JP6621324B2 - 燻煙剤および燻煙装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、銀を含む薬剤と、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤(燃焼剤)と、界面活性剤とを含有する燻煙剤が開示されている。
しかしながら、従来の燻煙剤は主に一般住宅を対象としており、従来の燻煙剤を大空間に適用しても、天井が高く処理空間が広いためカビ等の微生物をムラなく十分に防除することができない。
[1] (A)成分:アゾジカルボンアミドと、(B)成分:薬剤と、(C)成分:カルボキシ基を有する有機酸およびその塩の少なくとも一方と、を含有し、(A)成分/(C)成分で表される質量比が1〜25である、燻煙剤。
[2] 前記(C)成分が、1分子内にカルボキシ基を2つ以上有する有機酸およびその塩の少なくとも一方である、[1]に記載の燻煙剤。
[3] 前記(C)成分が、1分子内にカルボキシ基を3つ以上有する有機酸およびその塩の少なくとも一方である、[2]に記載の燻煙剤。
[4] 前記(C)成分が、クエン酸およびクエン酸塩の少なくとも一方である、[3]に記載の燻煙剤。
[5] 前記(A)成分の含有量が、燻煙剤の総質量に対して40〜95質量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の燻煙剤。
[6] 前記(C)成分の含有量が、燻煙剤の総質量に対して1〜50質量%である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の燻煙剤。
[7] 前記(A)成分と(C)成分の含有量の合計が、燻煙剤の総質量に対して60〜98質量%である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の燻煙剤。
[8] 前記(B)成分が、銀を含有する無機系薬剤、または3−メチル−4−イソプロピルフェノールおよび3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートから選択される少なくとも1種の有機系薬剤である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の燻煙剤。
[9] 前記(B)成分が前記無機系薬剤であり、その含有量が燻煙剤の総質量に対して銀濃度換算で0.001〜0.5質量%である、[8]に記載の燻煙剤。
[10] 前記(B)成分が前記有機系薬剤であり、その含有量が燻煙剤の総質量に対して1〜30質量%である、[8]に記載の燻煙剤。
[11] [1]〜[10]のいずれか1つに記載の燻煙剤が収容され、前記燻煙剤を加熱する加熱手段を備える燻煙装置。
本発明の燻煙剤は、以下に示す(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する。
なお、本発明において「防除」とは、菌、ウイルス、カビ等の微生物を殺菌すること、または微生物の増殖を抑制することであり、いわゆる殺菌、抗菌、防カビ、抗カビ、除菌等の概念を含む。
(A)成分は、アゾジカルボンアミドである。(A)成分は、加熱あるいは燃焼により熱分解ガスを発生させ、発生した熱分解ガスの作用により、(B)成分を煙化させる成分(燃焼剤)である。
(B)成分は、薬剤である。(B)成分は、微生物を防除する成分である。
(B)成分としては、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、抗カビ剤、消臭剤、殺虫剤、忌避剤、およびこれらの混合剤などが挙げられ、抗菌、殺菌等の目的に応じて選択すればよい。具体例としては、燻煙剤に汎用されている無機系薬剤、有機系薬剤などが挙げられる。
銀とは、銀単体のことである。
一方、銀化合物としては、例えば、銀の酸化物、塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、炭酸塩等の無機銀塩;銀の蟻酸塩、酢酸塩等の有機銀塩などが挙げられる。
また、無機系薬剤として、銀または銀化合物をゼオライト、シリカゲル、低分子ガラス、リン酸カルシウム、ケイ酸塩、酸化チタン等の物質(以下、「担体」ともいう。)に担持させたもの(以下、「担持体」ともいう。)を用いてもよい。担持体の具体例としては、銀単体や銀化合物を担持したゼオライト系無機抗菌剤、シリカ・アルミナ系無機抗菌剤、シリカゲル系無機抗菌剤、酸化チタン系無機抗菌剤、ケイ酸塩系無機抗菌剤などが挙げられる。
これら無機系薬剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、銀の酸化物、銀化合物を担持したゼオライト系抗菌剤が好ましい。
これらの中でも、IPMP、IPBCが好ましく、IPMPとIPBCを併用することがより好ましい。
一方、(B)成分が有機系薬剤の場合、その含有量は、燻煙剤の総質量に対して1〜30質量%となる量が好ましく、5〜20質量%となる量がより好ましい。有機系薬剤の含有量が1質量%未満であると、有機系薬剤の効果が低下するおそれがある。一方、有機系薬剤の含有量が30質量%を超えると、燻煙処理時に不快な臭気、例えば焦げたような臭気が発生し、燻煙処理後も不快な臭気が残存することがある。
(C)成分は、カルボキシ基を有する有機酸およびその塩の少なくとも一方である。(C)成分は、(A)成分の噴出力を高め、(B)成分の噴出、拡散を助成する成分である。加えて、(C)成分を用いることで(B)成分の対象面への付着性が高まるとともに、汚染も抑制できる。
燻煙剤は、各種添加剤をさらに含有してもよい。例えば、香料、結合剤、界面活性剤、賦形剤、発熱助剤、安定剤、効力増強剤、酸化防止剤等が挙げられる。
これら添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
香料としては、特に限定されず、例えば、以下の文献に記載された香料等が挙げられる。
