JP6489696B2 - 間接加熱型燻煙剤組成物 - Google Patents
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Description
間接加熱型燻煙剤組成物は、燻煙処理時に多量の煙とガスを発生するため、燻煙処理の対象となる空間(以下、対象空間ともいう)に、薬剤や発熱性基材に由来する臭気、例えば焦げたような臭気(以下、焦げ臭ともいう)が残存する傾向がある。そのため、香料成分を使用して、間接加熱型燻煙剤組成物に由来する臭気を覆い隠す(マスキングする)ことが行われている。
爽やか感には香りの種類だけでなく、香りの強度も影響する。そのため、香りが強すぎる香料成分や、香りが弱すぎる香料成分では使用者に爽やか感を与えることはできない。
特許文献1では、特定の香料成分を含む燻煙剤が提案されている。ここで香料成分として、γ−ウンデカラクトン、γ−デカラクトン、イソ・イー・スーパー、アセチルセドレン、アンブロキサン、ダマスコン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、及びクマリンが開示されている。
すなわち本発明は、以下の態様を有する。
[1]成分(A):薬剤と、成分(B):有機発泡剤と、成分(C):香料成分と、を含有し、
前記成分(C)は、下記成分(C1)及び下記成分(C2)を含有し、
前記成分(C1)の含有量は、前記成分(C)の総質量に対して10質量%以上であり、
前記成分(C1)と前記成分(C2)の質量比は、成分(C1)/成分(C2)で表して、0.3〜7である、間接加熱型燻煙剤組成物。
成分(C1):アネトール、ボルネオ−ル、カンファー、カルボン、ヘキシルサリシレート、メチルサリシレート、ベンジルサリシレート、及びイソボルニルアセテートからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分。
成分(C2):ガラキソリド、α−イオノン、β−イオノン、メチルイオノン、イソ・イー・スーパー、トナリド、ペンタリド、エチレンブラシレート、及びアンブレットライドからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分。
[2]前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有量の合計が、前記成分(C)の総質量に対して40〜90質量%である、[1]に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
[3]前記成分(C)の含有量が、間接加熱型燻煙剤組成物の総質量に対して、0.1〜10質量%であり、
前記成分(B)の含有量と、前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有量の合計との質量比が、成分(B)/[成分(C1)+成分(C2)]で表して、8〜1600である、[1]又は[2]に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
[4]前記成分(A)が銀含有無機薬剤である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
[5]浴室用防カビ燻煙剤である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
成分(A)は薬剤である。成分(A)を用いることで、殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ等の微生物抑制効果や、消臭効果、殺虫効果等を発揮できる。
銀系化合物としては、例えば、有効成分として、抗菌・殺菌・防カビ・抗カビ・消臭作用を持つ銀単体;酸化銀;塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀、スルホン酸銀塩等の無機銀塩;蟻酸銀、酢酸銀等の有機銀塩等の銀化合物を含むものが挙げられる。
中でも、成分(A)としては、成分(A)由来の臭気をより低減する観点から、銀単体、酸化銀、硝酸銀等の無機銀塩又はこれらを担体に担持させた銀含有無機薬剤が好ましい。特に銀化合物を担持したゼオライト系抗菌剤が好ましい。無機薬剤を用いることで、燻煙処理時及び燻煙処理後における成分(A)由来の臭気をより低減できる。
これらの成分(A)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
例えば、成分(A)として銀系化合物を用いた場合は、体積平均粒子径は、0.01〜1000μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。本発明の間接加熱型燻煙剤組成物においては、このような比較的大きな粒子径の成分(A)であっても、煙化して拡散することができる。ここで、「煙化」とは、成分(A)を対象空間に拡散できる状態にすることを意味する。
なお、体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA910、株式会社堀場製作所製)により求められる値をいい、次のようにして測定できる。成分(A)を固形分1質量%となるように蒸留水に分散して試料とする。この試料をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に投入し、装置内で超音波によって分散後、レーザーを照射して粒度分布を測定する。体積頻度の累積が50%(体積)となる径を平均粒子径とする。
一方、有機系薬剤(IPMP等)の場合、成分(A)の含有量は、間接加熱型燻煙剤組成物の総質量に対し、1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。成分(A)の含有量が上記数値範囲内であれば、成分(A)による効果が充分に得られやすい。
成分(B)は、有機発泡剤である。成分(B)としては、加熱により熱分解して多量の熱を発生すると共に、炭酸ガスや窒素ガス等(以下、総じて発泡ガスという)を発生するものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。中でも、分解温度、発泡ガスの発生量等の観点から、アゾジカルボンアミドが好ましい。これら成分(B)は加熱により成分(A)及び成分(C)と発泡溶融し、成分(B)の熱分解ガスの作用によって成分(A)及び成分(C)を煙化できる。
