JP4810825B2 - リパーゼ活性測定方法および測定試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、検体中のリパーゼ活性の測定に用いるための基質溶液のミセル径を、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下に均一化する方法、そのような基質溶液を製造する方法、そのようにして得られた基質溶液に関する。
また、本発明は、リパーゼ(EC3.1.1.3)またはリポ蛋白リパーゼ(EC3.1.1.34)活性(本明細書ではこれらを総称してリパーゼとする。)を同時再現性、日差再現性良く測定するためのリパーゼ測定方法であり、調製間差がなく均質で安定なエマルジョン基質を用いた検体中のリパーゼ測定方法および測定試薬に関する。
リパーゼは動物、植物を問わず自然界に広く分布している酵素であり、臨床的見地からは、リパーゼ(EC3.1.1.3)は急性膵炎、膵臓癌等の膵疾患の早期発見に有用であり、リポ蛋白リパーゼ(EC3.1.1.34)は高脂血症、特に高トリグリセリド血症でLPL欠損症が疑われる場合の鑑別診断に有用である。
リパーゼの測定法には種々あるが、臨床的に使用されている方法は(1)トリグリセライド主にオリーブ油または高級脂肪酸のグリセロールエステルの懸濁液を基質として用い、リパーゼの作用による濁りの減少量を測定する方法、(2)トリグリセライド以外の合成基質例えばモノグリセリド、1,2−ジグリセライド、p−ニトロフェノールラウリン酸エステル、α―ナフチルパルミテートなどを用いる方法、(3)トリグリセライドを用いリパーゼの作用により生成した脂肪酸またはグリセロールを測定する方法、等がある。しかし、これらの方法はいくつか問題がありリパーゼを正確に再現性よく測定するには不十分であった。(1)の方法は濁りが必ずしもリパーゼ活性を反映せず、乳び検体では正誤差を受けること、また感度が低いという問題がある。(2)の方法は比較的水溶性を考慮したものであるが、依然として保存により不溶化するものもあり、また水溶性を考慮した設計であるがゆえにエステラーゼにも作用を受けることから基質特異性の問題がある。(3)の方法はリパーゼがトリグリセライドに作用し生成した脂肪酸またはグリセロールを測定することでリパーゼ活性を化学量論的に測定する方法と考えられる(特許文献1)。しかし、基質であるトリグリセライドの溶解性が悪いことから、これら非水溶性のトリグリセライドを非イオン界面活性剤を含む水溶液に加え、攪拌しながら加熱し、一度非イオン界面活性剤の曇天より高い温度に上げ、さらに攪拌を続けながら、曇天以下に冷却して可溶化した基質を用いている(特許文献2)。しかしながら、これらの方法では依然として溶解度に調製間差が生じることから、基質の調製ごとまたは基質のロットごとにリパーゼ活性が変動し、更には同じ調製ロットでもバラツキが生じ安定した測定値が得られないという問題がある。
特公平8−2317号公報 特公昭59−39168号公報
本発明は検体中のリパーゼ活性を同時再現性、日差再現性良く測定するためのリパーゼ測定方法であり、調製間差がなく均質で安定なエマルジョン基質を用いた検体中のリパーゼ測定方法および測定試薬を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、検体中のリパーゼ活性の測定において、検体をミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下である基質溶液に作用させその生成物を検出することを特徴とするリパーゼ活性測定方法に関する。
本発明によれば、検体中のリパーゼ活性を同時再現性、日差再現性良く測定することができる。また、調製間差がなく均質で安定なエマルジョン基質を用いた検体中のリパーゼ測定方法および測定試薬を提供することができる。
本発明の基質は、リパーゼの基質特異性を考慮し選択されるが、通常ヒト由来のリパーゼまたはヒト由来のトリグリセライドに作用するリパーゼの活性測定に用いられる基質は、オレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン酸のいずれか1種以上を脂肪酸として含むトリグリセライドであり、これらの混合物としてオリーブ油、大豆油等の植物油が用いられうる。
本発明の基質溶液の調製方法は、基質を界面活性剤を用いて水に溶解する場合に溶解後のミセル径が細粒化かつ均一化することであるが、発明者は特定の範囲のミセル径においてリパーゼ活性測定の再現性が著しく向上することを見出した。リパーゼ活性測定の再現性が良好なミセル径としてはミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下である。好ましいミセル経は0.20μm〜0.35μmであり、更に好ましくは0.23μm〜0.32μmである。
