JP4959500B2 - 加熱蒸散用製剤 - Google Patents
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Description
加水発熱物質28は、外容器22の周壁、仕切部材24及び不織布シート23とで形成される空間に充填され、仕切部材24の内部に有効成分、熱分解してガスを発泡する発泡剤、発泡助剤およびその他の添加剤からなる加熱蒸散用薬剤27が収容される。また、外容器22の上部開放面には、仕切部材24の上部開放面に相当する領域に複数の開口部が形成された蓋部材25が被冠されており、更に蓋部材25の開口部は通気孔を有する熱溶融フィルム26によって塞がれている。
(1)加水発熱剤が収納され、かつ底部および/または側面の底部近傍に通水部分を有する加水発熱剤収納部と、該加水発熱剤収納部の上部に加熱により蒸散する殺虫原体が発泡剤を含まない状態で収納された薬剤収納部とを有する加熱蒸散用製剤であって、前記薬剤収納部の深さが20mm以下、かつ前記加水発熱剤収納部の底部と薬剤収納部の底部との間隔が60mm以下であることを特徴とする加熱蒸散用製剤。
また、加水発熱剤は、殺虫原体への効率的な熱伝達、蒸散効率、さらに製造コスト等を勘案してその充填量が決定される。上記の深さと間隔との関係において、所定量の加水発熱剤を充填した場合に、間隔が20mm以上60mm以下であるときに、最も殺虫原体の蒸散率が優れることを本発明者らは見出した。間隔が20mm未満であると殺虫原体への熱伝達が急激となり、殺虫原体が分解する恐れがある。逆に間隔が60mmを超えると殺虫原体への熱伝達が減少したり、加熱に時間を要して、殺虫原体の蒸散が十分に得られず、抑制される恐れがある。
なお、この形態は、加水発熱剤収納部の底部の直径が5cm以上が好ましく、5〜10cmである場合にとくに好ましい。
また、薬剤収納部の容積は、10cm3以上であることが好ましく、10cm3以上50cm3以下であることがより好ましい。加水発熱剤収納部の容積は、40cm3以上であることが好ましく、40cm3以上480cm3以下であることがより好ましい。
加熱温度は300〜400℃であることが好ましく、このときの加水発熱剤の含有量は40g〜400g程度とすることができる。
また、薬剤収納部の底部は、本発明の効果を示す限り、半球状でも、湾曲していても、凹凸を有していてもよい。
また、必要に応じて上記殺虫成分の他に、ロテノン、p−メンタン−3,8−ジオール、ジエチルメタトルアミド、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール等の忌避剤;PCMX、IPBC、TBZ、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤;ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、カテキン等の消臭剤;バラ油、ラベンダー油、ハッカ油等の精油;ピネン、リモネン、リナロール、メントール、オイゲノール等の香料等が挙げられる。また、殺虫原体としてグルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン等のグアニジン系殺菌剤を使用することもできる。
図1において、本発明の加熱蒸散用製剤は、自己発熱装置1の形態で使用され得る。自己発熱装置1は、有底円筒状の加水発熱剤収納部2を備えており、その底部から側部にかけて加水発熱剤3が収容されている。加水発熱剤収納部2は、底部に複数の通水部分(通水孔4)を有し、通水孔4は通水性を有する部材、例えば不織布シート23によって塞がれている。また、加水発熱剤収納部2の上部は、薬剤収納部5が設けられ、その中に加熱により蒸散する殺虫原体6が収納されている。殺虫原体6は、発泡剤を含まない。薬剤収納部5は、円筒状で平らな底部を有し、その側壁が加水発熱剤収納部2の周壁と同心状に配置されている。なお、薬剤収納部5の上部開放面は通気孔を有する熱溶融フィルムによって塞がれていてもよい。
なお、加水発熱剤収納部2は通水部分を、底部ではなく側面の底部近傍に有していてもよい。ここで、側面の底部近傍とは、加水発熱剤収納部2の側面のうち、水中または水面に接している部分のことであり、水が通水部分を通じて加水発熱剤収納部2に流入することができる範囲を表す。加水発熱剤収納部2の側面の底部近傍に通水部分がある場合は、容器8は脚部9を有さなくても水を流入させることができる。
図1に記載の加熱蒸散用製剤を用いて下記実験を行った。