これらの成分(B)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
成分(C)は、成分(C1)、及び成分(C2)を含有する香料成分である。成分(C)中、成分(C1)の含有量は、成分(C)の総質量に対し、10質量%以上であり、成分(C1)と成分(C2)との質量比(以下、(C1)/(C2)ともいう)は、成分(C1)/成分(C2)で表して、0.3〜7である。
成分(C1)は爽やかなハーブ調の爽やかな香りを有し、成分(C2)と組み合わせることにより、燻煙時の成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングし、燻煙後に爽やかな香りを適度な強度で持続させやすくなる。
これらの成分(C1)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
成分(C)中、成分(C1)の含有量は、成分(C)の総質量に対し、10質量%以上であり、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。10質量%未満であると、燻煙時の成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングする効果や爽やか感の持続性が低下しやすい。成分(C1)の含有量は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
これらの成分(C2)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
成分(C)中、成分(C2)の含有量は、成分(C)の総質量に対し、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。5質量%以上であると、燻煙時の成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングする効果や爽やか感の持続性が得られやすい。成分(C2)の含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
また、成分(C)中、成分(C1)と成分(C2)合計量(以下、(C1+C2)ともいう)は、成分(C)の総質量に対し、40〜90質量%が好ましく、45〜85質量%がさらに好ましく、55〜80質量%が特に好ましい。上記数値範囲内とすることで、成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングし、燻煙後に爽やかな香りを適度な強度で持続させやすくなる。
成分(C1)と成分(C2)の合計量に対する成分(B)の質量比(以下、(B)/(C1+C2)ともいう)は、成分(B)/[成分(C1)+成分(C2)]で表して、8〜1600が好ましく、10〜1000がより好ましく、200〜300が特に好ましい。上記数値範囲内とすることで、成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングし、燻煙後に爽やかな香りを適度な強度で持続させやすくなる。
成分(C1)に対する成分(B)の質量比(以下、(B)/(C1)ともいう)は、成分(B)/成分(C1)で表して、15〜1500が好ましく、200〜450がより好ましい。上記数値範囲内とすることで、成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングし、燻煙後に爽やかな香りを適度な強度で持続させやすくなる。
成分(C)に対する成分(B)の質量比(以下、(B)/(C)ともいう)は、成分(B)/成分(C)で表して、3〜10質量%が好ましく、4〜8質量%がより好ましい。上記数値範囲内とすることで、成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングし、燻煙後に爽やかな香りを適度な強度で持続させやすくなる。
他の香料成分としては、所望の香調等に応じ、公知の香料成分のなかから適宜選択できる。他の香料成分として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of NaturalOrigin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Perfumery MaterialPerformance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)、「Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
具体的には、シス−3−ヘキセノール、ターピネオール、リナロール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ダマスコン、リリアール、へディオン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アンブロキサン、バクダノール等が挙げられる。
間接加熱用燻煙剤組成物中、成分(C)の含有量は、間接加熱用燻煙組成物の総質量に対し、0.1〜10質量%含有することが好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.2〜5質量%がさらに好ましい。上記数値範囲内とすることで、成分(A)や成分(B)由来の臭気をマスキングし、燻煙後に爽やかな香りを適度な強度で持続させやすくなる。
任意成分としては、例えば、結合剤、界面活性剤、賦形剤、発熱助剤、安定剤、効力増強剤、酸化防止剤等が挙げられる。
任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
