JP3036711B2 - 乳酸またはピルビン酸の高感度定量法および定量用組成物 - Google Patents

乳酸またはピルビン酸の高感度定量法および定量用組成物

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JP3036711B2 JP3145379A JP14537991A JP3036711B2 JP 3036711 B2 JP3036711 B2 JP 3036711B2 JP 3145379 A JP3145379 A JP 3145379A JP 14537991 A JP14537991 A JP 14537991A JP 3036711 B2 JP3036711 B2 JP 3036711B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨床生化学検査、食品
検査等におけ乳酸またはピルビン酸、あるいはこれら
を反応生成物とする物質の新規な高感度定量法および定
量用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】血中乳酸の測定は、嫌気的解糖系の指標
として代謝異常のみならず循環障害でも変動し、これら
疾患の病態把握に重要である。酵素法を用いた測定法と
ては、(1)乳酸デヒドロゲナーゼを用いるもの、
(2)乳酸オキシダーゼを用いるものとがある。このう
ち(1)の方法は、L−乳酸+NAD+ →ピルビン酸+
NADH+H+ の反応を行わせ、還元型NADの増加を
定量して乳酸量を求めるのであるが、この反応は生理的
pHでは平衡が左に傾いているので、(イ)pH9、1
0のアルカリ性反応液を用いる、(ロ)NADを過剰に
添加する、(ハ)セミカルバジンを添加しピルビン酸を
除去する、などの方法で、反応を右方へ進める必要があ
る。また、(2)の方法は、乳酸オキシダーゼによって
生成した過酸化水素を検出するもので、ペルオキシダー
ゼを用い色原体の存在下に比色定量するものである
が、還元物質の影響をうけやすいという欠点がある。ま
た、酵素電極による測定についても報告されている(日
本臨床化学会年会記録、第25集、p70、1985
年)。
【0003】一方、ピルビン酸は多種にわたる代謝経路
の交差点に位置し、種々の病態を反映することが知られ
ており、一般には乳酸デヒドロゲナーゼ(日本臨床、第
47巻、p496、1989年)やピルビン酸オキシダ
ーゼ(米国特許第4,246,342号明細書、特公昭
61−14794号公報)を用いて測定されている。し
かしながら、ピルビン酸はもともと血中で34〜102
μmol/l と少量であるため、より高感度な測定法が
望まれている。そのため、酵素サイクリング法を用いた
定量法が報告されている(臨床化学、15巻、p270
−276、1986年)。この方法は、D−アミノ酸オ
キシダーゼ(EC 1.4.3.3)、D−アラニンア
ミノトランスフエラーゼ(EC 2.6.1.21)を
用いる方法であり、従来法に比べて高感度になってい
る。
【0004】また、乳酸は、ある種の微生物において
は、乳酸醗酵によりD体が生じることが既に知られてお
り、D−乳酸に特異的に働くD−乳酸デヒドロゲナーゼ
を用いた測定キットも市販されている。
【0005】一般に、酵素を用いて分析を行う場合、測
定しようとする対象物質を、分光学的に検出可能な過酸
化水素や還元型NAD(P)等に変換することが行わ
れ、この場合、検出可能な物質の量は化学量論的に測定
対象物と等しくなる。現在、この検出可能な物質を測定
する方法としては、分光分析機器を用いる方法が最も普
及しているが、これも感度上に限界があり、測定対象物
の含量が少ない場合適さないという欠点があった。そこ
で、測定対象物の含量が少ない場合や、測定対象物を含
む被検体が少量の場合等は、分光分析よりも感度の優れ
た蛍光分析、発光分析等が行われている。しかしなが
ら、これらの方法も臨床検査等の汎用検査においては、
機器の普及という点からはあまり適したものではなかっ
た。
【0006】また、微量の物質を測定するその他の方法
としては、該物質が等量の補酵素等に変換できる場合、
2種類の酵素を用いて補酵素等を増幅する、いわゆる酵
素サイクリング法が知られている。例えば、NADサイ
クリング、CoAサイクリング、ATPサイクリングな
