JP2004503669A - 制御される発熱反応を介して揮発成分を放出するための多層反応混合物及び装置 - Google Patents
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Abstract
粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱生成粒子、揮発性成分及び任意選択的に緩衝剤、水溶液又はその双方を含む多層多層反応混合物。反応混合物の少なくとも2つの層は、発熱生成粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングを含むゲルに懸濁された発熱生成粒子の一部を含む。これらの多層多層混合物は、制御可能な様式で熱を発生するために特に適している。1つのこのような制御された反応において、反応成分は、一緒に混合し、反応混合物は、所定の時間内で温度が設定温度まで上昇し、混合物は、より長い時間にわたって、設定温度のままである。この様式において該揮発性成分は、周囲の環境に制御可能に放出され得る。該揮発性成分は例えば、香料、芳香剤、防虫剤、燻蒸剤、消毒剤、殺菌剤(細菌)、殺虫剤、農薬、殺菌剤(病原菌)、ダニ駆除剤、殺微生物剤、脱臭剤、かぶり剤(fogging agent)、及びこれらの混合物であり得る。これらの多層多層を使用する装置及び方法も開示される。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを有する発熱粒子、水溶液、揮発成分及び任意選択的な緩衝剤を含む多層反応混合物に関する。多層反応混合物は、特に制御可能な様式で熱を発生することに特に適している。揮発性成分は、本多層反応混合物によって周囲の環境に対して制御可能に解放されることができる。これらの多層反応混合物を使用する装置及び方法も開示されている。
【0002】
(発明の背景)
空中浮遊成分、例えば芳香剤、防虫剤などを供給する多くの方法がある。例えば香りのろうそくは、空中に望ましいにおいを供給する既知の道具である。香料は本質的に同一の機能を果たすが、アロマは通常香料を燃焼するときに展開される自然のにおいである。即ち香料は通常芳香成分の添加を必要としないが、一方香りのろうそくは一般に蝋と芳香剤の混合物である。アロマを供給する燃焼装置の更に別の変異型では、ろうそくは液体又はゲルを加熱し、揮発性成分を展開するために用いられてきた。その上オイルを燃焼するランプは、光を提供するだけでなく、芳香を供給するために長年にわたって用いられてきた。芳香を供給する燃焼装置は既知であるが、こうした装置の大部分は他の空中浮遊成分、例えば防虫剤、薬効のある蒸気、例えばユーカリ、及び他の化合物を供給するためにまた用いられてきた。
あいにく、燃焼装置は生得的に安全の問題を起こす。うっかりしてひっくり返され、その結果火事になる可能性もあり、又は無人で放って置かれた場合には多くの燃焼装置は土台まで燃えつき、周囲の面に火を付ける可能性もある。その上煙はいかなる燃焼装置においても、避けられない副生成物である。一般に燃焼装置からの煙は有毒である可能性があり、そして長期間では健康に問題を起こすかもしれない。このように、こうした装置は空中浮遊成分を供給する簡単で安価な方法である一方、問題がないわけではない。
【0003】
空中浮遊成分を供給する別の方法は、単に蒸発に頼ることである。例えば空中浮遊成分を含有する液体、固体、又はゲル物質はどこにでも設置することができ、そうすれば長い間に空中浮遊成分は蒸発を介して周囲環境に展開するであろう。しかしこのシステムは空中浮遊成分の蒸気圧と大気圧との差に頼っている。空中浮遊成分の蒸気圧が高すぎると、成分は速く供給され過ぎるであろう。同様に空中浮遊成分の蒸気圧が低すぎると、成分は遅く供給され過ぎ、周囲環境に際立った効果を与えられないであろう。例えば多くの防虫剤は蒸気圧が高いため、蒸発によるだけでは効果的に供給することはできない。このように蒸発装置は、供給できる物質の種類において、及びこれらの選択物質を供給し得る速度について、非常に制限がある。
空中浮遊成分を供給する、僅かにより進歩した装置は、電池又は家庭の電気コンセントからの電力を用いる。これらの装置は通常、熱、強制気流、又は両方を提供して空中浮遊成分の供給を促進するために電気を用いる。あいにくこれらの装置は、燃焼装置及び蒸発装置より、作成及び操作が必然的により複雑で、及び高価である。これらの装置は供給を改善するかもしれないが、一方複雑さと価格を高める。その上電池動作式でない装置は、電気コンセントを必要とするため生得的に携帯可能ではない。
【0004】
スプレー及びエアゾールは多種多様な物質を空中に供給し得る。しかしこれらの装置は一般に、手動で操作され、及び供給成分を短時間に集中的に放出する。スプレー及びエアゾールは機械的な制御機構が提供されていなければ、物質の長期間の供給にはうまく適さない。こうした機械的制御は高価で、及びこうした装置の携帯性を制限する。
水溶液で開始される自蔵型発熱反応は、周囲の空気に対して組成物を供給するために考慮された。自蔵型発熱反応は燃焼又は電源なしに熱を提供することができる。この熱は次には供給したい組成物の蒸発を促進することができる。このようにしてより広範囲の組成物がこの様式にて供給され得る。しかしこれらの反応は1つの実質的問題を有し、それらは制御するのが難しい。例えば自蔵型であり、長期間一定温度で動作する反応システムを設計することは困難であった。同様に第1の期間ある温度で動作し、次に第2の期間第2の温度に変化するであろう反応システムを設計することは困難である。反応システムの温度を制御せずには、望ましい組成物の供給を制御できないことは自明のことである。
【0005】
このように周囲空気に組成物を供給する改善された方法及び装置への要求がある。これらの改善された方法及び装置は上記の問題を克服する必要がある。具体的にはそれらは燃焼を必要としてはならず、及び蒸発のみに頼ってはならない。エアゾール及びスプレーより、更に制御される様式で、及び更に長い期間、組成物を空中に供給する装置ヘの要求がある。その上これらの開発された方法及び装置は携帯可能で及び比較的安価であることが必要である。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、次の成分、すなわち、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱粒子及び揮発性成分を有する多層反応混合物に関する。任意選択的に、反応成分は、緩衝剤、水溶液及びここれらの混合物から成る群から選択される追加的な反応物質を含む。反応混合物の少なくとも2つ層は、発熱粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングを含むゲルに懸濁された発熱粒子の一部を含む。
本発明の1つの態様において、反応組成分は、一緒に混合され、反応混合物の温度は、約20分以下で約35℃より大きく、約75℃未満である設定温度まで上昇する。より好ましくは反応混合物は、少なくとも約45分間は設定温度の15℃以内のままである。
【0007】
本発明の発熱生成粒子は好ましくは非複合金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属水素化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される。この金属は、ベリリウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される。及びこれらの発熱生成粒子のための水溶性コーティングは、天然水溶性ポリマー類、無機水溶性ポリマー類、合成水溶性ポリマー類、半合成水溶性ポリマー類、植物起源のポリマー類、微生物起源のポリマー類、動物起源のポリマー類、デンプンポリマー類、セルロースポリマー類、アルギナートポリマー類、ビニルポリマー類、ポリオキシエチレンポリマー類、アクリレートポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される水溶性物質を含む。
本発明のさらに他の態様によれば、次の反応組成分、すなわち、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを有する発熱生成粒子と、揮発性成分とを含む多層混合物を有する熱を発生するための装置が提供される。反応混合物の少なくとも2つの層は、発熱生成粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングを含むゲルに懸濁された発熱生成粒子の一部を含む。任意選択的に、反応祖成分は、緩衝剤、水溶液及びこれらの混合物から成る群から選択された追加的な反応物質を含む。
【0008】
本発明の方法及び装置は、制御可能な様式で周囲空気に組成物を供給する、携帯可能な及び安価なやり方を提供する。本装置は、長期間制御可能な様式で動作するが、一方比較的小型であり得る。例えば、多層反応混合物は、比較的制御される速度で延長された時間にわたって、周囲の環境に組成分を供給するように設計することができる。さらに、本発明の多層反応混合物を使用して、第1の時間において、第1の組成分を空気に供給し、その後、第2の時間において、第2の成分を供給するように反応混合物が温度を自動的に変化することができる。
本発明の装置は多様な有用化合物を周囲の空気、及び衣類、カーペット、ペット、皮膚、及び他の多くの面に供給するために用いられ得る。さらに、本発明の装置は、美的な品質を改良し、装置のユーザーに全体的な印象を改良するために色と光を組み合わせることができる。
【0009】
(発明の詳細な説明)
上述したように、本発明は、次の反応成分、すなわち、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱粒子及び揮発性成分及び水溶液を有する多層反応混合物に関する。任意選択的に、反応成分は、緩衝剤を含む。反応混合物の少なくとも2つ層は、発熱粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングによって形成されたゲルに懸濁された発熱生成粒子の一部を含む。多層反応混合物は、制御可能な様式で熱を発生するために使用することができ、これは、制御される様式で揮発性成分を展開する際に補助となる。この明細書で説明される多層反応混合物を使用する装置が開示される。
この明細書で使用される「ゲル」という用語は、意味する。
【0010】
多層反応混合物
本発明の1つの態様において反応成分を混合することにより反応混合物が形成され、発熱生成粒子と水溶液との間の発熱反応を開始する。発熱反応は、熱を発生し、この熱が、多層反応混合物の温度を上昇させる。熱、さらに正確には、多層反応混合物の温度の上昇は、多層反応混合物から揮発性成分の展開を助ける。理解されるであろうが、発熱生成粒子の水溶性コーティングは、発熱反応の速度、及び生成された熱を制御するために用いられ得る。外部からの制御なしで、多層反応混合物によって発生される熱量を制御する能力は、揮発性成分を制御された速度で供給することを可能にする。
多層のゲルに発熱生成粒子の一部を懸濁することにより発熱反応の所望の温度制御を達成する方法が提供されることが分かった。異なる層が、発熱反応の速度を制御し、異なる揮発成分を供給し、異なる発熱発生粒子を提供し、異なる水溶性コーティングを提供し、好ましい美観又はこれらの組み合わせを提供するように設計されることができる。
【0011】
図1は、本発明の多層反応混合物20を含む装置10の概略図を表す。装置10は、容器12及び多層反応混合物20を含み、これは、層25に発熱生成粒子22:層35にコーティング34を有する発熱生成粒子32:層45にコーティング44を有する発熱生成粒子32:及び層55を含む。さらに、多層反応混合物20は、緩衝粒子26,36及び46及び水溶液100を含む。揮発成分31及び41は、それぞれ層35及び45に分散されている。揮発性成分31及び41は、コーティング34及び44に組み込まれるか、又は揮発性成分34及び44は、乳化されたドロプレット(dropplets)として層35及び45に懸濁されることができる。多層反応混合物20は、容器12内に示され、この容器12は、光源34及び電源38を収容するベース32上に着座する。
図1に示すように、層55は、発熱生成粒子がなく、多層反応混合物20の層25において、発熱生成粒子は、乾燥した粉末の形態であり、すなわち、基本的には、コーティングを実質的に有さない。さらに、層35及び45の揮発性成分31及び41は、異なる成分であり得るが、これは、この場合、必要ではない。
【0012】
