JPH082317B2 - ヒト膵リパーゼ活性の測定方法 - Google Patents

ヒト膵リパーゼ活性の測定方法

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JPH082317B2
JPH082317B2 JP1728687A JP1728687A JPH082317B2 JP H082317 B2 JPH082317 B2 JP H082317B2 JP 1728687 A JP1728687 A JP 1728687A JP 1728687 A JP1728687 A JP 1728687A JP H082317 B2 JPH082317 B2 JP H082317B2
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【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は微量のヒト膵リパーゼ活性を効率よく測定
するためのヒト膵リパーゼ活性の測定方法、更に詳しく
は透明なトリグリセライド基質溶液を用いたヒト膵リパ
ーゼ活性の測定方法に関するものである。
〈従来の技術と発明が解決しようとする問題点〉 リパーゼは動物、植物を問わず自然界に広く分布して
いる酵素であり、その活性を測定する目的も多岐に渡っ
ているが、臨床的見地からは、急性膵炎、膵臓癌等の膵
臓疾患の早期発見のために特に重要である。
リパーゼの測定法には種々あるが、従来臨床的に使用
されている方法は次の2方法である。
(1)比濁法 トリグリセライド、主としてオリーブ油、または高級
脂肪酸のグリセロールエステルの懸濁液を基質として酵
素反応をさせ、その濁りの減少を吸光度で測定する方法
である。しかしこの方法は、濁りの減少とリパーゼ活
性が必ずしも一致せず乳化検体では吸光度が逆に上昇す
る試料があったりすること、濁りの減少を測定してリ
パーゼ活性を算出するのは酵素の間接的測定方法である
こと、リパーゼ活性が低い場合は感度が悪く、また再
現性も良くないこと等の欠点がある。
(2)トリグリセライド以外の人工(合成)基質を使用
する方法 例えば、モノグリセライド、1,2−ジグリセライド、
p−ニトロフェノールラウリン酸エステル、三酪酸ジメ
チルカプロール、α−ナフチルパルミテート等の脂肪酸
誘導体、あるいはアルコール誘導体とのエステルを基質
として使用するものである。しかし、これらの人工(合
成)基質中、非水溶性の物質には前記(1)の欠点の他
に、これらの人工基質はリパーゼ以外のエステラーゼに
よっても加水分解されてしまうという基質特異性に問題
があり、また水溶性の物質にも、前記(1)の欠点は解
消されているものの、依然としてリパーゼ以外のエステ
ラーゼによっても加水分解されてしまうという基質特異
性の問題は残っている。
そこで発明者等は、リパーゼの定義が第一に長鎖の
トリグリセライドを加水分解する酵素であることを重視
して、基質としてはトリグリセライドを使用すること、
濁り(基質)の減少を測定するのではなく、トリグリ
セライドがリパーゼにより加水分解して生成した脂肪酸
またはグリセロールを直接測定すること、臨床検査に
使用できる簡便な測定方法であること等を考慮して鋭意
研究した結果本発明を完成した。
〈問題を解決するための手段〉 本願は次の(1)及び(2)の請求項から構成されて
いる。
(1)検体中のヒト膵リパーゼ活性を測定するに際し、
下記の、又はの基質溶液に検体を加えて遊離する脂
肪酸、あるいはグリセロールを吸光度測定方法によって
検出し、検体中のリパーゼ活性を求めることを特徴とす
るヒト膵リパーゼ活性の測定方法。
脂肪酸の炭素数が12〜22個であるトリグリセライド
を、HLB10〜16のポリオキシエチレン誘導体である非イ
オン界面活性剤を含む水溶液に加え、攪拌しながら加熱
し、非イオン界面活性剤水溶液の曇点以上に温度を上
げ、攪拌を続けながら曇点以下に冷却して得た透明なト
リグリセライド水溶液に、少なくとも、リパーゼ機能促
進物質であるコリパーゼ及び/または胆汁酸塩を添加し
た基質溶液。
脂肪酸の炭素数が12〜22個であるトリグリセライド
