JP6068712B2 - 除菌剤 - Google Patents

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Description

本発明は、除菌剤に関する。
従来、除菌剤としては種々の薬剤が知られており、またその使用態様も様々である。
例えば、特許文献1は、室内等の閉鎖空間の空気中に存在するカビ、酵母、ウイルス、細菌等の微生物に対する除菌剤として、グリコールエーテルを含有する空気除菌用組成物を開示しており、該組成物を空間中に揮散させることにより、上記微生物等の除菌を行うことが記載されている。
また、特許文献2は、空気中に浮遊したり、家具等に付着して繁殖するカビ等の微生物に対する除菌剤として、塩化ベンズアルコニウム等の除菌剤を開示しており、該除菌剤を蓄圧式スプレー容器に収容して噴霧する方法等が記載されている。
また、特許文献3は、二酸化塩素を空間中に放出することにより、空間中に存在する細菌やウイルスを除菌する空間除菌用具について開示している。
一方、アゾジカルボンアミドは、有機発泡剤の1種として知られており、特許文献4には、有機発泡剤としてアゾジカルボンアミドを含有する発泡剤組成物が記載されている。
特開2007−097738号公報 特開2010−083806号公報 特開2015−093811号公報 特開平7−305050号公報
上記特許文献1〜3に記載のように、除菌剤としては、これまでに種々の薬剤が知られている。そこで本発明は、上記除菌剤とは異なる新たな除菌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、アゾジカルボンアミドの分解物が、除菌剤として有効に作用することを見出した。従来から、アゾジカルボンアミドは、加熱により熱分解すると発泡作用が生じるため、ゴムやプラスチック工業において使用される有機発泡剤の1種として知られている。上記特許文献4に記載の発泡剤組成物においても、アゾジカルボンアミドは、有機発泡剤として使用されている。
このように、従来アゾジカルボンアミドは、有機発泡剤として用いることができることはよく知られていた。しかしながら、今回、本発明者らは、アゾジカルボンアミドについて鋭意研究した結果、驚くべきことに、アゾジカルボンアミドの分解物がカビや雑菌等に対して良好な除菌効果を有する除菌剤として有効に作用することを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)アゾジカルボンアミドの分解物を有効成分とする除菌剤。
(2)さらに香料を含有する前記(1)に記載の除菌剤。
本発明によれば、アゾジカルボンアミドの分解物が、カビや雑菌等に対して良好な除菌効果を発揮することができる。
本発明の除菌剤の有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物を発生させるための一加熱手段である加水発熱システムを説明するための自己発熱装置1の断面図である。 試験例2及び試験例4−2において本発明の除菌剤を揮散させた浴室の模式図である。
本発明の除菌剤は、アゾジカルボンアミドの分解物を有効成分とする除菌剤である。以下、本発明の除菌剤についてさらに詳細に説明する。
本発明の除菌剤の有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物は、例えば、アゾジカルボンアミドを加熱することによって得られる。アゾジカルボンアミドは、上述したように、ゴムやプラスチック工業において使用される有機発泡剤の1種であり、市販品又は公知の方法により合成したものを使用することができる。市販品としては、例えば、大塚化学社製「ユニフォームAZ(商品名)」、三協化成社製「セルマイク(商品名)」等が挙げられる。
アゾジカルボンアミドは、その分解開始温度が約200℃であり、分解時のガス発生量も多く、拡散性に優れる。アゾジカルボンアミドが加熱により熱分解すると発泡作用を生じ、アゾジカルボンアミドの分解物が生成するが、このアゾジカルボンアミドの分解物は、ガス状、液状(ミスト状を含む)、固形状の3つの状態の分解物として生成される。そのうち、アゾジカルボンアミドの分解物は、ガス状、ミスト状の分解物が主成分となる空気中に浮遊する分解物(以下、浮遊物という)と、固形状の分解物が主成分となる自重により落下する分解物(以下、落下物という)とに分けられる。
本発明の有効な除菌効果を有するアゾジカルボンアミドの分解物は、上述のように、アゾジカルボンアミドの分解の際に発生し、空気中に浮遊する浮遊物と、自重により落下する落下物からなると推定されるが、下記実施例(試験例4−1、4−2)に示すように、種々の試験の結果、これらのアゾジカルボンアミドの分解物において、カビや雑菌等に対して特に良好な除菌効果を奏するのは、浮遊物であると推定される。
