JPH11349405A - 蒸散方法 - Google Patents

蒸散方法

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JPH11349405A
JPH11349405A JP10162324A JP16232498A JPH11349405A JP H11349405 A JPH11349405 A JP H11349405A JP 10162324 A JP10162324 A JP 10162324A JP 16232498 A JP16232498 A JP 16232498A JP H11349405 A JPH11349405 A JP H11349405A
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transpiration
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水収容容器から水を加水発熱物質に供給して
発熱させ、その熱で薬剤を蒸散させる際に、給水速度に
ばらつきを生じて不安定な蒸散が行われることがないよ
うに、常に良好な蒸散を得る蒸散方法を提供する。 【解決手段】 上部開放容器内に加水発熱反応型蒸散装
置と水収容容器とを収容し、該水収容容器内より排出さ
れる水との加水反応熱で前記蒸散装置の蒸散用薬剤を蒸
散させる蒸散方法において、該加水発熱物質の吸水開始
時から100秒以内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が
300℃以上となるように、該加水発熱物質に1分以内
に加水発熱反応量の水を供給するようにして蒸散用薬剤
を蒸散させることを特徴とする蒸散方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加水発熱反応型蒸
散装置に一定量の水を収容する水収容容器を組み合わせ
て用いる蒸散方法に関するものであり、特に発熱速度が
十分大きくて有効成分を迅速に蒸散させるがことできる
蒸散方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、殺虫剤や殺菌剤などの薬剤を大気
中に短時間に大量に揮散させて害虫を駆除したり殺菌す
る方法としては、古くは該殺虫剤や殺菌剤(以下単に
「殺虫剤」と略記する)を燃焼剤と混合して、燃焼剤の
燃焼熱及び発生したガスにより前記殺虫剤を大気中に発
散させる方式があり、この方式においては燃焼に伴って
ガスとともにかなりの煙も発生するために、それに用い
る薬剤は燻煙剤とか、或いは燻蒸剤と呼ばれていた。し
かし、この方式では大量の煙が出るために有害であり、
火事と間違えられるという問題があった。この燻蒸剤を
燻蒸させるための加熱方式では、点火加熱する形態とし
て例えばジェット剤、ロッド剤等とするのがあり、間接
的に加熱する形態として化学反応方式や電熱式加熱方式
などがある。
【0003】また、その薬剤を揮散させる別の方式とし
ては、燃焼する物質ではなく、加熱により分解し、その
際に煙を伴わない大量のガスを発生する物質を使用し
て、その発生するガスにより薬剤を揮散させる方式があ
り、これは蒸散方法と呼ばれている。この蒸散方法では
加熱分解性物質の加熱に、前記した間接的に加熱する手
段が適用され、前記化学反応方式としては、例えば加水
発熱タイプ、空気酸化発熱タイプなどの方式があるが、
これらのうち加水発熱タイプの加熱方式は間接的に燻蒸
用薬剤を加熱する方式であり、人体に対する危険や火災
発生の危険がなく安全な加熱方式である。
【0004】前記した間接加熱方式において、生石灰
(酸化カルシウム)と水との反応熱による加水加熱方式
は、燃焼を伴わないために安全性が高く、かつ簡便であ
るためによく採用されるが、この方式による場合には、
保存中の生石灰の吸湿による発熱量の減少に伴い有効成
分の揮散率が低下することがあった。従来、加水発熱反
応の熱源を利用して殺虫剤等蒸散させる方法としては、
加水発熱物質を収容する自己発熱容器を水を収容した水
容器に浸漬させ蒸散させていた。また、この改良案とし
て、定量の水をあらかじめカートリッジ等に収容して、
使用の際、カートリッジ等を破断して、自己発熱容器へ
水を供給するものが提案されたが、実用化には至らなか
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の水容器に浸漬さ
せる方法では、水を入れ過ぎたり、水が足りなかったり
して水量により不安定な蒸散が行われることがあった。
これに対し、水収納カートリッジでは水の定量は可能で
