JPH0686693A - 生体物質の測定方法 - Google Patents

生体物質の測定方法

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JPH0686693A
JPH0686693A JP35951892A JP35951892A JPH0686693A JP H0686693 A JPH0686693 A JP H0686693A JP 35951892 A JP35951892 A JP 35951892A JP 35951892 A JP35951892 A JP 35951892A JP H0686693 A JPH0686693 A JP H0686693A
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measuring
biological substance
nad
reagent
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JP35951892A
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Masamitsu Takahashi
正光 高橋
Kukizou Miyamoto
久喜三 宮本
Yoshifumi Totsu
吉史 渡津
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 臨床検査などの分野で使用され、血清、尿な
どの検体中の生体物質の新規な測定法を提供することを
目的とする。 【構成】 本発明は、酵素反応を用いて生体物質を測定
する方法であり、ピルビン酸脱水素酵素の存在下、NA
+類をNADH類に還元する反応を用い、NADH類
の生成量に基づいて生体物質を測定することからなる。
本発明の方法では、NADH類の生成量に基づいて生体
物質を測定するので、測定限界が高く、また検体中の還
元物質などの影響を受けないという利点を有する。従っ
て、本発明によれば、生体物質を高精度且つ高範囲に測
定することができ、自動分析にも適用することができる
という効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体物質の測定方法に関
する。より詳細には、臨床検査などの分野で用いられ、
血清、血漿、尿などの検体中の生体物質の測定(定量及
び活性測定)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、臨床検査、生化学検査などの分野
においては、生体物質の定量や酵素活性の測定が頻繁に
行われており、この測定には反応特異性の高い酵素反応
を用いた方法が汎用されている。このような酵素反応を
用いた生体物質の測定法においては、例えば、測定対
象である生体物質が関与し且つ過酸化水素を生成する酵
素反応系を用い、生成した過酸化水素をパーオキシダー
ゼの存在下、発色性物質と反応させることにより発色さ
せ、その吸光度変化量に基づいて生体物質を測定する方
法;測定対象である生体物質が関与し且つNADH
(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)から
NAD+(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ド)を生成する酵素反応系を用い、NADHの吸光度減
少量に基づいて生体物質を測定する方法などが用いられ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の測定方法にお
いては、検体中に存在する還元性物質(例えば、尿酸、
アスコルビン酸、ビリルビン、ヘモグロビン等)や酸化
性物質などにより過酸化水素の分解などが生じやすく、
正確な値を与えない場合がある。一方、上記の方法に
おいては、十分量の基質(NADH、補酵素等)を反応
系に添加することが困難なので定量限界が低く、また測
定波長における検体の吸収(濁り、溶血、黄疸等)によ
り測定できる範囲が狭くなるという問題がある。このよ
うな問題から、酵素反応による生体物質の測定に際して
は、NADHを生成する反応系を用い、生成するNAD
Hの吸光度の上昇に基づいて生体物質を測定する方法が
好適であり、自動分析にも適している。かかる観点か
ら、本発明者等は、NADHを生成する酵素反応であ
り、単独で又は他の酵素反応系と共役させることによ
り、生体物質の測定に広く利用できる酵素反応を鋭意検
討した結果、ピルビン酸脱水素酵素(E.C 1.2.4.1、以
下、PDHという)の存在下、NAD+、チオ−NA
+、3−アセチル−NAD+などのNAD+類からその
還元体であるNADH類を生成する酵素反応が極めて有
用であり、かかる反応は生体物質の測定に普遍的に利用
できる酵素反応であることを見出して本発明を完成し
た。即ち、本発明は、NADH類の生成量を測定するこ
とにより、簡便且つ高精度で生体物質を測定することが
できる方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
なされた本発明の生体物質の測定方法は、酵素反応を用
いて生体物質を測定する方法であり、PDHの存在下、
NAD+類をNADH類に還元する反応を用い、NAD
H類の生成量に基づいて生体物質を測定することからな
り、また酵素反応を用いて生体物質を測定する方法であ
り、当該測定方法がピルビン酸又はCoAとNADH類
を生成する酵素反応又はこの酵素反応を含む反応系から
なるとき、PDHの存在下、NAD+類をNADH類に
還元する反応を、上記酵素反応又は酵素反応系と共役さ
せることにより、生成したピルビン酸又はCoAを消費
すると共にNADH類の生成量を増加させ、NADH類
の生成量に基づいて生体物質を測定することからなる。
本発明で用いられる、PDHの存在下、NAD+類から
NADH類を生成する酵素反応は下記酵素反応式1で示
される。 この酵素反応の基質であるピルビン酸、CoA及びNA
+類はそれ自体が生体物質として測定の対象とされ、
また多くの生体物質は酵素反応によりこれらのいずれか
の物質に変換することができるので、当該酵素反応と上
記酵素反応式1で示される酵素反応を共役させることに
より、測定対象である生体物質をNADH類の生成量と
して測定することができる。酵素反応式1で示される酵
素反応において、NAD+からNADHを生成させる反