また、上記浮遊物は、除菌効果の観点から、アゾジカルボンアミドの加熱開始直後から30分以内に発生したものであることが好ましい。より好ましくは、アゾジカルボンアミドの加熱開始直後から30分以内に発生した浮遊物であり、かつ、加熱開始後15分から30分以内に存続している浮遊物がより好ましい。ここで「加熱開始後15分から30分以内に存続している浮遊物」とは、具体的には、例えば、下記試験例に示すように、テドラーバッグ内でアゾジカルボンアミドの加熱を開始してから15分から30分の間にテドラーバッグ内に存在する浮遊物を指すものであって、加熱開始後から15分以内に発生した浮遊物であっても、加熱開始後15分から30分以内に存続している浮遊物も含む意味である。
本発明において、アゾジカルボンアミドの分解物が、カビや雑菌等に対して良好な除菌効果を発揮する機構は定かではないが、アゾジカルボンアミドの分解物が、カビや雑菌等の菌体の細胞壁に作用し、菌体を死滅させると推測される。
アゾジカルボンアミドを分解させる際の加熱温度は、除菌効果をより良好にするという観点から、200℃以上であることが好ましく、200〜700℃であることがより好ましく、300〜500℃であることがさらに好ましい。
アゾジカルボンアミドを分解させるための加熱手段は、有効成分のアゾジカルボンアミドの分解物を得られるのであれば特に制限されない。例えば、直接的に着火して加熱する方法、ヒーター等の熱源に接触させて加熱する方法、加熱剤等の熱源を用いて加熱する方法等の手段が挙げられる。中でも、取り扱いの容易性、アゾジカルボンアミドの分解物の効率的な揮散性の観点から、加熱剤として加水発熱物質と加水発熱反応用液とを用いて発熱させる加水発熱システムを熱源に用いて加熱することが好ましい。加水発熱システムを用いると、アゾジカルボンアミドの分解物(本発明の除菌剤の有効成分)を効率的に発生させ、揮散させることができるとともに、多くのアゾジカルボンアミドの分解物を適応場所(例えば、屋内等)に拡散させることができる。
本効果を良好に発揮するための加熱条件としては、アゾジカルボンアミドを、温度が100℃以上となる時間が700秒以上となるように加熱することが好ましく、800秒以上となるように加熱することがより好ましく、900秒以上となるように加熱することがさらに好ましい。
また、温度が200℃以上となる時間が250秒以上であることが好ましく、300秒以上であることがより好ましく、350秒以上であることがさらに好ましい。
また、温度が300℃以上となる時間が150秒以上であることが好ましく、200秒以上であることがより好ましい。
また、温度が350℃以上となる時間が130秒以上であることが好ましく、150秒以上であることがより好ましい。
本効果を良好に発揮するための加熱条件としては、加熱開始から加熱終了時までの間において、加熱温度を1秒間隔で計測した場合における、100℃以上となる温度の総和が、140,000℃・s以上となることが好ましく、170,000℃・s以上となることがより好ましく、200,000℃・s以上となることがさらに好ましい。
また、200℃以上となる温度の総和が、70,000℃・s以上となることが好ましく、90,000℃・s以上となることがより好ましく、120,000℃・s以上となることがさらに好ましい。
また、300℃以上となる温度の総和が、40,000℃・s以上となることが好ましく、60,000℃・s以上となることがより好ましく、80,000℃・s以上となることがさらに好ましい。
また、350℃以上となる温度の総和が、30,000℃・s以上となることが好ましく、45,000℃・s以上となることがより好ましく、60,000℃・s以上となることがさらに好ましい。
アゾジカルボンアミドの加熱手段の一例として、以下に、加水発熱システムを用いてアゾジカルボンアミドを加熱する手段について説明する。加水発熱システムとは、加水発熱物質と加水発熱反応用液とを加水発熱反応させるシステムであり、このシステムにおいて熱源となるのは図1に示す自己発熱装置1である。アゾジカルボンアミドが加水発熱反応により発生した反応熱を用いて加熱され、本発明の除菌剤の有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物が発生し、揮散する。加水発熱物質は加水発熱反応用液との反応により自己発熱する物質であり、例えば、酸化カルシウム(生石灰)、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。加水発熱反応用液は水又は水に各種添加剤を加えられた液が挙げられる。そのような添加剤としては、アゾジカルボンアミドの分解物の揮散を妨げないものや、発熱物質に対する水の反応性を低下させないものであり、具体的には有機溶剤や液安定化剤を挙げることができる。
本発明において、例えば、自己発熱装置1を熱源とする場合、図1に示す仕切部材4の底部Xの温度を測定することによってアゾジカルボンアミドの加熱温度を求めることができる。
また、加水発熱システムによる加熱以外に、例えば、ニクロム線等の電熱線、平板状やリング状、さらに半導体を利用した加熱ヒーター等を用いた電気加熱システム;鉄粉と塩素酸アンモニウム等の酸化剤とを混合する、金属と該金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを混合する、鉄と硫酸カリウム、硫酸鉄、金属塩化物、硫化鉄等の混合物を水や酸素と接触させる、鉄よりイオン化傾向が大きい金属と鉄よりイオン化傾向が小さい金属のハロゲン化物との混合物を水と接触させる、金属と重硫酸塩との混合物を水と接触させる、アルミニウムとアルカリ金属硝酸塩との混合物に水を加える、等の酸化反応により発熱するシステム;硫酸ソーダと炭化鉄との混合物を酸素と接触させる金属硫化物の酸化反応を利用して発熱するシステム等を用いて、加熱することもできる。
