JP4073527B2 - アイソザイム活性測定法 - Google Patents

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Description

【産業上の利用分野】
本発明は、血清、血漿などの生体試料中に存在する例えばアルカリホスファターゼ(以下、ALPと略記する。)等の酵素のアイソザイム活性測定法に関する。
【0002】
【発明の背景】
生体内に存在する、例えばアルカリホスファターゼ(ALP),アミラーゼ(AMY),クレアチンキナーゼ(CK),乳酸脱水素酵素(LDH),グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT),コリンエステラーゼ(ChE),アルドラーゼ(ALD)等の酵素には、同じ基質に対する触媒作用を持ちながら異なった分子構造と物理化学的性質を持った一群の酵素(アイソザイム)が存在し、臓器の種類によって特有なアイソザイムの構成を持っている。
【0003】
このような酵素のアイソザイム活性を測定することは、各種疾患の解析や、診断上或いは予後の経過を観察する上で重要であり、日常臨床検査にも応用されている。
【0004】
例えば、ALPは、肝臓型,骨型,胎盤型,小腸型等臓器特異性を有するアイソザイムが存在し、その分析により障害臓器を推定できることから、肝・胆道系疾患並びに骨疾患等多くの病態の診断治療の指標として用いられている。
【0005】
一方、これら酵素のアイソザイム活性測定法としては、例えば電気泳動法,ゲル濾過法,アフィニティークロマトグラフィーを利用する方法等の分子構造や物理化学的性質の差を利用して分別測定する方法、例えば各種阻害剤や抗体等を用いて特定のアイソザイム活性を特異的(完全)に阻害して分別測定する方法等、種々の方法が知られている。
【0006】
例えばALPのアイソザイム活性測定法に於いては、セルロース・アセテート膜やポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動法による測定法や、小麦胚芽レクチンを用いて骨型ALPを沈澱させた後、遠心分離処理によって分離後、測定する方法等が従来から知られている。
【0007】
しかしながら、電気泳動法や遠心分離等を利用する方法は、操作が煩雑で時間がかかるという問題点があった。
また、阻害剤や抗体等を用いて特定のアイソザイム活性を特異的に阻害する方法については、アイソザイム自体が極めて類似した性質や構造を有しているために、特定のアイソザイムのみを特異的(完全)に阻害するような阻害剤や抗体を取得することが困難であるという問題点があった。
【0008】
そのため、大量検体処理を必要とする近年の臨床検査分野に於いては、自動分析装置に適用可能で、簡便なアイソザイム活性測定法の開発が望まれている現状にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、自動分析装置に適用可能で簡便且つ高精度なアイソザイム活性測定法及びそれに用いる試薬の提供にある。
【0010】
【発明を解決するための手段】
本発明は、a)アイソザイムが存在する酵素の活性測定用試薬1を用いて、当該酵素を含有する試料の酵素活性値X1を求め、また、活性測定用試薬1に比較して当該酵素の特定のアイソザイムの活性値に影響を与える度合いの強い当該酵素の活性測定用試薬2を用いて、当該試料の酵素活性値Y1を求め、
b)活性測定用試薬1で求められる当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値Xと、活性測定用試薬2で求められる当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値Yとの関係を表す検量線を求め、該検量線上のX1に対応する活性値Y2を求め、
c)Y1とY2との差Y3を求め、該Y3に基づいて試料中の当該特定のアイソザイム活性を求める、
ことを特徴とするアイソザイム活性測定法の発明である。
【0011】
また、本発明は、アイソザイムが存在する酵素の活性測定用試薬1及び活性測定用試薬1に比較して当該酵素の特定のアイソザイムの活性値に影響を与える度合いの強い当該酵素の活性測定用試薬2を含んでなる、当該特定のアイソザイム活性測定用試薬の発明である。
【0012】
