JPH1146795A - 酸化酵素含有分析用試薬 - Google Patents

酸化酵素含有分析用試薬

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JPH1146795A
JPH1146795A JP9221952A JP22195297A JPH1146795A JP H1146795 A JPH1146795 A JP H1146795A JP 9221952 A JP9221952 A JP 9221952A JP 22195297 A JP22195297 A JP 22195297A JP H1146795 A JPH1146795 A JP H1146795A
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JP
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reagent
bilirubin
oxidase
compound
analysis
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JP9221952A
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Masami Kojima
正美 小島
Hiroyuki Tsubota
博幸 坪田
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Iatron Laboratories Inc
Mitsubishi Kagaku Iatron Inc
Original Assignee
Iatron Laboratories Inc
Mitsubishi Kagaku Iatron Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化酵素の作用による分析対象化合物の変化
を光学的に測定する分析用試薬、あるいは、分析対象化
合物に直接的に酸化酵素を作用させて過酸化水素を生成
させるか、又は分析対象化合物から酵素反応によって得
られた生成物に酸化酵素を作用させて過酸化水素を生成
させ、続いて、得られた過酸化水素に対して、ペルオキ
シダーゼと水素供与体と発色カプラーとを作用させ、生
成した発色物を測定する分析用試薬に酸化酵素を含有す
る分析用試薬において、被検試料に含まれることのある
カテコール類の影響を実質的に排除して、被検試料中の
分析対象化合物を正確に分析することのできる酸化酵素
含有分析用試薬を提供する。 【解決手段】 前記試薬は、ホウ酸又はホウ酸塩を含有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化酵素含有分析
用試薬に関する。本発明による酸化酵素含有分析用試薬
を用いると、被検試料中に混在するカテコール類の影響
を排除して、分析対象化合物をより正確に分析すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】生体試料中に存在する分析対象化合物の
分析方法として、酸化酵素の反応を利用した方法が広く
用いられている。このような方法としては、第1に、分
析対象化合物を基質とする酸化酵素を用いて、その酸化
酵素による前記分析対象化合物の変化を光学的に測定す
る分析方法を挙げることができる。第2に、酸化酵素を
利用して過酸化水素を発生させ、得られた過酸化水素
に、ペルオキシダーゼと水素供与体と発色カプラーとを
作用させ、生成した発色物を測定する方法を挙げること
ができる。なお、前記の第2の方法は、分析対象化合物
から過酸化水素を発生させるまでに利用する酵素反応の
数に応じて、更に、2つの方法に分類することができ
る。すなわち、(a)分析対象化合物に直接的に酸化酵
素を作用させて過酸化水素を生成させ、続いて、得られ
た過酸化水素に対して、ペルオキシダーゼと水素供与体
と発色カプラーとを作用させ、生成した発色物を測定す
る方法と、(b)分析対象化合物から酵素反応によって
得られた生成物に酸化酵素を作用させて過酸化水素を生
成させ、続いて、得られた過酸化水素に対して、ペルオ
キシダーゼと水素供与体と発色カプラーとを作用させ、
生成した発色物を測定する方法とに分類することができ
る。
【0003】前記の分析方法のうち、第1の方法、すな
わち、分析対象化合物を基質とする酸化酵素を用いて、
その酸化酵素による前記分析対象化合物の変化を光学的
に測定する分析方法を用いて分析することのできる生体
中の物質の例としては、例えば、ビリルビンを挙げるこ
とができる。ビリルビンは、老廃赤血球の崩壊により遊
出したヘモグロビンが一連の代謝過程を受けて生成する
黄色色素であり、胆汁中にもっとも多く存在する。血清
や血漿中のビリルビンは、病態の変化に応じて種々の形
態で存在することが知られており、例えば、健常人では
非抱合ビリルビンのみが存在するが、病態によっては、
これに加えて、抱合ビリルビン又はアルブミン結合ビリ
ルビン(デルタビリルビン)の存在が認められる。例え
ば、溶血性貧血又は溶血性黄疸などの病態では、血清及
び血漿中に主に非抱合ビリルビンの増大がみられ、ま
た、急性若しくは慢性肝炎、又は閉塞性黄疸などの病態
では、主に抱合ビリルビンやデルタビリルビンの増大が
みられる。従って、現在、病院等の施設においては、こ
れらのビリルビンの分別測定が日常的に頻繁に行われて
おり、臨床診断における重要な検査項目になっている。
【0004】ビリルビン測定としては、血清や血漿中に
含まれる各ビリルビン種の全てを合計量として測定する
総ビリルビン測定、抱合ビリルビンのみを特異的に測定
する抱合ビリルビン測定、又は抱合ビリルビンとデルタ
ビリルビンとを合わせて特異的に測定する直接ビリルビ
ン測定が行われている。また、それらの具体的な測定方
法としては、前記の各ビリルビン測定、すなわち、総ビ
リルビン、抱合ビリルビン、又は直接ビリルビンの測定
において、ジアゾ試薬を用いた方法、化学的酸化による
方法、及び高速液体クロマトグラフィーによる方法など
と並んで、酵素的酸化による方法が知られている。
【0005】前記の各ビリルビン測定方法の内、酵素的
酸化による測定方法は、ビリルビンオキシダーゼ等の酸
化酵素の作用を用いてビリルビンに固有の黄色を消失さ
せ、その反応の前後における450nm付近の吸光度変
化を計測することにより、ビリルビンを分析するもので
ある。この酵素的酸化を利用する測定方法によって、総
ビリルビン測定方法、抱合ビリルビン測定方法、又は直
接ビリルビン測定方法を実施するために、反応条件(例
えば、pH、緩衝液、又は界面活性剤等)の異なる様々
な方法が報告されている。
【0006】酵素的酸化による総ビリルビン測定方法に
おいては、例えば、ビリルビンオキシダーゼと共に、界
面活性剤、芳香族カルボン酸、サルファ剤、及びプロテ
アーゼよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の反応
促進物質を併用する方法(特公平3−36520号公
報)、ビリルビンオキシダーゼと共にフェリシアン化カ
リウムを配合する方法(特公平3−79998号公
報)、及びビリルビンオキシダーゼの反応をフェノール
類及びアニリン類の1種又は2種以上の化合物により促
進する方法(特開平3−175997号公報)などが報
告されている。
【0007】また、酵素的酸化による抱合ビリルビン測
定方法又は直接ビリルビン測定方法においては、例え
ば、pH3.5〜4.5の緩衝液にビリルビンオキシダ
ーゼを配合する方法(特公昭61−44000号公
報)、ビリルビンオキシダーゼ及び陰イオン界面活性剤
を含有するpH5〜6の酸性緩衝液を作用させる方法
(特公平5−9066号公報)、pH9〜11の範囲の
緩衝液中でビリルビン含有試料にビリルビンオキシダー
ゼを作用させる方法(特開昭62−58999号公
報)、pH2.0〜3.3のフェロシアン化カリウム及
び/又はフェリシアン化カリウムを含む緩衝液中でビリ
ルビンオキシダーゼとヒト血清とを反応させる方法(特
開昭64−5499号公報)、及びビリルビンオキシダ
ーゼを反応させてビリルビンの変化を光学的に測定する
方法において、フッ素化合物又は還元剤を共存させる方
法(特開平5−276992号公報)などが報告されて
いる。
【0008】一方、これらの酵素的酸化によるビリルビ
ン測定方法において使用することのできる酸化酵素とし
ては、例えば、キノコの1種であるアガリカス・ビスポ
ーラス(Agaricus bisporous)の菌
茸汁中に、ビリルビンを酸化して過酸化水素を生成する
酵素活性が確認されている(特公昭58−11194号
