JP6355604B2 - 浴室の除菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、浴室の除菌方法に関し、詳しくは浴室の天井や壁、該屋内に置かれた物品等に多くの殺菌剤を付着させて、浴室を除菌する浴室の除菌方法に関する。
近年の住宅は気密性が高く、屋内への外気の流入が制限されるため、カビや雑菌等が繁殖しやすくなっている。また、浴室は気密性が高いことから、湿気が溜まりやすく、とくにカビや雑菌等が繁殖しやすい状況にある。そして部屋や浴室等の屋内の天井部や壁の上部、換気扇等は、日常の清掃が行き届きにくいことから、カビや雑菌等が繁殖しやすく、その除菌が難しいものとなっている。
このような状況の中、浴室内の天井、壁面に防黴成分を塗布するため、炭酸ガス等のガスを利用した自噴式噴霧器を用いて防黴成分を噴霧する浴室の防黴方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−286104号公報
特許文献1に記載の浴室の防黴方法では、防黴液剤や黴除去液剤等の液状物を貯留する液状物貯留室と、ガス発生室と、ガス発生室で発生したガスを液状物貯留室へ導入するための連通部とを備えた自噴式噴霧器を用い、ガス発生室で発生したガスのガス圧により液状物の表面を加圧して、液状物を液状物貯留室に備えられた噴霧状ノズルから噴霧させている。
しかしながら、このような従来の技術では、炭酸ガス等を用いてガス圧により薬剤の噴霧を行うことから、薬剤の噴霧、拡散性が十分ではなく、天井や壁面での除菌効果が満足できるものではなく、依然として改善の余地があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、部屋や浴室等の屋内の天井や壁面、該屋内に置かれた物品等に多くの殺菌剤を付着させ、天井や壁面、物品等に繁殖したカビや雑菌等を効果的に除菌する屋内の除菌方法であって、特に、浴室内部を除菌するのに好適な浴室の除菌方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、有効成分としてイソプロピルメチルフェノールを用い、これを所定の煙量において燻煙して揮散させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(3)によって達成される。
(1)浴室の除菌方法であって、少なくともイソプロピルメチルフェノール及びアゾジカルボンアミドを含有する加熱蒸散剤を加熱し、前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させる工程を含み、前記工程が、1000cpm以上の煙量となるように煙を発生させることを特徴とする浴室の除菌方法。
(2)浴室内で少なくともイソプロピルメチルフェノール及びアゾジカルボンアミドを含有する加熱蒸散剤を加熱し、1000cpm以上の煙量となるように煙を発生させて前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させることを特徴とする、浴室の天井及び壁部のうちの少なくとも一方へのイソプロピルメチルフェノールの付着性を向上させる方法。
(3)少なくともイソプロピルメチルフェノール及びアゾジカルボンアミドを含有する加熱蒸散剤を加熱して、前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させる浴室除菌用の加熱蒸散用製剤であって、加水発熱物質が収納され、かつ、底部及び側面の底部近傍の少なくとも一方に通液部を有する加水発熱物質収納部と、前記加水発熱物質収納部の上部に配置された前記加熱蒸散剤を収納する加熱蒸散剤収納部とを有し、加熱後に発生する煙量が1000cpm以上となるように構成されていることを特徴とする加熱蒸散用製剤。
本発明は、有効成分としてイソプロピルメチルフェノールを用い、これを所定の煙量において燻煙して揮散させることで、イソプロピルメチルフェノールを浴室に隈なく行き渡らせることができる。よって、浴室の天井や壁面、該浴室に置かれた物品等により多くのイソプロピルメチルフェノールを付着させることができ、浴室の内部のカビやその他雑菌等を有効に除菌することができる。
また本発明によれば、特に、湿気の多い浴室の天井、壁面、換気扇やスポンジやタオル等の浴室内物品等を、効率よくかつ効果的に除菌することができるため、優れた除菌効果を奏する。
本発明の加熱蒸散用製剤の一実施形態を説明するための断面図である。 除菌試験の試験方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
本発明の浴室の除菌方法は、少なくともイソプロピルメチルフェノール及びアゾジカルボンアミドを含有する加熱蒸散剤を加熱し、前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させる工程を含む。
本発明の方法では、加熱蒸散剤の加熱開始から10分後に浴室内が1000cpm以上の煙量となるように煙を発生させる。加熱開始から10分後の煙量が1000cpm以上であれば、浴室空間を構成する天井部や壁部(特に、壁部の上部)等の壁面、照明装置、換気扇、浴室内物品等の浴室内に置かれた物品等、掃除では手の届きにくい場所にまで揮散したイソプロピルメチルフェノールを付着させることができる。
加熱開始から10分後の煙量は、好ましくは1300cpm以上、より好ましくは1700cpm以上とするのがよい。また、煙量の上限は、好ましくは5000cpm以下、より好ましくは4500cpm以下とするのがよい。前記好ましい範囲の煙量であると、特に浴室の天井部や壁部の上部に対してもイソプロピルメチルフェノールを効率よく付着させることができるため好ましい。