応は知られているが、酵素反応式1で示される酵素反応
を生体物質の測定に利用された例は知られていない。以
下、本発明をより詳細に説明する。
【0005】上記酵素反応式1で示される酵素反応に用
いられるPDHは、原核細胞、真核細胞、高等植物細胞
などに広く生物界に分布する酵素であり、大腸菌、ブタ
心臓、ウシ腎臓などから分離されている。本発明におい
て、PDHの由来は特に限定されず、動物由来、細菌由
来などいずれのPDHも用いることができ、好適には動
物由来のPDHが用いられる。このPDHが触媒する酵
素反応は、酵素反応式1に示されるように、ピルビン酸
の酸化的脱炭酸反応であり、この間にNAD+類は還元
されてNADH類が生成する。ここにおけるNAD+
には、通常単にNAD+と称されるβ−NAD+(本明細
書においても単にNAD+と記す)の他に、例えば、α
−NAD+、チオ−NAD+、3−アセチル−NAD+
デスオキシ−NAD+、イソニコチン酸ヒドラジド−N
AD+、6−アミノ−NAD+、1,N6−エテノ−NA
+、デアミノ−NAD+、デアミド−NAD+、3−ピ
リジンアルデヒド−NAD+、3−ピリジンアルデヒド
−デアミノ−NAD+などが包含されるが、上記酵素反
応式1の酵素反応に基づいて還元体を生成するNAD+
アナログであればこれらに限定されるものではない。N
ADH類は上記のNAD+類の還元型を意味する。ま
た、この酵素反応はチアミンピロリン酸(TPP)の存
在下に反応が進行するので、反応系にはTPPを添加す
るのが好ましい。更に、PDHはMg2+により活性化さ
れるので、反応系にはMg2+を添加するのが好ましい。
上記酵素反応式1に示される酵素反応は、ピルビン酸、
CoA及びNAD+類を基質とする反応であり、上記3
種の物質のいずれか2種を基質とすることにより他の物
質をNADH類の生成量に基づいて定量することができ
る。また、基質であるピルビン酸、CoA及びNAD+
類を過剰に添加することにより、補欠分子族であるTP
Pや活性化因子であるMg2+をNADH類の生成量に基
づいて定量することができる。NADH類の生成量は種
々の方法により測定することができるが、通常、簡便且
つ高精度で測定することができるので吸光度測定法によ
り行われる。測定波長はNADH類の種類により適宜選
択され、例えば、NADH、3−アセチル−NADH、
デアミノ−NADHなどの場合には340nm、チオ−
NADHの場合には405nmの波長が選択される。N
ADH類の生成量の測定法として、テトラゾリウム塩を
共存させてホルマザンに変換し、生成ホルマザンの呈色
度を測定する方法などを用いてもよい。
【0006】前述のように、各種生体物質は種々の酵素
反応系を用いることにより、酵素反応式1の酵素反応の
基質であるピルビン酸、CoA及びNAD+類に導くこ
とができる。従って、これらの酵素反応系と酵素反応式
1で示される酵素反応系を共役させることにより、各種
生体物質(基質、補欠分子族、活性化因子など)量又は
生体物質としての酵素の活性を、NADH類の生成量と
して測定することができる。これらの例を挙げると、基
質としては、例えば、ADP、尿素窒素、クレアチン、
クレアチニン、遊離脂肪酸、シアル酸、中性脂肪、リン
脂質、アミノ酸などが例示され、補欠分子族としては、
例えば、TPP、ピリドキサルリン酸、テトラヒドロ葉
酸などが例示され、活性化因子としては、例えば、マグ
ネシウムイオン、カリウムイオン、マンガンイオン、カ
ルシウムイオン、ナトリウムイオン、クロルイオン、炭
酸水素イオンなどが例示され、酵素としては、例えば、
ピルベートキナーゼ(PK)、コリンエステラーゼ(C
hE)、クレアチンホスフェートキナーゼ(CPK)、
マレートデヒドロゲナーゼ(MDH)、ラクテートデヒ
ドロゲナーゼ(LDH)、アラニンアミノトランスフェ
ラーゼ(ALT)又はアスパルテートアミノトランスフ
ェラーゼ(AST)などが例示される。これらの基質、
酵素などを用いた酵素反応であり、ピルビン酸、CoA
又はNAD+類を生成する酵素反応の例を下記に示す。
なお、下記の酵素反応式中、酵素反応によりADPに導
いたものについては、以後、酵素反応式2によりピルビ
ン酸に導く。また、はリン酸残基を意味する。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】本発明において、酵素反応を用いて生体物
質を測定する方法が、ピルビン酸又はCoAのいずれか
とNADH類を生成する酵素反応又はこの酵素反応を含
む反応系からなるとき、酵素反応式1で示される酵素反
応を、上記酵素反応又は酵素反応系と共役させることに
より、生成したピルビン酸又はCoAを消費できると共
にNADH類の生成量を2倍とすることができる。この
方法によれば、生成したピルビン酸又はCoAによる反
応阻害を回避することができ、また2倍のNADH類が
生成するので測定精度の向上が図れるという効果を奏す
る。
【0018】以下、本発明の生体物質の測定方法(基質
などの定量及び酵素活性)を例をもって具体的に説明す
るが、本発明の方法はこれらに限定されるものではな
い。 1)酵素反応系により生成したピルビン酸及び/又は内
因性のピルビン酸を酵素反応式1の酵素反応によりNA
DH類の増加量として測定する方法。 ピルビン酸の測定法としては、LDHを用いるNADH
の減少量測定法、パーオキシダーゼを用いた過酸化水素
法などが知られているが、本発明の方法は以下の点で優
れている。 NADH類の増加量を測定するので定量限界が高い。 NADH類の分子吸光係数が明確なため定量が容易で
ある。 NADH類の生成系は、血清等の検体中の還元性物質
の影響を受けない。 NADH類の発色は、他の色素(例えば、キノン色素
等)に比べて安定である。
【0019】2)酵素反応系により生成したCoA及び
/又は内因性のCoAを、酵素反応式1の酵素反応によ
りNADH類の増加量として測定する方法。 CoAの測定法としては、DTNB等によりSH基を測
定する方法が知られているが、本発明の方法はCoAに
特異的であり、また従来法は検体中の蛋白質SH基やチ
オール系夾雑物質の影響を受けたが、本発明の方法はこ
の問題を回避できる。
【0020】3)酵素反応系により生成したNAD+
及び/又は内因性のNAD+類を、酵素反応式1の酵素
反応によりNADH類の増加量として測定する方法。 NAD+類の測定法としては、種々の方法が知られてい
るが、本発明の方法によれば上記1)に記載した効果と
