JP5263588B2 - 加熱蒸散システムおよびそれを用いた蒸散方法 - Google Patents

加熱蒸散システムおよびそれを用いた蒸散方法 Download PDF

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Description

本発明は、加熱蒸散システムおよびそれを用いた蒸散方法に関するものであり、詳しくは、熱に弱い殺虫剤でも熱分解を抑えて、殺虫剤を効率良く蒸散させることができ、無駄な煙の発生がほとんどない加熱蒸散システムおよびそれを用いた蒸散方法に関する。
従来から、屋内の害虫駆除のためなどに加熱蒸散システムは用いられており、具体的には特許文献1に記載されたシステムを挙げることができる。
特許文献1には加熱手段を用いて有効成分を蒸散させるもので、例えば図5に示されるようなシステムが記載されている。ここでは、有底円筒状の外容器22を備えており、その底部から側部にかけて加水発熱剤28が収容されている。外容器22は、底部に複数の通水孔を有し、通水孔は通水性を有する部材、例えば不織布シート23によって塞がれている。また、外容器22の内部は、仕切部材24により2つの空間に区画されている。仕切部材24は、円筒状で底部が略中空半球状を呈しており、その側壁が外容器22の周壁と同心状に配置されている。
加水発熱物質28は、外容器22の周壁、仕切部材24及び不織布シート23とで形成される空間に充填され、仕切部材24の内部に有効成分、熱分解してガスを発泡する発泡剤、発泡助剤およびその他の添加剤からなる加熱蒸散用薬剤27が収容される。また、外容器22の上部開放面には、仕切部材24の上部開放面に相当する領域に複数の開口部が形成された蓋部材25が被冠されており、更に蓋部材25の開口部は通気孔を有する熱溶融フィルム26によって塞がれている。
加水発熱剤28は水との反応により自己発熱する物質であり、例えば酸化カルシウム(生石灰)が用いられている。従って、使用に際して、水Wが入った容器29に入れることにより、水Wが通水孔を通じて外容器22に流入し、加水発熱剤28と接触し、そのとき発生した反応熱により加熱蒸散用薬剤27が加熱されて有効成分が蒸散し、熱溶融フィルム26の通気孔を通じて外部(室内等)に放出される。また、熱溶融フィルム26は加熱蒸散用薬剤27からの放熱、缶の熱並びに蒸散した有効成分との接触により熱溶融するため、蒸散の比較的早い時期から、蒸散した有効成分は蓋部材25の開口部を通じて効率良く外部に放出される。
特開2005−120028号公報
しかしながら、上記従来技術の加熱蒸散用製剤は、用いる薬剤によっては加熱による熱分解を受けるものがあり、使用できなかったり、分解量を勘案して増量する必要があり無駄があった。また、加熱蒸散用薬剤27に含まれる発泡剤によって、室内の汚染、観葉植物等の枯死等が生じることがあるという問題点があった。そのため、従来技術の加熱蒸散用製剤を使用する場合はパソコン、水槽等におおいをかけたり、観葉植物を室外に出す、等の作業が必要となり、使用前の準備が面倒であった。また、煙の発生による火災報知器の誤作動の危険性があった。
そこで本発明は、熱に弱い殺虫剤でも熱分解を抑えて、殺虫剤を効率良く蒸散させることができ、しかも無駄な煙の発生がほとんどなく、室内の汚染、観葉植物等の枯死等の従来の問題点を解決し、上記の使用前の準備をする必要がなくてもよい加熱蒸散システムおよびそれを用いた蒸散方法を提供することを目的とするものである。
本発明は以下のとおりである。
1)熱発生装置と、殺虫剤を保持し、内部に多数の貫通孔を有する担体とからなる加熱蒸散システムであって、
前記熱発生装置は、容器と、該容器に収納された加水発熱剤とからなり、前記容器の上端部構造は、前記担体を保持する複数の平坦部分と、前記複数の平坦部分の間に形成されて、空気を熱発生装置の外部から取り込み、前記担体の前記貫通孔へ上昇気流により通過させる溝とを有し、
前記担体は、前記上端部構造の前記平坦部分に、前記溝により前記上端部構造との非接触部分を設けて保持される、ことを特徴とする
加熱蒸散システム
)前記加水発熱剤により生じさせた熱を用いて、前記上端部構造に保持した前記担体を前記上端部構造により加熱して、前記溝により空気を前記熱発生装置の外部から取り込み、前記担体の前記貫通孔へ上昇気流により通過させ、この上昇気流と共に殺虫剤を前記貫通孔を通して蒸散させる、上記1)に記載の加熱蒸散システムを用いた蒸散方法。
