JP4302203B2 - 蒸散方法 - Google Patents
蒸散方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4302203B2 JP4302203B2 JP16232498A JP16232498A JP4302203B2 JP 4302203 B2 JP4302203 B2 JP 4302203B2 JP 16232498 A JP16232498 A JP 16232498A JP 16232498 A JP16232498 A JP 16232498A JP 4302203 B2 JP4302203 B2 JP 4302203B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transpiration
- water
- container
- agent
- hydrothermal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加水発熱反応型蒸散装置に一定量の水を収容する水収容容器を組み合わせて用いる蒸散方法に関するものであり、特に発熱速度が十分大きくて有効成分を迅速に蒸散させるがことできる蒸散方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、殺虫剤や殺菌剤などの薬剤を大気中に短時間に大量に揮散させて害虫を駆除したり殺菌する方法としては、古くは該殺虫剤や殺菌剤(以下単に「殺虫剤」と略記する)を燃焼剤と混合して、燃焼剤の燃焼熱及び発生したガスにより前記殺虫剤を大気中に発散させる方式があり、この方式においては燃焼に伴ってガスとともにかなりの煙も発生するために、それに用いる薬剤は燻煙剤とか、或いは燻蒸剤と呼ばれていた。しかし、この方式では大量の煙が出るために有害であり、火事と間違えられるという問題があった。
この燻蒸剤を燻蒸させるための加熱方式では、点火加熱する形態として例えばジェット剤、ロッド剤等とするのがあり、間接的に加熱する形態として化学反応方式や電熱式加熱方式などがある。
【0003】
また、その薬剤を揮散させる別の方式としては、燃焼する物質ではなく、加熱により分解し、その際に煙を伴わない大量のガスを発生する物質を使用して、その発生するガスにより薬剤を揮散させる方式があり、これは蒸散方法と呼ばれている。
この蒸散方法では加熱分解性物質の加熱に、前記した間接的に加熱する手段が適用され、前記化学反応方式としては、例えば加水発熱タイプ、空気酸化発熱タイプなどの方式があるが、これらのうち加水発熱タイプの加熱方式は間接的に燻蒸用薬剤を加熱する方式であり、人体に対する危険や火災発生の危険がなく安全な加熱方式である。
【0004】
前記した間接加熱方式において、生石灰(酸化カルシウム)と水との反応熱による加水加熱方式は、燃焼を伴わないために安全性が高く、かつ簡便であるためによく採用されるが、この方式による場合には、保存中の生石灰の吸湿による発熱量の減少に伴い有効成分の揮散率が低下することがあった。
従来、加水発熱反応の熱源を利用して殺虫剤等蒸散させる方法としては、加水発熱物質を収容する自己発熱容器を水を収容した水容器に浸漬させ蒸散させていた。また、この改良案として、定量の水をあらかじめカートリッジ等に収容して、使用の際、カートリッジ等を破断して、自己発熱容器へ水を供給するものが提案されたが、実用化には至らなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の水容器に浸漬させる方法では、水を入れ過ぎたり、水が足りなかったりして水量により不安定な蒸散が行われることがあった。これに対し、水収納カートリッジでは水の定量は可能であるが、給水速度にばらつきを生じるためか不安定な蒸散が行われることがあった。
本発明は、上記欠点を改良するため、水供給速度を規定し常に良好な蒸散を得ることができる蒸散方法を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記欠点を改良するため、水供給速度を規定し常に良好な蒸散を得るための手段を種々検討し、良好な蒸散が行われる方法を見いだし、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記の手段により前記の課題を解決した。
(1) 上部開放容器内に加水発熱反応型蒸散装置と水収容容器とを収容し、該水収容容器の破断により該水収容容器内から該上部開放容器内に排出される水との加水反応熱で前記蒸散装置の蒸散用薬剤を蒸散させる蒸散方法において、前記蒸散装置が自己発熱容器内に蒸散用薬剤(但し、燻煙剤を除く)を入れた薬剤容器を収容したものであり、該自己発熱容器内に粒径1〜20メッシュの酸化カルシウムが収容され、該自己発熱容器の孔のある底部は水が通りやすい多孔性紙又は多数の細孔を有する薄板が使用され、該水収容容器からの水が該底部から入ることにより、該加水発熱物質の吸水開始時から100秒以内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が300℃以上となるように、粒径1〜20メッシュの酸化カルシウム1モルに対して0.2〜3モルの加水発熱量の水の全部が反応する時間が1分以内という条件下に加水発熱量の水の全部を前記酸化カルシウムに供給するようにして蒸散用薬剤を間接的に加熱して蒸散させることを特徴とする蒸散方法。
