JP4013108B2 - リパーゼの安定化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリパーゼの安定化方法およびその組成物に関する。特に臨床診断に用いられる生体成分中の中性脂肪(以下トリグリセライドとも称する)測定試薬に用いられるリパーゼの安定化方法およびその組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、リパーゼは中性脂肪測定試薬の主反応酵素として診断用試薬に使用され重要視されている。リパーゼを用いる中性脂肪測定法は種々報告されているが、リパーゼの作用により生成したグリセロールを更にグリセロールキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼを用いて測定する方法、グリセロールをグリセロールデヒドロゲナーゼを用いて測定する方法、グリセロールキナーゼ、グリセロリン酸デヒドロゲナーゼを用いて測定する方法、グリセロールキナーゼ、ADP依存性ヘキソキナーゼ、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼを用いて測定する方法がある。これらリパーゼを用いる試薬の正確性はこれら酵素の反応性、安定性が寄与しており、益々反応性、安定性に対する要求が高まっている。
【0003】
リパーゼの安定性を維持するために、安定化剤としてグリセロール、グリシン(Methods Enzymol.129,691(1986))、メルカプトエタノール(J.Biol.Chem.,247,6212(1972))、トリトンX−100(Enzyme Handbook,3,Springer-Verlag(1991))、トリトンN−101、デオキシコール酸(Methods Enzymol.129,716(1986))、Mg2+、BSA(東洋紡績(株)酵素カタログ)、塩類(特開昭64−60381)等の添加が知られているが、試薬溶液中で求められる安定性を維持するには不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、臨床検査においては益々精度管理の重要性が高まっている。その中で中性脂肪測定試薬においては、測定試薬によりトリオレイン水溶液、患者検体、管理血清等各試料に対するリパーゼの反応性が異なることから測定値が変動する点が問題視されている。また、診断用試薬では液状試薬が主流になっているが、中性脂肪測定試薬ではこのようなリパーゼの反応性を液状状態で長期間維持する必要性から益々液状安定性に対する要求が強くなっている。
このことから、本発明が解決しようとする課題は長期間安定な液状試薬として耐えうる安定性を有し、かつ各種試料に対し良好な反応性を維持したリパーゼを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討した結果、リパーゼにポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることにより、リパーゼを液状状態で長期間安定に保ち、かつ各種試料に対し良好な反応性を維持することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)
リパーゼにポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることを特徴とする、リパーゼの安定化方法。
(2)
さらに、十分な反応性が維持されている、(1)記載のリパーゼの安定化方法。(3)
ポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルの濃度が0.01〜0.5%である(2)記載のリパーゼの安定化方法。
(4)
ポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルのHLBが15以下である(2)記載のリパーゼの安定化方法。
(5)
リパーゼがさらにエステラーゼ活性を有する(1)〜(4)記載のリパーゼの安定化方法。
(6)
リパーゼにポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることを特徴とするリパーゼの安定化組成物。
(7)
ポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルの濃度が0.01〜0.5%である(6)記載のリパーゼの安定化組成物。
(8)
更にリパーゼ活性化剤と組み合わせて用いられる(6)、(7)記載のリパーゼの安定化組成物。
(9)
リパーゼ活性化剤がポリオキシエチレン2級アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルから選ばれた少なくとも1種の界面活性剤である(8)記載のリパーゼの安定化組成物。
