JP6603961B2 - リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び製造の簡略化方法 - Google Patents

リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び製造の簡略化方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造するための方法であって、従来方法よりも簡便に当該基質溶液を製造することができる方法に関するものである。
また、本発明は、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造するための方法において、当該基質溶液の製造を簡略化することができる方法に関するものである。
本発明は、臨床検査などの生命科学分野、並びに分析化学などの化学分野等において有用なものである。
血清又は血漿中のリパーゼ活性は、急性膵炎、慢性膵炎又は膵臓癌等の膵疾患において上昇することから、これらの膵炎等のマーカーとして有用なものである。
このリパーゼは、長鎖脂肪酸の3分子がそれぞれグリセロールにエステル結合したトリグリセライド(TG)のα位(1位、3位)のエステル結合を加水分解して、2分子の脂肪酸及び1分子のβ−モノグリセライドを生成する反応を触媒する酵素である。
この1分子のβ−モノグリセライドは、α型に異性化され、これがリパーゼの作用を受けて加水分解されてグリセロールと脂肪酸とになる。
血清又は血漿中のリパーゼ活性の測定方法としては、次のような方法が知られていた(非特許文献1及び非特許文献2参照。)。
例えば、オリーブ油のエマルジョンをリパーゼの基質として用い、このオリーブ油のエマルジョンを血清試料等と接触させ、37℃で24時間反応させた後、リパーゼによる加水分解反応により生成した脂肪酸をアルカリで滴定するCherry−Crandallの方法が知られていた。
しかし、この方法は反応時間が長く、測定しようとするリパーゼの不活性化や反応阻害が著しい方法であった。
また、トリオレイン又はオリーブ油のエマルジョンをリパーゼの基質として用い、このトリオレイン又はオリーブ油のエマルジョンを血清試料等と接触させ、反応させて、リパーゼによる乳化ミセルの加水分解反応にともなって起こる反応液の濁度の減少からリパーゼ活性を測定するVogel−Zieve法及びこの変法が知られていた。
しかし、これらの方法は、血清蛋白による阻害やリウマチ因子による凝集塊の干渉を受け、均一かつ安定なエマルジョンを作るのが難しく、再現性に乏しいという短所を有する方法であった。
また、BALB(2,3−ジメルカプト−1−プロパノール 三酪酸)をリパーゼの基質として用い、このBALBを血清試料等と接触させ、反応させて、リパーゼによる加水分解反応により生成したBAL(2,3−ジメルカプト−1−プロパノール)をDTNB(5,5’−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸)と反応させて、生じたTNBアニオンの黄色の発色を412nmで測定することによってリパーゼ活性を測定する方法が知られていた。
しかし、この方法は、高濃度の肝エステラーゼの存在下でその干渉を受けてしまうため、他の測定項目の測定試薬から反応セル又はノズル(プローブ)を介して混入する肝エステラーゼの影響を受けて測定値に誤差が生じるという短所を有する方法であった。
また、天然型基質である1,2−ジリノレオイルグリセロールをリパーゼの基質として用い、この1,2−ジリノレオイルグリセロールを血清試料等と接触させ、反応させて、リパーゼによる加水分解反応により生成したリノール酸が、コエンザイムA、NAD及びATPの存在下で、アシル−CoAシンセターゼ、アシル−CoAオキシダーゼ、エノイル−CoAヒドラターゼ−3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ−3−ケトアシル−CoAチオラーゼ複合酵素の共同作用によってβ−酸化を受ける際に起こるNADHの生成速度を測定することによってリパーゼ活性を測定する方法が知られていた。
しかし、この方法も、高濃度の肝エステラーゼの存在下でその干渉を受けてしまうため、他の測定項目の測定試薬から反応セル又はノズル(プローブ)を介して混入する肝エステラーゼの影響を受けて測定値に誤差が生じるという短所を有する方法であった。
前記の各測定方法に加えて、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル〔DGGMR〕をリパーゼの基質として用いる血清又は血漿中のリパーゼ活性の測定方法が開発された(特許文献1及び非特許文献2参照。)。
この方法では、この1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル[以下、「DGGMR」ということがある]を血清試料等と接触させ、反応させることにより、リパーゼが触媒する加水分解反応によって、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロール及びグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルが生成する。
このグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルは不安定であって、容易に自然に加水分解されて6’−メチルレゾルフィン(λmax:580nm)を生成する。
この生成する6’−メチルレゾルフィンの増加を580nm又はその近辺の波長の吸光度を測ることによって測定し、試料中に含まれていたリパーゼの活性値を求めることができる。
このDGGMRをリパーゼの基質として用いるリパーゼ活性の測定方法は、測定が一連の反応で進むシンプルなものであり、かつ他の測定試薬から反応セル又はノズル(プローブ)を介して混入するエステラーゼの影響を受けにくいという長所を有する方法である。
ところで、血清又は血漿等に含まれるリパーゼは、エマルジョン化したトリグリセライド基質の水と油との界面で最も効率よく作用し、このリパーゼの反応速度は分散した基質の表面積に関係するので、このリパーゼの活性測定には安定で均一なミセル粒子からなる基質の調製が重要であるとされている(非特許文献2参照。)。
このため、従来、リパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液(リパーゼ活性測定用基質溶液)を製造するに当っては、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化(乳化)した基質溶液となるよう、種々の方法が考えられてきたが、基質を界面活性剤を含む水溶液に混合したり、基質をアルコールなどの有機溶媒を含む溶液に混合したり、基質含有液を滴々と滴下して溶液に混合したり、基質含有液を溶液に噴射注入したり、基質溶液を強力なミキサーで高速に撹拌したり、又は基質溶液に超音波を掛ける処理を行ったり等の煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理が必要であったり、又は特別な装置若しくは器具などの物等が必要であった。
例えば、リパーゼの基質となるトリグリセライド等の非水溶性物質を非イオン性界面活性剤を含む水溶液に加え、撹拌しながら加熱し、一度非イオン性界面活性剤の曇点より高い温度に上げ、更に撹拌を続けながら曇点以下に冷却することを特徴とする、非水溶性物質の透明な可溶化水溶液の製造方法が開示された(特許文献2参照。)。
また、非イオン性界面活性剤を含む水溶液を当該非イオン性界面活性剤の曇点以上に加熱し、これにトリグリセライドを加え撹拌を続けながら溶解して、トリグリセライドの均一かつ可溶(透明)化水溶液を調製し、これをリパーゼの基質とし、必要に応じてこれにリパーゼ機能促進物質を含有することを特徴とする透明なリパーゼ測定用トリグリセライド基質溶液が開示された(特許文献3参照。)。
また、検体中のリパーゼ活性の測定に用いるための基質溶液を製造するための方法であって、トリグリセライド等の基質とHLBが10〜16の非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を混合する際に、メタノール又はエタノール等の水溶性有機溶媒を同時に混合し、混合方法として超音波などの振動を与えることを特徴とする、基質溶液のミセル径の幾何平均径が0.17μm〜0.38μmであり、かつ、ミセル径分布の幾何標準偏差が0.25μm以下である基質溶液等を製造する方法が開示された(特許文献4参照。)。
そして、前記のDGGMRをリパーゼの基質として用いるリパーゼ活性の測定方法においても、その基質溶液の製造においては、「b)蒸留水60ml中に撹拌下にタウロデソキシコール酸ナトリウム0.9g及びコリパーゼ(豚から)0.3gを撹拌下に溶解する。良好な撹拌下に、n−プロパノール1.7ml中の1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6−メチル−レゾルフィン−)エステル70mgの溶液を前記溶液中に噴射注入する。」[特許文献1の例29]、又は「試薬2: 0.6gのリパーゼ発色基質(例えば、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)エステル)を、9mlの適切なアルコール(例えば、エタノール)に溶解した。1gの乳化剤(emulgator)(例えば、Brij 35またはTriton X−114)を溶液に添加した。得られた油相(oelic phase)を注射針に吸い取り、高圧下で細いカニューレ(内径0.15〜1.0mm)に通して撹拌中の水溶液中へ押出した。」[特許文献5の実施例3]と、有機溶媒であるアルコールを用い、かつ基質含有液を溶液に噴射注入(高圧下での注入)する処理を必要とするものであった。
なお、また、DGGMR等のリパーゼの基質と共に、陰イオン界面活性剤、レシチン及びコレステロールエステルから選ばれた少なくとも一種のリパーゼ基質可溶化剤を含むリパーゼ分析用基質溶液が、当該基質に対してその活性をほとんど低下させることなく、高度に可溶化することが可能であるとの効果を奏するものとして開示された(特許文献6参照。)。
そして、この文献には、前記のリパーゼ基質可溶化剤に替えて、0.1重量%の非イオン性界面活性剤を添加して用いた場合には、「濁りが有って、測定に支障あり」という結果になったことが記載されている。
また、DGGMR等のリパーゼの基質と、リパーゼ基質可溶化剤としての1,2−ジフタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンとを少なくとも含有することを特徴とする酵素活性測定用リパーゼ基質溶液が、溶液の透明度が高く、このため精度よくリパーゼ活性の測定が可能であり、かつ保存安定性が大きい等の効果を奏するものとして開示された(特許文献7参照。)。
特開昭61−254197号公報 特開昭58−156330号公報 特開昭63−188398号公報 特開2006−180741号公報 特表平11−504529号公報 特開平9−215500号公報 特開平11−318494号公報
臨床検査法提要,第30版,第670頁〜第674頁,金井正光編著,金原出版,1993年8月20日発行 臨床検査法提要,第33版,第545頁〜第547頁,金井正光監修,金原出版,2010年4月1日発行
前記の通り、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造に当っては、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理が必要であったり、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要とするものであった。
これに対して、本発明の課題は、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法において、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要としない、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法を提供することである。
また、本発明の課題は、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液を製造するための方法において、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要としない、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法を提供することである。
本発明者らは、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法について検討を重ねたところ、DGGMRと、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物[以下、「本重合体化合物」ということがある]とを混合し、その混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕 1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法であって、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法。
〔2〕 1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法において、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法。
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要とせずに、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液を製造することができる方法である。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法は、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要とせずに、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液の製造を簡略化することができる方法である。
従って、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法、及びリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法を用いた場合は、簡便、短時間、かつ低コストにより、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液を製造することが可能となった。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法、及びリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法においては、煩雑な又は熟練を要する等の特別な処理が必要でなくなったため、製造したリパーゼ活性測定用基質溶液が規格を外れた不良品となる可能性が小さくなり、正確な測定結果(測定値)を得ることができるリパーゼ活性測定用基質溶液を低コストかつ確実に医療機関等に提供することができるようになった。
本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬による測定値と、対照市販試薬による測定値との相関を示した図である。
〔1〕リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法
1.総論
(A)総論
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル〔DGGMR〕をリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造するための方法であって、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とするものである。
そして、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、この(1)及び(2)の工程を含むものであることより、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要とせずに、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液を製造することができる。
(B)側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを用いる態様
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを用いる次の態様を含むものである。
「1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法であって、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法。」
(C)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を用いる態様
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を用いる次の態様を含むものである。
「1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法であって、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法。」
2.リパーゼ
本発明において、リパーゼは、リパーゼとしての活性、すなわちリパーゼ活性を有するものであればよく、このリパーゼ活性を有するものであれば特に限定はない。
本発明において、リパーゼとしては、例えば、長鎖脂肪酸の3分子がそれぞれグリセロールにエステル結合したトリグリセライド(TG)のα位(1位、3位)のエステル結合を加水分解して、2分子の脂肪酸及び1分子のβ−モノグリセライドを生成する反応を触媒する膵リパーゼ[EC 3.1.1.3]等を挙げることができる。
本発明は、体液、臓器又は組織に存在するリパーゼの活性測定にとって好適であり、体液に存在するリパーゼの活性測定にとってより好適であり、血液、血清又は血漿に存在するリパーゼの活性測定にとって更に好適であり、血清又は血漿に存在するリパーゼの活性測定にとって特に好適である。
また、本発明は、膵リパーゼの活性測定にとって好適である。
3.試料
本発明において、リパーゼの活性を測定する試料は、前記のリパーゼを含む可能性がある試料であればよく、前記のリパーゼを含む可能性があるものであれば特に限定されない。
この試料としては、例えば、ヒト若しくは動物又は植物に由来する試料等を挙げることができる。
ヒト若しくは動物に由来する試料としては、特に限定されず、例えば、ヒト或いは動物の、血液、血清、血漿、尿、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、若しくは羊水などの体液;大便などの排泄物;膵臓、肝臓、若しくは胃などの臓器;毛髪、皮膚、爪、筋肉、若しくは神経などの組織;又は細胞等を挙げることができる。
本発明は、ヒト又は動物に由来する試料を試料とする場合に好適であり、ヒトに由来する試料を試料とする場合に特に好適である。
また、本発明は、体液、臓器又は組織を試料とする場合に好適であり、体液を試料とする場合により好適であり、血液、血清又は血漿を試料とする場合に更に好適であり、血清又は血漿を試料とする場合に特に好適である。
なお、本発明において、試料は、液体である場合に好適であるので、もし試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の前処理を既知の方法に従って行い、液体試料とすればよい。
また、試料は、必要に応じて、希釈又は濃縮処理等を行ってもよい。
4.リパーゼ活性測定用基質
本発明において、試料中に含まれるリパーゼの活性の測定に使用するためのリパーゼの基質、すなわちリパーゼ活性測定用基質は、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル〔DGGMR〕である。
本発明においては、リパーゼ活性測定用基質であるDGGMRを試料と接触させ、試料中に含まれるリパーゼと反応させることにより、リパーゼが触媒する加水分解反応によって、DGGMRより1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロール及びグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルが生成する。
このグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルは不安定であって、容易に自然に加水分解されて6’−メチルレゾルフィン(λmax:580nm)を生成する。
本発明においては、この生成する6’−メチルレゾルフィンの増加を580nm又はその近辺の波長の吸光度を測ることによって測定し、試料中に含まれていたリパーゼの活性値を求めることができる。
なお、DGGMRは、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国]、又はシグマ アルドリッチ ジャパン合同会社[日本国]等より市販されている。
5.本重合体化合物
(1)総論
前記の通り、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法においては、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物(本重合体化合物)を混合し混合物を調製する工程、及びこの混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含む。
(2)側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル
本発明において用いる、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル[以下、「本変性シリコーンオイル」ということがある]について、以下説明する。
シリコーン化合物は、シロキサン結合〔−Si−O−Si−〕が主鎖であって、側鎖としてメチル基〔CH−〕等の有機基がケイ素原子に結合した重合体化合物である。
そして、直鎖状のシリコーン化合物がシリコーンオイルである。
なお、変性シリコーンオイルは、直鎖状のジメチルシリコーン化合物〔Si(CH −O−[Si(CH−O−]m−Si(CH〕の一部のケイ素原子に有機基を導入した化合物である。
この変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖の一部、ポリシロキサンのどちらか片方の末端、ポリシロキサンの両方の末端、又はポリシロキサンの側鎖の一部と両方の末端に、各種の有機基を導入したシリコーンオイルが存在する。
この内、ポリシロキサンの側鎖の一部に各種の有機基を導入したシリコーンオイルが、側鎖型の変性シリコーンオイル〔Si(CH−O−[Si(CH−O−]m−[Si(CH)(有機基)−O−]n−Si(CH〕である。
なお、この導入する有機基の性質によって、変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルに分類される。
この内、非反応性の変性シリコーンオイルとしては、その導入有機基により、ポリエーテル変性タイプ、アラルキル変性タイプ、フロロアルキル変性タイプ、長鎖アルキル変性タイプ、高級脂肪酸エステル変性タイプ、高級脂肪酸アミド変性タイプ、ポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性タイプ、長鎖アルキル・アラルキル変性タイプ、又はフェニル変性タイプ等を挙げることができる。
そして、側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル〔Si(CH−O−[Si(CH−O−]m−[Si(CH)(有機基)−O−]n−Si(CH〕としては、その変性タイプが、例えば、ポリエーテル変性タイプのもの〔有機基:−R(C O)(CO)R’〕、ポリエーテル・長鎖アルキル・アラルキル変性タイプのもの〔有機基:−R(CO)(CO)R’、−C2a+1、−CH−CH(CH)−C〕、アラルキル変性タイプのもの〔有機基:−CH −CH(CH)−C〕、フロロアルキル変性タイプのもの〔有機基:−CHCHCF〕、長鎖アルキル変性タイプのもの〔有機基:−C2a+1〕、長鎖アルキル・アラルキル変性タイプのもの〔有機基:−C2a+1、−CH−CH(CH)−C〕、高級脂肪酸エステル変性タイプのもの〔有機基:−OCOR〕、高級脂肪酸アミド変性タイプのもの〔有機基:−RNHCOR’〕、又はフェニル変性タイプのもの〔有機基:−C〕等を挙げることができる。
