JP2016202868A - 燻煙防カビ方法 - Google Patents
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Abstract
Description
我々は、鋭意、防カビ効果を有する燻煙製剤の開発を行なっていたところ、驚くべきことに、燻煙基剤となるこれらの有機系発泡剤そのものを燻煙した際に、その使用場所において防カビ効果が得られることを見出した。更に、前記のADCA以外の一般に広く使用されている発泡基剤であるADCA以外の発泡基剤にも、防カビ効果のあることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
(1)実質的に防カビ剤を含有せず、少なくとも有機系発泡剤を含む燻煙剤組成物を加熱反応させ、発生する煙によりカビの発生を抑制させることとした燻煙防カビ方法。
(2)前記有機系発泡剤の施用空間当たりの使用量が200 mg/m3以上である(1)に記載の燻煙防カビ方法。
(3)前記有機系発泡剤がアゾジカルボンアミド、p,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びヒドラゾジカルボンアミドから選ばれた1種以上である(1)又は(2)に記載の燻煙防カビ方法。
(4)前記燻煙剤組成物に、さらに発泡助剤を含有する(1)〜(3)のいずれか一に記載の燻煙防カビ方法。
(5)前記発泡助剤が前記燻煙剤組成物中の0.1〜60質量%含有する(4)に記載の燻煙防カビ方法。
(6)前記燻煙剤組成物を線香形状になしたる(1)〜(5)のいずれか1に記載の燻煙防カビ方法。
(7)前記燻煙剤組成物に少なくともセルロース系水溶性高分子を含有されてなる(6)に記載の燻煙防カビ方法。
(8)前記燻煙剤組成物に前記セルロース系水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロース及び、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上を含有されてなる(7)に記載の燻煙防カビ方法。
また、本燻煙防カビ方法に用いる燻煙剤組成物を線香形態とすることで、燻煙時間を調節することが出来る。また、燻煙時における煙が拡がった後の場所での着色度合をより少なくすることが出来る。
特定の空間としては、部屋や玄関などで使用することも想定されるが、湿度が高くカビが発生し易い空間として、風呂場やトイレなどの場所が挙げられる。通常このような空間は、その体積が、3〜15m3程度と想定される。そのような場所に対し、燻煙防カビ方法で用いられる燻煙剤組成物中の有機系発泡剤成分としては、その空間当たり、100mg/m3以上であることが好ましく、更に200 mg/m3以上であることがより好ましい。なお、その使用量が示したよりも少ない場合には、防カビ効果が十分得られない可能性がある。また、使用量において特に上限はないが、多く使用した場合には、使用場所からの漏れ出し等も懸念されることから、10000mg/m3以下が上限として示される。
配合した防カビ成分がどの程度の効力を発揮しているかについては、防カビ成分を入れた燻煙組成物と、そこから防カビ成分を除いた燻煙組成物とを用いた試験を行うことで防カビ効力の比較試験を実施し、その効果を対比することで、確認することが可能である。また、その他に防カビ効力の増強成分、抗菌剤、殺菌剤、ウイルス不活化剤等を配合しても良く、また殺虫剤・共力剤や殺ダニ剤、防虫剤、虫よけ剤、防汚剤、洗浄剤、撥水剤、親水化剤、香料、安定剤、賦形剤等を配合してもよい。
さらに、殺虫剤としては、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、レスメトリン等のピレスロイド系殺虫剤、メトキサジアゾン等のカーバメート系殺虫剤、フェニトロチオン等の有機リン系殺虫剤、あるいはシラフルオフェン、ハイドロプレン、エトフェンプロックス等の化合物を例示できるが、これらに限定されるものではない。
また線香の形状とした場合には、通常の線香に用いる支燃剤である木粉、除虫菊抽出粕粉、柑橘類表皮粉、茶粉末、ココナッツシェル粉末、木炭粉、素灰、タルク等が挙げられる。これらの支燃剤は、単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