【0007】
本発明において、加水発熱物質に1分以内に加水発熱反応量を供給するとは、水収容容器の水が容器破断後1分以内にその反応量(予め定量されている場合は全量)が加水発熱物質に供給されることを意味し、供給された水が全て吸水される時間のことではない。
本発明において、加水発熱物質の吸水開始から100秒以内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が300℃以上となるように、該加水発熱物質に1分以内に加水発熱反応量の水を供給するようにして、なるべく早く発熱させるのがよい。加水発熱物質は上部開放容器内においてまとめておき、供給した水が容易に流入して加水発熱反応を生じさせるために容器に入れておくのがよく、その容器を自己発熱容器ともいう。自己発熱容器の底部は加水発熱物質がその容器の外に出ないで、かつ供給した水が容易に流入することができるような構造とすることが好ましい。
そのためには水収容容器から出た水が早く自己発熱容器の加水発熱物質に到達できるような構造とすることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、加水発熱物質に1分以内に加水発熱反応量の水を供給するとは、言い換えれば、1分以内に前記加水発熱物質の加水発熱反応に必要な量(例えば当量)の水を供給することである。
その結果、加水発熱物質の全部に水が供給されて反応するのは、1分以内とはいかずにそれより多少遅れることがあっても、反応が早く生じて、その結果早い時間に加水発熱物質の全部が発熱することになって、その熱は隣接する蒸散装置内の蒸散用薬剤を入れた被加熱部、すなわち薬剤容器の例えば底部、側部に伝達される。
【0009】
そして、加水発熱物質が出しうる全発熱量というのは、自己発熱容器内に収納しておく加水発熱物質の量で既に決まっているわけであるから、加水発熱物質から発熱する発熱量が早く出る、つまり時間当たりの発熱量が大きいときには加水発熱物質部の温度が高くなることであり、ひいては薬剤容器の例えば底部の温度が高くなることである。
加水発熱物質に対する水の供給がゆっくりで、単位時間当たりの発熱量が小さいときには、薬剤容器底部の温度が低いということになる。自己発熱容器内上部の石灰層への水の供給が不十分となり、石灰の反応率が低下する。
【0010】
そこで、本発明を実施するには、水収納容器の破断時に破断口が大きくなるようにするのが好ましい。次に、加水発熱物質を収納する自己発熱容器の構造についても、通常は自己発熱容器の底部に吸水性の濾紙などを貼って、水を吸水し易くしているが、この濾紙が自己発熱容器内への水の進入を阻害していることになる場合には、より水が通りやすい多孔性紙や多数の細孔を有する薄板等の使用を考える必要がある。
また、その反応量(予め定量されている場合は全量)が加水発熱物質に供給されるようにするためには、容器破断時に水収容容器の水が速やかに出て、加水発熱物質に供給される水の量が多いようにすることが必要である。そのためには、容器破断時に容器に開けられる孔が大きいようにすることがよい。そこで容器破断時に容器に複数の孔が開くようにするか、或いは孔が1ケ所の場合にはその孔が大きいものとするのがよい。
【0011】
本発明の蒸散方法において用いる蒸散剤組成物に含有させる薬剤(有効成分)としては、従来より用いられている殺虫剤、殺菌剤、忌避剤の各種薬剤が使用できる。
代表的な薬剤(有効成分)としては、以下のものが例示できる。
(1)ピレスロイド系殺虫剤
・3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学工業株式会社製)
・3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−シス/トランス−クリサンテマート(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・d−3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製)
・3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート(一般名バイオアレスリン)
【0012】
・N−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド)−メチル dl−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フタルスリン:商品名ネオピナミン:住友化学工業株式会社製)
・5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名レスメトリン:商品名クリスロンフォルテ:住友化学工業株式会社製)
・5−(2−プロパルギル)−3−フリルメチル クリサンテマート(一般名フラメトリン)
・3−フェノキシベンジル 2,2−ジメチル−3−(2′,2′−ジクロロ)ビニルシクロプロパン カルボキシレート(一般名ペルメトリン:商品名エクスミン:住友化学工業株式会社製)
・3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名フェノトリン:商品名スミスリン:住友化学工業株式会社製)
・α−シアノフェノキシベンジル イソプロピル−4−クロロフェニルアセテート(一般名フェンバレレート:商品名スミサイジン、住友化学工業株式会社製)