同じ効果が得られる。
【0021】4)酵素反応式2の酵素反応と酵素反応式
1の酵素反応とを組合せ、酵素反応系により生成したA
DP及び/又は内因性のADPをNADH類の増加量と
して測定する方法。 ADPの測定法としては、PK、ATP及びPEPを併
用したLDH法又はPOP法などが知られているが、本
発明の方法によれば上記1)に記載した効果と同じ効果
が得られる。
【0022】5)酵素反応式6又は7の酵素反応と、酵
素反応式2の酵素反応と、酵素反応式1の酵素反応とを
組合せ、検体中のクレアチン又はクレアチニンをNAD
H類の増加量として測定する方法。 クレアチン又はクレアチニンの測定法としては、Creati
nine amidohydrolase(C1)-Creatine amidinohydrolase
(C2)-Sarcosine oxidase(SOD)-POD系、C1-C2-SOD-Forma
ldehyde dehydrogenase(FDH)系などが広く用いられてい
るが、本発明の方法によれば、上記1)に記載した効果
に加え、従来法に比べて共役系の酵素反応数が少ないと
いう利点を有する。
【0023】6)酵素反応式3の酵素反応と、酵素反応
式2の酵素反応と酵素反応式1の酵素反応とを組合せ、
検体中の尿素窒素をNADH類の増加量として測定する
方法。 尿素窒素の測定法としては、Glutamate dehydrogenase
(GLDH)-Urease法、PK-LDH-Urea amidolyase法などが知
られているが、本発明の方法によれば上記1)に記載し
た効果と同じ効果が得られ、更に検体中のアンモニアの
影響を受けることもない利点を有する。
【0024】7)酵素反応式13の酵素反応と、酵素反
応式1の酵素反応とを組合せ、検体中のシアル酸をNA
DH類の増加量として測定する方法。 シアル酸の測定法としては、LDH法、Pyruvate oxidase
(POP)法、N-Acetyl-D-mannosamine dehydrogenase (AMD
H)法などが知られているが、本発明の方法によれば上記
1)に記載した効果と同じ効果が得られる。
【0025】8)酵素反応式14の酵素反応と、酵素反
応式2の酵素反応と、酵素反応式1の酵素反応とを組合
せ、検体中の中性脂肪をNADH類の増加量として測定
する方法。 中性脂肪の測定法としては、Lipoprotein lipase (LPL)
により生成するグリセロールを測定する方法に基づき、
Glycerol kinase (GK)-Glycerol-3-phosphateoxidase
(GPO)法、Glycerol oxidase (GOD)法、Glycerol dehydr
ogenase (GDH)法などが知られているが、本発明の方法
によれば上記1)に記載した効果と同じ効果が得られ
る。
【0026】9)酵素反応式12の酵素反応と、酵素反
応式1の酵素反応とを組合せ、検体中のLDHの酵素活
性(乳酸からピルビン酸へ)をNADH類の増加量とし
て測定する方法。 現在用いられているLDHの測定法は、ピルビン酸やN
ADHに対するKmが小さいために生成物阻害を受けや
すく、反応直線部分が短いので正確に測定するには初速
度を測定する必要がある。それに対し、本発明の方法で
は下記の点で優れる。 反応生成物であるピルビン酸が酵素反応式1の酵素反
応により消失するので、反応直線性が向上し、長時間域
での測定が可能となる。 1モルの乳酸から2モルのNADH類が生成するため
感度が2倍になり、低活性の検体(特に、LDHのアイ
ソザイム測定等)においても正確に測定することができ
る利点を有する。
【0027】10)酵素反応式11の酵素反応と、酵素
反応式1の酵素反応とを組合せ、検体中のMDHの酵素
活性をNADH類の増加量として測定する方法。 現在、アイソザイム測定(電気泳動等)などにより、心
筋梗塞や肝疾患の場合にMDHが上昇することが知られ
ており臨床的に有用である。本発明の方法によれば、N
ADH類の生成でMDH活性を測定することができ、ま
た上記と同様に反応直線性が向上すると共に2モルのN
ADH類が生成するので、感度の向上が図れる。
【0028】11)酵素反応式8の酵素反応と、酵素反
応式1の酵素反応とを組合せ、検体中のALTの酵素活
性をNADH類の増加量として測定する方法。 現在使用されているALTの測定法は、ALTの作用に
より生成したピルビン酸を測定するLDH法やPOP法
であるが、本発明の方法によれば前記1)に記載した効
果と同じ効果が得られる。
【0029】12)酵素反応式9の酵素反応と、酵素反
応式1の酵素反応とを組合せ、検体中のASTの酵素活
性をNADH類の増加量として測定する方法。 現在使用されているASTの測定法は、ASTの作用に
より生成したオキサロ酢酸を測定するMDH法とOxaloacet
ate decarboxylase (OADC)-POP法であるが、本発明の方
法によれば前記1)に記載した効果と同じ効果が得られ
る。
【0030】13)酵素反応式1の酵素反応により、検
体中のマグネシウムイオンをNADH類の増加量として
測定する方法。 マグネシウムイオンの測定法としては、キシリジンブル
ー法、GK-G6PDH法などが知られているが、本発明の方法
による測定は共役系を必要としない点で優れるとともに
上記1)に記載した効果と同様な効果が得られる。
【0031】14)酵素反応式2の酵素反応と、酵素反
応式1の酵素反応とを組合せ、検体中のカリウムイオン
をNADH類の増加量として測定する方法。 カリウムイオンの測定法としては炎光法、電極法等が知
られている。酵素反応式2の酵素反応は活性化因子とし
てカリウムイオンを必要とするので、酵素反応式1の酵
素反応と組合せることにより、検体中のカリウムイオン
を測定することができ、この方法によれば上記1)に記
載した効果と同様な効果が得られる。
【0032】本発明において、酵素反応式1で示される
酵素反応の基質及びPDHの使用量としては酵素反応が
円滑に進行する量であればよく、測定対象となる生体物
質の種類、検体中の含量、共役させる酵素反応の種類、
反応時間及び温度などにより適宜調整されるが、PDH
の濃度は0.1〜10単位/ml程度、好ましくは0.
3〜5単位/ml程度、より好ましくは0.5〜3単位
/ml程度とされる。ピルビン酸、CoA及びNAD+
類の濃度は、これらが測定対象物質の酵素反応系から由
来するときは当然にその濃度となるが、基質として反応