即ち、本発明者等は、簡便且つ高精度なアイソザイムの活性測定法を開発するために鋭意研究の結果、アイソザイムが存在する酵素の活性測定用試薬1と、活性測定用試薬1に比較して当該酵素の特定のアイソザイムの活性値に影響を与える度合いの強い当該酵素の活性測定用試薬2とを用いて試料の測定を行い、得られた測定値と、該試薬1で求められる特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値と、該試薬2で求められる特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値との関係を表す検量線とを組み合わせることにより、特定のアイソザイムの活性値を、簡便且つ高精度に測定し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の測定法に於ける測定対象であるアイソザイムが存在する酵素としては、特に限定されないが、例えば血清,血液,血漿,尿,リンパ球,血球,各種細胞類等の生体由来の試料中に含まれるアルカリホスファターゼ(ALP),アミラーゼ(AMY),酸性ホスファターゼ(ACP),クレアチンキナーゼ(CK),乳酸脱水素酵素(LDH),グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT),グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT),ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP),コリンエステラーゼ(ChE),アルドラーゼ(ALD),γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP),リパーゼ,プロテインキナーゼ,チロシンキナーゼ等が挙げられる。
【0014】
本発明の測定法に於ける酵素活性の測定は、上記した如き酵素を測定し得るものであれば特に限定されず、レイト法、エンドポイント法或いはレイトアンドエンド法等自体公知の酵素活性測定法〔例えば臨床検査法提要 第30版 金井正光編 金原出版(株)611頁〜681頁等。〕に準じて行えばよい。
例えば、ALPを測定する場合、有機リン酸エステルが分解されて遊離してくる無機リン酸の増加を測定する方法や色原体となり得るフェノール類等のリン酸エステルを基質とし、これから遊離するp−ニトロフェノールやフェノールフタレイン等を直接比色測定するか、或いはフェノールやα−ナフトール等に特異的な呈色反応を起こさせて、その遊離量を測定する方法等自体公知のALP活性測定法が使用可能である。
【0015】
本発明の測定法は、上記した如き自体公知の測定法に用いられる活性測定用試薬1(以下、試薬1と略記する。)と、該試薬1に比較して特定のアイソザイムの活性値に影響を与える度合いの強い活性測定用試薬2(以下、試薬2と略記する。)とを用いて、自体公知の測定法に従ってこれを行えばよい。
【0016】
本発明の測定法に於いて用いられる試薬2としては、試薬1に比較して特定のアイソザイム活性値に影響を与える度合いの強いもの、即ち、該試薬1に比較して特定のアイソザイム活性を阻害又は活性化する度合いの強いものであればよく、特に限定されない。
このような試薬2は、例えば試薬1に特定のアイソザイム活性を阻害又は活性化する作用を有する物質を含有させることにより調製することができるし、或いは試薬1を構成する成分の1以上を、特定のアイソザイム活性を阻害又は活性化する作用を有するものに代えることによっても調製することができる。
これらアイソザイム活性を阻害又は活性化する作用を有する物質としては、特定のアイソザイム活性を阻害又は活性化する性質を有するものであれば特に限定されない。具体的には、アイソザイムの種類、活性測定法等により異なるため一概には言えないが、例えば基質,抗体,界面活性剤,緩衝剤,金属イオン,キレート剤,アミノ酸、糖類等が挙げられる。
より具体的には、例えばALPを測定する場合、例えばN−メチル−D−グルカミン(MEG),ジエタノールアミン(DEA),2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)等の緩衝剤、フェニルアラニン,ロイシン,ホモアルギニン等のアミノ酸、Mg2+,Zn2+等の金属イオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA),N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)等のキレート剤、グルコース,シュクロース等の糖類、SH剤、ニトロフェニール、ナフチルアミン、尿酸、過ヨウ素酸、リン酸、ピロリン酸、クエン酸、尿素等が挙げられる。
また、これら特定のアイソザイム活性を阻害又は活性化する性質を有する物質の使用量としては、特定のアイソザイム活性値に対して十分に影響を与え得る濃度であればよく特に限定されない。
尚、これらアイソザイム活性を阻害又は活性化する物質は、夫々単独で用いても良いし、適宜組み合わせて用いても良い。
【0017】
本発明の測定法を実施するには、例えば以下のようにして行えばよい。尚、Y3(残差)の求め方の概略図を図1として示す。