公報)。更に、ビリルビンを基質とする酸化酵素とし
て、ミロセシウム属(Myrothecium)のミロ
セシウム・ベルカリア(Myrotheciumver
caria)MT−1由来のビリルビンオキシダーゼ
(特公昭60−12032号公報)、担子菌の1種であ
るスエヒロタケ(Schizophyllum com
mune)由来のビリルビンオキシダーゼ(特開昭59
−135886号公報)、又は担子菌の1種であるエビ
タケ属のトラキデルマ・ツノダエ(Trachyder
ma tsunodae)K−2593由来のビリルビ
ンオキシダーゼ(特公平3−24198号公報)などが
報告されている。
【0009】酸化酵素の反応を利用した前記分析方法の
うち、第2の方法、すなわち、酸化酵素を利用して過酸
化水素を発生させ、得られた過酸化水素に、ペルオキシ
ダーゼと水素供与体と発色カプラーとを作用させ、生成
した発色物を測定する方法を用いて分析することのでき
る生体中の化合物としては、例えば、脂質(例えば、総
コレステロール、遊離コレステロール、HDLコレステ
ロール、中性脂肪、リン脂質、又は遊離脂肪酸等)、含
窒素化合物(例えば、クレアチニン、尿素窒素、又は尿
酸等)、糖(例えば、グルコース等)、酵素[例えば、
グルタミン酸−オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GO
T)、グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ
(GPT)、乳酸脱水素酵素(LDH)、コリンエステ
ラーゼ、アミラーゼ、又はリパーゼ等]、又はその他の
化合物(例えば、シアル酸、又は無機リン等)を挙げる
ことができる。これらの化合物に関する検査もまた、例
えば、肝臓、腎臓、膵臓、若しくはその他の臓器、又は
循環系の機能・代謝を反映する指標として、病院等の施
設において日常的に頻繁に測定が行われており、臨床診
断の重要な検査項目になっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】分析対象化合物を基質
とする酸化酵素を用いて、その酸化酵素による前記分析
対象化合物の変化を光学的に測定する分析方法の内、ビ
リルビンオキシダーゼの作用によりビリルビンを測定す
る方法において、使用するビリルビンオキシダーゼは、
基質としてのビリルビン以外にカテコール類に対しても
反応性を示す[Agri.Biol.Chem.,4
6,2499−2503(1982)及び特公平3−2
4918号公報]。従って、ビリルビンオキシダーゼの
酵素反応を利用したビリルビン測定(すなわち、総ビリ
ルビン測定、抱合ビリルビン測定、又は直接ビリルビン
測定)は、生体試料(例えば、血清又は血漿)中に含ま
れるカテコールアミン等のカテコール類の影響を受けや
すいという問題があった。
【0011】一方、酸化酵素を利用して過酸化水素を発
生させ、得られた過酸化水素に、ペルオキシダーゼと水
素供与体と発色カプラーとを作用させ、生成した発色物
を測定する方法においては、生体試料中の還元性物質、
例えば、アスコルビン酸、ビリルビン、グルタチオン、
グルコース、尿酸、又はカテコールアミン等による影響
が問題となっていた。これらの還元性物質の内、アスコ
ルビン酸については、アスコルビン酸オキシダーゼを用
いて酸化することにより還元性を失わせた後に、あるい
は、それと同時に、目的とする分析対象化合物の反応を
開始し、測定することによって、アスコルビン酸の還元
による影響を回避することが可能となっている。また、
ビリルビンの影響については、フェロシアン化カリウム
の添加による改善が報告されている(特開昭55−13
8656号公報)。また、グルタチオン、グルコース、
又は尿酸の影響については、試薬組成条件の変更等によ
り改善がなされてきた。しかし、アスコルビン酸やビリ
ルビンと同様に還元性の強い物質であるカテコールアミ
ン等のカテコール類による影響に対しては、改善がなさ
れていなかった。
【0012】カテコールアミンは、副腎髄質において産
生され、血管又は平滑筋の収縮・弛緩、グリコーゲンの
分解、脂肪の分解阻害、及びホルモン分泌などに関わる
作用をもつ重要なホルモンである。臨床的には、循環器
系疾患の改善、例えば、心収縮力増強、血管収縮・拡
張、血流増加、血圧上昇・低下、又は気管支拡張などを
目的として、各種カテコールアミン、例えば、エピネフ
リン、ドーパミン、イソプレナリン、ドブタミン、又は
メチルドーパなどが投与されている。
【0013】カテコールアミンの生体内における半減期
は、約10〜30秒とかなり短く、しかもカテコールア
ミンを投与していないヒトから採血した検体(例えば、
血清又は血漿)中のカテコールアミン量は少ないので、
例えば、ビリルビン、グルコース、又は尿酸等の測定に
おいてもそれらの影響はほとんど認められない。しか
し、前記カテコールアミンを投与された患者から採血さ
れた検体では、採血検体中のカテコールアミン量が多く
なるので、採取から比較的長時間が経過した後でも血清
又は血漿中にカテコールアミンが比較的多量に存在し、
ビリルビン、グルコース、又は尿酸等の測定に影響を与
えるため、それらの分析対象化合物量を正確に分析する
ことが困難であった。
【0014】本発明者は、従来技術の前記の欠点を解消
することを目標に種々研究した結果、測定系にホウ酸又
はホウ酸塩を共存させると、生体試料に含まれるカテコ
ール類の影響を排除することができ、そして、生体試料
中の分析対象化合物をより正確に分析することができる
ことを見出した。本発明はこうした知見に基づくもので
あり、従って、本発明の課題は、酸化酵素(例えば、ビ
リルビンオキシダーゼ)の作用による分析対象化合物
(例えば、ビリルビン)の変化を光学的に測定する分析
系において、前記の酸化酵素が、分析対象化合物(例え
ば、ビリルビン)を基質とするだけでなく、同時にカテ
コール類にも作用する場合に、そのカテコール類の影響
を排除又は軽減して、分析対象化合物をより正確に分析
することができる手段を提供することにある。また、本
発明の課題は、酸化酵素を利用して過酸化水素を発生さ
せ、得られた過酸化水素に、ペルオキシダーゼと水素供
与体と発色カプラーとを作用させ、生成した発色物を測
定する方法において、カテコール類の影響を排除又は軽
減して、分析対象化合物をより正確に分析することがで
きる手段を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題は、本発明によ
る、酸化酵素の作用による分析対象化合物の変化を光学
的に測定する分析用試薬であって、前記酸化酵素がカテ
コール類をも基質とする分析用試薬において、ホウ酸又
はホウ酸塩を含有することを特徴とする、分析用試薬
(以下、「分析対象化合物直接分析型分析用試薬」と称
することがある)によって解決することができる。ま
た、前記課題は、本発明による、分析対象化合物に直接
的に酸化酵素を作用させて過酸化水素を生成させるか、
又は分析対象化合物から酵素反応によって得られた生成
物に酸化酵素を作用させて過酸化水素を生成させ、続い
て、得られた過酸化水素に対して、ペルオキシダーゼと
水素供与体と発色カプラーとを作用させ、生成した発色
物を測定する分析用試薬において、ホウ酸又はホウ酸塩
を含有することを特徴とする、分析用試薬(以下、「過
酸化水素生成型分析用試薬」と称することがある)によ
っても解決することができる。
【0016】本明細書において、「分析」には、例え
ば、被検試料における分析対象物の存在の有無の検出、
及び被検試料に含まれる分析対象物の半定量的又は定量
的測定などが含まれる。また、本明細書において、「分
析用試薬」とは、前記「分析対象化合物直接分析型分析
用試薬」及び「過酸化水素生成型分析用試薬」の両者を
総括的に意味し、両者を区別しない場合に用いる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の分析用試薬を用いて分析
することのできる被検試料は、分析対象化合物を含む可
能性のある試料である限り、特に限定されるものではな
い。すなわち、本発明による分析対象化合物直接分析型
分析用試薬を用いる場合には、例えば、ビリルビンを含
む可能性のある試料を分析することができる。また、本
発明による過酸化水素生成型分析用試薬を用いる場合に
は、例えば、脂質(例えば、総コレステロール、遊離コ
レステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、リン
脂質、又は遊離脂肪酸等)、含窒素化合物(例えば、ク
レアチニン、尿素窒素、又は尿酸等)、糖(例えば、グ
ルコース等)、酵素[例えば、グルタミン酸−オキザロ
酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、グルタミン酸−ピ
ルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、乳酸脱水素酵
素(LDH)、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、又は
リパーゼ等]、又はその他の化合物(例えば、シアル
酸、又は無機リン等)を含む可能性のある試料を分析す
ることができる。このような被検試料としては、例え
ば、生物学的試料、特には通常の臨床検査等に用いるこ
とのできる生体試料(例えば、血液、血清、血漿、又は
尿など)を挙げることができる。本発明の分析用試薬を
用いて分析することのできる被検試料としては、例え
ば、生物学的試料、特には通常の臨床検査等に用いるこ
とのできる生体試料(例えば、血液、血清、血漿、又は
尿など)を挙げることができる。
【0018】本発明の分析用試薬によって影響を排除す
ることのできるカテコール類は、カテコール(すなわ
ち、1,2−ジヒドロキシベンゼン)及びカテコール誘
導体である。カテコール誘導体は、とくに限定されるも
のではないが、例えば、カテコールアミン[例えば、エ
ピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、イソプレ
ナリン(イソプロテレノール)、若しくはエピニン]、
カテコールアミン誘導体、[例えば、L−ドーパ(3−
ヒドロキシ−L−チロシン)、α−メチルドーパ(3−
ヒドロキシ−α−メチル−L−チロシン)、6−ヒドロ
キシドーパミン、若しくはドブタミン]、3,4−ヒド
ロキシフェニル酢酸、3,4−ジヒドロキシフェニルグ
リコール、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン
酸、又は3,4−ジヒドロキシフェニルセリン(DOP
S)などを挙げることができる。
【0019】本発明の分析用試薬は、ホウ酸又はホウ酸
塩の少なくとも1種を含有する。本発明の分析用試薬
は、酸化酵素を含有する従来公知の分析用試薬、例え
ば、従来公知の分析対象化合物直接分析型分析用試薬
(すなわち、酸化酵素の作用による分析対象化合物の変
化を光学的に測定する従来公知の分析用試薬)、あるい
は、従来公知の過酸化水素生成型分析用試薬(すなわ
ち、分析対象化合物に直接的に酸化酵素を作用させて過
酸化水素を生成させるか、又は分析対象化合物から酵素
反応によって得られた生成物に酸化酵素を作用させて過
酸化水素を生成させ、続いて、得られた過酸化水素に対
して、ペルオキシダーゼと水素供与体と発色カプラーと
を作用させ、生成した発色物を測定する従来公知の分析
用試薬)に、ホウ酸又はホウ酸塩の少なくとも1種を含
有させることによって調製することができる。
【0020】本発明の分析用試薬に用いることのできる
ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、
又は無水ホウ酸(三酸化ホウ素)などを挙げることがで
き、これらの化合物を単独で、又は2種類以上を組み合
わせて使用することができる。また、本発明の分析用試
薬に用いることのできるホウ酸塩としては、例えば、オ
ルトホウ酸塩、メタホウ酸塩、二ホウ酸塩、四ホウ酸
塩、五ホウ酸塩、六ホウ酸塩、又は八ホウ酸塩などを挙
げることができ、これらの化合物を単独で、又は2種類
以上を組み合わせて使用することができる。前記ホウ酸
塩の対イオンとしては、前記ホウ酸と塩を形成すること
のできる陽イオンであれば特に限定されるものではな
く、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、リチ
ウム、又はカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カ
ルシウム、マグネシウム、又はバリウム)、ニッケル、
銅、マンガン、又はアンモニウムなどを挙げることがで
きる。
【0021】本発明の分析用試薬は、従来法と同様に、
1試薬系又は2試薬系の形で調製することができる。本
発明の分析用試薬を、第一試薬及び第二試薬からなる2
試薬系試薬として調製する場合には、前記ホウ酸及び/
又はホウ酸塩を、第一試薬又は第二試薬のいずれに添加
することもできる。なお、2試薬系試薬における第一試
薬とは、まず、第一段階として試料と試薬とを混合し、
所定温度にて所定時間加温し、必要であれば、反応の一
部を行なうための試薬を意味し、2試薬系試薬における
第二試薬とは、前記第一試薬の後を受けて添加され、所
定温度にて所定時間加温し、残りの反応、又は反応全体
を行なうための試薬を意味する。反応に関与する成分が
ホウ酸及び/又はホウ酸塩との共存により不安定化する
場合には、ホウ酸及び/又はホウ酸塩と前記成分とを別
々に保存することができる点で、異なる試薬に添加する
ことが好ましく、例えば、ホウ酸及び/又はホウ酸塩を
第一試薬に添加し、反応に関与する酵素を第二試薬に添
加することができる。
【0022】本発明の分析用試薬においては、分析対象
化合物自身が不安定である場合には、2試薬系試薬にお
ける第一試薬に、前記分析対象化合物の安定化のための
物質を添加することができ、例えば、界面活性剤、キレ
ート剤、還元剤、及び/又は酸化剤等を挙げることがで
きる。また、前記第一試薬は、種々の誤差要因を回避す
るための種々の成分を添加することもできる。前記誤差
要因としては、例えば、分析対象化合物を含む生体試料
中に含まれる乳び・混濁、アスコルビン酸、ビリルビ
ン、又は溶血などを挙げることができる。前記誤差要因
を回避するために添加することのできる前記成分として
は、例えば、界面活性剤、酵素、酸化剤、又は還元剤な
どを挙げることができる。
【0023】また、本発明の分析用試薬においては、第
一試薬に、分析対象化合物を測定するために利用する主
反応に関与する成分(例えば、基質又は酵素)の一部を
添加することもできる。なお、第一試薬は、主反応に関
与する成分を必ずしも含む必要はない。更に、第一試薬
には、第二試薬を添加した後に進行する主反応を速やか
に進行させるための反応促進剤を添加するか、あるい
は、分析対象化合物以外の類似物質に対する反応抑制剤
を添加して、目的とする分析対象化合物の特異的分析を
向上させることができる。その他に、分析試薬を構成す
るための緩衝液成分を添加することができ、更に、場合
により防腐剤等を添加することができる。
【0024】本発明の分析用試薬においては、2試薬系
試薬における第二試薬に、分析対象化合物を測定するの
に利用する主反応に関与する成分、例えば、基質又は酵
素(共役酵素を含む)の一部を添加することができる。
また、前記第二試薬には、第一試薬に添加することので
きる前記物質の内、種々の誤差要因を回避することので
きる各種成分(例えば、界面活性剤、アスコルビン酸オ
キシダーゼ、酸化剤、又は還元剤など)、第二試薬を添
加した後に進行する主反応を速やかに進行させるための
反応促進剤、分析対象化合物以外の類似物質に対する反
応抑制剤、分析試薬を構成するための緩衝液成分を添加
することができ、更に、場合により防腐剤などを添加す
ることができる。
【0025】以下、本発明による分析用試薬を、分析対
象化合物直接分析型分析用試薬に適用する場合と、過酸
化水素生成型分析用試薬に適用する場合とに分けて、説
明する。もっとも、以下の説明において、分析対象化合
物直接分析型分析用試薬に関する記載であっても、過酸
化水素生成型分析用試薬に対しても当てはまる事項は、
特に断わらない限り、その両者、すなわち、本発明によ
る分析用試薬に関する記載であるものと理解されたい。
また、逆に、過酸化水素生成型分析用試薬に関する記載
であっても、分析対象化合物直接分析型分析用試薬に対
しても当てはまる事項は、特に断わらない限り、その両
者、すなわち、本発明による分析用試薬に関する記載で
あるものと理解されたい。
【0026】本発明による分析対象化合物直接分析型分
析用試薬において、ホウ酸及び/又はホウ酸塩の濃度は
特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜3
00mM、より好ましくは1〜200mMの範囲で用い
ることができる。なお、前記の「濃度」は、本発明によ
る分析対象化合物直接分析型分析用試薬を用いる測定系
において、被検試料中の分析対象化合物と、分析用試薬
に含まれる酸化酵素とを接触させ、前記分析対象化合物
の酸化反応を実施する反応系におけるホウ酸又はホウ酸
塩の各濃度の総和を意味する。
【0027】本発明による分析対象化合物直接分析型分
析用試薬は、従来法と同様に、1試薬系又は2試薬系の