図2は、自蔵型カプセル200の形態の本発明による多層反応混合物120を示す略図である。カプセル200の破断された部分201は、3つの異なる層235,245及び255を示す。カプセル200は、層235にコーティング234を有する発熱生成粒子232と、層245にコーティング244を有する発熱生成粒子242とを含む。さらに、多層反応混合物120は、緩衝剤粒子236及び246とを含む。揮発性組成分231及び241は、層235及び245にそれぞれ分散される。揮発性組成分231及び241は、コーティング234又は244に組み込まれるか、又は別の例として、揮発性成分を乳化されたドロップレットとして層235及び245に懸濁することができる。所望の発熱反応を開始するために、カプセル200が、水溶液(図示せず)と混合される。この混合は好適な容器で達成することができる。
【0013】
上述したように、この明細書で開示される多層反応製品に使用される水溶性コーティングの目的は、発熱反応の速度を制御することである。当業者には既知であるが、化学反応は制御するのが困難である。バッチ処理で、熱力学的な考えから離れることを仮定すれば、発熱化学反応の速度は、多層反応混合物の温度及び濃度に大きく依存する。外部からの制御がない場合、発熱反応混合物の温度は反応の初期段階において急速に上昇するであろう。これは主に2つの要因、反応物質の濃度がその最高濃度にあること、及び反応が進むにつれて熱が発生され、これが反応混合物の温度を上げ、次にはこれが反応速度を高めること、による。反応物質が使い果たされるにつれて反応は遅くなり、反応混合物の温度を急勾配で下げる原因となる。この効果は、図3及び図4の双方に図表的に示され、線「A」及び「a」は、時間の関数として制御されない発熱反応混合物の温度を示す。図3及び図4は、さらに後述するが、それらは、本発明によって解決される1つの問題をはっきりと示している。すなわち、図3及び図4の線「A」及び「a」によって表される反応温度は、それぞれ一定に変化する。その上温度変化の速度はほとんど全く一定ではない。
【0014】
以下に詳細に示すように、発熱生成粒子をコーティングすることによって、比較的長い時間にわたって、一定の熱を提供するように多層発熱反応混合物を設計することができる。例えば、多層反応混合物を比較的長時間にわたって、一定の上昇速度で次第に、温度が上昇する他の制御方法は、当業者によって、容易に設計することができる。他の制御スキームは以下の詳細に基づき明らかになるであろう。
【0015】
このような制御スキームにおいて、発熱反応を開始するために反応成分を混合することによって多層反応混合物が準備される。反応混合物の温度は、約35℃より高く及び約75℃未満である、好ましくは約35℃と65℃との間である、及び最も好ましくは約35℃と50℃との間である設定温度まで、約20分未満以内に、好ましくは約10分未満以内に、及びより好ましくは約5分未満以内に増加する。好ましくは反応混合物は、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも約90分にわたって、設定温度の15℃以内のままである。「以内のままである」という言葉は本明細書で使用する時「±」と同一のことを意味することが理解される。例えば50℃の設定温度の「10℃以内に留まる」とは温度が40℃と60℃との間を変動できることを意味する。この制御スキームは、「B」、「C」、「b」及び「c」によって図3及び図4に示されている。
【0016】
図3は、本発明による2つの「制御される」反応に比較して従来技術「A」による1つの「制御されない」発熱反応を表示する(「B」及び「C」)。反応成分及びその結果の多層反応混合物は、表1及び表2に要約されている。表に示すように、マグネシウム粉末が発熱生成粒子として用いられ、及びクエン酸緩衝剤が用いられている。反応混合物「A」の発熱生成粒子は、コートされておらず(プレミックス2)、多層反応混合物「B」及び「C」は、コーティングされない粒子(プレミックス2)及び異なる分子重量(プレミックス1)のポリエチレングルコール(「PEG」でコーティングされた粒子の双方を含む。反応物質(コーティング物質を除く)の重量はこれらの3つの反応混合物において一定に保たれた。即ちマグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤の重量は3つのすべての反応混合物において比較的一定に保たれた(表2参照)。その上マグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤は100.0gの水に反応混合物の各々を形成するため添加された。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
上で簡単に述べたように、線「A」は非制御の発熱反応の温度対時間の典型的グラフである。温度は最初に65℃より大きい最高値まで急速に上昇する。そして次いで反応成分が消費されるにつれて、温度は対数曲線に沿って下降し始める。そしておよそ35分以内に、反応は初期温度(室温)の5℃以内まで冷却した。線「A」により示される、この最初の35分間の反応の間、数分間を超えて温度が一定であることはない。
それと全く反対に、図3のライン「B」及び「C」によって表される多層の混合物は、約10分内で約50℃の設定温度まで上昇する。次いで反応温度は安定して、少なくとも約45分間にわたって設定温度の5℃以内のままである。
【0020】
同様に、図4は、本発明(「b」及び「c」)による2つの「制御される」反応に比較して従来技術(「a」)による1つの「制御されない」発熱反応を表示する。反応成分、及び結果の反応混合物は表3に示され、及び表4に要約されている。マグネシウム粉末が発熱生成粒子として用いられ、及びクエン酸緩衝剤が用いられている。反応混合物「a」の発熱生成粒子は、コーティングされないが(プレミックス2)、多層反応混合物「b」及び「c」の発熱生成粒子は、コーティングされない粒子(プレミックス2)及び異なる分子重量のポリエチレングリコール(「PEG」)でコートされた粒子の双方を含む。反応物質(コーティング物質を除く)の重量はこれらの3つの反応混合物において一定に保たれた。即ちマグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤の重量は3つのすべての反応混合物において比較的一定に保たれた、表4参照。その上マグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤は100.0gの水に反応混合物の各々を形成するため添加された。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
上で簡単に述べたように、線「a」は非制御の発熱反応の温度対時間の典型的グラフである。温度は最初に急速に上昇し、そして次いで反応成分が消費されるにつれて、温度は対数曲線に沿って下降し始める。反応混合物「a」の温度が設定温度40℃の15℃以内である55℃を行き過ぎ、そして55℃まで冷却して下がってくるまでおよそ15分間かかる。反応混合物はその後、反応が25℃未満に下がるまで約40分にだけわたって40℃の15℃以内のままである。線「a」により示される、この最初の55分間の反応の間、数分間を超えて温度が一定であることはない。
これに対し、図4の「b」及び「c」によって表される多層の反応混合物は、約10分以内に約40℃の設定温度まで上昇する。次いで反応温度は安定して、少なくとも約60分にわたって設定温度の5℃以内のままである。
【0024】
図3及び図4に示す制御スキームは、すなわち、反応混合物が設定温度まで上昇し、延長された時間の間、温度が比較的一定のままであることは、本発明によってカバーされる多数の可能な制御スキームの内の1つのみであることを理解しなければならない。例としては、反応成分を一緒に混合するときに、別の制御スキームが起こり、そこでは反応混合物の温度は第1設定温度まで上昇し、第1の期間に第1設定温度の15℃以内に、好ましくは10℃以内に、及びより好ましくは5℃以内のままであり、そして次いで第2設定温度に移動し、第2の期間に第2設定温度の15℃以内に、好ましくは10℃以内に、及びより好ましくは5℃以内のままである。好ましくは第1の期間は、少なくとも約15分間、好ましくは少なくとも約20分間、及び第2の期間は、少なくとも約15分間、好ましくは少なくとも約20分間である。及び第1設定温度が少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃、第2設定温度より高いか、又は或いは第1設定温度は少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃、第2設定温度より低いことがまた好ましい。
【0025】
本発明の制御スキームの更に別の例では、反応成分を一緒に混合するときに、反応混合物の温度は℃/分で測定される実質増加速度において増加し、この実質増加速度は規定増加速度の0.5℃/分以内で、好ましくは0.1℃/分以内で、及びより好ましくは0.01℃/分以内で、少なくとも約45分間、好ましくは少なくとも約60分間、及びより好ましくは少なくとも約90分間そのままである。好ましくは規定増加速度は2℃/分未満、好ましくは1.5℃/分未満、及びより好ましくは1℃/分未満である。
【0026】
反応成分
さて反応成分についてであるが、反応成分は、発熱生成粒子の一部を包み込む水溶性コーティングを含む発熱生成粒子、及び揮発性成分を、最小限として包含する。好ましくは、反応成分は、さらに、緩衝剤、水溶液又はその双方を含む。
【0027】
発熱生成粒子
本発明の発熱生成粒子は好ましくは非複合金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属水素化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される。この金属は、ベリリウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの粒子はまた、水酸化ベリリウム、酸化ベリリウム、酸化ベリリウム一水和物、水素化リチウムアルミニウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。反応混合物の発熱生成粒子の濃度は、多層の反応混合物の約3重量%〜約70重量%、好ましくは、約5重量%〜約65重量%、さらに好ましくは、約8重量%〜約60重量%である。
必ずしも必要ではないが、コーティングのない発熱生成粒子は、約10ミクロン〜約1000ミクロン、好ましくは、約100ミクロン〜約500ミクロン、さらに好ましくは、約200ミクロン〜約400ミクロンの平均の粒子直径を有する。本多層反応混合物において、発熱生成粒子は、均一のゲル内に懸濁されるか、又は非水溶性の溶液に懸濁される乾燥粉末の形態である。
【0028】
水溶性コーティング
時間の関数として多層の反応混合物の温度を制御することは、本発明の目的の1つであり、この制御は、主に発熱生成粒子の少なくとも一部をコーティングすることによって、達成される。いかなる1つの理論によって制限されることを望まないが、コーティングされた発熱生成粒子は、コーティングが溶解するまで水溶液と反応することができないと考えられている。発熱生成粒子のコーティングが溶解し始めると、暴露された粒子は反応を開始し、及び熱を生成する。この機構の見地から、異なるコーティング、コーティングの異なる厚さ、又は両方を有する発熱生成粒子の混合物を用いる利益を容易に理解することができる。同様に反応の初期段階の間に温度の上昇を助けるため、少量の非コーティングの発熱生成粒子を包含することは多くの場合好ましい。多層の反応混合物の水溶性コーティング材料の濃度は、多層反応混合物の約3重量%〜約70重量%、好ましくは、約5重量%〜約65重量%、さらに好ましくは、約8重量%〜約60重量%である。
【0029】
従って、発熱生成粒子の一部は本明細書において開示される水溶性コーティングによりコーティングされなければならないが、粒子のすべてがコーティングされる必要はないことは理解される。その上幾つかの粒子は異なる厚さを有することができ、及びコーティングも異なることができる。より具体的には発熱生成粒子は非コーティング粒子、コーティング粒子、及びこれらの混合物から成る群から選択され得るが、好ましくは発熱生成粒子は非コーティング粒子、第1のコーティング粒子、第2のコーティング粒子、及びこれらの混合物から成る群から選択される粒子を含むが、その際第1のコーティング粒子は第2のコーティング粒子とはコーティング物質、コーティングの厚さ、又は両方において異なる。
【0030】