即ち、上記した如きアイソザイムが存在する酵素の活性測定用試薬1を用いて、上記した如き当該酵素を含有する生体由来試料中の酵素活性を上記した如き自体公知の方法により測定し、活性値X1を求め、また、活性測定用試薬1に比較して当該酵素の特定のアイソザイムの活性値に影響を与える度合いの強い当該酵素の活性測定用試薬2を用いて、当該試料中の酵素活性を上記した如き自体公知の方法により測定し、活性値Y1を求める。次いで、該試薬1を用いて同様にして求められる当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値Xと、該試薬2を用いて同様にして求められる当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値Yとの関係を表す検量線を求める。得られた検量線と、先に得られた活性値X1とから、該検量線上のX1に対応する活性値Y2を求める。得られたY2と先に得られたY1との差Y3(残差)を求め、該Y3を用いて、当該特定のアイソザイムの活性値を求めることにより実施できる。
尚、ここに於いて、当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムとは、当該特定のアイソザイムと同様の基質特異性をもちながら、当該特定のアイソザイムと異なった分子構造や物理化学的性質をもつもの、例えばその由来する組織が異なるもの等を指す。具体的には、例えばα−アミラーゼのアイソザイムを測定する場合、特定のアイソザイムを唾液型α−アミラーゼとすると、当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムとしては膵型α−アミラーゼ等が挙げられ、アルカリホスファターゼアイソザイムを測定する場合、特定のアイソザイムを小腸型アイソザイムとすると、当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムとしては、例えば胎盤型アイソザイム、肝型アイソザイム、骨型アイソザイム等が挙げられる。
【0018】
本発明に於いて、活性値Xと活性値Yとの検量線を求める方法としては、試薬1を用いて得られる特定のアイソザイム以外のアイソザイム活性値Xと、試薬2を用いて得られる特定のアイソザイム以外のアイソザイム活性値Yとの関係を表す検量線を求めることができる方法であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば上記した如き試薬1及び試薬2を用いて、当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの標準液等の測定を夫々行い、試薬1での活性値Xと、試薬2での活性値Yとを求め、得られたXとYとを用いて、例えば統計処理等して回帰式 y=ax+b を求めることにより検量線を得る方法等が好ましく挙げられる。
尚、本発明に於いて用いられる当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの標準液としては、測定対象であるアイソザイムが存在する酵素の種類や用いられる測定方法によって異なるため一概には言えないが、少なくとも測定対象である特定のアイソザイムを含まないものであれば特に限定されない。例えば、当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムを含むものや当該酵素とその基質との反応により生じる生成物を含むもの等が挙げられる。より具体的には、例えば電気泳動法等の自体公知のアイソザイム活性測定法により当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値を測定した、例えば血清等を用いて調製されたもの、或いは当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの純品を既知濃度含有するように調製されたもの等が挙げられる。
【0019】
本発明に於いて、上記の如くして得られたY3(残差)を用いて、測定対象である特定のアイソザイムの活性値を求める方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。
即ち、先ず、試料として、活性値既知の測定対象である特定のアイソザイムを含有する標準液を用いて、上述の如くしてY3(残差)を求め、活性値とY3との関係を示す回帰式を求める。次いで、この回帰式を用いて、活性値未知の当該酵素を含有する試料を用いて得られたY3(残差)から測定対象である特定のアイソザイムの活性値を求める。
尚、本発明に於いて用いられる測定対象である特定のアイソザイムを含有する標準液としては、特に限定されず、例えば電気泳動法等の自体公知のアイソザイム活性測定法により当該特定のアイソザイムの活性値を測定した、例えば血清等を用いて調製されたもの、或いは当該特定のアイソザイムの純品を既知濃度含有するように調製されたもの等が挙げられる。
【0020】