(10)
HLBが15以下のポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルと、リパーゼ活性化剤の総HLBが12〜14である(8)、(9)記載のリパーゼの安定化組成物。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において「安定」とは、加温処理に対しても酵素活性が維持されていることを意味し、具体的には、ポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを、50mM HEPES (pH7.5)緩衝液中に、2U/mLのリパーゼと共存させたとき、35℃14日間保存後の残存酵素活性が加温処理していないものと比較して、60%以上(好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上)維持されていることをいう。
【0007】
本発明において「十分な反応性」とは、中性脂肪をリパーゼによりグリセロール、および脂肪酸に分解し、生成したグリセロールの量を追随反応を介して求めることにより中性脂肪を測定する際に、精製水および200mg/dLトリオレイン溶液の測定吸光度を対照とし算出した中性脂肪濃度が、3000mg/dL以下の範囲において理論値を回収することを意味し、具体的には測定値が理論値の95%を下回らないことを意味する。
【0008】
本発明の一実施態様として、第一試薬としてグリセロールキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、リパーゼ活性化剤等を含有し、第二試薬としてリパーゼ、ペルオキシダーゼ等を含有する2試薬系からなる中性脂肪測定試薬において、リパーゼを含む試薬にポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることを特徴とするリパーゼの安定化方法がある。
【0009】
本発明で用いるポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルとしては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル類としてエマルゲン(登録商標)104P(HLB9.6)、エマルゲン(登録商標)105(HLB9.7)、エマルゲン(登録商標)106(HLB10.5)、エマルゲン(登録商標)108(HLB12.1)、エマルゲン(登録商標)109P(HLB13.6)、エマルゲン(登録商標)120(HLB15.3)、エマルゲン(登録商標)123P(HLB16.9)、エマルゲン(登録商標)147(HLB16.3)、エマルゲン(登録商標)130K(HLB18.1)、ノニオン(登録商標)K−204(HLB9.2)、ノニオン(登録商標)K−215(HLB15.2)、ノニオン(登録商標)K−220(HLB16.2)、ノニオン(登録商標)K−230(HLB17.3)、NIKKOL(登録商標) BL−2(HLB9.5)、NIKKOL(登録商標) BL−4.2(HLB11.5)、NIKKOL(登録商標) BL−9EX(HLB14.5)、NIKKOL(登録商標) BL−21(HLB19)、NIKKOL(登録商標) BL−25(HLB19.5)、ポリオキシエチレンセチルエーテル類として、エマルゲン(登録商標)210(HLB10.7)、エマルゲン(登録商標)220(HLB14.2)、NIKKOL(登録商標) BC−2(HLB8.0)、NIKKOL(登録商標) BC−5.5(HLB10.5)、NIKKOL(登録商標) BC−7(HLB11.5)、NIKKOL(登録商標) BC−10TX(HLB13.5)、NIKKOL(登録商標) BC−15TX(HLB15.5)、NIKKOL(登録商標) BC−20TX(HLB17)、NIKKOL(登録商標) BC−23(HLB18)、NIKKOL(登録商標) BC−25TX(HLB18.5)、NIKKOL(登録商標) BC−30TX(HLB19.5)、NIKKOL(登録商標) BC−40TX(HLB20)、ノニオン(登録商標)P−208(HLB11.9)、ノニオン(登録商標)P−210(HLB12.9)、ノニオン(登録商標)P−213(HLB14.1)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル類として、エマルゲン(登録商標)306P(HLB9.4)、エマルゲン(登録商標)320P(HLB13.9)、NIKKOL(登録商標) BS−2(HLB8.0)、NIKKOL(登録商標) BS−4(HLB9.0)、NIKKOL(登録商標) BS−20(HLB18)、ノニオン(登録商標)S−206(HLB10.1)、ノニオン(登録商標)S−207(HLB10.7)、ノニオン(登録商標)S−215(HLB14.2)、ノニオン(登録商標)S−220(HLB15.3)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル類としては、エマルゲン(登録商標)404(HLB8.8)、エマルゲン(登録商標)408(HLB10.0)、エマルゲン(登録商標)409P(HLB12.0)、エマルゲン(登録商標)420(HLB13.6)、エマルゲン(登録商標)430(HLB16.2)、NIKKOL(登録商標) BO−2(HLB7.5)、NIKKOL(登録商標) BO−7(HLB10.5)、NIKKOL(登録商標) BO−10TX(HLB14.0)、NIKKOL(登録商標) BO−20(HLB17.0)、NIKKOL(登録商標) BO−50(HLB18.0)、ノニオン(登録商標)E−206(HLB9.5)、ノニオン(登録商標)E−215(HLB14.2)、ノニオン(登録商標)E−230(HLB16.6)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル類としては、NIKKOL(登録商標) BB−5(HLB7.0)、NIKKOL(登録商標) BB−10(HLB10.0)、NIKKOL(登録商標) BB−20(HLB16.5)NIKKOL(登録商標) BB−30(HLB18)等が挙げられる。
【0010】
これらの界面活性剤は単独または2種以上または他の界面活性剤と組み合わせて用いることができる。また、各界面活性剤のHLBは特に限定されず、リパーゼの反応性を考慮し選択されるべきであるが、好ましくは単独でのHLBが15以下、さらには14以下がリパーゼの反応性への影響が少ない点で好ましい。中でも12〜13が好ましい。また、ポリオキシエチレン部分の重合度は好ましくは30以下であり、さらには20以下がリパーゼの反応性への影響が少ない点で好ましい。中でも7〜10が好ましい。また、リパーゼを含む溶液中の濃度としては特に限定するものではないが、好ましくは0.01%〜0.5%の範囲であり、さらには0.02%〜0.2%がリパーゼの反応性への影響が少ない点で好ましい。中でも0.05%〜0.15%が好ましい。
【0011】
本発明は、更にリパーゼ活性化剤と組み合わせて用いることが出来る。本発明に用いるリパーゼ活性化剤としては、リパーゼの反応性を向上させる物質であればよく、特に限定されない。好ましくはポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルとリパーゼが共存する反応混液において、該物質の添加によりリパーゼの反応性が向上するものである。このような活性化剤として例えばポリオキシエチレン2級アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、脂肪酸が挙げられる。ポリオキシエチレン2級アルキルエーテルとしては、NIKKOL(登録商標) BT−5、NIKKOL(登録商標) BT−7、NIKKOL(登録商標) BT−9、アデカトール(登録商標)SO−80、アデカトール(登録商標)SO−105、アデカトール(登録商標)SO−120、アデカトール(登録商標)SO−135、アデカトール(登録商標)SO−145、アデカトール(登録商標)SO−160、エマルゲン(登録商標)705、エマルゲン(登録商標)707、エマルゲン(登録商標)709等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、トリトンX−100、トリトンX−114が挙げられる。ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルとしてはエマルゲン(登録商標)A60、エマルゲン(登録商標)A90、が挙げられる。脂肪酸としてはコール酸が挙げられる。
【0012】
これらリパーゼ活性化剤は単独または2種以上の活性化剤を組み合わせて用いられる。本発明のポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを含むリパーゼ安定化組成物に対する混合方法は特に限定されず、リパーゼ反応の直前に混合してもよいし、あらかじめ混合し保存して使用できる。また、該活性化剤のリパーゼ溶液中の濃度は特に限定するものではないが、本発明のポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを含むリパーゼ安定化組成物にあらかじめ混合して保存する場合は、ポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルに対する活性化剤の相対濃度を好ましくは約50倍以下(さらに好ましくは20倍以下、中でも好ましくは10倍以下)にし安定化効果を考慮して用いることができる。該活性化剤が非イオン性界面活性剤の場合は各界面活性剤の(HLB)×(添加量)を界面活性剤の添加量の総和で割った総HLBが12〜14であるのが好ましい。さらには12.5〜13.5が好ましい。中でも約13が好ましい。
