JP3868214B2 - 液状カタラーゼの安定化法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液状カタラーゼの安定化法に関する。特にカタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用試薬の安定化法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カタラーゼは、過酸化水素を分解し水と酸素を生成せしめる作用をもつ酵素のひとつで、医学分野では、血液(血清)、尿、唾液などの生物学的試料(体液)に存在する分析対象物から過酸化水素を生成し、生成した過酸化水素を測定することにより、分析対象物を検出し生化学診断する方法において、該分析対象物以外の物質(妨害物質)に由来する過酸化水素を過酸化水素消去試薬を用いて消去した後、分析対象物を検出する方法の、該過酸化水素消去試薬として広く用いられている。また食品分野、その他の工業分野などにおいても、このカタラーゼの過酸化水素分解能を利用することが盛んに行われている。
【0003】
しかし、カタラーゼは水溶液中では、非常に不安定である欠点を有している。従来、液状カタラーゼの安定化法として、1)カタラーゼ水溶液に対して、グリセリン15〜20%(V/V)、クエン酸ソーダ4〜6%(W/V)、エチルアルコール3〜8%(V/V)及び食塩5〜10%(W/V)が同時に存在するように添加する、安定化された液状カタラーゼの製造法(特公昭55−7234参照)、2)カタラーゼを、20%(W/W)以上のエチルアルコールと5%(W/W)以上の糖アルコールを含む水溶液に溶解し、安定なカタラーゼ溶液を得る方法(特公昭62-55836参照)、および3)カタラーゼ水溶液に対し、塩化アンモニウム0.5〜5%、エタノール1〜2%およびクエン酸ナトリウム1〜3%を添加する液状カタラーゼの安定法(特公平3−58710参照)などが知られている。
【0004】
これらの方法は、エタノールと他の安定剤を組合わせて液状カタラーゼの安定化を図るものであり、メチルアルコールを単独で使用して液状カタラーゼを安定化することは記載されていない。
また、これらの方法は、エチルアルコール以外に他の安定剤の併用を余儀なくされている。すなわち、上記1)の方法では、グリセリン、クエン酸ソーダおよび食塩を、また2)の方法では、ソルビトール、マルチトール又はマニトールなどの糖アルコールを、そして3)の方法では、塩化アンモニウムおよびクエン酸ナトリウムを、それぞれ併用して添加することを余儀なくされている。
したがって、これらの方法は、液状カタラーゼの調製操作が煩雑になり、また最も重要なことであるが、液状カタラーゼに含まれる安定剤の成分の種類および濃度が多くなると、該液状カタラーゼを生化学診断用試薬などで利用する際、影響が大きくなり、測定の精度が低下したり、また測定値の信頼性が低下したりする危険性を有する。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、安定剤を併用することなく、保存安定性の高い液状カタラーゼを得ること目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため種々検討を重ねた結果、カタラーゼ水溶液に対し、メチルアルコールを添加した場合、メチルアルコール以外に他の安定剤を使用することなく、安定なカタラーゼ水溶液を得ることを知り、この知見に基づいて本発明を完成した。
即ち、本発明は、カタラーゼ水溶液に対し、メチルアルコールを添加することを特徴とする液状カタラーゼの安定化法である。
【0007】
【実施の態様】
本発明で用いるカタラーゼとしては、動植物起源及び微生物起源の任意のカタラーゼが挙げられる。
【0008】
本発明のカタラーゼ水溶液としては、カタラーゼを含有する溶液であれば、特に制限はなく如何なる性状を有する溶液でも適用される。
具体的には、カタラーゼを水又は緩衝液に溶解して得られる液状カタラーゼおよび従来公知の、カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用試薬、例えば1)カタラーゼを含有する、液状の、トリグセライド測定試薬、2)同、LDL(low-density lipoprotein)コレステロール測定試薬、3)同、クレアチニン測定試薬、4)同、尿素窒素(Urea Nitrogen)測定試薬、5)同、コレステロールエステル測定試薬、6)同、リン脂質測定試薬、7)同、無機リン測定試薬、8)同、GPT測定試薬および9)同、α−アミラーゼ測定試薬などが挙げられる。
【0009】
カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用試薬の具体例を以下に示す。
【0010】
1)カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用測定試薬(第1試薬)
体液(血液、血清、尿、唾液などの生物学的試料)に含まれる妨害物質に作用して過酸化水素を生成する酵素または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酸化酵素およびカタラーゼを含有する第1試薬および体液の測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色原体を含有する第2試薬からなる生化学診断用測定試薬において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用測定試薬(第1試薬)」が挙げられる。
【0011】
2)カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬
体液のトリグリセライドを測定するに当たり、体液に含まれるグリセリンに、「カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬(グリセロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、グリセリンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のトリグリセライドにリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グルセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、トリグリセライドからグリセリンを生成させ、グリセリンからグリセロール−3−リン酸を生成させ、グリセロール−3−リン酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより、前記体液のトリグリセライドを測定する方法において用いる、「カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬」が挙げられる。
【0012】
3)カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬
体液のLDLコレステロールを測定するに当たり、体液に含まれるLDL以外のリポ蛋白に、「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬(コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、界面活性剤(ポリオキシエチレン誘導体)及びカタラーゼを含有する)」を作用させて、LDL以外のリポ蛋白から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のLDLコレステロールにコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、非イオン性界面活性剤を作用させ、過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより前記体液のLDLコレステロールを測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬」が挙げられる。