本発明の除菌剤には、アゾジカルボンアミドの分解物の他にも、本発明の効果を奏する限り、任意の成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、香料、溶剤、消臭剤、揮散補助剤、安定化剤、殺虫剤、害虫忌避剤等を用いることができる。
香料としては、様々な植物や動物から抽出された天然香料や、化学的に合成される合成香料、さらにはこれらの香料成分を多数混合して作られる調合香料等が挙げられる。
香料は様々な文献、例えば、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1960)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Pajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)、「Perfume and Flavor Chemicals(aroma chemicals)」,Vols.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香料と調香の基礎知識」,中島基貴編著,産業図書(1995)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「香りの百科事典」,谷田貝光克編,丸善(2005)に記載の香料が使用できる。それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。以下に香料の代表例を具体的に挙げるが、これらに限定されるものではない。
天然香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ油、シダーウッド油、ペパーミント油、タイム油、クローブ油、桂皮油、ユーカリ油、ティートリー油等の天然精油等が挙げられる。
合成香料としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、p−サイメン、ターピノレン、α−ターピネン、γ−ターピネン、α−フェランドレン、カンフェン、等の炭化水素テルペン;ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、リラール、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のアルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート、メエチルイソブチレート、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソブチルブチレート、イソブチルイソバレレート、エチル−2−メチルバレレート、イソアミルアセテート、アミルプロピオネート、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、エチルヘプチレート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、ベンジルアセテート、ノニルアセテート、オルト−ter−ブチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸リナリル、エチルシンナメート、メチルサリシレート、ヘキシルサリシレート、ヘキシルブチレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート、γ−ウンデカラクトン、γ−ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリン等のエステル・ラクトン類;アニソール、p−クレジルメチルエーテル、ジメチルハイドロキノン、メチルオイゲノール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロックス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis−3−ヘキセノール、ヘプタノール、2−オクタノール、ジメトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ターピネオール、l−メントール、セドロール、チモール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;ジアセチル、メントン、イソメントン、アセトフェノン、α−又はβ−ダマスコン、α−又はβ−ダマセノン、α−、β−又はγ−ヨノン、α−、β−又はγ−メチルヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、ベンゾフェノン、テンタローム、アセチルセドレン、α−又はβ−イソメチルヨノン、α−、β−又はγ−イロン、マルトール、cis−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、l−カルボン、ジヒドロカルボン、メチルアミルケトン等のケトン類、カンファー、1,8−シネオール、アリルアミルグリコレート、イソプレゴール、リグストラル、アリルカプロエート等が挙げられる。これらの香料は、1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて、調合香料として使用することもできる。さらに、香料は香料成分、溶剤、香料安定化剤等を含有する混合物(香料組成物)として使用することもできる。
