JP2023079618A - 燻煙剤組成物及び防カビ燻煙装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非イオン界面活性剤は、燻煙処理により揮散しにくいという問題がある。このため、非イオン界面活性剤を含む燻煙剤組成物は、燻煙処理された処理面に対する有効成分の付着量が不充分で、充分な付着滞留効果が得られていなかった。そこで、本発明は、付着滞留効果を高め、防カビ効果、特に湿気が多い空間での防カビ持続効果をより向上できる燻煙剤組成物及び防カビ燻煙装置を目的とする。【解決手段】(A)成分:有機発泡剤と、(B)成分:非イオン界面活性剤と、(C)成分:カチオン性高分子と、(D)成分:微生物制御剤と、を含有する、燻煙剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、燻煙剤組成物及び防カビ燻煙装置に関する。
浴室等、湿気が多い空間は、細菌、カビ等の微生物が繁殖しやすい環境である。細菌、カビ等の繁殖を抑制するために、密閉された空間内を防カビ剤等の有効成分を含む燻煙剤組成物を用いて処理することが一般的に行われている。浴室等では水が頻繁に流れるため、壁面や床表面に付着した有効成分が水で洗い流されやすい。このため、燻煙剤組成物には、有効成分を壁面や床表面等の処理面に留めておく効果(付着滞留効果)を高めることが求められる。
例えば、特許文献1には、オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤を含む燻煙剤組成物が提案されている。特許文献1の発明によれば、付着滞留効果を高めて、防カビ効果の持続性(防カビ持続効果)を向上することが図られている。
再公表WO2015/159816号公報
しかしながら、オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤は、燻煙処理により揮散しにくいという問題がある。このため、特許文献1の発明では、処理面に対する有効成分の付着量が不充分で、充分な付着滞留効果が得られていなかった。
そこで、本発明は、付着滞留効果を高め、防カビ効果、特に湿気が多い空間での防カビ持続効果をより向上できる燻煙剤組成物及び防カビ燻煙装置を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:有機発泡剤と、
(B)成分:非イオン界面活性剤と、
(C)成分:カチオン性高分子と、
(D)成分:微生物制御剤と、を含有する、燻煙剤組成物。
[2]前記(B)成分が、オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤を含む、[1]に記載の燻煙剤組成物。
[3]前記(C)成分が、カチオン性多糖類を含む、[1]又は[2]に記載の燻煙剤組成物。
[4]前記(C)成分の含有量が、総質量に対して、3~20質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の燻煙剤組成物。
[5]前記(D)成分が、銀又は銀化合物を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の燻煙剤組成物。
[6]前記(B)成分/前記(C)成分で表される質量比が0.3~4.0である、[1]~[5]のいずれかに記載の燻煙剤組成物。
[7]筒状の本体、底部及び蓋部を備える筐体と、
前記筐体内に発熱剤が収容されてなる加熱部と、
前記筐体内に設けられ前記加熱部の上方に位置する金属製の燻煙剤容器と、を備え、
[1]~[6]のいずれかに記載の燻煙剤組成物が、前記燻煙剤容器に充填されてなる、防カビ燻煙装置。
本発明の燻煙剤組成物及び防カビ燻煙装置によれば、付着滞留効果を高め、防カビ効果、特に湿気が多い空間での防カビ持続効果をより向上できる。
本発明の一実施形態に係る防カビ燻煙装置の断面図である。 実施例において使用した評価室の斜視図である。
≪燻煙剤組成物≫
本発明の燻煙剤組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分とを含有する組成物である。
本発明の燻煙剤組成物は、抗菌、除菌、殺菌、防カビ、抗カビ等の微生物抑制効果を発揮できる。本明細書において、「微生物」には、細菌、真菌、カビ等が含まれる。
<(A)成分>
(A)成分は、有機発泡剤である。(A)成分は、加熱により熱分解して多量の熱を発生するとともに、炭酸ガスや窒素ガス等(以下、総じて発泡ガスという)を発生させることで、燻煙剤組成物中に配合された成分を煙化、揮散させる。
(A)成分としては、例えば、アゾジカルボンアミド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。中でも、分解温度、発泡ガスの発生量等の観点から、アゾジカルボンアミドが好ましい。
これらの(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、(A)成分の種類や他の成分の種類等を勘案して決定できる。(A)成分の含有量は、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、55~74質量%が好ましく、60~74質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、煙化しにくい(B)成分を効率よく煙化させて揮散させやすくできる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、(A)成分の分解物の飛散量が少なくなり、対象空間を汚染しにくい。
<(B)成分>
(B)成分は、非イオン界面活性剤である。燻煙剤組成物は、(B)成分を含有することで、燻煙処理により揮散させた(D)成分を処理面に留めておくことができ、付着滞留効果をより高められる。
