JP4292605B2 - 害虫駆除剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は害虫駆除剤、特に、屋内のダニ、ゴキブリ等を駆除するための燻蒸用害虫駆除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
殺虫薬剤を燻蒸させて害虫を駆除する方法は、特開昭53−109945号公報及び特公昭61−33001号公報において知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来より知られている害虫駆除方法においては、液体の薬剤を燻蒸させる場合はともかくとして、固体の薬剤を燻蒸させた場合の有効揮散率があまり高くないことから、必ずしも効率よく害虫駆除を行い得ないという課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明らは害虫駆除剤につき検討した結果、体積中位径を特定した常温で固体の害虫駆除成分と有機発泡剤とを含有する害虫駆除剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
即ち本発明は、体積中位径が30μm以下である常温で固体の害虫駆除成分と有機発泡剤とを含有することを特徴とする害虫駆除剤(以下、本駆除剤と記す。)および本駆除剤を用いる害虫を駆除する方法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる常温で固体の害虫駆除成分は、体積中位径が30μm以下であり、通常、体積中位径が3〜30μmのものが用いられる。中でも、粒径30μm以下の害虫駆除成分粒子の体積の総和が全害虫駆除成分粒子の体積の総和の70%以上を占めるものを使用するのが好ましい。体積中位径は例えば、レーザー回折法により計測することができる。
【0006】
該害虫駆除成分としては、2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリド等のスルホンアニリド系殺虫、殺ダニ剤や(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペント−2−エニル (1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、テトラメトリン等の常温で固体のピレスロイド化合物、メトキサジアゾン等の常温で固体のカーバメート化合物、アセタミプリド〔(E)−N1−((6−クロロ−3−ピリジル)メチル)−N2−シアノ−N1−メチルアセタミジン〕、ニテンピラン〔N−((6−クロロ−3−ピリジル)メチル)−N−エチル−N'−メチル−2−ニトロ−1,1−エチレンジアミン〕、チアクロプリド〔(3−((6−クロロ−3−ピリジル)メチル)−2−チアゾリジニリデン)シアナミド〕、チアメトキサン〔3−((2−クロロ−5−チアゾリル)メチル)−5−メチル−4−ニトロイミノテトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン〕、1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン等のネオニコチノイド系化合物、エトキサゾール〔5−tert−ブチル−2−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−イル]フェネトール〕などが挙げられる。該害虫駆除成分の本駆除剤中の量は通常、1〜25重量%である。
【0007】
本発明において用いられる有機発泡剤としては、熱分解してガスを発生し得るものであれば特に限定されないが、通常、300℃以下の発泡温度を有し、熱分解して窒素を発生し得る化合物であるアゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソブチロアミド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、メチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、2,4-ビス(アゾスルホニルトルエン)、1,1'−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が用いられる。これらの有機発泡剤は、通常50〜 200メッシュ程度の粉状物が用いられる。該有機発泡剤の本駆除剤中の量は通常、10〜97重量%である。
【0008】
本発明の害虫駆除剤を得るには、体積中位径が30μm以下である常温で固体の害虫駆除成分と有機発泡剤とを単に混合すればよいが、害虫駆除成分の有効揮散率を高めるためには、両者が均一に混ざることが好ましく、そのためには両者を混合し、適量の水を加えてよく混練し、粒径1〜4mm、好ましくは粒径 1.5〜3mm程度の大きさの顆粒状に成形、乾燥するのがよい。
【0009】