溶剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等のグリコールエーテル類、流動パラフィン、n−パラフィン等のパラフィン類、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類、その他3−メチル−4−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、炭酸プロピレン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。また、上記香料成分とともに混合し、香料組成物として使用することもできる。
香料は、本発明の除菌剤中には所定のバランスとなるように適宜含有できる。香料は除菌剤中に、通常0.01〜20質量%含有されるが、好ましくは、0.1〜10質量%含有される。香料を含有する場合、含有量が0.01質量%未満だと十分な香り立ちが得られない場合があり、20質量%を超えると香りが強すぎる可能性がある。
また、アゾジカルボンアミドの分解物とともに香料を空間中に揮散させる場合には、香料の揮散濃度が1〜300mg/mとなるように、本発明の除菌剤中に含有することが好ましく、5〜150mg/mとなるように含有することがより好ましい。前記範囲にすることによって、アゾジカルボンアミドの分解物と相乗的に除菌効果を高めることができる。また、アゾジカルボンアミドを揮散させる際に生じる不快な臭いを抑え、使用実感をより高めることができる。
消臭剤としては、例えば、メタクリル酸ラウリル、ゲラニルクロトネート、カテキン、ポリフェノール、炭等が挙げられる。
揮散補助剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、三酸化アンチモン、デカブロモジフェニレンオキサイド、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、ベンゾトリアゾール、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、尿素等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール等が挙げられる。
殺虫剤としては、例えば、天然ピレトリン、ピレトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、プラレトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、イミプロトリン、エムペントリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン等のピレスロイド系殺虫剤;プロポクスル、カルバリル等のカーバメイト系殺虫剤;フェニトロチオン、DDVP等の有機リン系殺虫剤;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系殺虫剤;フィプロニル等のフェニルピラゾール系殺虫剤;イミダクロプリド、ジノテフラン等のネオニコチノイド系殺虫剤;アミドフルメト等のスルホンアミド系殺虫剤;クロルフェナピル等のピロール系化合物;メトプレン、ハイドロプレン等の昆虫幼若ホルモン様化合物;プレコセン等の抗幼若ホルモン様化合物;エクダイソン等の脱皮ホルモン様化合物;フィトンチッド、薄荷油、オレンジ油、桂皮油、丁子油等の精油類;IBTA、IBTE、四級アンモニウム塩、サリチル酸ベンジル等の1種又は2種以上が挙げられる。
中でもピレスロイド系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、オキサジアゾール系殺虫剤及びスルホンアミド系殺虫剤が、揮散がよく向上されるので好ましく、特に、シフェノトリン、ペルメトリン、メトキサジアゾン、プロポクスル、アミドフルメト、エトフェンプロックスが好ましい。
害虫忌避剤としては、例えば、ディート、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル−ブチルアセチルアミノプロピオネート等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明において「除菌」とは、対象物(例えば、屋内の天井や壁など)から増殖可能なカビ、細菌等の微生物の数(生菌数)が減少することをいう。
