸散式の場合、効力面からは5×100cm2/m3以上であることが望ましく、取扱い易さ、安全性、経済性の面からは1×103cm2/m3以下であることが望ましい。また、送風式及び加温式の場合は、効力面からは5×10-1cm2/m3以上であることが望ましく、取扱い易さ、安全性、経済性の面からは1×102cm2/m3以下であることが望ましい。
本発明の防殺虫蒸散体においては、前記した殺虫成分と共に、常温蒸散性の薬剤として従来から用いられている害虫駆除剤(殺虫剤、殺ダニ剤)、殺菌剤、防虫剤、忌避剤、消臭・芳香剤(香水、ハーブなど)、防カビ剤、医薬品(メントール、ユーカリオイル等、気管、風邪等の吸入用薬剤)等の各種の薬剤を、目的に応じて1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。通常、20℃における蒸気圧が1.0×10-6〜1.0×10-3mmHgの範囲内にある常温蒸散性の薬剤が用いられ、その中でも、20℃における蒸気圧が1.0×10-4mmHg以上の化合物が好ましい。
例えば殺虫剤としては、従来より用いられている各種蒸散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられており、特に以下のものが好ましい。
・一般名;化学名(商品名、メーカー)
*アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
*dl・d−T−アレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(バイオアレスリン)
*d・d−T−アレスリン;d−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル d−トランス−クリサンテマート(エスビオール)
*d・d−T80−プラレトリン;(+)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (+)−シス/トランス−クリサンテマート(エトック、住友化学工業(株))
*レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−レスメトリン;5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(クリスロンフォルテ、住友化学工業(株))
*エンペントリン;1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジメチルビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(ベーパースリン、住友化学工業(株))
*テラレスリン;dl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−d1−シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−シクロプロパンカンボキシラート(ノックスリン、住友化学工業(株))
*トランスフルスリン;d−トランス−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
上記化合物及び/又はこれらの異性体及び/又は類縁体から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができる。
他のピレスロイド系殺虫剤としては、以下のものが挙げられる。
*フタルスリン;N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ネオピナミン、住友化学工業(株))
*dl・d−T80−フタルスリン;(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2−インドリル)メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(ネオピナミンフォルテ、住友化学工業(株))
*フラメトリン;5−プロパギル−2−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(ピナミンD、住友化学工業(株))
*ペルメトリン;3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート(エクスミン、住友化学工業(株))
*フェノトリン;3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート(スミスリン、住友化学工業(株))
*イミプロスリン;2,4−ジオキソ−1−(プロプ−2−イニル)−イミダゾリジン−3−イルメチル(1R)−シス/トランス−クリサンテマート(プラール、住友化学工業(株))
*フェンバレレート;α−シアノ−3−フェノキシベンジル−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート(スミサイジン、住友化学工業(株))
*シペルメトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(アグロスリン、住友化学工業(株))
*シフェノトリン;(±)α−シアノ−3−フェノキシベンジル (+)−シス/トランス−クリサンテマート(ゴキラート、住友化学工業(株))
*エトフェンプロックス;2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル(トレボン)
*テフルスリン;2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*フェンプロパトリン;α−シアノ−3−フェノキシベンジル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート
*フェンフルスリン;2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル−dl−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
*1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/トランス−2,2,3,3−テトラメチル−1−シクロプロパンカルボキシラート
有機リン系殺虫剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*ダイアジノン;(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(ダイアジノン)
*フェニトロチオン、MEP;O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオホスフェート(スミチオン)
*ピリダフェンチオン;O,O−ジメチル−O−(3−オキソ−2−フェニル−2H−ピリダジン−6−イル)ホスホロチオエート(オフナック)
*マラチオン;ジメチルジカルベトキシエチルジチオホスフェート(マラソン)
*ディプテレックス;O,O−ジメチル−2,2,2−トリクロロ−1−ハイドロオキシエチル ホスホネイト