を、HLB10〜16のポリオキシエチレン誘導体である非イ
オン界面活性剤を含む水溶液に加え、更にビルダーを添
加して非イオン界面活性剤水溶液の曇点を室温まで低下
させ、攪拌を続けながら蒸留水または緩衝液で希釈して
得た透明なトリグリセライド水溶液に、少なくとも、リ
パーゼ機能促進物質であるコリパーゼ及び/または胆汁
酸塩を添加した基質溶液。
(2)遊離するグリセロールを検出するときは、反応系
にモノグリセライドリパーゼを更に存在させることを特
徴とする請求項(1)に記載するヒト膵リパーゼ活性の
測定方法。
従来、トリグリセライドを均一かつ可溶(透明)化水
溶液とする方法は、「非水溶性物質の可溶化水溶液の製
造方法」として特公昭59-39168号公報(特許第127160
号)が公表されているが、この方法により得られたトリ
グリセライドの透明水溶液を、前記した欠点を全て解消
したリパーゼ(ヒト膵リパーゼ活性)測定用の基質とし
て利用するのは本願が最初であり、またこの透明水溶液
のトリグリセライドからリパーゼにより遊離する脂肪
酸、またはグリセロールを直接定量してリパーゼ活性を
測定するのは本発明が最初である。
本発明に使用されるトリグリセライドは脂肪酸と3価
のアルコールであるグリセロールとのエステルであり、
グリセロールの水酸基が3個脂肪酸によりエステル化さ
れたもので 一般式 で表わされ、RCOOH,R′COOH,R″COOHは、同一または
異なった脂肪酸を示す。
本発明に使用される脂肪酸の種類を次に示す。
(1)飽和脂肪酸 ラウリン酸C11H23COOH ミリスチン酸C13H27COOH パルミチン酸C15H31COOH ステアリン酸C17H35COOH アラキン酸C19H39COOH ベヘン酸C21H43COOH (2)不飽和脂肪酸 リンデル酸C12H22O2 ラウロレイン酸C12H22O2 ツヅ酸C14H26O2 フィセトレイン酸C14H26O2 ミリストレイン酸C14H26O2 パルミトオレイン酸C16H30O2 ペトロセリン酸C18H34O2 オレイン酸C18H34O2 エライジン酸C18H34O2 バクセン酸C18H34O2 リノール酸C18H32O2 リノレン酸C18H30O2 α−エレオステアリン酸C18H30O2 β−エレオステアリン酸C18H30O2 プニカ酸C18H30O2 パリナリン酸C18H28O2 カドレイン酸C20H38O2 セトレイン酸C22H42O2 エルカ酸C22H42O2 アラキドン酸C20H32O2 等が挙げられる。
そして、R,R′,R″がこれら脂肪酸によりエステル化
されたトリグリセライドとしては次のものが例としてあ
げられる。
トリラウレイン(結合脂肪酸の炭素数12,12,12), トリデカノイン(13,13,13), トリミリスチン,(14,14,14), トリペンタデカノイン(15,15,15), トリパルミチン(16,16,16), トリマーガリン(17,17,17), トリステアリン(18,18,18), トリノオナデカノイン(19,19,19), トリオレイン(18,18,18), トリライデン(18,18,18), トリリノレイン(18,18,18), トリリノレニン(18,18,18), トリエルシン(22,22,22), トリブラシジン(22,22,22), 1−ラウロディミリスチン(12,14,14), 1−ミリストディパルミチン(14,16,16,), 1−パルミトディステアリン(16,18,18), 1−ステアロディパルミチン(16,16,18), 2−ステアロディパルミチン(16,18,16), 2−パルミトディステアリン(18,16,18), 1−オレオディステアリン(18,18,18), 1−リノレオディステアリン(18,18,18), 2−オレオディステアリン(18,18,18), 1−ステアロディオレイン(18,18,18), 1−ステアロディリノレイン(18,18,18), 1−ステアロ−2ミリスト−3パルミチン(18,14,1
6), 1−ステアロ−2パルミト−3ミリスチン(18,16,1
4), 1ラウロ−2ミリスト−3パルミチン(12,14,16)。
このうち、ヒトのリパーゼを測定しようとする場合、