(B)成分としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸類、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(POE)付加型非イオン界面活性剤等が挙げられる。POE付加型非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類、POE-グリセリン脂肪酸エステル類、POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE-アルキルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(POP)-アルキルエーテル類、アルカノールアミド類、オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
これらの(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、付着滞留効果により優れることから、オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤が好ましい。
オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤としては、例えば、下記式(b1)で表される化合物、下記式(b2)で表される化合物が挙げられる。下記式(b1)で表される化合物は、PO(プロピレンオキシド)がEO(エチレンオキシド)で挟まれたEO-PO-EO型非イオン界面活性剤である。下記式(b2)で表される化合物は、EOがPOで挟まれたPO-EO-PO型非イオン界面活性剤である。
-O-(EO)-(PO)-(EO)-R ・・・(b1)
-O-(PO)-(EO)-(PO)-R ・・・(b2)
式(b1)及び式(b2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6の炭化水素基を表し、両者とも水素原子が好ましい。
式(b1)中、aはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、10~100の数がより好ましい。
bはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~250の数が好ましく、10~60の数がより好ましい。
cはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、10~100の数がより好ましい。
また、a+b+cは、20~500の数であることが好ましい。
EO-PO-EO型非イオン界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名「Pluronic(登録商標)PE6400(BASFジャパン(株)製)」、商品名「Pluronic(登録商標)PE6800(BASFジャパン(株)製)」等が挙げられる。
式(b2)中、dはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、10~30の数がより好ましい。
eはEOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~250の数が好ましく、5~30の数がより好ましい。
fはPOの平均繰返し数(平均付加モル数)を表し、5~150の数が好ましく、10~30の数がより好ましい。
また、d+e+fは、20~500の数であることが好ましい。
PO-EO-PO型非イオン界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名「Pluronic(登録商標)RPE1740(BASFジャパン(株)製)」、「Pluronic(登録商標)RPE2525(BASFジャパン(株)製)」、商品名「アデカ(登録商標)プルロニック(登録商標)17R-3((株)ADEKA製)」、商品名「アデカ(登録商標)プルロニック(登録商標)17R-4((株)ADEKA製)」、商品名「アデカ(登録商標)プルロニック(登録商標)31R-1((株)ADEKA製)」等が挙げられる。
オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤としては、防カビ効果及び防カビ持続効果により優れることから、PO-EO-PO型非イオン界面活性剤がより好ましい。
(B)成分の含有量は、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、6~20質量%が好ましく、6~18質量%がより好ましく、8~15質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、防カビ持続効果をより高められる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、燻煙剤組成物の揮散率をより高められる。
<(C)成分>
(C)成分は、カチオン性高分子である。
本明細書において、「カチオン性高分子」とは、陽イオン界面活性能(カチオン性)を有する高分子化合物(分子量1万以上の化合物)をいう。
燻煙剤組成物は、(C)成分を含有することで、燻煙剤組成物の揮散率をより高められる。燻煙剤組成物の揮散率が向上することで、(B)成分の揮散量が増加し、防カビ持続効果をより高められる。
燻煙剤組成物の揮散率は、燻煙処理により揮散しやすい(C)成分に、揮散しにくい(B)成分が吸着した状態で煙化することにより向上するものと考えられる。燻煙剤組成物の揮散率が向上することで、(B)成分の揮散量が増加し、処理面に付着する(B)成分の量が増加する。このため、付着滞留効果がより高まる。
(C)成分としては、カチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、カチオン化デンプン等のカチオン性多糖類、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、カチオン性ポリビニルアルコール等が挙げられる。(C)成分としては、(B)成分の吸着性に優れることからカチオン性多糖類が好ましく、カチオン化セルロースがより好ましい。