ここで、本発明で言う「加熱開始から10分後の煙量」とは、約32m(8畳の部屋に相当)の部屋の床面中央部の125cmの高さにおいて、デジタル粉塵計を用い、加熱開始から10分後に測定した煙量(単位:cpm)を意味する。
加熱開始から10分後の煙量は、加熱蒸散剤に含まれるアゾジカルボンアミドの配合量、デンプン等の有機物の配合量、パーライト等の無機物の配合量、発熱温度や昇温速度等の発熱パターン等により調整することができる。アゾジカルボンアミドおよび有機物は、これらを含有することで煙量を増量させることができ、無機物は含有することで煙量を減量させることができる。そのため、これらの含有量を特定の値にすることで煙量を調整することができる。
本発明の加熱蒸散剤の有効成分であるイソプロピルメチルフェノール(化学名;3−メチル−4−イソプロピルフェノール)は、市販品又は公知の方法により合成したものを使用することができる。市販品としては、例えば、大阪化成社製のイソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
イソプロピルメチルフェノールの加熱蒸散剤中の含有量は、除菌対象とする浴室の容積によって適宜設定すればよいが、10〜1000mgが揮散するように含有させればよい。具体的には、加熱蒸散剤中にイソプロピルメチルフェノールを1〜20質量%含有させるのが好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
アゾジカルボンアミドは有機発泡剤の1種であり、分解温度は約200℃である。アゾジカルボンアミドは、分解温度、分解速度の調整が可能であり、ガス発生量も多く、拡散性に優れる。アゾジカルボンアミドは市販品又は公知の方法により合成したものを使用することができる。市販品としては、例えば、大塚化学社製「ユニフォームAZ」、三協化成社製「セルマイク」等が挙げられる。
アゾジカルボンアミドの加熱蒸散剤中の含有量は、加熱後に発生する煙量が1000cpm以上となるように、除菌対象とする浴室の容積によって適宜設定すればよい。具体的には、加熱蒸散剤中にアゾジカルボンアミドを30〜99質量%含有させるのが好ましく、50〜90質量%がより好ましい。なお、上記割合となるようにアゾジカルボンアミドを含有させればよいが、その実際量は、加熱蒸散剤中に0.01〜20gとなるように含有させればよく、好ましくは1〜10gとなるように含有させるのがよい。
無機物の加熱蒸散剤中の含有量は、加熱後に発生する煙量が1000cpm以上となるように、かつ適度な使用感を得られるように除菌対象とする浴室の容積によって適宜設定すればよい。例えば、加熱蒸散剤中に0.001〜20gとなるように含有させればよく、好ましくは0.01〜10gとなるように含有させるのがよい。
有機物の加熱蒸散剤中の含有量は、加熱後に発生する煙量が1000cpm以上となるように、除菌対象とする浴室の容積によって適宜設定すればよい。例えば、加熱蒸散剤中に0.001〜20gとなるように含有させればよく、好ましくは0.01〜10gとなるように含有させるのがよい。
加熱蒸散剤には本発明の効果を奏する限り、任意の成分を含んでいてもよい。その他の任意成分としては、例えば、消臭剤、香料、結合剤、溶剤、蒸散補助剤、崩壊剤、防錆剤、安定化剤、賦形剤、色素、殺虫剤等を用いることができる。
消臭剤としては、例えば、メタクリル酸ラウリル、ゲラニルクロリネート、カテキン、ポリフェノール、炭等が挙げられる。
香料としては、様々な植物や動物から抽出された天然香料や、化学的に合成される合成香料、さらにはこれらの香料成分を多数混合して作られる調合香料等が挙げられる。
香料は様々な文献、例えば、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1960)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Pajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)、「Perfume and Flavor Chemicals(aroma chemicals)」,Vols.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香料と調香の基礎知識」, 中島基貴編著,産業図書(1995)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「香りの百科事典」,谷田貝光克編,丸善(2005)に記載の香料が使用できる。それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。以下に香料の代表例を具体的に挙げるが、これらに限定されるものではない。
天然香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ油、シダーウッド油、ペパーミント油等の天然精油等が挙げられる。