常温で固体の害虫駆除成分を体積中位径が30μm以下となるように微粉砕するには、遠心式粉砕器、ハンマーミル、ジェットミル、ピンミル、ボールミル、振動型粉砕器等の粉砕器を用いて粉砕すればよい。
【0010】
本発明の害虫駆除剤は、害虫駆除成分と有機発泡剤との他に、必要によりピペロニルブトキシド、サイネピリン222〔N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド〕,、サイネピリン500〔N-(2-エチルヘキシル)-1-イソプロピル-4-メチルビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、オクタクロロジプロピルエーテル〕等の共力剤や香料、消臭剤などを含有してもよい。
【0011】
また、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、尿素、クロムイエロー、カーボンブラック、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の発泡温度調節剤、澱粉、天然高分子、合成高分子等の結合剤などを含有してもよい。該天然高分子の具体例としては、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、ガンビル抽出粉末、カゼイン等及びこれらの混合物が、該合成高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、カルボキシメチル澱粉塩、ジアルデヒド澱粉、カチオン澱粉等及びこれらの混合物が挙げられる。発泡温度調節剤の本駆除剤中の量は通常、0.1〜10重量%であり、結合剤の本駆除剤中の量は通常、0.1〜5重量%である。
【0012】
有機発泡剤の熱分解は、化学反応による発熱によって行うのが好ましい。
例えば、本発明の害虫駆除剤は、金属等の熱伝導性の良好な容器内に入れ、該容器を周囲から加熱して有機発泡剤を分解、発泡させることにより、害虫駆除成分を気中に蒸散させて害虫駆除を行うことができる。
【0013】
その際に、図1に示されるような装置、即ち、本発明の害虫駆除剤1を入れた容器2の周囲に酸化カルシウム3を、該容器内の壁面4を隔てて隣接する位置に設置した装置を用意し、酸化カルシウムに注水口5より適量の水を加えることにより生じる化学反応熱を利用して害虫駆除成分を気中に蒸散させて害虫駆除を行うのが便利である。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の害虫駆除剤の製造例を示す。
実施例1
2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドを遠心式粉砕器で粉砕して、体積中位径11.6μm、粒径30μm以下の粒子の体積総和が96.0%(島津製作所製SALD1100によるレーザー回折法をもとに最小二乗法を用いる直接計算法による。)の粒子を得た。得られた2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリド 7.7重量部、酸化亜鉛 0.5重量部、α−澱粉 2.0重量部及びアゾジカルボンアミドを加えて全体を 100重量部とし、水を加えて混練、押出機で顆粒状に成形、乾燥して本発明の害虫駆除剤を得た。
【0015】
実施例2
テトラメトリンを遠心式粉砕器で粉砕して、体積中位径28.5μm(島津製作所製SALD1100によるレーザー回折法をもとに最小二乗法を用いる直接計算法による。)の粒子を得た。得られたテトラメトリン 7.7重量部、酸化亜鉛 0.5重量部、α−澱粉 2.0重量部及びアゾジカルボンアミドを加えて全体を 100重量部とし、水を加えて混練、押出機で顆粒状に成形、乾燥して本発明の害虫駆除剤を得た。
【0016】
次に、後述の試験例における比較参照のために用いる害虫駆除剤の製造例を比較例として示す。
比較例1
実施例1において、体積中位径11.6μmの2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドの代わりに、体積中位径35μmの2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドを用いる以外は全て実施例1と同様にして比較用の害虫駆除剤を得た。
【0017】
比較例2
酸化亜鉛 0.5重量部、α−澱粉 2.0重量部及びアゾジカルボンアミドを加えて全体を92.3重量部とし、水を加えて混練、押出機で顆粒状に成形、乾燥したものに、2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリド7.7 重量部をアセトンに希釈した溶液を含浸させ、乾燥して比較用の害虫駆除剤を得た。
【0018】
次に、本発明の害虫駆除剤を用いる試験例を示す。
実施例3