結合剤としては、例えば、セルロース類(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等。)、デンプン系高分子化合物(デンプン、スターチ等。)、天然系高分子化合物(アラビアゴム等。)、合成高分子化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等。)等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸類、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類、POE−グリセリン脂肪酸エステル類、POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE−アルキルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(POP)−アルキルエーテル類、アルカノールアミド類、オキプロピレンとオキシエチレンの共重合型非イオン界面活性剤類等が挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物としてはソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類がより好ましい。例えば、モノオレイン酸エステル、モノラウリン酸エステル、モノカプリル酸グリセリル等が挙げられる。
オキプロピレンとオキシエチレンの共重合型非イオン界面活性剤類としては、式(I)で表わされる、EOがPOで挟まれたトリブロック型非イオン界面活性剤が好ましい。
R1−O−(PO)f−(EO)g−(PO)h−R2 ・・・(I)
式(I)のR1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表わし、両者とも水素原子が好ましい。fはPO(プロピレンオキシド)の平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜30の数がより好ましい。gはEO(エチレンオキシド)の平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜250の数が好ましく、5〜30の数がより好ましい。hはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜30の数がより好ましい。また、f+g+h=20〜500であることが好ましい。市販品としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「PluronicRPE1740」、「PluronicRPE2525」などが挙げられる。
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物に賦形剤が含有される場合、本発明の間接加熱型燻煙剤組成物(100質量%)中の賦形剤の含有量は、2〜45質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。賦形剤の含有量が下限値以上であれば、顆粒成形性が向上し、燻煙性能がより安定になる。賦形剤の含有量が上限値以下であれば、充分な燻煙性能(噴出力)が得られやすい。
安定剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドキシアニソール、没食子酸プロピル、エポキシ化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等。)等が挙げられる。
効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、S−421等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール等が挙げられる。
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物は、粉状、粒状、錠剤などの固形製剤として調製される。
間接加熱型燻煙剤組成物の製造方法としては、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法が用いられる。例えば、粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等、公知の造粒物の製造方法が用いられる。
間接加熱型燻煙剤組成物は、成分(A)〜(C)を混合することにより得られる。成分(C)はエタノール等の溶剤に溶解させたものを使用してもよい。
乾燥方法は、例えば、従来公知の乾燥機を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されないが、成分(C)の揮発を抑制する点から、50〜80℃が好ましい。
乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜決定される。
乾燥した後の間接加熱型燻煙剤組成物の水分含量は、特に限定されないが、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。水分含量が5質量%以下であると成分(A)の揮散率が良好である。
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物を用いた燻煙方法は、公知の方法を採用できる。例えば、金属製容器、セラミック製容器等の容器に本発明の間接加熱型燻煙剤組成物を収容し、密閉した対象空間内で、直接的又は間接的に燻煙剤を加熱することによって燻煙する方法が挙げられる。 燻煙剤を間接的に加熱することで、直接的に加熱するよりも、燻煙時の成分(A)や成分(B)に由来する臭気の低減や、燻煙剤の燃えカス等による屋内汚染を低減しやすい。
対象空間としては、特に限定されず、例えば、浴室、居室、押入れ、トイレ等が挙げられる。
具体的には、例えば、水と接触して発熱する物質と水とを接触させ、その反応熱を利用して燻煙剤を加熱する方法(i)、鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等。)との混合による酸化反応、又は金属と該金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物もしくは酸化剤との混合による酸化反応により発生する熱を利用して燻煙剤を加熱する方法(ii)等が挙げられる。なかでも、実用性の点から、方法(i)が好ましい。