具体的には、基質と界面活性剤を混合する際に水溶性有機溶媒を同時に混合し、混合方法として超音波などの振動を与えることでミセル径を細粒化、均一化する。その後、緩衝剤、コリパーゼ、その他界面活性剤、防腐剤などを添加し攪拌して調製することができるが、リパーゼ活性の再現性向上に寄与する工程はミセル径を細粒化、均一化する工程である。
本発明の基質と界面活性剤、水溶性有機溶媒の混合方法は振動作用を利用することにあるが、振動源としては音波などを用いることができる。振動周波は30Hz以上あれば良いが、好ましくは20000Hz以上であり、ミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下になるように振動時間を調整する。例えばTAITEC ULTRASONIC PROCESSER VP−5 型 を用いることが出来る。
本発明に用いられる界面活性剤としては非イオン界面活性剤またはコール酸誘導体が好ましい。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類として例えばエマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン130K、ノニオンK−204、ノニオンK−215、ノニオンK−220、ノニオンK−230、NIKKOL BL−2、NIKKOL BL−4.2、NIKKOL BL−9EX、NIKKOL BL−21、NIKKOL BL−25、ポリオキシエチレンセチルエーテル類として、エマルゲン210、エマルゲン220、NIKKOL BC−2、NIKKOL BC−5.5、NIKKOL BC−7、NIKKOL BC−10TX、NIKKOL BC−15TX、NIKKOL BC−20TX、NIKKOL BC−23、NIKKOL BC−25TX、NIKKOL BC−30TX、NIKKOL BC−40TX、ノニオンP−208、ノニオンP−210、ノニオンP−213、ポリオキシエチレンステアリルエーテル類として、エマルゲン306P、エマルゲン320P、NIKKOL BS−2、NIKKOL BS−4、NIKKOL BS−20、ノニオンS−206、ノニオンS−207、ノニオンS−215、ノニオンS−220、ポリオキシエチレンオレイルエーテル類としては、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409P、エマルゲン420、エマルゲン430、NIKKOL BO−2、NIKKOL BO−7、NIKKOL BO−10TX、NIKKOL BO−20、NIKKOL BO−50、ノニオンE−206、ノニオンE−215、ノニオンE−230、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル類としては、NIKKOL BB−5、NIKKOL BB−10、NIKKOL BB−20、NIKKOL BB−30等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン2級アルキルエーテル類としては、エマルゲン707、NIKKOL BT−5、NIKKOL BT−7、NIKKOL BT−9、アデカトールSO−80、アデカトールSO−105、アデカトールSO−120、アデカトールSO−135、アデカトールSO−145、アデカトールSO−160、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類としては、エマルゲン810、エマルゲン840S、エマルゲン909、エマルゲン910、エマルゲン930、エマルゲン950、トリトンX−100、トリトンX−114、NIKKOL NP−5、NIKKOL NP−7.5、NIKKOL NP−10、NIKKOL NP−15、NIKKOL NP−20、NIKKOL OP−10、NIKKOL OP−30、等が挙げられる。ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類としては、エマルゲンPP−150、エマルゲンPP−230、エマルゲンPP−250、エマルゲンPP−290、NIKKOL PBC−34、NIKKOL PBC−44、等が挙げられる。脂肪酸エステル類としては、レオドールTW−L120、レオドールTW−L106、レオドールTW−P120、レオドールTW−S120、レオドールTW−O120、レオドール460、エマノーン1112、エマノーン3115、エマノーン3170、エマノーン3299、エマノーン3130等が挙げられる。ポリオキシエチレンステロール類としては、NIKKOL BPS−10、NIKKOL BPS−20、NIKKOL BPS−30、NIKKOL BPSH−25、NIKKOL DHC−30等が挙げられる。その他には、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、n−オクタノイル−N−メチルグルコアミド、n−ノナノイル−N−メチルグルコアミド、n−デカノイル−N−メチルグルコアミド、シュークロースモノカプレート、シュークロースモノラウレート、シュークロースモノコレート、ジギトニン等が挙げられる。