これらの発熱生成粒子のためのコーティングは、天然水溶性ポリマー類、無機水溶性ポリマー類、合成水溶性ポリマー類、半合成水溶性ポリマー類、植物起源のポリマー類、微生物起源のポリマー類、動物起源のポリマー類、デンプンポリマー類、セルロースポリマー類、アルギナートポリマー類、ビニルポリマー類、ポリオキシエチレンポリマー類、アクリレートポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される水溶性物質であることが必要である。より具体的には発熱生成粒子のコーティングは、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガラクタンガーゴム、カロブシードゴム(carob−seedgum)、カラヤゴム、カラゲナン、ペクチン、寒天、マルメロシード(quinceseed)、アルゲコロイド、デンプン(コーン、ポテトなどより)、グリチルリチン酸、キサンタンゴム、デキストラン、スクシン−グルカン、プルラン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、硫酸セルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース、セルロース粉末、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギン酸エーテル、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー類、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルコポリマー類、分子量200と100,000との間、好ましくは600と20,000との間を有するポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマー類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリマー類、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヘクトライト、無水ケイ酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される水溶性物質を含む。好ましくはコーティングは、水溶性アルキレングリコール類、水溶性アルコール類、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む。本発明に有用な代表的なコーティングは下の表5に記載されている。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
当業者により理解されるであろうが、上述のコーティングの水溶解度は広い範囲にわたって異なる。及び一般的に水溶解度は温度に依存する。したがって、多層反応混合物の温度を制御するために、当業者は、所望の設定温度で溶解し、発熱生成粒子が種々の時間に水溶液に露出されるようにコーティングの厚さを変化させるコーティングを容易に選択することができる。別の制御方法は、異なる速度で溶解する異なるコーティングを用いることである。この方法によると、特定の粒子は反応の初期に暴露するであろうが、他の発熱生成粒子は暴露するまで長くかかるであろう。発熱反応を制御するために、発熱生成粒子をコーティングする他の方法は当業者には明らかであろう。いかなる制御スキームにおいても、コーティングしていない幾つかの粒子を包含することは、必要ではないが好ましいことがあることは理解される。
【0034】
コーティングは発熱生成粒子にいかなる適切な手段により適用され得る。最も簡単な方法はコーティング物質を柔らかくし又は融解して発熱生成粒子の所望の量と混合することである。異なるコーティングの厚さを実現するために、粒子の別のバッチ及びコーティング物質が調製され得る。例えば100gの粒子が100gのPEG600と混合されることが可能であり、及び別に100gの発熱生成粒子が200gのPEG600と混合されることが可能である。粒子の2つのバッチが次いで組み合わされ得る。コーティングの厚さは簡単な物質収支により発熱生成粒子の平均粒径、及びそこに添加されたコーティング物質の量を用いて割り出すことができる。より正確な測定を望む場合は、コーティングの前後における粒子のスペクトル分析により非常に正確な粒径分布が提供され得る。粒径スペクトル分析装置は既知である。
【0035】
多層反応混合物の発熱生成粒子の少なくとも一部をコーティングする必要があるが、後述する揮発性成分、任意の緩衝剤及び他の任意成分は、コーティングされるか、されなくてもよい。より具体的には、揮発性成分、任意の緩衝剤、及びその他の任意成分は発熱生成粒子と共にコーティングされることもできるし、発熱生成粒子とは別にコーティングされることもできるし、又はいかなるコーティングもせずに添加されることもできる。これらの選択の組み合わせはまた多くの場合受容できる結果を生み出す。このため発熱生成粒子ではなくコーティング成分が配合者の特権である。
【0036】
揮発性成分
この明細書に開示された多層反応混合物は、基本的な成分として、香料、芳香剤、防虫剤、燻蒸剤、消毒剤、殺菌剤(細菌)、殺虫剤、農薬、殺菌剤(病原菌)、ダニ駆除剤、殺微生物剤、脱臭剤、かぶり剤(fogging agent)、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される揮発性成分を含む。多層の揮発性成分の濃度は、多層混合物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約15重量%、さらに好ましくは、約0.5重量%〜約10重量%である。
【0037】
この明細書で使用される「揮発性成分」という用語は、発熱反応中に周囲の環境に対して本発明による多層反応混合物から放出されるいかなる成分をも意味する。「揮発性」という言葉は成分の蒸気圧又は沸点についていかなる制限も課さない。例えば多くの優れた芳香剤は水の沸点を優に上回る沸点を有するが、他の芳香剤は水より低い沸点を有する。芳香剤の両型とも本発明による発熱反応の間に展開する場合は、「揮発性成分」の定義の中に分類される。前述したように、必ずしも必要とされないが、揮発性成分が、水溶液の沸点より低い少なくとも30℃である沸点を有することが望ましい。しかしながら、必要的に、発熱反応の間水溶液の一部が例え展開されることがあるとしても、水溶液は、揮発性成分であると考える必要はない。
【0038】
芳香剤は、本多層反応混合物に使用するために好ましい成分であり、好ましい芳香剤は、ジャコウオイル、シベット、カストリウム、アンバーグリス、植物性香料、ビャクダンオイル、ネロリオイル、ベルガモットオイル、レモンオイル、ラベンダーオイル、セージオイル、ローズマリーオイル、ペパーミントオイル、ユーカリオイル、メントール、ショウノウ、バーベナオイル、シトロネラオイル、カウアウトオイル、サルビアオイル、チョウジオイル、カモミールオイル、ビャクダンオイル、コスタスオイル、ラブダナムオイル、エニシダ抽出物、ニンジン種抽出物、ジャスミン抽出物、ミモザ抽出物、スイセン抽出物、オリバナム抽出物、バラ抽出物、アセトフェノネン、ジメチルイナデイン誘導体類、ナフタレン誘導体類、カプリン酸アリル、α−アミルケイ皮アルデヒド、アネトール、アニスアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、プロピオン酸ベンジル、ボルネオール、酢酸シンナミル、シンナミルアルコール、シトラール・シトロネラール、クメンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、デカノール、酪酸エチル、カプリン酸エチル、ケイ皮酸エチル、エチルバニリン、オイゲノール、ゲラニオール、エキセノール、α−ヘキシルケイ皮アルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、酢酸イソアミル、イソアミル イソバレレート イソ−オイゲノール、リナロール、酢酸リナリル、p−メチルアセトフェノン、アントラニル酸メチル、メチルジヒドロアスモナート、メチルオイゲノール、メチル−β−ナフトールケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、ジャコウケトール、ジャコウキシロール、2,5、6−ナノジノール、γ−ナノラクトン、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセテート、β−フェニルエチルアルコール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、γ−ウンデカラクトン、ウンデセナール、バニリン及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0039】
水溶液
本発明の反応混合物の任意成分は水溶液である。水溶液は反応混合物において2つの機能を果たす。具体的には、水溶液は発熱粒子の水溶性コーティングを溶解し、そして次いで発熱生成粒子と反応して熱を発生する。水溶液の量についてはかなり柔軟性があることは理解される。コーティングを溶解し、そして発熱粒子と反応するために十分な量の水溶液が存在しなくてはならないが、過剰の水溶液は多くの場合受容可能であり、及び望ましいことさえもある。実際に過剰の水溶液は反応システムにおけるヒートシンクとして働く。この収容力において水溶液はある状況では所与の反応システムの最高温度を制御するために用いられ得る。しかしながら水溶液は一般的に、上述の反応システムの時間対温度曲線を制御するために有用でない。このため当業者は所与の反応システムに対する水溶液の適量を選択することができるであろう。
【0040】
最も一般的な、そして最も好ましい水溶液は水、及び水を含有する溶液である。一価アルコール及び他の低分子量液体は本発明に用いるのに好適である。「水溶液」についての唯一の評価基準は、それが上述の水溶性コーティングを溶解すること、及びそれが選択された発熱生成粒子と反応することである。多層反応混合物の水溶液の濃度は、多層の反応混合物の約30重量%〜約97重量%、好ましくは、約50重量%〜約95重量%、さらに好ましくは、約60重量%〜約90重量%である。
【0041】
緩衝剤
本発明の多層反応混合物は、任意成分として緩衝剤を含む。緩衝剤は、存在する場合には、層全体にある必要はない。緩衝剤は、発熱反応の加速又は減速、及び反応の終わりにおけるpH制御のような多様な利益を提供し得る。特定の発熱生成粒子はその他のものより速く反応することがあることは既知である。緩衝剤は反応混合物の速度を上げたり、下げたりすることができる。しかしながら、緩衝剤を有する場合にも、制御されない発熱反応は、一般に図3及び図4の線「A」及び「a」に示す時間対温度曲線に従う。このように緩衝剤は反応混合物に都合の良い熱力学的環境を提供するように働くが、緩衝剤は反応の時間対温度特性を制御しない。pHについては、反応の間及び終わりの両方においてpHを制御することは多くの場合望ましい。pHは反応の間は上述のように都合の良い熱力学的環境に寄与することができ、及び発熱反応がほとんど完了する時には、反応混合物の最終pHを調整することができる。特定のpHにおいては反応生成物は沈殿して比較的透明な溶液を残すため、最終のpHは重要であることがある。透明な溶液は望ましいことがあり、それは反応の終わりを示し得る。とにかく、緩衝剤は、明細書の中に示された多層の反応混合物の配合者を補助する。
【0042】
好ましくは、緩衝剤が本発明の多層の反応混合物に存在する場合、緩衝剤に対する発熱生成粒子の重量の比は、1000:1〜1:10000の範囲であり、さらに好ましくは、200:1〜1:200である。及び緩衝剤は好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、グリコール酸、アスパラギン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタミン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、αヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸、ケイ皮酸、安息香酸、フェニル酢酸、ニコチン酸、カイニン酸、ソルビン酸、ピロリドンカルボン酸、トリメリト酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸、o−リン酸、ピロリン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0043】
他の成分
本発明の多層混合物は、任意成分として他の成分を含んでいてもよい。これらの任意成分は例えば、染料、化学発光剤、蛍光剤、真珠箔剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、視覚性向上剤であり得る。より好ましくは視覚性向上剤は、ホタルルシフェラーゼ、アデノシン三リン酸塩、エチレングリコールジステアケート、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの外観の改良剤は、多層の反応混合物に着色し、それを「白熱」するか、外観が満足される効果を提供する。多層反応混合物に存在する場合には、他の成分の濃度は、多層の反応混合物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約20重量%及びさらに好ましくは、約0.5重量%〜約15重量%である。