本発明においては、この側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル〔Si(CH−O−[Si(CH−O−]m−[Si(CH)(有機基)−O−]n−Si(CH〕[有機基:−R(CO)(CO) R’]を用いる。(又は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を用いる。)
この側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルとしては、例えば、「KF−351A」、「KF−354L」、「KF−355A」、又は「KF−6011」[販売元はいずれの製品も信越化学工業株式会社(日本国)]等が市販されている。
(3)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物
本発明において用いる、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物[以下、「本POE・POP縮合物」ということがある]について、以下説明する。
本発明においては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物〔HO(C O)−(CO)−(CO)H〕を用いる。(又は、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを用いる。)
このポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物(本POE・POP縮合物)としては、例えば、ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレングリコール(17)〔医薬部外品原料規格名:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(16E.O.)(17P.O.)〕、又はポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレングリコール(20)〔医薬部外品原料規格名:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(20E.O.)(20P.O.)〕等を挙げることができる。
この本POE・POP縮合物としては、例えば、ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレングリコール(17)[製品名:「プルロニック L−34」、販売元:株式会社ADEKA(日本国)]、又はポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレングリコール(20)[製品名:「プルロニック L−44」、販売元:株式会社ADEKA(日本国)]等が市販されている。
6.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程
(1)総論
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物(本重合体化合物)を混合し混合物を調製する工程を含む。
なお、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕については、前記「4.リパーゼ活性測定用基質」において記載した通りである。
また、「側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物」(本重合体化合物)については、前記「5.本重合体化合物」において記載した通りである。
(2)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程においては、リパーゼ活性測定用基質であるDGGMRと本重合体化合物を混合する。
すなわち、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と、本重合体化合物とを、直接混合する。
従来は、使用する界面活性剤を水又は水溶液と混合し、その後、これとリパーゼ活性測定用基質を混合していた。
しかしながら、本発明は、このような従来の方法とは異なり、リパーゼ活性測定用基質であるDGGMRと本重合体化合物を直接混合するという特徴的な工程を有する方法である。
なお、本発明において、本重合体化合物は、1種類のものをリパーゼ活性測定用基質と混合してもよく、又は複数種類のものをリパーゼ活性測定用基質と混合してもよい。
(3)リパーゼ活性測定用基質の混合量
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程において、このリパーゼ活性測定用基質を混合する量は、特に限定されない。
なお、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕は、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程」における当該水又は水溶液との混合(以下、「第2混合」ということがある)の後に、その濃度が0.05mM以上であることが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
なお、第2混合の後(第2混合後)、このリパーゼ活性測定用基質の好ましい濃度は、前記の目的の上から、より好ましくは0.1mM以上であり、特に好ましくは0.2mM以上である。
また、このリパーゼ活性測定用基質の濃度であるが、第2混合後、前記の目的の上から、2mM以下であることが好ましい。
なお、第2混合後、このリパーゼ活性測定用基質の好ましい濃度は、前記の目的の上から、より好ましくは1mM以下であり、特に好ましくは0.8mM以下である。
第2混合後の本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の好ましい濃度は、以上述べた通りである。
本発明においては、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と、本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程」における当該リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物との混合(以下、「第1混合」ということがある)の時の当該リパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物それぞれの混合量を、第2混合後にリパーゼ活性測定用基質の濃度が上記の通りになるように、考慮の上決めてもよく、このようにすることが、その製造手順の上から好ましい。
なお、このリパーゼ活性測定用基質の混合量及び濃度であるが、例えば、次の(a)又は(b)などのように考えることができる。
(a)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させるリパーゼ活性測定用基質の混合量をWs[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とし、そしてリパーゼ活性測定用基質の分子量をMWsとした場合、第2混合後のリパーゼ活性測定用基質の濃度Cs[単位:mM]は次の式で表すことができる。
Cs=(Ws×10)÷(Vf×MWs)
なお、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の分子量MWsは752.05であるので、上記の式は次のようになる。
Cs=(Ws×10)÷(Vf×752.05)
よって、この場合の第1混合時に混合させるリパーゼ活性測定用基質の混合量Ws[単位:グラム]は次のように表すことができる。
Ws=(Cs×Vf×MWs)÷10
すなわち、Ws=(Cs×Vf×752.05)÷10
(b)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の一部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させるリパーゼ活性測定用基質の混合量をWs[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とし、リパーゼ活性測定用基質の分子量をMWsとし、そして第1混合時の混合物のA%(重量又は容量)を第2混合時に水又は水溶液と混合した場合、第2混合後のリパーゼ活性測定用基質の濃度Cs[単位:mM]は次の式で表すことができる。
Cs=(Ws×10)×(A÷100)÷(Vf×MWs)=(Ws×A×10)÷(Vf×MWs)
なお、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の分子量MWsは752.05であるので、上記の式は次のようになる。
Cs=(Ws×A×10)÷(Vf×752.05)
よって、この場合の第1混合時に混合させるリパーゼ活性測定用基質の混合量Ws[単位:グラム]は次のように表すことができる。
Ws=(Cs×Vf×MWs)÷(A×10
すなわち、Ws=(Cs×Vf×752.05)÷(A×10
(4)本重合体化合物の混合量
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程において、この本重合体化合物を混合する量は、特に限定されない。
なお、本発明における本重合体化合物は、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程」における当該水又は水溶液との混合(第2混合)の後に、その濃度が0.01%(w/v)以上であることが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
なお、第2混合の後(第2混合後)、この本重合体化合物の好ましい濃度は、前記の目的の上から、より好ましくは0.05%(w/v)以上であり、特に好ましくは0.1%(w/v)以上である。
また、この本重合体化合物の濃度であるが、第2混合後、前記の目的の上から、20%(w/v)以下であることが好ましい。
なお、第2混合後、この本重合体化合物の好ましい濃度は、前記の目的の上から、より好ましくは10%(w/v)以下であり、特に好ましくは5%(w/v)以下である。
第2混合後の本発明における本重合体化合物の好ましい濃度は、以上述べた通りである。
本発明においては、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と、本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程」における当該リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物との混合(第1混合)の時の当該リパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物それぞれの混合量を、第2混合後に本重合体化合物の濃度が上記の通りになるように、考慮の上決めてもよく、このようにすることが、その製造手順の上から好ましい。
なお、この本重合体化合物の混合量及び濃度であるが、例えば、次の(a)又は(b)などのように考えることができる。
(a)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させる本重合体化合物の混合量をWp[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とした場合、第2混合後の本重合体化合物の濃度Cp[単位:%(w/v)]は次の式で表すことができる。
Cp=(Wp×100)÷Vf
よって、この場合の第1混合時に混合させる本重合体化合物の混合量Wp[単位:グラム]は次のように表すことができる。
Wp=(Cp×Vf)÷100
(b)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の一部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させる本重合体化合物の混合量をWp[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とし、そして第1混合時の混合物のA%(重量又は容量)を第2混合時に水又は水溶液と混合した場合、第2混合後の本重合体化合物の濃度Cp[単位:%(w/v)]は次の式で表すことができる。
Cp=(Wp×100)×(A÷100)÷Vf=(Wp×A)÷Vf
よって、この場合の第1混合時に混合させる本重合体化合物の混合量Wp(単位:グラム)は次のように表すことができる。
Wp=(Cp×Vf)÷A
(5)混合の方法
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程において、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物とを混合する方法は、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物が混合するのであればいずれの方法でもよく、特に限定はない。
なお、本発明における当該混合においては、リパーゼ活性測定用基質をアルコールなどの有機溶媒を含む溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を滴々と滴下して溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を溶液に噴射注入したり、リパーゼ活性測定用基質溶液を強力なミキサーで高速に撹拌したり、又はリパーゼ活性測定用基質溶液に超音波を掛ける処理を行ったり等の煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理や特別な装置等は必要なく、一般的なミキサーを用いて一般的な速度で撹拌する等、通常の方法で混合すればよく、これによりリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物を調製することができる。
(6)混合時の温度
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程において、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物とを混合する時の温度は、特に限定されないが、用いる本重合体化合物の曇点付近の温度又はこの曇点付近の温度以下の温度においてこの工程を行うことが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
なお、曇点は、非イオン性の界面活性剤等の水溶液の温度を上げていった場合にその界面活性剤等のミセルが形成できなくなる温度であり、その水溶液が白濁する温度であって、その界面活性剤等毎に異なるものである。
また、本発明において、本重合体化合物の曇点付近の温度としては、その本重合体化合物の曇点の温度のプラスマイナス(±)25℃の範囲を意味する。
この本重合体化合物の曇点付近の温度としては、その本重合体化合物の曇点の温度のプラスマイナス(±)15℃の範囲が好ましく、プラスマイナス(±)10℃の範囲がより好ましく、プラスマイナス(±)5℃の範囲が特に好ましい。
そして、本発明においては、上記の本重合体化合物の曇点付近の温度以下の温度において、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程を行うことも好ましい。
なお、例えば、本変性シリコーンオイルである、KF−351Aの曇点は52℃(自己実測値)であり、KF−355Aの曇点は67℃(自己実測値)であり、そして、KF−6011の曇点は64℃(自己実測値)である
なお、KF−354Lは、曇点の測定に使用した恒温水槽の設定温度の上限の77℃においても曇点に至らなかったので、これの曇点は77℃超である。
また、例えば、本POE・POP縮合物である、プルロニック L−34の曇点は65℃(自己実測値)であり、そして、プルロニック L−44の曇点は67℃(自己実測値)である。
前記のリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程は、前記の目的の上から、用いる本重合体化合物の曇点の温度のプラスマイナス25℃の範囲の温度若しくはこの範囲の温度以下の温度で行うことが好ましく、用いる本重合体化合物の曇点の温度のプラスマイナス15℃の範囲の温度若しくはこの範囲の温度以下の温度で行うことがより好ましく、用いる本重合体化合物の曇点の温度のプラスマイナス10℃の範囲の温度若しくはこの範囲の温度以下の温度で行うことが更に好ましく、そして、用いる本重合体化合物の曇点の温度のプラスマイナス5℃の範囲の温度若しくはこの範囲の温度以下の温度で行うことが特に好ましい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程において、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物とを混合する時の温度であるが、この工程を、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕、及び用いる本重合体化合物それぞれの融点以上の温度において行うことが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
そして、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程は、前記の目的の上から、2℃以上で行うことがより好ましく、5℃以上で行うことが更に好ましく、10℃以上で行うことが特に好ましい。
(7)混合の時間
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程において、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物とを混合する時間であるが、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物とが均質に混合されればよく、特に限定されない。
通常は、この混合を、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から、この混合を5分間又はそれ以上行うことが好ましい。なお、一般的には、5分間で十分である。
また、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物とを混合する時間は、特に上限はなく、例えば数時間混合しても構わないのであるが、時間もコストであるという観点から考えると、念入りに行うとしても通常は10分間以内でよい。
7.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物を水又は水溶液と混合する工程
(1)総論
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法は、「リパーゼ活性測定用基質(DGGMR)と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物(本重合体化合物)を混合し混合物を調製する工程」において調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程を含む。
なお、リパーゼ活性測定用基質については、前記「4.リパーゼ活性測定用基質」において記載した通りである。
また、本重合体化合物については、前記「5.本重合体化合物」において記載した通りである。
そして、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製することについては、前記「6.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程」において記載した通りである。
(2)水又は水溶液
本発明の、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程において、この水又は水溶液については、特に限定はない。
この水としては、特に限定はないが、例えば、純水、蒸留水又は精製水等を挙げることができる。
また、この水溶液としては、水を溶媒とするものであればよく、特に限定はないが、例えば、リパーゼ賦活化剤、リパーゼ活性化剤、コリパーゼ、及び緩衝剤からなる群から選ばれる少なくとも一つのもの等を含有する水溶液等を挙げることができる。
(a)リパーゼ賦活化剤
本発明において、前記の水溶液に含有させることができるリパーゼ賦活化剤としては、リパーゼを賦活化することができる物質であればよく、特に限定はないが、例えば、胆汁酸若しくはその塩等を挙げることができる。
この胆汁酸としては、例えば、デオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、コール酸、リトコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、7−オキソリトコール酸、12−オキソリトコール酸、12−オキソケノデオキシコール酸、7−オキソデオキシコール酸、ヒオコール酸、ヒオデオキシコール酸、デヒドロコール酸、又はコール酸誘導体等を挙げることができる。
また、この胆汁酸の塩としては、例えば、胆汁酸とアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との塩又はアンモニウム塩等を挙げることができる。
このアルカリ金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム又はリチウム等を挙げることができ、また、このアルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム又はカルシウム等を挙げることができる。
本発明において、リパーゼ賦活化剤としては、そのリパーゼ賦活化能、リパーゼ活性測定用基質よりなる界面の形成能力、水溶性、及びコストの点から、胆汁酸又はその塩が好ましい。
そして、胆汁酸としては、リパーゼ活性測定用基質が安定な酸性域において溶解可能な点でタウロデオキシコール酸が好ましく、また、コストの点からデオキシコール酸が好ましい。
この胆汁酸としては、タウロデオキシコール酸が特に好ましい。
そして、胆汁酸の塩としては、胆汁酸とアルカリ金属の塩が好ましく、胆汁酸のカリウム塩又はナトリウム塩がより好ましく、胆汁酸のナトリウム塩が特に好ましい。
よって、胆汁酸の塩としては、デオキシコール酸又はタウロデオキシコール酸のアルカリ金属(カリウム若しくはナトリウム等)の塩が好ましく、タウロデオキシコール酸のアルカリ金属(カリウム又はナトリウム等)の塩がより好ましく、タウロデオキシコール酸のナトリウム塩が特に好ましい。
なお、本発明において、リパーゼ賦活化剤は、前記の「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部と、水又は水溶液との混合」(第2混合)の後、その濃度が0.2%(w/v)以上であることが好ましい。
なお、第2混合後、このリパーゼ賦活化剤の好ましい濃度は、より好ましくは0.4%(w/v)以上であり、特に好ましくは1%(w/v)以上である。
また、このリパーゼ賦活化剤の濃度であるが、第2混合後、20%(w/v)以下であることが好ましい。
なお、第2混合後、このリパーゼ賦活化剤の好ましい濃度は、より好ましくは10%(w/v)以下であり、特に好ましくは5%(w/v)以下である。
本発明における、第2混合後のリパーゼ賦活化剤の好ましい濃度は、以上述べた通りである。
本発明においては、第2混合後のリパーゼ賦活化剤の濃度が上記の濃度となるよう、前記の「リパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物の混合物」と前記水溶液との混合比率等を勘案した上で、当該水溶液にリパーゼ賦活化剤を適当な濃度で含有させることが好ましい。
(b)リパーゼ活性化剤
本発明において、前記の水溶液に含有させることができるリパーゼ活性化剤としては、リパーゼを活性化することができる物質であればよく、特に限定はないが、例えば、アルカリ土類金属イオン若しくはその塩等を挙げることができる。
このアルカリ土類金属イオン又はその塩としては、例えば、ベリリウムイオン若しくはベリリウム塩、マグネシウムイオン若しくはマグネシウム塩、又はカルシウムイオン若しくはカルシウム塩等を挙げることができる。