あるが、給水速度にばらつきを生じるためか不安定な蒸
散が行われることがあった。本発明は、上記欠点を改良
するため、水供給速度を規定し常に良好な蒸散を得るこ
とができる蒸散方法を得ることを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記欠点を改
良するため、水供給速度を規定し常に良好な蒸散を得る
ための手段を種々検討し、良好な蒸散が行われる方法を
見いだし、本発明を完成させるに至った。本発明は、下
記の手段により前記の課題を解決した。 (1)上部開放容器内に加水発熱反応型蒸散装置と水収
容容器とを収容し、該水収容容器内より排出される水と
の加水反応熱で前記蒸散装置の蒸散用薬剤を蒸散させる
蒸散方法において、該加水発熱物質の吸水開始時から1
00秒以内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が300℃
以上となるように、該加水発熱物質に1分以内に加水発
熱反応量の水を供給するようにして蒸散用薬剤を蒸散さ
せることを特徴とする蒸散方法。
【0007】本発明において、加水発熱物質に1分以内
に加水発熱反応量を供給するとは、水収容容器の水が容
器破断後1分以内にその反応量(予め定量されている場
合は全量)が加水発熱物質に供給されることを意味し、
供給された水が全て吸水される時間のことではない。本
発明において、加水発熱物質の吸水開始から100秒以
内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が300℃以上とな
るように、該加水発熱物質に1分以内に加水発熱反応量
の水を供給するようにして、なるべく早く発熱させるの
がよい。加水発熱物質は上部開放容器内においてまとめ
ておき、供給した水が容易に流入して加水発熱反応を生
じさせるために容器に入れておくのがよく、その容器を
自己発熱容器ともいう。自己発熱容器の底部は加水発熱
物質がその容器の外に出ないで、かつ供給した水が容易
に流入することができるような構造とすることが好まし
い。そのためには水収容容器から出た水が早く自己発熱
容器の加水発熱物質に到達できるような構造とすること
が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、加水発熱物質に
1分以内に加水発熱反応量の水を供給するとは、言い換
えれば、1分以内に前記加水発熱物質の加水発熱反応に
必要な量(例えば当量)の水を供給することである。そ
の結果、加水発熱物質の全部に水が供給されて反応する
のは、1分以内とはいかずにそれより多少遅れることが
あっても、反応が早く生じて、その結果早い時間に加水
発熱物質の全部が発熱することになって、その熱は隣接
する蒸散装置内の蒸散用薬剤を入れた被加熱部、すなわ
ち薬剤容器の例えば底部、側部に伝達される。
【0009】そして、加水発熱物質が出しうる全発熱量
というのは、自己発熱容器内に収納しておく加水発熱物
質の量で既に決まっているわけであるから、加水発熱物
質から発熱する発熱量が早く出る、つまり時間当たりの
発熱量が大きいときには加水発熱物質部の温度が高くな
ることであり、ひいては薬剤容器の例えば底部の温度が
高くなることである。加水発熱物質に対する水の供給が
ゆっくりで、単位時間当たりの発熱量が小さいときに
は、薬剤容器底部の温度が低いということになる。自己
発熱容器内上部の石灰層への水の供給が不十分となり、
石灰の反応率が低下する。
【0010】そこで、本発明を実施するには、水収納容
器の破断時に破断口が大きくなるようにするのが好まし
い。次に、加水発熱物質を収納する自己発熱容器の構造
についても、通常は自己発熱容器の底部に吸水性の濾紙
などを貼って、水を吸水し易くしているが、この濾紙が
自己発熱容器内への水の進入を阻害していることになる
場合には、より水が通りやすい多孔性紙や多数の細孔を
有する薄板等の使用を考える必要がある。また、その反
応量(予め定量されている場合は全量)が加水発熱物質
に供給されるようにするためには、容器破断時に水収容
容器の水が速やかに出て、加水発熱物質に供給される水
の量が多いようにすることが必要である。そのために
は、容器破断時に容器に開けられる孔が大きいようにす
ることがよい。そこで容器破断時に容器に複数の孔が開
くようにするか、或いは孔が1ケ所の場合にはその孔が
大きいものとするのがよい。
【0011】本発明の蒸散方法において用いる蒸散剤組
成物に含有させる薬剤(有効成分)としては、従来より
用いられている殺虫剤、殺菌剤、忌避剤の各種薬剤が使