「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、
「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)、
「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )、
「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)、
「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)、
「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等。
結合剤としては、例えば、セルロース類(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、デンプン系高分子化合物(デンプン、スターチ等)、天然系高分子化合物(アラビアゴム等)、合成高分子化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(POE)−アルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩などが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルアミン塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸類、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類、POE−グリセリン脂肪酸エステル類、POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE−アルキルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(POP)−アルキルエーテル類、アルカノールアミドなどが挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、モノオレイン酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、モノラウリン酸エステルなどが挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、モノカプリル酸グリセリルなどが挙げられる。
賦形剤の含有量は、燻煙剤の総質量に対して2〜45質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。賦形剤の含有量が2質量%以上であれば、燻煙性能がより安定になる。一方、賦形剤の含有量が45質量%以下であれば、充分な燻煙性能(噴出力)が得られやすい。
安定剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドキシアニソール、没食子酸プロピル、エポキシ化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等)などが挙げられる。
効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、S−421などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロールなどが挙げられる。
燻煙剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および必要に応じて任意成分を所定量となるように混合し、粉状、顆粒状、錠剤等の固形製剤として調製される。固形製剤は、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法を用いて調製することができる。例えば、顆粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等、公知の造粒物の製造方法により製造できる。
押出し造粒法による製造方法の具体例としては、燻煙剤の各成分を、ニーダー等により混合し、さらに適量の溶媒を加えて混合し、得られた混合物を一定面積の開孔を有するダイスを用い、前押し出し造粒機あるいは横押し出し造粒機を用い造粒する。得られた造粒物は、さらにカッター等を用いて一定の大きさに切断し乾燥してもよい。溶媒としては以下に例示するものが挙げられるが、例えば溶媒として水を用いる場合には、60〜90℃程度の温度で乾燥することが好ましい。
これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、溶媒は、造粒時に混合、練り込む以外にも、造粒後に噴霧、浸漬させて保持させることもできる。
燻煙剤の使用方法としては、一般的な燻煙剤の使用方法と同様の方法を用いることができる。具体的には、金属製容器、セラミック製容器等の任意の容器に燻煙剤を収容し、燻煙剤を間接的または直接的に加熱して使用される。
間接的に加熱する方法としては、例えば、金属製の容器に燻煙剤を収容し、この金属製の容器を介して燻煙剤を加熱する方法が挙げられる。
加熱方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法;鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合し、または金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物もしくは酸化剤とを混合し、その酸化反応熱を利用する方法等が挙げられる。中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法(水式)が好ましい。
水と接触して発熱する物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、酸化カルシウムが好ましい。