形で調製することができる。本発明による分析対象化合
物直接分析型分析用試薬を2試薬系の形で調製すると、
種々の誤差要因を回避するために、これらを予め処理し
ておくことが可能な点で、好ましい。また、酸化酵素の
作用による分析対象化合物の変化を光学的な減少として
測定する場合には、酵素反応前後の吸光度の変化をとら
える必要があるので、本発明による分析対象化合物直接
分析型分析用試薬を2試薬系の形で調製することが好ま
しい。
【0028】本発明による分析対象化合物直接分析型分
析用試薬としては、例えば、ビリルビンオキシダーゼ
(酸化酵素)を用いるビリルビン(分析対象化合物)の
分析用試薬を挙げることができる。本発明によるビリル
ビン分析用試薬は、例えば、ビリルビンオキシダーゼを
含有する従来公知のビリルビン分析用試薬にホウ酸又は
ホウ酸塩の少なくとも1種を含有させることによって調
製することができる。本発明は、特にビリルビンオキシ
ダーゼ(酸化酵素)を用いるビリルビン(分析対象化合
物)の分析用試薬に適用することが好ましい。
【0029】本発明をビリルビン分析用試薬に適用する
場合について、以下に説明する。もっとも、以下の説明
において、ビリルビン分析用試薬以外の試薬に対しても
当てはまる事項は、ビリルビン分析用試薬以外の本発明
による分析対象化合物直接分析型分析用試薬に関する記
載であるものと理解されたい。本明細書において、「ビ
リルビン」という用語は、抱合ビリルビン(又は、直接
ビリルビン;すなわち、1グルクロン酸抱合ビリルビン
又は2グルクロン酸抱合ビリルビン)、非抱合ビリルビ
ン(又は、間接ビリルビン)、又はデルタビリルビン
(すなわち、アルブミン結合ビリルビン)を意味するも
のとして使用すると共に、それらを集合的に称する総ビ
リルビンを意味するものとしても使用する。従って、本
明細書において、「ビリルビン分析」には、前記の各ビ
リルビンの分析が含まれ、例えば、総ビリルビン測定、
抱合ビリルビン測定、又は直接ビリルビン測定が含まれ
る。
【0030】本発明のビリルビン分析用試薬において、
ホウ酸及び/又はホウ酸塩の濃度は特に限定されるもの
ではないが、好ましくは0.1〜300mM、より好ま
しくは1〜200mMの範囲で用いることができる。な
お、前記の「濃度」は、本発明の分析用試薬を用いる測
定系において、被検試料中の分析対象化合物(すなわ
ち、ビリルビン)と、分析用試薬に含まれる酸化酵素
(すなわち、ビリルビンオキシダーゼ)とを接触させ、
前記分析対象化合物の酸化反応を実施する反応系におけ
るホウ酸又はホウ酸塩の各濃度の総和を意味する。
【0031】本発明によるビリルビン分析用試薬に使用
することのできるビリルビンオキシダーゼは、従来の公
知のビリルビン分析用試薬に使用されている任意のビリ
ルビンオキシダーゼであって、カテコール類に対しても
作用するビリルビンオキシダーゼである。例えば、バチ
ルス属(Bacillus)のバチルス・リフェニフォ
ルミス(Bacillus licheniformi
s)B−0891由来のビリルビンオキシダーゼ(特開
昭61−209587号公報)、ミロセシウム属(My
rothecium)のミロセシウム・ベルカリア(M
yrothecium vercaria)MT−1由
来のビリルビンオキシダーゼ(特公昭60−12032
号公報)、又は担子菌の1種であるエビタケ属のトラキ
デルマ・ツノダエ(Trachyderma tsun
odae)K−2593由来のビリルビンオキシダーゼ
(特公平3−24198号公報)なども用いることもで
きる。
【0032】本発明によるビリルビン分析用試薬におい
て、ビリルビンオキシダーゼの含有量は、所望のビリル
ビン分析(例えば、総ビリルビン測定、抱合ビリルビン
測定、又は直接ビリルビン測定)において正確な分析を
実施することができる濃度である限り、特に限定される
ものではないが、例えば、総ビリルビン測定において
は、測定系において、好ましくは0.01〜20U/m
l、より好ましくは0.1〜10U/mlの範囲であ
り、抱合ビリルビン測定又は直接ビリルビン測定におい
ても、測定系において、好ましくは0.01〜20U/
ml、より好ましくは0.01〜10U/mlの範囲で
使用することができる。
【0033】本発明によるビリルビン分析用試薬を用い
てビリルビンを分析する場合のpH値範囲は、従来法と
異なるものではないが、ホウ酸の解離定数(pK)は
9.2と比較的高いアルカリ側にあるので、好ましくは
pH6.5〜11、より好ましくはpH7〜11であ
る。具体的には、総ビリルビン分析においては、特公平
3−36520号公報又は特公平3−79998号公報
に記載のpH値、すなわち、pH7〜8.5の範囲で実
施することが好ましい。また、抱合ビリルビン分析又は
直接ビリルビン分析においては、特開昭62−5899
9号公報に記載のpH値、すなわち、pH9〜11の範
囲で実施することが好ましい。
【0034】本発明によるビリルビン分析用試薬に用い
ることのできる緩衝液成分としては、従来のビリルビン
測定方法に用いられている緩衝液成分を挙げることがで
きる。例えば、リン酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、ト
リス緩衝液、グッド(Good)緩衝液、炭酸緩衝液、
アミン系緩衝液(例えば、ジエタノールアミン又はトリ
エタノールアミン等)、又はユニバーサル緩衝液(例え
ば、グリシン等)などを使用することができる。
【0035】本発明によるビリルビン分析用試薬に用い
ることのできる反応促進剤としては、従来公知の反応促
進剤、例えば、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活
性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、
若しくは胆汁酸類等)、芳香族カルボン酸、サルファ
剤、若しくはプロテアーゼ(特公平3−36520号公
報)、フェノール類若しくはアニリン類(特開平3−1
75997号公報)、チオ化合物類と、フェロシアン化
カリウム及び/又はフェリシアン化カリウムとの組合せ
(特開平9−37795号公報)、又はフェリシアン化
カリウム(特公平3−79998号公報)などを挙げる
ことができる。
【0036】また、本発明によるビリルビン分析用試薬
に用いることのできる反応抑制剤、特に抱合ビリルビン
分析又は直接ビリルビン分析における反応抑制剤として
は、、従来公知の反応抑制剤、例えば、フッ素化合物若
しくは還元剤(特開平5−276992号公報)、テト
ラピロール環化合物(特開平7−231795号公
報)、又はキレート剤(特開平9−37795号公報)
などを挙げることができる。
【0037】更に、本発明によるビリルビン分析用試薬
においては、各種ビリルビン分析用試薬(例えば、総ビ
リルビン分析用試薬、抱合ビリルビン分析用試薬、又は
直接ビリルビン分析用試薬)として必要な成分、例え
ば、界面活性剤、防腐剤、又は安定剤などを適宜添加す
ることができる。例えば、界面活性剤を添加すると、被
検試料中に含まれる共雑物質の影響(例えば、乳濁な
ど)を回避することができる。
【0038】次に、本発明を、過酸化水素生成型分析用
試薬に適用する場合について、一例を以下に説明する。
分析対象化合物に直接的に酸化酵素を作用させて過酸化
水素を生成させるか、又は分析対象化合物から酵素反応
によって得られた生成物に酸化酵素を作用させて過酸化
水素を生成させ、続いて、得られた過酸化水素に対し
て、ペルオキシダーゼと水素供与体と発色カプラーとを
作用させ、生成した発色物を測定することによって分析
することのできる分析対象化合物、及びその測定に利用
する酵素反応(特に断わらない限り、分析対象化合物か
ら過酸化水素が生成されるまでの反応)を以下に示す:
【0039】 本明細書において、CESはコレステロールエステラー
ゼを、COはコレステロールオキシダーゼを意味する。
【0040】
【0041】(3)HDL(高密度リポタンパク質:h
igh−density lipoprotein)コ
レステロール又はLDL(低密度リポタンパク質:lo
w−density lipoprotein)コレス
テロール(最終検出系のみ)
【0042】 本明細書において、GKはグリセロールキナーゼを、G
POはグリセロール−3−リン酸オキシダーゼを、AT
Pはアデノシン三リン酸を、ADPはアデノシン二リン
酸を意味する。
【0043】 本明細書において、PLDはホスホリパーゼDを、CO
Dはコリンオキシダーゼを意味する。
【0044】 本明細書において、CoAはコエンザイムAを、ACS
はアシルCoAシンテターゼを、ACOはアシルCoA