系に添加する場合には、ピルビン酸の濃度は0.5〜1
0mM程度、好ましくは1〜5mM程度、CoAの濃度
は0.1〜1mM程度、好ましくは0.2〜0.5mM
程度、NAD+類の濃度は1〜10mM程度、好ましく
は2〜5mM程度とされる。また、TPPの濃度として
は、0.05〜1mM程度、好ましくは0.1〜0.5mM
程度とされ、Mg2+の濃度としては0.1〜5mM程
度、好ましくは0.5〜3mM程度とされる。
【0033】本発明の方法は、酵素反応系に悪影響を及
ぼさない適当な緩衝液(例えば、トリス−HCl緩衝
液、リン酸緩衝液、モノ又はジエタノールアミン緩衝液
等)を用いて行われる。また、測定手法は特に限定され
ず、エンドポイト法、レートアッセイ法などの適宜な手
法を用いることができる。なお、本発明の方法におい
て、検体中にLDHが存在する場合には、LDHは測定
値に影響を与えるので、LDHの測定以外の場合には、
反応系にLDH阻害剤(例えば、オキサミン酸及びその
塩、蓚酸及びその塩等)を添加する必要がある。LDH
阻害剤の添加量は、検体中のLDH含量などにより適宜
調整されるが、10〜100mM程度、好ましくは20
〜50mM程度とされる。測定対象である生体物質を含
有する検体としては、例えば、血清、血漿、尿、髄液な
どが例示される。
【0034】
【発明の効果】本発明の測定方法では、NADH類の生
成量に基づいて生体物質を測定するので測定限界が高
く、また分子吸光係数が明確になっているNADH類を
測定するので、測定値の信頼性が高い。更に、本発明の
測定方法は、検体中の還元性物質などの影響を受けない
という利点を有する。従って、本発明によれば、生体物
質を簡便にして高精度で測定することができ、自動分析
にも容易に適用することができるという効果を奏する。
【0035】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例において、PDHはブタ
心臓由来を、PKはブタ心臓由来を用いた。
【0036】実施例1ピルビン酸の定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml 測定方法:ピルビン酸ナトリウムを約13mMの水溶
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
20μlを加え、37℃、5分間加温後の340nmの
吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図1に示す
ようにピルビン酸が定量的に測定できた。
【0037】実施例2ADPの定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml 測定方法:ADPカリウムを約13mMの水溶液に調
製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成す
る。測定試薬1.0mlにADPサンプル20μlを加
え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を試薬ブ
ランクを対照に測定する。図2に示すようにADPが定
量的に測定できた。
【0038】実施例3クレアチンの定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml ATP 2.0mM CPK 2.0単位/ml(ウサギ筋肉由来) 測定方法:クレアチンを約13mMの水溶液に調製
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlにクレアチンサンプル20μlを加
え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を試薬ブ
ランクを対照に測定する。図3に示すようにクレアチン
が定量的に測定できた。
【0039】実施例4クレアチニンの定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml ATP 2.0mM CPK 2.0単位/ml(ウサギ筋肉由来) クレアチニンアミドヒドロラーゼ(C1) 100 単位/ml(微生物由来) 測定方法:クレアチニンを約14mMの水溶液に調製
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlにクレアチニンサンプル20μlを
加え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を、試
薬ブランクを対照に測定する。図4に示すようにクレア
ニチンが定量的に測定できた。
【0040】実施例5CoAの定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 100 mM pH8.0 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml ピルビン酸ナトリウム 4.0mM 測定方法:CoA−3リチウムを約14mMの水溶液
に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成
する。測定試薬1.0mlにCoAサンプル20μlを
加え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を、試
薬ブランクを対照に測定する。図5に示すようにCoA
が定量的に測定できた。
【0041】実施例6NAD+の定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 100 mM pH8.0 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA−3リチウム 0.3mM PDH 0.5単位/ml ピルビン酸ナトリウム 4.0mM 測定方法:NAD+を約14mMの水溶液に調製し、
精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。測定
試薬1.0mlにNAD+サンプル20μlを加え37
℃、5分間加温後の340nmの吸光度を、試薬ブラン
クを対照に測定する。図6に示すようにNAD+が定量
的に測定できた。