本発明は、熱発生装置の上端部構造および担体の構造を特定の構造することで、熱に弱い殺虫剤に対しても熱分解を抑えて、殺虫剤を効率良く蒸散させることができる。また、本発明は、無駄な煙の発生がないため、室内の汚染、観葉植物等の枯死等の従来の問題点が解決され、従来の加熱蒸散用製剤でみられた室内の煙の濃度が一時的に高くなるようなことがないので火災報知器などが誤作動する危険性を低減できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の加熱蒸散システムは、熱発生装置と、殺虫剤を保持した担体とからなる。
熱発生装置について説明する。
熱発生装置は、発熱手段と上端部構造を有する。
発熱手段は、熱を発生させると共に、殺虫剤の蒸散に必要な熱を上端部構造に与える機能を有する構造であればよく、例えば、電気ヒーター、加水発熱剤、酸化発熱剤等が挙げられる。
電気ヒーターとしては、30〜800Wで、200〜500℃の発熱温度を有するものを用いることができ、さらに所望の温度を一定に保つ手段(PTCヒーター)を備えていることが好ましい。
上端部構造と発熱手段は、一体化されていても、別個であってもよい。また上端部構造は、電気ヒーターを用いる場合、底部はあってもなくてもよい。
この発熱手段は、加熱蒸散システムの使用時、熱を生じさせ、この熱を上端部構造に保持された担体に伝導させる。
発熱手段から上端部構造への熱伝導は、両者の構成材料同士、例えば、金属、セラミック、ガラス、紙、プラスチック等の材料同士(同種でも異種でもよい)、あるいはそれら両者材料に対し若しくは上端部構造に対し空気、窒素、酸素等のガスを介して行われる。ガスを介して行う場合、熱発生装置は、ガスを内部または外部へ通す構造を設けてもよい。
発熱手段として、加水発熱剤を用いたものとしては、加水発熱剤収納部と、空気流路構造および前記担体を保持する構造とを備えた上端部構造とを有し、前記加水発熱剤収納部は、加水発熱剤が収納され、かつ底部および/または側面の底部近傍に通水部分を有するものが好ましい。
加水発熱剤としては、10分以内に100〜400℃の発熱温度に達するものを用いることができ、例えば、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄、ミョウバン、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化ニッケル等が使用できる。また殺虫剤を効率よく蒸散させるために、担体を80〜350℃で加熱できる有効量を用いる必要があり、昇温速度との関係から、通常40〜250gとするのが好ましい。この際に用いられる水は、10〜100mlが適当である。
この発熱手段は、加熱蒸散システムの使用時、通水部分から水を浸入させ、加水発熱剤と接触させて熱を生じさせ、この熱を上端部構造に保持された担体に伝導させる。
上端部構造は、空気流路構造と、担体を保持する構造とを備える。
上端部構造は、所定の幅と深さと底面を有した溝が設けられた上蓋構造であり、上蓋は溝と共に担体を保持する面並びに周縁に側壁を有するが、溝の両端部には側壁がない。該溝は空気流路構造として機能する。
溝は上端部構造の中心軸を通って該周縁端部に至るまで設けられる。この溝を1本とすると、溝の数は1本以上あればよく、好ましくは2本以上4本以下(例えば、溝間の角度は30〜90度)とするのがよい。溝の幅は、上端部構造の側面周縁を円筒とした場合、該円の直径の7〜55%が好ましく、12〜40%が更に好ましい。
このような構造とすることで、担体底部に上昇気流を発生させるのに充分な空間を形成させることができる。この空間が広すぎたり、狭すぎたりすると、加熱が不充分となったり、上昇気流の発生が不充分となり、殺虫剤を効率良く蒸散できない。
上端部構造における担体が置かれる(保持される)上端部構造との接触部分は平坦であり、該上端部構造との非接触部分が溝に対応する。この平坦部分は担体を保持すると共に発熱手段で発生した熱を担体に伝え、殺虫剤を蒸散させる機能を有する。
また、溝は空気を熱発生装置の外部から取り込み、担体の貫通孔へ上昇気流が通過し得る機能を有し、この上昇気流と共に殺虫剤を貫通孔を通して蒸散させる。上記接触部分の面積の総和は、担体の底部面積の10〜80%が好ましく、15〜70%が更に好ましい。
担体は、空気流路構造から取り込まれた外気による上昇気流が通過し得る多数の貫通孔を有する。