このカルシウム塩としては、例えば、水溶性のカルシウム塩等を挙げることができ、より具体的には、1価又は2価以上の陰イオンとカルシウムイオンよりなる塩であって水溶性であるもの等を挙げることができる。
なお、この陰イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、有機化合物よりなる酸基、又はその他の無機化合物よりなる酸基等を挙げることができる。
そして、ハロゲンイオンとしては、例えば、フッ素イオン、又は塩素イオン等を挙げることができる。
有機化合物よりなる酸基としては、例えば、酢酸イオン、クエン酸イオン、又はグルコン酸イオン等を挙げることができる。
その他の無機化合物よりなる酸基としては、例えば、硫酸イオン、リン酸イオン、又は炭酸イオン、等を挙げることができる。
本発明において、リパーゼ活性化剤としては、アルカリ土類金属イオン又はその塩が好ましい。
なお、アルカリ土類金属イオン又はその塩としては、次の(i)及び(ii)の点から、カルシウムイオン又はカルシウム塩が好ましい。
(i) リパーゼの活性化能
(ii) リパーゼの触媒作用を受けることによりリパーゼ活性測定用基質から遊離した脂肪酸は、リパーゼ活性測定用基質よりなる界面を壊すが、カルシウムイオン又はカルシウム塩はこの遊離した脂肪酸を捕捉し、当該界面が壊れるのを抑制することができる。
そして、このカルシウム塩としては、陰イオンとカルシウムイオンよりなる塩であって水溶性であるものが好ましい。
そして、この陰イオンとしては、ハロゲンイオン又は有機化合物よりなる酸基が好ましい。より具体的には、塩素イオン又は酢酸イオンが特に好ましい。
よって、カルシウム塩としては、ハロゲンイオンとのカルシウム塩又は有機化合物よりなる酸基のカルシウム塩が好ましく、より具体的には、塩化カルシウム又は酢酸カルシウムが特に好ましい。
なお、本発明において、リパーゼ活性化剤は、前記の「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部と、水又は水溶液との混合」(第2混合)の後、その濃度が0.1mM以上であることが好ましい。
なお、第2混合後、このリパーゼ活性化剤の好ましい濃度は、より好ましくは1mM以上であり、特に好ましくは5mM以上である。
また、このリパーゼ活性化剤の濃度であるが、第2混合後、100mM以下であることが好ましい。
なお、第2混合後、このリパーゼ活性化剤の好ましい濃度は、より好ましくは50mM以下であり、特に好ましくは25mM以下である。
本発明における、第2混合後のリパーゼ活性化剤の好ましい濃度は、以上述べた通りである。
本発明においては、第2混合後のリパーゼ活性化剤の濃度が上記の濃度となるよう、前記の「リパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物の混合物」と前記水溶液との混合比率等を勘案した上で、当該水溶液にリパーゼ活性化剤を適当な濃度で含有させることが好ましい。
(c)コリパーゼ
本発明において、水溶液に含有させることができるコリパーゼとしては、コリパーゼの作用、機能又は活性を有しているものであればよく、特に限定はないが、例えば、ヒト、若しくはブタなどの哺乳類由来のコリパーゼ又は遺伝子工学等を用いて調製、修飾若しくは改変されたコリパーゼ等を挙げることができる。
本発明において、コリパーゼとしては、ブタなどの哺乳類由来のコリパーゼが好ましく、ブタなどの哺乳類の膵臓由来のコリパーゼがより好ましい。
なお、本発明において、コリパーゼは、前記の「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部と、水又は水溶液との混合」(第2混合)の後、その活性値が15K単位/L(15K Unit/L)以上であることが好ましい。
なお、第2混合後、このコリパーゼの好ましい活性値は、より好ましくは150K単位/L以上であり、特に好ましくは750K単位/L以上である。
また、このコリパーゼの活性値であるが、第2混合後、7,500K単位/L以下であることが好ましい。
なお、第2混合後、このコリパーゼの好ましい活性値は、より好ましくは3,750K単位/L以下であり、特に好ましくは2,250K単位/L以下である。
本発明における、第2混合後のコリパーゼの好ましい活性値は、以上述べた通りである。
本発明においては、第2混合後のコリパーゼの活性値が上記の活性値となるよう、前記の「リパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物の混合物」と前記水溶液との混合比率等を勘案した上で、当該水溶液にコリパーゼを適当な活性値で含有させることが好ましい。
なお、上記のコリパーゼの各活性値(単位/L)は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国]のブタ膵臓由来のコリパーゼの活性値の表示に基づくものである。[1mg/L=75K単位/L]
なお、コリパーゼは、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国]、又はシグマ アルドリッチ ジャパン合同会社[日本国]等より市販されている。
(d)pH
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕は、pH4又はその付近のpHにおいて安定である。
よって、前記の「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部と、水又は水溶液との混合」(第2混合)の後、そのpHはpH4を中心とする一定の範囲内のものであることが好ましい。
具体的には、第2混合後のpHは、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の安定性の点から、pH2〜pH7の範囲内にあることが好ましく、pH3〜pH5の範囲内にあることがより好ましく、そして、pH3.5〜pH4.5の範囲内にあることが特に好ましい。(前記のpH値はいずれも20℃での値である。)
本発明における、第2混合後のpHは、以上述べた通りである。
本発明においては、第2混合後のpHが上記のpHとなるよう、前記水溶液のpHを適当なpHにすることが好ましい。
(e)緩衝剤
本発明においては、前記の「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部と、水又は水溶液との混合」(第2混合)の後のpHを、前記(d)に記載のpH範囲に保つため、前記のpH範囲に緩衝能を有する緩衝剤を前記水溶液に適宜含有させてもよい。
本発明において、前記の水溶液に含有させることができる緩衝剤としては、特に限定はないが、例えば、酒石酸、コハク酸、マロン酸、若しくはクエン酸などの有機酸、又はグリシン、若しくはリン酸、或いはこれらの塩等を挙げることができる。
そして、本発明において、この緩衝剤を含有する水溶液(すなわち、緩衝液)における緩衝剤の濃度は、特に限定はなく、設定するpHの範囲において緩衝能を発揮することができる濃度であればよい。
例えば、第2混合後、この緩衝剤の濃度は、好ましくは5mM以上であり、より好ましくは10mM以上であり、特に好ましくは30mM以上である。
また、この緩衝剤の濃度は、第2混合後、好ましくは500mM以下であり、より好ましくは100mM以下であり、特に好ましくは50mM以下である。
本発明における、第2混合後の緩衝剤の好ましい濃度は、以上述べた通りである。
本発明においては、第2混合後の緩衝剤の濃度が上記の濃度となるよう、前記の水溶液に緩衝剤を適当な濃度で含有させることが好ましい。
(3)リパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物の混合物の水又は水溶液との混合
本発明における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程においては、当該混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する。
従来は、使用する界面活性剤を水又は水溶液と混合し、その後、これとリパーゼ活性測定用基質を混合していた。
しかしながら、本発明は、このような従来の方法とは異なり、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を直接混合し、これにより調製したリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合するという特徴的な工程を有する方法である。
ところで、本発明における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程であるが、特に限定はなく、例えば、「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物」の全部又は一部を「水又は水溶液」へ添加し、混合するという態様でもよく、又は「水又は水溶液」を「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物」の全部又は一部へ添加し、混合するという態様でもよく、或いはその他の態様でもよい。
なお、本発明において、前記のリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物と、前記の水又は水溶液との混合の比率は、特に限定はなく適宜定めればよい。
なお、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物と、水又は水溶液との混合については、例えば、次の(i)及び(ii)のように考えることができる。
(i)リパーゼ活性測定用基質の濃度の面から
前記の6の(3)に詳述した通り、第2混合後、リパーゼ活性測定用基質の好ましい濃度は、前記の目的の上から、好ましくは0.05mM以上であり、より好ましくは0.1mM以上であり、そして、特に好ましくは0.2mM以上である。
また、これも前記の6の(3)に詳述した通り、第2混合後、リパーゼ活性測定用基質の好ましい濃度は、前記の目的の上から、好ましくは2mM以下であり、より好ましくは1mM以下であり、そして、特に好ましくは0.8mM以下である。
そして、このリパーゼ活性測定用基質の好ましい濃度と、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量との関係は、例えば、次の(a)又は(b)などのように考えることができる。
(a)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させるリパーゼ活性測定用基質の混合量をWs[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とし、そしてリパーゼ活性測定用基質の分子量をMWsとした場合、第2混合後のリパーゼ活性測定用基質の濃度Cs[単位:mM]は次の式で表すことができる。
Cs=(Ws×10)÷(Vf×MWs)
なお、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の分子量MWsは752.05であるので、上記の式は次のようになる。
Cs=(Ws×10)÷(Vf×752.05)
よって、この場合の第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量Vf[単位:mL]は、次のように表すことができる。
Vf=(Ws×10)÷(Cs×MWs)
すなわち、Vf=(Ws×10)÷(Cs×752.05)
従って、上記の式により求めた容量Vf[単位:mL]になるよう、第2混合時に水又は水溶液を混合することにより、希望するリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度のリパーゼ活性測定用基質溶液を得ることができる。
(b)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の一部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させるリパーゼ活性測定用基質の混合量をWs[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とし、リパーゼ活性測定用基質の分子量をMWsとし、そして第1混合時の混合物のA%(重量又は容量)を第2混合時に水又は水溶液と混合した場合、第2混合後のリパーゼ活性測定用基質の濃度Cs[単位:mM]は次の式で表すことができる。
Cs=(Ws×10)×(A÷100)÷(Vf×MWs)=(Ws×A×10)÷(Vf×MWs)
なお、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の分子量MWsは752.05であるので、上記の式は次のようになる。
Cs=(Ws×A×10)÷(Vf×752.05)
よって、この場合の第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量Vf[単位:mL]は、次のように表すことができる。
Vf=(Ws×A×10)÷(Cs×MWs)
すなわち、Vf=(Ws×A×10)÷(Cs×752.05)
従って、上記の式により求めた容量Vf[単位:mL]になるよう、第2混合時に水又は水溶液を混合することにより、希望するリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度のリパーゼ活性測定用基質溶液を得ることができる。
(ii)本重合体化合物の濃度の面から
前記の6の(4)に詳述した通り、第2混合後、本重合体化合物の好ましい濃度は、前記の目的の上から、好ましくは0.01%(w/v)以上であり、より好ましくは0.05%(w/v)以上であり、そして、特に好ましくは0.1%(w/v)以上である。
また、これも前記の6の(4)に詳述した通り、第2混合後、本重合体化合物の好ましい濃度は、前記の目的の上から、好ましくは20%(w/v)以下であり、より好ましくは10%(w/v)以下であり、そして、特に好ましくは5%(w/v)以下である。
そして、この本重合体化合物の好ましい濃度と、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量との関係は、例えば、次の(a)又は(b)などのように考えることができる。
(a)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させる本重合体化合物の混合量をWp[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とした場合、第2混合後の本重合体化合物の濃度Cp[単位:%(w/v)]は次の式で表すことができる。
Cp=(Wp×100)÷Vf
よって、この場合の第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量Vf[単位:mL]は、次のように表すことができる。
Vf=(Wp×100)÷Cp
従って、上記の式により求めた容量Vf[単位:mL]になるよう、第2混合時に水又は水溶液を混合することにより、希望する本重合体化合物の濃度のリパーゼ活性測定用基質溶液を得ることができる。
(b)リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の一部を水又は水溶液と混合する場合
第1混合時に混合させる本重合体化合物の混合量をWp[単位:グラム]とし、第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量(メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]とし、そして第1混合時の混合物のA%(重量又は容量)を第2混合時に水又は水溶液と混合した場合、第2混合後の本重合体化合物の濃度Cp[単位:%(w/v)]は次の式で表すことができる。
Cp=(Wp×100)×(A÷100)÷Vf=(Wp×A)÷Vf
よって、この場合の第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量Vf[単位:mL]は、次のように表すことができる。
Vf=(Wp×A)÷Cp
従って、上記の式により求めた容量Vf[単位:mL]になるよう、第2混合時に水又は水溶液を混合することにより、希望する本重合体化合物の濃度のリパーゼ活性測定用基質溶液を得ることができる。
なお、本発明における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程は、二段階以上の複数の段階(ステップ)によって行ってもよい。
なお、このように、この工程を複数の段階(ステップ)によって行うことが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
この工程を複数の段階によって行う方法であるが、これは当該工程を複数の段階によって行うものであればよく、特に限定はないが、例えば、次の〔A〕及び〔B〕の段階によって行うもの等を挙げることができる。
〔A〕 リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、一定量の水又は水溶液と混合する段階
〔B〕 前記〔A〕の段階における当該混合物(リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物との混合物)と水又は水溶液との混合後の混合液に、更に一定量の水又は水溶液を混合する段階
なお、この場合、前記〔A〕の段階において「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部」と混合する「水又は水溶液」の容量(一定量)をVa[単位:mL]とし、前記〔B〕の段階において当該混合液に「更に一定量の水又は水溶液」を混合した後の最終的な容量[すなわち、前記の第2混合時に水又は水溶液を混合した後の最終的な容量](メスアップ後の容量等)をVf[単位:mL]としたとき、VaによりVfを除した比の値(Vf/Va)は、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から、1〜500の範囲にあることが好ましい。
すなわち、VaによりVfを除した比の値(Vf/Va)が1〜500の範囲内になるように、前記のVa及びVfの値(容量)を選択することが、前記の目的の上から好ましい。
なお、同様に、前記の目的の上から、VaによりVfを除した比の値(Vf/Va)は、2〜200の範囲にあることがより好ましく、5〜100の範囲にあることが特に好ましい。
すなわち、前記の目的の上から、VaによりVfを除した比の値(Vf/Va)が、2〜200の範囲内になるように前記のVa及びVfの値(容量)を選択することがより好ましく、5〜100の範囲内になるように前記のVa及びVfの値(容量)を選択することが特に好ましい。
なお、前記〔A〕の「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、一定量の水又は水溶液と混合する段階」であるが、特に限定はなく、例えば、「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物」の全部又は一部を一定量の「水又は水溶液」へ添加し、混合するという態様でもよく、又は一定量の「水又は水溶液」を「リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物」の全部又は一部へ添加し、混合するという態様でもよく、或いはその他の態様でもよい。
また、前記〔B〕の「前記〔A〕の段階における当該混合物(リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物との混合物)と水又は水溶液との混合後の混合液に、更に一定量の水又は水溶液を混合する段階」であるが、特に限定はなく、例えば、「前記〔A〕の段階における当該混合物(リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物との混合物)と水又は水溶液との混合後の混合液」を一定量の「水又は水溶液」へ添加し、混合するという態様でもよく、又は一定量の「水又は水溶液」を「前記〔A〕の段階における当該混合物(リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物との混合物)と水又は水溶液との混合後の混合液」へ添加し、混合するという態様でもよく、或いはその他の態様でもよい。
(4)混合の方法
本発明における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程において、当該混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する方法は、当該混合物と、当該水又は水溶液が混合するのであればいずれの方法でもよく、特に限定はない。
なお、本発明における当該混合においては、リパーゼ活性測定用基質をアルコールなどの有機溶媒を含む溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を滴々と滴下して溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を溶液に噴射注入したり、リパーゼ活性測定用基質溶液を強力なミキサーで高速に撹拌したり、又はリパーゼ活性測定用基質溶液に超音波を掛ける処理を行ったり等の煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理や特別な装置等は必要なく、一般的なミキサーを用いて一般的な速度で撹拌する等、通常の方法で混合すればよく、これにより、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合することができる。
(5)混合時の温度
本発明における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程において、当該混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する時の温度は、特に限定されないが、用いる本重合体化合物の曇点以下の温度においてこの工程を行うことが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
そして、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程は、前記の目的の上から、用いる本重合体化合物の曇点より10℃低い温度以下で行うことがより好ましく、25℃以下で行うことが特に好ましい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程において、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液とを混合する時の温度であるが、この工程を、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕、用いる本重合体化合物、及び使用する水又は水溶液それぞれの融点以上の温度において行うことが、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から好ましい。
そして、このリパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程は、前記の目的の上から、10℃以上で行うことがより好ましく、15℃以上で行うことが特に好ましい。
(6)混合の時間
本発明における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合して調製した混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程において、当該混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する時間であるが、このリパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物の混合物と、この水又は水溶液とが、均質に混合されればよく、特に限定されない。
通常は、この混合を、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質の溶液を製造する目的の上から、この混合を5分間又はそれ以上行うことが好ましい。なお、一般的には、5分間で十分である。
また、このリパーゼ活性測定用基質及び本重合体化合物の混合物と、水又は水溶液とを混合する時間は、特に上限はなく、例えば数時間混合しても構わないのであるが、時間もコストであるという観点から考えると、念入りに行うとしても通常は10分間以内でよい。
8.リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径