すなわち、試験例1で使用した加熱蒸散用製剤は、直径68mmの有底円筒状の加水発熱剤収納部2を備え、その底部から側部にかけて酸化カルシウムからなる加水発熱剤3が140g収容されている。加水発熱剤収納部2は、底部に複数の通水部分(通水孔4)を有し、通水孔4は不織布シート23によって塞がれている。また、加水発熱剤収納部2の上部は、薬剤収納部5が設けられ、その中にペルメトリン殺虫原体6(液状、200mg)が収納されている。薬剤収納部5は、円筒状で平らな底部(直径53mm)を有し、その側壁が加水発熱剤収納部2の周壁と同心状に配置されている。
薬剤収納部5の深さLは下記表1に示すように10〜30mm、かつ加水発熱剤収納部2の底部と薬剤収納部5の底部との間隔hは40mmに設定した。
蒸散率(%)=(殺虫原体の蒸散量/加熱蒸散用製剤中の殺虫原体の含有量)×100
結果を表1に示す。なお、各試験例は2回づつ行い、平均の蒸散率を算出した。
試験例1において、薬剤収納部5の深さLを10mmに、かつ加水発熱剤収納部2の底部と薬剤収納部5の底部との間隔hを下記表2に示すように20〜70mm、また酸化カルシウム充填量を表2に示すように変更したこと以外は、試験例1と同様に行った。結果を表2に示す。なお、各試験例は2回づつ行い、平均の蒸散率を算出した。
これは間隔hを大きくすることで発熱剤量を多くできるが、発熱剤全体に水が行き渡るのに時間がかかり、発熱のロスが発生するためであると考えられる。
なお、試験例1および2において、加水発熱剤収納部2を直径53.2mm、間隔h=50mm、酸化カルシウム量を100gとし、薬剤収納部5を、直径38mm、L=10mmと変更してもほぼ同様の結果が得られた。
市販の加熱蒸散用製剤(商品名「アースレッドW」内容量30g)に使用されている自己発熱装置(加水発熱剤収納部の外径68mm、薬剤収納部の内径53mm、薬剤収納部の深さ55mm、加水発熱剤収納部の底部と薬剤収納部の底部との間隔20mm)を用いて、試験例1と同様にしてペルメトリン殺虫原体(液状、200mg)を加熱蒸散させて蒸散率を算出した。なお、加水発熱剤として酸化カルシウム140gを使用した。試験は2回繰り返して行い、蒸散率は平均値とした。
試験の結果、ペルメトリンの平均蒸散率は、21.7%であった。
加水発熱剤収納部2の外径68mm、薬剤収納部5の内径53mm、薬剤収納部の深さL10mm、加水発熱剤収納部2の底部と薬剤収納部5の底部との間隔h40mmとした自己発熱装置を用意し、同薬剤収納部5内にペルメトリン殺虫原体(液状、1000mg)を収納した加熱蒸散用製剤を製造し、加熱蒸散させて煙の量を測定した(本発明)。
また、上記参考例に記載した自己発熱装置を用いて、同薬剤収納部内にペルメトリンを配合した顆粒剤10g(ペルメトリン10質量%、澱粉2質量%、アゾジカルボンアミド88質量%を混合、造粒したもの)を収納した加熱蒸散用製剤を製造し、加熱蒸散させて煙の量を測定した(比較例)。
そして、両者の煙の量から本発明の加熱蒸散用製剤の減煙率を算出した。煙の量の測定方法及び減煙率は、以下のとおりに実施、算出した。
試験は、各加熱蒸散用製剤を8畳チャンバー(32m3)中央に設置し蒸散させた。蒸散終了後、チャンバー内の煙が均一になるように、扇風機で2分間撹拌した。蒸散開始から、30分、1時間、2時間後の煙の量(単位:c.p.m)を粉塵計(shibata scientific technology社)を用いて測定した。下記式より比較例に対する本発明の減煙率を求めた。結果を下記表3に示す。
減煙率(%)=(比較例の煙の量−本発明の煙の量)/(比較例の煙の量)×100
2 加水発熱剤収納部
3,28 加水発熱剤
4 通水孔
5 薬剤収納部
6 殺虫原体
8,29 容器
9 脚部
W 水
L 薬剤収納部5の深さ
h 通水孔4と薬剤収納部5の底部との間隔
10 加熱蒸散用製剤
11 台座
12 捕集用ロート
13 シリカゲル
14 補集管
15 脱脂綿
22 外容器
23 不織布シート
24 仕切部材
25 蓋部材
26 熱溶融フィルム
27 加熱蒸散用薬剤
Claims (1)
- 加水発熱剤が収納され、かつ底部および/または側面の底部近傍に通水部分を有する加水発熱剤収納部と、該加水発熱剤収納部の上部に加熱により蒸散する殺虫原体が発泡剤を含まない状態で収納された薬剤収納部とを有する加熱蒸散用製剤であって、前記薬剤収納部の深さが20mm以下、かつ前記加水発熱剤収納部の底部と薬剤収納部の底部との間隔が60mm以下であることを特徴とする加熱蒸散用製剤。
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