以上説明した本発明の燻煙剤は、上述した(A)成分と(C)成分とを併有するので、噴出力が高まるとともに、対象面に対する(B)成分の付着力も高まる。よって、天井が高い空間での使用において防除効果にムラが生じにくい。しかも、本発明の燻煙剤であれば、煙による空間内の汚染も抑制できる。
本発明の燻煙剤の処理対象としては、密閉可能であれば特に限定されず、例えば公共の大浴場、食品工場、飲料工場、大型コンテナなどが挙げられる。
本発明の燻煙装置は、上述した本発明の燻煙剤が収容され、収容された燻煙剤を加熱する加熱手段を備えるものである。以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る燻煙装置について説明する。
図1の燻煙装置10は、間接加熱式の燻煙装置であり、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部(加熱手段)20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とで概略構成されている。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、本体14の上部に設けられた蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30に燻煙剤が充填されて燻煙剤部32が形成されている。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
燻煙剤容器30としては、例えば、金属製の容器等が挙げられる。
なお、実施例1、6、7、11〜13、18は参考例である。
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:アゾジカルボンアミド(大日精化工業株式会社製、商品名:「ダイブローAC.2040(C)」)
・B−1:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤(株式会社シナネンゼオミック製、商品名:「ゼオミックAJ10N」、銀濃度2.5質量%)
・B−2:水溶性銀系抗菌剤(株式会社J−ケミカル製、商品名:「CF−01」、銀濃度2.5質量%)
・B−3:銀担持シリカ・アルミナ系無機抗菌剤(日揮触媒化成株式会社製、商品名:「ATOMY BALL−(UA)」、銀濃度0.07質量%(担持体1.5質量%))
・B−4:3−メチル−4−イソプロピルフェノール(大阪化成株式会社製、商品名:「ビオゾール」)
・B−5:3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(ロンザジャパン株式会社製、商品名:「GLYCACIL(グライカシル)」)
・C−1:クエン酸(扶桑化学工業株式会社製、商品名:「精製クエン酸(無水)」)
・C−2:コハク酸(扶桑化学工業株式会社製、商品名:「コハク酸」)
・C−3:マレイン酸(関東化学株式会社製、商品名:「マレイン酸 鹿特級」)
・C−4:安息香酸ナトリウム(株式会社伏見製薬所製、商品名:「安息香酸ナトリウム」)
・C−5:フマル酸(株式会社日本触媒製、商品名:「フマル酸」)
・C’−1:アスコルビン酸(関東化学株式会社製、商品名:「L(+)−アスコルビン酸 特級」)
・C’−2:リン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名:「リン酸水素二ナトリウム 特級」)
・香料:表1に示す組成の香料
・ソルビタン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(花王株式会社製、商品名:「エマゾールO−120V」)
・HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、商品名:「メトローズ60SH−50」)
・クレー:昭和KDE株式会社製、商品名:「MK−300」
<微生物防除効果の評価>
(1)殺カビ評価1
まず、図2に示すように、容積70m3の密閉可能な評価室(5.4m×3.4m×高さ3.8mm)40の天井と壁の中央に、下記の方法*1で作製した供試用スライドガラス(菌を接種したスライドガラス)41を、菌を接種した面を内側に向けて取り付けた。
つぎに、評価室40の床面の中央に35mLの水を入れた給水用プラスチック容器を2mの間隔をあけて2つ設置し、各プラスチック容器内に下記の方法*2で作製した燻煙装置42を入れ、燻煙を開始した。燻煙中は評価室40を密閉状態とした。
燻煙開始から2時間後に評価室40内の空気を排気し、供試用スライドガラス41を回収した。
供試用スライドガラス41から下記の方法*3で回収した菌液を、計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈したものを、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。計測したコロニー数と菌液の希釈倍率から生菌数を求め、その値を「処理後の菌数」とした。
別途、燻煙処理していない未処理の供試用スライドガラスから回収した菌液を、計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈したものを、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹接種して、25℃にて5日間培養した後、目視により、形成されたコロニー数を計測した。計測したコロニー数と菌液の希釈倍率から生菌数を求め、その値を「未処理菌数」とした。
上記の結果から、下記の評価基準に従い、カビに対する防除効果を評価した。
ポテトデキストロース寒天(Difco社製)の斜面培地にて25℃、1週間培養したCladosporium cladosporioides HMC1064(以下、「クラドスポリウム」という。)を、滅菌した0.05%Tween80(関東化学株式会社製)水溶液にて約106CFU/mLの懸濁液を調製した。次いで、得られた懸濁液をスライドガラスに0.1mL接種し、室温にて一晩静置した後に乾燥し固定した。