先に記載した通り、リパーゼは、エマルジョン化したトリグリセライド基質の水と油との界面で最も効率よく作用し、このリパーゼの反応速度は分散した基質の表面積に関係するので、このリパーゼの活性測定には安定で均一なミセル粒子からなる基質の調製が重要であるとされている(非特許文献2参照。)。
本発明において、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の溶液は、そのエマルジョンのミセル径(粒子径)が60〜1,500nmの範囲にあると、リパーゼとの反応の速度が高く、また、このエマルジョンが安定であり、このリパーゼ活性測定用基質溶液を長期間保存・使用できるので好ましい。
この理由により、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質の溶液は、そのエマルジョンのミセル径(粒子径)が70〜1,000nmの範囲にあることがより好ましく、80〜600nmの範囲にあることが更に好ましく、そして、100〜200nmの範囲にあることが特に好ましい。
〔2〕リパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法
1.総論
(A)総論
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法は、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル〔DGGMR〕をリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法において、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物(本重合体化合物)を混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とするものである。
そして、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法は、この(1)及び(2)の工程を含むものであることより、煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理、又は特別な装置若しくは器具などの物等を必要とせずに、DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含むリパーゼ活性測定用基質溶液の製造を簡略化することができる。
(B)側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを用いる態様
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法は、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを用いる次の態様を含むものである。
「1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法において、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイルを混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法。」
(C)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を用いる態様
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を用いる次の態様を含むものである。
「1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法であって、
(1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を混合し混合物を調製する工程;及び
(2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法。」
2.リパーゼ
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、リパーゼについては、前記〔1〕の「2.リパーゼ」において記載した通りである。
3.試料
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、試料については、前記〔1〕の「3.試料」において記載した通りである。
4.リパーゼ活性測定用基質
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、リパーゼ活性測定用基質については、前記〔1〕の「4.リパーゼ活性測定用基質」において記載した通りである。
5.本重合体化合物
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、「側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物」(本重合体化合物)については、前記〔1〕の「5.本重合体化合物」において記載した通りである。
6.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程については、前記〔1〕の「6.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物を混合し混合物を調製する工程」において記載した通りである。
7.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物を水又は水溶液と混合する工程
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物を、水又は水溶液と混合する工程については、前記〔1〕の「7.リパーゼ活性測定用基質と本重合体化合物の混合物を水又は水溶液と混合する工程」において記載した通りである。
8.リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法における、リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径については、前記〔1〕の「8.リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径」において記載した通りである。
〔3〕試料中のリパーゼ活性の測定試薬及び測定方法
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬、及び本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法等について、以下説明を行う。
1.試料中のリパーゼ活性測定試薬
(1)試料中のリパーゼ活性測定試薬の構成等
試料中のリパーゼ活性測定試薬は、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液のみからなるものであってもよく、又は本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液と他の構成試薬からなるもの(試薬キット)であってもよい。
なお、次の(a)及び(b)の理由から、試料中のリパーゼ活性測定試薬としては、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液と他の構成試薬からなる試薬キットであることが好ましい。
(a) 本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕はpH4又はその付近のpHにおいて安定であるのに対して、リパーゼはpH8又はその付近のpHにおいてその活性は至適であり、それぞれ適するpH域が異なっている。
(b) 本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕、コリパーゼ、及びリパーゼ賦活化剤としての胆汁酸又はその塩を、一つの試薬に共存させると、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の安定性がよくなくなる。
よって、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液と他の構成試薬からなる試薬キットであることが好ましく、この場合、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕を含む試薬のpHはpH4又はその付近のpHとし、これと組み合わせる他の構成試薬のうち少なくとも一つの試薬のpHはpH8又はそれ以上とすることが好ましく、また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕、コリパーゼ、及びリパーゼ賦活化剤としての胆汁酸又はその塩を、一つの試薬に共存させないことが好ましい。
この試料中のリパーゼ活性測定試薬としては、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液と一つの他の構成試薬からなる2試薬系の試薬キットであることが好ましい。
この場合、当該他の構成試薬を第1試薬とし、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液を第2試薬として用いるものであることがより好ましい。
そして、この場合に、当該他の構成試薬のpHはpH8又はそれ以上とし、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液のpHはpH4又はその付近のpHとすることが更に好ましい。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液にコリパーゼ、及びリパーゼ賦活化剤としての胆汁酸又はその塩の両方を含有させることはせず、コリパーゼ、及びリパーゼ賦活化剤としての胆汁酸又はその塩の少なくとも一方は当該他の構成試薬に含有させることが更に好ましい。
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬は、終点法(エンドポイント法)により測定を行うものであってもよく、又は反応速度法(レート法)により測定を行うものであってもよく、適宜選択すればよいが、反応速度法(レート法)によるものが好ましい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬においては、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と試料を接触させ、反応させることにより、リパーゼが触媒する加水分解反応によって、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロール及びグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルが生成するが、このグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルは不安定であって、容易に自然に加水分解されて6’−メチルレゾルフィン(λmax:580nm)を生成する。
よって、この生成する6’−メチルレゾルフィンの増加を580nm又はその近辺の波長の吸光度等を測ることによって測定し、試料中に含まれていたリパーゼの活性値を求めればよい。なお、この場合、一波長法でもよく、又は二波長法でもよい。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬において、測定反応時の温度は、30℃又は37℃等測定反応が進行しかつ測定反応に係わる酵素等の反応成分が熱により失活、変性又は変質しない範囲内の温度を設定すればよい。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬において、測定反応の開始方法は、本発明のリパーゼ活性測定用基質等を加えることにより行う方法、又は試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法のものでもよい。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬において、その測定は、用手法により行うものであってもよく、又は自動分析装置等の装置を用いて行うものであってもよい。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬は、その構成試薬の全て又は一部が液状試薬であってよい。
なお、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液は、そのもの単独にて、販売し、又は試料中のリパーゼ活性の測定に使用することができる。
また、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液は、前記の他の構成試薬又はそれ以外の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料中のリパーゼ活性の測定に使用することもできる。
前記の他の構成試薬、又はそれ以外の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬、又は精度管理を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。
(2)試料中のリパーゼ活性の測定試薬の具体例
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を含む試料中のリパーゼ活性の測定試薬の具体例を以下挙げる。
(I)例1
(a)第1試薬 [下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度で含む水溶液;pH8.3(20℃)]
デオキシコール酸ナトリウム [リパーゼ賦活化剤] 2%(w/v)
塩化カルシウム [リパーゼ活性化剤] 5mM
コリパーゼ (ブタ膵臓由来;ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])
375K単位/L(5mg/L)
Bicine [緩衝剤] 40mM
(b)第2試薬(本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液) [下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度で含む水溶液;pH4.0(20℃)]
1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕 (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国]) [リパーゼ活性測定用基質] 0.3mM
側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル 0.3%(w/v)
L−酒石酸 [緩衝剤] 40mM
(II)例2
(a)第1試薬 [下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度で含む水溶液;pH8.4(20℃)]
タウロデオキシコール酸ナトリウム [リパーゼ賦活化剤] 2%(w/v)
デオキシコール酸ナトリウム [リパーゼ賦活化剤] 0.2%(w/v)
塩化カルシウム [リパーゼ活性化剤] 5mM
コリパーゼ (ブタ膵臓由来;ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])
150K単位/L(2mg/L)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 〔Tris〕 [緩衝剤] 40mM
(b)第2試薬(本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液) [下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度で含む水溶液]
1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕 (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国]) [リパーゼ活性測定用基質] 0.6mM
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 2%(w/v)
タウロデオキシコール酸ナトリウム [リパーゼ賦活化剤] 2%(w/v)
2.試料中のリパーゼ活性測定方法
(1)試料中のリパーゼ活性の測定の方法
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法により測定を行う場合、当該測定は終点法(エンドポイント法)により測定を行うものであってもよく、又は反応速度法(レート法)により測定を行うものであってもよく、適宜選択すればよいが、反応速度法(レート法)によるものが好ましい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法により測定を行う場合、その測定は、一段階のステップにより行う1ステップ法、又は二段階若しくはそれ以上の多段階のステップにより行う多ステップ法を適宜選択して測定を行えばよい。
なお、試料中のリパーゼ活性の測定に使用する測定試薬が、第1試薬、第2試薬、及び他の試薬(一つ又は二つ以上の試薬)よりなる場合、すなわち3以上の試薬よりなる場合は、これらの試薬を使用して測定を行うのに必要な数の段階(必要に応じ二段階又は三段階以上の段階)を経て測定反応を行わせ、試料中のリパーゼ活性の測定を行えばよい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法により測定を行う場合、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と試料を接触させ、反応させることにより、リパーゼが触媒する加水分解反応によって、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロール及びグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルが生成するが、このグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルは不安定であって、容易に自然に加水分解されて6’−メチルレゾルフィン(λmax:580nm)を生成する。
よって、この生成する6’−メチルレゾルフィンの増加を580nm又はその近辺の波長の吸光度等を測ることによって測定し、試料中に含まれていたリパーゼの活性値を求めればよい。なお、この場合、一波長法でもよく、又は二波長法でもよい。
なお、測定した吸光度(若しくは透過率)又は吸光度(若しくは透過率)の変化量より、試料に含まれていたリパーゼの活性値を算出することは、6’−メチルレゾルフィンのモル吸光係数を基に測定した吸光度(若しくは透過率)より算出する方法、又はリパーゼ活性値が分かっている標準物質(標準液、若しくは標準血清等)の吸光度(若しくは透過率)と対比して算出する方法等の方法を適宜選択して行えばよい。
また、試料を測定して得た吸光度(若しくは透過率)より試薬盲検(試薬ブランク)を差し引いて、試料に含まれていたリパーゼの活性値を算出することが好ましい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法により測定を行う場合、測定反応時の温度は、30℃又は37℃等測定反応が進行しかつ測定反応に係わる酵素等の反応成分が熱により失活、変性又は変質しない範囲内の温度を設定すればよい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法により測定を行う場合、測定反応の開始方法は、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質等を加えることにより行う方法、又は試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法のものでもよい。
また、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法により測定を行う場合、その測定は、用手法により行うものであってもよく、又は自動分析装置等の装置を用いて行うものであってもよい。
(2)試料中のリパーゼ活性の測定方法の具体例
本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液を用いる試料中のリパーゼ活性の測定方法の具体例を以下挙げる。
(a)測定試薬
(i)第1試薬
前記の1の(2)の(I)の(a)の第1試薬を、この測定方法の具体例における第1試薬として用いた。
(ii)第2試薬
前記の1の(2)の(I)の(b)の第2試薬を、この測定方法の具体例における第2試薬として用いた。
(b)試料
ヒトの血清を試料として用いた。
(c)測定
(i)第1段階
前記の試料と前記の第1試薬を混合して、混合液を調製する。
この混合する試料及び第1試薬それぞれの量は、第2試薬の量、試料に含まれるリパーゼの活性値、及び他の条件に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、試料の量は0.5〜100μL、第1試薬の量は20〜1,000μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
この混合液の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は20分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましく、5分以内であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の混合液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると測定反応に係わる酵素等の成分が変性、失活してしまうので、インキュベートする際の温度は、測定反応に係わる酵素等の成分が変性、失活する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、測定反応に係わる酵素等の成分が耐熱性酵素など耐熱性の成分であれば更に高温でもよい。
この試料と第1試薬の混合液の調製及びインキュベートにより、試料に含まれていたリパーゼと、第1試薬に含まれる試薬成分とが接触し、これらの成分によるリパーゼの賦活化や活性化等が行われる。
(ii)第2段階
前記の第1段階で調製した「試料と第1試薬の混合液」に、第2試薬を混合する。これを最終反応液とする。
この混合する第2試薬の量は、試料の量、第1試薬の量、試料に含まれるリパーゼの活性値、使用する分析装置の仕様等、及び他の条件に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、第2試薬の量は10〜1,000μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
この最終反応液の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は20分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましく、5分以内であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の最終反応液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると測定反応に係わる酵素等の成分が変性、失活してしまうので、インキュベートする際の温度は、測定反応に係わる酵素等の成分が変性、失活する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、測定反応に係わる酵素等の成分が耐熱性酵素など耐熱性の成分であれば更に高温でもよい。
この最終反応液の調製及びインキュベートにより、前記の第1段階におけるリパーゼの賦活化や活性化等に引き続き、この第2段階における測定反応が開始し、試料に含まれていたリパーゼの活性測定反応が進められる。
すなわち、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法により、安定で均一なミセル粒子からなるエマルジョン化した基質溶液となっている第2試薬(本発明におけるリパーゼ活性測定用基質溶液)が、この第2段階において試料に含まれていたリパーゼと接触することにより、リパーゼが触媒する加水分解反応によって、本発明におけるリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕より1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロール及びグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルが生成する。