【0042】実施例7LDHの測定 測定試薬 ジエタノールアミン緩衝液 0.15M pH8.0 乳酸リチウム 30 mM TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml CoA・3リチウム 0.3mM 対照試薬 ジエタノールアミン緩衝液 0.15M pH8.0 乳酸リチウム 30 mM NAD+ 2.5mM 測定方法:測定試薬2.8mlにヒト由来LDH(L
D−1)200μlを加え、37℃、340nmの吸光
度変化を記録し、1分間当りの吸光度変化量を試薬ブラ
ンク対照に計算する。同様に、対照試薬2.8mlにヒ
ト由来LDH(LD−1)200μlを、加え37℃、
340nmの吸光度変化を記録し、1分間当り吸光度変
化量を試薬ブランク対照に計算する。各測定試薬での反
応経過を図7に示し、また1分間当りの吸光度変化量を
表1に示す。
【0043】図7に示されるように、対照試薬での反応
においては直線部分が短く、その後、生成物(ピルビン
酸)阻害を受け反応が抑制される。それに対して、本発
明の測定方法においては、生成ピルビン酸の影響を回避
できるので直線部分が長く、また感度も高い。現在使用
されているLDH測定(乳酸→ピルビン酸)は対照試薬
のように初速度しか測定することができないが、PDH
を共役させることにより長い範囲での測定が可能であり
感度が2倍に上昇する。LDHやMDHのように、NA
+又はNADP+を補酵素とし、反応系を共役させるこ
とによりピルビン酸又はCoA生成に導ける活性測定法
において、PDHを共役させることは、反応直線性の向
上と感度の上昇が得られ、低活性のものの測定に有利で
ある。
【0044】実施例8血中クレアチニンの測定 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml ATP 2.0mM CPK 2.0単位/ml(ウサギ筋肉由来) オキサミン酸カリウム 25 mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 Creatinine amidohydrolase 1000 単位/ml 測定方法:血清5μlに第1試薬315μlを加え、
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬35μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
クレアチニン標準液(5mg/dl)及び精製水につい
ても同様に測定し、その値を用いて血中クレアチニン濃
度を算出する。対照法としてJaffe法を用いた市販の試
薬を用いて、同じ検体を測定した。その結果を表2に示
す。表2に示されるようによい相関性(Y=1.007X-0.135)
を示した。
【0045】
【表2】
【0046】実施例9血中尿素窒素の測定 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH8.0 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml ATP 2.0mM KCl 10 mM KaHCO3 8.0mM オキサミン酸カリウム 25 mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH8.0 ウレアアミドリアーゼ 30 単位/ml 測定方法:血清3μlに第1試薬360μlを加え、
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬40μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
尿素窒素標準液(30mg/dl)及び精製水について
も同様に測定し、その値を用いて血中尿素窒素濃度を算
出する。対照法としてGLDH−ウレアーゼ法を用いた
市販の試薬を用いて同じ検体を測定した。その結果を表
3に示す。表3に示されるようによい相関性(Y=1.007X-
1.309)を示した。
【0047】
【表3】
【0048】実施例10血中シアル酸の測定 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml Neuraminidase (ND) 2.0単位/ml オキサミン酸カリウム 25 mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 N-Acetylneuraminate aldolase (NAL) 200単位/ml 測定方法:血清7μlに第1試薬315μlを加え、
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬35μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
シアル酸標準液[N−アセチルノイラミン酸(NANA)10
0mg/dl]及び精製水についても同様に測定し、そ
の値を用いて血中シアル酸濃度を算出する。対照法とし
てND−NAL−LDH法を用いた市販品を用いて、同
じ検体について測定した。その結果を表4に示す。表4
に示されるようによい相関性(Y=1.052X-2.753)を示し
た。
【0049】
【表4】
【0050】実施例11血中中性脂肪の測定 測定試薬 第1試薬 リン酸緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml ATP 2.0mM GK 1.0単位/ml オキサミン酸カリウム 25 mM トライトンX−100 0.03%(W/V) 第2試薬 リン酸緩衝液 50 mM pH7.5 リポプロテイン リパーゼ 1500 単位/ml 測定方法:血清5μlに第1試薬360μlを加え、
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬40μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
TG標準液(200mg/dl)及び精製水についても
同様に測定し、その値を用いて血中中性脂肪濃度を算出
する。対照法としてLPL−GK−GPO法を用いた市
販の試薬を用いて、同じ検体を測定した。その結果を表
5に示す。表5に示されるようによい相関性(Y=0.962X+
1.495)を示した。
【0051】
【表5】