その基質としては、生体中に多く含まれる脂肪酸を含む
トリグリセライドが望ましく、その例としてはミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン
酸、オレイン酸、リノール酸等であり、中でも天然に最
も広く最も大量に存在する脂肪酸であり、ヒト生体内で
も一番多いとされているオレイン酸を含むトリグリセラ
イドは好ましい基質である。
又本発明に使用される界面活性剤は非イオン界面活性
剤であり、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンス
テアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリ
オキシエチレン高級アルコール等のポリオキシエチレン
の誘導体が挙げられ、そのHLBは10〜16の間のものが適
当である。
中でもポリオキシエチレン高級アルコール(HLB10〜1
6)はリパーゼ反応に最適なものとして選ばれる。
本発明によればまず非イオン界面活性剤を蒸溜水ある
いは緩衝液に溶解し非イオン界面活性剤の曇点以上に加
熱しトリグリセライドを加え攪拌を続けながら溶解する
という方法をとる。
また場合により非イオン界面活性剤を蒸留水、あるい
は緩衝液に溶解し、更にリパーゼ反応に影響の無いビル
ダーを添加しトリグリセライドを加え、室温にて攪拌を
続け最後に蒸溜水あるいは緩衝液で希釈して透明な液を
得ることもできる。
この際、過剰の非イオン界面活性剤はリパーゼ反応を
阻害する場合もあるので、蒸溜水100重量%に対し、非
イオン界面活性材5〜25重量%、トリオレイン0.05〜0.
5重量%の割合で使用することが望ましい。
本発明の可溶化したトリグリセライドのリパーゼ反応
は、pH6.5〜9.0の範囲で反応させることが好ましく、緩
衝液として例えばクエン酸−リン酸ナトリウム緩衝液、
イミダゾール塩酸緩衝液、トリエタノールアミン塩酸−
水酸化ナトリウム緩衝液、トリス緩衝液、グリシルグリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液、ジエタノールアミン−
塩酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、2,4,6−トリメチルピリジ
ン−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、グッドの緩衝液等を5m
Mから300mMぐらいの濃度で使用するのが好ましい。
更に本発明では胆汁酸、コリパーゼが必須であり、胆
汁酸塩としてコール酸、デオキシコール酸、リトコール
酸、グリココールレ酸、タウロコール酸等の塩を基質液
中に1mM〜100mMの範囲で、又コリパーゼを50U/テスト以
上添加すると効果的である。
また必要に応じ塩化カルシウムを1mM〜80mMおよび塩
化ナトリウムを5mM〜500mMの割合で基質反応液中に添加
すると一層効果的である。
このようにして得られた本発明リパーゼ測定用試薬
は、リパーゼ活性を測定する試薬として非常に有効で安
定な組成物である。
本発明によれば可溶化したトリグリセライドを基質と
してリパーゼ反応をさせ、リパーゼにより分解された脂
肪酸をアデノシン3リン酸(ATP)コエンザイムA(Co
A)存在下で脂肪酸にアシルCoAシンセターゼ(ACS)を
作用させる反応を基本とし、その後、1)生成したアデ
ノシン1リン酸(AMP)を測定する。2)生成したアシ
ルCoAを測定する。3)残存するCoAを測定する方法をと
ることができる。
これらの測定法の例をあげると、1)ではアデノシン
1リン酸(AMP)をアデノシン3リン酸(ATP)、ホスフ
ォエノールピルビン酸(PEP)の共存下でミオキナーゼ
(MK)、ピルビン酸キナーゼ(PK)を作用させてピルビ
ン酸を生成させ、生じたピルビン酸を乳酸脱水素酵素
(LDH)を用いニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
−還元型(NADH)の減少を測定する。あるいはピルビン
酸酸化酵素(POP)を用いた比色法で測定する。
あるいは 1)ではADPデアミナーゼを使用してアンモニアを測