【0013】
4)カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬
体液のクレアチニンを測定するに当たり、体液に含まれるクレアチンに、「カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬(クレアチンアミジノヒドラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼを含有する)」を作用させ、クレアチンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のクレアチニンにクレアチニンアミドヒドラーゼ、クレアチンアミジノヒドラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び色原体を作用させて、クレアチニンからクレアチンを生成させ、クレアチンからザルコシンを生成させ、ザルコシンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより前記体液のクレアチニンを測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬」があげられる。
【0014】
5)カタラーゼを含有する、液状の、尿素窒素測定試薬
体液の尿素窒素(UN)を測定するに当たり、体液に含まれるピルビン酸に「カタラーゼを含有する、液状の、尿素窒素測定試薬(ピルビン酸オキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、ピルビン酸から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液の尿素窒素にATP−hydorolysing型ウレアーゼ(URL)、フォスフォエノールピルビン酸カリウム塩(PEP)、ピルビン酸キナーゼを作用させ、ピルビン酸を生成させ、さらに、ピルビン酸は、ピルビン酸オキシダーゼ(POPG)から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより体液の尿素窒素を測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、尿素窒素測定試薬」が挙げられる。
【0015】
6)カタラーゼを含有する、液状の、コレステロールエステル測定試薬
体液のコレステロールエステルを測定するに当たり、体液に含まれるコレステロールに「カタラーゼを含有する、液状の、コレステロールエステル測定試薬(コレステロールオキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、コレステロールから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のコレステロールエステルにリパーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、コレステロールエステルからコレステロールを生成させ、コレステロールから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより体液のコレステロールエステルを測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、コレステロールエステル測定試薬」が挙げられる。
【0016】
7)カタラーゼを含有する、液状の、リン脂質測定試薬
体液のリン脂質を測定するに当たり、体液に含まれるコリンに「カタラーゼを含有する、液状の、リン脂質測定試薬(コリンオキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、コリンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のリン脂質にホスフォリパーゼD、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、リン脂質からコリンを生成させ、コリンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより体液のリン脂質を測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、リン脂質測定試薬」が挙げられる。
【0017】
8)カタラーゼを含有する、液状の、無機リン測定試薬
体液の無機リンを測定するに当たり、体液に含まれるヒポキサンチンに「カタラーゼを含有する、液状の、無機リン測定試薬(キサンチンオキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、ヒポキサンチンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液の無機リンにイノシンおよびプリンヌクレオチドフォスフォリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、無機リンからヒポキサンチンを生成させ、ヒポキサンチンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより体液の無機リンを測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、無機リン測定試薬」が挙げられる。
【0018】
9)カタラーゼを含有する、液状の、GPT測定試薬
体液のGlutamic Pyruvic Transaminase(GPT)を測定するに当たり、体液に含まれるピルビン酸に「カタラーゼを含有する、液状の、GPT測定試薬(ピルビン酸オキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、ピルビン酸から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のGPTにL−アラニン、α−ケトグルタル酸、ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、GPTからピルビン酸を生成させ、ピルビン酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより体液のGPTを測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、GPT測定試薬」が挙げられる。
【0019】
10)カタラーゼを含有する、液状の、α−アミラーゼ測定試薬
体液のα−アミラーゼを測定するに当たり、体液のグルコースに「カタラーゼを含有する液状の、α−アミラーゼ測定試薬(グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用させて、グルコースから生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のα−アミラーゼにアミラーゼ基質、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、α−アミラーゼからグルコースを生成させ、グルコースから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定することにより体液のα−アミラーゼを測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、α−アミラーゼ測定試薬」が挙げられる。