*クロルピリホス;O,O−ジエチル−O−(3,5,6−トリクロル−2−ピリジル)−ホスホロチオエート
*フェンチオン;O,O−ジエチル−O−(3−メチル−4−メチルチオフェニル)−ホスホロチオエート(バイテックス)
*ジクロルボス;O,O−ジメチル−2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)
*プロペタンホス;O−[(E)−2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルビニル]−O−メチルエチルホスホラミドチオエート(サフロチン)
*アベイト;O,O,O´,O´−テトラメチル−O,O´−チオジ−P−フェニレン ホスホロチオエート
*プロチオホス;ジチオリン酸O−2,4−ジクロロフェニル O−エチル S−プロピルエステル(トヨチオン)
*ホキシム;O,O−ジエチル−O−(α−シアノベンジリデンアミノ)チオホスフェート
昆虫成長阻害剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*ピリプロキシフェン;2−[1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ]ピリジン(スミラブ)
*メトプレン;11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノイックアシド−1−メチルエチルエステル
*フェノキシカルブ;エチル[2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル]カーバメート
*ジフルベンズロン;1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフロロベンゾイル)ウレア
*シロマジン;2−シクロプロピルアミノ−4,6−ジアミノ−s−トリアジン
*テフルベンズロン;N−[[(3,5−ジクロロ−2,4−ジフロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,6−ジフロロベンズアミド
オキサジアゾール系殺虫剤としては、次のものが挙げられる。
*メトキサジアゾン;5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−O−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(エレミック)
クロロニコチン系殺虫剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*イミダクロプリド;1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(ハチクサン)
*アセタミプロリド;(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトンアミジン(モスピラン)
殺菌剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
*トリフルミゾール;(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポキシエチリデン−O−トルイジン)
*ヘキサコナゾール;(R,S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール(アンピル)
*硫黄(S)
*TPN;テトラクロロイソフタロニトリル(ダコニール)
*カルベンダゾール;2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾイミダゾール(MBC)
*チオファメートメチル;1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(トップジンM)
*プロシミドン;N−(3,5−ジクロロフェニル)−12−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシミド(スミレックス)
*ミクロブタニル;2−P−クロロフェニル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ヘキサンニトリル(ラリー)
*イソプロチオラン;ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イソデン−マロネート(フジワン)
殺ダニ剤としては、以下のものが挙げられる。
*ケルセン;1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール
*キノメチオネート;6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカ−ボネート
*ヘキサチアゾクス;トランス−5−(4−クロロフェニル)−N−シクロヘキシル−4−メチル−2−オキソチアゾリジン−3−カルボキサミド
さらに、殺菌・防カビ剤としては、o−フェニルフェノール、イソプロピルメチルフエノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、チモール等、香料としては、天然及び人工の各種香料を使用でき、例えば動物性、植物性の天然香料、あるいは炭化水素、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オキシド、エステル類等の人工香料などが挙げられる。
忌避剤の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
*N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)
*ジメチルフタレート
*ジブチルフタレート
*2−エチル−1,3−へキサンジオール
*1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド
*ジ−n−プロピル イソシンコメロネート
*p−ジクロロベンゼン
*ジ−n−ブチルサクシネート
*カプリン酸ジエチルアミド
*N−プロピルアセトアニリド
*β−ナフトール
*カンファー
天然精油及び/又はその成分としては、以下のものが挙げられる。
*シトラール、シトロネラール、シトロネロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ゲラニオール、シンナミックアルデヒド、リナロール、ペリラアルデヒド、ネペタリック酸、メチルヘプテノン、デシルアルデヒド、ミルセン、酢酸ゲラニオール、チモール、リモネン、シネオール、ピネン、シメン、テルピネン、サビネン、エレメン、セドレン、エレモール、ビドロール、セドロール、ヒノキチオール、ツヤプリシン、トロポロイド、ヒノキチン、ツヨプセン、ボルネオール、カンフェン、テルピネオール、テルピニルエステル、ジペンテン、ファランドレン、シネオール、カリオレフィン、バニリン、フルフラール、フルフリルアルコール、ピノカルベオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルベノン、カルボン、オイデスモール、ピペリトン、ツエン、ファンキルアルコール、メチルアンスラニレート、ビサボレン、ベンガプトール、ノニルアルデヒド、ノニルアルコール、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、ネロリドール、オシメン、アンスラニル酸メチル、インドール、ジャスモン、ベンツアルデヒド、プレゴン等