ここで、「多糖類」とは、加水分解すると単糖類を二以上生じる糖をいう。
これらの(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン化セルロースとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウム及び塩化グリシジルジメチルドデシルアンモニウムのうち1種又は2種が付加された化合物が挙げられる。これらの中でも、(B)成分の揮散率向上による防カビ持続効果向上の観点から、下記式(c1)で表される構成単位を有する化合物、下記式(c2)で表される構成単位を有する化合物が好ましい。
Figure 2023079618000001
Figure 2023079618000002
式(c1)中、s及びtは、オキシエチレン基の平均付加モル数である。uは、塩化グリシジルトリメチルアンモニウムの平均付加モル数である。
式(c1)で表される構成単位を有する化合物の質量平均分子量は、1万~1千万である。
式(c2)中、v及びwは、オキシエチレン基の平均付加モル数である。xは、塩化グリシジルトリメチルアンモニウムの平均付加モル数である。yは、塩化グリシジルジメチルドデシルアンモニウムの平均付加モル数である。
式(c2)で表される構成単位を有する化合物の質量平均分子量は、1万~1千万である。
式(c1)で表される構成単位を有する化合物の市販品としては、例えば、商品名「SUPRACARE212(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SUPRACARE240(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」)、商品名「SUPRACARE241(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「UCARE JR125(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「UCARE JR400(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「UCARE LR30M(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「カチナールHC-100(第4級窒素含有率1.5質量%、東邦化学工業(株)製)」、商品名「カチナールHC-200(第4級窒素含有率1.5質量%、東邦化学工業(株)製)」、商品名「カチナールLC-100(第4級窒素含有率1.0質量%、東邦化学工業(株)製)」、商品名「カチナールLC-200(第4級窒素含有率1.0質量%、東邦化学工業(株)製)」等が挙げられる。
式(c2)で表される構成単位を有する化合物の市販品としては、例えば、商品名「SoftCAT SL-5(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SoftCAT SL-30(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SoftCAT SL-60(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SoftCAT SL-100(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SoftCAT SX-400X(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SoftCAT SX-1300X(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」、商品名「SoftCAT SX-400H(第4級窒素含有率2.1質量%、ダウ・ケミカル(株)製)」等が挙げられる。
これらの中でも、防カビ持続効果の向上の観点から、「SUPRACARE212」、「SUPRACARE241」、「SoftCAT SL-100」が好ましく、「SUPRACARE212」、「SUPRACARE241」がより好ましい。
カチオン化セルロースは、(B)成分と吸着した状態で一緒に煙化することで燻煙剤組成物の揮散率を向上させる。しかし、カチオン化セルロースに(B)成分が過剰に吸着すると、カチオン化セルロースが重くなりすぎ、揮散率が低下する。カチオン化セルロースは、(B)成分と適度に吸着することで、カチオン化セルロースが過剰に重くなることなく、効率よく燻煙剤組成物を揮散できるものと考えられる。
式(c1)で表される構成単位を有する化合物について、カチオン化度は、1.9質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。カチオン化度が上記上限値以下であると、(B)成分の揮散率がより高まる。
ここで、「カチオン化度」とは、(C)成分の分子中に占める、カチオン化剤に由来する窒素原子の含有率(質量%)、すなわち、(C)成分の総質量に対する窒素原子の含有率を意味する。
(C)成分のカチオン化度は、特定された化学構造に基づいて計算される。(C)成分における任意のモノマーの比率が不明な場合等、(C)成分の化学構造が特定されない場合には、(C)成分のカチオン化度は、実験的に求められた窒素含有率から算出される。(C)成分中の窒素含有率の測定方法としては、例えば、ケルダール法等が挙げられる。
カチオン化グァーガムとしては、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガムが挙げられる。