オキシダーゼを意味する。
【0045】
【0046】本明細書において、GOTはグルタミン酸
−オキザロ酢酸トランスアミナーゼを、OACはオキザ
ロ酢酸デカルボキシラーゼを、POPはピルピン酸オキ
シダーゼを、TPPはチアミンピロリン酸を、Piは無
機リン酸を、FADはフラビンアデニンジヌクレオチド
を意味する。
【0047】 本明細書において、GPTはグルタミン酸−ピルビン酸
トランスアミナーゼを意味する。
【0048】 本明細書において、LDHは乳酸脱水素酵素を意味す
る。
【0049】 本明細書において、LODは乳酸オキシダーゼを、NA
DHは還元型ニコチンアデニンジヌクレオチドを、NA
Dは酸化型ニコチンアデニンジヌクレオチドを意味す
る。
【0050】 本明細書において、CHEはコリンエステラーゼを、C
ODはコリンオキシダーゼを意味する。
【0051】 本明細書において、AMYはアミラーゼを、GODはグ
ルコースオキシダーゼを意味する。
【0052】 本明細書において、MGLPはモノグリセリドリパーゼ
を意味する。
【0053】 本明細書において、SOXはザルコシンオキシダーゼを
意味する。
【0054】 本明細書において、URLはウレアアミドリアーゼを、
PKはピルビン酸キナーゼを意味する。
【0055】
【0056】
【0057】 本明細書において、NANA−アルドラーゼはN−アセ
チルノイラミン酸アルドラーゼを意味する。
【0058】 本明細書において、PNPはプリンヌクレオシドホスホ
リラーゼを、XODはキサンチンオキシダーゼを意味す
る。
【0059】前記の各酵素反応の結果として生成された
過酸化水素から、例えば、以下の反応によって色素を形
成することができる。 本明細書において、4−AAPは4−アミノアンチピリ
ンを、PODはペルオキシダーゼを意味する。
【0060】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
において、ホウ酸及び/又はホウ酸塩の濃度は特に限定
されるものではないが、好ましくは0.1〜300m
M、より好ましくは1〜200mMの範囲で用いること
ができる。なお、前記の「濃度」は、本発明による過酸
化水素生成型分析用試薬を用いる測定系において、被検
試料中の分析対象化合物と、分析用試薬に含まれる酸化
酵素とを接触させ、前記分析対象化合物の酸化反応を実
施する反応系におけるホウ酸又はホウ酸塩の各濃度の総
和を意味する。
【0061】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
に用いることのできる水素供与体としては、従来公知の
過酸化水素生成型分析用試薬に用いることのできる水素
供与体を用いることができ、例えば、フェノール又はト
リンダー試薬を挙げることができる。トリンダー試薬に
は、N−スルホプロピルアニリン誘導体若しくはN−ヒ
ドロキシスルホプロピルアニリン誘導体、又はそれらの
ナトリウム塩が含まれ、例えば、N−エチル−N−スル
ホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル
−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチ
ル−N−スルホプロピル−3、5−ジメトキシアニリン
(DAPS)、N−スルホプロピル−3、5−ジメトキ
シアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプ
ロピル−3、5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−
エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(ESP
T)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホ
プロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル
−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリ
ン(ALOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−
3−スルホプロピル)−3、5−ジメトキシアニリン
(DAOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロ
ピル)−3、5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、
N−エチル−N−(2−ヒドキロキシ−3−スルホプロ
ピル)−3、5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−
エチル−N−(2−ヒドキロキシ−3−スルホプロピ
ル)−m−トルイジン(TOOS)、又はN−スルホプ
ロピルアニリン(HALPS)などを挙げることができ
る。
【0062】本発明の過酸化水素生成型分析用試薬に用
いることのできる発色カプラーとしては、従来公知の過
酸化水素生成型分析用試薬に用いることのできる発色カ
プラーを用いることができ、例えば、4−アミノアンチ
ピリン(4−AAP)などを挙げることができる。
【0063】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
に用いることのできる成分として、分析に用いる反応系
に必須なすべての成分(例えば、酸化酵素、水素供与
体、及び発色カプラーなど)に加え、その他の成分、例
えば、緩衝液成分、反応促進剤(反応賦活剤)、カテコ
ールアミン等のカテコール類以外の共存物質の影響を回
避するための酵素・酸化剤・界面活性剤、安定化剤、又
は防腐剤等を適宜組み合わせて添加することが可能であ
る。
【0064】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
に用いることのできる緩衝液成分としては、前記分析対
象化合物の測定に用いられている従来公知の緩衝液成分
を挙げることができる。具体的な緩衝液成分としては、
ビリルビン分析用試薬において例示した成分と同一の成
分を使用することができる。
【0065】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
に用いることのできる反応促進剤(反応賦活剤)として
は、例えば、補酵素、界面活性剤、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、又はハロゲンイオン等を
利用することが可能である。補酵素としては、例えば、
GOT測定やGPT測定におけるピリドキサールリン酸
(PALP)等を挙げることができる。界面活性剤とし
ては、例えば、総コレステロール等の脂質分析におい
て、例えば、ポリエチレングリコールモノ−p−イソオ
クチルフェニルエーテル(商品名トリトンX−100;
販売元ナカライテスク等)、ポリオキシエチレンラウリ
ルアルコールエーテル(商品名ブリッジ35;販売元ナ
カライテスク等)等の非イオン性界面活性剤、ラウリル
硫酸ナトリウム(SLS;販売元ナカライテスク等)等
の陰イオン性界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウ
ムクロライド(販売元関東化学等)等の陽イオン性界面
活性剤、又はその他コール酸ナトリウム等の胆汁酸系の
界面活性剤等を利用することが可能である。また、アル
カリ土類金属イオン及びハロゲンイオンとしては、例え
ば、アミラーゼ測定における反応賦活剤として塩素イオ
ン又はカルシウムイオンを利用することが可能である。
【0066】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
に用いることのできる、カテコールアミン等のカテコー
ル類以外の共存物質の影響を回避するために、酵素、酸
化剤、及び/又は界面活性剤を添加することができる。
例えば、アスコルビン酸の影響を回避するための酵素と
して、アスコルビン酸オキシダーゼを利用することが可
能である。また、酸化剤としては、例えば、ビリルビン
の影響を回避するためのバナジン酸ナトリウム又はフェ
リシアン化カリウム等を用いることができる。また、界
面活性剤としては、例えば、検体の乳濁による誤差を解
消するために、本発明による過酸化水素生成型分析用試
薬に添加することができる前記反応促進剤(反応賦活
剤)として例示した界面活性剤、すなわち、ポリエチレ
ングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル等