本発明の測定法を、ALPのアイソザイム測定を例にとり具体的に説明する。即ち、先ず、小腸型ALPアイソザイムを測定する場合は、4−ニトロフェニルリン酸(基質)、マグネシウムイオン(ALP活性化剤)及び2−エチルアミノエタノール(EAE:緩衝剤)を含有するALP活性測定用試薬を試薬1として用い、生体由来試料中のALP活性を自体公知の測定法に準じて測定し、ALP活性値X1を求める。また、4−ニトロフェニルリン酸(基質)、マグネシウムイオン(ALP活性化剤)及びジエタノールアミン(DEA:緩衝剤)を含有するALP活性測定用試薬を試薬2として用い、当該試料中のALP活性を自体公知の測定法に準じて測定し、ALP活性値Y1を求める。次いで、小腸型以外のALPアイソザイム、例えば肝型アイソザイム、骨型アイソザイム、胎盤型アイソザイム等から選ばれる1種以上のALPアイソザイムを含む標準液を試料として、該試薬1及び試薬2を用いて夫々同様にALP活性値Xn及びYnを求め、得られたXnとYnとを例えば統計処理して回帰式 y=ax+b を求める等して検量線を得る。得られた検量線のXに、先に得られた活性値X1を代入して、該検量線上のX1に対応する活性値Y2(回帰推定値)を求める。得られた回帰推定値Y2と先に得られたY1との差を求め、残差Y3を求める。次いで、予め得られた、残差Y3と自体公知の電気泳動法により求めた小腸型アイソザイム活性値との関係を示す回帰式に、先に得られたY3を代入して、当該小腸型ALPアイソザイムの活性値を求める。
【0021】
また、胎盤型ALPアイソザイムを測定する場合は、4−ニトロフェニルリン酸(基質)、マグネシウムイオン(ALP活性化剤)及び2−エチルアミノエタノール(EAE:緩衝剤)を含有するALP活性測定用試薬を試薬1として用い、生体由来試料中のALP活性を自体公知の測定法に準じて測定し、ALP活性値X1を求める。また、4−ニトロフェニルリン酸(基質)、マグネシウムイオン(ALP活性化剤)及びN−メチル−D−グルカミン(MEG:緩衝剤)を含有するALP活性測定用試薬を試薬2として用い、当該試料中のALP活性を自体公知の測定法に準じて測定し、ALP活性値Y1を求める。次いで、胎盤型以外のALPアイソザイム、例えば肝型アイソザイム、骨型アイソザイム、小腸型アイソザイム等から選ばれる1種以上のALPアイソザイムを含む標準液を試料として、該試薬1及び試薬2を用いて夫々同様にALP活性値Xn及びYnを求め、得られたXnとYnとを例えば統計処理して回帰式 y=ax+b を求める等して検量線を得る。得られた検量線のXに、先に得られた活性値X1を代入して、該検量線上のX1に対応する活性値Y2(回帰推定値)を求める。得られた回帰推定値Y2と先に得られたY1との差を求め、残差Y3を求める。次いで、予め得られた、残差Y3と自体公知の電気泳動法により求めた胎盤型アイソザイム活性値との関係を示す回帰式に、先に得られたY3を代入して、当該胎盤型ALPアイソザイムの活性値を求める。
【0022】
更に、小腸型ALPアイソザイムと胎盤型ALPアイソザイムを同時に測定する場合は、4−ニトロフェニルリン酸(基質)、マグネシウムイオン(ALP活性化剤)及び2−エチルアミノエタノール(EAE:緩衝剤)を含有するALP活性測定用試薬を試薬1として用い、生体由来試料中のALP活性を自体公知の測定法に準じて測定し、ALP活性値X1を求める。また、4−ニトロフェニルリン酸(基質)、マグネシウムイオン(ALP活性化剤)及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP:緩衝剤)を含有するALP活性測定用試薬を試薬2として用い、当該試料中のALP活性を自体公知の測定法に準じて測定し、ALP活性値Y1を求める。次いで、小腸型及び胎盤型以外のALPアイソザイム、例えば肝型アイソザイム、骨型アイソザイム等から選ばれる1種以上のALPアイソザイムを含む標準液を試料として、該試薬1及び試薬2を用いて夫々同様にALP活性値Xn及びYnを求め、得られたXnとYnとを例えば統計処理して回帰式 y=ax+b を求める等して検量線を得る。得られた検量線のXに、先に得られた活性値X1を代入して、該検量線上のX1に対応する活性値Y2(回帰推定値)を求める。得られた回帰推定値Y2と先に得られたY1との差を求め、残差Y3を求める。次いで、予め得られた、残差Y3と自体公知の電気泳動法により求めた小腸型又は胎盤型アイソザイム活性値との関係を示す回帰式に、先に得られたY3を代入して、当該小腸型ALPアイソザイム及び胎盤型ALPアイソザイムの活性値を求める。
【0023】
本発明のアイソザイム活性測定用試薬は、例えば血清や血漿等の生体由来試料中の特定のアイソザイムを測定するために使用されるものでり、アイソザイムが存在する酵素の活性測定用試薬1及び活性測定用試薬1に比較して当該酵素の特定のアイソザイムの活性値に影響を与える度合いの強い当該酵素の活性測定用試薬2を含んで成るものである。尚、夫々の構成要素の好ましい態様、具体例については上で述べた通りである。