合成香料としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、p−サイメン、ターピノレン、α−ターピネン、γ−ターピネン、α−フェランドレン、ミルセン、カンフェン、オシメン等の炭化水素テルペン;ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、ハイドロトロピックアルデヒド、リグストラール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、リラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のアルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルイソブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソブチルイソブチレート、イソブチルブチレート、イソブチルイソバレレート、エチル−2−メチルバレレート、イソアミルアセテート、テルピニルアセテート、イソアミルプロピオネート、アミルプロピオネート、アミルイソブチレート、アミルブチレート、アミルイソバレレート、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、エチルヘプチレート、ヘプチルアセテート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、スチラリルアセテート、ベンジルアセテート、ノニルアセテート、ボルニルアセテート、リナリルアセテート、オルト−ter−ブチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸リナリル、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、エチルシンナメート、メチルサリシレート、ヘキシルサリシレート、ヘキシルアセテート、ヘキシルブチレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテート、アニシルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート、γ−ウンデカラクトン、γ−ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリン等のエステル・ラクトン類;アニソール、p−クレジルメチルエーテル、ジメチルハイドロキノン、メチルオイゲノール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロックス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis−3−ヘキセノール、ヘプタノール、2−オクタノール、ジメトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ターピネオール、テトラハイドロゲラニオール、l−メントール、セドロール、サンタロール、チモール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;ジアセチル、メントン、イソメントン、チオメントン、アセトフェノン、α−又はβ−ダマスコン、α−又はβ−ダマセノン、α−、β−又はγ−ヨノン、α−、β−又はγ−メチルヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、ベンゾフェノン、テンタローム、アセチルセドレン、α−又はβ−イソメチルヨノン、α−、β−又はγ−イロン、マルトール、エチルマルトール、cis−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、l−カルボン、ジヒドロカルボン、メチルアミルケトン等のケトン類、カンファー、1,8−シネオール、アリルアミルグリコレート、イソプレゴール、リグストラル、アリルカプロエートなどが挙げられる。これらの香料は、1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて、調合香料として使用することもできる。さらに、香料は香料成分、溶剤、香料安定化剤などを含有する混合物(香料組成物)として使用することもできる。
溶剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等のグリコールエーテル類、流動パラフィン、n−パラフィン等のパラフィン類、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類、その他3−メチル−4−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。また、上記香料成分とともに混合し、香料組成物として使用することもできる。
香料は、本発明の加熱蒸散剤中には所定のバランスとなるように適宜配合できる。香料は、使用時に加熱蒸散剤中に、通常、0.00001〜50質量%含有されるが、好ましくは、0.0001〜30質量%含有される。香料を含有する場合、含有量が0.00001質量%未満だと十分な香り立ちが得られない場合があり、50質量%を超えると香りが強すぎる可能性がある。
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類;α化デンプン、β化デンプン、デキストリン、スターチ等のデンプン系、アラビアゴム等の天然系高分子化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物等が挙げられる。