の非イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の
陰イオン性界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウム
クロライド等の陽イオン性界面活性剤、又はその他コー
ル酸ナトリウム等の胆汁酸系の界面活性剤を使用するこ
とが可能である。
【0067】本発明による過酸化水素生成型分析用試薬
も、従来法と同様に、1試薬系又は2試薬系の形で調製
することができる。本発明による過酸化水素生成型分析
用試薬を2試薬系の形で調製すると、種々の誤差要因を
回避するために、これらを予め処理しておくことが可能
な点で、好ましい。本発明による過酸化水素生成型分析
用試薬を、第一試薬及び第二試薬からなる2試薬系試薬
として調製する場合には、水素供与体(例えば、トリン
ダー試薬等)及び発色カプラー(例えば、4−アミノア
ンチピリン等)を第一試薬又は第二試薬のいずれに添加
してもかまわない。
【0068】本発明の分析用試薬(すなわち、分析対象
化合物直接分析型分析用試薬又は過酸化水素生成型分析
用試薬)によって被検試料中に含まれる分析対象化合物
を分析する場合は、本発明による分析対象化合物直接分
析型分析用試薬の場合であっても、あるいは、本発明に
よる過酸化水素生成型分析用試薬の場合であっても、従
来公知の分析用試薬を用いる分析と同様に実施すること
ができる。例えば、本発明による分析用試薬として第一
試薬と第二試薬とからなる2試薬系試薬を用いる場合に
は、被検試料に第一試薬を添加し、所定温度で所定時間
加温した後に、第二試薬を添加し、同じ温度で更に所定
時間加温して反応させる。第二試薬を添加してから所定
時間が経過した後の吸光度と、第一試薬を添加してから
所定時間が経過した後の吸光度との吸光度変化量を計算
し、既知濃度の標準物質の吸光度変化量を基準として、
前記計算値から濃度換算を行ない、分析対象化合物量を
求めることができる。あるいは、第二試薬を添加してか
ら所定時間が経過した後の吸光度を測定し、既知濃度の
標準物質の吸光度変化量を基準として、前記測定値のみ
から濃度換算を行ない、分析対象化合物量を求めること
ができる。また、分析対象化合物の1単位(例えば、m
g/dl又はU/lなど)当たりの得られる吸光度変化
量が既知である場合には、これから算出される係数を乗
じることにより、分析対象化合物量を求めることもでき
る。
【0069】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】本実施例では、pH値の異なる2試薬系総
ビリルビン分析用試薬を用いて、総ビリルビン測定にお
けるホウ酸添加効果を評価した。第一試薬としては、所
定のpHに応じた後述する100mM緩衝液に、100
mMオルトホウ酸、40mM−p−トルエンスルホン
酸、及び1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを
溶解した水溶液であり、pH値が6.5、7.0、7.
5、8.0、又は8.5である4種類の第一試薬を用意
した。pH6.5の第一試薬にはビス(2−ヒドロキシ
エチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(B
isTris)緩衝液を使用し、以下、同様に、pH
7.0にはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2
−アミノエタンスルホン酸(BES)緩衝液、pH7.
5及びpH8.0には2−[4−(2−ヒドロキシエチ
ル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPE
S)緩衝液、pH8.5にはN−トリス(ヒドロキシメ
チル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAP
S)緩衝液を使用した。
【0070】第二試薬としては、4U/mlミロセシウ
ム・ベルカリア由来ビリルビンオキシダーゼ(天野製
薬)を含有する20mM−2−[4−(2−ヒドロキシ
エチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(以
下、HEPESと称する)緩衝液(pH8.0)を使用
した。
【0071】また、被検試料として、4%牛血清アルブ
ミン(以下、BSAと称する)溶液、及び管理血清であ
るセラケム1(販売元:ダイアヤトロン)、並びに10
mg/dlカテコール、5mg/dlエピネフリン、5
mg/dlドーパミン、又は5mg/dlエピネフリン
と5mg/dlドーパミンとの組合せのいずれかを含有
する4%BSA溶液又はセラケム1を調製した。
【0072】各被検試料14μlに第一試薬280μl
を添加し、37℃で5分間加温した後に、第二試薬70
μlを添加し、更に5分間加温して反応させた。第二試
薬を添加してから5分後の吸光度(主波長450nm;
副波長546nm)から、第一試薬を添加してから5分
後の吸光度(前記と同じ)を液量補正して差し引いた吸
光度変化量より、既知濃度のビリルビン標準物質の吸光
度変化量を基準として濃度換算を行ない、ビリルビン値
を求めた。
【0073】被検試料として、4%BSA溶液、及び1
0mg/dlカテコール、5mg/dlエピネフリン、
5mg/dlドーパミン、又は5mg/dlエピネフリ
ンと5mg/dlドーパミンとの組合せのいずれかを含
有する4%BSA溶液を用いた場合の結果を表1に示
す。また、被検試料として、セラケム1、及び10mg
/dlカテコール、5mg/dlエピネフリン、5mg
/dlドーパミン、又は5mg/dlエピネフリンと5
mg/dlドーパミンとの組合せのいずれかを含有する
セラケム1を用いた場合の結果を表2に示す。表1及び
表2に示す総ビリルビン量の単位は、mg/dlであ
る。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【比較例】前記実施例1で調製した本発明による総ビリ
ルビン分析用試薬における前記の4種類の100mMオ
ルトホウ酸添加第一試薬の代わりに、ホウ酸無添加の4
種類の第一試薬(所定の同じpHに応じた前記100m
M緩衝液に、40mM−p−トルエンスルホン酸、及び
1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを溶解した
水溶液)を用いること以外は、前記実施例1の操作を繰
り返した。
【0077】被検試料として、4%BSA溶液、及び1
0mg/dlカテコール、5mg/dlエピネフリン、
5mg/dlドーパミン、又は5mg/dlエピネフリ
ンと5mg/dlドーパミンとの組合せのいずれかを含
有する4%BSA溶液を用いた場合の結果を表3に、被
検試料として、セラケム1、及び10mg/dlカテコ
ール、5mg/dlエピネフリン、5mg/dlドーパ
ミン、又は5mg/dlエピネフリンと5mg/dlド
ーパミンとの組合せのいずれかを含有するセラケム1を
用いた場合の結果を表4に示す。表3及び表4に示す総
ビリルビン量の単位は、mg/dlである。ホウ酸無添
加の総ビリルビン分析用試薬を用いた場合には、カテコ
ール又はカテコールアミン無添加の被検試料(すなわ
ち、4%BSA溶液、又はセラケム1)の測定値と、カ
テコール又はカテコールアミン(すなわち、エピネフリ
ン、ドーパミン、又はエピネフリン及びドーパミン)を
添加した被検試料の測定値との差が大きく、カテコール
又はカテコールアミンの影響を受けることが確認され
た。
【0078】本発明による総ビリルビン分析用試薬を用
いることにより、pH6.5〜pH8.5の範囲、特に
はpH7.0〜pH8.5の範囲において、カテコール
又はカテコールアミン無添加の被検試料(すなわち、4
%BSA溶液、又はセラケム1)の測定値と、カテコー
ル又はカテコールアミン(すなわち、エピネフリン、ド
ーパミン、又はエピネフリン及びドーパミン)を添加し
た被検試料の測定値との差が小さくなり、カテコール又
はカテコールアミンの影響が軽減されることが確認され
た。
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【実施例2】本実施例では、ホウ酸濃度の異なる総ビリ
ルビン分析用試薬を使用し、総ビリルビンの測定を実施
した。前記実施例1で調製した本発明による総ビリルビ
ン分析用試薬における前記100mMオルトホウ酸添加
第一試薬の代わりに、第一試薬として、所定濃度(1〜
200mM)のオルトホウ酸、40mM−p−トルエン
スルホン酸、及び1mMエチレンジアミン四酢酸二ナト
リウム含有の100mM−HEPES緩衝液(pH8.