どがあるが、これらの方法は臨床検査等のルーチン分析
においては、操作が煩雑なため、殆ど用いられていない
のが現状であった。前述のピルビン酸の酵素サイクリン
グ反応も、反応により蓄積される過酸化水素またはアン
モニアを更に検出のための反応系と連結させなければな
らないという欠点を有する。
【0007】高感度測定法がもたらす利点としては、測
定対象物の含量が少ない場合はもとより、測定に必要な
検体量を減らすことができるため、例えば血清のように
種々の成分を含むものを被検体に用いる場合は、その測
定系に及ぼす共存物質の影響を小さくすることができ
る。また、ある限られた被検体量で検査できる項目数を
増やすことも可能である。更に、検体が人血液である場
合などは、採血量を減らすことができるため、被採血者
への心理的な負担を軽減することもできるし、廃棄物の
減少により環境汚染を軽減することに貢献することにも
なる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のごとく乳酸、ま
たはピルビン酸の測定法は種々報告され、ピルビン酸に
ついては酵素サイクリング法による高感度な測定法も報
告されているが、更に簡便で高感度な方法が望まれてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点につき鋭意検討した結果、乳酸またはピルビン酸の
定量において、チオNAD類と、NAD類との補酵素に
作用する乳酸デヒドロゲナーゼを用い、かつチオニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下、チオNAD
類という)とニコチンアミドアデニンジヌレオチド類
(以下、NAD類という)との二種の補酵素を用いるこ
とにより、乳酸とピルビン酸とのサイクリング反応を形
成することを見出し、更にこの反応における吸光度の測
定に際し、NADのアナログであるチオNADとNAD
の還元型吸収波長がそれぞれ400nm付近、340n
m付近と異なつていることを利用し、他物質の吸収波長
の混雑が回避できる酵素サイクリング反応が実施でき、
高感度な測定が可能であることを確認し、本発明を完成
するに至った。即ち、乳酸デヒドロゲナーゼを用いた酵
素サイクリング反応を実施するに当り、二種類の補酵素
の一つにチオNAD類、他方にNAD類を使用して、ど
ちらか一方の補酵素の変化量のみを分別定量するもの
で、その結果、乳酸またはピルビン酸を高感度に測定で
きるものである。
【0010】本発明は、上記のような知見に基づいて完
成されたものであって、乳酸またはピルビン酸を含有す
る被検液に、(1)チオNAD類と、NAD類を補酵素
とし、少なくとも乳酸を基質としてピルビン酸を生成す
る可逆反応をなす乳酸デヒドロゲナーゼ、(2)A1、
(3)B1、
【0011】(式中、A1はチオNAD類またはNAD
類を示し、A2はA1の還元型生成物を示し、B1はA
1がチオNAD類のときは還元型NAD類を、A1がN
AD類のときは還元型チオNAD類を示し、B2はB1
の酸化型生成物を示す)で表されるサイクリング反応を
形成せしめ、該反応によって変化するA2またはB1の
量を測定することを特徴とする乳酸またはピルビン酸の
高感度定量法を提供するものである。
【0012】更にまた本発明は、次の成分(1)〜
(3) (1)チオNAD類と、NAD類とを補酵素とし、少な
くとも乳酸を基質としてピルビン酸を生成する可逆反応
をなす乳酸デヒドロゲナーゼ、(2)A1、(3)B
1、
【0013】(式中、A1はチオNAD類またはNAD
類を示し、A2はA1の還元型生成物を示し、B1はA
1がチオNAD類のときは還元型NAD類を、A1がN
AD類のときは還元型チオNAD類を示し、B2はB1
の酸化型生成物を示す)を含有することを特徴とする乳
酸またはピルビン酸の定量用組成物を提供するものであ
る。
【0014】本発明において用いられる、乳酸デヒドロ
ゲナーゼとは少なくとも、L−乳酸+NAD+ =ピルビ
ン酸+NADH+H+ またはD−乳酸+NAD+ =ピル
ビン酸+NADH+H+ なる反応を触媒するものであっ
て、チオNAD類およびNAD類を補酵素とするものな
ら特に限定されない。
【0015】本酵素の具体例としては、EC 1.1.
1.27のL−乳酸を基質とする酵素、EC 1.1.