【0013】
・d−2−メチル−4−オキソ−3−プロパルギルシクロペント−2−エニル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名d,d−T80−プラレトリン:商品名エトック、住友化学工業株式会社製)
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル−3−(2´−クロロ−3´,3´,3´−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名テフルスリン)
・2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名トランスフルスリン)
・(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R,シス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート
・(R,S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R,1S)−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名シペルメトリン)
・(R,S)−α−シアノ−4−フロオロ−3−フェノキシベンジル(1RS)−シス/トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名シフルトリン)
【0014】
・α−シアノ−3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名シフェノトリン)
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/トランス−クリサンテマート
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート
・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
・イミプロトリン
【0015】
(2)有機リン系殺虫剤
・O,O−ジメチル O−(2,2−ジクロロ)ビニルホスフェート
・O−イソプロポキシフェニル メチルカーバメート
・O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオノフォスフェート
・O,O−ジエチル O−2−イソプロピル−4−メチル−ピリミジル−(6)−チオフォスフェート
・O,O−ジメチル S−(1,2−ジカルボエトキシエチル)−ジチオフォスフェート
【0016】
(3)カーバメイト系殺虫剤
プロポクルス、カルバリル、ベンフラカルブ、アラニカルブ、フェノキシカルブなど、
(4)昆虫成長調節剤
メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ。
(5)キチン合成阻害型昆虫成長調節剤
ジフルベンズロン、トリフルムロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルロン、シロマジン
(6)その他の殺虫剤
ヒドラメチルノン、イミダクロブリド、アドマイヤー、アバメクチン、ホウ酸、スルフルアミド、ピラゾール系化合物、オキサジアゾール系メトキサジアゾン。
なお、上記(1)〜(6)の化合物には、その各種異性体、類縁体、誘導体も含まれる。
【0017】
本発明の蒸散に際しては、その蒸散剤中に薬剤(有効成分)の蒸散を妨げないのであれば、通常用いられる効力増強剤、揮発率向上剤、消臭剤、防臭剤、香料等の各種添加剤を任意に添加することができる。
効力増強剤としては、ピペロニルブトオキサイド、N−プロピルイゾーム、MGK−プロピルイゾーム、MGK−264、サイネピリン222、サイネピリン500、リーセン384、IBTA,S−421等。
揮散率向上剤としてはフェネチルイソチオシアネート、ハイミックス酸ジメチル等が挙げられる。
【0018】
消臭剤、防臭剤としては、ラウリル酸メタクリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチン酸アセトフェノン、アニシックアルデヒド、ジフェニルオキサイド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸エチル、サフロール、セダウッド油、セダ菜油、シトロネラ油、ペテイグレイン油、レモングラス油等。
香料としては、じゃ香、霊猫香、竜延香などの動物性香料;アビエス油、アジョクン油、アルモンド油、こしょう油、オレンジ油、セイジ油などの植物性香料を含む天然香料の他、合成又は抽出香料である人造香料も使用される。香料は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調合香料でもよい。
その蒸散剤には、前記のものの他安定剤を併用してもよい。そのような安定剤としては、従来加熱蒸散用薬剤に使用されている各種安定剤を挙げることができる。
【0019】
また本発明においては、前記の蒸散剤中に前記した薬剤とともに、前記薬剤の蒸散を助けるために有機発泡剤が使用される。その有機発泡剤としては、熱分解して、主として窒素ガスを発生する通常の各種有機発泡剤がいずれも使用できるが、好ましくは300℃以下の発泡温度を有するものが良い。代表的な有機発泡剤としては、次のものが挙げられる。