貫通孔は、表面に殺虫剤を保持し、熱発生装置からの熱により殺虫剤を蒸散させる機能を有する。担体形状としては、少なくとも上記上端部構造の平坦部分と接触する底部と厚みを有したものであり、例えば、円盤状、直方体等が挙げられる。貫通孔は、厚みを構成する端面間が連通するように設けられる。貫通孔は直線状であっても、曲線状であってもよい。貫通孔の径の大きさは、直径0.2〜20mmが好ましく、直径0.2〜15mmがさらに好ましい。また、貫通孔の直径は、一定でなくともよく、例えば、担体の平坦部分との接触側から非接触側へ漸次大きくなるよう(逆テーパー状)にしてもよい。なお、貫通孔は機械的に塊を穿孔して設けても、型を用いて一体的に成形しても、繊維から構成してもよい。
貫通孔の表面素材と担体とは通常、一致しているが、異なっていてもよい。該表面素材としては、上記機能を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、MgAlSi18(コージライト)、AlSi13(ムライト)、Al(アルミナ)等のセラミックス、フローライト、タルク、クレー等の無機物を打錠した錠剤、これらにデンプン、カルボキシメチルセルロース塩等の結合剤を加えて混合成型した成型剤、グラスウール、耐熱繊維(メタアラミド繊維等)等が挙げられる。
担体の平坦部分との接触側から非接触側への厚みは1〜15mmが好ましく、2〜12mmがさらに好ましい。担体の貫通孔が占める体積は、担体の見かけの体積(貫通孔を含む体積)の8〜60%が好ましく、12〜50%が更に好ましい。
本発明において、殺虫剤を担体に保持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、担体を殺虫剤溶液に含浸し、溶媒を除去することにより担体に保持させることができる。担体に保持させる殺虫剤は薬剤のみであってもよいし、薬剤以外に薬剤の担体への保持、蒸散の促進等のための助剤、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス等の酸化防止剤等、灯油、流動パラフィン等の溶剤等を添加してもよい。
本発明は、上記熱発生装置の上端部構造および担体の構造により、殺虫剤の熱分解を効果的に抑制すると共に殺虫剤の蒸散を促進することができる。
本発明に用いる殺虫剤としては、特に制限されず所期のものが用いられるが、例えば、天然ピレトリン、ピレトリン、ビフェントリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、プラレトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、イミプロトリン、エンペントリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系化合物;プロポクサー、カルバリル等のカーバメイト系化合物;フェニトロチオン、DDVP等の有機リン系化合物;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物;フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物;アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物;ジノテフラン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド等、メトプレン、ハイドロプレン等の昆虫幼若ホルモン剤、プレコセン等の抗幼若ホルモン剤、エクダイソン等の脱皮ホルモン剤等のホルモン剤;フィットンチッド、ハッカ油、オレンジ油、桂皮油、ベンジルアルコール、丁子油等の精油類などの1種又は2種以上を組合わせたものが挙げられる。
本発明は、熱に対して不安定な分解し易い殺虫剤を用いるのに好適であり、このような殺虫剤でも高い蒸散率を得ることができる。そのような殺虫剤としては、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系殺虫剤、カルバリル、ベンフラカルブ、プロポクサー等のカーバメイト系殺虫剤等の1種又は2種以上を組合わせたものが挙げられる。
また、本発明は上記殺虫剤と熱に対して比較的安定な殺虫剤とを併用することもできる。
本発明は、必要に応じて上記殺虫剤の他に、例えば、IBTA、IBTE、四級アンモニウム塩、サリチル酸ベンジル等の殺虫・殺ダニ成分、ロテノン、p−メンタン−3,8−ジオール、ジエチルメタトルアミド、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール等の忌避剤、PCMX、IPBC、TBZ、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、カテキン等の消臭剤、バラ油、ラベンダー油、ハッカ油等の精油、ピネン、リモネン、リナロール、メントール、オイゲノール等の香料等を殺虫剤と共に併用してもよい。また、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン等のグアニジン系殺菌剤等の1種又は2種以上を組合わせたものを併用することもできる。