1.28のD−乳酸を基質とする酵素が挙げられる。E
C1.1.1.27の酵素は、補酵素(チオ)NAD類
に特異的であり、動物の心、肝、腎、筋肉、血球などに
広く分布している。酵素分子は、心筋型、骨格筋型の2
種類の異なつたサブユニツトからなる4量体で5種類の
アイソザイムがある。このうち、肝、骨格筋などは骨格
筋型サブユニツトを多く含み、心筋には心筋型サブユニ
ツトを多く含んでいる。ブタ筋肉、ブタ心、ウサギ筋肉
由来の酵素が市販されている。EC 1.1.1.28
の酵素は大腸菌、カビ、乳酸菌等に見出されており、E
C 1.1.1.27の酵素と同様、(チオ)NAD類
に特異的である。
【0016】ラクトバチルス ライヒマンニ(Lact
obacillus leichmannii)、ロイ
コノストツク メセンテロイデス(Leuconost
ocmesenteroides)、スタフイロコツカ
ス エピデルミデイス(Staphylococcus
epidermidis)等由来の酵素が市販されて
いる。これらの酵素のうち、例えばEC 1.1.1.
27の酵素で、ベーリンガーマンハイム社より市販され
ているブタ筋肉由来の酵素の補酵素に対する相対活性は
100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.9)では、NA
Dを用いた時を100%とすると、チオNADで33
%、デアミノNADでは54%、アセチルNADでは1
4%であつた。
【0017】また、ラクトバチルス プランタラム(L
actobacillus plantarum)由来
の、L−乳酸デヒドロゲナーゼは同様にNADを用いた
時を100%とすると、チオNADでは185%、同じ
菌由来のD−乳酸デヒドロゲナーゼについてはチオNA
Dに対しては52%である。(Methods inE
nzymology,5,426,1962)。その他
の起源の酵素についても適宜の系に使用可能であり、補
酵素(チオ)NAD類に対する特異性は、基質である乳
酸に対して反応性を有するものであればよく、これらの
補酵素と基質を用いて確認できる。
【0018】又、A1およびB2で示される補酵素は、
チオNAD類、NAD類を示すが、チオNAD類として
は、例えばチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(チオNAD)、チオニコチンアミドヒポキサンチンジ
ヌクレオチドが挙げられる。又、NAD類としては、ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセ
チルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNA
D)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチ
ド、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デ
アミノNAD)が挙げられる。
【0019】本発明のA1およびB1において例えばA
1がチオNAD類である場合、B1は還元型NAD類で
あることが必要であり、A1およびB1の関係において
一つのチオ型補酵素を使用するものである。
【0020】本発明の高感度定量法を用いれば、被検液
中にもともと含有されている乳酸またはピルビン酸を測
定することができるが、更に、これらの物質を遊離また
は生成する酵素系における基質や、その酵素活性を測定
することもできる。更に、本発明の高感度定量法を用い
れば、上記のような乳酸またはピルビン酸を遊離、また
は生成する酵素系と連結し得る、単一の、もしくは複数
の工程からなる酵素系における基質や、その酵素活性を
も測定することができる。これらの酵素系は、特に限定
されるものではないが、例えば以下に示す種々の酵素の
反応系が挙げられる。
【0021】(1)ADP、ホスホエノールピルビン酸
とピルビン酸キナーゼ(EC 2.7.1.40)の酵
素反応系によって遊離、生成するピルビン酸を定量する
ためのもので、ADP、ホスホエノールピルビン酸の定
量、またはピルビン酸キナーゼの活性測定のための反応
系。 ●ホスホエノールピルビン酸+ADP→ピルビン酸+A
TP
【0022】(2)L−アラニン、2−オキソグルタル
酸とアラニンアミノトランスフエラーゼ(EC 2.