カチオン化グァーガムの市販品としては、例えば、商品名「JAGUAR EXCEL(三晶(株)製)」、商品名「JAGUAR C-14S(三晶(株)製)」、「JAGUAR C-500(三晶(株)製)」、商品名「カチナール CG-100(東邦化学工業(株)製)」、商品名「カチナール CG-100S(東邦化学工業(株)製)」、商品名「カチナール CG-100LD(東邦化学工業(株)製)」、商品名「Guarsafe JK140(JINGKIN CHEMISTRY COMPANY製)」等が挙げられる。
カチオン化デンプンとしては、例えば、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン等が挙げられる。
カチオン化デンプンの市販品としては、例えば、商品名「SensomerCI-50(日本ルーブリゾール(株)製)」、商品名「DOCSTARCH CP(DOC JAPAN(株)製)」、商品名「DOCSTARCH CP Plus(DOC JAPAN(株)製)」等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、3~20質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく、8~20質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、防カビ持続効果をより高められる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、燻煙剤組成物の揮散率をより高められる。
(B)成分/(C)成分で表される質量比(以下、「B/C比」ともいう。)は、0.3~4.0が好ましく、0.3~2.6がより好ましく、0.5~1.5がさらに好ましい。B/C比が上記数値範囲内であると、防カビ持続効果をより高められる。
<(D)成分>
(D)成分は、微生物制御剤である。(D)成分は、除菌、抗菌、防カビ効果等を発揮する有効成分である。
(D)成分としては、例えば、銀を含有する化合物、有機系薬剤等が挙げられる。
(D)成分としては、防カビ持続効果により優れることから、銀を含有する化合物が好ましい。
これらの(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
銀を含有する化合物としては、例えば、有効成分として除菌、殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ、消臭作用を有する銀単体;酸化銀;塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀、スルホン酸銀等の無機銀塩;蟻酸銀、酢酸銀等の有機銀塩等の銀化合物を含むものが挙げられる。
また、銀を含有する化合物としては、上記の銀化合物をゼオライト、シリカゲル、低分子ガラス、リン酸カルシウム、ケイ酸塩、酸化チタン等の物質(以下、「担体」ともいう。)に担持させた担持体を用いてもよい。担持体としては、例えば、銀単体、酸化銀、無機銀塩、有機銀塩等の銀化合物を担持したゼオライト系抗菌剤、シリカゲル系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、ケイ酸塩系抗菌剤等が挙げられる。
これらの中でも、銀を含有する化合物としては、銀単体、酸化銀、硝酸銀等の無機銀塩、又はこれらを担体に担持させた担持体が好ましく、ゼオライト系抗菌剤がより好ましい。
銀を含有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機系薬剤としては、例えば、3-メチル-4-イソプロピルフェノール(IPMP)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト(IPBC)、o-フェニルフェノール(OPP)、安息香酸ナトリウム、グルタルアルデヒド、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、1.5~8質量%が好ましく、1.5~5質量%がより好ましく、3~5質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、防カビ効果及び防カビ持続効果をより高められる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、防カビ持続効果をより高められる。
<任意成分>
本実施形態の燻煙剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分以外のその他の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、従来公知の燻煙剤組成物に使用可能な添加剤、例えば、結合剤、賦形剤、発熱助剤、安定剤、効力増強剤、酸化防止剤、賦香剤、溶剤等が挙げられる。
これらの任意成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
結合剤としては、例えば、セルロース系化合物、デンプン系化合物、天然物系化合物、合成高分子系化合物等が挙げられる。
セルロース系化合物としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとそのカルシウム塩及びナトリウム塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
デンプン系化合物としては、例えば、デンプン、α化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム塩等が挙げられる。
天然物系化合物としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント、ゼラチン等が挙げられる。
合成高分子系化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、無機鉱物等が挙げられる。無機鉱物としては、例えば、クレー、カオリン、タルク、石英、水晶等が挙げられる。