そして、このグルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルは不安定であるので、容易に自然に加水分解されて、6’−メチルレゾルフィン(λmax:580nm)を生成する。
この生成した6’−メチルレゾルフィンは、その極大吸収波長(λmax)が580nmであるので、この6’−メチルレゾルフィンに由来する最終反応液の吸光度(又は透過率)を580nm又はその近辺の波長の吸光度(又は透過率)を測ることによって測定する。
次に、測定した吸光度(若しくは透過率)又は吸光度(若しくは透過率)の変化量より、試料に含まれていたリパーゼの活性値を算出する。
なお、これは、6’−メチルレゾルフィンのモル吸光係数を基に測定した吸光度(若しくは透過率)より算出する方法、又はリパーゼ活性値が分かっている標準物質(標準液、若しくは標準血清等)の吸光度(若しくは透過率)と対比して算出する方法等の方法を適宜選択して行う。
なお、上記の試料に含まれていたリパーゼの活性値の算出は、試料を測定して得た最終反応液の吸光度(若しくは透過率)より試薬盲検(試薬ブランク)を差し引いて求めた吸光度差(ΔAbs.)を用いて行うことが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕(リパーゼ活性測定用基質溶液の製造−1)
本重合体化合物の曇点の測定、本発明の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造、及び当該リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径の測定を行った。
1.曇点の測定
(1)本重合体化合物水溶液の調製
下記の(a)〜(d)の4種類の側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性タイプ)、及び下記の(e)〜(f)の2種類のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物について、それぞれ0.1%(w/v)となるよう純水と混合し、本重合体化合物水溶液を調製した。
(a) KF−351A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(b) KF−354L (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(c) KF−355A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(d) KF−6011 (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(e) プルロニック L−34 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(f) プルロニック L−44 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(2)本重合体化合物の曇点の測定
(i) 前記(1)で調製した前記(a)〜(f)の6種類の本重合体化合物水溶液[濃度:0.1%(w/v)]それぞれの1mLを各々別個の試験管に入れた。
(ii) 次に、これらの試験管を恒温水槽(型式:BK−33、販売元:ヤマト科学株式会社[日本国])に入れ、水槽の温度を1℃ずつ上昇させた。なお、水槽の温度は水銀温度計で測定を行った。
(iii) そして、前記の恒温水槽に入れた試験管内の本重合体化合物水溶液を観察して、この水溶液が白く濁った時の温度をその本重合体化合物の曇点として記録した。
なお、この曇点の測定に使用した恒温水槽(BK−33)は、加温した水槽の温度の上限が77℃であるので、水槽の温度を77℃まで上昇させても白濁せず曇点に至らなかった場合は、「77℃超」と記録した。
(3)測定結果
前記(2)において測定し、記録したそれぞれの本重合体化合物の曇点を、以下に示した。
(a) KF−351A:52℃
(b) KF−354L:77℃超
(c) KF−355A:67℃
(d) KF−6011:64℃
(e) プルロニック L−34:65℃
(f) プルロニック L−44:67℃
2.本発明によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び当該基質溶液の製造の簡略化方法により、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を行った。
(1) 本発明におけるリパーゼ活性測定用基質である、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、6個のビーカー(容量:10mL)のそれぞれに、0.09グラム[g]ずつ量り取った。
(2) 次に、下記の(a)〜(d)の4種類の側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性タイプ)、及び下記の(e)〜(f)の2種類のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物をそれぞれ4.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。
(a) KF−351A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(b) KF−354L (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(c) KF−355A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(d) KF−6011 (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(e) プルロニック L−34 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(f) プルロニック L−44 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(3) 前記(2)の添加後、各々のビーカーを、67℃の温度に設定した恒温水槽(型式:BK−33、販売元:ヤマト科学株式会社[日本国])に入れ、これを撹拌して、ビーカー内のリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を67℃で混合した。なお、水槽の温度は水銀温度計で測定し、確認した。
この67℃での混合(撹拌)を5分間行い、「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」を調製した。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーを前記の67℃の温度の水槽中でスターラー(リモートドライブ電磁スターラー、型式:HP40107、販売元:株式会社三商[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのスターラーのコントロールユニットの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(4) 次に、前記(3)の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」の全部をビーカー内よりマイクロピペットにより吸い取り、別のビーカー(容量:10mL)中で予め20℃としておいた「一定量(4.0mL)の純水」に、撹拌しながら当該混合物の全部(全量)をこのマイクロピペットより添加した。
そして、当該添加後、この撹拌を室温(25℃)にて5分間継続して行うことにより、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合して調製した混合物」(全部)と、前記の「一定量(4.0mL)の純水」との混合を行った。
なお、この撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
また、前記のビーカー中の「一定量(4.0mL)の純水」の温度は水銀温度計で測定することにより20℃であることを確認しておいた。
(5) 次に、前記(4)の「当該混合物(リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物)と一定量の純水との混合後の混合液」に、更に一定量の純水を混合して、最終的な容量を200mLとした。
(6) 以上の操作により、下記の(a)〜(f)の計6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液を、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法によって製造した。
なお、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計6種類)において、いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度は0.6mMであり、本重合体化合物の濃度は2.0%(w/v)である。
また、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計6種類)のいずれにも、濃度勾配や強い濁り等は見られず、それぞれ均質に混合されていることを目視にて確認した。
(a) リパーゼ活性測定用基質溶液−a(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−351A)
(b) リパーゼ活性測定用基質溶液−b(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−354L)
(c) リパーゼ活性測定用基質溶液−c(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−355A)
(d) リパーゼ活性測定用基質溶液−d(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−6011)
(e) リパーゼ活性測定用基質溶液−e(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−34)
(f) リパーゼ活性測定用基質溶液−f(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−44)
3.リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径の測定
前記2において製造したリパーゼ活性測定用基質溶液(計6種類)のエマルジョンのミセル径を測定した。
(1)エマルジョンのミセル径の測定
(i) 前記2で製造した前記2の(7)の(a)〜(f)の6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液[いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕濃度:0.6mM、本重合体化合物濃度:2.0%(w/v)]それぞれの2.5mLを各々別個のプラスチックセルに入れた。
(ii) 次に、これらのプラスチックセルを順に動的光散乱式粒径分布測定装置(型式:LB−550、販売元:株式会社堀場製作所[日本国])に入れ、それぞれのプラスチックセル中の各リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の測定を行った。なお、この測定は室温(25℃)にて行った。
(2)測定結果
前記(1)において測定した前記の6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)を表1に示した。
なお、この表1において、この6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の値は平均値の値を示す。
また、この表1には、この6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液の目視での観察結果も示した。更に、この表1には、この6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液で用いた本重合体化合物の曇点についての前記1における測定結果も示した。
なお、この表の「観察結果」の欄において、「○」は「濃度勾配、強い濁り及び発色のいずれも見られなかったもの」を示す。
また、この表の「用いた本重合体化合物の曇点」の欄には、リパーゼ活性測定用基質溶液で用いた本重合体化合物の曇点の測定値を示すが、水槽の温度を77℃まで上昇させても白濁せず曇点に至らなかったものについては「77℃超」と表した。
Figure 0006603961
(3)考察
表1より、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法に従って製造した6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液(リパーゼ活性測定用基質溶液−a〜リパーゼ活性測定用基質溶液−f)においては、いずれもそのエマルジョンのミセル径(粒子径)が100nm〜1,100nmの範囲にあることが分かる。
すなわち、前記の通り、ミセル径(粒子径)が測定されたことより、これらの6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液はいずれも、ミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質溶液を形成していることが分かる。
そして、これらの6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液はいずれも、リパーゼとの反応の速度が高く、エマルジョンが安定であり、リパーゼ活性測定用基質溶液を長期間保存・使用できる60nm〜1,500nmの範囲にそのエマルジョンのミセル径(粒子径)があることが分かる。
また、この表1より、これらの6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のいずれにおいても、濃度勾配や強い濁りや発色は見られず、このような問題のないことが分かる。
以上のことより、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及びリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法、並びにこれらの方法に従って製造したリパーゼ活性測定用基質溶液は、次の(i)〜(iii)の特徴を有するものであることが確かめられた。
(i) 従来の方法のようにリパーゼ活性測定用基質をアルコールなどの有機溶媒を含む溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を滴々と滴下して溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を溶液に噴射注入したり、リパーゼ活性測定用基質溶液を強力なミキサーで高速に撹拌したり、又はリパーゼ活性測定用基質溶液に超音波を掛ける処理を行ったり等の煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理や特別な装置等が必要ないものであること。
(ii) 一般的なミキサーを用いて一般的な速度で撹拌する等、簡便、短時間、かつ低コストにより、リパーゼ活性測定用基質溶液を製造することが可能であり、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を簡略化することができるものであること。
(iii) 製造されるリパーゼ活性測定用基質溶液が、試料中のリパーゼ活性の測定に適したものであること。
〔実施例2〕(リパーゼ活性測定用基質溶液の製造−2)
本発明の方法及び対照例の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造、並びに当該リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径の測定を行った。
1.リパーゼ活性測定用基質溶液の製造
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び当該基質溶液の製造の簡略化方法により、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を行った。
また、対照例の方法により、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を行った。
〔1〕本発明の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造
(1) 本発明におけるリパーゼ活性測定用基質である、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、5個のビーカー(容量:10mL)のそれぞれに、0.09グラム[g]ずつ量り取った。
(2) 次に、下記の(a)〜(c)の3種類の側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性タイプ)、及び下記の(d)〜(e)の2種類のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物をそれぞれ4.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。
(a) KF−351A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(b) KF−355A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(c) KF−6011 (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(d) プルロニック L−34 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(e) プルロニック L−44 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(3) 前記(2)の添加後、各々のビーカーを室温(25℃)において撹拌して、ビーカー内のリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合した。
この混合(撹拌)を5分間行い、「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」を調製した。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(4) 次に、前記(3)のビーカー内の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」(全部)に、撹拌しながら「一定量(4.0mL)の2%(w/v)の濃度のタウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液」を室温(25℃)においてマイクロピペットより添加した。
そして、当該添加後、この撹拌を室温(25℃)にて5分間継続して行うことにより、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合して調製した混合物」(全部)と、前記の「一定量(4.0mL)の2%(w/v)のタウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液」との混合を行った。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(5) 次に、前記(4)の「当該混合物(リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物)と一定量の2%(w/v)タウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液との混合後の混合液」に、更に一定量の2%(w/v)タウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液を混合して、最終的な容量を200mLとした。
(6) 以上の操作により、下記の(A)〜(E)の計5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液を、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法によって製造した。
なお、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計5種類)において、いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度は0.6mMであり、本重合体化合物の濃度は2.0%(w/v)である。
また、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計5種類)のいずれにも、濃度勾配や強い濁り等は見られず、それぞれ均質に混合されていることを目視にて確認した。
(A) リパーゼ活性測定用基質溶液−A(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−351A)
(B) リパーゼ活性測定用基質溶液−B(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−355A)
(C) リパーゼ活性測定用基質溶液−C(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−6011)
(D) リパーゼ活性測定用基質溶液−D(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−34)
(E) リパーゼ活性測定用基質溶液−E(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−44)
〔2〕対照例の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造
(1) リパーゼ活性測定用基質である、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、5個のビーカー(容量:10mL)のそれぞれに、0.09グラム[g]ずつ量り取った。
(2) 次に、下記の(f)〜(j)の界面活性剤(いずれも非イオン性界面活性剤)をそれぞれ4.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。
(f) Tween80 [ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート] (販売元:東京化成工業株式会社[日本国])
(g) NIKKOL GO−460V [テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット] (販売元:日光ケミカルズ株式会社[日本国])
(h) NIKKOL TL−10 [モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン] (販売元:日光ケミカルズ株式会社[日本国])
(i) サンニックス GP−1000 [ポリオキシプロピレングリセリルエーテル] (販売元:三洋化成工業株式会社[日本国])
(j) NIKKOL TMGO−15 [モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル] (販売元:日光ケミカルズ株式会社[日本国])
(3) 前記(2)の添加後、各々のビーカーを室温(25℃)において撹拌して、ビーカー内のリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と前記の各界面活性剤を混合した。