定する方法、あるいはAMPデアミナーゼを使用してアン
モニアを測定する方法、あるいはAMP又クレオチダー
ゼ、アデニンデアミナーゼを使用させてアンモニアを測
定する方法、更にはAMPピロホスホリラーゼ、アデニン
デアミナーゼを作用させアンモニアを測定する方法等も
例としてあげられる。
2)アシルCoAを測定する方法としてはアシルCoAにア
シルCoAオキシダーゼ(ACo)を作用させ生成した過酸化
水素をペルオキシダーゼあるいはカタラーゼの系にもっ
ていき測定する等の例があげられる。
生成した過酸化水素をカタラーゼ、ペルオキシダーゼ
等を用いて測定する。
生成した過酸化水素を4−アミノアンチピリンと各種
のカプラーと酸化縮合させる。そのカプラーの例として
は、フェノールの他アニリン系あるいはトルイジン系等
があり例えばN−エチル−N−スルホプロピル−m−ト
ルイジン、N,N−ジエチル−m−トルイジン、3−メチ
ル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−アニ
リン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホ
プロピル)−m−トルイジン、3,5−ジメトキシ−N−
(3−スルホプロピル)アニリン等がありその他4−ア
ミノアンチピリンの代わりに3−メチル−2−ベンゾチ
アゾリノンヒドラゾンを用いる、あるいは4−アミノア
ンチピリンを使用しない10−(3−メトキシカルボキシ
ル−アミノメチル−ベンゾイル−カルバモイル)−3.7
−ビス(ジメチル−3nk)−10H−フェノチアジン、3−
ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチル−ア
ミノフェニルアミノ等のカプラーを用いてもよい。又直
接アシルCoAを脂肪酸代謝の主経路であるβ酸化系すな
わち、アシルCoAをアシルCoAオキシダーゼにて2−3ト
ランス−エノイルCoAにした後、エノイルCoAヒドラター
ゼ、3−ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ、3−
ケトアシルCoAチオラーゼを作用させNADHの増加を測定
しても良い。
3)の残存するCoAを測定する方法としては、残存す
るCoAをSH基定量試薬である5,5′−ジチオビス−2−ニ
トロ安息香酸(DTNB)等で測定することができる。
これら脂肪酸を測定する系の他リパーゼ反応により生
じたグリセロールを測定してもよく、この場合はトリグ
リセライドのリパーゼ反応は1または3位で行なわれ、
1,2−ジグリセライドとなり、更にこれが2−モノグリ
セライドとなり最後にグリセロールとなるが、2−モノ
グリセライドからグリセロールの反応は時間がかかる
(起こり難い)ため、モノグリセライドリパーゼを併用
すると効果的である。
次に本発明を実施例をもって説明する。
〈実施例1〉 試薬(1) ・蒸溜水90mlに非イオン界面活性剤としてエマルゲン
707(花王アトラス(株)の商品名 ポリオキシエチレ
ン高級アルコール)10gを溶解し、ビルダーとして塩化
ナトリウム5gを加え室温(25℃)にて攪拌する。この液
は濁った状態となるが、そのままトリオレイン2gを添加
し約2時間激しく攪拌する。この液を10mMpH7.9トリス
緩衝液にて100倍希釈して透明な水溶液を得た後、10mM
デオキシコール酸ナトリウム、70mM塩化ナトリウム、5m
M塩化カルシウム、コリパーゼ30000U/dlを添加し試薬
(1)とする。
試薬(2) ・アシルCoAシンセターゼ:5.0U/5ml ・アデノシン−5′−三リン酸:33.0μmol ・CoAリチウム塩:7.8μmol 上記試薬を、塩化マグネシウム6水塩5mM含むトリス
ヒドロキシメチルアミノメタン(pH7.85)溶液に溶解し
試薬(2)とする。
試薬(3) ・アシルCoAオキシダーゼ:10.0μ/20ml ・ペルオキシダーゼ:20.000U/20ml ・4−アミノアンチピリン:24μmol N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン0.