本発明において、除菌する対象としては、細菌及び真菌が挙げられる。細菌としては、具体的に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)等のエシェリヒア(Escherichia)属、Bacillus subtilis、Bacillus cereus等のバチルス(Bacillus)属細菌、Methylobacterium mesophilicum等のメチロバクテリウム(Methylobacterium)属、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等のスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、乳酸菌等のグラム陽性菌が挙げられる。真菌としては、具体的に、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides)等のクラドスポリウム(Cladosporium)属、アオカビ(Penicillium citrinum)等のPenicillium属、コウジカビ(Aspergillus brasiliensis)等のAspergillus属、ススカビ(Alternaria alternata)等のAlternaria属、アカカビ(Fusarium solani)等のFusarium属、Eurotium herbariorum等のユーロチウム(Eurotium)属、赤色酵母(Rhodotorula mucilaginosa)等のロドトルラ(Rhodotorula)属、アウレオバシジウム(Aureobasidum)属、エキソフィアラ(Exophiala)属等の黒色酵母類、フォーマ(Phoma)属、カンジダ(Candida)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等が挙げられる。
本発明の除菌剤の剤型は、例えば、顆粒剤、粉末剤、微細粒剤、液剤等を挙げることができる。
中でも、顆粒剤、粉末剤、微細粒剤など固形状とすることが好ましい。
本発明の除菌剤を造粒、乾燥させるために、本発明の除菌剤に以下の結合剤、賦形剤等を含有させておくことができる。それによって、本発明の除菌剤の剤型を、顆粒剤、粉末剤、微細粒剤等とすることができる。本発明の除菌剤を造粒する際には、例えば、顆粒剤であれば粒径を約1〜5mmとするのがよい。
本発明の除菌剤を造粒する際に用いる結合剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類;デンプン、スターチ等のデンプン系、アラビアゴム等の天然系高分子化合物;ポリビニルアルコール等の合成高分子化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。
これらの結合剤は、本発明の除菌剤に対して0.5〜5質量%となるように含有させればよい。
賦形剤としては、例えば、パーライト、タルク、珪藻土、ベントナイト、粘土鉱物等が挙げられる。
本発明の除菌剤の剤型を液剤とする場合は、例えば上記粉末剤を液体の担体に溶解させることによって、液剤とすることができる。液剤の形態に調製するにあたり用いられる担体としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ケロシン、パラフィン、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類を例示できる。
本発明の除菌剤には、さらに必要に応じて、崩壊剤等を含有させてもよく、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ステアリン酸エステル、乳酸エチル、サリチル酸クロロフェニル等の有機酸エステル;リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸等の有機酸等の崩壊剤を用いると、加熱による製剤の崩壊が促進され、本発明の除菌剤の揮散をスムーズとすることができる。
さらに必要であれば、各種界面活性剤、効力増強剤、色素等を含有させることもできる。
本発明の除菌剤の除菌効果は、除菌率によって評価できる。除菌率は、下記の式で表される。詳細は後述する実施例に記載の方法で求められる。
除菌率(%)={1−検体処理後の菌数(コロニー数)/検体未処理の菌数(コロニー数)}×100
除菌率は、90%以上であることが好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記例に何ら制限されるものではない。
<試験例1>
有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物の真菌に対する除菌の効力を評価した。
[真菌を接種したPDA培地の作製]
以下の手順でクロカワカビを接種させたPDA培地を作製した。
1.PDA(ポテトデキストロース寒天)10mLを用いて、試験管にPDA斜面培地を作製した。