6.1.2)の酵素反応系によって遊離、生成するピル
ビン酸を定量するためのもの。 ●L−アラニン+2−オキソグルタル酸→L−グルタミ
ン酸+ピルビン酸
【0023】(3)上記(1)の酵素反応系におけるA
DPが、グリセロール、ATPとグリセロールキナーゼ
(EC 2.7.1.30)の酵素反応系由来である場
合。 ●グリセロール+ATP→グリセロール−3−リン酸+
ADP
【0024】(4)上記(1)の酵素反応系におけるA
DPが、クレアチン、ATPとクレアチンキナーゼ(E
C 2.7.3.2)の酵素反応系である場合。 ●クレアチン+ATP→クレアチンリン酸+ADP
【0025】(5)上記(1)の酵素反応系におけるA
DPが、NH3 、L−グルタミン酸、ATPとグルタミ
ンシンセターゼ(EC 6.3.1.2)の酵素反応系
由来である場合。 ●NH3 +L−グルタミン酸+ATP→L−グルタミン
+ADP+
【0026】(6)上記(3)の酵素反応系におけるグ
リセロールが、モノ、ジ、またはトリグリセライドとリ
パーゼ(EC 3.1.1.3)の酵素反応系由来であ
る場合。 ●グリセライド+nH2 O→n脂肪酸+グリセロール
【0027】(7)上記(4)の酵素反応系におけるク
レアチンが、クレアチニンとクレアチニナーゼ(EC
3.5.2.10)の酵素反応系由来である場合。 ●クレアチニン+H2 O→クレアチン
【0028】(8)N−アセチルノイラミン酸とN−ア
セチルノイラミン酸アルドラーゼ(EC 4.1.3.
3)の酵素反応系によつて遊離、生成するピルビン酸を
定量するためのもの。 ●N−アセチルノイラミン酸→N−アセチルマンノサミ
ン+ピルビン酸
【0029】(9)(8)のN−アセチルノイラミン酸
が、結合型シアル酸とノイラミニダーゼ(EC 3.
2.1.18)の酵素反応系由来である場合。 ●結合型シアル酸+H2 O→遊離シアル酸(N−アセチ
ルノイラミン酸)+R −
OH
【0030】本発明の乳酸またはピルビン酸定量用組成
物においては、A1およびB1の濃度は0.02〜10
0mM、特に0.05〜20mMが好ましく、乳酸デヒ
ドロゲナーゼの量は1〜1000u/ml、特に2〜40
0u/mlが好ましいが、その量は被検体の種類等により
適宜決定することができ、これ以上の量を用いることも
できる。
【0031】A1およびB1の量は、被検体中の乳酸ま
たはピルビン酸の合計量に比較して過剰量であること、
かつ乳酸デヒドロゲナーゼのA1及びB1それぞれに対
するKm値に比較して過剰量であることが必要であり、
特に乳酸またはピルビン酸の合計量の20〜10000
倍モルが好ましい。
【0032】反応液組成については、使用する乳酸デヒ
ドロゲナーゼの各種補酵素間の相対活性等を考慮して二
種の補酵素を適宜選択し、その後正反応/逆反応の至適
pH条件を酵素サイクリング反応が効率よく進行するよ
うに設定すればよい。これら使用する酵素は単独でも、
あるいは適宜2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】斯くして、調製された本発明の乳酸または
ピルビン酸定量用組成物によって被検体中の乳酸または
ピルビン酸を測定するには、上記成分(1)〜(3)を
含有する組成物に、被検体0.001〜0.5mlを加
え、約37℃の温度にて反応させ、反応開始一定時間後
の2点間の数分ないし数十分間、例えば3分後と4分後
の1分間、または3分後と8分後の5分間における生成
されたA2の量または消費されたB1の量を、それぞれ
の吸収波長に基づく吸光度の変化によつて測定すればよ
い。
【0034】例えば、A2がチオNADH、B1がNA
DHの場合、A2の生成を400nm付近の吸光度の増
加により測定するか、あるいはB1の消費を340nm
付近の吸光度の減少により測定し、既知濃度の乳酸また
はピルビン酸を用いて測定したときの値と比較すれば、
被検液中の乳酸またはピルビン酸量をリアルタイムで求
めることができる。
【0035】また、被検体中に乳酸とピルビン酸が共存
している場合は、本発明定量法によれば、これら合計量
として定量される。即ち、L−乳酸とピルビン酸が共存
している場合には、L−乳酸に特異的なEC 1.1.