また、試薬1及び試薬2は、1試薬系測定法用のもの、2試薬系測定法用のもの、或いは3又はそれ以上の試薬系測定法用のものでも何れでもよく、また、適当な標準液が更に組み合わされていてもよい。
【0024】
以下に、実施例及び参考例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0025】
【実施例】
実施例1 胎盤型ALPアイソザイム活性値の測定
〔試薬及び測定条件〕
(i)ALP活性測定用試薬1:
R−1:塩化マグネシウム 0.6mMを含有する1.25M EAE緩衝液(pH10.0)。
R−2:4−ニトロフェニルリン酸 50mMを含有する0.1M EAE緩衝液(pH1 0.0)。
(測定条件)
測定パラメータを以下のように設定し、日立7250形自動分析装置〔(株)日立製作所製〕により測定を行った。
測定方法 ;レートA[30]−[50]
試料量 ;4μl
R−1 ;300μl
R−2 ;75μl
測定波長 ;405/505nm
ファクター;5408
測定温度 ;37℃
(ii)ALP活性測定用試薬2:
R−1:塩化マグネシウム 0.5mMを含有する0.35M MEG緩衝液(pH10.4)。
R−2:4−ニトロフェニルリン酸 17mM、塩化マグネシウム 0.5mMを含有する0.35M MEG緩衝液(pH9.9)。
(測定条件)
測定パラメータを以下のように設定し、日立7250形自動分析装置〔(株)日立製作所製〕により測定を行った。
測定方法 ;レートA[32]−[50]
試料量 ;5μl
R−1 ;320μl
R−2 ;80μl
測定波長 ;405/505nm
ファクター;4332
測定温度 ;37℃
【0026】
(1)ヒト血清中のALP活性値の測定
ヒト血清265検体を試料として、上記試薬1及び試薬2を用いて、上記測定条件により、試料中のALP活性値X1及びY1を夫々測定した。
また、試薬1を用いた場合の測定値と試薬2を用いた場合の測定値との相関図を図2に示す。
尚、図2に於いて、横軸は試薬1を用いた場合のALP活性値を、縦軸は試薬2を用いた場合のALP活性値を夫々示す。
【0027】
(2)検量線
ヒト血清の代わりに、小腸型ALPを312U/l(37℃)含む標準液を試料として、上記(1)と同様にして、試料中のALP活性値Xn及びYnを夫々測定した。
得られたXn及びYnを統計処理し、下記回帰式を算出し検量線を得た。
y=0.393x+1.4039 (r=0.999)
【0028】
(3)残差
上記(1)で得られた相関図に於いて相関の悪い検体を中心に19検体を抽出し、これらの検体について、以下の方法により残差Y3を求めた。
上記(2)で得られた検量線に、上記(1)で得られたX1(試薬1を用いて得られた試料中のALP活性値)を代入して、該検量線上のX1に対応する活性値(推定値)Y2を夫々求め、上記(1)で得られたY1(試薬2を用いて得られた試料中のALP活性値)と、推定値Y2とを下記式に代入して、Y1とY2との差の絶対値を算出し、残差Y3を夫々求めた。
【0029】
【式1】
Figure 0004073527
【0030】
参考例1 電気泳動法による胎盤型ALPアイソザイム活性値の測定
実施例1に於いて残差Y3を求めた19検体を試料とし、市販の電気泳動法用キット、アルカリ性ホスファターゼアイソザイム用ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動試薬 アルフォー〔(株)常光製〕を用いて、キットに添付の説明書に従って、胎盤型ALPアイソザイム活性を測定した。
【0031】
実施例1で得られた本発明の方法を用いて得られた残差Y3と、参考例1で得られた胎盤型ALPアイソザイム活性値との相関図を図3に示す。
図3の結果から明らかなように、本発明の方法により得られた残差Y3と、公知の電気泳動法により得られた胎盤型ALPアイソザイム活性値とは良好な相関関係を示すことが判る。
言い換えれば、予め求めておいた、本発明の方法により得られる残差Y3と、公知の電気泳動法により得られる胎盤型ALPアイソザイム活性値との相関を示す回帰式と、検体試料について得られたY3とを組み合わせることにより、検体試料中の胎盤型ALPアイソザイム活性が求められることが判る。
【0032】
実施例2 小腸型ALPアイソザイム活性値の測定
〔試薬及び測定条件〕
(i)ALP活性測定用試薬1:
実施例1と同じ。
(ii)ALP活性測定用試薬2:
R−1:塩化マグネシウム 0.2mMを含有する1M DEA緩衝液(pH9.9)。
R−2:4−ニトロフェニルリン酸 50mMを含有する1M DEA緩衝液(pH9. 9)。
(測定条件)
測定パラメータを以下のように設定し、日立7250形自動分析装置〔(株)日立製作所製〕により測定を行った。
測定方法 ;レートA[30]−[50]
試料量 ;4μl
R−1 ;300μl