【0044】
装置
本発明の他の態様において、熱を発生する装置が提供され、この装置は、容器及び次の反応成分を有する多層の反応混合物と、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを有する発熱生成粒子と、水溶液とを有する。装置は任意選択的に緩衝剤を更に含む。本発明の装置に用いられる反応成分は上述のものと同一である。本発明の装置は好ましくは、発熱反応がその中で行われる、自蔵型、及び携帯可能な装置である。好ましくは装置の容器は、発熱反応の間に展開される揮発性成分を排出する、少なくとも1つの穴又は開口部を有する必要がある。その上容器は発熱反応の最高温度に耐え得る物質により構築されている必要がある。反応の最高温度は35℃ほどの低さであれば、多くの物質がこの要件を満たすが、更に高温度の反応は更に高い温度許容度を必要とすることがある。ガラス、プラスチック、発泡スチロール、金属、液体不浸透性の紙、及び多くの他の物質が本発明に用いるのに好適である。容器は好ましくは清潔で、透明、又は半透明であり、不透明の容器はそれほど好ましくはないが、本明細書に用いるのに好適である。本発明の容器中では、発熱生成粒子は乾燥粉末、均一ゲル中に懸濁、又は非水性溶液中に懸濁の形態であり得る。
【0045】
本発明の装置に使用される多層反応混合物は、上述したように制御可能でなければならない。すなわち、反応成分を本装置で一緒に混合するときに、多層反応混合物は、約20分未満、好ましくは、約10分未満、さらに好ましくは約5分未満で約35℃より大きく約75℃未満で、好ましくは約35℃と60℃との間、最も好ましいのは、約35℃と約50℃との間の設定温度まで温度が上昇しなければならない。好ましくは、装置内の多層反応混合物は、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは、少なくとも90分にわたって設定温度の15℃以内のままである。多層反応混合物と関連して上述したような他の制御シーケンスは本装置において使用するものと考えられる。
【0046】
本発明の1つの好ましい実施形態において、装置は光源を包含する。任意選択的に色付きの光を提供し得る光源は、装置の視覚的効果を高めるために用い得る。さらに、上述したように、外観を向上させる薬品を光源に加えて多層反応混合物に使用してもよい。光源は視覚性向上剤を強調するために、又は単に装置を「ライトアップ」するために用いられ得る。光源は電池式、太陽電池式などであり得る。一般には好ましくないが、光源は外部電源、例えば電気コンセントを電源とすることもできる。本発明の装置は好ましくは携帯可能であり、このため外部電源を使用することは携帯性を制限することがある。光源は容器内に、又は容器外側に隣接して存在することも可能である。光源が容器内に設置される場合は、光源及びその電源を液体不浸透性の仕切り内に包み込み、装置を水溶液から遮断することが好ましい。
【0047】
光源は、多層反応混合物にある熱を供給してもよいが、それは望ましい機能ではない。その上多くの電池式作動装置は低い電圧で作動し、ほとんど熱を発生しない。したがって、光源は、追加の熱を反応システムに加える場合でも、制御機構として機能することは意図されていない。
本発明の装置に用いる1つの特に好ましい光源は、発光ダイオード(「LED」)である。LEDは当該技術分野において周知であり、これらの装置の例は、例えば1999年10月5日にハベル(Havel)に発行された米国特許第5,963,185号、及び1999年8月17日にホルム(Holm)らに発行された米国特許第5,940,683号の中に見出すことができる。ハベル(Havel)及びホルム(Holm)らの特許の全体の開示は参考として本明細書に組み入れられる。LEDは単一の源から多数の色を提供する小型の装置である。このように1つの装置から多様な色が反応混合物に照射され、利用可能な視覚的効果の範囲を広げることができる。これらの装置はそれらが低い電圧で動作するという追加の利益を有し、小型電池又は太陽電池のセルだけが必要である。
【0048】
(実施例)
次の例は、本発明の多層反応混合物を示すが、本発明の範囲を制限し又は限定することを意味するものではない。
【0049】
発熱生成粒子をコーティングする方法
発熱生成粒子はポリエチレングリコールにより以下のようにコーティングされる。マグネシウム粉末と無水クエン酸を混合して(1:6.5w/w、両成分共ワコー・ケミカルズ(Wako Chemicals)より)プレミックスを作成し、そして次いで芳香オイルをこのプレミックスに添加する。プレミックスを次いで融解したポリエチレングリコールに添加する。調量されたポリエチレンは、3つの異なる分子量のユニオンカーバイト社(Union Carbide)から市販されているPEG600、ワコーケミカル社(Wako Chemicals)から市販されているPEG1000、ワコーケミカル社(Wako Chemicals)から市販されているPEG2000の混合物である。融解したPEG混合物はおよそ50℃である。この混合物は次いで5℃で10分間、およそ20〜25℃まで冷却される。生成物は3つの異なる分子量のPEG、芳香オイル、マグネシウム粉末、及び無水クエン酸粉末を含み、及び懸濁した粒子を有するゲルである。
【図面の簡単な説明】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求の範囲をもって結論とするが、本発明は添付の図面と組み合わせた次の好ましい実施形態の説明により、よりよく理解されるものと思われる。
【図1】本発明の多層反応混合物を有する装置の略図である。
【図2】自蔵型カプセルの形態の本発明による多層反応混合物の略図である。
【図3】本発明による多層反応混合物を使用した約50℃の設定温度での2つの制御される反応と、制御されない反応のグラフである。
【図4】本発明による多層反応混合物を使用した約40℃の設定温度での2つの制御された反応と、制御されない反応のグラフである。
(技術分野)
本発明は、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを有する発熱粒子、水溶液、揮発成分及び任意選択的な緩衝剤を含む多層反応混合物に関する。多層反応混合物は、特に制御可能な様式で熱を発生することに特に適している。揮発性成分は、本多層反応混合物によって周囲の環境に対して制御可能に解放されることができる。これらの多層反応混合物を使用する装置及び方法も開示されている。
【0002】
(発明の背景)
空中浮遊成分、例えば芳香剤、防虫剤などを供給する多くの方法がある。例えば香りのろうそくは、空中に望ましいにおいを供給する既知の道具である。香料は本質的に同一の機能を果たすが、アロマは通常香料を燃焼するときに展開される自然のにおいである。即ち香料は通常芳香成分の添加を必要としないが、一方香りのろうそくは一般に蝋と芳香剤の混合物である。アロマを供給する燃焼装置の更に別の変異型では、ろうそくは液体又はゲルを加熱し、揮発性成分を展開するために用いられてきた。その上オイルを燃焼するランプは、光を提供するだけでなく、芳香を供給するために長年にわたって用いられてきた。芳香を供給する燃焼装置は既知であるが、こうした装置の大部分は他の空中浮遊成分、例えば防虫剤、薬効のある蒸気、例えばユーカリ、及び他の化合物を供給するためにまた用いられてきた。
あいにく、燃焼装置は生得的に安全の問題を起こす。うっかりしてひっくり返され、その結果火事になる可能性もあり、又は無人で放って置かれた場合には多くの燃焼装置は土台まで燃えつき、周囲の面に火を付ける可能性もある。その上煙はいかなる燃焼装置においても、避けられない副生成物である。一般に燃焼装置からの煙は有毒である可能性があり、そして長期間では健康に問題を起こすかもしれない。このように、こうした装置は空中浮遊成分を供給する簡単で安価な方法である一方、問題がないわけではない。
【0003】
空中浮遊成分を供給する別の方法は、単に蒸発に頼ることである。例えば空中浮遊成分を含有する液体、固体、又はゲル物質はどこにでも設置することができ、そうすれば長い間に空中浮遊成分は蒸発を介して周囲環境に展開するであろう。しかしこのシステムは空中浮遊成分の蒸気圧と大気圧との差に頼っている。空中浮遊成分の蒸気圧が高すぎると、成分は速く供給され過ぎるであろう。同様に空中浮遊成分の蒸気圧が低すぎると、成分は遅く供給され過ぎ、周囲環境に際立った効果を与えられないであろう。例えば多くの防虫剤は蒸気圧が高いため、蒸発によるだけでは効果的に供給することはできない。このように蒸発装置は、供給できる物質の種類において、及びこれらの選択物質を供給し得る速度について、非常に制限がある。
空中浮遊成分を供給する、僅かにより進歩した装置は、電池又は家庭の電気コンセントからの電力を用いる。これらの装置は通常、熱、強制気流、又は両方を提供して空中浮遊成分の供給を促進するために電気を用いる。あいにくこれらの装置は、燃焼装置及び蒸発装置より、作成及び操作が必然的により複雑で、及び高価である。これらの装置は供給を改善するかもしれないが、一方複雑さと価格を高める。その上電池動作式でない装置は、電気コンセントを必要とするため生得的に携帯可能ではない。
【0004】
スプレー及びエアゾールは多種多様な物質を空中に供給し得る。しかしこれらの装置は一般に、手動で操作され、及び供給成分を短時間に集中的に放出する。スプレー及びエアゾールは機械的な制御機構が提供されていなければ、物質の長期間の供給にはうまく適さない。こうした機械的制御は高価で、及びこうした装置の携帯性を制限する。
水溶液で開始される自蔵型発熱反応は、周囲の空気に対して組成物を供給するために考慮された。自蔵型発熱反応は燃焼又は電源なしに熱を提供することができる。この熱は次には供給したい組成物の蒸発を促進することができる。このようにしてより広範囲の組成物がこの様式にて供給され得る。しかしこれらの反応は1つの実質的問題を有し、それらは制御するのが難しい。例えば自蔵型であり、長期間一定温度で動作する反応システムを設計することは困難であった。同様に第1の期間ある温度で動作し、次に第2の期間第2の温度に変化するであろう反応システムを設計することは困難である。反応システムの温度を制御せずには、望ましい組成物の供給を制御できないことは自明のことである。
【0005】
このように周囲空気に組成物を供給する改善された方法及び装置への要求がある。これらの改善された方法及び装置は上記の問題を克服する必要がある。具体的にはそれらは燃焼を必要としてはならず、及び蒸発のみに頼ってはならない。エアゾール及びスプレーより、更に制御される様式で、及び更に長い期間、組成物を空中に供給する装置ヘの要求がある。その上これらの開発された方法及び装置は携帯可能で及び比較的安価であることが必要である。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、次の成分、すなわち、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱粒子及び揮発性成分を有する多層反応混合物に関する。任意選択的に、反応成分は、緩衝剤、水溶液及びここれらの混合物から成る群から選択される追加的な反応物質を含む。反応混合物の少なくとも2つ層は、発熱粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングを含むゲルに懸濁された発熱粒子の一部を含む。
本発明の1つの態様において、反応組成分は、一緒に混合され、反応混合物の温度は、約20分以下で約35℃より大きく、約75℃未満である設定温度まで上昇する。より好ましくは反応混合物は、少なくとも約45分間は設定温度の15℃以内のままである。
【0007】
本発明の発熱生成粒子は好ましくは非複合金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属水素化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される。この金属は、ベリリウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される。及びこれらの発熱生成粒子のための水溶性コーティングは、天然水溶性ポリマー類、無機水溶性ポリマー類、合成水溶性ポリマー類、半合成水溶性ポリマー類、植物起源のポリマー類、微生物起源のポリマー類、動物起源のポリマー類、デンプンポリマー類、セルロースポリマー類、アルギナートポリマー類、ビニルポリマー類、ポリオキシエチレンポリマー類、アクリレートポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される水溶性物質を含む。