アゾジカルボンアミド(AC)、p−ベンゼンスルホニルヒドラジド(TSH)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(THS)、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N’−ジニトロソN,N’−ジメチルテレフタルアミド(DDTP)、トリヒドラジノトリアジン(THT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、4,4’−アゾビスシアノバレリックアシッド(ACVA)、t−ブチルアゾホルムアミド(BAFA)、2,4−ビス−(アゾスルホニル)トルエン(2,4−TSH)、2,4−ビス−(アゾスルホン)トルエン(2,4TSH)、2,2’−アゾビスイソブチロアミド(AZ−A)、メチル−2、2’−アゾビスイソブチレート(AZ−B)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトレル、 1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACHC)等。
【0020】
前記有機発泡剤は、これらに通常添加される、例えば「Dyphos」(ナショナル リード社製造)、「Tribase」(ナショナル リード社製造)、「OF−14」(アデカア−ガス社製造)、「OF−15」(アデカア−ガス社製造)、「KV−68A−1」(共同薬品社製造)、「Mark−553」(アデカ ケミ社製造)、「Sicostab 60」及び「Sicostab 61」(シーグレ(G.Siegle&Co.)社製造)等や、Cd−ステアレート、Ca−ステアレート、Zn−ステアレート、Zn−オクテート、ZnO、Sn−マレート、Zn−CO3 、尿素、クロムエロー、カーボンブラック等の添加剤を併用して発泡温度を低下させることが可能である。
【0021】
その加水発熱物質から出る熱により薬剤容器の底部を加熱して薬剤を蒸散させる際には、その蒸散においても、通常の場合蒸散助剤を使用しないと薬剤を十分に蒸散させることはできないので、蒸散助剤を使用することが好ましい。
顆粒剤において、その1成分である蒸散助剤として、特公昭63−41881号公報のようにニトロセルロースのみを使用し、燻蒸剤中におけるニトロセルロースの含有量を1/2以上とすると、燻蒸剤中のニトロセルロースの濃度が高くなり過ぎ、燻蒸剤を加熱した際にニトロセルロースが急速に分解し、発火することがある。また、このようにニトロセルロースの濃度が高い燻蒸剤は保存中にも自然発火することもあり得る。
従ってニトロセルロースを蒸散助剤とする場合には、前記特公63−41881号公報に記載されているように緩衝剤として例えば無機質粉と糖類を添加して燻蒸剤中のニトロセルロースの濃度を下げ、多くても40%として使用するように調整しなければならない。
【0022】
本発明者等は、蒸散助剤を使用する際には、有機発泡剤とニトロセルロースの両者からなる蒸散助剤では、有機発泡剤が緩衝剤として作用するためニトロセルロースの自然発火が起こらない上に、有機発泡剤とニトロセルロースの相互作用があるので、加水発熱物質に起因する低い加熱温度(例えば、生石灰と水との反応熱による加水加熱方式の場合、生石灰の吸湿により反応熱が低下したような場合)でも有効成分(薬剤)の揮散率が低下しないという、優れた性能を示す蒸散助剤を使用するのがよいことを報告した。
【0023】
本発明においては、前記薬剤容器の中に、前記薬剤及び前記有機発泡剤とニトロセルロースの混合物からなる蒸散助剤、さらに必要に応じ各種添加剤を混合して顆粒剤としたものを入れておくことが好ましい。
顆粒剤成分中の薬剤に対する発泡剤の混合割合は、後述する発熱剤の種類や所望の殺虫効力等に応じて適宜に選択できるが、通常薬剤に対し蒸散助剤を少なくとも等重量程度以上とするのがよい。蒸散助剤の混合割合の増大に伴い次第に殺虫薬剤の有効揮散率は向上するがあまりに多くなっても効果は向上しない。通常薬剤に対して蒸散助剤を1/2〜30重量倍、好ましくは1〜20重量倍程度とするのが良い。また、蒸散助剤中の有機発泡剤とニトロセルロースとの比率は1:1から1:0.2程度とするのが好ましい。また、前記蒸散助剤は、殺虫薬剤に対して何ら悪影響を与えるものではない。
【0024】
前記顆粒剤は薬剤と蒸散助剤(必要なら他の添加剤)を単に混合するのみで調製されるが、作業性及び得られる駆除剤の製造及び使用の簡便性を考慮すると、適当な顆粒状、塊状、ペレット状、ペースト状等としたり、また熱溶融性の樹脂袋等に封入するのが好ましく、これら各使用形態に応じて各種バインダー、溶剤等を使用できる。
本発明においては、加水発熱物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等水を添加するのみで発熱反応する物質を例示できる。
【0025】
本発明で好ましく使用される酸化カルシウムとしては粒度1〜20メッシュのものを用いる。酸化カルシウム及びその粒度は、これを単に水と接触させるのみで顆粒剤中の蒸散助剤を熱分解させかつ薬剤を燻蒸させ得る温度を与え得る点より選択されたものである。上記粒度範囲の酸化カルシウムは、これと水を接触させることにより、通常約150℃〜250℃の温度を発生させ得る。これに対して粒度が上記範囲を外れると発熱温度が低くなり過ぎ、所期の作用効果を奏することができなくなる。また、前記発熱剤の発熱温度は、勿論発熱剤と接触させる水量により変動するが、通常この水量は酸化カルシウム1モルに対して0.2〜3モル程度とするのが良い。