R−2 ;75μl
測定波長 ;405/505nm
ファクター;5094
測定温度 ;37℃
【0033】
(1)ヒト血清中のALP活性値の測定
ヒト血清265検体を試料として、上記試薬1及び試薬2を用いて、上記測定条件により、試料中のALP活性値X1及びY1を夫々測定した。
また、試薬1を用いた場合の測定値と試薬2を用いた場合の測定値との相関図を図4に示す。
尚、図4に於いて、横軸は試薬1を用いた場合のALP活性値を、縦軸は試薬2を用いた場合のALP活性値を夫々示す。
【0034】
(2)検量線
ヒト血清の代わりに、胎盤型ALPを240U/l(37℃)含む標準液を試料として、上記(1)と同様にして、試料中のALP活性値Xn及びYnを夫々測定した。
得られたXn及びYnを統計処理し、下記回帰式を算出し検量線を得た。
y=0.710x−0.555 (r=0.999)
【0035】
(3)残差
上記(2)により得られた検量線から乖離している検体を中心に15検体を抽出し、これらの検体について、実施例1と同様にしてY1とY2との差の絶対値を算出し、残差Y3を夫々求めた。
【0036】
参考例2 電気泳動法による小腸型ALPアイソザイム活性値の測定
実施例2に於いて残差Y3を求めた15検体を試料とし、市販の電気泳動法用キット、タイタンALPアイソエンザイム試薬(エパライザ)〔セルロースアセテート膜インジゴブルー法:ヘレナ社製〕を用いて、キットに添付の説明書に従って、全自動電気泳動分析装置エパライザ((株)ヘレナ研究所製)により、試料中の小腸型ALPアイソザイム活性を測定した。
【0037】
実施例2で得られた本発明の方法により得られた残差Y3と、タイタンALPアイソエンザイム試薬を用いた場合の小腸型ALPアイソザイム活性値との相関関係を検討したところ、本発明の方法により得られた残差Y3と、公知の電気泳動法を用いた場合の小腸型ALPアイソザイム活性値とは良好な相関関係を示すことが判った。言い換えれば、予め求めておいた、本発明の方法により得られる残差Y3と、公知の電気泳動法により得られる小腸型ALPアイソザイム活性値との相関を示す回帰式と、検体試料について得られたY3とを組み合わせることにより、検体試料中の小腸型ALPアイソザイム活性が求められることが判った。
【0038】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明は自動分析装置に適用可能で簡便なアイソザイム活性測定法及びそれに用いる試薬を提供するものであり、本発明を利用することにより、従来は電気泳動法などの操作が煩雑で時間のかかる方法でしか実施できなかったアイソザイム活性の測定を、汎用の自動分析装置を用いて簡便に且つ精度よく実施し得るようになるという効果を奏するので、斯業に貢献するところ大なる発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Y3(残差)の求め方の概略図を示す図である。
【図2】実施例1で得られた、試薬1で得られたアルカリホスファターゼ(ALP)活性値と試薬2で得られたALP活性値との相関を表わす図である。
【図3】実施例1で得られた残差Y3と、参考例1で得られた胎盤型ALPアイソザイム活性値との相関を表わす図である。
【図4】実施例2で得られた、試薬1で得られたALP活性値と試薬2で得られたALP活性値との相関を表わす図である。

Claims (2)

  1. a)アルカリホスファターゼ活性測定用試薬1を用いて、アルカリホスファターゼを含有する試料の酵素活性値X1を求め、また、N−メチル−D−グルカン及びジエタノールアミンから選ばれる物質(物質1)を含有させたアルカリホスファターゼ活性測定用試薬2或いは活性測定用試薬1を構成する成分の1以上を当該物質1に代えたアルカリホスファターゼ活性測定用試薬2を用いて、当該試料の酵素活性値Y1を求め、
    b)活性測定用試薬1で求められる胎盤型アルカリホスファターゼアイソザイム及び小腸型アルカリホスファターゼアイソザイムの何れかのアイソザイム(特定のアイソザイム)以外のアイソザイムの活性値Xと、活性測定用試薬2で求められる当該特定のアイソザイム以外のアイソザイムの活性値Yとの関係を表す検量線を求め、該検量線上のX1に対応する活性値Y2を求め、
    c)Y1とY2との差Y3を求め、該Y3を、予め当該特定のアイソザイムを含有する標準液を用いて得られたY3とアイソザイム活性との関係を表す回帰式に当てはめて当該特定のアイソザイム活性を求める、ことを特徴とするアルカリホスファターゼアイソザイム活性測定法。
  2. 請求項1に記載の方法において用いられる活性測定用試薬1及び活性測定用試薬2を含んでなる、胎盤型又は小腸型アルカリホスファターゼアイソザイム活性測定用試薬。
    【0001】
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