【0052】実施例12血中LDHの測定 測定試薬 第1試薬 ジエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 L−Lactate 75 mM TPP 0.3mM MgCl2 1.5mM PDH 2.0単位/ml CoA・3リチウム 0.3mM 第2試薬 ジエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 NAD+ 30 mM 対照試薬 第1試薬 ジエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 L−Lactate 75 mM 第2試薬 ジエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 NAD+ 30 mM 測定方法:血清8μlに第1試薬320μlを加え、
37℃、5分間加温後、第2試薬80μlを加え37℃
で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの340n
mの吸光度変化を測定する。同様に、精製水でも操作
し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化量を算
出する。対照試薬も同様に操作するが、第2試薬添加
後、37℃で30秒から2分までの反応直線部分(初速
度)の1分間当りの340nmの吸光度変化量を算出す
る。 その結果を表6に示す。表6に示されるようによ
い相関性(Y=2.092X-0.001)を示した。
【0053】
【表6】
【0054】実施例13血中MDHの測定 測定試薬 第1試薬 モノエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 NAD+ 7.0mM TPP 0.3mM MgCl3 1.5mM PDH 2.0単位/ml CoA・3リチウム 0.3mM オキサミン酸カリウム 35 mM 第2試薬 モノエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 L−Malate 0.2M オキサロ酢酸脱炭酸酵素 50単位/ml 対照試薬 第1試薬 モノエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 NAD+ 7.0mM 第2試薬 モノエタノールアミン緩衝液 0.3M pH8.8 L−Malate 0.2M 測定方法:血清14μlに第1試薬280μlを加
え、37℃、5分間加温する(この時、内因性のピルビ
ン酸の消去を行う)。その後、第2試薬70μlを加え
37℃で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの3
40nmの吸光度変化を測定する。同様に、精製水でも
操作し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化量
を算出する。対照試薬も同様に操作し、検体の1分間当
りの340nmの吸光度変化量を算出する。その結果を
表7に示す。表7に示されるように、よい相関性(Y=2.0
04X)を示した。
【0055】
【表7】
【0056】実施例14血中MDH測定の再現性 測定試薬 実施例12に同じ。 測定方法 実施例12に同じ。同一検体について、10回測定す
る。その結果を表8に示す。表8に示されるように、高
感度となることにより再現性もよくなる。
【0057】
【表8】
【0058】実施例15血中ALTの測定 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 0.1M pH7.5 オキサミン酸カリウム 35 mM L−アラニン 350 mM NAD+ 3.0mM TPP 0.3mM MgCl2 1.5mM PDH 2.0単位/ml CoA・3リチウム 0.3mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 0.1M pH7.5 α−ケトグルタル酸 50 mM 測定方法:血清15μlに第1試薬350μlを加
え、37℃、5分間加温する(この時、内因性のピルビ
ン酸の消去を行う)。その後、第2試薬100μlを加
え37℃で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの
340nmの吸光度変化を測定する。同様に、精製水で
も操作し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化
量を算出する。また、NADHの見かけの分子吸光係数
を用いて求めたFactor(4984)を乗じ、ALT活性(IU
/L)を導く。対照法としてLDH法を用いた市販の試
薬を用いてALT活性(IU/L)を求める。その結果
を表9に示す。表9に示されるようによい相関性(Y=0.9
57X+1.029)を示した。
【0059】
【表9】
【0060】実施例16血中ASTの測定 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 0.1M pH7.8 オキサミン酸カリウム 35 mM L−アスパラギン酸 270 mM NAD+ 3.0mM TPP 0.3mM MgCl2 1.5mM PDH 2.0単位/ml CoA・3リチウム 0.3mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 0.1M pH7.8 α−ケトグルタル酸 50 mM 測定方法:血清15μlに第1試薬350μlを加
え、37℃、5分間加温する(この時、内因性のピルビ
ン酸の消去を行う)。その後、第2試薬100μlを加
え37℃で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの
340nmの吸光度変化を測定する。同様に、精製水で
も操作し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化
量を算出する。また、NADHの見かけの分子吸光係数
を用いて求めたFactor(4984)を乗じ、AST活性(IU
/L)を導く。対照法としてMDH法を用いた市販の試
薬を用いてAST活性(IU/L)を求める。その結果
を表10に示す。表10に示されるようによい相関性(Y
=0.934X+0.847)を示した。
【0061】
【表10】