この混合(撹拌)を5分間行い、「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤の混合物」を調製した。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(4) 次に、前記(3)のビーカー内の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤の混合物」(全部)に、撹拌しながら「一定量(4.0mL)の2%(w/v)の濃度のタウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液」を室温(25℃)においてマイクロピペットより添加した。
そして、当該添加後、この撹拌を室温(25℃)にて5分間継続して行うことにより、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤を混合して調製した混合物」(全部)と、前記の「一定量(4.0mL)の2%(w/v)のタウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液」との混合を行った。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(5) 次に、前記(4)の「当該混合物(リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤の混合物)と一定量の2%(w/v)タウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液との混合後の混合液」に、更に一定量の2%(w/v)タウロデオキシコール酸ナトリウム水溶液を混合して、最終的な容量を200mLとした。
(6) 以上の操作により、下記の(F)〜(J)の計5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液を、対照例の方法によって製造した。
なお、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計5種類)において、いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度は0.6mMであり、各界面活性剤の濃度は2.0%(w/v)である。
(F) リパーゼ活性測定用基質溶液−F(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Tween80)
(G) リパーゼ活性測定用基質溶液−G(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL GO−460V)
(H) リパーゼ活性測定用基質溶液−H(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL TL−10)
(I) リパーゼ活性測定用基質溶液−I(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:サンニックス GP−1000)
(J) リパーゼ活性測定用基質溶液−J(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL TMGO−15)
なお、上記の「(F)リパーゼ活性測定用基質溶液−F」、「(G) リパーゼ活性測定用基質溶液−G」及び「(H) リパーゼ活性測定用基質溶液−H」については、これらのいずれにも、濃度勾配や強い濁り等は見られず、それぞれ均質に混合されていることを目視にて確認した。
しかしながら、上記の「(I)リパーゼ活性測定用基質溶液−I」は強度の濁りが生じていた。また、上記の「(J)リパーゼ活性測定用基質溶液−J」は発色が生じてしまっていた。
2.リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径の測定
本発明の方法により製造した前記1の〔1〕の(7)の(A)〜(E)の5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液、及び対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の(F)〜(I)の4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液について、それぞれのエマルジョンのミセル径を測定した。(なお、「(J)リパーゼ活性測定用基質溶液−J」は発色が生じてしまった為、そのエマルジョンのミセル径の測定は行わなかった。)
(1)エマルジョンのミセル径の測定
(i) 前記1の〔1〕で製造した前記1の〔1〕の(7)の(A)〜(E)の5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液[いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕濃度:0.6mM、本重合体化合物濃度:2.0%(w/v)]、及び前記1の〔2〕で製造した前記1の〔2〕の(7)の(F)〜(I)の4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液[いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕濃度:0.6mM、界面活性剤濃度:2.0%(w/v)]それぞれの2mLを各々別個のプラスチックセルに入れた。
(ii) 次に、これらのプラスチックセルについて順に動的光散乱式粒子径分布測定装置(型式:Nanotrac UPA−EX250、販売元:日機装株式会社[日本国])の光学プローブ(光ファイバー)を中に入れ、それぞれのプラスチックセル中の各リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の測定を行った。なお、この測定は室温(25℃)にて行った。
(2)測定結果
前記(1)において測定した前記の計9種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)を表2に示した。
なお、この表2において、これらの計9種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の値は平均値の値を示す。
また、この表2には、本発明の方法により前記1の〔1〕で製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計5種類]、及び対照例の方法により前記1の〔2〕で製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計5種類]の目視での観察結果も示した。
なお、この表の「観察結果」の欄において、「○」は「濃度勾配、強い濁り及び発色のいずれも見られなかったもの」を示し、「×(※1)」は「強度の濁りが生じたもの」そして、「×(※2)」は「発色が生じたもの」を示す。
Figure 0006603961
(3)考察
(I)本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液
表2より、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法に従って製造した5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液(リパーゼ活性測定用基質溶液−A〜リパーゼ活性測定用基質溶液−E)においては、いずれもそのエマルジョンのミセル径(粒子径)が80nm〜200nmの範囲にあることが分かる。
すなわち、前記の通り、ミセル径(粒子径)が測定されたことより、これらの6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液はいずれも、ミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質溶液を形成していることが分かる。
そして、これらの5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液はいずれも、リパーゼとの反応の速度が高く、エマルジョンが安定であり、リパーゼ活性測定用基質溶液を長期間保存・使用できる60nm〜1,500nmの範囲にそのエマルジョンのミセル径(粒子径)があることが分かる。
また、この表2より、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法に従って製造した5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のいずれにおいても、濃度勾配や強い濁りや発色は見られず、このような問題のないことが分かる。
以上のことからも、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及びリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法、並びにこれらの方法に従って製造したリパーゼ活性測定用基質溶液は、次の(i)〜(iii)の特徴を有するものであることが確かめられた。
(i) 従来の方法のようにリパーゼ活性測定用基質をアルコールなどの有機溶媒を含む溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を滴々と滴下して溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を溶液に噴射注入したり、リパーゼ活性測定用基質溶液を強力なミキサーで高速に撹拌したり、又はリパーゼ活性測定用基質溶液に超音波を掛ける処理を行ったり等の煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理や特別な装置等が必要ないものであること。
(ii) 一般的なミキサーを用いて一般的な速度で撹拌する等、簡便、短時間、かつ低コストにより、リパーゼ活性測定用基質溶液を製造することが可能であり、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を簡略化することができるものであること。
(iii) 製造されるリパーゼ活性測定用基質溶液が、試料中のリパーゼ活性の測定に適したものであること。
(II)対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液
(a) 表2より、対照例の方法により製造した「(F)リパーゼ活性測定用基質溶液−F」、「(G) リパーゼ活性測定用基質溶液−G」及び「(H) リパーゼ活性測定用基質溶液−H」は、いずれもそのエマルジョンのミセル径(粒子径)が、60nm未満であることが分かる。
すなわち、これらの対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計3種類]はいずれも、ミセル径(粒子径)が測定されたことより、いずれもミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質溶液を形成していることが分かる。
しかしながら、これらの対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計3種類]はいずれも、そのエマルジョンのミセル径(粒子径)が、リパーゼとの反応の速度が高く、エマルジョンが安定であり、リパーゼ活性測定用基質溶液を長期間保存・使用できる60nm〜1,500nmの範囲にはないことが分かる。
つまり、これらの対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計3種類]はいずれも、試料中のリパーゼ活性の測定に適したものでないことが分かる。
(b) また、表2に記載されている通り、対照例の方法により製造した「(I)リパーゼ活性測定用基質溶液−I」は強度の濁りが生じ、「(J)リパーゼ活性測定用基質溶液−J」は発色が生じた。
すなわち、これらの対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計2種類]はいずれも、試料中のリパーゼ活性の測定に適したものでないことが分かる。
〔実施例3〕(リパーゼ活性測定用基質溶液の製造−3)
本発明の方法及び対照例の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造、並びに当該リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径の測定を行った。
1.リパーゼ活性測定用基質溶液の製造
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び当該基質溶液の製造の簡略化方法により、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を行った。
また、対照例の方法により、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を行った。
〔1〕本発明の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造
(1) 本発明におけるリパーゼ活性測定用基質である、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、4個のビーカー(容量:10mL)のそれぞれに、0.09グラム[g]ずつ量り取った。
(2) 次に、下記の(a)〜(b)の2種類の側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性タイプ)をそれぞれ2.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。また、下記の(a)〜(b)の2種類の側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性タイプ)をそれぞれ4.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。(すなわち、本重合体化合物の種類毎に、2.0グラム量り取り添加したビーカー1個と4.0グラム量り取り添加したビーカー1個を用意した。)
(a) KF−351A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(b) KF−6011 (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(3) 前記(2)の添加後、各々のビーカーを室温(25℃)において撹拌して、ビーカー内のリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と前記の本重合体化合物を混合した。
この混合(撹拌)を5分間行い、「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」を調製した。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(4) 次に、前記(3)のビーカー内の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」(全部)に、撹拌しながら「一定量(4.0mL)の純水」を室温(25℃)においてマイクロピペットより添加した。
そして、当該添加後、この撹拌を室温(25℃)にて5分間継続して行うことにより、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合して調製した混合物」(全部)と、前記の「一定量(4.0mL)の純水」との混合を行った。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(5) 次に、前記(4)の「当該混合物(リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物)と一定量の純水との混合後の混合液」に、更に一定量の純水を混合して、最終的な容量を200mLとした。
(6) 以上の操作により、下記の[1]〜[4]の計4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液を、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法に従って製造した。
なお、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計4種類)において、いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度は0.6mMである。
また、本重合体化合物の濃度は、前記(2)において本重合体化合物を2.0グラム量り取ってビーカーに添加したもののリパーゼ活性測定用基質溶液においては1.0%(w/v)であり、そして、本重合体化合物を4.0グラム量り取ってビーカーに添加したもののリパーゼ活性測定用基質溶液においては2.0%(w/v)である。
[1] リパーゼ活性測定用基質溶液−1(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−351A〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[2] リパーゼ活性測定用基質溶液−2(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−351A〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[3] リパーゼ活性測定用基質溶液−3(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−6011〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[4] リパーゼ活性測定用基質溶液−4(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−6011〔濃度:2.0%[w/v]〕)
〔2〕対照例の方法によるリパーゼ活性測定用基質溶液の製造
(1) リパーゼ活性測定用基質である、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、24個のビーカー(容量:10mL)のそれぞれに、0.09グラム[g]ずつ量り取った。
(2) 次に、下記の(c)〜(n)の12種類の界面活性剤(いずれも非イオン性界面活性剤)をそれぞれ2.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。また、下記の(c)〜(n)の12種類の界面活性剤(いずれも非イオン性界面活性剤)をそれぞれ4.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。
(c) NIKKOL BT−7 [ポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテル] (販売元:日光ケミカルズ株式会社[日本国])
(d) NIKKOL NP−7.5 [ポリオキシエチレン(7.5)ノニルフェニルエーテル] (販売元:日光ケミカルズ株式会社[日本国])
(e) エマルゲン 1108 [ポリオキシエチレン(8)アルキルエーテル] (販売元:花王株式会社[日本国])
(f) Triton X−100 [ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル] (販売元:和光純薬工業株式会社[日本国])
(g) Brij35 [ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル] (販売元:和光純薬工業株式会社[日本国])
(h) Triton X−405 [ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル] (販売元:シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社[日本国])
(i) Tween20 [ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]
(販売元:和光純薬工業株式会社[日本国])
(j) NIKKOL NP−15 [ポリオキシエチレン(15)ノニルフェニルエーテル] (販売元:日光ケミカルズ株式会社[日本国])
(k) エマルゲン B−66 [ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル] (販売元:花王株式会社[日本国])
(l) エマルゲン A−60 [ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル] (販売元:花王株式会社[日本国])
(m) Triton X−114 [ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル] (販売元:和光純薬工業株式会社[日本国])
(n) サンニックス GP−440 [ポリオキシプロピレングリセリルエーテル]
(製造元:三洋化成工業株式会社[日本国])
(3) 前記(2)の添加後、各々のビーカーを室温(25℃)において撹拌して、ビーカー内のリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と前記の各界面活性剤を混合した。
この混合(撹拌)を5分間行い、「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤の混合物」を調製した。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(4) 次に、前記(3)のビーカー内の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤の混合物」(全部)に、撹拌しながら「一定量(4.0mL)の純水」を室温(25℃)においてマイクロピペットより添加した。
そして、当該添加後、この撹拌を室温(25℃)にて5分間継続して行うことにより、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤を混合して調製した混合物」(全部)と、前記の「一定量(4.0mL)の純水」との混合を行った。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(5) 次に、前記(4)の「当該混合物(リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と界面活性剤の混合物)と一定量の純水との混合後の混合液」に、更に一定量の純水を混合して、最終的な容量を200mLとした。
(6) 以上の操作により、下記の[5]〜[28]の計24種類のリパーゼ活性測定用基質溶液を、対照例の方法によって製造した。
なお、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計24種類)において、いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度は0.6mMである。
また、各界面活性剤の濃度は、前記(2)において界面活性剤を2.0グラム量り取ってビーカーに添加したもののリパーゼ活性測定用基質溶液においては1.0%(w/v)であり、そして、界面活性剤を4.0グラム量り取ってビーカーに添加したもののリパーゼ活性測定用基質溶液においては2.0%(w/v)である。