2.上記1.で作製したPDA斜面培地上にクロカワカビ(Cladosporium cladosporioides)の胞子を接種し、25℃で4日間、クロカワカビを培養した。
3.上記2.で作製したクロカワカビの斜面培地に生理食塩水9mL、PDB(ポテトデキストロース培地)1mLを加え、白金耳を用いて培地表面からクロカワカビをかきおとし、胞子液を作製した。
4.上記3.の胞子液を濾過し、濾液を生理食塩水で10000倍に希釈した。
5.上記4.で作製した溶液100μLを、φ85mmの滅菌シャーレ((株)アテクト製 商品名:フルステリ深型シャーレ滅菌済みφ90×20)にPDA12mLを用いて作製したPDA培地に接種し、「真菌を接種したPDA培地」を作製した。
[検体の処理]
1.30cm×30cm×30cmの容器に、上記で作製した、真菌を接種したPDA培地と粉末状のアゾジカルボンアミド5gを入れたφ9cmの金属シャーレを設置した。
2.アゾジカルボンアミドに直接火を近づけて着火し、十分に発泡して煙の発生が確認された後、90分間、容器を密閉した(以下、加熱処理(実施例1)とする)。
3.また、5g/900cmとなるようにアゾジカルボンアミドを水中に分散させて、上記作製の培地に均一に塗布したものを作製した(以下、非加熱処理(比較例1)とする)。
4.さらに、アゾジカルボンアミドを塗布しない上記作製の培地を用意した(以下、未処理(参考例)とする)。
5.加熱処理(実施例1)、非加熱処理(比較例1)、未処理(参考例)の3つの培地を25℃で4日間、静置してクロカワカビを培養した。
[評価]
除菌効果を以下の評価基準で評価した。その結果を、表1に示す。
(評価基準)
◎:コロニー形成が全く見られない
○:コロニー形成がほとんど見られない
△:コロニー形成が一部分に見られる
×:コロニー形成が全体的に見られる
以上の結果より、アゾジカルボンアミドを加熱することにより発生したアゾジカルボンアミドの分解物が良好な除菌効果を有することが分かった。
<試験例2>
加水発熱システムを用いて、アゾジカルボンアミドを加熱し、アゾジカルボンアミドの分解物を発生させ、真菌に対する除菌の効力を評価した。
[実施例2]
[製剤の作製]
表2に記載の配合処方において、各成分を混合し、造粒、乾燥し、顆粒状の製剤7を作製した。製剤7の1粒あたりの粒径は約3mm、長さは約5mmである。
有効成分としては以下のものを使用した。
有効成分:アゾジカルボンアミド(商品名:ユニフォームAZ ウルトラ♯1067−1(大塚化学株式会社製))
[自己発熱装置の作製]
加水発熱システムにより、製剤7を加熱するため、図1に示されるような自己発熱装置1を以下のように作製した。
直径53mm、高さ63mm、深さ40mmの有底円筒状の外容器2の底部から側部にかけて加水発熱物質8(酸化カルシウム)65gを収容した。外容器2は、底部に複数の通水孔を有し、通水孔は通水性を有する不織布シート3によって塞いだ。また、外容器2の内部は、仕切部材4により2つの空間に区画した。仕切部材4は、円筒状で底部が略中空半球状を呈しており、その側壁を外容器2の周壁と同心状に配置した。加水発熱物質8は、外容器2の周壁、仕切部材4及び不織布シート3とで形成される空間に充填し、仕切部材4の内部に、上記作製した製剤7を5g(アゾジカルボンアミド4.9g)収容した。また、外容器2の上部開放面には、仕切部材4の上部開放面に相当する領域に0.8cmの開口部を7個形成した蓋部材5を被せ、更に蓋部材5の開口部は通気孔を有する熱溶融樹脂フィルム6によって塞ぎ、実施例2の自己発熱装置1を作製した。
[実施例3]
酸化カルシウムを37gとしたことを除いて、実施例2と同様に自己発熱装置1を作製した。
[真菌を接種したPDA培地の作製]
以下の手順でクロカワカビを接種させたPDA培地を作製した。
1.PDA(ポテトデキストロース寒天)10mLを用いて、試験管にPDA斜面培地を作製した。
2.上記1.で作製したPDA斜面培地上にクロカワカビ(Cladosporium cladosporioides)の胞子を接種し、25℃で4日間、クロカワカビを培養した。
3.上記2.で作製したクロカワカビの斜面培地に生理食塩水9mL、PDB(ポテトデキストロース培地)1mLを加え、白金耳を用いて培地表面からクロカワカビをかきおとし、胞子液を作製した。
4.上記3.の胞子液を濾過し、濾液を生理食塩水で10000倍に希釈した。
5.上記4.で作製した溶液100μLを、φ85mmの滅菌シャーレ((株)アテクト製 商品名:フルステリ深型シャーレ滅菌済みφ90×20)にPDA12mLを用いて作製したPDA培地に接種し、「真菌を接種したPDA培地」を作製した。
[試験方法]
図2に示す4.4m(1.6m(縦)×1.25m(横)×2.2m(高さ))の密閉空間の浴室11に、実施例2及び実施例3のいずれかの自己発熱装置1を1つ設置するとともに、浴室11の天井部13、壁部14及び床面部15ごとに(図2に黒丸(●)で示す箇所)、上記で作製した培地を設置した。なお、コントロール(未処理)として、上記培地を浴室外に静置した。なお、浴室11の温度と湿度は表3に示すとおりである。
