JP2013146240A - 燻煙型空間処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有底筒状の外容器10と外容器10内に設けられた有底筒状の内容器20とを備え、内容器20内には、水和反応により発熱する発熱剤が充填された加熱部30と、ポリオール及び有効成分を含有する燻煙型揮散剤が充填された被加熱部40とが伝熱部50を介して設けられ、外容器10に水を入れることにより前記発熱剤を発熱させて前記燻煙型揮散剤を蒸散する燻煙型空間処理装置1であって、内容器20は、その高さの1/4以上が外容器10の上端面10eから突出していることを特徴とする燻煙型空間処理装置1。
【選択図】図1
Description
この一例として、農業用途において、モーター又はガソリンエンジンを駆動源とした装置を用い、コンプレッサーにより薬液を加圧状態で噴霧ノズルから噴出する農薬散布方法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。この方法によれば、ハウス内に均一に農薬を散布できる。
燻煙剤は、種々の燃焼剤、発泡剤等を混合した発熱性基剤と、有効成分とを主成分とする固形製剤である。発熱性基剤としては、ニトロセルロース、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が一般的に用いられている。
使用時において燻煙剤を加熱すると、発熱性基剤が燃焼又は分解することで煙(ガス及び微粒子)が発生し、この煙と熱の作用により有効成分が空気中に揮散する。そのため、短時間で有効成分が空間内全体に行き渡り、その空間に処理を施すことができる。
特許文献2〜3に記載されているようなアゾジカルボンアミド等の発熱性基剤を含有する燻煙剤は、有効成分の揮散力に優れるものの、発生した煙により白色沈降物等の汚染を生じる問題がある。
また、特許文献4〜5に記載されているタイプの加熱蒸散剤は、発熱性基剤を含有しないため、汚染は生じにくいが、有効成分の揮散が緩やかであるために、空間の隅々まで有効成分が充分に行き渡らない。そのため、得られる効果が弱いという問題がある。その上、有効成分の揮散状態が、燻煙剤を加熱して生じる煙のように視認できないため、使用者が実効感を得られにくいという問題もある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、取扱いが簡便で、低汚染性であり、有効成分による効果が高く、かつ、使用者が実効感を得られる燻煙型空間処理装置を提供することを課題とする。
本発明の燻煙型空間処理装置は、有底筒状の外容器と該外容器内に設けられた有底筒状の内容器とを備え、前記内容器内には、水和反応により発熱する発熱剤が充填された加熱部と、ポリオール及び有効成分を含有する燻煙型揮散剤が充填された被加熱部とが伝熱部を介して設けられ、前記外容器に水を入れることにより前記発熱剤を発熱させて前記燻煙型揮散剤を蒸散する燻煙型空間処理装置であって、前記内容器は、その高さの1/4以上が前記外容器の上端面から突出していることを特徴とする。
図1は、本発明に係る燻煙型空間処理装置の一実施形態を示す断面図である。
本実施形態の燻煙型空間処理装置1は、有底筒状の外容器10と、外容器10内に設けられた有底筒状の内容器20とを備えている。
外容器10の大きさは、使用する薬剤の量、内容器20等の大きさに応じて決定される。処理対象とする空間の床面積が6.5〜30m2程度の家庭用であれば、たとえば、外容器10の高さ(外底壁部14と上端部12cとの距離)は15〜80mm、外容器10の内径は55〜100mmとされる。
内容器20は、環状壁23の下端部22dが外底壁部14と接し、内底壁部24が外容器10の外底壁部14と離間するものとされている。
内容器20の外周面22bは、外容器10の内周面12aと離間している。
燻煙型空間処理装置1において、外周面22bと内周面12aとは、7mm以上離間していることが好ましい。両者の間の距離が7mm未満であると、燻煙した際に外容器10が熱くなりすぎるおそれがある。外周面22bと内周面12aとの間の距離が15mm以下であると、加熱による内容器20からの燻煙型揮散剤の噴出力がより強まり、本発明の効果がより得られやすい。
内容器20の大きさは、使用する薬剤の量等に応じて決定される。処理対象とする空間の床面積が6.5〜30m2程度の家庭用であれば、たとえば、内容器20の高さは30〜110mm、内容器20の外径は45〜90mmとされる。
図1においては、内周面12aと外周面22bとの間に水が入れられ、外底壁部14と内底壁部24との間の隙間に水が充満している。
伝熱部50は、有底筒状の部材であり、その一部が加熱部30に埋まるように内容器20内に設けられている。伝熱部50内には、燻煙型揮散剤が充填されて被加熱部40が形成されている。
伝熱部50の大きさは、薬剤の量に応じて決定される。処理対象とする空間の床面積が6.5〜30m2程度の家庭用であれば、たとえば、伝熱部50を構成する部材の高さ(底部54と上端面50eとの距離)は10〜80mm、該部材の外径は40〜85mmとされる。
側壁部22の上端部22cは、伝熱部50の上端部50cと連結部材26で連結され、上端面20eにおいて内容器20と伝熱部50との間は開口せずに閉じている。