75mMを含む20mM N,N−ビス(2ヒドロキシエチル)2−
アミノエタンスルホン酸(pH7.30)溶液に溶解し試薬を
(3)とする。
試薬(4) ・N−エチルマレイミド10mMを塩酸溶液に溶解しpH3.
0としたものを試薬(4)とする。
(B)測定結果 前項で調製した試薬(1)を1.1ml試験管に採取し、
試薬ブランクとして精製水20μl、検体として膵液20μ
lを加え37℃10分間加温する。次に試薬(2)を1ml加
え、10分間反応させた後、試薬(4)を1ml加え、2分
後試薬(3)を加え、室温に放置後λ550nmにて試薬ブ
ランクを対照に吸光度を測定したところ膵液の吸光度は
0.420であった。
又1000μεq/lのオレイン酸水溶液を調製し、これを1
00U/lのリパーゼ標準液とし、20μl採取し、検体同様
の測定方法にて吸光度を測定した所0.104でありこれに
より求めた上記膵液のリパーゼ活性は403.8U/lであっ
た。
〈実施例2〉 (A)試薬の調整 試薬(1) ・蒸溜水90mlに非イオン界面活性剤としてエマルゲン
709(花王アトラス(株)の商品名 ポリオキシエチレ
ン高級アルコール:曇点56℃)10gを溶解し、56℃以上
を保ちながら約30分間攪拌し、その後加熱をやめ攪拌を
続けながら放置する。液は室温に近づくと透明となるの
で、この透明となった時点で蒸留水にて10倍希釈しリパ
ーゼの可溶化基質とする。
試薬(2) ・デオキシコール酸ナトリウム:4.16mg ・塩化ナトリウム:4.16mg ・塩化カルシウム:0.06mg ・コリパーゼ:230U 上記試薬を10mMpH7.9トリスヒドロキシメチルアミノ
メタン溶液1.0mlに溶解したものを試薬(2)とする。
試薬(3) ・ATP:0.79mg ・ホスフォエノールピルビン:0.15mg ・ミオキナーゼ:7U ・ピルビン酸キナーゼ:30U ・乳酸脱水素酵素:8U 上記試薬を10mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン
溶液(pH7.9)0.5mlにて溶解したのもを試薬(3)とす
る。
試薬(4) ・CoAリチウム塩:1.8mg ・アルシCoAシンセターゼ:4U ・塩化マグネシウム:0.6mg 上記試薬を10mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン
溶液(pH7.9)1.0mlにて溶解したのもを試薬(4)とす
る。
(B)測定結果 試薬(1)100μl,試薬(3)0.5ml,試薬(4)1ml,
検体として人膵液20μlを反応セルに分注し攪拌、予加
温後、試薬(2)1.0mlを反応開始液とし37℃にて試薬
ブランクを対照に反応させたところ、使用したリパーゼ
の可溶化基質は膵液中のリパーゼと反応し、脂肪酸を生
じ、CoAとATPの存在下アシルCoAシンセターゼを作用さ
せ生成したAMPをATPの存在下ミオキナーゼによりADPに
変換しさらにホスフォエノールピルビン酸とともにピル
ビン酸キナーゼによりピルビン酸を生成させ更に乳酸脱
水素酵素を作用させるという方法にてNADHの吸光度の減
少をλ=340nmにて測定した所反応時間に比例して吸光
度は減少し、1分間あたりの吸光度の減少は0.061であ
り、この値からリパーゼ活性は128.5U/lと算出された。
〈実施例3〉 試薬の調整 試薬(1) ・蒸留水90mlに非イオン界面活性剤としてエマルゲン
709(花王アトラス(株)の商品名 ポリオキシエチレ
ン高級アルコール:曇点56℃)10gを溶解し、56℃以上
に加熱すると液は曇点に達し白濁する。そこへトリオレ
イン2gを添加し56℃以上を保ちながら約30分間攪拌し、
その後加熱をやめ攪拌を続けながら放置する。液は室温
に近づくと透明となるので、この透明となった時点で10