用できる。代表的な薬剤(有効成分)としては、以下の
ものが例示できる。 (1)ピレスロイド系殺虫剤 ・3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4
−オン−1−イル dl−シス/トランス−クリサンテ
マート(一般名アレスリン:商品名ピナミン:住友化学
工業株式会社製) ・3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4
−オン−1−イル d−シス/トランス−クリサンテマ
ート(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工業株式会社
製) ・d−3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン
−4−オン−1−イルd−トランス−クリサンテマート
(商品名エキスリン:住友化学工業株式会社製) ・3−アリル−2−メチルシクロペンタ−2−エン−4
−オン−1−イル d−トランス−クリサンテマート
(一般名バイオアレスリン)
【0012】・N−(3,4,5,6−テトラヒドロフ
タリミド)−メチル dl−シス/トランス−クリサン
テマート(一般名フタルスリン:商品名ネオピナミン:
住友化学工業株式会社製) ・5−ベンジル−3−フリルメチル d−シス/トラン
ス−クリサンテマート(一般名レスメトリン:商品名ク
リスロンフォルテ:住友化学工業株式会社製) ・5−(2−プロパルギル)−3−フリルメチル クリ
サンテマート(一般名フラメトリン) ・3−フェノキシベンジル 2,2−ジメチル−3−
(2′,2′−ジクロロ)ビニルシクロプロパン カル
ボキシレート(一般名ペルメトリン:商品名エクスミ
ン:住友化学工業株式会社製) ・3−フェノキシベンジル d−シス/トランス−クリ
サンテマート(一般名フェノトリン:商品名スミスリ
ン:住友化学工業株式会社製) ・α−シアノフェノキシベンジル イソプロピル−4−
クロロフェニルアセテート(一般名フェンバレレート:
商品名スミサイジン、住友化学工業株式会社製)
【0013】・d−2−メチル−4−オキソ−3−プロ
パルギルシクロペント−2−エニルd−シス/トランス
−クリサンテマート(一般名d,d−T80−プラレト
リン:商品名エトック、住友化学工業株式会社製) ・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジ
ル−3−(2´−クロロ−3´,3´,3´−トリフル
オロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロ
パンカルボキシレート(一般名テフルスリン) ・2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−3−
(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジチルシクロプ
ロパンカルボキシレート(一般名トランスフルスリン) ・(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1
R,シス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2
−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート ・(R,S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル
(1R,1S)−シス/トランス−3−(2,2−ジク
ロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボ
キシレート(一般名シペルメトリン) ・(R,S)−α−シアノ−4−フロオロ−3−フェノ
キシベンジル(1RS)−シス/トランス−3−(2,
2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパ
ンカルボキシレート(一般名シフルトリン)
【0014】・α−シアノ−3−フェノキシベンジル
d−シス/トランス−クリサンテマート(一般名シフェ
ノトリン) ・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/
トランス−クリサンテマート ・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2
−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シク