*上記の異性体及び/又は誘導体
*上記から選ばれる少なくとも1つ以上を含有する精油
さらに、下記のような共力剤を他の薬剤と混合して使用できる。
*ブチルカービトル 6−プロピル−ピペロニル エーテル(商品名ピペロニルブトキサイド)
*オクタクロロジプロピルエーテル(商品名S−421)
*イソボルニルチオシアナアセテート(商品名IBTA)
*N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名サイネピリン222)
(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ(2,2,2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名サイネピリン500)
また、薬剤の分解やそれに伴う薬剤保持材の目詰り防止のために、酸化防止剤を併用することができる。酸化防止剤としては、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2,6−ジーt−ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタン、BHT、BHA、3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカブトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム;ポリエチレンワックス、オクチル化ジフェニルアミン、トリス[2−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジ−エチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキザスピロ[5.5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3´−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3´−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3´−チオジプロピオネート等が挙げられる。
上記のような酸化防止剤は、単独でも、また2種以上を組み合わせて混合使用することもできる。また添加方法としては、薬液中に添加することや、得られた保持材に添加することが考えられるが任意である。さらに、過酸化物分解剤と一般に呼ばれる酸化防止剤として、ジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)やジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)を前記酸化防止剤と組み合わせて混合使用することもできる。さらには蒸散性を調節するために、パラフィン類、グリコール類、エーテル類及びワックス類が使用できる。
さらに、紫外線吸収阻害剤としてパラアミノ安息香酸類、桂皮酸類、サリチル酸類、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることができる。
薬液を調製するためには、必要に応じて溶剤を用いることもできる。溶剤としては、水性、油性どちらでもよく、水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、さらにエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類を例示できる。
本発明の防殺虫蒸散体は、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ、シナハマダラカなどの蚊類、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、ヤマトゴキブリなどのゴキブリ類、イエバエ、ヒメイエバエ、センチニクバエ、ケブカクロバエ、キイロショウジョウバエ、ノミバエなどのハエ類、オオチョウバエ、ホシチョウバエなどのチョウバエ類、ブユ類、ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミなどのノミ類、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシなどの衣料害虫、ノシメマダラメイガ、コクヌストモドキ、コクゾウなどの貯穀害虫、マルカメムシ、チャバネアオカメムシ、スコットカメムシなどのカメムシ類、シラミ類などの様々な害虫に対して有効であり、使用場面としても一般家庭、倉庫、工場、飲食店など多様な場面に使用が可能である。
薬剤保持材に対する殺虫成分や他の蒸散性薬剤の薬液の塗布方法は特に限定されるものではないが、滴下塗布、含浸塗布、スプレー塗布などの液状塗布方法、液状印刷、はけ塗り等の方法などを採用できる。また、薬液を液体用ボトルに収納し、薬剤保持材の一部を薬液中に浸漬して薬液を吸液させ、蒸散部へ供給することも可能である。
薬剤保持材の形態としては、シート状等の二次元的構造及びハニカム状、格子状、網目状等のセル壁で構成された立体状構造体などの三次元的構造のいずれも可能である。シート状等の二次元的構造の場合、所望の形状に切断した単一シート材の他、これを重層したシート状形態なども含まれる。また、シート材に格子状、網目状等の任意の模様となる多数の透孔を形成することもできる。一方、三次元構造としては、断面がハニカム状、格子状、網目状等のセル壁で構成される球状、楕円球状、円柱状、円筒状、円錐状、四角錐状(ピラミッド状)、立方体状、直方体状等の立体状構造体の他に、シート材を造花、折り鶴、吹流し等に加工した立体状構造体などが挙げられる。
以下、立体状構造体の幾つかの例を添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2はハニカム構造体の一実施態様を示し、図1はハニカム構造体1を2分割した状態、図2は全体外観を示している。
ハニカム構造体1は、セル壁2によって囲まれる各セル3が、中心軸線Xに対して垂直に、球体外周面に向って平行に配列された全体的に球状の構造体に構成され、かつ、その中央部に内部空間Sが形成されている。従って、各セル3の殆ど大部分が内部空間Sと連通状態にあり、空気の流れが抑制されないようにされている。薬剤は、スプレー法、浸漬法等の任意の方法により、セル壁2に含浸・保持される。
このように、薬剤を含浸・保持できる材料から作製されたハニカム状(又は格子状、網目状等)のセル壁で立体状構造体を構成すると共に、その内部に空間を形成することによって、一つ一つのセルへの通気が促進され、それによって有効成分の蒸散量が増大し、長期間に亘って有効成分を安定して蒸散させることができる。