mMトリス緩衝液(pH7.9)にて200倍希釈し、2.5mMデオ
キシコール酸ナトリウム、35mM塩化ナトリウム、コリパ
ーゼ30000U/dl3.5mM塩化カルシウムを添加し試薬(1)
とする。
試薬(2) ・アシル−CoAシンセターゼ:66U/dl ・アシル−CoAオキシダーゼ:90U/dl ・ペルオキシターゼ:16000U/dl ・ATP:140μmol ・コエンザイムA:16μmol ・10−(3−メトキシカルボキシル・アミノメチル・ベ
ンゾイル・カルバモイル)−3.7−ビス(ジメチル−ア
ミノ)−10H−フェノチアジン):2.2μmol 上記試薬を25mM,グッド緩衝液(pH6.75)で溶解す
る。
試薬(3) ・検体ブランク用試薬として(1)よりトレオレイ
ン、コリパーゼ、塩化カルシウムを抜いたものを試薬
(3)とする。
(B)測定結果 実施例で調製した試薬(1)および(3)を各々1ml
試験管に採取し、人血清20μlを(1),(3)に入れ
37℃にて5分間反応させた後試薬(2)を1.5mlを各々
分注し37℃5分後波長666mmにて測定し、試薬(1)を
分注した検体の吸光度を差し引いたリパーゼ活性の吸光
度、および標準液とし1000μEq/lのオレイン酸水溶液を
調製し200U/lのリパーゼ標準液として求めたリパーゼ活
性は第1表(巻末)の通りであった。
なお、ヒト膵液の希釈系列を作成し、本実施例により
リパーゼを測定したところ、第1図のように高い直線性
を示した。
〈実施例4〉 (A)試薬の調整 試薬(1) ・アテノシン−5′−三リン酸:97mg ・ホスフォエノールピルビン酸:14.6mg ・乳酸脱水素酵素:840U ・ミオキナーゼ:700U ・ピルビン酸キナーゼ:940U ・ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド−還元型:24.
5mg ・CoAリチウム塩:90mg ・アシルCoAシンセターゼ:196U ・リパーゼ可溶化基質(実施例2試薬(1)):1.4ml ・コリパーゼ:35000U 上記組成物を塩化マグネシウム0.6g/l、塩化マグネシ
ウム0.6g/lを含む100mMトリスヒドロキシメチルアミノ
メタン溶液(pH7.5)25mlに溶解し試薬(1)とする。
試薬(2) ・デオキシコール酸ナトリウム2gを、100mMトリスヒド
ロキシメチルアミノメタン溶液(pH8.3)100mlに溶解し
試薬(2)とする(以上本発明試薬)。
試薬(3) ・トリオレイン:0.3mM ・デオキシコール酸ナトリウム:17mM ・塩化ナトリウム:35mM ・塩化カルシウム:1mM ・コリパーゼ:210.000U/l を含む100mMトリス緩衝液(pH9.2)で溶解し、トリオレ
インの懸濁液の試薬を作製し試薬(3)とする。
(B)測定結果 日立705型自動分析機を使用し上記試薬(1)を350μ
l、検体としてヒト血清として10μlを分注させ、5分
間の人血清中の遊離脂肪酸消去反応の後、試薬(2)を
50μl分注させ、3分目から5分目の吸光度の減少をλ
=340nmで想定した本発明の可溶化基質を用いた方法
と、従来法であるトリオレインの懸濁液を使用する方
法、即ち試薬(3)を500μl検体として20μl分注さ
せ、4分目から5分目の吸光度の減少をλ=340nmにて
測定する方法にて、同時再現性を比較すると本発明のト
リオレインの可溶化基質を用いた測定方法は第2表に示
すように非常に良好な再現性であり本発明組成物が精度
の良い試薬であることを示している。
〈実施例5〉 (A)試薬の調製 試薬(1) ・トリオレイン可溶化基質:1.7ml ・塩化カルシウム:100mg ・塩化マグネシウム:8mg ・コリパーゼ:14000U 上記試薬を、100mMトリスヒドロキシメチルアミノメ