内底壁部24は、水を透過し、かつ、加熱部30を構成する発熱剤が透過しない大きさの孔を有するもの、たとえば不織布、メッシュ等で構成される。これにより、使用時に内底壁部24から水を内容器20内に浸入させ、発熱剤を発熱させることができるようになっている。
側壁部22、内底壁部24の各材質は、加熱部30で発生する熱による変形等が生じない耐熱性を有するものが用いられ、たとえば金属、セラミックス、紙等が挙げられる。側壁部22、内底壁部24の各厚さは、要求される強度、耐熱性等を勘案して決定でき、たとえば、側壁部22の厚さは0.1〜5mm、内底壁部24の厚さは0.1〜5mmとされる。
伝熱部50の材質は、伝熱性を有するものであればよく、金属が好ましい。伝熱部50の厚さは、伝熱性等を勘案して決定でき、たとえば0.1〜5mmとされる。
伝熱部50の上端面50e近傍には、蓋体60が設けられている。
蓋体60は、燻煙型揮散剤の蒸気が通過する孔を有するものであり、メッシュ、パンチングメタル、格子状の枠体等が挙げられる。
蓋体60の材質は、被加熱部40から発生する高温の蒸気による変形等が生じない耐熱性を有するものが用いられ、たとえば金属、セラミックス、紙等が挙げられる。
内容器20の高さH1の1/4以上が外容器10の上端面10eから突出している(H2/H1≧1/4である)ことにより、加熱による内容器20からの燻煙型揮散剤の噴出力が強まる。これにより、噴出する煙状物の白度が増し、使用者の実効感が得られやすくなる。加えて、有効成分の揮散率が高まり、その効果が向上する。
一方、燻煙型空間処理装置1の使用前後の持ち運びやすさ、内容器20の倒れにくさ等の観点から、外容器10の上端面10eから突出している内容器20の長さH2が、内容器20の高さH1の1/2以下であることが好ましい。
発熱剤は、水和反応により発熱する成分であり、たとえば酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられ、なかでも酸化カルシウムが好ましい。
発熱剤の充填量は、内容器20の大きさ、燻煙型揮散剤の充填量、燻煙型揮散剤からの蒸気の発生に必要な熱量等を勘案して決定することができる。
燻煙型揮散剤は、ポリオール(以下(A)成分という。)と有効成分(以下(B)成分という。)とを含有する。
燻煙型揮散剤は、加熱されることで蒸気を発し、この蒸気で有効成分を空間内に揮散して空間処理を施す組成物である。
ここで「空間処理を施す」とは、家屋内等の処理対象の空間、又はその空間内に存在する物品等に、有効成分の効果を及ばせることを意味する。
空間処理の処理対象となり得る空間としては、たとえば家屋内(浴室、居間、寝室、押入れ等)、車両内等の密閉可能な空間が好適である。
加えて、燻煙型揮散剤には、自己反応性の発熱性基剤を含有しないことが好ましい。これにより、発熱性基剤の燃焼又は分解により生じる微粒子を含まないことから、白色沈降物による汚染を防止できる。
ここで「発熱性基剤」は、加熱されて燃焼又は分解し、これにより生じる燃焼熱又は分解熱で有効成分を揮散させる成分であり、有機発泡剤、発熱剤、燃焼剤等の種々のものが用いられ、具体的には、ニトロセルロース、アゾジカルボンアミド、p・p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が挙げられる。
伝熱部50への燻煙型揮散剤の充填量は、処理対象とする空間の床面積に応じて適宜決定すればよい。たとえば(B)成分として微生物失活成分を用いる場合、燻煙型揮散剤の充填量は、1m2当たり、好ましくは0.1〜2.0g、より好ましくは0.2〜1.5gである。
「ポリオール」は、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であり、水酸基を2つ有するものを2価アルコール(グリコール)、3つ有するものを3価アルコールといい、2つ以上有するものは一括して多価アルコールとも称される。ポリオールは、150〜450℃程度で加熱すると、現行の燻煙剤と同様に白色の煙状物を発生することから、本発明においては発煙基剤として用いられる。
(A)成分は、特に限定されず、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨品、工業品等に使用されているもののなかから、(B)成分の揮散性、溶解・分散性、使用時の加熱温度等を考慮して適宜選択される。
(A)成分の沸点は、(B)成分の揮散性の点から、150〜300℃が好ましく、170〜300℃がより好ましい。
(A)成分としては、2価アルコール(グリコール)、3価以上の多価アルコール、糖、糖アルコール等が挙げられる。
該化合物において、脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、該脂肪族炭化水素は鎖状であっても環状であってもこれらの組み合わせであってもよく、なかでも鎖状であることが好ましい。鎖状である場合、該脂肪族炭化水素は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。環状である場合、該脂肪族炭化水素は単環式でも多環式でもよい。
このような化合物としてより具体的には、下記一般式(A1)又は(A2)で表される化合物が挙げられる。
HO−R1−OH …(A1)
HO−(R2O)n−H …(A2)