好適な粘結剤を例示すると、タブ粉、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの支燃剤や粘結剤は本燻煙剤組成物の燃焼性に影響を与えることがない場合にはいずれも用いることが出来得る。線香形態とした場合には、セルロース系水溶性高分子を含有することが好ましく、更には、セルロース系水溶性高分子の中でもカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
また、燻煙剤組成物を燻煙させる方式としては、一定の熱源を燻煙剤組成物に与えて発泡させて蒸散させる方法(直接加熱方式)と容器内に入れた燻煙剤組成物に周囲から酸化カルシウム等で熱を与えてその熱で加熱させる加熱方式(間接加熱方式)のいずれも用いることが出来る。これらの方式のうち、直接加熱方式は装置なども簡便で、使用に際して手間が掛からないため便利である。
また、燻煙剤組成物の形状として、蚊取線香に代表される線香のように一定時間燻煙する形態とすれば、より使用し易く有用である。線香の形態は、通常の渦巻きのような形態であってもよいが、棒状や板状、円柱状など一定の燃焼をするように断面積を一定にしたものや、アロマ線香のように円錐の形状であってもよく、特に限定されるものではない。
これらの場所に対する燻煙剤組成物としての使用量は、燻煙する空間の大きさに合せて適宜使用量を変更して使用すればよい。
(使用原料)
有機系発泡剤
A−1:ADCA(商品名:ビニホールAC#R−3K.永和化成工業株式会社製)
A−2:OBSH(商品名:ネオセルボンN#1000S.永和化成工業株式会社製)
A−3:HDCA(商品名:セルマイク142.三協化成株式会社製)
発泡助剤
B−1:酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
B−2:オレイン酸ソルビタン(商品名:ブラウノンP−80.青木油脂工業株式会社製)
その他成分
C−1:ケーキング防止剤:含水二酸化ケイ素(商品名:カープレックス,GSL.ジャパン株式会社製)
D−1:香料
E−1:タブ粉
E−2:α-デンプン
E−3:カルボキシメチルセルロース
<<カビの発生抑制効果>>
図1に示すような、体積約100 Lのグローブボックス内で試験を行った。滅菌シャーレ(Ф5.5 cm)に5 mLのポテトデキオロース寒天培地を分注して固化させたのち、Cladosporium cladosporioidesのカビ分散液を20 μL塗布し、よくコンラージ棒で延ばしたものをグローブボックス上部に設置した。この時、シャーレのふたは開け、シャーレの底が天井と接するように設置した。また、グローブボックスの床中央部に、ホットプレートを設置した。ホットプレート上にアルミニウム箔を敷き、その上に試験薬剤を載せ、グローブボックスのフタを閉めた。その状態でホットプレートの電源を入れ試験薬剤を加熱した。薬剤の反応後、すぐにホットプレートの電源を切り、20分間静置した。その後グローブボックスのフタを開け、5分間換気し、シャーレを回収し、シャーレのフタを閉めた。シャーレは25℃で7日間静置し、カビの生育を観察した。試験薬剤を加熱しないものを同様に操作して、25℃で7日間培養したカビの発生量をネガティブコントロールとした。
<<薬剤効果の評価基準>>
◎:カビが全く発生しない。
○:カビ発生量がネガティブコントロールの2割未満。
△:カビ発生量がネガティブコントロールの2割以上9割未満。
×:カビ発生量がネガティブコントロールと同等。
表1に示す組成に従い、各成分を乳鉢で混合し、実施例2〜9の燻煙薬剤とした。実施例1および10〜13に関しては記載した有機系発泡剤をそのまま燻煙薬剤とした。それぞれ合計質量分を量り取って試験を行った。試験結果を表1に示す。
比較例1に関しては無機系発泡剤である炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)をそのまま燻煙薬剤とし、記載した質量分を量り取って使用した。結果を表2に示す。
結果は、比較例1において、カビ発生量はネガティブコントロールと同等だった。