本発明のさらに他の態様によれば、次の反応組成分、すなわち、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを有する発熱生成粒子と、揮発性成分とを含む多層混合物を有する熱を発生するための装置が提供される。反応混合物の少なくとも2つの層は、発熱生成粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングを含むゲルに懸濁された発熱生成粒子の一部を含む。任意選択的に、反応祖成分は、緩衝剤、水溶液及びこれらの混合物から成る群から選択された追加的な反応物質を含む。
【0008】
本発明の方法及び装置は、制御可能な様式で周囲空気に組成物を供給する、携帯可能な及び安価なやり方を提供する。本装置は、長期間制御可能な様式で動作するが、一方比較的小型であり得る。例えば、多層反応混合物は、比較的制御される速度で延長された時間にわたって、周囲の環境に組成分を供給するように設計することができる。さらに、本発明の多層反応混合物を使用して、第1の時間において、第1の組成分を空気に供給し、その後、第2の時間において、第2の成分を供給するように反応混合物が温度を自動的に変化することができる。
本発明の装置は多様な有用化合物を周囲の空気、及び衣類、カーペット、ペット、皮膚、及び他の多くの面に供給するために用いられ得る。さらに、本発明の装置は、美的な品質を改良し、装置のユーザーに全体的な印象を改良するために色と光を組み合わせることができる。
【0009】
(発明の詳細な説明)
上述したように、本発明は、次の反応成分、すなわち、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱粒子及び揮発性成分及び水溶液を有する多層反応混合物に関する。任意選択的に、反応成分は、緩衝剤を含む。反応混合物の少なくとも2つ層は、発熱粒子を含み、反応混合物の少なくとも1つの層は、水溶性コーティングによって形成されたゲルに懸濁された発熱生成粒子の一部を含む。多層反応混合物は、制御可能な様式で熱を発生するために使用することができ、これは、制御される様式で揮発性成分を展開する際に補助となる。この明細書で説明される多層反応混合物を使用する装置が開示される。
この明細書で使用される「ゲル」という用語は、意味する。
【0010】
多層反応混合物
本発明の1つの態様において反応成分を混合することにより反応混合物が形成され、発熱生成粒子と水溶液との間の発熱反応を開始する。発熱反応は、熱を発生し、この熱が、多層反応混合物の温度を上昇させる。熱、さらに正確には、多層反応混合物の温度の上昇は、多層反応混合物から揮発性成分の展開を助ける。理解されるであろうが、発熱生成粒子の水溶性コーティングは、発熱反応の速度、及び生成された熱を制御するために用いられ得る。外部からの制御なしで、多層反応混合物によって発生される熱量を制御する能力は、揮発性成分を制御された速度で供給することを可能にする。
多層のゲルに発熱生成粒子の一部を懸濁することにより発熱反応の所望の温度制御を達成する方法が提供されることが分かった。異なる層が、発熱反応の速度を制御し、異なる揮発成分を供給し、異なる発熱発生粒子を提供し、異なる水溶性コーティングを提供し、好ましい美観又はこれらの組み合わせを提供するように設計されることができる。
【0011】
図1は、本発明の多層反応混合物20を含む装置10の概略図を表す。装置10は、容器12及び多層反応混合物20を含み、これは、層25に発熱生成粒子22:層35にコーティング34を有する発熱生成粒子32:層45にコーティング44を有する発熱生成粒子32:及び層55を含む。さらに、多層反応混合物20は、緩衝粒子26,36及び46及び水溶液100を含む。揮発成分31及び41は、それぞれ層35及び45に分散されている。揮発性成分31及び41は、コーティング34及び44に組み込まれるか、又は揮発性成分34及び44は、乳化されたドロプレット(dropplets)として層35及び45に懸濁されることができる。多層反応混合物20は、容器12内に示され、この容器12は、光源34及び電源38を収容するベース32上に着座する。
図1に示すように、層55は、発熱生成粒子がなく、多層反応混合物20の層25において、発熱生成粒子は、乾燥した粉末の形態であり、すなわち、基本的には、コーティングを実質的に有さない。さらに、層35及び45の揮発性成分31及び41は、異なる成分であり得るが、これは、この場合、必要ではない。
【0012】
図2は、自蔵型カプセル200の形態の本発明による多層反応混合物120を示す略図である。カプセル200の破断された部分201は、3つの異なる層235,245及び255を示す。カプセル200は、層235にコーティング234を有する発熱生成粒子232と、層245にコーティング244を有する発熱生成粒子242とを含む。さらに、多層反応混合物120は、緩衝剤粒子236及び246とを含む。揮発性組成分231及び241は、層235及び245にそれぞれ分散される。揮発性組成分231及び241は、コーティング234又は244に組み込まれるか、又は別の例として、揮発性成分を乳化されたドロップレットとして層235及び245に懸濁することができる。所望の発熱反応を開始するために、カプセル200が、水溶液(図示せず)と混合される。この混合は好適な容器で達成することができる。
【0013】
上述したように、この明細書で開示される多層反応製品に使用される水溶性コーティングの目的は、発熱反応の速度を制御することである。当業者には既知であるが、化学反応は制御するのが困難である。バッチ処理で、熱力学的な考えから離れることを仮定すれば、発熱化学反応の速度は、多層反応混合物の温度及び濃度に大きく依存する。外部からの制御がない場合、発熱反応混合物の温度は反応の初期段階において急速に上昇するであろう。これは主に2つの要因、反応物質の濃度がその最高濃度にあること、及び反応が進むにつれて熱が発生され、これが反応混合物の温度を上げ、次にはこれが反応速度を高めること、による。反応物質が使い果たされるにつれて反応は遅くなり、反応混合物の温度を急勾配で下げる原因となる。この効果は、図3及び図4の双方に図表的に示され、線「A」及び「a」は、時間の関数として制御されない発熱反応混合物の温度を示す。図3及び図4は、さらに後述するが、それらは、本発明によって解決される1つの問題をはっきりと示している。すなわち、図3及び図4の線「A」及び「a」によって表される反応温度は、それぞれ一定に変化する。その上温度変化の速度はほとんど全く一定ではない。
【0014】
以下に詳細に示すように、発熱生成粒子をコーティングすることによって、比較的長い時間にわたって、一定の熱を提供するように多層発熱反応混合物を設計することができる。例えば、多層反応混合物を比較的長時間にわたって、一定の上昇速度で次第に、温度が上昇する他の制御方法は、当業者によって、容易に設計することができる。他の制御スキームは以下の詳細に基づき明らかになるであろう。
【0015】
このような制御スキームにおいて、発熱反応を開始するために反応成分を混合することによって多層反応混合物が準備される。反応混合物の温度は、約35℃より高く及び約75℃未満である、好ましくは約35℃と65℃との間である、及び最も好ましくは約35℃と50℃との間である設定温度まで、約20分未満以内に、好ましくは約10分未満以内に、及びより好ましくは約5分未満以内に増加する。好ましくは反応混合物は、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも約90分にわたって、設定温度の15℃以内のままである。「以内のままである」という言葉は本明細書で使用する時「±」と同一のことを意味することが理解される。例えば50℃の設定温度の「10℃以内に留まる」とは温度が40℃と60℃との間を変動できることを意味する。この制御スキームは、「B」、「C」、「b」及び「c」によって図3及び図4に示されている。
【0016】
図3は、本発明による2つの「制御される」反応に比較して従来技術「A」による1つの「制御されない」発熱反応を表示する(「B」及び「C」)。反応成分及びその結果の多層反応混合物は、表1及び表2に要約されている。表に示すように、マグネシウム粉末が発熱生成粒子として用いられ、及びクエン酸緩衝剤が用いられている。反応混合物「A」の発熱生成粒子は、コートされておらず(プレミックス2)、多層反応混合物「B」及び「C」は、コーティングされない粒子(プレミックス2)及び異なる分子重量(プレミックス1)のポリエチレングルコール(「PEG」でコーティングされた粒子の双方を含む。反応物質(コーティング物質を除く)の重量はこれらの3つの反応混合物において一定に保たれた。即ちマグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤の重量は3つのすべての反応混合物において比較的一定に保たれた(表2参照)。その上マグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤は100.0gの水に反応混合物の各々を形成するため添加された。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
上で簡単に述べたように、線「A」は非制御の発熱反応の温度対時間の典型的グラフである。温度は最初に65℃より大きい最高値まで急速に上昇する。そして次いで反応成分が消費されるにつれて、温度は対数曲線に沿って下降し始める。そしておよそ35分以内に、反応は初期温度(室温)の5℃以内まで冷却した。線「A」により示される、この最初の35分間の反応の間、数分間を超えて温度が一定であることはない。
それと全く反対に、図3のライン「B」及び「C」によって表される多層の混合物は、約10分内で約50℃の設定温度まで上昇する。次いで反応温度は安定して、少なくとも約45分間にわたって設定温度の5℃以内のままである。
【0020】
同様に、図4は、本発明(「b」及び「c」)による2つの「制御される」反応に比較して従来技術(「a」)による1つの「制御されない」発熱反応を表示する。反応成分、及び結果の反応混合物は表3に示され、及び表4に要約されている。マグネシウム粉末が発熱生成粒子として用いられ、及びクエン酸緩衝剤が用いられている。反応混合物「a」の発熱生成粒子は、コーティングされないが(プレミックス2)、多層反応混合物「b」及び「c」の発熱生成粒子は、コーティングされない粒子(プレミックス2)及び異なる分子重量のポリエチレングリコール(「PEG」)でコートされた粒子の双方を含む。反応物質(コーティング物質を除く)の重量はこれらの3つの反応混合物において一定に保たれた。即ちマグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤の重量は3つのすべての反応混合物において比較的一定に保たれた、表4参照。その上マグネシウム発熱生成粒子及びクエン酸緩衝剤は100.0gの水に反応混合物の各々を形成するため添加された。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
上で簡単に述べたように、線「a」は非制御の発熱反応の温度対時間の典型的グラフである。温度は最初に急速に上昇し、そして次いで反応成分が消費されるにつれて、温度は対数曲線に沿って下降し始める。反応混合物「a」の温度が設定温度40℃の15℃以内である55℃を行き過ぎ、そして55℃まで冷却して下がってくるまでおよそ15分間かかる。反応混合物はその後、反応が25℃未満に下がるまで約40分にだけわたって40℃の15℃以内のままである。線「a」により示される、この最初の55分間の反応の間、数分間を超えて温度が一定であることはない。
これに対し、図4の「b」及び「c」によって表される多層の反応混合物は、約10分以内に約40℃の設定温度まで上昇する。次いで反応温度は安定して、少なくとも約60分にわたって設定温度の5℃以内のままである。
【0024】