また、コール酸誘導体としては、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)コラミド、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)デオキシコラミド、コール酸、デオキシコール酸およびその塩
これら非イオン界面活性剤は1種または2種以上を混合して用いられうるが、いずれの場合もHLBとしては10〜16が好ましく、更にリパーゼの反応性を考慮すると12〜14がより好ましい。
本発明に用いられる水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、1,4ジオキサン、メチルアミン、ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、トリエタノールアミンなどが挙げられるが好ましくはメタノールまたはエタノールである。これら有機溶媒は基質、界面活性剤の容量に対し5〜50%(W/W)量で添加することができるが、より好ましくは10〜30%(W/W)量である。
尚、本発明に用いられる水溶性有機溶媒はミセル径の細粒化、均一化に寄与するものであり、特公平4−8037に記載の非水溶性有機溶媒であるヘプタン、イソオクタンを用いて水層、有機溶媒層の二層化しリパーゼ活性を高め油脂分解を促進させることとは思想が異なる。
尚、本発明のリパーゼ測定試薬には、緩衝剤、酵素、検出物質、防腐剤、キレート剤、フェロシアン化物などの鉄錯体を含んでよい。緩衝液としては、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グッド緩衝液などが挙げられる。なかでも、トリス緩衝液、リン酸緩衝液は濃度、温度によってpHが変動しやすいが、安価であるという利点がある。一方、グッド緩衝液にはMES、Bis−Tris、ACES、BES、MOPS、PIPES、TES、HEPES、Tricine、Bicine、POPSO、TAPS、CHES、CAPSなどが例示される。該緩衝液のpHは5〜9の範囲で調整される。さらには6〜8が好ましい。中でも6.5〜7.5が好ましい。酵素は動物、植物、微生物から採取されるもの、またはこれらの遺伝子を他の微生物に組み込まれた遺伝子組換え微生物より製造されたものなどがあり、また、遺伝子的に性質を改変したものを含有する。また、これら酵素の特異性、安定性を向上させる目的で上記酵素を化学的に修飾したものも用いられる。検出物質としては、還元型または酸化型NADH、還元型または酸化型NADPH、4−アミノアンチピリン、トリンダー試薬などが挙げられる。防腐剤としては、抗生物質、アジ化ナトリウム、MIT、IZU、BNDなどが挙げられる。キレート剤としては、EDTAまたはその塩などが挙げられる。鉄錯体としてはフェロシアン化カリウム、EDTA・Fe塩などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例により特に限定されるものではない。
(実施例1)
下記のリパーゼ測定試薬に用いるオリーブ油エマルジョン液を調製した。比較例では、エタノールを添加しない以外は実施例と同様の操作を行なって調製した。
オリーブエマルジョン液のミセル径の測定には、堀場製作所製、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500を使用した。測定は取扱説明書(第3版 2000年5月、CODE I1000014000B)に従い、最適化しながら進めた。測定条件は、分布形態:標準、データ取り込み回数:200、反復回数:50、粒子径基準:体積、試料屈折率:1.440(リポソーム)、分散媒屈折率:1.333(水)とした。サンプル濃度は取扱説明書に従い適正濃度範囲にあることを確認した。
測定データはLB−500により自動的に処理され、算術平均径、算術分散、算術標準偏差、幾何平均径、幾何分散、幾何標準偏差など、図1〜図6に記載される各項目についてのデータを得ることができる。各データ項目の処理方法については、図7および図8に記載した。
<オリーブ油エマルジョン液の調製>