1.27を用いて、これらの合計量が、またD−乳酸と
ピルビン酸が共存している場合には、D−乳酸に特異的
なEC 1.1.1.28を用い、これらの合計量が測
定される。個々の成分の値を測定したい場合には、被検
体をあらかじめどちらかの成分のみに作用する酵素によ
つて消去する等の前処理をしたのち、酵素サイクリング
反応に導けばよい。
【0036】例えば、ピルビン酸オキシダーゼ(EC
1.2.3.3)により前処理を行えばピルビン酸はア
セチルリン酸に転換されるので、引続き本発明による酵
素サイクリング反応を実施することにより乳酸のみを定
量することができる。また、乳酸とピルビン酸の合計量
から前記乳酸の量を差し引くことにより、ピルビン酸の
みの定量値を算出することもできる。更に、D−乳酸、
L−乳酸、ピルビン酸が共存している場合にも、ピルビ
ン酸オキシダーゼ、L−乳酸デヒドロゲナーゼ、D−乳
酸デヒドロゲナーゼを適宜選択し、組み合わせて用いれ
ばそれぞれ個々の量を算出することができる。
【0037】又、本発明定量法は、被検液中の乳酸また
はピルビン酸そのものを酵素サイクリング反応に導くも
のであり、被検液中の共存物質の影響を受けにくいた
め、被検液のブランク測定を省略することができ、レイ
トアツセイによる簡便な測定を成し得る。なお、本発明
においてはA2またはB1の測定に当り、吸光度測定の
代わりに他の公知の測定法を使用して定量を行うことも
できる。
【0038】
【発明の効果】上述のごとく、本発明は還元型の吸収波
長の異なる補酵素を用いるため測定誤差が生じず、ま
た、酵素のサイクリング反応を組合せることによつて感
度を増大させることができるため、少量の検体で迅速か
つ正確に被検体中の乳酸またはピルビン酸を定量するこ
とができる。
【0039】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて具体的に述べ
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例 1 L−乳酸の定量 <反応液> 40 mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5) 2 mM チオNAD(シグマ社製) 0.2 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 250u/ml L−乳酸デヒドロゲナーゼ(オリエンタル酵母工業社製:ブ タ心臓由来)
【0040】<操作> 上記試薬1mlをキユベツトにとり、0、20、40、6
0、80、100μMのL−乳酸溶液をそれぞれ20μ
l 添加し、37℃にて反応を開始させた。反応開始後、
3分目と5分目の400nmにおける吸光度を読み取
り、その差を求めた。その結果を図1に示した。図1か
ら明らかなように、L−乳酸量に対する吸光度変化量は
良好な直線性を示した。
【0041】実施例 2 ピルビン酸の定量 <反応液> 50 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.9) 3 mM チオNAD(シグマ社製) 0.2 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 340u/ml L−乳酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガーマンハイム社製: ブタ筋肉由来)
【0042】<操作> 上記の試薬1mlをキユベツトにとり、0、10、20、
30、40、50μMのピルビン酸カリウム溶液をそれ
ぞれ20μl 添加し、37℃にて反応を開始させた。反
応開始後、2分目と5分目の400nmにおける吸光度
を読み取り、その差を求めた。その結果を図2に示し
た。図2から明らかなように、ピルビン酸カリウム量に
対する吸光度変化量は良好な直線性を示した。
【0043】実施例 3 血清中L−乳酸、ピルビン酸合計量の定量 <反応液> 50 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.9) 3 mM チオNAD(シグマ社製) 0.2 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 0.1 % トリトン X−100 260u/ml L−乳酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガーマンハイム社製: ブタ筋肉由来)
【0044】<操作> 上記試薬1mlをキユベツトにとり、3種類の正常新鮮人
血清をそれぞれ5μl添加し、37℃にて反応を開始さ
せた。反応開始後3分目と5分目の400nmにおける
吸光度を読み取り、その差を求めた。別に標準液として
200μmol/l のピルビン酸カリウム溶液を、また
試薬ブランクとして血清の代わりに蒸留水をそれぞれ5
μl 用い、同様の操作を行った。次の計算式によりそれ
ぞれの血清中のL−乳酸とピルビン酸の合計量を算出
し、その結果を表1に示した。
【0045】
【式1】
【0046】
【表1】
【0047】実施例 4 血清中L−乳酸、ピルビン酸の分画定量 <反応液(1)> 20 mM リン酸緩衝液(pH6.7) 0.2 mM チアミンピロリン酸 0.5 mM 塩化マンガン 0.1 % トリトン X−100 20u/ml ピルビン酸オキシダーゼ(東洋醸造社製:ペデイオコツカス エスピー(Pediococcus sp.)由来)
【0048】 <反応液(2)> 100 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.9) 6 mM チオNAD(シグマ社製) 0.4 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 0.1 % トリトン X−100 20 mM EDTA 20 mM クエン酸ナトリウム 520u/ml L−乳酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガーマンハイム社製: ブタ筋肉由来)