図3及び図4に示す制御スキームは、すなわち、反応混合物が設定温度まで上昇し、延長された時間の間、温度が比較的一定のままであることは、本発明によってカバーされる多数の可能な制御スキームの内の1つのみであることを理解しなければならない。例としては、反応成分を一緒に混合するときに、別の制御スキームが起こり、そこでは反応混合物の温度は第1設定温度まで上昇し、第1の期間に第1設定温度の15℃以内に、好ましくは10℃以内に、及びより好ましくは5℃以内のままであり、そして次いで第2設定温度に移動し、第2の期間に第2設定温度の15℃以内に、好ましくは10℃以内に、及びより好ましくは5℃以内のままである。好ましくは第1の期間は、少なくとも約15分間、好ましくは少なくとも約20分間、及び第2の期間は、少なくとも約15分間、好ましくは少なくとも約20分間である。及び第1設定温度が少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃、第2設定温度より高いか、又は或いは第1設定温度は少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃、第2設定温度より低いことがまた好ましい。
【0025】
本発明の制御スキームの更に別の例では、反応成分を一緒に混合するときに、反応混合物の温度は℃/分で測定される実質増加速度において増加し、この実質増加速度は規定増加速度の0.5℃/分以内で、好ましくは0.1℃/分以内で、及びより好ましくは0.01℃/分以内で、少なくとも約45分間、好ましくは少なくとも約60分間、及びより好ましくは少なくとも約90分間そのままである。好ましくは規定増加速度は2℃/分未満、好ましくは1.5℃/分未満、及びより好ましくは1℃/分未満である。
【0026】
反応成分
さて反応成分についてであるが、反応成分は、発熱生成粒子の一部を包み込む水溶性コーティングを含む発熱生成粒子、及び揮発性成分を、最小限として包含する。好ましくは、反応成分は、さらに、緩衝剤、水溶液又はその双方を含む。
【0027】
発熱生成粒子
本発明の発熱生成粒子は好ましくは非複合金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属水素化物、及びこれらの混合物から成る群から選択される。この金属は、ベリリウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの粒子はまた、水酸化ベリリウム、酸化ベリリウム、酸化ベリリウム一水和物、水素化リチウムアルミニウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。反応混合物の発熱生成粒子の濃度は、多層の反応混合物の約3重量%〜約70重量%、好ましくは、約5重量%〜約65重量%、さらに好ましくは、約8重量%〜約60重量%である。
必ずしも必要ではないが、コーティングのない発熱生成粒子は、約10ミクロン〜約1000ミクロン、好ましくは、約100ミクロン〜約500ミクロン、さらに好ましくは、約200ミクロン〜約400ミクロンの平均の粒子直径を有する。本多層反応混合物において、発熱生成粒子は、均一のゲル内に懸濁されるか、又は非水溶性の溶液に懸濁される乾燥粉末の形態である。
【0028】
水溶性コーティング
時間の関数として多層の反応混合物の温度を制御することは、本発明の目的の1つであり、この制御は、主に発熱生成粒子の少なくとも一部をコーティングすることによって、達成される。いかなる1つの理論によって制限されることを望まないが、コーティングされた発熱生成粒子は、コーティングが溶解するまで水溶液と反応することができないと考えられている。発熱生成粒子のコーティングが溶解し始めると、暴露された粒子は反応を開始し、及び熱を生成する。この機構の見地から、異なるコーティング、コーティングの異なる厚さ、又は両方を有する発熱生成粒子の混合物を用いる利益を容易に理解することができる。同様に反応の初期段階の間に温度の上昇を助けるため、少量の非コーティングの発熱生成粒子を包含することは多くの場合好ましい。多層の反応混合物の水溶性コーティング材料の濃度は、多層反応混合物の約3重量%〜約70重量%、好ましくは、約5重量%〜約65重量%、さらに好ましくは、約8重量%〜約60重量%である。
【0029】
従って、発熱生成粒子の一部は本明細書において開示される水溶性コーティングによりコーティングされなければならないが、粒子のすべてがコーティングされる必要はないことは理解される。その上幾つかの粒子は異なる厚さを有することができ、及びコーティングも異なることができる。より具体的には発熱生成粒子は非コーティング粒子、コーティング粒子、及びこれらの混合物から成る群から選択され得るが、好ましくは発熱生成粒子は非コーティング粒子、第1のコーティング粒子、第2のコーティング粒子、及びこれらの混合物から成る群から選択される粒子を含むが、その際第1のコーティング粒子は第2のコーティング粒子とはコーティング物質、コーティングの厚さ、又は両方において異なる。
【0030】
これらの発熱生成粒子のためのコーティングは、天然水溶性ポリマー類、無機水溶性ポリマー類、合成水溶性ポリマー類、半合成水溶性ポリマー類、植物起源のポリマー類、微生物起源のポリマー類、動物起源のポリマー類、デンプンポリマー類、セルロースポリマー類、アルギナートポリマー類、ビニルポリマー類、ポリオキシエチレンポリマー類、アクリレートポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される水溶性物質であることが必要である。より具体的には発熱生成粒子のコーティングは、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガラクタンガーゴム、カロブシードゴム(carob−seedgum)、カラヤゴム、カラゲナン、ペクチン、寒天、マルメロシード(quinceseed)、アルゲコロイド、デンプン(コーン、ポテトなどより)、グリチルリチン酸、キサンタンゴム、デキストラン、スクシン−グルカン、プルラン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、硫酸セルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース、セルロース粉末、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギン酸エーテル、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー類、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルコポリマー類、分子量200と100,000との間、好ましくは600と20,000との間を有するポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマー類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリマー類、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヘクトライト、無水ケイ酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される水溶性物質を含む。好ましくはコーティングは、水溶性アルキレングリコール類、水溶性アルコール類、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む。本発明に有用な代表的なコーティングは下の表5に記載されている。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
当業者により理解されるであろうが、上述のコーティングの水溶解度は広い範囲にわたって異なる。及び一般的に水溶解度は温度に依存する。したがって、多層反応混合物の温度を制御するために、当業者は、所望の設定温度で溶解し、発熱生成粒子が種々の時間に水溶液に露出されるようにコーティングの厚さを変化させるコーティングを容易に選択することができる。別の制御方法は、異なる速度で溶解する異なるコーティングを用いることである。この方法によると、特定の粒子は反応の初期に暴露するであろうが、他の発熱生成粒子は暴露するまで長くかかるであろう。発熱反応を制御するために、発熱生成粒子をコーティングする他の方法は当業者には明らかであろう。いかなる制御スキームにおいても、コーティングしていない幾つかの粒子を包含することは、必要ではないが好ましいことがあることは理解される。
【0034】
コーティングは発熱生成粒子にいかなる適切な手段により適用され得る。最も簡単な方法はコーティング物質を柔らかくし又は融解して発熱生成粒子の所望の量と混合することである。異なるコーティングの厚さを実現するために、粒子の別のバッチ及びコーティング物質が調製され得る。例えば100gの粒子が100gのPEG600と混合されることが可能であり、及び別に100gの発熱生成粒子が200gのPEG600と混合されることが可能である。粒子の2つのバッチが次いで組み合わされ得る。コーティングの厚さは簡単な物質収支により発熱生成粒子の平均粒径、及びそこに添加されたコーティング物質の量を用いて割り出すことができる。より正確な測定を望む場合は、コーティングの前後における粒子のスペクトル分析により非常に正確な粒径分布が提供され得る。粒径スペクトル分析装置は既知である。
【0035】
多層反応混合物の発熱生成粒子の少なくとも一部をコーティングする必要があるが、後述する揮発性成分、任意の緩衝剤及び他の任意成分は、コーティングされるか、されなくてもよい。より具体的には、揮発性成分、任意の緩衝剤、及びその他の任意成分は発熱生成粒子と共にコーティングされることもできるし、発熱生成粒子とは別にコーティングされることもできるし、又はいかなるコーティングもせずに添加されることもできる。これらの選択の組み合わせはまた多くの場合受容できる結果を生み出す。このため発熱生成粒子ではなくコーティング成分が配合者の特権である。
【0036】
揮発性成分
この明細書に開示された多層反応混合物は、基本的な成分として、香料、芳香剤、防虫剤、燻蒸剤、消毒剤、殺菌剤(細菌)、殺虫剤、農薬、殺菌剤(病原菌)、ダニ駆除剤、殺微生物剤、脱臭剤、かぶり剤(fogging agent)、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される揮発性成分を含む。多層の揮発性成分の濃度は、多層混合物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約15重量%、さらに好ましくは、約0.5重量%〜約10重量%である。
【0037】
この明細書で使用される「揮発性成分」という用語は、発熱反応中に周囲の環境に対して本発明による多層反応混合物から放出されるいかなる成分をも意味する。「揮発性」という言葉は成分の蒸気圧又は沸点についていかなる制限も課さない。例えば多くの優れた芳香剤は水の沸点を優に上回る沸点を有するが、他の芳香剤は水より低い沸点を有する。芳香剤の両型とも本発明による発熱反応の間に展開する場合は、「揮発性成分」の定義の中に分類される。前述したように、必ずしも必要とされないが、揮発性成分が、水溶液の沸点より低い少なくとも30℃である沸点を有することが望ましい。しかしながら、必要的に、発熱反応の間水溶液の一部が例え展開されることがあるとしても、水溶液は、揮発性成分であると考える必要はない。
【0038】
芳香剤は、本多層反応混合物に使用するために好ましい成分であり、好ましい芳香剤は、ジャコウオイル、シベット、カストリウム、アンバーグリス、植物性香料、ビャクダンオイル、ネロリオイル、ベルガモットオイル、レモンオイル、ラベンダーオイル、セージオイル、ローズマリーオイル、ペパーミントオイル、ユーカリオイル、メントール、ショウノウ、バーベナオイル、シトロネラオイル、カウアウトオイル、サルビアオイル、チョウジオイル、カモミールオイル、ビャクダンオイル、コスタスオイル、ラブダナムオイル、エニシダ抽出物、ニンジン種抽出物、ジャスミン抽出物、ミモザ抽出物、スイセン抽出物、オリバナム抽出物、バラ抽出物、アセトフェノネン、ジメチルイナデイン誘導体類、ナフタレン誘導体類、カプリン酸アリル、α−アミルケイ皮アルデヒド、アネトール、アニスアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、プロピオン酸ベンジル、ボルネオール、酢酸シンナミル、シンナミルアルコール、シトラール・シトロネラール、クメンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、デカノール、酪酸エチル、カプリン酸エチル、ケイ皮酸エチル、エチルバニリン、オイゲノール、ゲラニオール、エキセノール、α−ヘキシルケイ皮アルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、酢酸イソアミル、イソアミル イソバレレート イソ−オイゲノール、リナロール、酢酸リナリル、p−メチルアセトフェノン、アントラニル酸メチル、メチルジヒドロアスモナート、メチルオイゲノール、メチル−β−ナフトールケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、ジャコウケトール、ジャコウキシロール、2,5、6−ナノジノール、γ−ナノラクトン、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセテート、β−フェニルエチルアルコール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、γ−ウンデカラクトン、ウンデセナール、バニリン及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0039】