発熱助剤としては、例えば、酸化亜鉛、リン酸カルシウム、メラミン等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、ブチルヒドキシアニソール、没食子酸プロピル(プロピル-3,4,5-トリヒドロキシベンゾエート)、エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキシド(5-[2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシメチル]-6-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール)、S-421(ジ(2,3,3,3-テトラクロロプロピル)エーテル)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール等が挙げられる。
賦香剤としては、各種香料等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、水、1価アルコール等が挙げられる。1価アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
燻煙剤組成物が任意成分を含有する場合、任意成分の含有量は、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、5~19質量%が好ましく、5~17質量%がより好ましく、5~14質量%がさらに好ましい。任意成分の含有量が上記下限値以上であると、燻煙剤組成物に、添加剤に基づく物性を付与できる。任意成分の含有量が上記上限値以下であると、防カビ持続効果をより高められる。
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と、これら任意成分との合計量は、燻煙剤組成物の総質量を100質量%として、100質量%を超えない。
≪燻煙剤組成物の製造方法≫
本実施形態の燻煙剤組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、必要に応じて任意成分とを、混合することにより得られる。
本実施形態の燻煙剤組成物は、粉状、粒状、錠剤等の固形製剤として調製される。
燻煙剤組成物の製造方法としては、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法が用いられる。例えば、粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等、造粒物の公知の製造方法が用いられる。
押出し造粒法による製造方法の具体例としては、燻煙剤組成物の各成分をニーダー等により混合し、必要に応じて適量の水を加えて混合し、得られた混合物を任意の開孔径を有するダイスを用い、前押出しあるいは横押出し造粒機で造粒する方法が挙げられる。得られた造粒物をさらにカッター等で任意の大きさに切断し、水分除去のための乾燥を行ってもよい。
乾燥方法としては、例えば、従来公知の乾燥機を用いた加熱乾燥法等が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されないが、50~80℃が好ましい。乾燥温度が上記下限値以上であると、燻煙剤組成物中の水分含量を抑制できる。乾燥温度が上記上限値以下であると、燻煙剤組成物中の成分の分解を抑制できる。
乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜決定される。
乾燥後の燻煙剤組成物の水分含量は、特に限定されないが、例えば、燻煙剤組成物の総質量に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。燻煙剤組成物の水分含量が上記上限値以下であると、燻煙剤組成物の揮発率をより高められる。
水分含量は、例えば、乾燥後の燻煙剤組成物をすりつぶし、105℃、20分の条件にて、水分計で測定できる。水分計としては、例えば、(株)島津製作所製の水分計「MOC-120H」が挙げられる。
≪燻煙剤組成物の使用方法(燻煙方法)≫
本実施形態の燻煙剤組成物は、加熱されることにより(A)成分が熱分解し、白色の煙状物が発生するとともに各成分が飛散する。燻煙剤組成物の加熱温度は、200~700℃であれば燻煙することが可能で、250~450℃が好ましい。
本実施形態の燻煙方法としては、直接加熱方式や間接加熱方式等が挙げられる。
直接加熱方式は、点火具等を使用し燻煙剤組成物を直接燃焼させ燻煙する方法である。
間接加熱方式は、燻煙剤組成物を燃焼させることなく、(A)成分の熱分解に必要な温度(熱エネルギー)を、伝熱部(例えば、燻煙剤組成物を収容した容器の壁(側壁や底壁)、前記容器の空間等)を介して供給し燻煙する方法である。
燻煙方法としては、簡便かつ汚染防止効果に優れることから、間接加熱方式による燻煙が好ましい。
間接加熱方式としては、(A)成分が熱分解し得る温度まで燻煙剤組成物に熱エネルギーを供給できるものであればよく、間接加熱方式の燻煙方法に通常用いられる公知の加熱方法を採用できる。例えば、水と接触して発熱する物質(発熱剤)を水と接触させ、その反応熱を利用する方法、金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを混合(例えば、鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合)し、その酸化反応により生じる熱を利用する方法、電熱線のような電気的な力(例えば、ホットプレート等)によって発生した熱を利用する方法等が挙げられる。これらの中でも、実用性の観点から、発熱剤を水と接触させ、その反応熱を利用する方法が好ましい。
発熱剤としては、例えば、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、発熱剤としては、実用性の点から、酸化カルシウムが好ましい。
≪防カビ燻煙装置≫
本発明の燻煙剤組成物は、燻煙装置に充填し、公知の燻煙方法にて使用できる。
防カビ燻煙装置は、燻煙剤組成物を収容した全量噴射型容器を備える燻煙装置の一実施形態である。