自己発熱装置1の設置場所は浴室11の中央部とし、22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器9に浸けることにより、加水発熱反応を開始させ、製剤7を加熱した。
加熱を開始した後は、浴室11を無換気状態とし、90分間密閉した。その後、30分間換気を行った。
その後、培地を回収して、25℃で4日間、静置してクロカワカビを培養した。
[評価]
PDA斜面培地上のクロカワカビの菌数(コロニー数)を数え、浴室の天井部、壁部及び床面部ごとの菌数(コロニー数)の平均値を算出した。また、下記の式で表される除菌率を算出した。
除菌率(%)={1−検体処理後の培地の菌数(コロニー数)/検体未処理の培地の菌数(コロニー数)}×100
以上の試験を計2回行い、算出した菌数(コロニー数)及び除菌率を表3に示す(表3中の菌数及び除菌率は、計2回行った試験で算出した値の平均値である)。
表3に示す通り、本発明の除菌剤を加水発熱システムによって揮散させたところ、浴室11の天井部13、壁部14及び床面部15のいずれにおいても、良好な除菌効果が見られた。
本発明を実施するにあたり、有効な処方例は表4のとおりである。
<試験例3>
本試験では、試験例2における実施例2で使用した熱源(自己発熱装置1)の温度を1秒毎に計測することでアゾジカルボンアミドの加熱温度を測定し、温度が100℃以上、200℃以上、300℃以上、及び350℃以上となる時間をそれぞれ計測した。また、100℃以上となる温度の総和、200℃以上となる温度の総和、300℃以上となる温度の総和、及び350℃以上となる温度の総和をそれぞれ求めた。
まず、実施例2の自己発熱装置1から製剤7を除いた自己発熱装置1(熱源)について発熱を開始させ、それぞれ発熱温度の推移を計測した。具体的には、図1の自己発熱装置1において製剤7を除いた上で、仕切部材4の底部Xの中心部に温度プローブ(K型熱電対(新熱工業株式会社製:シース熱電対φ0.3mm(MAX600℃)))を接触させた。温度プローブは線状であるため、ガラス管の中を通し、先端を折り曲げ、ガラス管の端でプローブを押さえつけることで垂直に缶底に密着、固定させた。この状態で発熱を開始させ、発熱温度を、グラフテック株式会社製MT100を用いて1秒毎に経時的に測定、記録した。この試験は、計3回(検体1〜3)行った。
次に、得られた温度のデータに基づいて、温度が100℃以上、200℃以上、300℃以上、及び350℃以上となる時間をそれぞれ計測した。その結果を表5に示す。また、100℃以上となる温度の総和、200℃以上となる温度の総和、300℃以上となる温度の総和、及び350℃以上となる温度の総和をそれぞれ求めた。その結果を表6に示す。
表5の結果からわかるように、温度が100℃以上となる時間は平均して900秒以上となり、温度が200℃以上となる時間は平均して350秒以上となり、温度が300℃以上となる時間は平均して200秒以上となり、温度が350℃以上となる時間は平均して150秒以上となった。
また、表6の結果から分かるように、100℃以上となる温度の総和は平均して200,000℃・s以上となり、200℃以上となる温度の総和は平均して120,000℃・s以上となり、300℃以上となる温度の総和は平均して80,000℃・s以上となり、350℃以上となる温度の総和は平均して60,000℃・s以上となることがわかった。
<試験例4>
有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物において、浮遊物と落下物の除菌効果をそれぞれ評価した。
(試験例4−1)
本試験では、有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物のうち、浮遊物の除菌効果を評価した。
[アゾジカルボンアミドの分解物のガス成分の採取]
以下の手順でアゾジカルボンアミドの分解物を採取した。
1.試験例2で作製した実施例2の自己発熱装置1を200Lテドラーバッグ内に設置し、22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器9に浸けることにより、上記テドラーバッグ内で加水発熱反応を開始させ、製剤7を加熱し、燻煙させた。
2.加熱を開始してから、一定時間おきに(加熱開始直後、5分後、15分後、30分後、60分後、90分後)に上記テドラーバッグから、PTFE製0.22μmフィルター(Millex−FG(登録商標),MILLIPORE)を使用して固体成分を除去しつつ、ガラス製シリンジで気体を抜き取り、アゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物を採取した。
[真菌を接種した試験板の作製]
以下の手順でクロカワカビを接種させたPDA培地を作製した。
1.PDA(ポテトデキストロース寒天)10mLを用いて、試験管にPDA斜面培地を作製した。
2.上記1.で作製したPDA斜面培地上にクロカワカビ(Cladosporium cladosporioides)の胞子を接種し、25℃で4日間、クロカワカビを培養した。
3.上記2.で作製したクロカワカビの斜面培地に生理食塩水9mL、PDB(ポテトデキストロース培地)1mLを加え、白金耳を用いて培地表面からクロカワカビをかきおとし、胞子液を作製した。