[5] リパーゼ活性測定用基質溶液−5(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL BT−7〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[6] リパーゼ活性測定用基質溶液−6(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL BT−7〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[7] リパーゼ活性測定用基質溶液−7(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL NP−7.5〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[8] リパーゼ活性測定用基質溶液−8(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL NP−7.5〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[9] リパーゼ活性測定用基質溶液−9(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:エマルゲン 1108〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[10] リパーゼ活性測定用基質溶液−10(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:エマルゲン 1108〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[11] リパーゼ活性測定用基質溶液−11(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Triton X−100〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[12] リパーゼ活性測定用基質溶液−12(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Triton X−100〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[13] リパーゼ活性測定用基質溶液−13(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Brij35〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[14] リパーゼ活性測定用基質溶液−14(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Brij35〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[15] リパーゼ活性測定用基質溶液−15(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Triton X−405〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[16] リパーゼ活性測定用基質溶液−16(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Triton X−405〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[17] リパーゼ活性測定用基質溶液−17(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Tween20〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[18] リパーゼ活性測定用基質溶液−18(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Tween20〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[19] リパーゼ活性測定用基質溶液−19(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL NP−15〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[20] リパーゼ活性測定用基質溶液−20(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:NIKKOL NP−15〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[21] リパーゼ活性測定用基質溶液−21(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:エマルゲン B−66〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[22] リパーゼ活性測定用基質溶液−22(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:エマルゲン B−66〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[23] リパーゼ活性測定用基質溶液−23(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:エマルゲン A−60〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[24] リパーゼ活性測定用基質溶液−24(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:エマルゲン A−60〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[25] リパーゼ活性測定用基質溶液−25(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Triton X−114〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[26] リパーゼ活性測定用基質溶液−26(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:Triton X−114〔濃度:2.0%[w/v]〕)
[27] リパーゼ活性測定用基質溶液−27(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:サンニックス GP−440〔濃度:1.0%[w/v]〕)
[28] リパーゼ活性測定用基質溶液−28(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、界面活性剤:サンニックス GP−440〔濃度:2.0%[w/v]〕)
2.リパーゼ活性測定用基質溶液の観察及びエマルジョンのミセル径の測定
〔1〕リパーゼ活性測定用基質溶液の観察
(1)観察
本発明の方法により製造した前記1の〔1〕の(7)の[1]〜[4]の4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液、及び対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の[5]〜[28]の24種類のリパーゼ活性測定用基質溶液について、それぞれ目視で観察を行った。
(2)観察結果
前記(1)において目視により観察を行ったリパーゼ活性測定用基質溶液の観察結果を表3に示した。
なお、この表の「観察結果」の欄において、「○」は「濃度勾配、強い濁り及び発色のいずれも見られなかったもの」を示し、そして、「×(※3)」は「均質でないもの(リパーゼ活性測定用基質と界面活性剤が分離してしまっている、又は油層と水層とに分離してしまっている)」を示す。
Figure 0006603961
〔2〕リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径の測定
本発明の方法により製造した前記1の〔1〕の(7)の[1]〜[4]の4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液、並びに対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の[5]〜[14]、[17]〜[20]及び[23]〜[26]の18種類のリパーゼ活性測定用基質溶液について、それぞれのエマルジョンのミセル径を測定した。
なお、対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の[15]、[16]、[21]、[22]、[27]及び[28]の6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液は、観察結果を示した表3より分かるように、いずれも、「均質でないもの(リパーゼ活性測定用基質と界面活性剤が分離してしまっている、又は油層と水層とに分離してしまっている)」であり、リパーゼ活性の測定に適さないことが明白であるので、エマルジョンのミセル径の測定は行わなかった。
(1)エマルジョンのミセル径の測定
本発明の方法により製造した前記1の〔1〕の(7)の[1]〜[4]の4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液、並びに対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の[5]〜[14]、[17]〜[20]及び[23]〜[26]の18種類のリパーゼ活性測定用基質溶液について、前記実施例2の2の(1)の(i)〜(ii)の記載の通りに操作を行い、各リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の測定を行った。
(2)測定結果
前記(1)において測定した各リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)も前記の表3に示した。
なお、この表3において、これらの各リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の値は平均値の値を示す。
また、この表の「エマルジョンのミセル径(粒子径)」の欄には、リパーゼ活性測定用基質溶液のエマルジョンのミセル径(粒子径)の測定値を示すが、測定に使用した前記の動的光散乱式粒子径分布測定装置(型式:Nanotrac UPA−EX250)におけるミセル径(粒子径)の測定下限が10nmであるので、測定の結果この測定下限未満であることが表示されたものについては「10nm未満」と示した。
3.考察
〔1〕本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液
表3より、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法に従って製造した4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液(リパーゼ活性測定用基質溶液−1〜リパーゼ活性測定用基質溶液−4)のいずれにおいても、濃度勾配や強い濁りや発色は見られず、このような問題のないことが分かる。
また、この表3より、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法に従って製造した4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液(リパーゼ活性測定用基質溶液−1〜リパーゼ活性測定用基質溶液−4)においては、いずれもそのエマルジョンのミセル径(粒子径)が100nm〜200nmの範囲にあることが分かる。
すなわち、前記の通り、ミセル径(粒子径)が測定されたことより、これらの4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液はいずれも、ミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質溶液を形成していることが分かる。
そして、これらの4種類のリパーゼ活性測定用基質溶液はいずれも、リパーゼとの反応の速度が高く、エマルジョンが安定であり、リパーゼ活性測定用基質溶液を長期間保存・使用できる60nm〜1,500nmの範囲にそのエマルジョンのミセル径(粒子径)があることが分かる。
以上のことからも、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及びリパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法、並びにこれらの方法に従って製造したリパーゼ活性測定用基質溶液は、次の(i)〜(iii)の特徴を有するものであることが再度確かめられた。
(i) 従来の方法のようにリパーゼ活性測定用基質をアルコールなどの有機溶媒を含む溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を滴々と滴下して溶液に混合したり、リパーゼ活性測定用基質含有液を溶液に噴射注入したり、リパーゼ活性測定用基質溶液を強力なミキサーで高速に撹拌したり、又はリパーゼ活性測定用基質溶液に超音波を掛ける処理を行ったり等の煩雑な若しくは熟練を要する等の特別な処理や特別な装置等が必要ないものであること。
(ii) 一般的なミキサーを用いて一般的な速度で撹拌する等、簡便、短時間、かつ低コストにより、リパーゼ活性測定用基質溶液を製造することが可能であり、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を簡略化することができるものであること。
(iii) 製造されるリパーゼ活性測定用基質溶液が、試料中のリパーゼ活性の測定に適したものであること。
〔2〕対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液
表3より、対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の[15]、[16]、[21]、[22]、[27]及び[28]の6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液は、いずれも、「均質でないもの(リパーゼ活性測定用基質と界面活性剤が分離してしまっている、又は油層と水層とに分離してしまっている)」であり、リパーゼ活性の測定に不適であることが分かる。
また、この表3より、対照例の方法により製造した前記1の〔2〕の(7)の[5]〜[14]、[17]〜[20]及び[23]〜[26]の18種類のリパーゼ活性測定用基質溶液は、いずれも、そのエマルジョンのミセル径(粒子径)の測定結果が測定下限未満、すなわち「10nm未満」であったので、ミセル粒子からなるエマルジョン化したリパーゼ活性測定用基質溶液を形成していないことが分かる。
よって、これらの対照例の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液[計24種類]はいずれも、試料中のリパーゼ活性の測定に適したものでないことが分かる。
〔実施例4〕
(試料中のリパーゼ活性の測定)
本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を使用して、試料中のリパーゼ活性の測定を行った。
1.測定試薬
〔1〕本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び当該基質溶液の製造の簡略化方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液からなる第2試薬、及び当該第2試薬に対応する第1試薬よりなるリパーゼ活性測定試薬(リパーゼ活性測定試薬キット)を製造した。
(1)第1試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH8.4(20℃)に調整して、第1試薬を調製した。
デオキシコール酸ナトリウム [リパーゼ賦活化剤] 2%(w/v)
塩化カルシウム [リパーゼ活性化剤] 5mM
コリパーゼ (ブタ膵臓由来、販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国]) 375K単位/L(5mg/L)
Bicine [緩衝剤] 40mM
(2)第2試薬
本発明の方法により製造した、前記の実施例1の2の(7)の(a)〜(f)の6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液[いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕濃度:0.6mM、本重合体化合物濃度:2.0%(w/v)](下に記載)を、それぞれ第2試薬として使用した。
(a) リパーゼ活性測定用基質溶液−a(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−351A)
(b) リパーゼ活性測定用基質溶液−b(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−354L)
(c) リパーゼ活性測定用基質溶液−c(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−355A)
(d) リパーゼ活性測定用基質溶液−d(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−6011)
(e) リパーゼ活性測定用基質溶液−e(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−34)
(f) リパーゼ活性測定用基質溶液−f(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−44)
〔2〕対照市販試薬
市販のリパーゼ活性測定試薬(リパーゼ活性測定試薬キット)である「リキテック リパーゼ カラー II」(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、対照として用いた。
なお、この「リキテック リパーゼ カラー II」[以下、「対照市販試薬」ということがある]は、第1試薬である「緩衝液」、及び第2試薬である「基質液」(DGGMRをリパーゼ活性測定用基質として含む)よりなるものである。
2.試料
下の「(1)標準物質」、「(2)管理血清−1」、「(3)管理血清−2」及び「(4)管理血清−3」をそれぞれ試料として用いた。
(1)標準物質
市販の標準物質である「常用参照標準物質 JSCC常用酵素 (JCCLS CRM−001)」(製造番号:001b、販売元:一般社団法人検査医学標準物質機構[日本国])を、「標準物質」として用いた。
(2)管理血清−1
市販の精度管理用管理血清である「Aalto Control I G」(販売元:株式会社シノテスト[日本国])を、「管理血清−1」として用いた。
(3)管理血清−2
精度管理用管理血清である「Aalto Control II」の「試作品」(株式会社シノテスト[日本国])を、「管理血清−2」として用いた。
(4)管理血清−3
市販の精度管理用管理血清である「Aalto Control CRPII U」(販売元:株式会社シノテスト[日本国])を、「管理血清−3」として用いた。
3.試料中のリパーゼ活性の測定
前記2の各試料のリパーゼ活性の測定を、それぞれ下記の通り行った。
〔1〕本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬による測定
本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液からなる第2試薬、及び当該第2試薬に対応する第1試薬よりなるリパーゼ活性測定試薬(リパーゼ活性測定試薬キット)を使用して、7180形汎用自動分析装置(販売元:株式会社日立ハイテクノロジーズ[日本国])により、前記2の各試料のリパーゼ活性の測定を行った。
(1)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−aを用いた場合
(a) 前記の7180形汎用自動分析装置において、前記2のそれぞれの試料(「(1)標準物質」、「(2)管理血清−1」、「(3)管理血清−2」及び「(4)管理血清−3」)について、これらの試料の2.6μLに、それぞれ前記1の〔1〕の(1)の「第1試薬」の160μLを第1試薬として添加し、37℃で反応させた。
(b) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の〔1〕の(2)の(a)の「リパーゼ活性測定用基質溶液−a」の96μLを第2試薬として添加し、37℃で反応させた。
(c) 次に、30ポイント(第1試薬添加後516.049秒)から34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)に掛けての吸光度変化量を主波長570nm、副波長700nmにて測定した。(試料中に含まれていたリパーゼの活性値に応じて生成する6’−メチルレゾルフィンの濃度増加に基づく吸光度変化量の測定)
(d) なお、較正(キャリブレーション)のための較正物質(キャリブレーター)として、「自動分析用キャリブレーターII(C.f.a.s.II)」(製造番号:158688、販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を用いた。
この「自動分析用キャリブレーターII(C.f.a.s.II)」を試料とすること以外は、前記(a)〜(c)の記載の通りに操作を行い、較正物質である「自動分析用キャリブレーターII(C.f.a.s.II)」を測定したときの吸光度変化量を測定した。(当該較正物質に含まれているリパーゼの活性値[既知値]に応じて生成する6’−メチルレゾルフィンの濃度増加に基づく吸光度変化量の測定)
(e) また、試薬盲検(試薬ブランク)の測定のため、生理食塩水を用いた。
この生理食塩水を試料とすること以外は、前記(a)〜(c)の記載の通りに操作を行い、生理食塩水を測定したときの吸光度変化量を測定した。(試薬盲検の吸光度変化量の測定)
(f) 次に、前記(c)において求めた前記2のそれぞれの試料についての当該ポイント間の吸光度変化量から、前記(e)において求めた当該ポイント間の試薬盲検の吸光度変化量を差し引いて、「試料の吸光度変化量差の値」を求めた。
また、前記(d)において求めた較正物質(リパーゼ活性値が既知)についての当該ポイント間の吸光度変化量から、前記(e)において求めた当該ポイント間の試薬盲検の吸光度変化量を差し引いて、「較正物質の吸光度変化量差の値」を求めた。
次に、前記の「試料の吸光度変化量差の値」と、「較正物質の吸光度変化量差の値」と、既知である「較正物質のリパーゼ活性値」とを対比し、比例計算を行うことにより、前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(2)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−bを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−aからリパーゼ活性測定用基質溶液−b[前記1の〔1〕の(2)の(b)]に替えること、及び前記(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「24ポイント(第1試薬添加後411.887秒)から28ポイント(第1試薬添加後480.360秒)」に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−bを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(3)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−cを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−aからリパーゼ活性測定用基質溶液−c[前記1の〔1〕の(2)の(c)]に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−cを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(4)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−dを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−aからリパーゼ活性測定用基質溶液−d[前記1の〔1〕の(2)の(d)]に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−dを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(5)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−eを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−aからリパーゼ活性測定用基質溶液−e[前記1の〔1〕の(2)の(e)]に替えること、及び前記(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「23ポイント(第1試薬添加後394.043秒)から27ポイント(第1試薬添加後462.516秒)」に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−eを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(6)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−fを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−aからリパーゼ活性測定用基質溶液−f[前記1の〔1〕の(2)の(f)]に替えること、及び前記(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「19ポイント(第1試薬添加後322.665秒)から23ポイント(第1試薬添加後394.043秒)」に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−fを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