前記図1及び図2に示すハニカム構造体1の製造は、半分割したリング状のシート(図1の中心軸線Xの右側(又は左側)のリング状部分)を積層する際に、帯状の接着部分Aを各セルの所望の大きさに応じた適宜の間隔で平行に、しかも先の層間と後の層間で段違い状態となるように順次接着しながら多数枚積層し、得られた積層体の中心軸線X側の端縁を接着した後、積層体を拡げて両側のシートを接着することにより行うことができ、図2に示すような全体的に球状のハニカム構造体が得られる。あるいは、半円形のシート(又は矩形のシート)を上記と同様に接着しながら積層し、得られた積層体の内部空間に相当する半円形部分(矩形のシートを用いた場合には、さらに外周より外の部分)を打抜き除去することによって、半分割リング状の積層体を製造することもできる。また、帯状の接着部分Aが球の中心から放射状になるように配列することにより、各セルが全て内部空間と連通し、かつ、内部空間から球状外周面に向って放射状に配列されたハニカム構造体とすることもできる。
本発明による立体状構造の薬剤保持材は、図1及び図2に示すようなハニカム構造に限定されるものではなく、種々の構造、形態に構成することができる。例えば、前記図1において接着部分Aを細くした場合には格子状のセルとなる。また、格子状、網目状等任意の模様となるように多数の透孔を形成したシートを積層することもできる。さらに、立体状構造体の外観も、図示のような球状に限られず、円柱体、立方体、ピラミッド形、その他の多角体など任意の立体形状とすることができる。
なお、前記殺虫成分や他の常温蒸散性薬剤を有効成分として保持する多数のセル壁を有する立体状構造体は、所定の間隔をあけて互いに離間した少なくとも二層の多重構造に構成したり、使用利便性に優れた折り畳み自在に構成することもできる。
特に、互いに接することのないように所定の間隔をあけて互いに離間した少なくとも内外二層の多重構造の立体状構造体とすることにより、種々の形態で利用することが可能となる。
第一の利用形態は、薬剤保持材の最外層を、有効成分を保持させない保護層とすることである。これによって、最外層の保護層は、内部の有効成分保持層に光が直接照射されたり埃が付着するのを防止するバリヤー層として機能し、有効成分の分解や蒸散抑制といった現象が著しく低減する。また、最外層を保護層とすることにより、薬剤保持材に含浸・保持されている薬剤が手などに付着することもなく、有効成分の損失防止や安全性の向上の点でも有利である。このような効果は、薬剤保持材を折り畳み自在に構成することによっても得ることができる。
第二の利用形態は、多重構造の各層にそれぞれ作用又は蒸気圧の異なる常温蒸散性の有効成分を保持させ、数種の効力を同時に発揮させることである。
本発明のこのような保持体構造が有利な点は、有効成分保持層が互いに接することのない多重構造であるため、異なった作用又は蒸気圧を有する有効成分を保持させ、各々の作用を充分に発揮させることが可能な点である。単一構造の保持体に多種の有効成分を保持させた場合、例えば蒸気圧の異なる複数種の物質を混合して用いると、蒸気圧の高い易蒸散性物質の蒸散が蒸気圧の低い難蒸散性物質によって抑制されるといった現象が起こり、性能を充分に発揮することができない。それに対し、多重構造の各層にそれぞれ作用又は蒸気圧の異なる常温蒸散性の有効成分を保持させた保持体構造であれば、長期にわたって安定して効力を発揮する持続成分と、使用初期を中心に大きな効力を発揮する即効性成分の双方を確実に蒸散させることが可能である。また、複数の有効成分保持層を構造体中心から同心円上に配する構造とした場合、内部ほど通気が悪く蒸散量が低下するので、内部に易蒸散性成分を、通気のよい外部に難蒸散性成分を保持させ、双方の成分の蒸散量を調整することが可能となる。これにより効力を長期にわたって持続させることが可能となるほか、数種の効果を同時に発揮させ、効力の増強を図ることが可能となる。なお、このような利用形態においても、例えば少なくとも三層の多重構造の立体状構造体からなり、最外層を常温蒸散性の薬剤を保持しない保護層とし、内部の各層にそれぞれ作用又は蒸気圧の異なる常温蒸散性の有効成分を保持させることもできるが、最外層に蒸気圧の高い易蒸散性成分を保持させ、この成分が蒸散した後に保護層として利用する態様も可能である。
多重構造のハニカム構造体の一実施態様を図3及び図4に示す。図3はハニカム構造体1を2分割した状態、図4は折り畳んだ状態を示している。なお、全体外観は図2と同じである。
ハニカム構造体1は、セル壁2によって囲まれる各セル3が、中心軸線Xに対して垂直に、球体外周面に向って平行に配列された全体的に球状の構造体に構成されているが、外層4と内層5の二重構造であり、内外層間には所定間隔の空隙部6が形成されて互いに直に接しないようにされ、かつ、その中央部に内部空間Sが形成されている。従って、各セル3の殆ど大部分が内部空間Sと連通状態にあり、空気の流れが抑制されないようにされている。
薬剤はスプレー法、浸漬法等の任意の方法により内層5のセル壁2に含浸・保持される。一方、外層4は無処理で薬剤を保持しておらず、有効成分保持層である内層5の保護層として機能するが、前記したように、内層5に保持される有効成分と作用や蒸気圧の異なる有効成分を含浸・保持するようにしてもよい。
前記図3及び図4に示すハニカム構造体1の製造は、半円形の支持シート7の上に、内層5及び外層4を構成するそれぞれ半分割した小リング状及び大リング状の複数枚の薬剤保持シート(図1の中心軸線Xの右側(又は左側)の大小リング状部分)を図3に示すような所定の間隔で配置・積層する際に、帯状の接着部分Aを各セルの所望の大きさに応じた適宜の間隔で平行に、しかも先の保持シート間と後の保持シート間で段違い状態となるように順次接着しながら多数枚積層し、得られた積層体の中心軸線X側の端縁を接着し、最後に他方の表面の支持シート8を接着することにより行い、これによって図4に示すような積層体が得られる。使用に際しては、両側の支持シート7、8を開いて積層体を拡げ、両側の支持シート7、8を接合することにより、図2に示すような全体的に球状のハニカム構造体を組み立てることができる。両側の支持シート7、8の接合は、一方の支持シート(7又は8)の先端辺縁部所定箇所に両面粘着テープを貼着したり、接着剤を塗布するなど、適宜の方法により行うことができる。なお、帯状の接着部分Aが球の中心から放射状になるように配列することにより、各セルが全て内部空間Sと連通し、かつ、内部空間から球状外周面に向って放射状に配列されたハニカム構造体とすることもできる。
薬剤の蒸散を促進するためには、目付けの小さい保持シートを用いるのが好ましく、その場合、シートは概してコシの弱いものとなることが多い。従って、保持体全体の形状を維持するためには、支持シートにコシの強い材質を選択する方が好ましい。コシの強い支持シートは、概して目付けが大きく、薬剤が移行した場合、蒸散量が抑えられる可能性がある。それを回避するための手段としては、支持シートと薬剤保持シートとの間にバリア層を設けることが考えられ、具体的には、支持シートにガスバリア性のフィルムやアルミ箔等をラミネートするといった方法が好ましい。