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数2以上の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは2以上の整数である。]
式(A2)で表される化合物は、いわゆるポリエーテルである。
式(A2)中、R2としては、R1と同様のものが挙げられ、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
nは2〜14であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
上記一般式(A2)で表される化合物の例として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量200〜20000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量300〜2000のポリプロピレングリコール等が挙げられる。
平均分子量200〜20000のポリエチレングリコールは、マクロゴールとも称され、ポリエチレングリコール200(平均分子量190〜210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)、ポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)、ポリエチレングリコール1000(平均分子量950〜1050)、ポリエチレングリコール1500(ポリエチレングリコール300とポリエチレングリコール1540の等量混合物)、ポリエチレングリコール1540(平均分子量1290〜1650)、ポリエチレングリコール2000(平均分子量1850〜2150)、ポリエチレングリコール4000(平均分子量2600〜3800)、ポリエチレングリコール6000(平均分子量7300〜9300)、ポリエチレングリコール10000(平均分子量9300〜12500)、ポリエチレングリコール20000(平均分子量15500〜20000)等が挙げられる。
これらのポリエチレングリコールは、たとえば三洋化成工業(株)や日油(株)から入手することができる市販品を利用できる。ポリエチレングリコールの市販品には通常、平均分子量が数値として付されており、商品によっては、たとえばポリエチレングリコール#1000のように、ポリエチレングリコールと数値との間に#がつく場合がある。
なお、上記のポリエチレングリコールの平均分子量は医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量を示し、医薬部外品原料規格2006記載の測定法による値である。
平均分子量300〜2000のポリプロピレングリコールとしては、重合度が4〜34のものが挙げられ、このようなポリプロピレングリコールとしては、ニューポールPP−400、PP−1000、PP−2000(三洋化成工業株式会社製)等の市販品を用いることができる。
なお、ポリプロピレングリコールの平均分子量は数平均分子量であり、水酸基価から求めた値である。
糖アルコールのなかで好適なものとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、マンニトール、マルチトール等が挙げられる。グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンは、たとえば阪本薬品工業(株)等の市販品を用いることができる。
(A)成分の種類により、又は、異なる(A)成分の併用により、発生する煙状物の色の濃さ、煙状物の発生量、煙状物が発生し続ける時間(発煙継続時間)を制御でき、さらには、(B)成分の空間への揮散量も制御することができる。
燻煙型揮散剤中、(A)成分の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。20質量%未満であると、(B)成分が充分に揮散しないおそれがある。
(A)成分の含有量の上限は、全配合成分の合計量が100質量%となる範囲内であれば特に限定されず、他の成分の配合量に応じて適宜設定でき、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。(A)成分の含有量が90質量%を超えると、相対的に(B)成分の含有量が少なくなることで、(B)成分が充分に揮散せず、有効成分による効果が不充分となるおそれがある。
有効成分は、処理対象の空間全体に揮散されてその空間に効果を及ぼす成分であり、用途に応じて適宜選択される。
(B)成分としては、たとえば以下に示す用途に用いられるものが挙げられる。
・家屋内等の空間の殺菌、抗菌、ウイルス活性低下、アレルゲン活性低下、殺黴、又は防黴等の用途:微生物失活成分。
・ダニ等の生物忌避の用途:忌避成分。
・ハエ、カ、ゴキブリ等の害虫の防除用途:殺虫成分。
・身体(皮膚、髪など)の美容用途:美容成分。
・帯電防止用途:帯電防止成分。
・芳香、消臭等の用途:香料成分。
微生物失活成分とは、殺菌、殺黴、ウイルス失活等の効果を有するものであり、空間に存在する微生物を失活させる、又は微生物の増加を抑制する成分を包含する(同一の成分がこれらの複数の効果を有するものも含まれる)。