【0020】
本発明は、カタラーゼ水溶液に対し、メチルアルコールを添加する事を最も特徴としている。本発明においてこの点は極めて重要な点であり、他のアルコール、例えば、エチルアルコールを用いる場合は、他の安定剤の併用を余儀なくされる。
これに対し、メチルアルコールの場合は、他の安定剤を併用することなくカタラーゼを安定化させることが出来る。
メチルアルコール濃度は、0.005〜3.0%(以下、メチルアルコール濃度は、V/V%を意味する)が好ましく、0.01〜2.0%がより好ましい。本発明によれば、「カタラーゼを含有する、液状の、各種の生化学診断用試薬」、を35℃または42℃にて保存した場合、該カタラーゼ残存活性を、少なくとも10日間、60%以上に保持することが可能となる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果をより具体的に説明する。
【0022】
実施例1
(保存安定性の高い液状カタラーゼの調製例)
50mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム(pH7.0)にカタラーゼ 500U/mlを含有する水溶液を調製した。
これに安定剤として、メチルアルコールを、無添加(0.00%)(比較例)、0.005%、0.01%、0.05%、0.10%、0.20%、0.50%、1.00%、2.00%あるいは5.00%となるように加えた。
これを、品温35℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。その結果を図1(35℃保存)に示す。
また、品温42℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。その結果を図2(42℃保存)に示す。
【0023】
図1の結果から、メチルアルコールを含有しない(比較例)液状カタラーゼは、35℃、10日間保存した場合、60%の残存活性を示すが、メチルアルコールを0.005%〜2.00%含有する液状カタラーゼは、80%以上の残存活性を示し、安定性が良くなることが判る。
【0024】
また図2の結果から、メチルアルコールを添加しない液状カタラーゼは、42℃、10日間保存した場合(このような過酷な条件は、経験上、冷蔵庫で1年間保存した場合に相当する)、50%の残存活性を示すが、メチルアルコールを0.005%〜2.00%含有する液状カタラーゼは、約70%以上の残存活性を示し、また0.01%〜1.00%含有する液状カタラーゼは、約80%の残存活性を示し、安定性が良くなることが判る。
【0025】
実施例2
(カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬の調製例)
体液のトリグリセライドを測定するため、下記第1試薬および第2試薬から構成されるトリグリセライド測定試薬を調製した。
【0026】
第1試薬(以下、カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬という)
カタラーゼ 500 U/ml
グリセロールキナーゼ 1.0 U/ml
グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ 4.0 U/ml
アデノシン三リン酸二ナトリウム 1.5 mM
MOPSバッファー 0.2 M、pH 7.0
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン
(TOOS) 1.5 mM
トリトンX−100 0.1 %
塩化カリウム 50 mM
【0027】
第2試薬
4−アミノアンチピリン 1.2 mM
リポプロテインリパーゼ 300 U/ml
ペルオキシダーゼ 6.0 U/ml
MOPSバッファー 0.2 M、pH 6.5
トリトンX−100 0.1 %
塩化カリウム 50 mM
【0028】
次いで、上記第1試薬(カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬)にメチルアルコールを、無添加(0.00%)(比較例)、0.005%、0.01%、0.05%、0.10%、0.20%、0.50%、1.00%、2.00%、あるいは5.00%となるように加え、本発明の「カタラーゼを、含有する液状の、トリグリセライド測定試薬」を調製した。
【0029】
これを、35℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。その結果を図3(35℃保存)に示す。
また、42℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。
その結果を図4(42℃保存)に示す。
【0030】
図3の結果から、メチルアルコールを添加しない場合(比較例)、カタラーゼ活性は、10日間の保存で、40%が失われる。
これに対し、メチルアルコールを0.005%〜2.00%添加した場合、カタラーゼは大部分の活性が保持され、約80%〜約90%の残存活性を示すことが判る。
【0031】
また図4の結果から、メチルアルコールを添加しない場合(比較例)、42℃、10日間の保存で、0%の残存活性を示し、活性が完全に失活するのに対して、メチルアルコールを0.005%から2.0%まで添加した場合、37%以上の残存活性を、0.01%から2.0%まで添加した場合、50%以上の残存活性を示すことが判る。
以上のことから、本発明によれば保存安定性の高い「カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬」が得られることが判る。
【0032】
実施例3
(カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬の調製例)
体液のLDLコレステロール測定するための、下記第1試薬および第2試薬から構成されるLDLコレステロール測定試薬を調製した。
【0033】
第1試薬(以下、カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬という)
カタラーゼ 500 U/ml
コレステロールエステラーゼ 0.7 U/ml
コレステロールオキシダーゼ 0.6 U/ml
塩化マグネシウム 15 mM
塩化ナトリウム 50mM
BESバッファー 0.1 M、pH 7.0
N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン(HDAOS) 1.0 mM
エマルゲンB-66 0.2 %
【0034】
第2試薬
4−アミノアンチピリン 3.0 mM
ペルオキシダーゼ 7.0 U/ml
BESバッファー 0.1 M、pH 7.0
トリトンX−100 3.0 %
塩化ナトリウム 50mM
【0035】
次いで、上記第1試薬(カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬)にメチルアルコールを、無添加(カタラーゼ濃度0.00%)(比較例)、0.005%、0.01%、0.05%、0.10%、0.20%、0.50%、1.00%、2.00%、あるいは5.00%となるように加え、本発明の「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬」を得た。
【0036】
次いで、本実施例で得られた「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬」を、35℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。その結果を図5(35℃保存)に示す。
また、42℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。