0)を用いること以外は、前記実施例1の操作を繰り返
した。また、対照試験として、前記100mMオルトホ
ウ酸添加第一試薬の代わりに、ホウ酸無添加の第一試薬
(pH8.0)[40mM−p−トルエンスルホン酸、
及び1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム含有の
100mM−HEPES緩衝液(pH8.0)]を使用
して、前記実施例1の操作を繰り返した。
【0082】被検試料として、4%BSA溶液、及びカ
テコール又はカテコールアミンを含有する4%BSA溶
液を用いた場合の結果を表5に、被検試料として、セラ
ケム1、及びカテコール又はカテコールアミンを含有す
るセラケム1を用いた場合の結果を表6に示す。表5及
び表6に示す総ビリルビン量の単位は、mg/dlであ
る。本発明による総ビリルビン分析用試薬を用いた場合
には、第一試薬におけるオルトホウ酸の添加濃度が1〜
200mMの範囲で、対照試験に比べて、カテコール又
はカテコールアミン無添加の被検試料(すなわち、4%
BSA溶液、又はセラケム1)の測定値と、カテコール
又はカテコールアミン(すなわち、エピネフリン、ドー
パミン、又はエピネフリン及びドーパミン)を添加した
被検試料の測定値との差が小さく、カテコール又はカテ
コールアミンの影響が軽減されることが確認された。
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【実施例3】本実施例では、由来の異なるビリルビンオ
キシダーゼを含む総ビリルビン分析用試薬を用いて、総
ビリルビンの測定を実施した。本発明による2試薬系総
ビリルビン分析用試薬の第一試薬として、32mM−p
−トルエンスルホン酸(以下、PTSと称する)、0.
3%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及び1m
M−EDTAを含有する100mM−HEPES緩衝液
に100mMオルトホウ酸を添加した試薬(pH7.
8)と、32mM−PTS、0.3%ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、及び1mM−EDTAを含有す
る100mM−HEPES緩衝液に50mM四ホウ酸ナ
トリウムを添加した試薬(pH7.8)とを調製した。
【0086】また、本発明による2試薬系総ビリルビン
分析用試薬の第二試薬として、32mM−PTSを含有
する100mM−HEPES緩衝液(pH7.8)に4
U/mlミロセシウム・ベルカリア由来ビリルビンオキ
シダーゼを添加した試薬と、32mM−PTSを含有す
る100mM−HEPES緩衝液(pH7.8)に4U
/mlトラキデルマ・ツノダエ由来ビリルビンオキシダ
ーゼとを調製した。
【0087】これらの各2種類の第一試薬及び第二試薬
をそれぞれ組み合わせることによって、本発明による4
種類の2試薬系総ビリルビン分析用試薬を調製した。な
お、対照試薬としては、32mM−PTS、0.3%ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及び1mM−E
DTAを含有する100mM−HEPES緩衝液(pH
7.8)からなる第一試薬と、4U/mlミロセシウム
・ベルカリア由来ビリルビンオキシダーゼを添加した前
記の第二試薬、又は4U/mlトラキデルマ・ツノダエ
由来ビリルビンオキシダーゼを添加した前記の第二試薬
とからなる2種類の2試薬系総ビリルビン分析用試薬を
使用した。
【0088】被検試料として、4%BSA溶液、及び管
理血清であるオーソリキッドノーマル(販売元:オーソ
・ダイアグノスティック・システムズ)、並びに10m
g/dlカテコール、5mg/dlエピネフリン、5m
g/dlドーパミン、又は5mg/dlエピネフリンと
5mg/dlドーパミンとの組合せのいずれかを含有す
る4%BSA溶液又はオーソリキッドノーマルを調製し
た。
【0089】前記実施例1に記載の方法に従って、総ビ
リルビンの測定を行なった。被検試料として、4%BS
A溶液、及び10mg/dlカテコール、5mg/dl
エピネフリン、5mg/dlドーパミン、又は5mg/
dlエピネフリンと5mg/dlドーパミンとの組合せ
のいずれかを含有する4%BSA溶液を用いた場合の結
果を表7に示す。また、被検試料として、オーソリキッ
ドノーマル、及び10mg/dlカテコール、5mg/
dlエピネフリン、5mg/dlドーパミン、又は5m
g/dlエピネフリンと5mg/dlドーパミンとの組
合せのいずれかを含有するオーソリキッドノーマルを用
いた場合の結果を表8に示す。
【0090】表7及び表8に示す総ビリルビン量の単位
は、mg/dlである。また、表7及び表8の「第一試
薬」欄又は「第二試薬」欄において、(1)は前記の対
照用第一試薬を、(2)は前記のオルトホウ酸添加第一
試薬を、(3)は前記の四ホウ酸ナトリウム添加第一試
薬を、(4)は前記のミロセシウム・ベルカリア由来ビ
リルビンオキシダーゼを添加した第二試薬を、(5)は
前記のトラキデルマ・ツノダエ由来ビリルビンオキシダ
ーゼを添加した第二試薬をそれぞれ示す。本発明による
総ビリルビン分析用試薬に含有されるビリルビンオキシ
ダーゼとして、ミロセシウム由来ビリルビンオキシダー
ゼ又はエビタケ由来ビリルビンオキシダーゼのいずれの
酵素を使用した場合でも、オルトホウ酸又は四ホウ酸ナ
トリウムの添加により、カテコール又はカテコールアミ
ンの影響が軽減されることが確認された。
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】
【実施例4】本実施例では、抱合ビリルビン分析用試薬
による抱合ビリルビンの測定を実施した。前記実施例3
で調製した本発明による総ビリルビン分析用試薬の代わ
りに、100mMグリシン−NaOH緩衝液(pH1
0.0)に、100mMオルトホウ酸を添加して調製し
た第一試薬と、0.1U/mlミロセシウム・ベルカリ
ア由来ビリルビンオキシダーゼを含有する20mM−H
EPES緩衝液(pH8.0)である第二試薬とからな
る本発明による抱合ビリルビン分析用試薬を用いること
以外は、前記実施例3に記載の操作を繰り返した。ま
た、対照試験として、前記実施例3で調製した本発明に
よる総ビリルビン分析用試薬の代わりに、100mMグ
リシン−NaOH緩衝液(pH10.0)である第一試
薬と、前記の0.1U/mlミロセシウム・ベルカリア
由来ビリルビンオキシダーゼ含有の第二試薬とからなる
2試薬系試薬を用いること以外は、前記実施例3に記載
の操作を繰り返した。
【0094】被検試料として、4%BSA溶液、及び1
0mg/dlカテコール、5mg/dlエピネフリン、
5mg/dlドーパミン、又は5mg/dlエピネフリ
ンと5mg/dlドーパミンとの組合せのいずれかを含
有する4%BSA溶液を用いた場合の結果を表9に示
す。また、被検試料として、オーソリキッドノーマル、
及び10mg/dlカテコール、5mg/dlエピネフ
リン、5mg/dlドーパミン、又は5mg/dlエピ
ネフリンと5mg/dlドーパミンとの組合せのいずれ
かを含有するオーソリキッドノーマルを用いた場合の結
果を表10に示す。表9及び表10に示す総ビリルビン
量の単位は、mg/dlである。本発明による抱合ビリ
ルビン分析用試薬(すなわち、オルトホウ酸添加試薬)
を用いた場合には、比較例(すなわち、オルトホウ酸無
添加試薬)に比べて、カテコール又はカテコールアミン
無添加の被検試料(すなわち、4%BSA溶液、又はセ
ラケム1)の測定値と、カテコール又は各カテコールア
ミン(すなわち、エピネフリン、ドーパミン、又はエピ
ネフリン及びドーパミン)を添加した被検試料の測定値
との差が小さく、カテコール又はカテコールアミンの影
響が軽減されることが確認された。