オリーブ油(ナカライデスク製,リパーゼ測定用特製試薬)5.0gと5.0%トリトンX−100溶液(B)5.0mLの混合液にエタノールを2.0mL添加し10分間超音波処理し(20KHz),エマルジョンを調製する。次いでこのエマルジョンに4.0%BSA水溶液(C)25mLと0.1M リン酸K緩衝液、pH7.0(D)15mLを添加し5分間攪拌して混合した。
結果 図1〜図6に示す。図1〜図3が比較例(上記方法により3ロットを作製)、図4〜図6が実施例(上記方法により3ロットを作製)である。
比較例ではミセル径が0.4265μm〜1.0564μmと、ロット間でばらつきがあると同時に、ミセル径分布の幾何標準偏差はいずれのロットも0.25を越えていた。一方、実施例ではミセル径はいずれのロットも0.28μm付近であり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差はいずれのロットも0.17付近であった。
このことから、実施例は比較例に比べてミセルの均一性がより高いといえる。
(実施例2)
オリーブ油エマルジョン液を次のように調製した。
オリーブ油(ナカライデスク製,リパーゼ測定用特製試薬)5.0gと5.0%トリトンX-100溶液(B)5.0mLの混合液にエタノール添加量を0.5〜3mLと変えて調製し、10分間超音波処理し(20KHz),エマルジョンを調製する。次いでこのエマルジョンに4.0%BSA水溶液(C)25mLと0.1M リン酸K緩衝液、pH7.0(D)15mLを添加し攪拌時間を5〜90分と条件をかえて混合した。
以上のように調製したオリーブ油エマルジョン液を用いて下記のようにリパーゼ測定試薬を調製し、下記の測定手順、活性算出式でリパーゼ添加試料液中のリパーゼ活性を測定した。
得られたリパーゼ活性値より基準値に対する回収率(%)を算出した。

<リパーゼ測定試薬の調製法>
A.オリーブ油エマルジョン液
B.5.0%トリトンX−100溶液
5.0mLのTritonX−100を100mLの蒸留水に溶解する。
C.4.0%BSA水溶液
4.0gの牛血清アルブミンを100mLの蒸留水に溶解する。
D.0.1M リン酸K緩衝液、pH7.0
E.0.2Mトリクロル酢酸(TCA)溶液
33gのトリクロル酢酸を1000mLの蒸留水に溶解する。
F.50mM MES緩衝液、pH6.5
9.76gの 2−(N−morpholino)ethanesulfonicacid(MW=195.23)を約850mLの蒸留水に溶解し,pHを5.0NNaOHで6.5に調整後、蒸留水で1000mLとする。
G.発色試薬
200mLの50mM MES緩衝液、pH6.5(F)に下記順序で試薬及び酵素を溶解する。
4.0mL 5.0%トリトンX−100溶液(B)
0.04mL N,N−Diethyl−m−toluidine(完全に溶解するまで攪拌する)
4.0mg 4−アミノアンチピリン
24.2mg ATP・Na2・3水和物
40.7mg MgCl2・6水和物
200単位 Glycerolkinase(東洋紡製,Grade III)
500単位 L−α−Glycerophosphateoxidase(東洋紡製,G3O−301・Grade III)
300単位 Peroxidase(プルプロカリン単位)(東洋紡製,Grade III)

<測定手順>
(1)オリーブ油エマルジョン液(A)2.0mLを試験管に採り37℃で約5分間予備加温する。
(2)酵素溶液0.2mL加え、反応を開始する。
(3)37℃で正確に15分間反応させた後,TCA溶液(E)2.0mLを加えて反応を停止する。
(4)生成する不溶物を濾紙濾過で除く(東洋濾紙No.131あるいはWhatmanNo.42)。
(5)濾液の0.05mLを試験管に採り、発色試薬(G)3.0mLを加えて混合した後、37℃にて15分間加温し、545nmにおける吸光度を測定する(ODtest)。
(6)盲検はオリーブ油エマルジョン液(A)2.0mL37℃で15分間放置後,TCA溶液(E)2.0mLを加え、次いで酵素溶液0.2mLを加えて調製し、以下上記同様((4)〜(5))に操作して吸光度を測定する(ODblank)。

<活性算出式>
U/mL={△OD(ODtest−ODblank)X4.2(mL)X3.05(mL)X希釈倍率}÷{28.2×1/2×1.0×15(分)X0.2(mL)×0.05(mL)}
28.2 : Quinoneimine色素の上記測定条件下でのミリモル分子吸光度係数(cm2/micromole)
1/2 : H202の1分子から形成するQuinoneimine色素は1/2分子である事による係数
1.0 : 光路長(cm)
Figure 0004810825