水溶液
本発明の反応混合物の任意成分は水溶液である。水溶液は反応混合物において2つの機能を果たす。具体的には、水溶液は発熱粒子の水溶性コーティングを溶解し、そして次いで発熱生成粒子と反応して熱を発生する。水溶液の量についてはかなり柔軟性があることは理解される。コーティングを溶解し、そして発熱粒子と反応するために十分な量の水溶液が存在しなくてはならないが、過剰の水溶液は多くの場合受容可能であり、及び望ましいことさえもある。実際に過剰の水溶液は反応システムにおけるヒートシンクとして働く。この収容力において水溶液はある状況では所与の反応システムの最高温度を制御するために用いられ得る。しかしながら水溶液は一般的に、上述の反応システムの時間対温度曲線を制御するために有用でない。このため当業者は所与の反応システムに対する水溶液の適量を選択することができるであろう。
【0040】
最も一般的な、そして最も好ましい水溶液は水、及び水を含有する溶液である。一価アルコール及び他の低分子量液体は本発明に用いるのに好適である。「水溶液」についての唯一の評価基準は、それが上述の水溶性コーティングを溶解すること、及びそれが選択された発熱生成粒子と反応することである。多層反応混合物の水溶液の濃度は、多層の反応混合物の約30重量%〜約97重量%、好ましくは、約50重量%〜約95重量%、さらに好ましくは、約60重量%〜約90重量%である。
【0041】
緩衝剤
本発明の多層反応混合物は、任意成分として緩衝剤を含む。緩衝剤は、存在する場合には、層全体にある必要はない。緩衝剤は、発熱反応の加速又は減速、及び反応の終わりにおけるpH制御のような多様な利益を提供し得る。特定の発熱生成粒子はその他のものより速く反応することがあることは既知である。緩衝剤は反応混合物の速度を上げたり、下げたりすることができる。しかしながら、緩衝剤を有する場合にも、制御されない発熱反応は、一般に図3及び図4の線「A」及び「a」に示す時間対温度曲線に従う。このように緩衝剤は反応混合物に都合の良い熱力学的環境を提供するように働くが、緩衝剤は反応の時間対温度特性を制御しない。pHについては、反応の間及び終わりの両方においてpHを制御することは多くの場合望ましい。pHは反応の間は上述のように都合の良い熱力学的環境に寄与することができ、及び発熱反応がほとんど完了する時には、反応混合物の最終pHを調整することができる。特定のpHにおいては反応生成物は沈殿して比較的透明な溶液を残すため、最終のpHは重要であることがある。透明な溶液は望ましいことがあり、それは反応の終わりを示し得る。とにかく、緩衝剤は、明細書の中に示された多層の反応混合物の配合者を補助する。
【0042】
好ましくは、緩衝剤が本発明の多層の反応混合物に存在する場合、緩衝剤に対する発熱生成粒子の重量の比は、1000:1〜1:10000の範囲であり、さらに好ましくは、200:1〜1:200である。及び緩衝剤は好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、グリコール酸、アスパラギン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタミン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、αヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸、ケイ皮酸、安息香酸、フェニル酢酸、ニコチン酸、カイニン酸、ソルビン酸、ピロリドンカルボン酸、トリメリト酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸、o−リン酸、ピロリン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0043】
他の成分
本発明の多層混合物は、任意成分として他の成分を含んでいてもよい。これらの任意成分は例えば、染料、化学発光剤、蛍光剤、真珠箔剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、視覚性向上剤であり得る。より好ましくは視覚性向上剤は、ホタルルシフェラーゼ、アデノシン三リン酸塩、エチレングリコールジステアケート、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの外観の改良剤は、多層の反応混合物に着色し、それを「白熱」するか、外観が満足される効果を提供する。多層反応混合物に存在する場合には、他の成分の濃度は、多層の反応混合物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約20重量%及びさらに好ましくは、約0.5重量%〜約15重量%である。
【0044】
装置
本発明の他の態様において、熱を発生する装置が提供され、この装置は、容器及び次の反応成分を有する多層の反応混合物と、粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを有する発熱生成粒子と、水溶液とを有する。装置は任意選択的に緩衝剤を更に含む。本発明の装置に用いられる反応成分は上述のものと同一である。本発明の装置は好ましくは、発熱反応がその中で行われる、自蔵型、及び携帯可能な装置である。好ましくは装置の容器は、発熱反応の間に展開される揮発性成分を排出する、少なくとも1つの穴又は開口部を有する必要がある。その上容器は発熱反応の最高温度に耐え得る物質により構築されている必要がある。反応の最高温度は35℃ほどの低さであれば、多くの物質がこの要件を満たすが、更に高温度の反応は更に高い温度許容度を必要とすることがある。ガラス、プラスチック、発泡スチロール、金属、液体不浸透性の紙、及び多くの他の物質が本発明に用いるのに好適である。容器は好ましくは清潔で、透明、又は半透明であり、不透明の容器はそれほど好ましくはないが、本明細書に用いるのに好適である。本発明の容器中では、発熱生成粒子は乾燥粉末、均一ゲル中に懸濁、又は非水性溶液中に懸濁の形態であり得る。
【0045】
本発明の装置に使用される多層反応混合物は、上述したように制御可能でなければならない。すなわち、反応成分を本装置で一緒に混合するときに、多層反応混合物は、約20分未満、好ましくは、約10分未満、さらに好ましくは約5分未満で約35℃より大きく約75℃未満で、好ましくは約35℃と60℃との間、最も好ましいのは、約35℃と約50℃との間の設定温度まで温度が上昇しなければならない。好ましくは、装置内の多層反応混合物は、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは、少なくとも90分にわたって設定温度の15℃以内のままである。多層反応混合物と関連して上述したような他の制御シーケンスは本装置において使用するものと考えられる。
【0046】
本発明の1つの好ましい実施形態において、装置は光源を包含する。任意選択的に色付きの光を提供し得る光源は、装置の視覚的効果を高めるために用い得る。さらに、上述したように、外観を向上させる薬品を光源に加えて多層反応混合物に使用してもよい。光源は視覚性向上剤を強調するために、又は単に装置を「ライトアップ」するために用いられ得る。光源は電池式、太陽電池式などであり得る。一般には好ましくないが、光源は外部電源、例えば電気コンセントを電源とすることもできる。本発明の装置は好ましくは携帯可能であり、このため外部電源を使用することは携帯性を制限することがある。光源は容器内に、又は容器外側に隣接して存在することも可能である。光源が容器内に設置される場合は、光源及びその電源を液体不浸透性の仕切り内に包み込み、装置を水溶液から遮断することが好ましい。
【0047】
光源は、多層反応混合物にある熱を供給してもよいが、それは望ましい機能ではない。その上多くの電池式作動装置は低い電圧で作動し、ほとんど熱を発生しない。したがって、光源は、追加の熱を反応システムに加える場合でも、制御機構として機能することは意図されていない。
本発明の装置に用いる1つの特に好ましい光源は、発光ダイオード(「LED」)である。LEDは当該技術分野において周知であり、これらの装置の例は、例えば1999年10月5日にハベル(Havel)に発行された米国特許第5,963,185号、及び1999年8月17日にホルム(Holm)らに発行された米国特許第5,940,683号の中に見出すことができる。ハベル(Havel)及びホルム(Holm)らの特許の全体の開示は参考として本明細書に組み入れられる。LEDは単一の源から多数の色を提供する小型の装置である。このように1つの装置から多様な色が反応混合物に照射され、利用可能な視覚的効果の範囲を広げることができる。これらの装置はそれらが低い電圧で動作するという追加の利益を有し、小型電池又は太陽電池のセルだけが必要である。
【0048】
(実施例)
次の例は、本発明の多層反応混合物を示すが、本発明の範囲を制限し又は限定することを意味するものではない。
【0049】
発熱生成粒子をコーティングする方法
発熱生成粒子はポリエチレングリコールにより以下のようにコーティングされる。マグネシウム粉末と無水クエン酸を混合して(1:6.5w/w、両成分共ワコー・ケミカルズ(Wako Chemicals)より)プレミックスを作成し、そして次いで芳香オイルをこのプレミックスに添加する。プレミックスを次いで融解したポリエチレングリコールに添加する。調量されたポリエチレンは、3つの異なる分子量のユニオンカーバイト社(Union Carbide)から市販されているPEG600、ワコーケミカル社(Wako Chemicals)から市販されているPEG1000、ワコーケミカル社(Wako Chemicals)から市販されているPEG2000の混合物である。融解したPEG混合物はおよそ50℃である。この混合物は次いで5℃で10分間、およそ20〜25℃まで冷却される。生成物は3つの異なる分子量のPEG、芳香オイル、マグネシウム粉末、及び無水クエン酸粉末を含み、及び懸濁した粒子を有するゲルである。
【図面の簡単な説明】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求の範囲をもって結論とするが、本発明は添付の図面と組み合わせた次の好ましい実施形態の説明により、よりよく理解されるものと思われる。
【図1】本発明の多層反応混合物を有する装置の略図である。
【図2】自蔵型カプセルの形態の本発明による多層反応混合物の略図である。
【図3】本発明による多層反応混合物を使用した約50℃の設定温度での2つの制御される反応と、制御されない反応のグラフである。
【図4】本発明による多層反応混合物を使用した約40℃の設定温度での2つの制御された反応と、制御されない反応のグラフである。
Claims (35)
- 以下の反応成分:
a)発熱生成粒子であって、該粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱生成粒子と、
b)揮発性成分と
を含む多層反応混合物であって、
前記反応混合物の少なくとも2つの層が発熱生成粒子を含み、および前記反応混合物の少なくとも1つの層が水溶性コーティングを含むゲルに懸濁される発熱生成粒子の一部を含むことを特徴とする多層反応混合物。 - 前記反応成分が、緩衝剤、水溶液、及びこれらの混合物から成る群から選択される追加の反応物質を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記反応成分を一緒に混合するときに、該反応混合物の温度が、約20分未満、好ましくは約10分未満、より好ましくは約5分未満内に、約35℃より高く約75℃未満であり、好ましくは約35℃と60℃との間であり、最も好ましくは約35℃と50℃との間である設定温度まで上昇することを特徴とする請求項2に記載の多層反応混合物。
- 前記反応混合物が、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも約90分にわたって、設定温度の15℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは5℃以内のままであることを特徴とする請求項3に記載の多層反応混合物。