【0062】実施例17ピルビン酸の定量 (チオ−NAD+を用いた例) 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM チオ−NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml 測定方法:ピルビン酸ナトリウムを約13mMの水溶
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
10μlを加え、37℃、5分間加温後の405nmの
吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図8に示す
ようにピルビン酸が定量的に測定できた。
【0063】実施例18チオ−NAD+の定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 100 mM pH8.0 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM PDH 0.5単位/ml ピルビン酸ナトリウム 4.0mM 測定方法:チオ−NAD+を約7mMの水溶液に調製
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlにチオ−NAD+サンプル10μl
を加え、37℃、5分間加温後の405nmの吸光度
を、試薬ブランクを対照に測定する。図9に示すように
チオ−NAD+が定量的に測定できた。
【0064】実施例19血中尿素窒素の測定 (チオ−NAD+を使用する方法) 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH8.0 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM チオ−NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml PEP 1.25mM PK 2.0単位/ml ATP 2.0mM KCl 10 mM KaHCO3 8.0mM オキサミン酸カリウム 25 mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH8.0 ウレアアミドリアーゼ 30 単位/ml 測定方法:血清5μlに第1試薬360μlを加え、
37℃、5分間加温後、436nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬40μlを加え、37℃、5分
間加温し、436nmの吸光度(A2)を測定する。A1
とA2より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
尿素窒素標準液(30mg/dl)及び精製水について
も同様に測定し、その値を用いて血中尿素窒素濃度を算
出する。対照法としてGLDH−ウレアーゼ法を用いた
市販の試薬を用いて同じ検体を測定した。その結果を表
11に示す。表11に示されるようによい相関性(Y=1.0
06X-0.658)を示した。
【0065】
【表11】
【0066】実施例20ピルビン酸の定量 (3−アセチル−NAD+を使用する
方法) 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM 3−アセチル−NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml 測定方法:ピルビン酸ナトリウムを約13mMの水溶
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
20μlを加え、37℃、10分間加温後の340nm
の吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図10に
示すようにピルビン酸が定量的に測定できた。
【0067】実施例21ピルビン酸の定量 (デアミノ−NAD+を使用する方
法) 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM CoA・3リチウム 0.3mM デアミノ−NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml 測定方法:ピルビン酸ナトリウムを約13mMの水溶
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
20μlを加え、37℃、20分間加温後の340nm
の吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図11に
示すようにピルビン酸が定量的に測定できた。
【0068】実施例22マグネシウムイオンの定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM CoA・3リチウム 0.5mM NAD+ 2.5mM PDH 0.5単位/ml ピルビン酸ナトリウム 4.0mM 測定方法:塩化マグネシウムを約10mMの水溶液に
調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成す
る。測定試薬1.0mlに上記塩化マグネシウムサンプ
ル10μlを加え、37℃での2〜5分時の340nm
における1分間当りの吸光度変化量を試薬ブランクを対
照に測定する。図12に示すようにマグネシウムイオン
が定量的に測定できた。
【0069】実施例23カリウムイオンの定量 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM ADP 3.0mM CoA・3リチウム 0.5mM NAD+ 2.5mM PEP 1.0mM PK 0.1単位/ml PDH 0.5単位/ml 測定方法:塩化カリウムを約10mMの水溶液に調製
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlに上記塩化カリウムサンプル10μ
lを加え、37℃での2〜5分時の340nmにおける
1分間当りの吸光度変化量を試薬ブランクを対照に測定
する。図13に示すようにカリウムイオンが定量的に測
定できた。