以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る防カビ燻煙装置について説明する。
図1に示すように、防カビ燻煙装置10は、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とを備える。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、本体14の上部に設けられた蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30に燻煙剤組成物が充填されて燻煙剤部32が形成されている。燻煙剤容器30は、加熱部20の上方に位置する。防カビ燻煙装置10は、間接加熱型の燻煙装置の一例である。
蓋部18は、貫通孔を有するものであり、メッシュ、パンチングメタル、格子状の枠体等が挙げられる。蓋部18の材質は、例えば、金属、セラミック等が挙げられる。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
燻煙剤容器30は、燻煙剤部32を充填する容器として機能するとともに、加熱部20で生じた熱エネルギーを燻煙剤部32に伝える伝熱部として機能するものである。燻煙剤容器30は、例えば、金属製の容器等が挙げられる。
加熱部20は、特に限定されず、燻煙剤部32の煙化に必要な熱量を考慮して適宜決定できる。加熱部20としては、発熱剤を充填して形成したものが好ましく、酸化カルシウムを充填して形成したものが特に好ましい。また、加熱部20は、鉄粉と酸化剤とを仕切り材で仕切って充填して形成してもよく、金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを仕切り材で仕切って充填して形成してもよい。
底部16は、加熱部20の機構に応じて適宜決定すればよい。例えば、加熱部20が発熱剤(酸化カルシウム等)により構成されている場合、底部16には不織布や金属製のメッシュ等を用いることができる。底部16を不織布や金属製のメッシュとすることで、底部16から水を加熱部20内に浸入させて反応熱を発生させ、燻煙剤組成物を加熱することができる。
防カビ燻煙装置10を用いた燻煙方法について説明する。
まず、防カビ燻煙装置10を対象空間内に設置する。次いで、加熱部20の機構に応じて加熱部20を発熱させる。例えば、酸化カルシウムを充填した加熱部20が設けられている場合、底部16を水中に浸漬する。これにより、底部16から浸入した水が加熱部20で酸化カルシウムと反応し、200~450℃程度の熱が発生する。
そして、底部16から浸入した水が加熱部20で酸化カルシウムと反応して発生した熱が、燻煙剤容器30の側壁や底壁を介して燻煙剤部32に伝わり、燻煙剤部32の温度が上昇して(A)成分が熱分解して二酸化炭素が発生し、(B)成分~(D)成分と、(A)成分が熱分解して発生した二酸化炭素と、の蒸気が発生する。この、生じた蒸気とともに(B)成分~(D)成分が蓋部18の貫通孔を勢いよく通過して対象空間内に(B)成分、(C)成分及び(D)成分が拡散することで、微生物抑制効果を得ることができる。このように、防カビ燻煙装置10を用いることで簡便に燻煙処理を施すことができる。
対象空間としては、特に限定されず、例えば、浴室、居室、押入れ、トイレ等が挙げられる。
本実施形態の燻煙剤組成物の使用量は、燻煙処理を行う空間の容積に応じて適宜設定すればよく、1mあたり0.1~2.4gが好ましく、0.4~2.0gがより好ましい。燻煙剤組成物の使用量が上記下限値以上であると、防カビ効果が充分に得られやすい。燻煙剤組成物の使用量が上記上限値以下であると、コストを抑制でき、有効成分の飛散率を維持しやすい。
燻煙処理時間(燻煙開始後、対象空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されないが、30~120分が好ましく、60~90分がより好ましい。燻煙処理時間が上記下限値以上であると、防カビ効果が充分に得られやすい。燻煙処理時間が上記上限値以下であると、燻煙処理の効率を向上しやすい。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
[使用原料]
<(A)成分>
・A-1:アゾジカルボンアミド、商品名「ダイブロー(登録商標)AC.2040(C)」、大日精化工業(株)製。
<(B)成分>
・B-1:PO-EO-PO型非イオン界面活性剤1、商品名「Pluronic(登録商標)RPE1740」、BASFジャパン(株)製。
・B-2:PO-EO-PO型非イオン界面活性剤2、商品名「Pluronic(登録商標)RPE2525」、BASFジャパン(株)製。
・B-3:EO-PO-EO型非イオン界面活性剤1、商品名「Pluronic(登録商標)PE6400」、BASFジャパン(株)製。
・B-4:EO-PO-EO型非イオン界面活性剤2、商品名「Pluronic(登録商標)PE6800」、BASFジャパン(株)製。
・B-5:ソルビタン脂肪酸エステル、商品名「エマゾール(登録商標)O-10V」、花王(株)製。
・B-6:グリセリン脂肪酸エステル、商品名「ポエム(登録商標)DL-100」、理研ビタミン(株)製。
<(C)成分>
・C-1:カチオン化セルロース1、商品名「SUPRACARE241」、第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製。
・C-2:カチオン化セルロース2、商品名「SUPRACARE212」、第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル(株)製。
・C-3:カチオン化セルロース3、商品名「SoftCAT SL-5」、第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製。
・C-4:カチオン化セルロース4、商品名「SoftCAT SL-30」、第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製。