蒸散補助剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、三酸化アンチモン、デカブロモジフェニレンオキサイド、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、ベンゾトリアゾール、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、尿素等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ステアリン酸エステル、乳酸エチル、サリチル酸クロロフェニル等の有機酸エステル;乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸等の有機酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、パーライト、タルク、珪藻土、クレイ、ベントナイト、粘土鉱物などの鉱物、ショ糖、ブドウ糖などの糖、マルチトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール等が挙げられる。
本発明の加熱蒸散剤は、その形態は特に限定されず、例えば、顆粒状、塊状、粒状,粉状,錠剤等の固形状等任意の形態とすることができる。
固形状の加熱蒸散剤とする場合は、各成分を公知の造粒機や成形機を用いて所望の形状に成形すればよい。
本発明の浴室の除菌方法により除菌する対象としては、細菌及び真菌が挙げられる。細菌としては、具体的に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)などのエシェリヒア(Escherichia)属、Bacillus subtilis、Bacillus cereus等のバチルス(Bacillus)属細菌、Methylobacterium mesophilicum等のメチロバクテリウム(Methylobacterium)属、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等のスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、乳酸菌などのグラム陽性菌が挙げられる。真菌としては、具体的に、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides)等のクラドスポリウム(Cladosporium)属、アオカビ(Penicillium citrinum)等のPenicillium属、コウジカビ(Aspergillus brasiliensis)等のAspergillus属、ススカビ(Alternaria alternata)等のAlternaria属、アカカビ(Fusarium solani)等のFusarium属、Eurotium herbariorum等のユーロチウム(Eurotium)属、赤色酵母(Rhodotorula mucilaginosa)等のロドトルラ(Rhodotorula)属、アウレオバシジウム(Aureobasidum)属、エキソフィアラ(Exophiala)属等の黒色酵母類、フォーマ(Phoma)属、カンジダ(Candida)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等が挙げられる。
本発明の加熱蒸散剤を用いて除菌する対象としては浴室であり、カビや雑菌等が繁殖しやすい湿気の多い空間として、浴室の他に、居間、寝室などの部屋、押入れ、クローゼット、台所、便所等で使用してもよい。
浴室の構造は、一般的に、天井部、壁部及び洗い場の床面部で構成され、浴室内を照明する光源(照明装置)、換気扇、シャワー台、鏡、物品載置台等が備えられている。天井部、壁部、床面部等の素材は、繊維強化プラスチック(FRP)等を含む樹脂や、ホーロー、ステンレス、人工大理石、木等が使用されている。FRPとしては、例えば、ポリエチレン繊維強化プラスチック(DFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、ガラス長繊維強化プラスチック(GMT)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP,KFRP)、ザイロン強化プラスチック(ZFRP)及び液晶ポリマー等が挙げられる。
本発明の除菌方法によれば、イソプロピルメチルフェノールを浴室を構成するこれらの素材の表面に付着させることができ、十分な除菌効果を得ることができる。中でも、本発明の除菌方法では、FRP等を含む樹脂に対してイソプロピルメチルフェノールの付着性が優れており、優れた除菌効果を奏することができる。
次に、本発明の加熱蒸散剤を加熱する方法について説明する。
本発明の加熱蒸散剤を加熱する方法としては、加熱開始から10分後の煙量が1000cpm以上となるように加熱できれば、その手段は特に限定されない。例えば、加水発熱システムを用いて加熱する方法、ヒーターなどの熱源に加熱蒸散剤を接触させて加熱する方法、直接加熱蒸散剤を着火して加熱する方法等が挙げられる。中でも、取り扱いの容易性、揮散したイソプロピルメチルフェノールの効率的な拡散性の観点から、加水発熱システムを用いることが好ましい。
以下に、加水発熱システムを用いた加熱蒸散剤の加熱方法について説明する。加水発熱システムとは、加水発熱物質と加水発熱反応用液とを加水発熱反応させるシステムのことである。加熱蒸散剤が加水発熱反応により発生した高温の反応熱を用いて加熱され、有効成分であるイソプロピルメチルフェノールを揮散する。加水発熱物質は加水発熱反応用液との反応により自己発熱する物質であり、例えば、酸化カルシウム(生石灰)、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。加水発熱反応用液は水あるいは水に各種添加剤を加えられた液が挙げられる。そのような添加剤としては、イソプロピルメチルフェノールの揮散を妨げないものや、発熱物質に対する水の反応性を低下させないものであり、具体的には有機溶剤や液安定化剤を挙げることができる。