図5は、前記図3及び図4に示すハニカム構造体の変形例を示す。このハニカム構造体1aは、外層4aと内層5aとの間の空隙部6aと、内部空間Sとの間を連通する空隙部11が、中心軸線Xに対して垂直方向に内層5a全体に形成され、内層5aが12−1層と12−2層に二分割されている点において、図3及び図4に示すハニカム構造体1と異なるが、他の構成は同様である。なお、図5は両側の支持シート7a、8aを180度開いた状態で示している。
一方、図6は三層構造のハニカム構造体1bの実施態様を示している。すなわち、外層4bと内層5bの間に中間層13が配設された多重構造を有し、各層間にそれぞれ空隙部6b、14が形成されている点において、図3及び図4に示すハニカム構造体と異なる。なお、図6も両側の支持シート7b、8bを180度開いた状態で示している。このハニカム構造体1bの場合、外層4bは有効成分を保持しない保護層とし、中間層13及び内層5bに作用もしくは蒸気圧の異なる2種の有効成分を含浸・保持させることが好ましい。
図7乃至図9は、本発明の薬剤保持材の他の実施態様を示している。このハニカム構造体1cは、空隙部6cにより互いに直に接しないように離間されたハニカム構造の外層4cと内層5cを有し、全体的に略楕円球状の立体形状を有するが、折り畳んだ状態を示す図8からわかるように、前記図1乃至図6に示すハニカム構造体とは異なり内部には空間は形成されない。また、両側の支持シート7c、8cの一端部は突出されて把持部15が形成されている。
このハニカム構造体1cは、含浸・保持されている有効成分の蒸散量を多くしたい場合には、図7に示すように組み立てた後、把持部15を握って振って用いることもできるが、図10に示すように把持部15に弾性線状部材16の一端部を固定し、他端部を支持台17の支持部18に嵌め込み、図10に示すように支持されているハニカム構造体1cを押して首振り運動させ、全体的にゆっくり振動させながら用いることができる。あるいはまた、把持部15を必要に応じて適当な連結部材を介して振動装置もしくは開閉装置(図示せず)に取り付け、ハニカム構造体1cを振動もしくは開閉させながら用いることもできる。
図11及び図12は、それぞれ前記図7乃至図9に示すハニカム構造体の変形例を示し、それぞれ折り畳んだ状態で示している。
前記図7乃至図9に示すハニカム構造体1cの場合、組み立てられた状態では2枚の支持シート7c、8cが重ね合わされるので(図9参照)、この部分で空隙部6cの連通状態が遮断されることになり、各セル3の通気状態が充分でない場合がある。そこで、図11に示すハニカム構造体1dでは、両側の支持シート7d(8dは図示せず)の空隙部6dと対応する箇所に複数(図示の例では各3個)の通気孔19を形成して、重ね合わされる支持シート7d、8dの両側を連通するように構成されている。
一方、図12に示すハニカム構造体1eでは、上記通気孔19の他に、両側の支持シート7e(8eは図示せず)及びそれらの間に積層されるセル壁を構成する多数のシートの一辺(中心軸線)中間部に略半円形状の切欠き20を設け、この切欠き20部分により、組み立てたときにハニカム構造体1eの中心部に内部空間が形成されるように構成されている。
なお、多重構造体の目付けを10g/m2から200g/m2の範囲で調整することで、構造すなわち含浸部位による有効成分の蒸散量をさらに任意にコントロールすることが可能となる。例えば図4に示す構造の保持体で、蒸気圧の異なる有効成分を含浸させ同量蒸散させたい場合、難蒸散性成分の保持部(例えば12−1の部分)には目付け20g/m2のシート状部材を用い、易蒸散性成分の保持部(例えば12−2の部分)には目付け70g/m2のシート状部材を用いることで、面積を変更することなく同じ蒸散量を得ることが可能となる。
また、前記したような防殺虫蒸散体は、使用箇所に放置(折り畳み自在な薬剤保持材の場合には開いた状態で放置)して、保持される常温蒸散性の有効成分が常温で自然に蒸散させるにまかせた状態で使用することもできるが、強制的に有効成分の蒸散を促進する態様で用いることもできる。すなわち、前記したような薬剤保持材を振動もしくは開閉させ、有効成分の蒸散を促進することもできるし、内部空間が形成される立体状構造体の場合、薬剤保持材の内部空間にファンを設け、有効成分の蒸散を促進することもできる。
このような薬剤蒸散方法を実施するための装置の幾つかの例を図面を参照しながら説明する。
図13は、通気を促進するためにハニカム構造体を全体的に振動させる態様の例を示している。
この薬剤蒸散装置は、図3及び図4に示すハニカム構造体と同様に、空隙部6fを介して離間された外層4fと内層5fの二重構造からなり、内部に空間Sが形成されたハニカム構造体1fと、上記内部空間7fに配設される駆動装置21とからなる。なお、ハニカム構造体1fは、両側の支持シート7f、8fを180度開いた状態で示されている。
駆動装置21は、図14に示すように、駆動軸22と、一端部が該駆動軸22に回動自在に取り付けられ、他端部に永久磁石24が取り付けられた振子23と、該振子23の揺動軌跡に近接して配設される電磁石25とから構成される。符号26は電磁石25を励磁するための乾電池である。駆動軸22は、図13に示されるように、ハニカム構造体1fの相対する支持シート7f、8fの中心軸線側端縁部間の隙間に配座され、両支持シート7f、8fを接合することにより駆動装置は内部空間S内に収容される。
この薬剤蒸散装置の場合、電磁石25の励磁と消磁が繰り返されることにより、振子23が揺動運動を行い、それによってハニカム構造体1fが全体的に駆動し、通気が促進されることによってセル壁に含浸・保持されている有効成分の蒸散が促進される。なお、振動装置21のスイッチ(図示せず)をハニカム構造体1fの外部に導出することにより、所望の時にハニカム構造体1fを振動させるようにすることもできる。
薬剤保持材全体を駆動する動力源としては、上記実施態様のように電磁石と永久磁石を利用した振り子の他、モーター、ゼンマイ、ゴムなどが考えられるが、長期に亘る使用を考えた場合の利便性の点ではモーターか電磁石の振り子が好ましく、電池等を利用する場合は消費電力の点で電磁石振り子が好ましい。
図15は、強制的に通気を促進させるためにファンを用いた薬剤蒸散装置の一実施態様を示している。
図15に示す強制通気方式の薬剤蒸散装置は、内部空間Sを有する中空円柱状のハニカム構造体1gを用いた例を示している。容器36上に配設されたハニカム構造体1gは、セル壁2によって囲まれるハニカム状の各セル3が内部空間Sから外周にかけて連通するように構成されており、その内部空間Sにはファン30が回転自在に配設されている。ファン30は、対称的に平行に配列された4枚の羽根31の上端にリング状の羽根固定部材32が、また下端に回転板33が固定された構造を有し、回転板33の中心は容器36内に収容されているモーター35の回転軸34に取り付けられている。モーター35への電力供給方式は、例えば乾電池を容器36内に収容する内部電源方式や、配線コードを接続する外部電源方式のいずれでもよい。
上記薬剤蒸散装置の場合、スイッチ(図示せず)を入れてモーター35を駆動させ、ファン30を回転させると、上部より流入した空気を、ファン30により内部空間Sから外周に向って各セル3内を強制的に通気させることができるので、ハニカム構造体1gに含浸されている有効成分の蒸散を促進することができ、また有効成分の蒸散量はファンの風力(回転数、羽根のサイズ、数、形状等)によって任意に調節できる。なお、実施の際には、ファン及び薬剤保持材への接触及び異物混入を避けるため、一つ以上の通気口を設けた外殻容器が必要である。また、ファンへの接触回避のため器具全体を逆転させ、下部より空気を取り入れる方法も考えられる。