更に、発明の効果を奏する限り、公知の各種添加剤を使用できる。
本発明の加熱蒸散システムは、害虫駆除、必要に応じて、さらに殺菌、消臭、芳香等の目的に使用することができる。
図1は、本発明の加熱蒸散システムの構造の一実施形態を説明するための斜視図であり、図2はこの平面図である。このシステムは、発熱手段として加水発熱剤を用いるものであるが、本発明はこれに限定されない。
加熱蒸散システム10は、熱発生装置1と担体6からなる。
熱発生装置1は、加水発熱剤が収納される所定厚みの有底円筒状の容器2からなる。容器2は、側面3、底面4、及び上端部構造5から構成され、その容器内部は加水発熱剤収納部となっている。容器2は、底面4に複数の通水部分(通水孔)を有し、通水孔は通水性を有する部材、例えば底面4上に置かれる不織布シートによって塞がれている。また、容器2の上部は、本発明の構造を有する上端部構造5が設けられている。
上端部構造5は、側壁50、溝51、及び平坦部分52からなり、一体成形されて構成されている。溝51は空気流路となり、平坦部分52は担体を保持すると共に多数の貫通孔60を有する担体6に熱を伝導する機能を有する。この機能は平坦部分52において担体6が置かれる接触部分53が直接的に担う。
上端部構造5において、その側壁50は側面3の延長上に連続して配置され、溝51は該側面3の上端30に至るまで十字状に設けられている。
熱発生装置1の上端部構造5と側面3も一体成形されていてもよい。
また、例えば、底面4と上端部構造の平坦部分52との距離hを調整することにより担体への熱伝導性を調整することができる。hは、2〜6cmが好ましく、4〜6cmが更に好ましい。
加水発熱剤は水との反応により自己発熱する物質であり、例えば酸化カルシウム(生石灰)を用いることができる。使用に際して、熱発生装置1を水Wが入った容器8に入れることにより、容器2の側面下端に設ける脚部(不図示)に形成された隙間より、水Wが底面4の通水孔から容器2内部へ流入し、加水発熱剤と接触し、そのとき発生した反応熱は、上端部構造の平坦部分に置かれる担体に伝えられ、保持された殺虫剤が加熱されて蒸散し、外部(室内等)に放出される。このとき、上端部構造の溝51は空気を熱発生装置1の外部から取り込み、担体の貫通孔60へ上昇気流により通過させる機能を有し、この上昇気流と共に殺虫剤を貫通孔を通して蒸散させる。
なお、容器2は通水部分を、上記脚部ではなく側面3の底部近傍に有していてもよい。ここで、側面の底部近傍とは、側面3のうち、水中または水面に接している部分のことであり、水が通水部分を通じて加水発熱剤収納部に流入することができる範囲を表す。容器2の側面の底部近傍に通水部分がある場合は、容器2は脚部を有さなくても水を流入させることができる。
容器2の構成部材としては、例えば、上記加熱温度で使用できる耐熱性のプラスチック、紙、金属、セラミック、ガラス等が挙げられる。また、加水発熱剤としては、前記の酸化カルシウム以外にも、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄、ミョウバン、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化ニッケル等が使用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[試験例1]
図1に記載の加熱蒸散システム(実施例1、2)及び熱発生装置の上端部構造が本発明外の熱発生装置である製剤(比較例1〜3)、並びに本発明外の担体と本発明内の熱発生装置を用いた製剤(比較例4)を用いて下記実験を行った。加熱蒸散システムの詳細は表1に示した。
上記担体へ殺虫剤を保持させる処理は、以下によった。
フェノトリン1400mg、メトキサジアゾン800mg、酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」)26.4mgをアセトンに溶解させて10mlのアセトン溶液を調製した。
前記アセトン溶液10mlをピペットにて下記担体に滴下、含浸させた後、風乾させて試験に用いた。
(蒸散試験方法)
1)熱発生装置に殺虫剤を含浸させた担体を載せて殺虫剤を蒸散させて、蒸散成分を図6に示す捕集装置を用いてシリカゲルでトラップした。