前記酸化カルシウムによる発熱量を調節するため、例えば珪藻土、酸性白土、ゼオライト等の粘土鉱物を酸化カルシウムにさらに添加して発熱剤とすることも可能である。
【0026】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
a.試験装置
直径が52mm、高さ63mmの円筒形状からなる自己発熱容器内に粒度20メッシュの酸化カルシウム粉末65gを入れ、その上に直径が38mm、高さ40mmの円筒形状を有し、底板が鉄薄板(厚さ0.2mm)を有する薬剤容器を乗せて蒸散装置を構成する。この蒸散装置を直径が80mm、高さ80mmの円筒形状の上部開放容器内に設置する。
自己発熱容器の側部最下部の周囲に等間隔で4ケ所に孔を設け、その孔の径を5種類変えて、吸水の全部が反応する時間が20秒、1分、2分、3分、5分とした。
なお、本発明は水収納容器を別に設けた蒸散装置における蒸散方法に係るものであるが、この試験装置では装置を簡単にするために、水収納容器を別に設けることはせずに、水収納容器に入れるべき量の水を別に供給するようにした。
【0027】
b.試験と測定結果
上部開放容器内の自己発熱容器との間隙に22mlの水を注入する。その水は前記の孔を通って自己発熱容器内に入り、酸化カルシウム粉末と接触して反応し、発熱する。その熱により薬剤容器の被加熱部たる鉄薄板製底板の温度が上昇するので、その底板の温度を底板に取り付けた温度センサーで測定する。なお、被加熱部である薬剤容器の温度としては、場所により温度が異なり、平均も出しがたいので、最も測定しやすく、かつ最も影響がある薬剤容器の底板の温度を採った。
吸水開始からの時間(秒)に対するその発熱温度の変化を調べた。そして、その変化を吸水速度を変えてそれぞれ測定した。
その吸水速度と発熱温度の変化を第1図に示す。
その結果によれば、吸水速度が20秒とか1分のように短い場合には、吸水開始からの時間が短くて発熱温度が最高に達し、しかもその最高発熱温度も他の場合より高いために、薬剤の蒸散に好適であることが判った。
これに対し、吸水速度が2分、3分、5分のように遅い場合には、発熱の速度が遅くて、最高発熱温度に達するのに時間がかかり、しかも最高発熱温度も前記の場合よりも低いものである。これらの場合には薬剤容器内の有機発泡剤の発泡も不十分であった。
【0028】
【発明の効果】
加水発熱物質の吸水開始時から100秒以内に蒸散装置の被加熱面が300℃以上となるように、該加水発熱物質に1分以内に加水発熱反応量の水の全部を供給するようにしたことにより、給水開始後の発熱による温度上昇が早く、その結果薬剤における温度上昇も早く、かつ到達する最高温度も高いため、薬剤の揮散量が多くなり、薬剤容器内にある薬剤が無駄なく有効に蒸散されるので、目的空間に薬剤を最大の効率で作用させることができる。また、その蒸散する装置を使用するときには、いつも同じような蒸散を行うことができるので、信頼性の高い蒸散作用を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加水発熱物質の吸水速度と発熱温度の関係を表わすグラフを示す。
Claims (1)
- 上部開放容器内に加水発熱反応型蒸散装置と水収容容器とを収容し、該水収容容器の破断により該水収容容器内から該上部開放容器内に排出される水との加水反応熱で前記蒸散装置の蒸散用薬剤を蒸散させる蒸散方法において、前記蒸散装置が自己発熱容器内に蒸散用薬剤(但し、燻煙剤を除く)を入れた薬剤容器を収容したものであり、該自己発熱容器内に粒径1〜20メッシュの酸化カルシウムが収容され、該自己発熱容器の孔のある底部は水が通りやすい多孔性紙又は多数の細孔を有する薄板が使用され、該水収容容器からの水が該底部から入ることにより、該加水発熱物質の吸水開始時から100秒以内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が300℃以上となるように、粒径1〜20メッシュの酸化カルシウム1モルに対して0.2〜3モルの加水発熱量の水の全部が反応する時間が1分以内という条件下に加水発熱量の水の全部を前記酸化カルシウムに供給するようにして蒸散用薬剤を間接的に加熱して蒸散させることを特徴とする蒸散方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16232498A JP4302203B2 (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | 蒸散方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16232498A JP4302203B2 (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | 蒸散方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11349405A JPH11349405A (ja) | 1999-12-21 |
JP4302203B2 true JP4302203B2 (ja) | 2009-07-22 |
Family
ID=15752380