ロプロパン−1−カルボキシレート ・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,
2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレ
ート ・1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2
−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプ
ロパン−1−カルボキシレート ・イミプロトリン
【0015】(2)有機リン系殺虫剤 ・O,O−ジメチル O−(2,2−ジクロロ)ビニル
ホスフェート ・O−イソプロポキシフェニル メチルカーバメート ・O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−ニトロフ
ェニル)チオノフォスフェート ・O,O−ジエチル O−2−イソプロピル−4−メチ
ル−ピリミジル−(6)−チオフォスフェート ・O,O−ジメチル S−(1,2−ジカルボエトキシ
エチル)−ジチオフォスフェート
【0016】(3)カーバメイト系殺虫剤 プロポクルス、カルバリル、ベンフラカルブ、アラニカ
ルブ、フェノキシカルブなど、 (4)昆虫成長調節剤 メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フ
ェノキシカルブ。 (5)キチン合成阻害型昆虫成長調節剤 ジフルベンズロン、トリフルムロン、テフルベンズロ
ン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサ
フルロン、シロマジン (6)その他の殺虫剤 ヒドラメチルノン、イミダクロブリド、アドマイヤー、
アバメクチン、ホウ酸、スルフルアミド、ピラゾール系
化合物、オキサジアゾール系メトキサジアゾン。なお、
上記(1)〜(6)の化合物には、その各種異性体、類
縁体、誘導体も含まれる。
【0017】本発明の蒸散に際しては、その蒸散剤中に
薬剤(有効成分)の蒸散を妨げないのであれば、通常用
いられる効力増強剤、揮発率向上剤、消臭剤、防臭剤、
香料等の各種添加剤を任意に添加することができる。効
力増強剤としては、ピペロニルブトオキサイド、N−プ
ロピルイゾーム、MGK−プロピルイゾーム、MGK−
264、サイネピリン222、サイネピリン500、リ
ーセン384、IBTA,S−421等。揮散率向上剤
としてはフェネチルイソチオシアネート、ハイミックス
酸ジメチル等が挙げられる。
【0018】消臭剤、防臭剤としては、ラウリル酸メタ
クリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチン酸アセ
トフェノン、アニシックアルデヒド、ジフェニルオキサ
イド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸
エチル、サフロール、セダウッド油、セダ菜油、シトロ
ネラ油、ペテイグレイン油、レモングラス油等。香料と
しては、じゃ香、霊猫香、竜延香などの動物性香料;ア
ビエス油、アジョクン油、アルモンド油、こしょう油、
オレンジ油、セイジ油などの植物性香料を含む天然香料
の他、合成又は抽出香料である人造香料も使用される。
香料は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合した調
合香料でもよい。その蒸散剤には、前記のものの他安定
剤を併用してもよい。そのような安定剤としては、従来
加熱蒸散用薬剤に使用されている各種安定剤を挙げるこ
とができる。
【0019】また本発明においては、前記の蒸散剤中に
前記した薬剤とともに、前記薬剤の蒸散を助けるために
有機発泡剤が使用される。その有機発泡剤としては、熱
分解して、主として窒素ガスを発生する通常の各種有機
発泡剤がいずれも使用できるが、好ましくは300℃以
下の発泡温度を有するものが良い。代表的な有機発泡剤
としては、次のものが挙げられる。アゾジカルボンアミ
ド(AC)、p−ベンゼンスルホニルヒドラジド(TS
H)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(THS)、
p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド)(OSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(DPT)、N,N’−ジニトロソN,N’−ジメチル