【0070】実施例24血中コリンエステラーゼの測定 測定試薬 第1試薬 トリス−HCl緩衝液 0.1 M pH8.0 TPP 0.2 mM MgCl2 12.5 mM CoA・3リチウム 0.2 mM NAD+ 3.0 mM PDH 1.0 単位/ml PEP 1.25mM PK 5.0 単位/ml ATP 1.25mM KCl 0.2 M システイン 15 mM コリンキナーゼ 1 単位/ml(酵母由来) オキサミン酸カリウム 25 mM 第2試薬 トリス−HCl緩衝液 75 mM pH7.5 o−ヒドロキシベンゾイルコリン 5 mM 測定方法:検体4μlに第1試薬280μlを加え、
37℃、5分間加温する。つぎに第2試薬70μlを加
え、37℃で1分〜5分の反応直線部分の1分間当りの
340nmの吸光度変化量(A)を求める。検体の代り
に精製水を用い、同様な操作を行い、1分間当りの34
0nmの吸光度変化量を(B)を求め、下式によりコリ
ンエステラーゼ活性値(U/L)を算出する。 ここで、検体としてコリンエステラーゼを高値に含む血
清を1/10、1/5、2/5、3/5、4/5、5/
5に希釈して用い、検量線を作成した。その結果を図1
4に示す。図14に示されるように良好な直線性に示し
た。次に、対照法として、DMBT(2,3−ジメトキ
シベンゾイルチオコリンヨーダイト)を用いた市販の試
薬を用いて、同じ検体についてコリンエステラーゼ活性
値(U/L)を求めた。その結果を表12に示す。表1
2に示されるように、よい相関性[相関係数(r)=
0.991]を示した。
【0071】
【表12】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によるピルビン酸の測定の検量線
を示す図である(NAD+類としてNAD+を使用)。
【図2】本発明の方法によるADPの測定の検量線を示
す図である(NAD+類としてNAD+を使用)。
【図3】本発明の方法によるクレアチンの測定の検量線
を示す図である(NAD+類としてNAD+を使用)。
【図4】本発明の方法によるクレアチニンの測定の検量
線を示す図である(NAD+類としてNAD+を使用)。
【図5】本発明の方法によるCoAの測定の検量線を示
す図である(NAD+類としてNAD+を使用)。
【図6】本発明の方法によるNAD+の測定の検量線を
示す図である。
【図7】本発明の方法及び従来法によるLDHの測定例
を示す図である。
【図8】本発明の方法によるピルビン酸の測定の検量線
を示す図である(NAD+類としてチオ−NAD+を使
用)。
【図9】本発明の方法によるチオ−NAD+の測定の検
量線を示す図である。
【図10】本発明の方法によるピルビン酸の測定の検量
線を示す図である(NAD+類として3−アセチル−N
AD+を使用)。
【図11】本発明の方法によるピルビン酸の測定の検量
線を示す図である(NAD+類としてデアミノ−NAD+
を使用)。
【図12】本発明の方法によるマグネシウムイオンの測
定の検量線を示す図である(NAD+類としてNAD+
使用)。
【図13】本発明の方法によるカリウムイオンの測定の
検量線を示す図である(NAD+類としてNAD+を使
用)。
【図14】本発明の方法による血中コリンエステラーゼ
活性の測定例を示す図である(NAD+類としてNAD+
を使用)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素反応を用いて生体物質を測定す
    る方法において、ピルビン酸脱水素酵素の存在下、NA
    +類をNADH類に還元する反応を用い、NADH類
    の生成量に基づいて生体物質を測定することを特徴とす
    る生体物質の測定方法。
  2. 【請求項2】 生体物質が、ピルビン酸、コエンザ
    イムA(CoA)又はNAD+類である請求項1記載の
    生体物質の測定方法。
  3. 【請求項3】 生体物質が、ピルビン酸、CoA又
    はNAD+類を生成する酵素反応系の基質であり、当該
    基質量を測定する請求項1記載の生体物質の測定方法。
  4. 【請求項4】 生体物質が、アデノシンジホスフェ
    ート(ADP)、尿素窒素、クレアチン、クレアチニ
    ン、遊離脂肪酸、シアル酸、中性脂肪、リン脂質又はア
    ミノ酸である請求項3記載の生体物質の測定方法。
  5. 【請求項5】 生体物質が、ピルビン酸、CoA又
    はNAD+類を生成する酵素反応系の酵素であり、当該
    酵素の活性を測定する請求項1記載の生体物質の測定方
    法。
  6. 【請求項6】 生体物質が、ピルベートキナーゼ
    (PK)、コリンエステラーゼ(ChE)、クレアチン
    ホスフェートキナーゼ(CPK)、マレートデヒドロゲ
    ナーゼ(MDH)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(LD
    H)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又
    はアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)
    である請求項5記載の生体物質の測定方法。
  7. 【請求項7】 生体物質が、ピルビン酸、CoA又
    はNAD+類を生成する酵素反応系の酵素の補欠分子族
    又は活性化因子である請求項1記載の生体物質の測定
    法。
  8. 【請求項8】 生体物質が、マグネシウムイオン、
    カリウムイオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、
    ナトリウムイオン、クロルイオン又は炭酸水素イオンで
    ある請求項7記載の生体物質の測定法。
  9. 【請求項9】 酵素反応を用いて生体物質を測定す
    る方法において、当該方法がピルビン酸又はCoAとN
    ADH類を生成する酵素反応又はこの酵素反応を含む反
    応系からなるとき、ピルビン酸脱水素酵素の存在下、N
    AD+類をNADH類に還元する反応を、上記酵素反応
    又は酵素反応系と共役させることにより、生成したピル
    ビン酸又はCoAを消費すると共にNADH類生成量を
    増加させ、NADH類の生成量に基づいて生体物質を測
    定することを特徴とする生体物質の測定方法。
  10. 【請求項10】 測定対象である生体物質が、マレ
    ートデヒドロゲナーゼ(MDH)、ラクテートデヒドロ
    ゲナーゼ(LDH)又はアラニンデヒドロゲナーゼであ
    る請求項9記載の生体物質の測定方法。
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