4.上記3.の胞子液を濾過し、濾液100μLを、2枚の試験板(FRP、5cm×5cm)の表面1cmあたりに4μLずつ均等に25カ所に分けて滴下し、室温で30分間乾燥固定させた。
[試験方法]
1.2Lテドラーバッグ内に上記作製した2枚の試験板を設置し、一定時間おきに採取したアゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物をそれぞれ注入した。
2.上記アゾジカルボンアミドの分解物のガス成分を注入してから90分後に、テドラーバッグから2枚の試験板を回収し、それぞれの試験板をGPLP培地10mLで洗い出した。
3.上記GPLP培地から100μLをPDA培地に播種し、25℃にて5日間保管した。
4.また、上記GPLP培地100μLに対し、900μLのGPLP培地で希釈し、希釈培地から100μLをPDA培地に播種し、25℃にて5日間保管した。
5.3および4の培地のうち、生育の認められた菌数(コロニー数)を数えることができる培地を選択し菌数を数え、3の培地の場合は100倍、4の培地の場合は1000倍して、試験板1枚あたりの菌数を算出した。
[評価]
アゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物を注入する前の試験板の菌数(検体未処理の菌数)と、アゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物を注入後保管した試験板(検体処理後の菌数)の平均値を算出し、下記の式で表される除菌率を算出した。
除菌率(%)={1−検体処理後の菌数/検体未処理の菌数}×100
上記算出した除菌率に基づき、除菌効果を以下の評価基準で評価した。その結果を表7に示す。
(評価基準)
◎:除菌率99%以上
○:除菌率90%以上99%未満
△:除菌率80%以上90%未満
×:除菌率80%未満
表7に示す通り、加熱を開始してから30分後までに採取したアゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物は除菌効果が高かったが、60分後以降に採取したアゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物の除菌効果は低かった。上記結果から、少なくとも加熱開始直後から30分間に採取したアゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物には、除菌活性を有する成分が含まれていることが示唆された。
(試験例4−2)
本試験では、有効成分であるアゾジカルボンアミドの分解物のうち、落下物の除菌効果を評価した。
[試験方法]
試験例2で使用した図2に示す4.4m(1.6m(縦)×1.25m(横)×2.2m(高さ))の密閉空間の浴室11の床面部15に、蓋を開けた状態の空のシャーレを3つ設置した(図2の床面部15における黒丸(●)で示す箇所)。その後、浴室内で実施例2の自己発熱装置1を22mLの水(加水発熱反応用液)Wを入れた容器9に浸けることにより、加水発熱反応を開始させ、製剤7を加熱、燻煙させた。
加熱を開始した後は、浴室11を無換気状態とし、90分間密閉した。その後、設置したシャーレを回収したところ、すべてのシャーレ上には、アゾジカルボンアミドの分解物の落下物の存在を確認できた。当該落下物の存在するシャーレにPDA培地とクロカワカビの胞子液を注入して混釈し、25℃で4日間、静置してクロカワカビを培養した。以下、検体処理後の培地という。
また、コントロールとして、空のシャーレ3つにPDA培地とクロカワカビの胞子液をそれぞれ注入して混釈し、25℃で4日間、静置してクロカワカビを培養した。以下、検体未処理の培地という。
[評価]
上記の検体処理後の培地と検体未処理の培地のクロカワカビの菌数(コロニー数)をそれぞれ数え、平均値を求め、下記の式で表される除菌率を算出した。
除菌率(%)={1−検体処理後の培地の菌数(コロニー数)/検体未処理の培地の菌数(コロニー数)}×100
上記算出した除菌率に基づき、除菌効果を、試験例4−1と同様の評価基準で評価した。その結果を表8に示す。
表8に示す通り、アゾジカルボンアミドの分解物のうち落下物も、ある程度の除菌効果を有することが分かった。一方、アゾジカルボンアミドの分解物の落下物は、試験例4−1におけるアゾジカルボンアミドの分解物の浮遊物と比較して、除菌効果が劣る結果となった。
1 自己発熱装置
2 外容器
3 不織布シート
4 仕切部材
5 蓋部材
6 熱溶融樹脂フィルム
7 製剤
8 加水発熱物質
9 容器
W 水

Claims (2)

  1. 温度が200℃以上となる時間が250秒以上である加熱手段を用いてアゾジカルボンアミドを加熱して得られるアゾジカルボンアミドの分解物であり、かつ、加熱開始から30分以内に発生したアゾジカルボンアミドの分解物を有効成分とする除菌剤。
  2. さらに香料を含有する請求項1に記載の除菌剤。
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