テレフタルアミド(DDTP)、トリヒドラジノトリア
ジン(THT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)、4,4’−アゾビスシアノバレリックアシッド
(ACVA)、t−ブチルアゾホルムアミド(BAF
A)、2,4−ビス−(アゾスルホニル)トルエン
(2,4−TSH)、2,4−ビス−(アゾスルホン)
トルエン(2,4TSH)、2,2’−アゾビスイソブ
チロアミド(AZ−A)、メチル−2、2’−アゾビス
イソブチレート(AZ−B)、2−(カルバモイルア
ゾ)イソブチロニトレル、 1,1’−アゾビスシクロ
ヘキサンカルボニトリル(ACHC)等。
【0020】前記有機発泡剤は、これらに通常添加され
る、例えば「Dyphos」(ナショナル リード社製
造)、「Tribase」(ナショナル リード社製
造)、「OF−14」(アデカア−ガス社製造)、「O
F−15」(アデカア−ガス社製造)、「KV−68A
−1」(共同薬品社製造)、「Mark−553」(ア
デカ ケミ社製造)、「Sicostab 60」及び
「Sicostab 61」(シーグレ(G.Sieg
le&Co.)社製造)等や、Cd−ステアレート、C
a−ステアレート、Zn−ステアレート、Zn−オクテ
ート、ZnO、Sn−マレート、Zn−CO3 、尿素、
クロムエロー、カーボンブラック等の添加剤を併用して
発泡温度を低下させることが可能である。
【0021】その加水発熱物質から出る熱により薬剤容
器の底部を加熱して薬剤を蒸散させる際には、その蒸散
においても、通常の場合蒸散助剤を使用しないと薬剤を
十分に蒸散させることはできないので、蒸散助剤を使用
することが好ましい。顆粒剤において、その1成分であ
る蒸散助剤として、特公昭63−41881号公報のよ
うにニトロセルロースのみを使用し、燻蒸剤中における
ニトロセルロースの含有量を1/2以上とすると、燻蒸
剤中のニトロセルロースの濃度が高くなり過ぎ、燻蒸剤
を加熱した際にニトロセルロースが急速に分解し、発火
することがある。また、このようにニトロセルロースの
濃度が高い燻蒸剤は保存中にも自然発火することもあり
得る。従ってニトロセルロースを蒸散助剤とする場合に
は、前記特公63−41881号公報に記載されている
ように緩衝剤として例えば無機質粉と糖類を添加して燻
蒸剤中のニトロセルロースの濃度を下げ、多くても40
%として使用するように調整しなければならない。
【0022】本発明者等は、蒸散助剤を使用する際に
は、有機発泡剤とニトロセルロースの両者からなる蒸散
助剤では、有機発泡剤が緩衝剤として作用するためニト
ロセルロースの自然発火が起こらない上に、有機発泡剤
とニトロセルロースの相互作用があるので、加水発熱物
質に起因する低い加熱温度(例えば、生石灰と水との反
応熱による加水加熱方式の場合、生石灰の吸湿により反
応熱が低下したような場合)でも有効成分(薬剤)の揮
散率が低下しないという、優れた性能を示す蒸散助剤を
使用するのがよいことを報告した。
【0023】本発明においては、前記薬剤容器の中に、
前記薬剤及び前記有機発泡剤とニトロセルロースの混合
物からなる蒸散助剤、さらに必要に応じ各種添加剤を混
合して顆粒剤としたものを入れておくことが好ましい。
顆粒剤成分中の薬剤に対する発泡剤の混合割合は、後述
する発熱剤の種類や所望の殺虫効力等に応じて適宜に選
択できるが、通常薬剤に対し蒸散助剤を少なくとも等重
量程度以上とするのがよい。蒸散助剤の混合割合の増大
に伴い次第に殺虫薬剤の有効揮散率は向上するがあまり
に多くなっても効果は向上しない。通常薬剤に対して蒸
散助剤を1/2〜30重量倍、好ましくは1〜20重量
倍程度とするのが良い。また、蒸散助剤中の有機発泡剤
とニトロセルロースとの比率は1:1から1:0.2程
度とするのが好ましい。また、前記蒸散助剤は、殺虫薬
剤に対して何ら悪影響を与えるものではない。
【0024】前記顆粒剤は薬剤と蒸散助剤(必要なら他
の添加剤)を単に混合するのみで調製されるが、作業性
及び得られる駆除剤の製造及び使用の簡便性を考慮する
と、適当な顆粒状、塊状、ペレット状、ペースト状等と
したり、また熱溶融性の樹脂袋等に封入するのが好まし
く、これら各使用形態に応じて各種バインダー、溶剤等
を使用できる。本発明においては、加水発熱物質として
は、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニ
ウム、塩化カルシウム、塩化鉄等水を添加するのみで発
熱反応する物質を例示できる。
【0025】本発明で好ましく使用される酸化カルシウ
ムとしては粒度1〜20メッシュのものを用いる。酸化