微生物失活成分としては、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、フェノキシエタノール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、パラオキシ安息香酸メチルエステル、パラオキシ安息香酸エチルエステル、トリクロロカルバニリド、ヒノキチオール、パラオキシ安息香酸ブチルエステル、パラオキシ安息香酸プロピルエステル、塩酸クロルヘキシジン等の非イオン性化合物;塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム等のカチオン性化合物;次亜塩素酸又はその塩、亜塩素酸又はその塩、二酸化塩素、塩素化イソシアヌール酸又はその塩、ポリビニルピロリドンヨード、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルフォルマール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメート等のハロゲン化物;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾチアゾロン等のイソチアゾロン系化合物などが挙げられる。
上記のなかでも、非イオン性化合物が好ましく、イソプロピルメチルフェノール(沸点246℃)、ヒノキチオール(沸点140℃)が特に好ましい。なお、本明細書において「沸点」は常圧での沸点を意味する。
燻煙型揮散剤に含まれる微生物失活成分は、1種でも2種以上でもよい。
忌避成分とは、空間に獣(ネズミ等)、虫(蚊、ゴキブリ、ハエ等)、ダニなどが侵入することを抑制する成分をいう。
忌避成分としては、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(別名ディート)、ローズマリー油、ラベンダー油、ペパーミント油、バジル油、シトロネラール等が挙げられる。
上記のなかでも、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(沸点285℃)、シトロネラール(沸点206℃)が好ましい。
燻煙型揮散剤に含まれる忌避成分は、1種でも2種以上でもよい。
殺虫成分とは、ハエ、カ、ゴキブリ等の害虫を駆除、死滅させる成分をいう。
殺虫成分は、従来、燻煙剤に配合されている殺虫成分のなかから、防除対象の有害害虫の種類等を考慮して適宜選択できる。
代表的な殺虫成分としては、たとえば、オキサジアゾール系化合物、カーバメイト系化合物、有機リン系化合物、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、人体に対する安全性、低刺激性の点で、オキサジアゾール系化合物、カーバメイト系化合物、ピレスロイド系化合物が好ましい。
カーバメイト系化合物としては、プロポクスル、カルバリル等が挙げられる。
ピレスロイド系化合物としては、除虫菊中に含まれる天然の殺虫成分であるピレトリン、除虫菊の乾花を溶媒で抽出したジョチュウギクエキス、及び合成されたピレトリン類似化合物(合成ピレスロイド)のいずれでもよく、菊酸部分とアルコール部分からなるエステル系化合物であれば、天然品でも合成品でも特に限定されない。具体的には、ジョチュウギクエキス、ピレトリン(たとえば住友化学社製の商品名:ピレトリン)、アレスリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ピナミン)、dl・d−T80−アレスリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ピナミンフォルテ)、フタルスリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ネオピナミン)、d・T80−フタルスリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ネオピナミンフォルテ)、レスメトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:クリスロン)、d−T80−レスメトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:クリスロンフォルテ)、d−T80−フラメトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ピナミン−D フォルテ)、フェノトリン(たとえば住商アグロインターナショナル(株)製の商品名:スミスリン)、ペルメトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:エクスミン)、d−T80−シフェノトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ゴキラート)、d・d−T−シフェノトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ゴキラートS)、d・d−T80−プラレトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:エトック)、EZ−エンペントリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:ベーパースリン)、イミプロトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:プラル)、トランスフルトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:バイオスリン)、メトフルトリン(たとえば住友化学(株)製の商品名:エミネンス)等が挙げられる。