「水ではじめるバルサン(12−16畳用)」(ライオン株式会社製)の容器を用意し、容器内の燻煙剤充填部に燻煙剤25gを充填し、さらに同容器内の発熱剤充填部に酸化カルシウム58gを充填し、燻煙装置を作製した。
菌を接種したスライドガラスとSCDLP培地(日本製薬株式会社製)10mLを、滅菌プラスチックシャーレ(アズワン株式会社製)に入れ、コンラージ棒(日水製薬株式会社製)で撹拌し、スライドガラスから菌を抽出した。
天井および壁の中央に設置したスライドガラスについて、求めた生菌数を常用対数(log)に変換し、未処理の菌数から処理後の菌数を差し引いた値(log(未処理菌数)−log(処理後の菌数))を求め、その値を防除効力とした。その値から、下記の基準でカビに対する防除効果を評価した。
〈判定基準〉
◎:防除効力が4以上。
○:防除効力が2以上4未満。
△:防除効力が1以上2未満。
×:防除効力が1未満。
下記の方法*4で作製した供試用スライドガラスを用いた以外は、殺カビ評価1と同様にして防除効力を求め、カビに対する防除効果を評価した。判定基準は殺カビ評価1と同様である。なお、供試用スライドガラスは壁のみに取り付けた。
ポテトデキストロース寒天(Difco社製)の斜面培地にて25℃、2日間培養したRhodotoyula rubra HIC3420(以下、「酵母」という。)を、滅菌した0.05%Tween80(関東化学株式会社製)水溶液にて約106CFU/mLの懸濁液を調製した。次いで、得られた懸濁液をスライドガラスに0.1mL接種し、室温にて一晩静置した後に乾燥し固定した。
容積70m3の密閉可能な評価室(5.4m×3.4m×高さ3.8mm)の床面の中央に、スライドガラスを設置した。さらに、35mLの水を入れた給水用プラスチック容器を2mの間隔をあけて2つ設置し、各プラスチック容器内に下記の方法*5で作製した燻煙装置を入れ、燻煙を開始した(燻煙処理1)。燻煙中は評価室を密閉状態とした。
燻煙開始から2時間後に、評価室の床面に設置しておいたスライドガラスを取り出し、その表面状態を目視により観察した。
別途、燻煙剤の代わりにアゾジカルボンアミドのみを用いた以外は燻煙処理1と同様にして燻煙を行い(燻煙処理2)、燻煙開始から2時間後に、評価室の床面に設置しておいたスライドガラスを取り出し、その表面状態を目視により観察した。なお、アゾジカルボンアミドの燻煙装置への充填量は、燻煙処理1で用いた燻煙剤中のアゾジカルボンアミドと同量となるようにした。すなわち、例えばアゾジカルボンアミドを84質量%含む燻煙剤を25g用いて燻煙処理1を行った場合、燻煙処理2では、アゾジカルボンアミド21gを燻煙装置に充填して燻煙を行った。
上記の結果から、下記の評価基準に従い、燻煙後の床の汚染状況を評価した。
図1に示したのと同様の構成の燻煙装置を作製した。具体的には、底部16が不織布で構成された円筒状の筐体12と、該筐体12の内部に設けられた燻煙剤容器30とを備えた加熱用容器を用意し、該加熱用容器の燻煙剤容器30内に燻煙剤25gを充填して燻煙剤部32を形成し、同加熱用容器の筐体12と燻煙剤容器30との間に酸化カルシウム58gを充填して加熱部20を形成し、燻煙装置10を作製した。
燻煙処理1の後のスライドガラスについて、汚染の有無を確認した。
また、燻煙処理1の後のスライドガラスが汚染されている場合は、その汚染が、燻煙処理2の後のスライドガラスの表面状態(汚染状態)と比較してどの程度改善されたかを確認し、下記の評価基準に従い、燻煙後の床の汚染状況を評価した。
◎:燻煙処理1の後のスライドガラスの表面が汚染されていない。
○:汚染が改善されている。
△:汚染がやや改善されている。
×:燻煙処理2の後のスライドガラスの表面状態(汚染状態)と同等以下である。
表2〜5に示す組成の燻煙剤を以下の手順で製造した。
表2〜5中の各成分の配合量の単位は質量%である。(B)成分のうち、B−1〜B−3の量は、燻煙剤100質量%中の銀濃度(質量%)である。クレーの「バランス」は、燻煙剤全量が100質量%となる量である。
室温(20℃)条件下において、表2〜5に示す組成に従い、各成分をニーダー(株式会社モリヤマ製、「S5−2G型」)で攪拌混合した後、組成全量を100質量部として10質量部の水を加えて混合し混合物を得た。得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(株式会社不二パウダル製、「EXK−1」)を用いて造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(株式会社不二パウダル製、「FL300」)により長さ2〜5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(アルプ株式会社製、「RT−120HL」)により2時間乾燥させ、顆粒状の燻煙剤を得た。
得られた燻煙剤について、微生物防除効果および汚染性を評価した。結果を表2〜5に示す。
一方、表5から明らかなように、各比較例の燻煙剤は、殺カビ効果にムラが生じた。特に、(A)成分/(C)成分で表される質量比が30である比較例2の燻煙剤、および(C)成分を含まない比較例8、9の燻煙剤は、汚染を抑制できなかった。
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
40:評価室
41:供試用スライドガラス
42:燻煙装置
Claims (2)
- (A)成分:アゾジカルボンアミドを燻煙剤の総質量に対して50〜85質量%と、
(B)成分:薬剤と、
(C)成分:1分子内にカルボキシ基を2つ以上有する有機酸およびその塩の少なくとも一方と、を含有する造粒物であり、
(A)成分/(C)成分で表される質量比が1.5〜10である、燻煙剤。 - 請求項1に記載の燻煙剤が収容され、前記燻煙剤を加熱する加熱手段を備える燻煙装置。
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