実施例1で得られた本発明の害虫駆除剤10gを図1に示される容器中央部に入れ、該容器内の壁面で隔てられた外側に1〜20メッシュの酸化カルシウム100gを入れた害虫駆除装置を用意した。一方、ラージチャンバー(28m3)内の床面3か所に、チャバネゴキブリ雌雄各々5頭を放したポリエチレンカップを置き、該ラージチャンバー中央に上記害虫駆除装置を設置した。次いで、害虫駆除装置内の酸化カルシウムに水を加え、発熱させた。その結果、1日後には全てのチャバネゴキブリが死滅した。
他方、比較例1において得られる比較用の害虫駆除剤10gを用いた同様の試験では、7日後においても全てのチャバネゴキブリが生存していた。また、比較例2において得られる比較用の害虫駆除剤10gを用いた同様の試験では、7日後において生存していたチャバネゴキブリは1頭であった。
【0019】
上述の結果に見られるように、本発明の害虫駆除剤は、粒径のより大きい2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドを用いて得られる比較用の害虫駆除剤、及び2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリド溶液を含浸させて得られる比較用の害虫駆除剤を用いた場合に比べて、非常に優れたものである。
【0020】
実施例4
直径4cmの濾紙をアルミニウム皿上に置き、濾紙の縁にダニ逃亡防止用に粘着物を塗布した後、濾紙上にケナガコナダニ約 300頭を放したものを3個用意した。一方、実施例1で得られた本発明の害虫駆除剤10gを図1に示される容器中央部に入れ、該容器内の壁面で隔てられた外側に1〜20メッシュの酸化カルシウム100gを入れた害虫駆除装置を用意した。ラージチャンバー(28m3)内の床面3か所に、上述のケナガコナダニを濾紙上に放したアルミニウム皿を置き、該ラージチャンバー中央に上記害虫駆除装置を設置した。次いで、害虫駆除装置内の酸化カルシウムに水を加え、発熱させた。その結果、1日後には60%のケナガコナダニが死滅した。
他方、比較例2で得られた害虫駆除剤を用いて同様の試験を行ったところ、1日後のケナガコナダニの致死率は17%であった。
【0021】
以下、本発明の害虫駆除剤における害虫駆除成分の揮散率を示す。
参考例1
実施例3及び4で用いたのと同じ装置の酸化カルシウムに水を加え、発熱させた後、上部を蓋で覆い、シリカゲルを充填したカラムを通して5分間、吸引ポンプで30L/分の割合で吸引し、燻煙した害虫駆除成分をシリカゲルに吸着させた。次いで、該シリカゲルよりアセトンにて害虫駆除成分を抽出し、ガスクロマトグラフィで定量分析することにより、害虫駆除成分の揮散率を測定した。その結果、害虫駆除成分(2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリド)の揮散率は78.5%であった。
【0022】
参考例2
実施例2で得られた本発明の害虫駆除剤について、参考例1と同様に害虫駆除成分の揮散率を測定した。その結果、害虫駆除成分(テトラメトリン)の揮散率は88.1%であった。
【0023】
上述の参考例1及び2に示されるように、本発明の害虫駆除剤は高い揮散率を示す。特に、特開昭53−109945号公報第6頁第2表において示されるように、従来十分な有効揮散率を達成することの困難であったテトラメトリン(住友化学工業株式会社商品名「ネオピナミン」、該公報第2表の試料 No.23参照;有効揮散率63.0%)において上述の通り極めて高い揮散率を示すことは驚くべきことである。
【0024】
【発明の効果】
本発明の害虫駆除剤は高い有効揮散率を有することから、同薬量を有する他の害虫駆除剤に比べてより高い害虫駆除効力を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の害虫駆除剤を用いて害虫駆除を行うための装置の一例を、断面図で示したものである。
【符号の説明】
1・・本発明の害虫駆除剤、2・・害虫駆除剤を収容するための容器
3・・酸化カルシウム、4・・容器内部の壁面、5・・注水口
Claims (5)
- 体積中位径が30μm以下である2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドとアゾジカルボンアミドとを含有することを特徴とする燻蒸用害虫駆除剤。
- 2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドの体積中位径が3〜30μmである請求項1記載の燻蒸用害虫駆除剤。
- 害虫駆除剤中の2−メトキシカルボニル−4−クロロトリフルオロメタンスルホンアニリドの量が1〜25重量%の範囲である請求項1又は2記載の燻蒸用害虫駆除剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の燻蒸用害虫駆除剤を加熱することにより害虫を駆除する方法。
- 害虫がゴキブリおよび/またはダニである請求項4に記載の方法。
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