上記のなかでも、処理対象の空間全体により揮散しやすいことから、オキサジアゾール系化合物の中でもメトキサジアゾンが好ましく、カーバメイト系化合物の中でもプロポクスルが好ましく、ピレスロイド系化合物の中でもd,d−T−シフェノトリン、フェノトリンが好ましい。
燻煙型揮散剤に含まれる殺虫成分は、1種でも2種以上でもよい。
美容成分とは、身体(皮膚、髪など)に作用する成分であり、化粧料などで使用される有効成分を包含する。
美容成分としては、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸、スクワレン、シリコーン油等の保湿成分;枇杷葉エキス、地黄エオキス等の血行促進成分などが挙げられる。
上記の保湿成分なかでは、スクワレン(沸点285℃)が特に好ましい。
燻煙型揮散剤に含まれる美容成分は、1種でも2種以上でもよい。
帯電防止成分とは、空間に静電気が発生するのを抑制する成分、ホコリや花粉等の空中に浮遊しているものに吸着して空中からそのものを除去する成分などをいう。
帯電防止成分としては、第四級アンモニウム塩、イミダゾリニウム型第四級アンモニウム塩、アミン、アミン塩、アマイド、リン酸エステル等が挙げられる。
上記のなかでも、第四級アンモニウム塩が好ましい。
第四級アンモニウム塩としては、炭素数12〜22のアルキル基もしくはアルケニル基を有するモノ又はジ長鎖第四級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、ジ(アルキルアミドエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(アルカロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ジ(硬化牛脂アルキル)メチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジ(硬化牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムアセテート、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジオレイルジメチルアンモニウム、ジ(パーム油アルキル)ジメチルアンモニウムホスフェート、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
燻煙型揮散剤に含まれる帯電防止成分は、1種でも2種以上でもよい。
香料成分は、天然香料、精油、合成香料を任意に配合して使用できる。
香料成分としては、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチュリ油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ラベンダー油、ビャクダン油、ベチバー油、ゼラニウム油、ラブダナム油、ペパーミント油、ローズ油、ジャスミン油、リッツアキュベバ油などの天然源植物性精油;これらの天然源植物性精油より分離されたゲラニオール、シトロネロール、オイゲノールなどの単離香料類;ムスク、シベット、アンバーグリス、カストリウムなどの天然源動物性香料類;フェニルエチルアルコール、ジヒドロミルセノール、ベンジルアセテート、バニリン、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、アニスアルコール、アニスアルデヒド、イオノン、シス−3−ヘキセノール、ベンジルアルコール、アミルシンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、シンナミルアセテート、イソアミルサリシレート、メチルジヒドロジャスモネート、α−ピペロニルプロパナール、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、γ−ウンデカラクトン、ベロネート、アンブロキサン、ガラクソライドなどの合成香料等が挙げられる。
その他の香料成分としては、化学総覧,1,2,3[奥田治著 廣川書店出版]、Perfume and flavor Chemicals,1,2[Steffen Arctander著]、”合成香料 化学と商品知識”[印藤元一著 化学工業日報社出版]、周知・慣用技術集(香料)第3部香粧品用香料、香料の事典[荒井綜一、小林彰夫、矢島泉、川崎通昭 朝倉書店]、”香料の実際知識”[印藤元一著 東洋経済出版]などに記載されている天然香料、香料化合物が挙げられる。
上記のなかでも、睡眠導入効果の点で、ヘリオトロピン(沸点264℃)が特に好ましい。
(B)成分としては、上述した微生物失活成分、忌避成分、殺虫成分、美容成分、帯電防止成分及び香料成分からなる群より選ばれる1種以上を含むものが好ましい。