〔2〕対照市販試薬による測定
対照市販試薬を使用して、7180形汎用自動分析装置(販売元:株式会社日立ハイテクノロジーズ[日本国])により、前記2の各試料のリパーゼ活性の測定を行った。
すなわち、前記〔1〕の(1)の(a)における第1試薬を「第1試薬」から「対照市販試薬」の「緩衝液」[前記1の〔2〕]に替えること、前記〔1〕の(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−aから「対照市販試薬」の「基質液」[前記1の〔2〕]に替えること、及び前記〔1〕の(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「21ポイント(第1試薬添加後358.354秒)から25ポイント(第1試薬添加後429.732秒)」に替えること以外は、前記〔1〕の(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、対照市販試薬を使用した場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
4.測定結果
前記3の〔1〕及び〔2〕において測定し、求めた前記2の各試料のリパーゼ活性値を表4に示した。
なお、この表4において示した各試料のリパーゼ活性値の単位は、単位/L(Unit/L)である。
Figure 0006603961
5.考察
表4より、本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を使用して求めた試料中のリパーゼ活性値の測定結果(測定値)は、6種類のリパーゼ活性測定用基質溶液(リパーゼ活性測定用基質溶液−a〜リパーゼ活性測定用基質溶液−f)のいずれを用いた場合であっても、対照市販試薬を使用して求めたリパーゼ活性値の測定結果(測定値)とほぼ同様の値であることが分かる。
このことより、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び製造の簡略化方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液は、試料中のリパーゼ活性を正確に測定することができるものであることが確かめられた。
すなわち、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び製造の簡略化方法においては、簡便、短時間かつ低コストによりリパーゼ活性測定用基質溶液を製造することが可能になるとともに、当該基質溶液により試料中のリパーゼ活性の正確な測定結果(測定値)を提供することができることが確かめられた。
〔実施例5〕
(試料中のリパーゼ活性の測定の相関)
本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を使用して試料中のリパーゼ活性の測定を行い、また、対照市販試薬を使用して同一試料のリパーゼ活性の測定を行い、これらの相関を確認した。
1.測定試薬
〔1〕本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び当該基質溶液の製造の簡略化方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液からなる第2試薬、及び当該第2試薬に対応する第1試薬よりなるリパーゼ活性測定試薬(リパーゼ活性測定試薬キット)を使用した。
[1]第1試薬
第1試薬として、前記の実施例4の1の〔1〕の(1)の「第1試薬」を使用した。
[2]第2試薬
本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び当該基質溶液の製造の簡略化方法により、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造を行った。
(1) 本発明におけるリパーゼ活性測定用基質である、1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステル 〔DGGMR〕(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を、5個のビーカー(容量:10mL)のそれぞれに、0.09グラム[g]ずつ量り取った。
(2) 次に、下記の(a)〜(c)の3種類の側鎖型の非反応性の変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性タイプ)、及び下記の(d)〜(e)の2種類のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物をそれぞれ4.0グラム[g]ずつ量り取り、これを1種類ごとにそれぞれ異なる前記(1)のビーカーに添加した。
(a) KF−351A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(b) KF−354L (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(c) KF−355A (販売元:信越化学工業株式会社[日本国])
(d) プルロニック L−34 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(e) プルロニック L−44 (販売元:株式会社ADEKA[日本国])
(3) 前記(2)の添加後、各々のビーカーを、67℃の温度に設定した恒温水槽(型式:BK−33、販売元:ヤマト科学株式会社[日本国])に入れ、これを撹拌して、ビーカー内のリパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を67℃で混合した。なお、水槽の温度は水銀温度計で測定し、確認した。
この67℃での混合(撹拌)を5分間行い、「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」を調製した。
なお、当該撹拌は、前記のビーカーを前記の67℃の温度の水槽中でスターラー(リモートドライブ電磁スターラー、型式:HP40107、販売元:株式会社三商[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのスターラーのコントロールユニットの目盛り「3」で回転させることにより行った。
(4) 次に、前記(3)の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物」の全部をビーカー内よりマイクロピペットにより吸い取り、別のビーカー(容量:10mL)中で予め20℃としておいた「一定量(4.0mL)の純水」に、撹拌しながら当該混合物の全部(全量)をこのマイクロピペットより添加した。
そして、当該添加後、この撹拌を室温(25℃)にて5分間継続して行うことにより、前記の「リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物を混合して調製した混合物」(全部)と、前記の「一定量(4.0mL)の純水」との混合を行った。
なお、この撹拌は、前記のビーカーをマルチスターラー(型式:M−3、販売元:アズワン株式会社[日本国])の上に載せ、このビーカー内の回転子をこのマルチスターラーの目盛り「3」で回転させることにより行った。
また、前記のビーカー中の「一定量(4.0mL)の純水」の温度は水銀温度計で測定することにより20℃であることを確認しておいた。
(5) 次に、前記(4)の「当該混合物(リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕と本重合体化合物の混合物)と一定量の純水との混合後の混合液」に、更に一定量の純水を混合して、最終的な容量を200mLとした。
(6) 以上の操作により、下記の(i)〜(v)の計5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液を、本発明の製造方法及び製造の簡略化方法によって製造した。
なお、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計5種類)において、いずれも、リパーゼ活性測定用基質〔DGGMR〕の濃度は0.6mMであり、本重合体化合物の濃度は2.0%(w/v)である。
また、これらのリパーゼ活性測定用基質溶液(計5種類)のいずれにも、濃度勾配や強い濁り等は見られず、それぞれ均質に混合されていることを目視にて確認した。
(i) リパーゼ活性測定用基質溶液−i(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−351A)
(ii) リパーゼ活性測定用基質溶液−ii(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−354L)
(iii) リパーゼ活性測定用基質溶液−iii(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:KF−355A)
(iv) リパーゼ活性測定用基質溶液−iv(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−34)
(v) リパーゼ活性測定用基質溶液−v(リパーゼ活性測定用基質:DGGMR、本重合体化合物:プルロニック L−44)
〔2〕対照市販試薬
対照市販試薬として、前記の実施例4の1の〔2〕における市販のリパーゼ活性測定試薬「リキテック リパーゼ カラー II」(販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を使用した。
2.試料
下の「(1)標準物質」、「(2)管理血清−1」、「(3)管理血清−2」、「(4)管理血清−3」、「(5)プール血清」、及び「(6)ヒト血清」をそれぞれ試料として用いた。
(1)標準物質
市販の標準物質である「常用参照標準物質 JSCC常用酵素 (JCCLS CRM−001)」(製造番号:001b、販売元:一般社団法人検査医学標準物質機構[日本国])を、「標準物質」として用いた。
(2)管理血清−1
市販の精度管理用管理血清である「Aalto Control I G」(販売元:株式会社シノテスト[日本国])を、「管理血清−1」として用いた。
(3)管理血清−2
精度管理用管理血清である「Aalto Control II」の「試作品」(株式会社シノテスト[日本国])を、「管理血清−2」として用いた。
(4)管理血清−3
市販の精度管理用管理血清である「Aalto Control CRPII U」(販売元:株式会社シノテスト[日本国])を、「管理血清−3」として用いた。
(5)プール血清
複数のヒト血清を混合したものを、「プール血清」として用いた。
(6)ヒト血清
ヒト血清(計50検体)を、「ヒト血清」として用いた。
3.試料中のリパーゼ活性の測定
前記2の各試料のリパーゼ活性の測定を、それぞれ下記の通り行った。
〔1〕本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬による測定
本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液からなる第2試薬、及び当該第2試薬に対応する第1試薬よりなるリパーゼ活性測定試薬(リパーゼ活性測定試薬キット)を使用して、7180形汎用自動分析装置(販売元:株式会社日立ハイテクノロジーズ[日本国])により、前記2の各試料のリパーゼ活性の測定を行った。
(1)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−iを用いた場合
(a) 前記の7180形汎用自動分析装置において、前記2のそれぞれの試料(「(1)標準物質」、「(2)管理血清−1」、「(3)管理血清−2」、「(4)管理血清−3」、「(5)プール血清」、及び「(6)ヒト血清」)について、これらの試料の2.6μLに、それぞれ前記1の〔1〕の[1]の「第1試薬」の160μLを第1試薬として添加し、37℃で反応させた。
(b) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の〔1〕の[2]の(7)の(i)の「リパーゼ活性測定用基質溶液−i」の96μLを第2試薬として添加し、37℃で反応させた。
(c) 次に、30ポイント(第1試薬添加後516.049秒)から34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)に掛けての吸光度変化量を主波長570nm、副波長700nmにて測定した。(試料中に含まれていたリパーゼの活性値に応じて生成する6’−メチルレゾルフィンの濃度増加に基づく吸光度変化量の測定)
(d) なお、較正(キャリブレーション)のための較正物質(キャリブレーター)として、「自動分析用キャリブレーターII(C.f.a.s.II)」(製造番号:158688、販売元:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[日本国])を用いた。
この「自動分析用キャリブレーターII(C.f.a.s.II)」を試料とすること以外は、前記(a)〜(c)の記載の通りに操作を行い、較正物質である「自動分析用キャリブレーターII(C.f.a.s.II)」を測定したときの吸光度変化量を測定した。(当該較正物質に含まれているリパーゼの活性値[既知値]に応じて生成する6’−メチルレゾルフィンの濃度増加に基づく吸光度変化量の測定)
(e) また、試薬盲検(試薬ブランク)の測定のため、生理食塩水を用いた。
この生理食塩水を試料とすること以外は、前記(a)〜(c)の記載の通りに操作を行い、生理食塩水を測定したときの吸光度変化量を測定した。(試薬盲検の吸光度変化量の測定)
(f) 次に、前記(c)において求めた前記2のそれぞれの試料についての当該ポイント間の吸光度変化量から、前記(e)において求めた当該ポイント間の試薬盲検の吸光度変化量を差し引いて、「試料の吸光度変化量差の値」を求めた。
また、前記(d)において求めた較正物質(リパーゼ活性値が既知)についての当該ポイント間の吸光度変化量から、前記(e)において求めた当該ポイント間の試薬盲検の吸光度変化量を差し引いて、「較正物質の吸光度変化量差の値」を求めた。
次に、前記の「試料の吸光度変化量差の値」と、「較正物質の吸光度変化量差の値」と、既知である「較正物質のリパーゼ活性値」とを対比し、比例計算を行うことにより、前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(2)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−iiを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−iからリパーゼ活性測定用基質溶液−ii[前記1の〔1〕の[2]の(7)の(ii)]に替えること、及び前記(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「24ポイント(第1試薬添加後411.887秒)から28ポイント(第1試薬添加後480.360秒)」に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−iiを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(3)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−iiiを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−iからリパーゼ活性測定用基質溶液−iii[前記1の〔1〕の[2]の(7)の(iii)]に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−iiiを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(4)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−ivを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−iからリパーゼ活性測定用基質溶液−iv[前記1の〔1〕の[2]の(7)の(iv)]に替えること、及び前記(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「23ポイント(第1試薬添加後394.043秒)から27ポイント(第1試薬添加後462.516秒)」に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−ivを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
(5)第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−vを用いた場合
前記(1)の(b)における第2試薬をリパーゼ活性測定用基質溶液−iからリパーゼ活性測定用基質溶液−v[前記1の〔1〕の[2]の(7)の(v)]に替えること、及び前記(1)の(c)における吸光度変化量を測定するポイント(ポイント間)を「30ポイントから34ポイント」より「19ポイント(第1試薬添加後322.665秒)から23ポイント(第1試薬添加後394.043秒)」に替えること以外は、前記(1)の(a)〜(f)の記載の通りに操作を行い、第2試薬にリパーゼ活性測定用基質溶液−vを用いた場合の前記2の各試料のリパーゼ活性値を求めた。
〔2〕対照市販試薬による測定
対照市販試薬を使用して、7180形汎用自動分析装置(販売元:株式会社日立ハイテクノロジーズ[日本国])により、前記2の各試料のリパーゼ活性の測定を行った。
すなわち、前記2の(1)〜(6)の各試料のリパーゼ活性の測定を、前記1の〔2〕の「対照市販試薬」の「緩衝液」(第1試薬)及び「基質液」(第2試薬)を使用して、前記の実施例4の3の〔2〕に記載の方法に従って操作を行い、当該各試料のリパーゼ活性値を求めた。
4.測定結果
(1)相関の図
前記3の〔1〕における各試料のリパーゼ活性値の測定結果(測定値)と、前記3の〔2〕における各試料のリパーゼ活性値の測定結果(測定値)とを、これらの相関の図として図1に示した。
なお、本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液として、リパーゼ活性測定用基質溶液−iを用いた場合の相関の図を図1の[1]として、リパーゼ活性測定用基質溶液−iiを用いた場合の相関の図を図1の[2]として、リパーゼ活性測定用基質溶液−iiiを用いた場合の相関の図を図1の[3]として、リパーゼ活性測定用基質溶液−ivを用いた場合の相関の図を図1の[4]として、そして、リパーゼ活性測定用基質溶液−vを用いた場合の相関の図を図1の[5]として示した。
なお、これらの図1の[1]〜[5]において、横軸(x)は前記3の〔2〕における対照市販試薬による各試料のリパーゼ活性値の測定結果(測定値)を表す。この測定値の単位は、単位/L(Unit/L)である。
また、これらの図1の[1]〜[5]において、縦軸(y)は前記3の〔1〕における「本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬」による各試料のリパーゼ活性値の測定結果(測定値)を表す。この測定値の単位は、単位/L(Unit/L)である。
そして、これらの図1の[1]〜[5]において、「標準物質」の試料を「△」で示し、「管理血清−1」の試料を「○」で示し、「管理血清−2」の試料を「□」で示し、「管理血清−3」の試料を「●」で示し、「プール血清」の試料を「◇」で示し、そして、「ヒト血清」(計50検体)の試料をそれぞれ「◆」で示した。
(2)相関の回帰式
前記3の〔1〕における「本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を含む測定試薬」による測定結果(測定値)と、前記3の〔2〕における対照市販試薬による測定結果(測定値)との相関の回帰式及び相関係数を以下に示す。[なお、これらの相関の回帰式における「x」及び「y」は前記(1)に記載した通りである。]
[1] 本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液として、リパーゼ活性測定用基質溶液−iを用いた場合 相関の回帰式:y=1.205x−7.999、相関係数R:0.9795
[2] 本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液として、リパーゼ活性測定用基質溶液−iiを用いた場合 相関の回帰式:y=1.136x−10.04、相関係数R:0.9892
[3] 本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液として、リパーゼ活性測定用基質溶液−iiiを用いた場合 相関の回帰式:y=1.041x+1.756、相関係数R:0.9953
[4] 本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液として、リパーゼ活性測定用基質溶液−ivを用いた場合 相関の回帰式:y=1.1739x−11.93、相関係数R:0.9861
[5] 本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液として、リパーゼ活性測定用基質溶液−vを用いた場合 相関の回帰式:y=1.1065x−5.760、相関係数R:0.9980
5.考察
図1の[1]〜[5]、並びに前記4の(2)に記載した相関の回帰式及び相関係数の値より、本発明の方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液を使用して求めた試料中のリパーゼ活性値の測定結果(測定値)は、5種類のリパーゼ活性測定用基質溶液のいずれを用いた場合であっても、対照市販試薬を使用して求めたリパーゼ活性値の測定結果(測定値)と良好な相関性を示すことが分かる。
このことより、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び製造の簡略化方法により製造したリパーゼ活性測定用基質溶液は、試料中のリパーゼ活性を正確に測定することができるものであることが確かめられた。
すなわち、本発明のリパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法及び製造の簡略化方法においては、簡便、短時間かつ低コストによりリパーゼ活性測定用基質溶液を製造することが可能になるとともに、当該基質溶液により試料中のリパーゼ活性の正確な測定結果(測定値)を提供することができることが確かめられた。

Claims (2)

  1. 1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法であって、
    (1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を直接混合し混合物を調製する工程;及び
    (2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造方法。
  2. 1,2−o−ジラウリル−rac−グリセロ−3−グルタル酸−(6’−メチルレゾルフィン)−エステルをリパーゼ活性測定用基質として含む、試料中のリパーゼ活性の測定に使用するための基質溶液を製造する方法において、
    (1) 当該リパーゼ活性測定用基質と、側鎖型の非反応性のポリエーテル変性タイプの変性シリコーンオイル又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン縮合物を直接混合し混合物を調製する工程;及び
    (2) 前記(1)の混合物の全部又は一部を、水又は水溶液と混合する工程、を含むことを特徴とする、リパーゼ活性測定用基質溶液の製造の簡略化方法。
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