以下、前記のようなイソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させるのに好適な本発明の加熱蒸散用製剤の形態について説明する。
本発明の加熱蒸散用製剤は例えば、図1に示されるような、自己発熱装置1の形態で使用される。
自己発熱装置1は、有底円筒状の外容器2を備えており、外容器2の内部は、仕切部材4により2つの空間(加水発熱物質収納部と加熱蒸散剤収納部)に区画されている。仕切部材4は、円筒状で底部が略中空半球状を呈しており、その側壁が外容器2の周壁と同心状に配置され、プラスチック容器、紙容器、金属容器、セラミック容器、ガラス容器等からなる。外容器2は、底部及び側面の底部近傍の少なくとも一方に複数の通液部(通液孔)21を有し、外容器2の底部に通液性を有する部材、例えば不織布シート3を設けることにより、通液部(通液孔)21は塞がれている。
外容器2の内部(加水発熱物質収納部)には、その底部から側部にかけて加水発熱物質8が収容されている。具体的に、加水発熱物質8は、外容器2の周壁、仕切部材4及び不織布シート3とで形成される空間に充填(収納)されている。仕切部材4の内部(加熱蒸散剤収納部)には加熱蒸散剤7が収容される。また、外容器2の上部開放面には、仕切部材4の上部開放面に相当する領域に複数の開口部が形成された蓋部材5が被冠されており、更に蓋部材5の開口部は通気孔を有する熱溶融フィルム6によって塞がれている。
使用に際して、自己発熱装置1を加水発熱反応用液Wが入った容器9に入れる。すると、加水発熱反応用液Wが通液孔21を通じて外容器2に流入し、更に不織布シート3を浸透して加水発熱物質8と接触し、そのとき発生した反応熱により加熱蒸散剤7が加熱されて、イソプロピルメチルフェノールが揮散して、熱溶融フィルム6により塞がれていた通気孔を通じて外部(屋内)に放出される。なお、熱溶融フィルム6は加熱蒸散剤7からの放熱並びに揮散した薬剤との接触により熱溶融するため、揮散の比較的早い時期から、揮散した薬剤は煙となって蓋部材5の開口部を通じて効率良く外部に放出される。
本発明の加熱蒸散用製剤の加熱温度としては仕切部材4の底部で測定した時に約200〜500℃、好ましくは約300〜400℃とするのがよい。
上記したように、自己発熱装置1で用いる加水発熱物質8は加水発熱反応用液との反応により自己発熱する物質であり、例えば、酸化カルシウム(生石灰)、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等が挙げられ、中でも、加水発熱反応用液と反応させたときの反応の速さ、入手の容易さの点から酸化カルシウムを用いるのが好ましい。加水発熱反応用液は、水あるいは水に各種添加剤を加えられた液が挙げられる。
本発明において、加熱発熱物質と加熱発熱反応用液は、良好に発熱させるのに質量比1:0.01〜1:2で含有させるのがよい。さらに、加熱後に発生する煙量を1000cpm以上とし、イソプロピルメチルフェノールを浴室の天井や壁面、該浴室内に置かれた物品等に良好に付着させ、カビやその他雑菌等を有効に除菌するのに、加熱発熱物質と加熱発熱反応用液を質量比1:0.1〜1:0.5で含有させるのが好ましい。
加熱蒸散用製剤の浴室での設置場所は任意であるが、通常は、浴室の洗い場や浴槽の床面部に置かれる。また加熱時間は、例えば、1〜20分であり、好ましくは10分以下とするのがよい。
本発明の浴室の除菌方法により、イソプロピルメチルフェノールを浴室に隈なく行き渡らせることができるので、天井部、壁部の上部のような浴室を構成する壁面、照明装置、換気扇、シャワー台、鏡、物品載置台、スポンジ、タオル等の浴室内物品等に良好に付着させることができるため、浴室の除菌、特に防カビの目的に有効である。
本発明の除菌方法は、湿気が多くカビや雑菌等が繁殖しやすい浴室での使用に適しており、カビの発生しやすい浴室において、浴室の隅々にまでイソプロピルメチルフェノールを行き渡らせることができる。
また、本発明は、浴室の天井及び壁部のうちの少なくとも一方へのイソプロピルメチルフェノールの付着性を向上させる方法でもあり、少なくともイソプロピルメチルフェノール及びアゾジカルボンアミドを含有する加熱蒸散剤を加熱し、1000cpm以上の煙量となるように煙を発生させてイソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させることにより、イソプロピルメチルフェノールを浴室に隈なく行き渡らせることができる。特に、浴室の天井部や壁部(特に、上部)に対してイソプロピルメチルフェノールの付着を向上させることができ、中でも特に、FRP等を含む樹脂素材から構成された浴室の天井部や壁部に対して良好に付着させることができ、これにより、浴室全体における除菌効果を高めることができる。
以下、本発明を下記実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
使用した各成分は以下の通りである。
有効成分:イソプロピルメチルフェノール<大阪化成株式会社製>
有効成分:トリクロサン<BASF社製>
有効成分:塩化セチルピリジニウム(略称:CPC)<メルク社製>
有機発泡剤:アゾジカルボンアミド<大塚化学株式会社製>
蒸散助剤:酸化亜鉛
結合剤:α化デンプン
賦形剤:パーライト
(実施例1)
表1に記載の配合処方において、各成分を混合し、造粒、乾燥し、顆粒状の加熱蒸散剤を作製した。加熱蒸散剤1粒あたりの粒径は約1.5mm、長さは約5mmである。
Figure 0006355604