【0013】
また、従来から用いられている緩衝液としては、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、GOOD緩衝液などが挙げられる。なかでも、トリス緩衝液、リン酸緩衝液は濃度、温度によってpHが変動しやすいが、安価であるという利点がある。一方、GOOD緩衝液にはMES、Bis−Tris、ACES、BES、MOPS、PIPES、TES、HEPES、Tricine、Bicine、POPSO、TAPS、CHES、CAPSなどが例示される。該緩衝液のpHは5〜9の範囲で調整される。さらには6〜8が好ましい。中でも6.5〜7.5が好ましい。
【0014】
本発明のリパーゼとはEC3.1.1.34に分類される以下の反応を触媒する酵素も含まれる。
トリグリセライド+O2→モノグリセリド(またはジグリセリド)+脂肪酸
上記酵素はシュードモナス属、リゾプス属などの微生物から採取されるもの、またはこれらの遺伝子を他の微生物に組み込まれた遺伝子組換え微生物より製造されたものなどがあり、また、遺伝子的に性質を改変したものを含有する。また、これら酵素の特異性、安定性を向上させる目的または反応セルに吸着する性質を改変する目的でポリエチレングリコールを主成分とする基、単糖、水溶性のオリゴ糖残基、スルホプロピル基などで上記酵素を化学的に修飾したものも用いられる。
【0015】
リパーゼを含む溶液中のリパーゼの濃度は、酵素の起源によっても異なるが、通常0.1〜20U/mLの範囲で好適に用いられる。さらには1〜5U/mLが好ましい。中でも1〜3U/mLが好ましい。
【0016】
本発明において、リパーゼ溶液には、さらに防腐剤などをリパーゼの反応に特に悪い影響を及ぼさない範囲で添加してもよい。防腐剤としては、アジ化物、キレート剤、抗生物質、抗菌剤などが挙げられる。
【0017】
また、該リパーゼ溶液中には診断用試薬として必要な他の試薬が含まれていてもよい。中性脂肪測定試薬としては、一般にリパーゼの他、グリセロールキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、ATP、マグネシウム、ペルオキシダーゼ、色源体が含有される。
【0018】
リパーゼの活性測定は以下の測定条件で行うのが好ましい。
〈測定試薬〉
(1)基質液
オリーブ油エマルジョン液
(2)発色液
50mM MES緩衝液、pH6.5
0.1% トリトンX−100溶液
0.2mL/L N,N-ジエチル−m−トルイジン
0.02g/L 4-アミノアンチピリン
0.121g/L ATP・2Na・3H2O
0.204g/L 塩化マグネシウム・6水和物
1KU/L グリセロールキナーゼ
2.5KU/L グリセロリン酸オキシダーゼ
1.5KU/L ペルオキシダーゼ
〈測定条件〉
(1)オリーブ油エマルジョン液2mLを試験管にとり、37℃で約5分間予備加温する。
(2)酵素溶液0.2mLを加え、反応を開始する。
(3)37℃で正確に15分間反応させた後、0.2M トリクロロ酢酸溶液2.0mLを加えて反応を停止する。
(4)生成する不要物を濾紙濾過で除く。
(5)濾液の0.05mLを試験管にとり、発色試液3.0mLを加えて混合した後、37℃にて15分間加温し、545nmにおける吸光度を測定する。
(6)盲検はオリーブ油エマルジョン液2.0mLを37℃で15分間放置後、トリクロロ酢酸溶液2.0mLを加えて調製し、以下上記同様に操作して吸光度を測定する。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例により特に限定されるものではない。
(実施例1)
リパーゼ(東洋紡績製LPL−314)2U/mLを各種界面活性剤を添加した下記の中性脂肪測定試薬 第二試液に添加溶解し35℃で14日間保存し、残存活性(溶解直後の活性値に対する保存後の活性値の割合)を検討した。
【0020】
(試薬の調製)
下記組成からなる中性脂肪測定試薬の第二試薬をそれぞれ調製した。
第二試薬
HEPES−NaOH 50mM pH7.5
塩化マグネシウム・6水和物 0.2g/L
塩化カルシウム 0.1g/L
ADPS 0.3g/L
ペルオキシダーゼ(東洋紡社製PEO−301) 2.9U/mL
リパーゼ(東洋紡社製LPL−314) 2U/mL
各種界面活性剤 名称・HLB・濃度は表に記載
【0021】
【表1】
【0022】
結果 表1に示す。比較例では60%未満まで活性が低下するのに対し、実施例では保存後も良好な安定性を示す。
【0023】