試験は図2に示すような、体積約3.6 m3のユニットバスで試験を行った。滅菌シャーレ(Ф5.5 cm)に5 mLのポテトデキオロース寒天培地を分注して固化させたのち、Cladosporium cladosporioidesのカビ分散液を20 μL塗布し、よくコンラージ棒で延ばしたものをユニットバスの天井中央部に設置した。この時、シャーレのふたは開け、シャーレの底が天井と接するように設置した。
本発明の燻煙剤組成物として、実施例14に記載の通り、ADCA95%、酸化亜鉛3%及びカ−プレックス2%を乳鉢で混合して得られたもの5.0gを取り、ポリエチレンラミネートフィルム中に封入したものを試験薬剤とした。
この試験薬剤をユニットバス床中央部に設置し、着火具にて試験薬剤の燻煙を開始させた。燻煙開始後、すぐにユニットバスの外に出て、扉を閉めきり、60分間この状態を維持した。その後ユニットバスの換気扇を作動させ、20分間換気し、ユニットバス内に設置したシャーレを回収しフタを閉じた。シャーレは25℃で7日間静置し、カビの生育を観察した。燻煙をせずに25℃で7日間培養した場合のカビの発生量をネガティブコントロールとした。
実施例14と同様に、表3に示す組成に従い、各成分を混合し、実施例15及び16の燻煙薬剤を作製し、試験を行った。結果を表3に示す。
試験は図2に示すような、体積約3.6m3のユニットバスで試験を行った。滅菌シャーレ(Ф5.5cm)に5mLのポテトデキオロース寒天培地を分注して固化させたのち、Cladosporium cladosporioidesのカビ分散液を20μL塗布し、よくコンラージ棒で延ばしたものをユニットバスの天井中央部に設置した。この時、シャーレのふたは開け、シャーレの底が天井と接するように設置した。
本発明の線香形状の燻煙剤組成物として、実施例17に記載の通り、ADCA84%、酸化亜鉛12%及びカルボキシメチルセルロース4%を乳鉢で混合して得られたものに対して、水を加えて練り、直径1cm程度の棒状にした。これを150℃下で2時間乾燥し、10 g分切り出したものを試験薬剤とした。
この試験薬剤をライターで着火し、ユニットバス床中央部に設置し、燻煙を開始させた。燻煙開始後、すぐにユニットバスの外に出て、扉を閉めきり、60分間この状態を維持した。その後ユニットバスの換気扇を作動させ、20分間換気し、ユニットバス内に設置したシャーレを回収しフタを閉じた。シャーレは25℃で7日間静置し、カビの生育を観察した。燻煙をせずに25℃で7日間培養した場合のカビの発生量をネガティブコントロールとした。
実施例17と同様に、表4に示す組成に従い、各成分を混合し、実施例18の燻煙薬剤を作製し、試験を行った。結果を表4に示す。
Claims (8)
- 実質的に防カビ剤を含有せず、少なくとも有機系発泡剤を含む燻煙剤組成物を加熱反応させ、発生する煙によりカビの発生を抑制させることとした燻煙防カビ方法。
- 前記有機系発泡剤の施用空間当たりの使用量が200 mg/m3以上である請求項1に記載の燻煙防カビ方法。
- 前記有機系発泡剤がアゾジカルボンアミド、p,p‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びヒドラゾジカルボンアミドから選ばれた1種以上である請求項1又は2に記載の燻煙防カビ方法。
- 前記燻煙剤組成物に、さらに発泡助剤を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の燻煙防カビ方法。
- 前記発泡助剤が前記燻煙剤組成物中の0.1〜60質量%含有する請求項4に記載の燻煙防カビ方法。
- 前記燻煙剤組成物を線香形状になしたる請求項1〜5のいずれか一項に記載の燻煙防カビ方法。
- 前記燻煙剤組成物に少なくともセルロース系水溶性高分子を含有されてなる請求項6に記載の燻煙防カビ方法。
- 前記燻煙剤組成物に前記セルロース系水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロース及び、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上を含有されてなる請求項7に記載の燻煙防カビ方法。
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