図1に示したような、直径53mm、高さ63mmの有底円筒状の外容器2の内部に、直径38mm、深さ40mmの有底円筒状の仕切部材4を備えた自己発熱装置1を作製した。外容器2の底部の通液孔21を、通液性のある不織布シート3で塞いだ。外容器2と仕切部材4とで形成された空間に加水発熱物質8としての酸化カルシウム65gをその底部から側部にかけて全体に充填した。仕切部材4の内部に上記作製した加熱蒸散剤5.7g(有効成分量600mg)を収容し、0.8cmの開口部を7個有する蓋部材5を被せ、熱溶融フィルム6で蓋部材5の開口部を塞ぎ、加熱蒸散用製剤を作製した。
<試験例1>
4.4m(1.6m(縦)×1.25m(横)×2.2m(高さ))の密閉空間の浴室(FRP材により形成、湿度約70%)に、加熱蒸散用製剤を1つ設置するとともに、浴室の天井部、壁部及び床面部にそれぞれ、面積400cmの濾紙(ADVANTEC社製「No.1定性濾紙 直径36cmの円形濾紙を20cm×20cmの正方形に裁断したもの」)を設置した。
加熱蒸散用製剤の設置場所は浴室の床面の中央部とし、22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器に浸けることにより加熱蒸散させた。
燻煙後90分間無換気状態とし、その後、換気扇を稼働して30分間浴室内を換気し、浴室の各箇所に設置した濾紙を回収し、濾紙に付着した有効成分をガスクロマトグラフィーにより分析し、定量した。濾紙への有効成分の付着量より、天井部、壁部及び床面部の各面に付着した有効成分の付着量を下記式(1)により算出した。また、各面への有効成分の付着量より、有効成分量600mgに対する各面への有効成分の付着割合を下記式(2)により算出した。なお、床面部の面積は浴槽を除いた面積とし、壁部の面積も浴槽と接地した一部を除いた面積とする。
各面への有効成分の付着量(mg)={濾紙に付着した有効成分の付着量(mg)/濾紙の面積(0.04m)}×各面の面積(m) ・・・(1)
各面への有効成分の付着割合(%)=各面への有効成分の付着量(mg)/有効成分量(600mg)×100 ・・・(2)
試験は、検体1を用いて2回行い、検体2を用いて1回行った。それぞれの結果を表2に示す。
Figure 0006355604
表2の結果より、イソプロピルメチルフェノールを用いた検体1は、浴室の天井部及び壁部への付着量が多く、床面部への落下が少ないのに対し、トリクロサンを用いた検体2では、浴室の天井部及び壁部への付着量が少なく、床面部への落下が非常に多い結果であった。
(実施例2)
表3に記載の配合処方において、各成分を混合し、造粒、乾燥し、顆粒状の加熱蒸散剤を作製した。加熱蒸散剤1粒あたりの粒径は約1.5mm、長さは約5mmである。
実施例1と同様の自己発熱装置を作製し、仕切部材の内部に上記作製した加熱蒸散剤4.7g(有効成分量600mg)を収容し、加熱蒸散用製剤を作製した。
Figure 0006355604
<試験例2>
4.4m(1.6m(縦)×1.25m(横)×2.2m(高さ))の密閉空間の浴室(FRP材により形成、湿度約70%)に、加熱蒸散用製剤を1つ設置するとともに、浴室の壁部上端から30cmの箇所にスポンジ(材質:ナイロン、東和産業株式会社製「ピカピカバスキンポケット」)を1つ設置した。
加熱蒸散用製剤の設置場所は浴室の床面の中央部とし、22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器に浸けることにより加熱蒸散させた。
燻煙後90分間無換気状態とし、その後、換気扇を稼働して30分間浴室内を換気し、浴室に設置したスポンジを回収した。回収したスポンジからエタノール(99.5%)により、有効成分を含む抽出液を得た。抽出液をガスクロマトグラフィーにより分析し、定量した。結果を表4に示す。
Figure 0006355604
表4の結果より、スポンジに付着した検体3のイソプロピルメチルフェノールは、2.4mgであったのに対し、スポンジ付着した検体4のトリクロサンは、1.68mgであり、イソプロピルメチルフェノールの付着量はトリクロサンに対し1.43倍であった。
以上の結果から、本発明によれば、浴室内に一般的に存在する浴室内物品及び浴室内物品等に対しても良好に付着することが分かった。
(実施例3)
表5に記載の配合処方において、各成分を混合し、造粒、乾燥し、顆粒状の加熱蒸散剤(有効成分量300mg)を作製した。加熱蒸散剤1粒あたりの粒径は約1.5mm、長さは約5mmである。
実施例1と同様の自己発熱装置を作製し、仕切部材の内部に上記作製した加熱蒸散剤を収容し、加熱蒸散用製剤を作製した。
Figure 0006355604
<試験例3−1>
検体5〜9、13及び14に対して、試験室における有効成分の濾紙への付着量と煙量を測定した。
約32m(3.6m(縦)×3.6m(横)×2.5m(高さ))の密閉空間の試験室に加熱蒸散用製剤を1つ設置するとともに、試験室の天井部、壁部及び床面部にそれぞれ、面積400cmの濾紙(ADVANTEC社製「No.1定性濾紙 直径36cmの円形濾紙を20cm×20cmの正方形に裁断したもの」)を設置した。
また、試験室の床面中央部の125cmの高さに、デジタル粉塵計(柴田科学機器工業社製「P−5H2型」)を設置した。
加熱蒸散用製剤の設置場所は試験室の床面の中央部とし、22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器に浸けることにより加熱蒸散させた。
燻煙後90分間無換気状態とし、その後、換気扇を稼働して30分間試験室内を換気し、試験室の各箇所に設置した濾紙を回収し、濾紙に付着した有効成分をガスクロマトグラフィーにより分析し、定量した。ただし、検体14については、濾紙に付着した有効成分を液体クロマトグラフィーにより分析し、定量した。各面に設置した濾紙への有効成分の付着量より、天井部、壁部及び床面部の各面に付着した有効成分の付着量を下記式(3)により算出した。