・C-5:カチオン化セルロース5、商品名「SoftCAT SL-100」、第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル(株)製。
・C-6:カチオン化グァーガム、商品名「JAGUAR C-14S」、三晶(株)製。
・C-7:ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、商品名「シャロール(登録商標)DC-902P」、第一工業製薬(株)製。
・C-8:カチオン性ポリビニルアルコール、商品名「ゴーセネックス(登録商標)K-434」、三菱ケミカル(株)製。
<(D)成分>
・D-1:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤、商品名「ゼオミック(登録商標)AJ10N」、銀含有量2.5質量%、平均粒子径約2.5μm、(株)シナネンゼオミック製。
・D-2:3-メチル-4-イソプロピルフェノール(IPMP)、商品名「4-Isopropyl-3-methylphenol」、東京化成工業(株)製。
<任意成分>
・HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、商品名「メトローズ(登録商標)60SH-50」、信越化学工業(株)製。
・ZnO:酸化亜鉛、商品名「日本薬局方 酸化亜鉛」、平均粒子径0.6μm、真比重5.6g/cm(20℃)、堺化学工業(株)製。
・クレー:クレー、商品名「NK-300」、SiO:75質量%、Al・2SiO・2HO:25質量%、昭和KDE(株)製。
(その他成分)
・酸化カルシウム、商品名「CAg」、ロータリーキルン炉焼成品(葛生産)、嵩比重0.80g/cm(20℃)、吉澤石灰工業(株)製。
[実施例1~30、比較例1~4]
<燻煙剤組成物の製造>
室温(20℃)条件下において、表1~6に示す組成(配合比率)に従い、各成分をニーダー(S5-2G型、株式会社モリヤマ製)で攪拌混合した後、組成全量を100質量部として10質量部の水を加えて混合し、混合物を得た。得られた混合物を直径3mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(EXK-1、株式会社不二パウダル製)を用いて造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(FL300、株式会社不二パウダル製)により長さ2~5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(RT-120HL、アルプ株式会社製)により2時間乾燥させ、顆粒状の燻煙剤組成物を得た。
<防カビ燻煙装置の作製>
図1に示す防カビ燻煙装置10と同様の構成の燻煙装置を次に示す手順で作製した。
ライオン(株)製「ルックプラスおふろの防カビくん煙剤」に使用されているブリキ缶(直径52mm×高さ67mm)の加熱部20に、加熱剤として酸化カルシウム(商品名「CAg」、吉澤石灰工業(株)製)を56g充填し、専用の底部16を取り付け、各例の燻煙剤組成物5gを内容器(燻煙剤容器30)に収容したのち、蓋部18を取り付け、防カビ燻煙装置10を作製した。
得られた防カビ燻煙装置10を用いて、以下の防カビ効果の評価、防カビ持続効果の評価、付着滞留効果の評価を行った。結果を表1~6に示す。表中、「配合比率」の単位は「質量%」であり、純分換算量を示す。表中「-」は、その成分が含まれていないことを示す。表中、「バランス」は、燻煙剤組成物に含まれる全成分の合計が100質量%となるように加えられるクレーの配合比率を意味する。
<防カビ効果の評価、防カビ持続効果の評価>
(1)防カビ効果評価用の試料作製
図2に示す密閉可能な評価室100(L1=L2=1.6m、H1=2.0m、床面から天井面までの高さ:約2m)の床102の片隅に、6枚の5cm角プラスチック板120を並べて取り付けた。評価室100の床中央部に23mLの水を入れた給水用プラスチック容器110を設置し、各例に従って作製した防カビ燻煙装置10を給水用プラスチック容器110に入れ、燻煙を開始し、評価室100を密閉した。燻煙開始から90分後に評価室100内の空気を排気し、6枚の5cm角プラスチック板120を回収した。
回収した5cm角プラスチック板120のうち3枚を、水道水約1L(5cm角プラスチック板120全体が浸かる量)及び攪拌子を入れた1Lビーカーに入れ、攪拌子を500rpmで攪拌しながら90秒間水処理した後に取り出して、室温(20℃)で乾燥させた。これは、実家庭の浴室において、燻煙処理後、床や壁の処理面に水がかかることを想定したものである。
回収した6枚の5cm角プラスチック板120のうち、水処理後の5cm角プラスチック板120を「板1、板2、板3」とし、水処理していない(水処理前の)5cm角プラスチック板120を「板4、板5、板6」とした。
(2)評価方法
ポテトデキストロース寒天培地(Difco社製)の斜面培地にて25℃、7日間培養したCladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)、及び50%に希釈し滅菌したポテトデキストロース液体培地を用いて、約10CFU/mLの胞子液を調製した。
0.1mLの胞子液を(1)で作製した板1、板2、板3、板4、板5、板6、及び燻煙処理していない3枚の5cm角プラスチック板(以下、板7、板8、板9とする)にそれぞれ接種した。
胞子液を接種した板1、板2、板3、板4、板5、板6、板7、板8、板9の各々に、40mm×40mmに切断したフィルム(JIS Z2801:2010(抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果)に記載のフィルム)を、胞子液を覆うようにかぶせて、25℃、相対湿度98%以上の条件にて5日間培養した。