図16は、強制的に通気を促進させるためにファンを用いた薬剤蒸散装置の他の実施態様を示している。
図16に示す強制通気方式の薬剤蒸散装置は、空隙部6hを介して離間された外層4hと内層5hの二重構造からなり、内部空間Sを有する中空円柱状のハニカム構造体1hを用いた例を示している。容器36上に配設されたハニカム構造体1hは、外層4hと内層5hの各層において、セル壁2によって囲まれるハニカム状の各セル3が内部空間Sから外周にかけて連通するように構成されており、その内部空間Sには図15に示す実施態様と同様にファン30が回転自在に配設されている。
強制的に通気を促進させる薬剤蒸散方式は、前記図15及び図16に示すものに限られるものではなく、種々の構造とすることができる。例えば、前記ハニカム構造体1g,1hは、中空の円柱状体の他、立方体、五角柱状、六角柱状等の任意の多角柱状体とすることができる。また、前記図1乃至図6に示す球状のハニカム構造体を半分割した半球状の構造とし、これを内部空間内にファンが配置されるように、例えば図15及び図16に示すファン30を覆うように容器36上に配置したドーム状構造とすることもできる。この場合、下方からハニカム構造体の内部空間内に空気が流入するように容器36あるいはさらに下部回転板33に吸気孔を形成すればよい。また、ハニカム構造体1g,1hを、格子状、網目状等任意の模様となるように多数の透孔を形成したシートから作製することもできる。
前記のようにハニカム構造体の内部に設けた空間内にファンを設置する場合、有効成分の蒸散量は、設ける内部空間の体積やセルの開口面積以上に、ファンの風力に左右される。高い有効成分蒸散量を確保する場合、立体状構造体の風の出口部での風速は、0.1m/秒以上であることが好ましい。そして、ファンを駆動する動力源としては、モーター、ゼンマイ、ゴム等が考えられるが、長期に亘って安定した効力を得るためにはモーターを使用することが好ましい。ファンの材質としては、プラスチックや厚紙等、特に限定されるものではないが、軽量な材質を選択したほうがエネルギー効率の向上の点で好ましい。
保持体の構成材質としては、前記したように合成樹脂及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を密度0.05〜1.0g/cm3、厚さ0.02〜1mmに加工したものであれば全て使用可能であり、有効成分に応じて適宜選択すればよい。特に、最外層の材質を透明にすることで、内部の有効成分保持層を見易くすることができる。例えば、有効成分保持層が、有効成分の蒸散と共に顕色する色素を利用したインジケーター機能を有する場合、その色調変化を見易くすることができる。このようなインジケーター機能を有する薬効指示性組成物は、例えば電子供与性呈色性有機化合物(色素)と顕色剤とにさらに蒸散性減感性薬剤を存在せしめることによって、蒸散性減感性薬剤が充分に残存している間は上記薬剤の減感作用が顕色剤の作用に勝り、発色を抑えるが、上記薬剤が蒸散して残存率が低くなると、顕色剤と電子供与性呈色性有機化合物との反応が始まり、呈色し始め、さらに上記薬剤が完全に蒸散して残存しなくなった時に電子供与性呈色性有機化合物特有の色調を呈する発色原理を薬効表示に応用したものである。従って、上記反応過程と蒸散性減感性薬剤の蒸散過程とが対応し、上記組成物の色調の変化により視覚的に蒸散性減感性薬剤の薬効残存状態及びその終点を正確に知ることができる。このような薬効指示性組成物は既に公知であり、常温蒸散性減感性の殺虫剤や防虫剤等の種々の分野で応用されているので、その詳細な説明は省略する(例えば、特許第2607361号参照)。
図17は、自動巻取ロールスクリーン方式の薬剤蒸散装置の一実施態様を示している。
この装置40は、中空円筒体41内に回転自在に配設されたロール42に、蒸散性薬剤を含浸・保持するシート状の薬剤保持材45が巻回された構造を有し、薬剤保持材45の下端縁は中空円筒体41の下部に軸線方向に形成されたスリット状開口部(図示せず)から突出している。薬剤保持材45の下端縁には補強シート46が貼着されており、薬剤保持材45が全体的に中空円筒体41内部に収納されたときに、補強シート46がスリット状開口部に密接・シールして、薬剤蒸散が起こらないように構成されている。
ロール42の一端部(図17の左側端部)は、補強シート46に取り付けられた把持部材47を持って薬剤保持材45を下方に所定長さ引き下げたときに、薬剤保持材45が元に戻らないように、ラチェット機構を介して中空円筒体41に取り付けられており、ラチェット解除ボタン43を押したときに薬剤保持材45は自動巻取機構によりロール42に全体的に巻回された元の状態に戻る。従って、使用しないときは薬剤保持材45を中空円筒体41内に収納することで薬剤蒸散を遮断することに加え、所望の蒸散量に応じた長さ分だけ、薬剤保持材45を引き下げて露出するようにするといった蒸散調整が可能となる。これは、蒸散調整が難しい本製剤にとって非常に重要な機能の一つである。なお、符号44は上記装置を壁等に吊り下げるための掛止部材である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(以下、メトフルトリンという)をヘキサンに3.125%(w/v)溶解させ、その32mlをデングリ厚紙(目付け18.7g/m2,白川製紙株式会社製)を表面積(片面)2000cm2のデングリ(図1、図2に示す球状ハニカム構造体)に加工したものに塗布して風乾し、供試剤を得た。
実施例2
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(以下、プロフルトリンという)をヘキサンに5.0%(w/v)溶解させ、その80mlをデングリ厚紙(目付け18.7g/m2,白川製紙株式会社製)を表面積(片面)5000cm2のデングリ(図1、図2に示す球状ハニカム構造体)に加工したものに塗布して風乾し、供試剤を得た。
実施例3
メトフルトリンをヘキサンに1%(w/v)溶解させ、その100mlを2000cm2のポリエチレンテレフタレート(PET)不織布(三井化学株式会社製、シンテックスMP R−014)に塗布して風乾し、供試剤を得た。
実施例4
プロフルトリンをヘキサンに1.6%(w/v)溶解させ、その250mlを5000cm2のポリエチレンテレフタレート(PET)不織布(三井化学株式会社製、シンテックスMP R−014)に塗布して風乾し、供試剤を得た。
実施例5
メトフルトリンをヘキサンに15.625%(w/v)溶解させ、その6.4mlを表面積(片面)400cm2のアコーディオン状デングリ(図15に示す円柱状ハニカム構造体)に加工したデングリ厚紙(目付け18.7g/m2,白川製紙株式会社製)に塗布して風乾し、供試剤を得た。これを図15に示すように風速1.5リットル/秒の風を発生するファン式送風機に装着して用いた。
実施例6