【0095】
【表9】
【0096】
【表10】
【0097】
【実施例5】本実施例では、ホウ酸濃度の異なる尿酸分
析用試薬を使用し、尿酸の測定を実施した。本発明によ
る2試薬系尿酸分析用試薬の第一試薬として、所定濃度
(100mM又は200mM)のオルトホウ酸、0.5
mM−N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジ
ン(ESPT)、及び5U/mlペルオキシダーゼを含
む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)を調製した。本
発明による2試薬系尿酸分析用試薬の第二試薬として、
2mM−4−アミノアンチピリン及び0.3U/mlウ
リカーゼを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)を
調製した。また、対照試薬として、ホウ酸無添加の第一
試薬[すなわち、0.5mM−ESPT及び5U/ml
ペルオキシダーゼを含む50mMリン酸緩衝液(pH
7.0)]と、前記第二試薬[すなわち、2mM−4−
アミノアンチピリン及び0.3U/mlウリカーゼを含
む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)]とからなる2
試薬系試薬を調製した。
【0098】被検試料として、管理血清であるセラケム
2(販売元:ダイアヤトロン)、5mg/dlエピネフ
リンを含有するセラケム2、及び5mg/dlドーパミ
ン含有セラケム2を調製した。各被検試料8μlに第一
試薬320μlを添加し、37℃で5分間加温した後
に、第二試薬80μlを添加し、更に5分間加温して反
応させた。第二試薬を添加してから5分後の吸光度(主
波長600nm;副波長700nm)から、第一試薬を
添加してから5分後の吸光度(前記と同じ)を液量補正
して差し引いた吸光度変化量より、既知濃度の尿酸標準
物質の吸光度変化量を基準として濃度換算を行ない、尿
酸値を求めた。
【0099】結果を表11に示す。表11に示す尿酸量
の単位は、mg/dlである。本発明による尿酸分析用
試薬を用いた場合には、対照試験に比べて、カテコール
アミンの影響が軽減されることが確認された。
【0100】
【表11】
【0101】
【実施例6】本実施例では、1試薬系の尿酸分析用試薬
を使用し、尿酸の測定を実施した。本発明による尿酸分
析用試薬として、前記実施例5で調製した200mMオ
ルトホウ酸添加の第一試薬と、前記実施例5で調製した
第二試薬とを4:1の割合で混合した1試薬系尿酸分析
用試薬(オルトホウ酸の最終濃度=160mM)を調製
した。また、対照試薬として、前記実施例5で調製した
対照試薬の第一及び第二試薬を4:1の割合で混合した
1試薬系試薬を調製した。被検試料として、前記実施例
5で調製した被検試料を使用した。各被検試料8μlに
1試薬系尿酸分析用試薬400μlを添加し、37℃で
10分間加温した後の吸光度(主波長600nm;副波
長700nm)より、既知濃度の尿酸標準物質の吸光度
変化量を基準として濃度換算を行ない、尿酸値を求め
た。
【0102】結果を表12に示す。表12に示す尿酸量
の単位は、mg/dlである。本発明による尿酸分析用
試薬を用いた場合には、1試薬系の尿酸分析用試薬にお
いても、2試薬系の尿酸分析用試薬の場合と同様に、対
照試験に比べてカテコールアミンの影響が軽減されるこ
とが確認された。
【0103】
【表12】
【0104】
【実施例7】本実施例では、ホウ酸濃度の異なるクレア
チニン分析用試薬を使用し、クレアチニンの測定を実施
した。本発明による2試薬系クレアチニン分析用試薬の
第一試薬として、所定濃度(50mM、100mM、又
は200mM)のオルトホウ酸、95U/mlクレアチ
ナーゼ、6U/mlザルコシンオキシダーゼ、500U
/mlカタラーゼ、及び2.5mM−3−ヒドロキシ−
2,4,6−トリヨード安息香酸を含む30mM−HE
PES緩衝液(pH7.9)を調製した。本発明による
2試薬系クレアチニン分析用試薬の第二試薬として、2
70U/mlクレアチナーゼ、30U/mlペルオキシ
ダーゼ、及び5mM−4−アミノアンチピリンを含む5
0mM−HEPES緩衝液(pH7.8)を調製した。
また、対照試薬として、ホウ酸無添加の第一試薬[すな
わち、95U/mlクレアチナーゼ、6U/mlザルコ
シンオキシダーゼ、500U/mlカタラーゼ、及び
2.5mM−3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード
安息香酸を含む30mM−HEPES緩衝液(pH7.
9)]と、前記第二試薬[すなわち、270U/mlク
レアチナーゼ、30U/mlペルオキシダーゼ、及び5
mM−4−アミノアンチピリンを含む50mM−HEP
ES緩衝液(pH7.8)]とからなる2試薬系試薬を
調製した。
【0105】被検試料として、管理血清であるセラケム
2(販売元:ダイアヤトロン)、及び5mg/dlエピ
ネフリン、5mg/dlドーパミン、又は5mg/dl
エピネフリンと5mg/dlドーパミンとの組合せのい
ずれかを含有するセラケム2を調製した。各被検試料5
μlに第一試薬250μlを添加し、37℃で5分間加
温した後に、第二試薬125μlを添加し、更に5分間
加温して反応させた。第二試薬を添加してから5分後の
吸光度(主波長546nm;副波長660nm)から、
第一試薬を添加してから5分後の吸光度(前記と同じ)
を液量補正して差し引いた吸光度変化量より、既知濃度
のクレアチニン標準物質の吸光度変化量を基準として濃
度換算を行ない、クレアチニン値を求めた。
【0106】結果を表13に示す。表13に示すクレア
チニン量の単位は、mg/dlである。本発明によるク
レアチニン分析用試薬を用いた場合には、第一試薬にお
けるホウ酸の添加濃度が50〜200mMの範囲で、対
照試験に比べて、カテコールアミンの影響が軽減される
ことが確認された。
【0107】
【表13】
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、分析対象化合物とカテ
コール類(例えば、カテコール又はカテコールアミン)
とを基質とする酸化酵素を使用する分析方法、及び分析
対象化合物に直接的に酸化酵素を作用させて過酸化水素
を生成させるか、又は分析対象化合物から酵素反応によ
って得られた生成物に酸化酵素を作用させて過酸化水素
を生成させ、続いて、得られた過酸化水素に対して、ペ
ルオキシダーゼと水素供与体と発色カプラーとを作用さ
せ、生成した発色物を測定する分析方法において、生体
試料に含まれることのあるカテコール類の影響を実質的
に排除又は軽減して、生体試料中の分析対象化合物をよ
り正確に分析することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化酵素の作用による分析対象化合物の
    変化を光学的に測定する分析用試薬であって、前記酸化
    酵素がカテコール類をも基質とする分析用試薬におい
    て、ホウ酸又はホウ酸塩を含有することを特徴とする、
    分析用試薬。
  2. 【請求項2】 分析対象化合物に直接的に酸化酵素を作
    用させて過酸化水素を生成させるか、又は分析対象化合
    物から酵素反応によって得られた生成物に酸化酵素を作
    用させて過酸化水素を生成させ、続いて、得られた過酸
    化水素に対して、ペルオキシダーゼと水素供与体と発色
    カプラーとを作用させ、生成した発色物を測定する分析
    用試薬において、ホウ酸又はホウ酸塩を含有することを
    特徴とする、分析用試薬。
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