各面への有効成分の付着量(mg/m)=濾紙に付着した有効成分の付着量(mg)/濾紙の面積(0.04m) ・・・(3)
試験は2回行い、その平均値を求めた。各面への有効成分の付着量と煙量を表6に示す。
Figure 0006355604
表6の結果より、加熱開始10分後の煙量が1000cpm以上となるように煙を発生させた検体6〜9は、試験室の天井部だけでなく、壁部にも有効成分であるイソプロピルメチルフェノールが良好に付着することがわかった。一方、煙量が1000cpmより少ない検体5は、壁部にイソプロピルメチルフェノールを十分に付着させることができず、試験室全体に行き渡らせることができなかった。
また、検体13、14は煙量が3902cpm、3531cpmと、いずれも高い煙量であったが、検体13は有効成分であるトリクロサンが天井部や壁部に届かずに床面部に落下し、検体14は有効成分である塩化セチルピリジニウムをどの濾紙からも検出することができなかった。
このことから、有効成分としてイソプロピルメチルフェノールを用い、1000cpm以上の煙量で燻煙することにより、該イソプロピルメチルフェノールを試験室の天井部や壁部にまで効果的に付着させることができることがわかった。
<試験例3−2>
検体6〜9、11〜13に対して、試験室における煙量を測定した。
約32m(3.6m(縦)×3.6m(横)×2.5m(高さ))の密閉空間の床面中央部の125cmの高さに、デジタル粉塵計(柴田科学機器工業社製「P−5H2型」)を設置した。床面に加熱蒸散用製剤を設置し、燻煙を開始してから10分経過後に、煙量(cpm)を測定した。試験は2回行い、その平均値を求めた。結果を表7に示す。
Figure 0006355604
<試験例3−3>
検体6〜13に対して、浴室における有効成分の濾紙への付着量を測定した。
4.4m(1.6m(縦)×1.25m(横)×2.2m(高さ))の密閉空間の浴室(FRP材により形成、湿度約70%)に、加熱蒸散用製剤を1つ設置するとともに、浴室の天井部、壁部及び床面部にそれぞれ、面積400cmの濾紙(ADVANTEC社製「No.1定性濾紙 直径36cmの円形濾紙を20cm×20cmの正方形に裁断したもの」)を設置した。
加熱蒸散用製剤の設置場所は浴室の床面の中央部とし、22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器に浸けることにより加熱蒸散させた。
燻煙後90分間無換気状態とし、その後、換気扇を稼働して30分間浴室内を換気し、浴室の各箇所に設置した濾紙を回収し、濾紙に付着した有効成分をガスクロマトグラフィーにより分析し、定量した。
各面への有効成分の付着量は上記試験例3−1に記載した式(3)を用いて算出した。結果を表8に示す。
Figure 0006355604
表7及び表8の結果から、検体6〜9は有効成分であるイソプロピルメチルフェノールが浴室の天井部及び壁部に十分に付着しており、浴室内の各箇所に万遍なく付着していることが分かった。一方、有効成分がトリクロサンである検体10〜13は、煙量が1000cpm以上となるように燻煙させても、浴室内の天井部及び壁部に付着せず、床面部に大部分が落下し、浴室内全体にわたり有効成分を付着できないことが分かった。
以上から、有効成分としてイソプロピルメチルフェノールを用いた場合は、特定範囲の煙量によって、湿度を有する浴室であっても、床面部に落下することなく、天井部及び壁部により多く付着させ、良好に除菌が可能であることが分かった。
(実施例4)
表9に記載の配合処方において、各成分を混合し、造粒、乾燥し、顆粒状の加熱蒸散剤(検体8)を作製した。加熱蒸散剤1粒あたりの粒径は約1.5mm、長さは約5mmである。
実施例1と同様の自己発熱装置を作製し、仕切部材の内部に上記作製した加熱蒸散剤4g(有効成分量300mg)を収容し、加熱蒸散用製剤を作製した。
Figure 0006355604
<試験例4>
1.試験板の作製
ポテトスターチ4g、デキストロース20g及び寒天15gを精製水1000mLに溶解してPDA(Potato Dextrose Agar)培地を調製した。PDA液体培地を試験管に10mLずつ分注し、シリコン栓で蓋をしてオートクレーブをかけ、斜めに静置して固め、PDA斜面培地を作製した。
クロカワカビ(C.cladosporioides NBRC 6348)をPDA斜面培地に植え継ぎ、25℃で4日間培養した。培養後、試験管に生理食塩水10mLを加え、滅菌ループで菌体を掻き取った後、ガーゼでろ過してクロカワカビ胞子液とした。
続いて、クロカワカビ胞子液100μLを試験板(FRP、5cm×5cm)の表面1cmあたりに4μLずつ均等に25カ所に分けて滴下し、室温で30分間乾燥固定させた。
2.除菌試験
上記作製した加熱蒸散用製剤に対して、FRP板上のクロカワカビの除菌率を求めた。
図2に示すように、4.4m(1.6m(縦)×1.25m(横)×2.2m(高さ))の密閉空間の浴室15(FRP材により形成)の天井部16、壁部17及び床面部18に、上記作製した試験板(試験板TP1〜TP9)をそれぞれ3つずつ設置した。なお、天井部16においては、試験板TP2を天井部16の略中央に設置し、天井部16の対角線上に略中央から80cmの位置に試験板TP1及び試験板TP3をそれぞれ設置した。壁部17においては、試験板TP5を壁部17の略中央に設置し、壁部17の垂直方向に沿って略中央から70cmの位置に試験板TP4及び試験板TP6をそれぞれ設置した。そして、床面部18においては、試験板8を床面部18の試験板TP2と対向する位置に設置し、床面部18の縦方向に沿って試験板8の中央から40cmの位置に試験板TP7及び試験板TP9をそれぞれ設置した。