プロフルトリンをヘキサンに62.5%(w/v)溶解させ、その6.4mlを表面積(片面)400cm2のアコーディオン状デングリ(図15に示す円柱状ハニカム構造体)に加工したデングリ厚紙(目付け18.7g/m2,白川製紙株式会社製)に塗布して風乾し、供試剤を得た。これを図15に示すように風速1.5リットル/秒の風を発生するファン式送風機に装着して用いた。
実施例7
メトフルトリンをヘキサンに3.125%(w/v)溶解させた溶液16mlと、プロフルトリンをヘキサンに5.0%(w/v)溶解させた溶液40mlを混合した後、デングリ厚紙(目付け18.7g/m2,白川製紙株式会社製)を表面積(片面)2000cm2のデングリ(図1、図2に示す球状ハニカム構造体)に加工したものに塗布して風乾し、供試剤を得た。
実施例8
メトフルトリンをヘキサンに15.625%(w/v)溶解させた溶液3.2mlと、プロフルトリンをヘキサンに62.5%(w/v)溶解させた溶液3.2mlを混合した後、表面積(片面)400cm2のアコーディオン状デングリ(図15に示す円柱状ハニカム構造体)に加工したデングリ厚紙(目付け18.7g/m2,白川製紙株式会社製)に塗布して風乾し、供試剤を得た。これを図15に示すように風速1.5リットル/秒の風を発生するファン式送風機に装着して用いた。
比較例1
テラレスリンをヘキサンに3.125%(w/v)溶解させ、その16mlをデングリ原紙(目付け18.7g/m2、白川製紙株式会社製)を表面積(片面)1000cm2のデングリ(図1及び図2に示す球状ハニカム構造体)に加工したものに塗布して風乾し、供試剤を得た。これを5個試験に用いた。
比較例2
トランスフルスリンをヘキサンに1%(w/v)溶解させ、その100mlを2000cm2のポリエチレンテレフタレート(PET)不織布(三井化学株式会社製、シンテックスMP R−014)に塗布して風乾し、供試剤を得た。
比較例3
テラレスリンをヘキサンに15.625%(w/v)溶解させ、その16mlを表面積(片面)1000cm2のアコーディオン状デングリ(図15に示す円柱状ハニカム構造体)に加工したデングリ原紙(目付け18.7g/m2、白川製紙株式会社製)に塗布して風乾し、供試剤を得た。これを図15に示すように風速1.5リットル/秒の風を発生するファン式送風機に装着して用いた。
比較例4
トランスフルスリンをヘキサンに15.625%(w/v)溶解させ、その6.4mlを表面積(片面)400cm2のアコーディオン状デングリ(図15に示す円柱状ハニカム構造体)に加工したデングリ原紙(目付け18.7g/m2、白川製紙株式会社製)に塗布して風乾し、供試剤を得た。これを図15に示すように風速1.5リットル/秒の風を発生するファン式送風機に装着して用いた。
試験例1
8畳(33m3)の居室試験室の中央天井面に表1に示す各供試剤を吊るし、表1に示す蒸散方式による蒸散開始3時間後に、アカイエカ雌成虫10匹を入れた16メッシュナイロンネットを試験室の四隅(地上150cmの位置)に吊るした。その後の経時的なノックダウン数を観察し、ブリス(Bliss)のプロビット(Probit)法によりKT50を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2005298362
Figure 2005298362
表2に示される結果から明らかなように、単位空間容積当りの蒸散量が比較的低く設定されているにも拘らず、本発明に係る供試剤はいずれもアカイエカ雌成虫に対して高いノックダウン効果を示し、8畳居室のような大空間においても実用上の有効性が認められた。また、効力の持続性も認められ、長期に亘って高いノックダウン効果を安定して発揮した。
本発明の薬剤保持材の一実施態様である球状ハニカム構造体の断面図である。 図1に示す球状ハニカム構造体の斜視図である。 本発明の薬剤保持材の他の実施態様である球状多重ハニカム構造体の断面図である。 図3に示す球状多重ハニカム構造体の組立前の積層状態を示す側面図である。 本発明の球状多重ハニカム構造体の他の実施態様を180度開いた状態で示す平面図である。 本発明の球状多重ハニカム構造体の別の実施態様を180度開いた状態で示す平面図である。 本発明の薬剤保持材の別の実施態様である楕円状多重ハニカム構造体の斜視図である。 図7に示す楕円状多重ハニカム構造体の組立前の積層状態を示す平面図である。 図7に示す楕円状多重ハニカム構造体の組立前の積層状態を示す側面図である。 図7に示す楕円状多重ハニカム構造体の使用例を示す斜視図である。 本発明の楕円状多重ハニカム構造体の他の実施態様の組立前の積層状態を示す平面図である。 本発明の楕円状多重ハニカム構造体の別の実施態様の組立前の積層状態を示す平面図である。 本発明の薬剤保持材を用いた薬剤蒸散装置の一実施態様を示す概略構成図である。 図12に示す薬剤蒸散装置に用いた振動装置の概略構成図である。 本発明の薬剤保持材を用いた強制通気方式の薬剤蒸散装置の一実施態様を示す部分破断概略斜視図である。 本発明の薬剤保持材を用いた強制通気方式の薬剤蒸散装置の他の実施態様を示す部分破断概略斜視図である。 本発明の薬剤保持材を用いた自動巻取ロールスクリーン方式の薬剤蒸散装置の一実施態様を示す概略斜視図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h ハニカム構造体
2 セル壁
3 セル
4,4a,4b,4c,4d,4e,4f,4h 外層
5,5a,5b,5c,5d,5e,5f,5h 内層
6,6a,6b,6c,6d,6e,6f,6h,11,14 空隙部
7,7a,7b,7c,7d,7e,7f,8,8a,8b,8c,8f 支持シート
13 中間層
15 把持部
16 弾性線状部材
19 通気孔
20 切欠き部
21 駆動装置
23 振子
25 電磁石
30 ファン
31 羽根
32 羽根固定部材
33 回転板
35 モーター
40 自動巻取ロールスクリーン方式薬剤蒸散装置
41 中空円筒体
43 ラチェット解除ボタン
45 薬剤保持材
A 接着部分
S 内部空間
X 中心軸線

Claims (3)

  1. 合成繊維及び/又は天然繊維からなる繊維状の素材を加工した薬剤保持材に、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、及び1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートから選ばれた少なくとも1種の殺虫剤を保持せしめたことを特徴とする防殺虫蒸散体。
  2. 薬剤保持材が不織布及び/又は織編物及び/又は紙に加工されてなることを特徴とする請求項1に記載の防殺虫蒸散体。
  3. 薬剤保持材が多数のセル壁で構成される立体状構造体であり、薬剤蒸散方法が自然蒸散式又は送風式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防殺虫蒸散体。