タン溶液(pH8.3)15mlに溶解したものを試薬(1)と
する。
試薬(2)−1 ・グリセロキナーゼ:5.38U ・ペルオキシダーゼ:13.5×104U ・アデノシン三燐酸:42.4mg ・L−αグリセロリン酸オキシダーゼ:161U ・4−アミノアンチピリン:5.7mg ・アスコルビン酸オキシダーゼ:53.8U 試薬(2)−2 ・N・Nビス(2ヒドロキシエチル)2−アミノエタン
スルフォニックアシド:4.27g ・N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン:
0.14g ・塩化マグネシウム6水塩:3.05g ・トライトンX−100(ロームアンドトライス社の商品
名、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル):
0.1g 上記試薬を蒸留水にて1000mlとしpHを6.65に調整した
ものを試薬(2)−2とする。
試薬(2)−1を試薬(2)−2 36mlで溶解したもの
を試薬(2)とする。
(B)測定結果 試薬(1)1.5ml、試薬(2)1.5ml検体として酵母か
ら得られたリパーゼ(30U/ml)20μlを加え、攪拌37℃
5分後、試薬ブランクを対照に波長550nmにて測定した
結果、検体の吸光度は0.140であり、この値からグリセ
ロール標準液より換算したリパーゼ活性は257U/lであっ
た。
以上の実施例により本発明のリパーゼ測定用試薬が、
今後リパーゼの測定を簡単にしかも精度良く定量するこ
とはあきらかである。
【図面の簡単な説明】
図面はヒト膵液の希釈系列を作製し、実施例3に従い測
定したものであり、本発明の基質によるリパーゼ測定の
定量性を示したものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−89492(JP,A) 特開 昭55−104900(JP,A) 特開 昭61−25063(JP,A) 特公 昭59−39168(JP,B2)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検体中のヒト膵リパーゼ活性を測定するに
    際し、下記の、又はの基質溶液に検体を加えて遊離
    する脂肪酸、あるいはグリセロールを吸光度測定方法に
    よって検出し、検体中のリパーゼ活性を求めることを特
    徴とするヒト膵リパーゼ活性の測定方法。 脂肪酸の炭素数が12〜22個であるトリグリセライド
    を、HLB10〜16のポリオキシエチレン誘導体である非イ
    オン界面活性剤を含む水溶液に加え、攪拌しながら加熱
    し、非イオン界面活性剤水溶液の曇点以上に温度を上
    げ、攪拌を続けながら曇点以下に冷却して得た透明なト
    リグリセライド水溶液に、少なくとも、リパーゼ機能促
    進物質であるコリパーゼ及び/または胆汁酸塩を添加し
    た基質溶液。 脂肪酸の炭素数が12〜22個であるトリグリセライド
    を、HLB10〜16のポリオキシエチレン誘導体である非イ
    オン界面活性剤を含む水溶液に加え、更にビルダーを添
    加して非イオン界面活性剤水溶液の曇点を室温まで低下
    させ、攪拌を続けながら蒸留水または緩衝液で希釈して
    得た透明なトリグリセライド水溶液に、少なくとも、リ
    パーゼ機能促進物質であるコリパーゼ及び/または胆汁
    酸塩を添加した基質溶液。
  2. 【請求項2】遊離するグリセロールを検出するときは、
    反応系にモノグリセライドリパーゼを更に存在させるこ
    とを特徴とする請求項(1)に記載するヒト膵リパーゼ
    活性の測定方法。
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