また、(B)成分は、より揮散しやすいことから、(A)成分の沸点と近いものが好ましい。(B)成分としては、沸点が100〜450℃のものが好ましく、150〜300℃のものがより好ましい。(B)成分の沸点が前記範囲であると、より揮散しやすくなる。特に従来の自然蒸散、又は有効成分を溶剤に溶解した液状組成物が含浸した吸液芯を加熱蒸散する方法では揮散し難い有効成分でも揮散しやすくなる。
(B)成分の含有量が0.001質量%未満であると、有効成分による効果が不充分となるおそれがある。10質量%を超えると、相対的に(A)成分の含有量が少なくなり、(B)成分の揮散効率が低下するおそれがある。また、(A)成分への溶解性や分散性が損なわれ、製剤化が困難になる場合がある。また、20質量%を超えて配合しても、有効成分による効果はほとんど変わらないため、経済的視点からも好ましくない。
水としては、精製水、イオン交換水、蒸留水等が使用できる。
水の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。水の含有量が50質量%以下であると、加熱時に発生する蒸気の比熱が充分に小さいため、濃い煙状物が発生しやすくなり、視認性がより良好となる。
ただし、水の含有量は、用途、(B)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。たとえば、(B)成分として微生物失活成分を用いる場合、水の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、水を含有していなくてもよい。(B)成分として香料成分を用いる場合、水の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
そのなかでも、発生する煙状物の色の濃さ、煙状物の発生量及び発煙継続時間の制御、並びに(B)成分の空間への揮散量と、汚染性の低減との両立を図りやすいことから、30/70〜98/2であることがより好ましく、50/50〜98/2であることがさらに好ましく、80/20〜95/5であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨品等に使用されるものであれば特に限定されず、(A)成分への溶解性、分散性の観点から、非イオン界面活性剤が好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
燻煙型揮散剤は、上記の各成分を混合することにより調製できる。
図1に示す実施形態の燻煙型空間処理装置1を用いた空間処理方法について説明する。
まず、水を入れた外容器10を対象空間内に設置し、その外容器10内に、加熱部30と被加熱部40とが伝熱部50を介して設けられた内容器20を配置することにより加熱部30を発熱させる。
外容器10に入れる水の量は、内容器20の内底壁部24が水中に浸漬する程度の量が少なくとも必要であるが、発熱効率を高める観点から、できるだけ少ないことが好ましい。
燻煙型揮散剤の加熱温度は、150〜450℃が好ましく、170〜400℃がより好ましく、190〜400℃がさらに好ましい。150℃以上で加熱することで、発生した(A)成分の蒸気を煙状に噴出させることができ、短時間で(B)成分を対象空間全体に拡散させることができる。該加熱温度の範囲内においては、加熱温度が高いほど、(B)成分が対象空間全体に拡散する時間が短くなり、その拡散範囲も広くなる。加熱温度が450℃を超えると、(B)成分が熱分解し、有効な状態(未分解の状態)で揮散する量が減少(揮散効率が低下)するおそれがある。
たとえば、発熱剤として酸化カルシウムを充填した加熱部30が内容器20内に設けられている場合、外容器10に水を入れ、内底壁部24を水中に浸漬することにより、内底壁部24から内容器20内に浸入した水が加熱部30で酸化カルシウムと水和反応し、200〜400℃程度の熱が発生する。
さらに、任意の温度をなるべく長い時間保持することが好ましい。具体的には、好ましくは90秒間以上、より好ましくは150秒間以上、任意の温度を保持するように加熱を行う。このように任意の温度を保持することにより、発煙継続時間が長くなり、(B)成分を対象空間全体により拡散できる、又は、(B)成分の空間への揮散量をより増加させることができる。
前記の任意の温度、加熱速度及び保持時間は、(B)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。発熱剤として酸化カルシウムを用いる場合、酸化カルシウムと水との比率、酸化カルシウムの使用量、酸化カルシウムの商品グレード、酸化カルシウムの粒度の選択により制御できる。酸化カルシウムと水との比率は、発生する煙状物の色の濃さ、煙状物の発生量、発煙継続時間、(B)成分の揮散量などを勘案して適宜決定すればよい。また、燻煙型揮散剤を充填する伝熱部50を構成する部材の容量又は材質等によっても制御できる。
たとえば、家屋内、車両内等の空間内で燻煙型空間処理装置1を用いて燻煙を開始すると、(B)成分が短時間で当該空間内に揮散し、(B)成分による各種効果が発揮され、空間処理が施される。このとき、(A)成分の蒸気が白煙のように視認されることで、使用者は実効感を得られる。
かかる空間処理の時間(発熱を開始後、対象空間を密閉する時間)は、特に限定されず、10分間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