上記作製した加熱蒸散用製剤11を浴室15の床面部18の中央部に設置し、22mLの水(加水発熱反応用液)を入れた容器に浸けることにより加熱蒸散させた。
燻煙後90分間無換気状態とし、その後、換気扇を稼働して30分間、浴室15内の換気を行った。
換気後、試験板TP1〜TP9をストマッカー袋(商品名:ストマッカー用袋(小)、サイズ:15cm×11cm、材質:ナイロン,ポリエチレン、株式会社アテクト製)に回収し、10mLのGPLP液体培地を加え、FRP板上のクロカワカビを洗い出し、菌数測定用試料液とした。なお、GPLP液体培地は、グルコース20g、酵母エキス2g、硫酸マグネシウム0.5g、カゼインペプチド5g、リン酸二水素カリウム1g、レシチン1g及びポリソルベート80の7gを精製水1000mLに溶解して調製した。
菌数測定用試料液を10倍、100倍、1000倍及び10000倍希釈し、シャーレにPDA液体培地を分注して固めたPDA平面培地に100μLずつ塗沫し、25℃で4日間培養後、コロニー数を計数し、生残菌数とした。
対照として、燻煙に供する前のFRP板を上記と同様にストマッカー袋に回収し、10mLのGPLP液体培地を加え、FRP板を洗い出したものを未処理液とし、未処理液を10倍、100倍、1000倍及び10000倍希釈し、シャーレに分注したPDA平面培地に100μLずつ塗沫し、25℃で4日間培養後、コロニー数を計数し、生残菌数とした。
未処理液を処理したPDA平面培地上のコロニー数が100〜200コロニーとなる希釈倍率において、同じ希釈倍率の菌数測定用試料液を処理したPDA平面培地上のコロニー数を計数し、菌数測定用試料液を処理したもの(検体処理時)と未処理のもの(未処理時)の生残菌数から、クロカワカビの除菌率を下記式(4)により算出した。結果を表10に示す。
除菌率(%)=(未処理時の生残菌数−検体処理時の生残菌数)/(未処理時の生残菌数)×100 ・・・(4)
Figure 0006355604
表10の結果より、イソプロピルメチルフェノールを含有する検体8を用いて作製した加熱蒸散用製剤は、浴室の天井部及び壁部におけるクロカワカビの除菌率が全て100%であり、確実に除菌効果が得られることがわかった。また、天井部、壁部における除菌率は、床面部と比べても高い結果であり、本発明の除菌方法により、特に浴室の上部の壁面に対してイソプロピルメチルフェノールを付着させることができ、より高い除菌効果が得られることがわかった。
本発明を実施するにあたり、有効な処方例は表11のとおりである。
Figure 0006355604
1 自己発熱装置
2 外容器
3 不織布シート
4 仕切部材
5 蓋部材
6 熱溶融フィルム
7 加熱蒸散剤
8 加水発熱物質
9 容器
11 加熱蒸散用製剤
15 浴室
16 天井部
17 壁部
18 床面部
21 通液部(通液孔)
W 加水発熱反応用液(水)
TP1〜TP9 試験板

Claims (3)

  1. 浴室の除菌方法であって、
    少なくともイソプロピルメチルフェノール5〜15質量%及びアゾジカルボンアミド50〜90質量%を含有する加熱蒸散剤(ただし、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートは含有しない)を加熱し、前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させる工程を含み、
    前記工程32m の部屋の床面中央部の125cmの高さにおいて、デジタル粉塵計を用い、加熱開始から10分後に測定したときの煙量が1000〜5000cpmとなるように煙を発生させることを特徴とする浴室の除菌方法。
  2. 浴室内少なくともイソプロピルメチルフェノール5〜15質量%及びアゾジカルボンアミド50〜90質量%を含有する加熱蒸散剤(ただし、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートは含有しない)を加熱し、32m の部屋の床面中央部の125cmの高さにおいて、デジタル粉塵計を用い、加熱開始から10分後に測定したときの煙量が1000〜5000cpmとなるように煙を発生させて前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させることを特徴とする、浴室の天井及び壁部のうちの少なくとも一方へのイソプロピルメチルフェノールの付着性を向上させる方法。
  3. 少なくともイソプロピルメチルフェノール5〜15質量%及びアゾジカルボンアミド50〜90質量%を含有する加熱蒸散剤(ただし、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートは含有しない)を加熱して、前記イソプロピルメチルフェノールを燻煙状で揮散させる浴室除菌用の加熱蒸散装置であって、
    加水発熱物質が収納され、かつ、底部及び側面の底部近傍の少なくとも一方に通液部を有する加水発熱物質収納部と、前記加水発熱物質収納部の上部に配置された前記加熱蒸散剤を収納する加熱蒸散剤収納部とを有し、加熱後に発生する煙量が、32m の部屋の床面中央部の125cmの高さにおいて、デジタル粉塵計を用い、加熱開始から10分後に測定したときに1000〜5000cpmとなるように構成されていることを特徴とする加熱蒸散装置
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