カルシウム及びその粒度は、これを単に水と接触させる
のみで顆粒剤中の蒸散助剤を熱分解させかつ薬剤を燻蒸
させ得る温度を与え得る点より選択されたものである。
上記粒度範囲の酸化カルシウムは、これと水を接触させ
ることにより、通常約150℃〜250℃の温度を発生
させ得る。これに対して粒度が上記範囲を外れると発熱
温度が低くなり過ぎ、所期の作用効果を奏することがで
きなくなる。また、前記発熱剤の発熱温度は、勿論発熱
剤と接触させる水量により変動するが、通常この水量は
酸化カルシウム1モルに対して0.2〜3モル程度とす
るのが良い。前記酸化カルシウムによる発熱量を調節す
るため、例えば珪藻土、酸性白土、ゼオライト等の粘土
鉱物を酸化カルシウムにさらに添加して発熱剤とするこ
とも可能である。
【0026】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例1 a.試験装置 直径が52mm、高さ63mmの円筒形状からなる自己
発熱容器内に粒度20メッシュの酸化カルシウム粉末6
5gを入れ、その上に直径が38mm、高さ40mmの
円筒形状を有し、底板が鉄薄板(厚さ0.2mm)を有
する薬剤容器を乗せて蒸散装置を構成する。この蒸散装
置を直径が80mm、高さ80mmの円筒形状の上部開
放容器内に設置する。自己発熱容器の側部最下部の周囲
に等間隔で4ケ所に孔を設け、その孔の径を5種類変え
て、吸水の全部が反応する時間が20秒、1分、2分、
3分、5分とした。なお、本発明は水収納容器を別に設
けた蒸散装置における蒸散方法に係るものであるが、こ
の試験装置では装置を簡単にするために、水収納容器を
別に設けることはせずに、水収納容器に入れるべき量の
水を別に供給するようにした。
【0027】b.試験と測定結果 上部開放容器内の自己発熱容器との間隙に22mlの水
を注入する。その水は前記の孔を通って自己発熱容器内
に入り、酸化カルシウム粉末と接触して反応し、発熱す
る。その熱により薬剤容器の被加熱部たる鉄薄板製底板
の温度が上昇するので、その底板の温度を底板に取り付
けた温度センサーで測定する。なお、被加熱部である薬
剤容器の温度としては、場所により温度が異なり、平均
も出しがたいので、最も測定しやすく、かつ最も影響が
ある薬剤容器の底板の温度を採った。吸水開始からの時
間(秒)に対するその発熱温度の変化を調べた。そし
て、その変化を吸水速度を変えてそれぞれ測定した。そ
の吸水速度と発熱温度の変化を第1図に示す。その結果
によれば、吸水速度が20秒とか1分のように短い場合
には、吸水開始からの時間が短くて発熱温度が最高に達
し、しかもその最高発熱温度も他の場合より高いため
に、薬剤の蒸散に好適であることが判った。これに対
し、吸水速度が2分、3分、5分のように遅い場合に
は、発熱の速度が遅くて、最高発熱温度に達するのに時
間がかかり、しかも最高発熱温度も前記の場合よりも低
いものである。これらの場合には薬剤容器内の有機発泡
剤の発泡も不十分であった。
【0028】
【発明の効果】本発明により、加水発熱物質の吸水開始
時から100秒以内に自己発熱容器に底部温度が300
℃以上となるように、該加水発熱物質に1分以内に加水
発熱反応量の水を供給するようにしたことにより、給水
開始後の発熱による温度上昇が早く、その結果薬剤にお
ける温度上昇も早く、かつ到達する最高温度も高いた
め、薬剤の揮散量が多くなり、薬剤容器内にある薬剤が
無駄なく有効に蒸散されるので、目的空間に薬剤を最大
の効率で作用させることができる。また、その蒸散する
装置を使用するときには、いつも同じような蒸散を行う
ことができるので、信頼性の高い蒸散作用を与えること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加水発熱物質の吸水速度と発熱温度の関係を表
わすグラフを示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部開放容器内に加水発熱反応型蒸散装
    置と水収容容器とを収容し、該水収容容器内より排出さ
    れる水との加水反応熱で前記蒸散装置の蒸散用薬剤を蒸
    散させる蒸散方法において、該加水発熱物質の吸水開始
    時から100秒以内に前記蒸散装置の被加熱部の温度が
    300℃以上となるように、該加水発熱物質に1分以内
    に加水発熱反応量の水を供給するようにして蒸散用薬剤
    を蒸散させることを特徴とする蒸散方法。
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