燻煙処理時間(燻煙開始後、対象空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されないが、30分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
燻煙装置10は、図1に示すように、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とで概略構成されている。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、本体14の上部に設けられた蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30に燻煙剤が充填されて燻煙剤部32が形成されている。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物は、特に居室や浴室用の微生物制御用(殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ等)の燻煙剤として好適である。なかでも、浴室用防カビ燻煙剤であることが好ましい。
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物は、成分(A)〜(C)を含み、成分(C)が成分(C1)及び成分(C2)を含み、成分(C1)がアネトール、ボルネオール、ヘキシルサリシレート、及びメチルサリシレートを含み、成分(C2)がガラキソリドを含み、成分(C)がさらにシス−3−ヘキセノール、ターピネオール、リナロール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ダマスコン、リリアール、へディオン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アンブロキサン、及びバクダノールを含むことが好ましい。
本発明の間接加熱型燻煙剤組成物は、成分(A)〜(C)を含み、成分(A)が銀含有無機薬剤であり、成分(B)がアゾジカルボンアミドであり、成分(C)が成分(C1)及び成分(C2)を含み、成分(C1)がアネトール、ボルネオール、ヘキシルサリシレート、及びメチルサリシレートを含み、成分(C2)がガラキソリドを含み、成分(C)がさらにシス−3−ヘキセノール、ターピネオール、リナロール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ダマスコン、リリアール、へディオン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アンブロキサン、及びバクダノールを含むことが好ましい。
各例で使用した成分(C)の組成(含有量(質量%))を表1に示す。
各例の間接加熱型燻煙剤組成物の組成(含有量(質量%))を表2〜4に示す。
表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。
表中、「バランス」は、間接加熱型燻煙剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量が100質量%となるように加えられる残部を意味する。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
・A−1:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤(商品名:ゼオミックAJ10N、体積平均粒子径2.5μm、真比重2g/cm3(20℃)、嵩比重0.4g/cm3(20℃)、銀含量2.5質量%、株式会社シナネンゼオミック製)。
・A−2:2−イソプロピル−5−メチルフェノール(IPMP)(商品名「ビオゾール」、大阪化成株式会社製)。
・B−1:アゾジカルボンアミド(商品名「ダイブローAC.2040(C)」、大日精化工業株式会社製)。
・J−1〜J−10:表1に示す組成の香料成分。
・H−1〜H−4:表1に示す組成の香料成分(成分(C)の比較品)。
・界面活性剤:H−O−(PO)14−(EO)24−(PO)14−H (合成品)
(合成方法)
プロピレングリコール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を120℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(14モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO付加体を得た(一段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を150℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(24モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO−EO付加体を得た(二段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を120℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(14モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後(三段階目)、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、上記界面活性剤を得た。
得られた界面活性剤の質量平均分子量をGPCにより測定したところ、2800であった。
・酸化亜鉛:日本薬局方 酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.6μm、真比重5.6g/cm3(20℃))
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):商品名「メトローズ60SH−50」、信越化学工業株式会社製。
・クレー:商品名「MK−300」、昭和KDE株式会社製。
・酸化カルシウム:吉澤石灰工業株式会社製、商品名:CAg