JP2004113300A 2004-04-07 2004-04-07 防殺虫蒸散体 Pending JP2005298362A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113300A JP2005298362A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 防殺虫蒸散体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113300A JP2005298362A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 防殺虫蒸散体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005298362A true JP2005298362A (ja) 2005-10-27

Family

ID=35330345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004113300A Pending JP2005298362A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 防殺虫蒸散体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005298362A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007131574A (ja) * 2005-11-10 2007-05-31 Sumika Enviro-Science Co Ltd 害虫駆除剤
JP2010090048A (ja) * 2008-10-07 2010-04-22 Dainippon Jochugiku Co Ltd 薬剤揮散体
US9498554B2 (en) 2012-07-24 2016-11-22 S.C. Johnson & Son, Inc. Dispensing device
US9603352B2 (en) 2014-03-31 2017-03-28 S. C. Johnson & Son, Inc. Dispenser
US10694747B2 (en) 2012-11-21 2020-06-30 S. C. Johnson & Son, Inc. Dispenser comprising only one single hinge

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09308421A (ja) * 1996-03-19 1997-12-02 Sumitomo Chem Co Ltd 防虫材
JP2002037703A (ja) * 2000-05-19 2002-02-06 Sumitomo Chem Co Ltd 加熱蒸散害虫防除方法
JP2005224183A (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Sumitomo Chemical Co Ltd 常温揮散性の防虫化合物を用いた防虫材
JP2005253431A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 薬剤拡散装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09308421A (ja) * 1996-03-19 1997-12-02 Sumitomo Chem Co Ltd 防虫材
JP2002037703A (ja) * 2000-05-19 2002-02-06 Sumitomo Chem Co Ltd 加熱蒸散害虫防除方法
JP2005224183A (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Sumitomo Chemical Co Ltd 常温揮散性の防虫化合物を用いた防虫材
JP2005253431A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Sumitomo Chemical Co Ltd 薬剤拡散装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007131574A (ja) * 2005-11-10 2007-05-31 Sumika Enviro-Science Co Ltd 害虫駆除剤
JP2010090048A (ja) * 2008-10-07 2010-04-22 Dainippon Jochugiku Co Ltd 薬剤揮散体
US9498554B2 (en) 2012-07-24 2016-11-22 S.C. Johnson & Son, Inc. Dispensing device
US10694747B2 (en) 2012-11-21 2020-06-30 S. C. Johnson & Son, Inc. Dispenser comprising only one single hinge
US9603352B2 (en) 2014-03-31 2017-03-28 S. C. Johnson & Son, Inc. Dispenser
US10765104B2 (en) 2014-03-31 2020-09-08 S. C. Johnson & Son, Inc. Dispenser

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW592632B (en) Fan type chemicals diffusing device
US7790000B2 (en) Volatilizer
US4979673A (en) Methods and devices for controlled release
JPH0568459A (ja) 揮散性薬剤の拡散方法及びそれに用いる薬剤拡散用材
JP2000189032A (ja) 薬剤蒸散剤
JP4485544B2 (ja) 携帯型害虫防除装置
JP2001247406A (ja) 薬剤揮散方法
JP3955151B2 (ja) 常温蒸散性薬剤の薬剤保持体並びにそれを用いた薬剤蒸散方法及び装置
JP2005298362A (ja) 防殺虫蒸散体
JP2005320279A (ja) 薬剤保持体
JP4445459B2 (ja) 薬剤蒸散装置
EP0916260A1 (en) Sheets with a volatile compound
JP2002003313A (ja) 飛翔害虫防除方法
JP3907813B2 (ja) 常温蒸散式製剤の薬剤保持体及び薬剤蒸散方法
JPH09308421A (ja) 防虫材
JP2003079713A (ja) 揮散性薬剤の送風放散装置
JP4441017B2 (ja) 携帯型飛翔害虫防除装置
JP2000247807A (ja) 害虫の飛来及び/又は吸血行動抑制剤
JP2001333681A (ja) ファン式害虫防除装置
JP2000204005A (ja) 薬剤保持体
JP2005126393A (ja) 放香防虫製品
JP4641585B2 (ja) ファン式害虫防除装置
JP4630624B2 (ja) 薬剤拡散装置
JP2005145823A (ja) 薬剤揮散方法
JP2006036658A (ja) 嫌食性ペットハウス用殺虫材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110308