その結果を図6(42℃保存)に示す。
【0037】
図5の結果から、メチルアルコールを添加しない場合(比較例)、35℃、10日間の保存で、70%の残存活性を示すのに対して、メチルアルコールを0.005%〜2.00%添加した場合、約80%の残存活性を示した。
【0038】
また、図6の結果から、メチルアルコールを添加しない場合(比較例)、42℃、10日間の保存で、約20%の残存活性を示すのに対して、メチルアルコールを0.005%〜2.0%添加した場合、約40%の残存活性を、0.01%〜2.0%添加した場合、約50〜65%の残存活性を示した。
図5および図6の結果から、本発明によれば保存安定性の高い「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬」が得られることが判る。
【0039】
実施例4
(カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬の調製例)
体液のクレアチニンを測定するための、下記第1試薬および第2試薬から構成されるクレアチニン測定試薬を調製した。
【0040】
第1試薬(以下、カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬という)
カタラーゼ 500 U/ml
クレアチンアミジノヒドラーゼ 30 U/ml
ザルコシンオキシダーゼ 10 U/ml
TESバッファー 0.1 M、pH 7.0
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS) 3.0 mM
トリトンX−100 0.1 %
塩化ナトリウム 50mM
【0041】
第2試薬
4−アミノアンチピリン 3.0 mM
クレアチニンアミドヒドラーゼ 250 U/ml
ペルオキシダーゼ 10 U/ml
TESバッファー 0.1 M、pH 7.0
トリトンX−100 0.1 %
塩化ナトリウム 50mM
【0042】
次いで、上記第1試薬(カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬)にメチルアルコールを、無添加(カタラーゼ濃度0.00%)(比較例)、0.005%、0.01%、0.05%、0.10%、0.20%、0.50%、1.00%、2.00%、あるいは5.00%となるように加え、本発明の「カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬」を得た。
【0043】
次いで、本実施例で得られた第1試薬(カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬)を、35℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。その結果を図7(35℃保存)に示す。
また、42℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。
その結果を図8(42℃保存)に示す。
【0044】
図7の結果から、メチルアルコールを添加しない場合(比較例)、35℃、10日間の保存で、約30%の残存活性を示すのに対して、メチルアルコールを0.005%から2.0%まで添加した場合、約75%〜85%の残存活性を示した。
【0045】
また図8の結果から、メチルアルコールを添加しない場合(比較例)、42℃、10日間の保存で、カタラーゼは、殆ど失活して、残存活性は殆ど示さないのに対して、メチルアルコールを0.005%〜2.00%添加した場合、40%以上の残存活性を、0.01%から2.00%まで添加した場合、約50〜60%残存活性を示した。
図7および図8の結果から、本発明によれば保存安定性の高い「カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬」が得られることが判る。
【0046】
以上、実施例2〜実施例4の結果から、長期間保存安定性の高い、「カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用試薬」が得られることが判る。
【0047】
【本発明の効果】
本発明は、安定剤を併用することなく、保存安定性の高い液状カタラーゼを容易に得ることができる。特に、保存安定性の高い、「カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用試薬」を得ることができる。本発明で得られる液状カタラーゼは、従来公知の過酸化水素消去試薬として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた液状カタラーゼの35℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図2】同液状カタラーゼの42℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図3】実施例2で得られた、「カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬」の35℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図4】同試薬の42℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図5】実施例3で得られた「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬」の35℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図6】同試薬の42℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図7】実施例4で得られた「カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬」の35℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図8】同試薬の42℃におけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
Claims (12)
- カタラーゼ水溶液に対し、メチルアルコールを添加することを特徴とする液状カタラーゼの安定化法。
- メチルアルコールを0.005〜3.0V/V%添加する請求項1記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、生化学診断用試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、尿素窒素測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、コレステロールエステル測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、リン脂質測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、無機リン測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、GPT測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
- 液状カタラーゼが、カタラーゼを含有する、液状の、α−アミラーゼ測定試薬である請求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
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