- 前記揮発性成分が、香料、芳香剤、防虫剤、燻蒸剤、消毒剤、殺菌剤(bactericide)、殺虫剤、農薬、殺微生物剤(germicide)、ダニ駆除剤、滅菌剤、脱臭剤、かぶり剤、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記揮発性成分が、ジャコウオイル、シベット、カストリウム、アンバーグリス、植物性香料、ビャクダンオイル、ネロリオイル、ベルガモットオイル、レモンオイル、ラベンダーオイル、セージオイル、ローズマリーオイル、ペパーミントオイル、ユーカリオイル、メントール、ショウノウ、バーベナオイル、シトロネラオイル、カウアウトオイル、サルビアオイル、チョウジオイル、カモミールオイル、ビャクダンオイル、コスタスオイル、ラブダナムオイル、エニシダ抽出物、ニンジン種抽出物、ジャスミン抽出物、ミモザ抽出物、スイセン抽出物、オリバナム抽出物、バラ抽出物、アセトフェノネン、ジメチルイナデイン誘導体類、ナフタレン誘導体類、カプリン酸アリル、α−アミルケイ皮アルデヒド、アネトール、アニスアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、プロピオン酸ベンジル、ボルネオール、酢酸シンナミル、シンナミルアルコール、シトラール・シトロネラール、クメンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、デカノール、酪酸エチル、カプリン酸エチル、ケイ皮酸エチル、エチルバニリン、オイゲノール、ゲラニオール、エキセノール、α−ヘキシルケイ皮アルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、酢酸イソアミル、イソアミル イソバレレート イソ−オイゲノール、リナロール、酢酸リナリル、p−メチルアセトフェノン、アントラニル酸メチル、メチルジヒドロアスモナート、メチルオイゲノール、メチル−β−ナフトールケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、ジャコウケトール、ジャコウキシロール、2,5、6−ナノジノール、γ−ナノラクトン、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセテート、β−フェニルエチルアルコール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、γ−ウンデカラクトン、ウンデセナール、バニリン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記発熱生成粒子が、非複合金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属水素化物、及びこれらの混合物であって、該金属が、ベリリウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記発熱生成粒子が、約10ミクロン〜約1000ミクロン、好ましくは約100ミクロン〜約500ミクロン、より好ましくは約200ミクロン〜約400ミクロンの平均粒子直径を有することを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記発熱生成粒子が、水酸化ベリリウム、酸化ベリリウム、酸化ベリリウム一水和物、水素化リチウムアルミニウム、酸化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の多層反応混合物。
- 前記緩衝剤が、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、グリコール酸、アスパラギン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタミン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、αヒドロキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸、ケイ皮酸、安息香酸、フェニル酢酸、ニコチン酸、カイニン酸、ソルビン酸、ピロリドンカルボン酸、トリメリト酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸、o−リン酸、ピロリン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の多層反応混合物。
- 前記水溶性コーティングが、天然水溶性ポリマー類、無機水溶性ポリマー類、合成水溶性ポリマー類、半合成水溶性ポリマー類、植物起源のポリマー類、微生物起源のポリマー類、動物起源のポリマー類、デンプンポリマー類、セルロースポリマー類、アルギナートポリマー類、ビニルポリマー類、ポリオキシエチレンポリマー類、アクリレートポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から選択される水溶性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記水溶性コーティングが、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガラクタン、ガーゴム、カロブシードゴム、カラヤゴム、カラゲナン、ペクチン、寒天、マルメロシード、アルゲコロイド、デンプン、グリチルリチン酸、キサンタンゴム、デキストラン、スクシン−グルカン、プルラン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース、セルロース粉末、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギン酸エーテル、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー類、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルコポリマー類、200と100,000との間、好ましくは600と20,000との間の分子量を有するポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、及びポリオキシプロピレンのコポリマー類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリマー類、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヘクトライト、無水ケイ酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される水溶性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記水溶性コーティングが、水溶性アルキレングリコール類、水溶性アルコール類、及びこれらの混合物から成る群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記緩衝剤に対する発熱生成粒子の重量比が、1000:1〜1:1000、好ましくは500:1〜1:500、より好ましくは200:1〜1:200の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の多層反応混合物。
- 染料、化学発光剤、蛍光剤、真珠箔剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、水溶性外観向上剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記外観向上剤が、ホタルルシフェラーゼ、アデノシン三リン酸、エチレングルコールジステアート、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の多層反応混合物。
- 前記反応成分を一緒に混合するときに、反応混合物の温度が、℃/分で測定される実質上昇率で上昇し、および該実質上昇率が、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも約90分にわたって、0.5℃/分以内、好ましくは0.1℃/分以内、およびより好ましくは0.01℃/分以内の所定の上昇率内のままであることを特徴とする請求項2に記載の多層反応混合物。
- 前記所定の上昇率が、2℃/分未満、好ましくは1.5℃/分未満、より好ましくは1℃/分未満であることを特徴とする請求項17に記載の多層反応混合物。
- 前記発熱生成粒子が、非コーティング粒子、コーティング粒子、及びこれらの混合物から成る群から選択される粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記発熱生成粒子が、非コーティング粒子、第1のコーティング粒子、第2のコーティング粒子、及びこれらの混合物から成る群から選択される粒子を含むことを特徴とする請求項19に記載の多層反応混合物。
- 第1の層及び第2の層があり、前記第1の層は第1の揮発性成分を含み、前記第2の層は第2の揮発性成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 第1の層及び第2の層があり、第1の層における前記発熱生成粒子が乾燥粉末の形態であることを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 以下の反応成分:
a)発熱生成粒子であって、該粒子の一部を包囲する水溶性コーティングを含む発熱生成粒子と、
b)揮発性成分と、
c)水溶液と
を含む、容器および多層反応混合物を含む熱を発生させる装置であって、
前記反応混合物の少なくとも2つの層が発熱生成粒子を含み、および前記反応混合物の少なくとも1つの層が水溶性コーティングを含むゲルに懸濁される発熱生成粒子の一部を含むことを特徴とする装置。 - 前記反応成分が緩衝剤をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の装置。
- 前記反応成分を一緒に混合するときに前記反応混合物を生成し、および反応混合物の温度が、約20分未満、好ましくは約10分未満、およびより好ましくは約5分未満で、約35℃より高くおよび約75℃未満であり、好ましくは約35℃と60℃との間であり、最も好ましくは約35℃と50℃との間の設定温度まで上昇することを特徴とする請求項23に記載の装置。
- 前記反応混合物が、少なくとも約45分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも約90分にわたって、設定温度の15℃以内のままであることを特徴とする請求項25に記載の装置。
- 前記反応混合物の少なくとも1つの層において、前記発熱生成粒子が乾燥粉末の形態であることを特徴とする請求項23に記載の装置。
- 第1の層と第2の層があり、前記第1の層が第1の揮発性成分を含み、前記第2の層が第2の揮発性成分を含むことを特徴とする請求項23に記載の装置。
- 種々の色を発することができる発光装置を更に含み、好ましくは発光装置が発光ダイオードであることを特徴とする請求項23に記載の装置。
- 反応成分を一緒に混合する場合に、反応混合物の温度が第1設定温度まで上昇し、そして第1の時間にわたって、第1設定温度の15℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは5℃以内のままであり、そして次に反応混合物の温度が第2設定温度に変化し、第2の時間にわたって第2設定温度の15℃以内、好ましくは10℃以内、より好ましくは5℃以内のままであることを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 前記第1の時間が少なくとも約15分、好ましくは少なくとも約20分であり、および前記第2の時間が少なくとも約15分、好ましくは少なくとも約20分であることを特徴とする請求項30に記載の多層混合物。
- 前記第1設定温度が第2設定温度より少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃高いことを特徴とする請求項30に記載の多層反応混合物。
- 前記第1設定温度が第2設定温度より少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃低いことを特徴とする請求項30に記載の多層反応混合物。
- 発熱生成粒子を実質的に有さない層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多層反応混合物。
- 発熱生成粒子を実質的に有さない層をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の装置。
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