【0049】<操作> 反応液(1)0.5mlをキユベツトにとり、実施例3に
用いた3種類の正常新鮮人血清をそれぞれ5μl 添加
し、37℃にて5分間反応を実施し、内在性のピルビン
酸を消去した。その後、反応系(2)を0.5ml添加
し、37℃にて酵素サイクリング反応を開始させた。反
応液(2)添加後の3分目と5分目の400nmにおけ
る吸光度を読み取り、その差を求めた。
【0050】別に、標準液として200μmol/l の
ピルビン酸カリウム溶液を、また試薬ブランクとして血
清の代わりに蒸留水をそれぞれ5μl 用い、同様の操作
を行った。実施例3と同様の計算式によりそれぞれの血
清中のL−乳酸量を算出し、実施例3の結果から、この
値を差し引くことにより、ピルビン酸量を求めた。その
結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】実施例 5 血清中ピルビン酸の定量 <反応液> 50 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.9) 2 mM チオNAD(シグマ社製) 0.2 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 0.1 % トリトン X−100 280u/ml D−乳酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガーマンハイム社製: ラクトバチルス ライヒマンニ(Lactobacillu s leichmannii)由来)
【0053】<操作> 上記試薬1mlをキユベツトにとり、実施例3に用いたも
のと同じ3種類の正常新鮮人血清をそれぞれ10μl 添
加し、37℃にて反応を開始させた。反応開始後2分目
7分目の400nmにおける吸光度を読み取り、その差
を求めた。別に、標準液として50μmol/l のピル
ビン酸カリウム溶液を、また試薬ブランクとして血清の
代わりに蒸留水をそれぞれ10μl 用い、同様の操作を
行った。実施例3と同様の計算式によりそれぞれの血清
中のピルビン酸量を算出し、その結果を表3に示した。
【0054】
【式2】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】L−乳酸の定量曲線である。
【図2】ピルビン酸の定量曲線である。
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Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に、(1)チオニコチンアミドア
    デニンジヌクレオチド類(以下、チオNAD類という)
    と、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下、
    NAD類という)とを補酵素とし、少なくとも乳酸を基
    質としてピルビン酸を生成する可逆反応をなす乳酸デヒ
    ドロゲナーゼ、(2)A1、(3)B1、を含有する試
    薬を作用せしめて、次の反応式 【化1】 (式中、A1はチオNAD類またはNAD類を示し、A
    2はA1の還元型生成物を示し、B1はA1がチオNA
    D類のときは還元型NAD類を、A1がNAD類のとき
    は還元型チオNAD類を示し、B2はB1の酸化型生成
    物を示す)で表されるサイクリング反応を形成せしめ、
    該反応によって変化するA2またはB1の量を測定する
    ことを特徴とする乳酸またはピルビン酸の高感度定量
    法。
  2. 【請求項2】 チオNAD類が、チオニコチンアミドア
    デニンジヌクレオチド(チオNAD)、チオニコチンア
    ミドヒポキサンチンジヌクレオチドからなる群より選ば
    れるものであることを特徴とする請求項1記載の乳酸ま
    たはピルビン酸の高感度定量法。
  3. 【請求項3】 NAD類が、ニコチンアミドアデニンジ
    ヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニンジ
    ヌクレオチド(アセチルNAD)、アセチルピリジンヒ
    ポキサンチンジヌクレオチドおよびニコチンアミドヒポ
    キサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)からなる
    群より選ばれるものであることを特徴とする請求項1記
    載の乳酸またはピルビン酸の高感度定量法。
  4. 【請求項4】 次の成分(1)〜(3)(1)チオニコ
    チンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下、チオNA
    D類という)と、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
    ド類(以下、NAD類という)とを補酵素とし、少なく
    とも乳酸を基質としてピルビン酸を生成する可逆反応を
    なす乳酸デヒドロゲナーゼ、(2)A1、(3)B1、
    (式中、A1はチオNAD類またはNAD類を示し、A
    2はA1の還元型生成物を示し、B1はA1がチオNA
    D類のときは還元型NAD類を、A1がNAD類のとき
    は還元型チオNAD類を示し、B2はB1の酸化型生成
    物を示す)を含有することを特徴とする乳酸またはピル
    ビン酸定量用組成物。
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