このように、燻煙型空間処理装置1を用いることで簡便に空間処理を施すことができる。
本発明者らは、外容器10の上端面10eと、内容器20の上端部22cとが同じ高さである燻煙装置、又は、上端面10eの方が上端部22cより高い位置にある燻煙装置のそれぞれに、ポリオールを用いた燻煙型揮散剤を充填して燻煙を行った場合、加熱によって噴出する煙状物の一部が、外容器10の内周面12aと、内容器20の外周面22bとの間に吸い込まれる現象(以下この現象を「巻き込み」という。)が生じていることを確認した。
本発明者らは更なる検討により、外容器10と内容器20との高さの関係において、内容器20の高さの1/4以上が外容器10の上端面10eから突出していることで、前記巻き込みが起きなくなり、内容器20からの燻煙型揮散剤の噴出力が強まることを見出した。すなわち、発煙基剤としてポリオールを用いた燻煙型揮散剤を用いるのに適した燻煙装置(燻煙型空間処理装置1)を発明した。
この燻煙型空間処理装置1によれば、内容器20から噴出する煙状物の白度が増し、使用者の実効感が得られやすい。加えて、有効成分の揮散率が高まり、空間処理による有効成分の効果も向上する。
たとえば、加熱部と被加熱部とが伝熱部を介して設けられている現行の間接加熱方式の燻煙装置を、内容器の高さの1/4以上が外容器の上端面から突出するように変更し、燻煙剤として本発明における燻煙型揮散剤を用いることにより実施できる。
図2は、本発明に係る燻煙型空間処理装置の他の実施形態を示す断面図である。
以下、図1に示す実施形態の燻煙型空間処理装置1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について主に説明する。燻煙型空間処理装置100において、燻煙型空間処理装置1と異なる点は内容器120の形態である。
内容器120は、側壁部122と底壁部(内底壁部)124とを備え、内底壁部124の周縁から下方に延びる環状壁123が設けられている。環状壁123には切欠が形成されている。
内容器120は、環状壁123の下端部122dが外底壁部14と接し、内底壁部124が外容器10の外底壁部14と離間するものとされている。
内容器120の外周面122bは、外容器10の内周面12aと離間している。
図1においては、内周面12aと外周面122bとの間に水が入れられ、外底壁部14と内底壁部124との間の隙間に水が充満している。
内容器120内には、加熱部130と被加熱部140とが仕切り板からなる伝熱部150を介して設けられている。
加熱部130は、伝熱部150と内容器120とで囲まれた空間に発熱剤が充填されて形成されたものである。
被加熱部140は、伝熱部150上に、燻煙型揮散剤が充填されて形成されている。
伝熱部150は、加熱部130で生じた熱エネルギーを被加熱部140に伝える機能を有するものである。
伝熱部150の材質は、伝熱性を有するものであればよく、金属が好ましい。
内容器120の上端面120e近傍には、蓋体160が設けられている。蓋体160は図1に示す実施形態における蓋体60についての説明と同じである。
発熱剤の充填量、燻煙型揮散剤の充填量、発熱剤/燻煙型揮散剤の質量比は、図1に示す実施形態における場合とそれぞれ同様である。
燻煙型空間処理装置100において、内容器120は、その高さH1の1/4以上が外容器10の上端面10eから突出している。すなわち、H2/H1≧1/4の関係式が成り立つ。内容器120は、好ましくはその高さH1の1/2以上、より好ましくはその高さH1の3/4以上、が外容器10の上端面10eから突出している。
一方、燻煙型空間処理装置100の使用前後の持ち運びやすさ、内容器120の倒れにくさ等の観点から、外容器10の上端面10eから突出している内容器120の長さH2が、内容器120の高さH1の1/2以下であることが好ましい。
図1及び図2に示す実施形態では、発熱剤が充填されることにより加熱部が形成されているが、たとえば、加熱部内に仕切り材を配置して独立した複数の区画を形成し、各区画にそれぞれ金属と、該金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを充填してもよい。この場合、内容器の底壁部の構造は水を透過しないものであってよい。なお、内容器の底壁部の構造は、加熱部の構成に応じて適宜決定することができる。
また、外容器には、本発明の効果を損なわない範囲で、図3に示すように、たとえば外容器10の上端面10eから突出している内容器の突出部分を包装すること等を目的として、周壁部12から上方に突出する複数の突出壁16が上端部12cに設けられていてもよい。なお、図3に示す形態の場合、外容器10から内容器が突出している際の、外容器10における基準となる面は、上端部12cを周縁とする上端面10eであるものとする。
以下の各例で使用した原料は以下の通りである。
プロピレングリコール:関東化学(株)製。
ジプロピレングリコール:関東化学(株)製。
メトキサジアゾン:住友化学(株)製。
[燻煙型空間処理装置の製造]
本試験例では、図1に示す実施形態の燻煙型空間処理装置1において、外容器10の上端面10eから突出している内容器20の長さH2が異なる、5種類の燻煙装置を用いた。なお、いずれの燻煙装置にも、内容器20の高さH1が75mm、外容器10の外底壁部14の厚さが5mmのものを用いた。