2)シリカゲルをアセトンに浸漬して50分超音波で抽出した後、吸引ろ過して内標(セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル及びフタル酸ジブチル)を加えて分析サンプルとした。
3)ガスクロマトグラフにより定量分析し、次式により蒸散率(%)、残存率、及びロス率を算出し、表1に示した。
蒸散率(%)=(殺虫剤の蒸散量/蒸散前の担体中の殺虫剤の含有量)×100
残存率(%)=(蒸散後の担体中の殺虫剤の含有量/蒸散前の担体中の殺虫剤の含有量)×100
ロス率(%)=100−(蒸散率+残存率)
上記1)の詳細を以下に説明する。
図示される捕集装置は、水Wが入った容器8に入れた加熱蒸散システム10は台座11の上に載置して、加熱蒸散システム10の上部及び側部のほぼ全体を覆うように捕集用ロート12を被せ、捕集用ロート12にシリカゲル13を充填した金属製の捕集管14を連結し、捕集管14の他端から吸引する構成となっている。また、捕集管14は内径5cmで全長13cmの円筒であり、シリカゲル13を110g充填し、脱脂綿(8×17cmのサイズのものを2つ折りにしたもの)15,15でシリカゲル13の充填部の上下を閉塞している。
測定は、まず、捕集装置に加熱蒸散システム10を設置し、殺虫剤の蒸散が完全に終了するまで加熱蒸散させ、蒸散物を吸引してシリカゲル13に吸着させる。その後、捕集用ロート12と捕集管14を回収し、ビーカーにシリカゲル13及び脱脂綿15を移し、捕集用ロート12と捕集管14の内面をアセトンで十分に洗浄する。このとき、洗浄液は全て回収し、上記工程2)の分析サンプルの一部に回す。次に、シリカゲル13は上記工程2)で処理される。
Figure 0005263588
表1の担体、熱発生装置の詳細は以下の通りである。熱発生装置は、図1に準じた。熱発生装置の主たる構成材は、缶形状の金属である。
担体A:厚み12mm、42mm×42mmの直方体で、直径3mmの貫通孔が102個設けられている。材質は、MgAlSi18(コージライト)とAlSi13(ムライト)とからなる。
担体B:担体Aにおいて、厚みが9mmである他は、同じである。
担体C:厚み3mm、φ=53mmの円柱体で、材質は、Al(アルミナ)97%からなる。貫通孔は設けられていない。
熱発生装置A:図1の構造で、φ=7.3cm、h(底面4と上端部構造表面との距離)=5.5cm、生石灰を約175g充填し、上端部構造はH=1.6cm、D=0.45cmである。
熱発生装置B:図3の構造で、φ=8cm、h(底面4と上端部構造表面との距離)=4cm、生石灰を約200g充填し、上端部構造は平坦である。
熱発生装置C:図3の構造で、φ=7.3cm、h(底面4と上端部構造表面との距離)=5.5cm、生石灰を約220g充填し、上端部構造は平坦である。
熱発生装置D:図4の構造で、φ=7.3cm、h(底面4と上端部構造表面との距離)=5.5cm、生石灰を約175g充填し、上端部構造は、溝の端部が担体の外周より越えるが、側壁が存在する。
表1より、以下のことが分かる。
1)熱発生装置において、本発明の上端部構造の実施例1及び2は、担体底部からの空気の取り込みがあり、上昇気流の働きによりメトキサジアゾンの蒸散率が高く、分解が抑制されており、蒸散ロスも少ない。
2)熱発生装置において、本発明の上端部構造がない比較例1及び2は、担体底部からの空気の取り込みがなく、メトキサジアゾンの蒸散率が低く、殆どが分解しており、蒸散ロスも多い。
3)熱発生装置において、上端部構造が本発明のように溝が側面まで至らない比較例3は、担体底部からの空気の取り込みが十分でなく、メトキサジアゾンの蒸散率が低く、蒸散ロスも多い。
4)本発明の熱発生装置を用いても、担体に貫通孔がない比較例4では、メトキサジアゾンの殆どが分解してしまい、蒸散ロスも多い。
[試験例2]
実施例2の加熱蒸散システム(試験検体)とダニアースレッドa(フェノトリン1400mg、メトキサジアゾン800mg含有、アース製薬(株)製)(対照検体)を用いてその殺虫効果を調べた。
(試験方法)
1.オープン
8畳居室に1回/hの換気条件で、感受性チャバネゴキブリ雌成虫10匹/箇所、またはクロゴキブリ雌成虫10匹/箇所を、居室の床面の2隅に対角となるように設置し、試験検体又は対照検体を居室中央で蒸散した。経時的にノックダウン(KD)を確認して2時間暴露し、KT50(半数が致死するまでの時間)及び2時間後のKD率、24時間後の致死率を確認した。表2にチャバネゴキブリ、表3にクロゴキブリの結果を示す。結果は、試験を2回繰り返して行った平均値である。