培養後、板1、板2、板3、板4、板5、板6、板7、板8、板9から全ての菌を回収し、計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈したものを、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した。その後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。
計測したコロニー数と胞子液の希釈倍率とから、板1、板2、板3、板4、板5、板6、板7、板8、板9のそれぞれの生菌数(CFU/板)を求めた。本条件では、培養後の各板から回収される生菌数は、1×10~9×10CFU/板であった。
板1、板2、板3の生菌数の平均値と、板4、板5、板6の生菌数の平均値とから、水がかかった場合の防カビ持続効果を評価した。
(3)評価式
板1、板2、板3(水処理後のプラスチック板)の生菌数の平均値(板1~3生菌数)、板4、板5、板6(水処理前のプラスチック板)の生菌数の平均値(板4~6生菌数)、未燻煙の板7、板8、板9の生菌数の平均値(板7~9生菌数)から、下記式(i)、(ii)を用いて防カビ率(%)を算出し、その値から下記式(iii)を用いて防カビ効果の持続率(%)を算出した。防カビ効果の持続率(%)の値から、以下の基準で防カビ持続効果を評価した。防カビ効果の持続率(%)が高いほど、水(水道水)で処理しても防カビ効果が低下せず優れていることを示す。
水処理後の防カビ率(%)={1-(板1~3生菌数)/(板7~9生菌数)}×100・・・(i)
水処理前の防カビ率(%)={1-(板4~6生菌数)/(板7~9生菌数)}×100・・・(ii)
防カビ効果の持続率(%)=(水処理後の防カビ率(%))/(水処理前の防カビ率(%))×100・・・(iii)
(4)判定基準
○○○:防カビ効果の持続率が80%以上。
○○:防カビ効果の持続率が65%以上80%未満。
○:防カビ効果の持続率が50%以上65%未満。
×:防カビ効果の持続率が50%未満。
<付着滞留効果の評価>
(1)評価式
<防カビ効果の評価、防カビ持続効果の評価>(1)で使用した防カビ燻煙装置10を回収し、燻煙開始から12時間以上経過後に蓋部18を開けて燻煙剤組成物の残渣(燻煙残渣)を取り出した。取り出した燻煙残渣の質量(g)を測定し、充填した燻煙剤組成物の質量(g)から消失した質量(g)を算出した。消失した質量(g)と、充填した燻煙剤組成物の質量(g)とから、下記式(iv)を用いて揮散率(%)を算出した。揮散率(%)が高いほど、付着滞留効果に優れていることを示す。
揮散率(%)={(消失した質量(g))/(充填した燻煙剤組成物の質量(g))}×100={((充填した燻煙剤組成物の質量(g))-(燻煙残渣の質量(g)))/(充填した燻煙剤組成物の質量(g))}×100・・・(iv)
(2)判定基準
○○○:揮散率が70%以上。
○○:揮散率が65%以上70%未満。
○:揮散率が62%以上65%未満。
×:揮散率が62%未満。
Figure 2023079618000003
Figure 2023079618000004
Figure 2023079618000005
Figure 2023079618000006
Figure 2023079618000007
Figure 2023079618000008
表1~5に示すように、本発明を適用した実施例1~30は、付着滞留効果の評価が「○○○」、「○○」又は「○」、防カビ持続効果の評価が「○○○」、「○○」又は「○」で、付着滞留効果及び防カビ持続効果に優れていることが確認できた。
これに対して、(C)成分を含有しない比較例1は、付着滞留効果の評価及び防カビ持続効果の評価が「×」だった。(C)成分を含有せず、(A)成分の含有量を増加させた比較例2は、揮散率の向上が見られるものの、防カビ持続効果の評価が「×」だった。(C)成分を含有せず、(B)成分の含有量を増加させた比較例3は、揮散率が低下し、防カビ持続効果の低下が見られた。(C)成分に代えて、カチオン化されていない多糖類(HPMC)を添加した比較例4は、揮散率が低く、防カビ持続効果の評価が「×」だった。
これらの結果から、本発明によれば、付着滞留効果を高め、防カビ効果、特に湿気が多い空間での防カビ持続効果をより向上できることが分かった。
10 防カビ燻煙装置
12 筐体
14 本体
16 底部
18 蓋部
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
100 評価室
102 床
110 給水用プラスチック容器
120 5cm角プラスチック板

Claims (6)

  1. (A)成分:有機発泡剤と、
    (B)成分:非イオン界面活性剤と、
    (C)成分:カチオン性高分子と、
    (D)成分:微生物制御剤と、を含有する、燻煙剤組成物。
  2. 前記(B)成分が、オキシプロピレンとオキシエチレンとの共重合型非イオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の燻煙剤組成物。
  3. 前記(C)成分が、カチオン性多糖類を含む、請求項1又は2に記載の燻煙剤組成物。
  4. 前記(C)成分の含有量が、総質量に対して、3~20質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の燻煙剤組成物。
  5. 前記(D)成分が、銀又は銀化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の燻煙剤組成物。
  6. 筒状の本体、底部及び蓋部を備える筐体と、
    前記筐体内に発熱剤が収容されてなる加熱部と、
    前記筐体内に設けられ前記加熱部の上方に位置する金属製の燻煙剤容器と、を備え、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の燻煙剤組成物が、前記燻煙剤容器に充填されてなる、防カビ燻煙装置。
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