表1、2に、外容器の高さ、外容器の上端面から突出している内容器の長さH2、及び該長さH2の内容器の高さH1に対する比(H2/H1)、について示した。
試験例1の燻煙型空間処理装置は、内容器が外容器の上端面から突出しておらず、外容器の上端面より14mm低い位置に内容器の上端面が位置しているものである。試験例2の燻煙型空間処理装置は、外容器の上端面と内容器の上端面とが同じ高さの位置にあるものである。
また、いずれの燻煙装置にも、伝熱部50内にはポリオール(プロピレングリコール又はジプロピレングリコール)のみを充填した。
そして、「水ではじめるバルサン25g」に使用されているブリキ缶(Lサイズ;外径66mm×高さ75mm)に専用の底蓋を取り付け、内容器部分に酸化カルシウム58gを充填し、伝熱部を構成する部材にポリオール10gを充填して、燻煙型空間処理装置をそれぞれ用意した。
プラ外容器に水20gを入れ、該プラ外容器を、内容積31.4m3の試験室内(温度25±2℃、相対湿度45±5%RH)の中央床面に設置した。その後、該プラ外容器に、前記の底蓋を取り付けたブリキ缶を配置し、燻煙を開始した。
次いで、予め該ブリキ缶の天面から高さ方向に100cm離れた位置に取り付けたレーザーにより、燻煙の開始20秒後から60秒間、燻煙型空間処理装置から蒸散する煙状物のレーザー透過率を測定した。その結果を「透過度の最小値(%)」として表1、2に示す。
そして、該レーザー透過率を指標とし、以下の評価基準により、煙状物の噴出力について評価した。その結果を表1、2に示す。
煙状物の噴出力の評価基準
○:透過度の最小値(%)が10%以下であった。
△:透過度の最小値(%)が10%超、30%以下であった。
×:透過度の最小値(%)が30%超であった。
前記[煙状物の噴出力の評価]と合わせて、燻煙型空間処理装置から蒸散する煙状物の煙の濃さ(目視観察)について以下の評価基準により評価した。その結果を表1、2に示す。
煙状物の煙の濃さの評価基準
3点:白度の非常に高い煙が確認された。
2点:白度の高い煙が確認された。
1点:白度の低い煙が確認された。
表1、2に示す結果から、内容器の高さの1/4以上が外容器の上端面から突出している試験例4〜6、10〜12の燻煙型空間処理装置は、煙状物の噴出力が高く、白度の高い煙状物が視認されていることが確認できる。これより、これらの燻煙型空間処理装置は、使用者が実効感を得られやすい燻煙装置であるといえる。
一方、試験例4〜6、10〜12の燻煙型空間処理装置では、煙状物の巻き込みは確認されなかった。
[燻煙型空間処理装置の製造]
実施例1の燻煙型空間処理装置として、試験例12と同一の形態のものを用いた。
比較例1の燻煙型空間処理装置として、試験例7と同一の形態のものを用いた。
いずれの例の燻煙型空間処理装置も、伝熱部を構成する部材には、以下に示す組成の燻煙型揮散剤10gを充填した。
燻煙型揮散剤の組成:ジプロピレングリコール90質量%、メトキサジアゾン10質量%。
プラ外容器に水20gを入れ、該プラ外容器を、内容積9.7m3の試験室内(温度25±2℃、相対湿度45±5%RH)の中央床面に設置した。その後、内容器部分に酸化カルシウム58gを充填し、伝熱部を構成する部材に前記燻煙型揮散剤10gを充填し、専用の底蓋を取り付けた前記ブリキ缶を、該プラ外容器に配置して燻煙を開始した。該ブリキ缶を配置してから1分後に白煙が発生し始めた。
白煙の発生が開始した時点から5分後に、試験室内の空気をファンで1分間撹拌した。撹拌後、真空ポンプを用いて試験室内の空気20Lを回収用カラムに通流し、試験室内に揮散したメトキサジアゾンを吸着させた。該回収用カラムには、クロマト用シリカゲル(Wakogel C−100、和光純薬工業株式会社製)を用いた。
次いで、メトキサジアゾンを吸着させた後、アセトンを回収用カラムに通流し、通流したアセトンを回収した。こうして、クロマト用シリカゲルに吸着したメトキサジアゾンを溶出させた。その後、回収したアセトンを試料として、ガスクロマトグラフィー(GC)により試料中のメトキサジアゾンX(g)を定量した。
この定量結果と、燻煙型揮散剤中に残存したメトキサジアゾンY(質量%)とから、下式により揮散率(%)を算出した。
揮散率(%)=[X(g)/20(L)]×[100/{10(g)×Y(質量%)}]×9700(L)×100
実施例1の燻煙型空間処理装置:メトキサジアゾンの揮散率 15.9(%)
比較例1の燻煙型空間処理装置:メトキサジアゾンの揮散率 7.5(%)
加えて、実施例1の燻煙型空間処理装置は、低汚染性であることも確認できた。さらに、大がかりな装置を必要とせず、その取扱いが簡便であった。
Claims (1)
- 有底筒状の外容器と該外容器内に設けられた有底筒状の内容器とを備え、前記内容器内には、水和反応により発熱する発熱剤が充填された加熱部と、ポリオール及び有効成分を含有する燻煙型揮散剤が充填された被加熱部とが伝熱部を介して設けられ、前記外容器に水を入れることにより前記発熱剤を発熱させて前記燻煙型揮散剤を蒸散する燻煙型空間処理装置であって、
前記内容器は、その高さの1/4以上が前記外容器の上端面から突出していることを特徴とする燻煙型空間処理装置。
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