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16232498A Expired - Fee Related JP4302203B2 (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | 蒸散方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4302203B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TR200002647T1 (tr) * | 1999-01-14 | 2001-03-21 | Earth Chemical Co., Ltd. | Termal buharlaşma preparasyonu ve bu preparasyonu kullanarak kimyasal maddelerin termal buharlaştırılması için yöntem |
JP4619528B2 (ja) * | 1999-12-27 | 2011-01-26 | ライオン株式会社 | 燻煙発生装置、その容器、及びそれを用いた防虫方法 |
-
1998
- 1998-06-10 JP JP16232498A patent/JP4302203B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11349405A (ja) | 1999-12-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2034840B1 (en) | Pesticidal composition comprising tetrafluorobenzyl cyclopropane carboxylates | |
JP3941893B2 (ja) | 燻蒸剤組成物及び燻蒸方法 | |
JP5273889B2 (ja) | 薬剤の加熱蒸散方法 | |
JP4302203B2 (ja) | 蒸散方法 | |
JPS5828842B2 (ja) | 害虫駆除方法 | |
JP2006306887A (ja) | 卵孵化抑制組成物 | |
JP2731789B2 (ja) | 吸液芯およびその製造方法並びに薬剤蒸散方法 | |
JP2007082553A (ja) | 水溶性殺虫剤の噴霧方法、並びにエアゾール噴霧装置、および殺虫液 | |
JP3844343B2 (ja) | 加水発熱型蒸散器 | |
JP2000351702A (ja) | 燻煙殺虫剤組成物 | |
JP2604219B2 (ja) | 吸液芯並びに殺虫方法 | |
JP2000086406A (ja) | 加水発熱反応用液 | |
JPS5842841B2 (ja) | 害虫駆除方法 | |
JP3548934B2 (ja) | くん煙組成物 | |
JP7540647B2 (ja) | 加熱蒸散剤 | |
JPS5949201B2 (ja) | 二剤型害虫駆除材料 | |
JPS6126321Y2 (ja) | ||
JPH11240804A (ja) | 害虫駆除剤 | |
JPS6326722B2 (ja) | ||
JP7437112B2 (ja) | 自噴式殺虫キット、自噴式殺虫剤組成物、自噴式殺虫装置及び殺虫方法 | |
JPS60130502A (ja) | 燻蒸用薬剤組成物 | |
JP3608679B2 (ja) | 害虫防除用燻蒸剤 | |
JPH0117181Y2 (ja) | ||
JPH0636704B2 (ja) | 加熱蒸散用吸液芯 | |
JPH0439442B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050225 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060324 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20071129 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080618 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080814 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080903 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081104 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20081127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090316 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090414 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090422 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150501 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |