JP6635589B2 - 防カビ燻煙剤組成物 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1の防カビ燻煙剤は付着後のカビに対して殺カビ効果を有するが、燻煙後に空間に侵入したカビ胞子の付着を抑制する効果(カビ胞子の付着抑制効果)は有していない。つまり、手入れをした後にカビ胞子が侵入することにより再度カビが付着しやすいという問題がある。
すなわち本発明は、以下の態様を有する。
[1]下記成分(A)及び(B)を含有する、防カビ燻煙剤組成物。
成分(A):疎水性シリコーン。
成分(B):有機発泡剤。
[2]前記成分(A)と前記成分(B)との質量比が、成分(B)/成分(A)で表して、7〜150である、[1]に記載の防カビ燻煙剤組成物。
[3]前記成分(A)の、ASTM D 445−46Tに従って測定される25℃における動粘度が1.5〜100mm2/secである、[1]又は[2]に記載の防カビ燻煙剤組成物。
[4]さらに抗菌剤を含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の防カビ燻煙剤組成物。
[5]前記成分(A)がジメチルポリシロキサンである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の防カビ燻煙剤組成物。
[6]前記(B)成分がアゾジカルボンアミドである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の防カビ燻煙剤組成物。
成分(A)は疎水性シリコーンである。本明細書において疎水性シリコーンとは、25℃のイオン交換水100gにシリコーン1gを添加、混合した際に白濁あるいは分離するものをいう。
成分(A)としては、次の式(1)で表されるものを挙げることができる。
Xにおける炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
R’における炭素数1〜10のアルキル基としては、R1、R2及びR3における炭素数1〜10のアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
これらの成分(A)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
上記数値範囲内とすることにより、カビ胞子の付着抑制効果を向上しやすくなる。
上記数値範囲内とすることにより、カビ胞子の付着抑制効果を向上しやすくなる。
成分(B)は、有機発泡剤である。成分(B)としては、加熱により熱分解して多量の熱を発生すると共に、炭酸ガスや窒素ガス等(以下、総じて発泡ガスという)を発生するものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。中でも、分解温度、発泡ガスの発生量等の観点から、アゾジカルボンアミドが好ましい。これら成分(B)は加熱により成分(A)と発泡溶融し、成分(B)の熱分解ガスの作用によって成分(A)を煙化できる。ここで、「煙化」とは、成分(A)を対象空間に拡散できる状態にすることを意味する。
これらの成分(B)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
上記数値範囲内とすることにより、カビ胞子の付着抑制効果を向上しやすくなる。
上記数値範囲内とすることにより、カビ胞子の付着抑制効果を向上しやすくなる。
任意成分としては、例えば、親水性シリコーン、抗菌剤、結合剤、界面活性剤、香料、賦形剤、燃焼助剤、安定化剤、効力増強剤、酸化防止剤、溶剤、色素等が挙げられる。
任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
親水性シリコーンとしては、分子中にポリエーテル、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、アミド基、エポキシ基等の各種親水基を導入した変性シリコーン類等が挙げられる。具体的には、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミド変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
水溶性シリコーンの含有量は、疎水性シリコーン100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましい。
遷移金属を含有する無機系抗菌剤としては、例えば遷移金属単体、遷移金属の酸化物、遷移金属イオンと対イオンとの塩などが挙げられる。塩としては、塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、炭酸塩等の無機銀塩、蟻酸塩、酢酸塩等の有機銀塩等が挙げられる。
無機系抗菌剤としては、防カビ効果、消臭効果に優れることから、銀、亜鉛、銅、又はこれらの化合物が好ましい。なかでも銀又は銀系化合物がより好ましい。
銀又は銀系化合物としては、抗菌・殺菌・防カビ・抗カビ・消臭作用を持つ銀単体;酸化銀;塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀、スルホン酸銀塩等の無機銀塩;蟻酸銀、酢酸銀等の有機銀塩等の銀系化合物が挙げられる。
中でも、抗菌剤としては、抗菌剤由来の臭気をより低減する観点から、銀単体、酸化銀、硝酸銀等の無機銀塩又はこれらを担体に担持させた銀含有無機抗菌剤が好ましい。特に銀化合物を担持したゼオライト系抗菌剤が好ましい。銀含有無機抗菌剤を用いることで、燻煙処理時及び燻煙処理後における抗菌剤由来の臭気をより低減できる。
これらの抗菌剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
例えば、抗菌剤として銀系化合物を用いた場合は、体積平均粒子径は、0.01〜1000μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。本発明の防カビ燻煙剤組成物においては、このような比較的大きな粒子径の抗菌剤であっても、煙化して拡散することができる。
なお、体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA910、株式会社堀場製作所製)により求められる値をいい、次のようにして測定できる。抗菌剤を固形分1質量%となるように蒸留水に分散して試料とする。この試料をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置に投入し、装置内で超音波によって分散後、レーザーを照射して粒度分布を測定する。体積頻度の累積が50%(体積)となる径を平均粒子径とする。
一方、有機系薬剤(IPMP等)の場合、抗菌剤の含有量は、防カビ燻煙剤組成物の総質量に対し、0.5〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。抗菌剤の含有量が上記数値範囲内であれば、抗菌剤による効果が充分に得られやすい。
結合剤としては、セルロース系化合物(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとそのカルシウム塩及びナトリウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、デンプン系化合物(デンプン、α化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム塩等)、天然物系化合物(アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント、ゼラチン等)、合成高分子系化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等)等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸類、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類、POE−グリセリン脂肪酸エステル類、POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE−アルキルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(POP)−アルキルエーテル類、アルカノールアミド類、オキプロピレンとオキシエチレンの共重合型非イオン界面活性剤類等が挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物としてはソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類がより好ましい。例えば、モノオレイン酸エステル、モノラウリン酸エステル、モノカプリル酸グリセリル等が挙げられる。
オキプロピレンとオキシエチレンの共重合型非イオン界面活性剤類としては、式(I)で表わされる、EOがPOで挟まれたトリブロック型非イオン界面活性剤が好ましい。
R1−O−(PO)f−(EO)g−(PO)h−R2 ・・・(I)
式(I)のR1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表わし、両者とも水素原子が好ましい。fはPO(プロピレンオキシド)の平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜30の数がより好ましい。gはEO(エチレンオキシド)の平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜250の数が好ましく、5〜30の数がより好ましい。hはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5〜150の数が好ましく、10〜30の数がより好ましい。また、f+g+h=20〜500であることが好ましい。市販品としては、例えばBASFジャパン株式会社製の「PluronicRPE1740」、「PluronicRPE2525」などが挙げられる。
本発明の防カビ燻煙剤組成物に賦形剤が含有される場合、賦形剤の含有量は、防カビ燻煙剤組成物の総質量に対し、2〜45質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。賦形剤の含有量が下限値以上であれば、顆粒成形性が向上し、燻煙性能がより安定になる。賦形剤の含有量が上限値以下であれば、充分な燻煙性能(噴出力)が得られやすい。
安定化剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エポキシ化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等)などが挙げられる。
効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、S−421等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール等が挙げられる。
これら溶剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
なお、溶媒は造粒時に混合、練り込む以外にも、造粒後に噴霧、浸漬させて保持させることもできる。
その他、色素などが挙げられ、これら添加剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
なお、防カビ燻煙剤組成物中の各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
本発明の防カビ燻煙剤組成物は、成分(A)及び(B)を混合することにより得られる。
本発明の防カビ燻煙剤組成物は、粉状、粒状、錠剤などの固形製剤として調製される。
防カビ燻煙剤組成物の製造方法としては、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法が用いられる。例えば、粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等、公知の造粒物の製造方法が用いられる。
乾燥方法は、例えば、従来公知の乾燥機を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されないが、50〜80℃が好ましい。
乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜決定される。
乾燥した後の防カビ燻煙剤組成物の水分含量は、特に限定されないが、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。水分含量が5質量%以下であると薬剤の揮散率が良好である。
防カビ燻煙剤組成物の使用方法としては、一般的な燻煙剤の使用方法と同様の方法を用いることができる。具体的には、金属製容器、セラミック製容器等の任意の容器に防カビ燻煙剤組成物を収容し、防カビ燻煙剤組成物を間接的又は直接的に加熱して使用される。
間接的に加熱する方法としては、例えば、金属製の容器に防カビ燻煙剤組成物を収容し、この金属製の容器を介して防カビ燻煙剤組成物を加熱する方法が挙げられる。
加熱方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法;鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合し、又は金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物もしくは酸化剤とを混合し、その酸化反応熱を利用する方法等が挙げられる。中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法(水式)が好ましい。
水と接触して発熱する物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、酸化カルシウムが好ましい。
燻煙処理時間(燻煙開始後、対象空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上とするのがよい。
燻煙装置10は、図1に示すように、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とで概略構成されている。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、本体14の上部に設けられた蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30に防カビ燻煙剤組成物が充填されて燻煙剤部32が形成されている。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
本発明の防カビ燻煙剤組成物は、特に居室や浴室用の微生物制御用(防カビ、抗カビ等)の燻煙剤として好適である。なかでも、浴室用防カビ燻煙剤であることが好ましい。
各例の防カビ燻煙剤組成物の組成(含有量(質量%))を表2及び3に示す。
表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。
表中、「バランス」は、防カビ燻煙剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量が100質量%となるように加えられる残部を意味する。
表中、「NT」は試験を行わなかったことを意味する。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
・A−1:ジメチルポリシロキサン(商品名「KF-96L-2cs」、動粘度:2mm2/sec、信越シリコーン株式会社製)。
・A−2:ジメチルポリシロキサン(商品名「KF-96-100cs」、動粘度:100mm2/sec、信越シリコーン株式会社製)。
・A−3:ジメチルポリシロキサン(商品名「KF-96-1000cs」、動粘度:1000mm2/sec、信越シリコーン株式会社製)。
・A−4:ジメチルポリシロキサン(商品名「KF-96H-1万cs」、動粘度:10000mm2/sec、信越シリコーン株式会社製)。
・A−5:ジメチルポリシロキサン(商品名「KF-96H-10万cs」、動粘度:100000mm2/sec、信越シリコーン株式会社製)。
・A’−1(比較品):側鎖をポリエーテル変性したジメチルポリシロキサン(商品名「KF−642」、動粘度:50mm2/sec、信越シリコーン株式会社製)。
・B−1:アゾジカルボンアミド(商品名「ダイブローAC.2040(C)」、永和化成工業株式会社製)。
・C−1:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤(商品名「ゼオミックAJ10N」、体積平均粒子径:2.5μm、真比重:2g/cm3(20℃)、嵩比重:0.4g/cm3(20℃)、銀含量:2.5質量%、株式会社シナネンゼオミック製)。
・C−2:2−イソプロピル−5−メチルフェノール(IPMP)(商品名「ビオゾール」、大阪化成株式会社製)。
・酸化亜鉛:日本薬局方 酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、平均粒子径:0.6μm、真比重:5.6g/cm3(20℃)。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC):商品名「メトローズ60SH−50」、信越化学工業株式会社製。
・界面活性剤:式(I)で表わされるトリブロック型非イオン界面活性剤(式(I)中、R1=水素原子、R2=水素原子、f=14、g=24、h=14、合成品。
(合成方法)
プロピレングリコール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を120℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(14モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO付加体を得た(一段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を150℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(24モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO−EO付加体を得た(二段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を120℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(14モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後(三段階目)、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、トリブロック型非イオン界面活性剤を得た。
得られたトリブロック型非イオン界面活性剤の質量平均分子量をGPCにより測定したところ、2800であった。
・クレー:商品名「NK−300C」、昭和鉱業株式会社製。
・香料:表1に示す組成の香料組成物。
室温(20℃)条件下において、表2及び3に示す組成に従い、各成分をニーダー(株式会社モリヤマ製、「S5−2G型」)で攪拌混合した後、組成全量(水は含めない)を100質量部として10質量部の水を加えて混合し混合物を得た。得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(株式会社不二パウダル製、「EXK−1」)を用いて造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(株式会社不二パウダル製、「FL300」)により長さ2〜5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(アルプ株式会社製、「RT−120HL」)により2時間乾燥させ、顆粒状の防カビ燻煙剤組成物を得た。
得られた防カビ燻煙剤組成物を用い、以下のようにして燻煙装置を作製した。
「ルックお風呂の防カビくん煙剤」(ライオン株式会社製)の容器を用意し、容器内の燻煙剤容器内に防カビ燻煙剤組成物0.1gを収容し、さらに同容器内の加熱剤収容部に酸化カルシウム37gを収容し、燻煙装置を作製した。
(1)カビ胞子の付着性試験に供するプラスチック板及びスライドガラスの作製
図2に示すように、密閉可能な容積96Lのアクリル製チャンバー3内(幅40×奥行40×高さ60cm)の天井面中央にプラスチック板1(FRP、5×5cm)及びスライドガラス2(7.6×2.6cm)をチャンバ―3の内側から貼り付けた。
チャンバー3の床中央部に23mLの水を入れた給水用プラスチック容器110を設置した。
各例で作製した燻煙装置10を給水用プラスチック容器110に入れて燻煙を開始し、チャンバー3を密閉した。
10分間煙を曝露させた後、チャンバー3を開放して天井面に貼り付けたプラスチック板1及びスライドガラス2を取り出した。
Cladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)をポテトデキストロース寒天培地(Difco社製)の斜面培地にて25℃、1週間培養した。
Tween80(東京化成工業社製)を用いて0.05%水溶液を調製しオートクレーブにて滅菌してカビ胞子液の溶媒を作製した。
培養したCladosporium cladosporioides HMC1064を、上記溶媒を用いて、102CFU/mLのカビ胞子液に調製した。
プラスチック板及びスライドガラスの各々に(2)で調製したカビ胞子液0.5mLを滴下し、30秒間静置した。
プラスチック板及びスライドガラス各々を滅菌水0.5mLで洗い流した。
プラスチック板及びスライドガラスから、レシチンとTween80を添加したグルコースペプトン(日水製薬社製)10mLを用いてカビ胞子を回収した。
回収した胞子液を、計測可能な濃度となるように滅菌した生理食塩水で適宜希釈し、これをポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。
燻煙処理を行っていない未処理のプラスチック板及びスライドガラスに上記操作を行い対照とした。
カビ胞子の付着率を以下のように算出し、以下の評価基準で評価した。得られた結果を表2及び3に示す。
カビ胞子の付着率=燻煙処理したプラスチック板(又はスライドガラス)から回収したカビのコロニー数÷未処理のプラスチック板(又はスライドガラス)から回収したカビのコロニー数
[評価基準]
・◎◎:カビ胞子の付着率が10%未満
・◎ :カビ胞子の付着率が10%以上20%未満
・○ :カビ胞子の付着率が20%以上50%未満
・△ :カビ胞子の付着率が50%以上90%未満
・× :カビ胞子の付着率が90%以上
疎水性シリコーンの代わりに親水性シリコーンを使用した比較例1では、カビ胞子の付着を抑制できなかった。
成分(A)を含まない比較例2でも同様に、カビ胞子の付着を抑制できなかった。
成分(B)を含まない比較例3では、燻煙することができなかったため、カビ胞子付着抑制評価の試験を実施できなかった。
これらの結果から、本発明を適用することで、カビ胞子の付着を抑制できることが判った。
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
1 プラスチック板
2 スライドガラス
3 チャンバー
110 プラスチック容器
Claims (3)
- 下記成分(A)、下記成分(B)、及び界面活性剤を含有し、
前記成分(A)と前記成分(B)との質量比が、成分(B)/成分(A)で表して、20〜60である、防カビ燻煙剤組成物。
成分(A):ASTM D 445−46Tに従って測定される25℃における動粘度が1.5〜100mm2/secである疎水性シリコーン。
成分(B):有機発泡剤。 - 前記成分(A)の含有量が1〜3質量%であり、
前記成分(B)の含有量が60〜90質量%である請求項1に記載の防カビ燻煙剤組成物。 - さらに抗菌剤を含む、請求項1又は2に記載の防カビ燻煙剤組成物。
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