(実施例2)リパーゼ(東洋紡績製LPL−314)2U/mLを各種界面活性剤を添加した実施例1の中性脂肪測定試薬 第二試液にエマルゲン(登録商標)420を濃度を変えて添加溶解し35℃で14日間保存し、残存活性(溶解直後の活性値に対する保存後の活性値の割合)を検討した。
【0024】
【表2】
【0025】
結果 表2に示す。少なくとも0.01%で良好な安定性を示す。
【0026】
(実施例3)リパーゼ(東洋紡績製LPL−314)2U/mLを各種界面活性剤を添加した実施例1の中性脂肪測定試薬 第二試液にエマルゲン(登録商標)420およびエマルゲン(登録商標)A60の各濃度を組み合わせて添加溶解し35℃で14日間保存し、残存活性(溶解直後の活性値に対する保存後の活性値の割合)を検討した。
【0027】
【表3】
【0028】
結果 表3に示す。エマルゲン(登録商標)420と、リパーゼの安定化効果を示さない界面活性剤エマルゲン(登録商標)A60との組み合わせにおいても良好な安定性が確認された。
【0029】
(実施例4)リパーゼ(東洋紡績製LPL−314)2U/mLを各種界面活性剤を添加した実施例1の中性脂肪測定試薬にエマルゲン(登録商標)108、またはエマルゲン(登録商標)430を濃度を変えて添加した第二試液に対し、第一試薬として下記試薬を組み合わせて下記測定法にて濃度既知の血清を測定し中性脂肪濃度を求めた。
【0030】
(試薬の調製)下記組成からなる中性脂肪測定試薬の第一試薬をそれぞれ調製した。
第一試薬 PIPES 50mM pH7.0 MgCl2 0.2g/L アデノシン3リン酸2Na塩 1.2g/L エマルゲン(登録商標)A60 4g/L トリトンX−100(HLB13.5) 2g/L 4−アミノアンチピリン 0.1g/L フラビンアデニンジヌクレオチド2Na塩 8μmol/L グリセロールキナーゼ(東洋紡社製GYK−311) 3U/mL グリセロリン酸オキシダーゼ(東洋紡社製G3O−311) 5U/mL アスコルビン酸オキシダーゼ(東洋紡社製ASO−311) 3U/mL カタラーゼ(東洋紡社製) 200U/mL
【0031】
(測定法)
日立7170形自動分析機を用いた。試料2.1μLに第一試薬 180μL添加し37℃にて5分間インキュベーションし第一反応とした。その後第二試薬を90μL添加し5分間インキュベーションし第二反応とした。第一反応および第二反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差をとる2ポイントエンド法で600nmにおける吸光度を測定した。
結果は、精製水および200mg/dLトリオレイン水溶液の測定吸光度より算出し中性脂肪濃度として求めた。
【0032】
【表4】
【0033】
結果 表4に示す。実施例ではいずれも界面活性剤無添加の測定値をほぼ回収する。
【0034】
【発明の効果】
本発明においては、リパーゼを含有する組成物中にポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることで、長期間安定な液状試薬として耐えうる安定性を有し、かつ各種試料に対し良好な反応性を維持したリパーゼを提供できる。
Claims (5)
- リパーゼに、濃度が0.01〜0.5%の、ポリオキシエチレンラウリルエーテルまたはポリオキシエチレンオレイルエーテルであって、HLBが15以下のポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることを特徴とする、中性脂肪測定試薬中のリパーゼの安定化方法。
- 更にポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルと組み合わせて用いられる請求項1記載の中性脂肪測定試薬中のリパーゼの安定化方法。
- 中性脂肪をリパーゼによりグリセロール、および脂肪酸に分解し、生成したグリセロールの量を追随反応を介して求めることにより中性脂肪を測定する際に、精製水および200mg/dLトリオレイン溶液の測定吸光度を対照とし算出した中性脂肪濃度が、3000mg/dL以下の範囲において測定値が理論値の95%を下回らない反応性が維持されている、請求項1記載の中性脂肪測定試薬中のリパーゼの安定化方法。
- リパーゼに、濃度が0.01〜0.5%の、ポリオキシエチレンラウリルエーテルまたはポリオキシエチレンオレイルエーテルであって、HLBが15以下のポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテルを共存させることを特徴とする、リパーゼが安定化した中性脂肪測定試薬組成物。
- 更にポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルと組み合わせて用いられる請求項4記載のリパーゼが安定化した中性脂肪測定試薬組成物。
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