結果 表1に示す。比較例では活性回収率が低く、オリーブ油エマルジョン液の攪拌時間で回収率にバラツキがみられるが、実施例では回収率が100±6%以内と良好でありオリーブ油エマルジョン液の攪拌時間で回収率にバラツキがほとんどないことがわかる。
(実施例3)
実施例1で調製したオリーブ油エマルジョン液を用いて、実施例2に示す<リパーゼ測定試薬の調製法>によりリパーゼ測定試薬を調製した。この操作を15回実施し15ロットのリパーゼ測定試薬を調製し、各々の試薬ロットで実施例2の測定手順、活性算出式でリパーゼ5.6U/mL添加試料液中のリパーゼ活性を測定した。得られた活性値についてN=15の平均値、標準偏差(S.D)、CV(%)を算出した。比較例として、実施例1で比較例として調製したオリーブ油エマルジョン液を用いて同様の操作を行なった。
Figure 0004810825
結果 表2に示す。比較例では平均値5.0U/mL(回収率89%)、CV16.1%と回収率、バラツキともに大きいのに対し、実施例では試薬ブランクの上昇傾向、溶血の影響の増大がみられるのに対し、実施例では平均値5.53U/mL(回収率99%)、CV3.3%と回収率、バラツキとも良好な結果を得た。
本発明のリパーゼ活性測定方法および測定試薬は、検体中のリパーゼ活性を同時再現性、日差再現性良く測定することができる。また、調製間差がなく均質で安定なエマルジョン基質を用いた検体中のリパーゼ測定方法および測定試薬を提供することができることから、臨床検査分野または工業用酵素または臨床検査試薬用酵素の品質管理に寄与する。
実施例1の比較例で調製したオリーブエマルジョン液の1ロット目のミセル径の測定結果を示すデータである。図1から図6において、ヒストグラムはミセル径の頻度分布を示し、横軸は粒子径の対数目盛、縦軸は頻度%である。また、図1から図6において、曲線はミセル径の通過分積算を示し、横軸は粒子径の対数目盛、縦軸は通過分積算%である。 実施例1の比較例で調製したオリーブエマルジョン液の3ロット目のミセル径の測定結果を示すデータである。 実施例1の比較例で調製したオリーブエマルジョン液の3ロット目のミセル径の測定結果を示すデータである。 実施例1で調製したオリーブエマルジョン液の1ロット目のミセル径の測定結果を示すデータである。 実施例1で調製したオリーブエマルジョン液の2ロット目のミセル径の測定結果を示すデータである。 実施例1で調製したオリーブエマルジョン液の3ロット目のミセル径の測定結果を示すデータである。 堀場製作所製、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500を用いて測定した各データ項目の処理方法を示す。(その1/2) 堀場製作所製、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500を用いて測定した各データ項目の処理方法を示す。(その2/2)

Claims (7)

  1. 検体中のリパーゼ活性を測定するための方法であって、検体を、「界面活性剤および水溶性有機溶媒を含み、ミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下である基質溶液に作用させその生成物を検出する工程を含むことを特徴とするリパーゼ活性測定方法。
  2. 基質溶液が、基質、界面活性剤および水溶性有機溶媒を混合後、少なくとも当該混合物を30Hz以上の振動で処理したものである請求項1のリパーゼ活性測定方法。
  3. 基質がオレイン酸、リノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン酸のいずれか1種以上を脂肪酸として含むトリグリセライドである請求項1のリパーゼ活性測定方法。
  4. 界面活性剤がポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、コール酸誘導体のいずれか1種以上のHLBが10〜16の非イオン界面活性剤である請求項1のリパーゼ活性測定方法。
  5. 水溶性有機溶媒が、メタノールまたはエタノールである請求項1のリパーゼ活性測定方法。
  6. 検体中のリパーゼ活性を測定するための試薬であって、「界面活性剤および水溶性有機溶媒を含み、ミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下である基質溶液」を含むことを特徴とするリパーゼ活性測定試薬。
  7. 検体中のリパーゼ活性の測定に用いるための基質溶液であって、界面活性剤および水溶性有機溶媒を含み、ミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下である基質溶液。
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