2.フラッシングアウト(FO)
飼育で使用されているゴキブリの糞がついたシェルター(三角柱、5cm×5cm×15cm)に感受性チャバネゴキブリ雌成虫10匹/シェルター、またはクロゴキブリ雌成虫10匹/シェルターをエーテル麻酔して入れ、ガーゼで蓋をして1回/hの換気条件で、8畳居室の床面2隅に対角となるように設置した。試験検体又は対照検体を居室中央で蒸散した。シェルターから逃亡するゴキブリの数を経時的に確認して、FT50(半数がシェルターから出てくるまでの時間)及びFO率(2時間後にシェルターから出てきたゴキブリの割合)、24時間後の致死率を確認した。表2にチャバネゴキブリ、表3にクロゴキブリの結果を示す。
Figure 0005263588
Figure 0005263588
表2及び3より、本発明の加熱蒸散システムは、殺虫剤の蒸散、拡散性を高める有機発泡剤を使用していないにもかかわらず、有機発泡剤を使用している市販のものと同等、又はそれ以上の致死効果が認められることが分かる。とくにクロゴキブリに対するKT50、FT50、FO率、24時間後致死率において効果が優れていた。また、本発明は有機発泡剤を使用しないため無駄な煙の発生がほとんどないものであり、煙による問題等も低減される。
[試験例3]
実施例2の加熱蒸散システム(試験検体)とダニアースレッドa(フェノトリン1400mg、メトキサジアゾン800mg含有、アース製薬(株)製)(対照検体)を用いてその観葉植物及び金属に対する影響を目視にて以下の方法で評価した。
(試験方法)
1.供試物
(1)観葉植物:ミニバラ、ポトス、アジアンタム
(2)金属:銅、真鍮(金属は7cm角程度に切り、事前にサンドペーパーで磨き、トルエンに浸漬し、油分を取り除いた。)
2.方法
各観葉植物及び各金属を部屋(8畳居室)の中に入れ、試験検体又は対照検体1個を部屋で蒸散し、2時間暴露した。暴露後、各観葉植物及び各金属に対する影響を評価した。試験は2回行った。
これらとは別に、各観葉植物及び各金属を部屋の中に入れ、蒸散を行わなかったものをコントロールとした。
結果を表4に示した。
Figure 0005263588
供試物の評価は以下の通りである。
1)観葉植物
○:枯れが見られない。
×:枯れが見られる。
2)金属
○:腐食が見られない。
×:腐食が見られる。
上記試験結果より、本発明の加熱蒸散システムを用いることで、観葉植物や金属に対する枯れや腐食を効果的に低減することができる。
本発明の加熱蒸散システムの構造の一実施形態を説明するための斜視図である。 本発明の加熱蒸散システムの熱発生装置の上端部構造を説明するための平面図である。 上端部構造が平坦である熱発生装置の斜視図である。 上端部構造において、側壁が存在する熱発生装置の斜視図である。 従来技術の加熱蒸散用製剤の構造を説明するための断面略図である。 実施例で用いた捕集装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
10 熱発生システム
1,21 熱発生装置
2 容器
3 側面
30 側面の上端
4 底面
5 上端部構造
50 側壁
51 溝
52 上端部構造の平坦部分
53 担体が置かれる接触部分
H 溝の幅
D 溝の深さ
6 担体
60 貫通孔
8,29 容器
W 水
h 底面4と上端部構造の平坦部分52との距離
22 外容器
23 不織布シート
24 仕切部材
25 蓋部材
26 熱溶融フィルム
27 加熱蒸散用薬剤
28 加水発熱剤

Claims (2)

  1. 熱発生装置と、殺虫剤を保持し、内部に多数の貫通孔を有する担体とからなる加熱蒸散システムであって、
    前記熱発生装置は、容器と、該容器に収納された加水発熱剤とからなり、前記容器の上端部構造は、前記担体を保持する複数の平坦部分と、前記複数の平坦部分の間に形成されて、空気を熱発生装置の外部から取り込み、前記担体の前記貫通孔へ上昇気流により通過させる溝とを有し、
    前記担体は、前記上端部構造の前記平坦部分に、前記溝により前記上端部構造との非接触部分を設けて保持される、ことを特徴とする
    加熱蒸散システム。
  2. 前記加水発熱剤により生じさせた熱を用いて、前記上端部構造に保持した前記担体を前記上端部構造により加熱して、前記溝により空気を前記熱発生装置の外部から取り込み、前記担体の前記貫通孔へ上昇気流により通過させ、この上昇気流と共に殺虫剤を前記貫通孔を通して蒸散させる、請求項1に記載の加熱蒸散システムを用いた蒸散方法。
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