表2〜4に示す組成に従い、20℃の条件下において、成分(A)、成分(B)、成分(C)、界面活性剤、HPMC、クレー、及び水(成分(A)〜(C)及び任意成分(酸化カルシウム以外)の合計100質量部に対し10質量部の水)をニーダー(S5−2G型、株式会社モリヤマ製)で攪拌混合し、混合物を得た。
得られた混合物を直径2mmの開孔径を有するダイスの前押し出し造粒機(EXK−1、株式会社不二パウダル製)を用い造粒し造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(FL300、株式会社不二パウダル製)により長さ2〜5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(RT−120HL、アルプ株式会社製)により2時間乾燥し、粒状の燻煙剤を得た。得られた燻煙剤について、燻煙後の香りを以下のように評価した。
「ルックおふろの防カビくん煙剤](商品名、ライオン株式会社製)」の容器を用意し、前記容器内の燻煙剤容器に各例の燻煙剤5gを収容し、同容器内の加熱剤収容部に酸化カルシウム40gを収容して、図1の燻煙装置10と同様の燻煙装置(テスト装置)を作製した。
縦3.42m×横3.82m×高さ2.4mの換気扇付き試験室の中央床面に、23mLの水を入れた給水用プラスチック容器を置き、この給水用プラスチック容器にテスト装置を入れ、燻煙処理を開始した。燻煙処理開始の90分後に換気扇を運転させ、換気から30分後に、焦げ臭のマスキング効果、香りの爽やかさ、香りの強さの評価を行い、さらに、換気から4時間後における香りの爽やかさを評価した。その結果を表2〜4に示す。
尚、各評価は以下の評価点をもとに専門のパネラー5名による官能評価を行い、平均点を算出し、以下の評価基準にて評価した。
[評価点]
4点:全く焦げ臭を感知しない。
3点:ほとんど焦げ臭を感知できない。
2点:わずかに焦げ臭を感じるが問題ないレベル。
1点:焦げ臭を感知できる。
0点:焦げ臭を楽に感知できる。
[評価基準]
◎◎(平均点3.5点以上):焦げ臭のマスキング効果が極めて優れている。
◎(平均点2.5〜3.5未満) :焦げ臭のマスキング効果が優れている。
○(平均点1.5〜2.5未満):焦げ臭のマスキング効果を有する。
△(平均点1.0〜1.5未満):焦げ臭のマスキング効果が小さい。
×(平均点1.0未満):焦げ臭のマスキング効果が認められない。
[評価点]
4点:爽やかさをかなり感じる。
3点:爽やかさを感じる。
2点:爽やかさをやや感じる。
1点:爽やかさをわずかに感じる。
0点:爽やかさが感じられない。
[評価基準]
◎◎(平均点3.5点以上):爽やか感が極めて優れている。
◎(平均点2.5〜3.5未満):爽やか感が優れている。
○(平均点1.5〜2.5未満):爽やか感を有する。
△(平均点1.0〜1.5未満):爽やか感が少ない。
×(平均点1.0未満):爽やか感がほとんど認められない。
[評価点]
0点:無臭。
1点:やっと検知できる程度の香り。
2点:何の香りかわかる程度の香り。
3点:楽に感知できる香り。
4点:強い香り。
5点:強烈な香り。
[評価基準]
×(平均点4.5点以上):香りが極めて強すぎる。
△(平均点3.5〜4.5点未満):香りが強すぎる。
◎(平均点2.5〜3.5点未満):香りの強さが好ましい。
◎◎(平均点1.5〜2.5点未満):香りの強さが特に好ましい。
○(平均点1.0〜1.5点未満):やや香りが弱いが好ましい。
×(平均点1.0未満):香りが弱すぎる。
これに対し、成分(C)が本願発明の範囲外となる比較例1〜6は、香りの強さ、及び換気から30分後の爽やかさのいずれの評価も「○」〜「◎◎」であった。しかし、焦げ臭のマスキング効果、あるいは、換気から4時間後の爽やかさのいずれかの評価が「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、焦げ臭のマスキング効果に優れ、且つ、爽やかな香りを適度な強度で持続できることが判った。
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
Claims (5)
- 成分(A):薬剤と、成分(B):有機発泡剤と、成分(C):香料成分と、を含有し、
前記成分(C)は、下記成分(C1)及び下記成分(C2)を含有し、
前記成分(C1)の含有量は、前記成分(C)の総質量に対して10質量%以上であり、
前記成分(C1)と前記成分(C2)の質量比は、成分(C1)/成分(C2)で表して、0.3〜7である、間接加熱型燻煙剤組成物。
成分(C1):アネトール、ボルネオ−ル、カンファー、カルボン、ヘキシルサリシレート、メチルサリシレート、ベンジルサリシレート、及びイソボルニルアセテートからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分。
成分(C2):ガラキソリド、α−イオノン、β−イオノン、メチルイオノン、イソ・イー・スーパー、トナリド、ペンタリド、エチレンブラシレート、及びアンブレットライドからなる群から選択される少なくとも1種の香料成分。 - 前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有量の合計が、前記成分(C)の総質量に対して40〜90質量%である、請求項1に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
- 前記成分(C)の含有量が、間接加熱型燻煙剤組成物の総質量に対して、0.1〜10質量%であり、
前記成分(B)の含有量と、前記成分(C1)及び前記成分(C2)の含有量の合計との質量比が、成分(B)/[成分(C1)+成分(C2)]で表して、8〜1600である、請求項1又は2に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。 - 前記成分(A)が銀含有無機薬剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
- 浴室用防カビ燻煙剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の間接加熱型燻煙剤組成物。
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