JP2002223795A - 液状カタラーゼの安定化法 - Google Patents

液状カタラーゼの安定化法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】安定剤を併用することなく、保存安定性の高い
液状カタラーゼを得る。 【解決手段】カタラーゼ水溶液、特に「カタラーゼを含
有する、液状の、生化学診断用試薬」に、メチルアルコ
ールを添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液状カタラーゼの安
定化法に関する。特にカタラーゼを含有する、液状の、
生化学診断用試薬の安定化法に関する。
【0002】
【従来の技術】カタラーゼは、過酸化水素を分解し水と
酸素を生成せしめる作用をもつ酵素のひとつで、医学分
野では、血液(血清)、尿、唾液などの生物学的試料
(体液)に存在する分析対象物から過酸化水素を生成
し、生成した過酸化水素を測定することにより、分析対
象物を検出し生化学診断する方法において、該分析対象
物以外の物質(妨害物質)に由来する過酸化水素を過酸
化水素消去試薬を用いて消去した後、分析対象物を検出
する方法の、該過酸化水素消去試薬として広く用いられ
ている。また食品分野、その他の工業分野などにおいて
も、このカタラーゼの過酸化水素分解能を利用すること
が盛んに行われている。
【0003】しかし、カタラーゼは水溶液中では、非常
に不安定である欠点を有している。従来、液状カタラー
ゼの安定化法として、1)カタラーゼ水溶液に対して、
グリセリン15〜20%(V/V)、クエン酸ソーダ4
〜6%(W/V)、エチルアルコール3〜8%(V/
V)及び食塩5〜10%(W/V)が同時に存在するよ
うに添加する、安定化された液状カタラーゼの製造法
(特公昭55−7234参照)、2)カタラーゼを、2
0%(W/W)以上のエチルアルコールと5%(W/
W)以上の糖アルコールを含む水溶液に溶解し、安定な
カタラーゼ溶液を得る方法(特公昭62-55836参
照)、および3)カタラーゼ水溶液に対し、塩化アンモ
ニウム0.5〜5%、エタノール1〜2%およびクエン
酸ナトリウム1〜3%を添加する液状カタラーゼの安定
法(特公平3−58710参照)などが知られている。
【0004】これらの方法は、エタノールと他の安定剤
を組合わせて液状カタラーゼの安定化を図るものであ
り、メチルアルコールを単独で使用して液状カタラーゼ
を安定化することは記載されていない。また、これらの
方法は、エチルアルコール以外に他の安定剤の併用を余
儀なくされている。すなわち、上記1)の方法では、グ
リセリン、クエン酸ソーダおよび食塩を、また2)の方
法では、ソルビトール、マルチトール又はマニトールな
どの糖アルコールを、そして3)の方法では、塩化アン
モニウムおよびクエン酸ナトリウムを、それぞれ併用し
て添加することを余儀なくされている。したがって、こ
れらの方法は、液状カタラーゼの調製操作が煩雑にな
り、また最も重要なことであるが、液状カタラーゼに含
まれる安定剤の成分の種類および濃度が多くなると、該
液状カタラーゼを生化学診断用試薬などで利用する際、
影響が大きくなり、測定の精度が低下したり、また測定
値の信頼性が低下したりする危険性を有する。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、
安定剤を併用することなく、保存安定性の高い液状カタ
ラーゼを得ること目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため種々検討を重ねた結果、カタラーゼ水溶
液に対し、メチルアルコールを添加した場合、メチルア
ルコール以外に他の安定剤を使用することなく、安定な
カタラーゼ水溶液を得ることを知り、この知見に基づい
て本発明を完成した。即ち、本発明は、カタラーゼ水溶
液に対し、メチルアルコールを添加することを特徴とす
る液状カタラーゼの安定化法である。
【0007】
【実施の態様】本発明で用いるカタラーゼとしては、動
植物起源及び微生物起源の任意のカタラーゼが挙げられ
る。
【0008】本発明のカタラーゼ水溶液としては、カタ
ラーゼを含有する溶液であれば、特に制限はなく如何な
る性状を有する溶液でも適用される。具体的には、カタ
ラーゼを水又は緩衝液に溶解して得られる液状カタラー
ゼおよび従来公知の、カタラーゼを含有する、液状の、
生化学診断用試薬、例えば1)カタラーゼを含有する、
液状の、トリグセライド測定試薬、2)同、LDL(lo
w-density lipoprotein)コレステロール測定試薬、
3)同、クレアチニン測定試薬、4)同、尿素窒素(Ur
ea Nitrogen)測定試薬、5)同、コレステロールエス
テル測定試薬、6)同、リン脂質測定試薬、7)同、無
機リン測定試薬、8)同、GPT測定試薬および9)
同、α−アミラーゼ測定試薬などが挙げられる。
【0009】カタラーゼを含有する、液状の、生化学診
断用試薬の具体例を以下に示す。
【0010】 1)カタラーゼを含有する、液状の、
生化学診断用測定試薬(第1試薬) 体液(血液、血清、尿、唾液などの生物学的試料)に含
まれる妨害物質に作用して過酸化水素を生成する酵素ま
たは該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を
生成する酸化酵素およびカタラーゼを含有する第1試薬
および体液の測定成分に作用して妨害物質を生成する酵
素、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用
して過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよ
び色原体を含有する第2試薬からなる生化学診断用測定
試薬において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状
の、生化学診断用測定試薬(第1試薬)」が挙げられ
る。
【0011】2)カタラーゼを含有する、液状の、トリ
グリセライド測定試薬 体液のトリグリセライドを測定するに当たり、体液に含
まれるグリセリンに、「カタラーゼを含有する、液状
の、トリグリセライド測定試薬(グリセロールキナー
ゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼおよびカタ
ラーゼを含有する)」を作用させて、グリセリンから生
成した過酸化水素を消去した後、次いで体液のトリグリ
セライドにリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナ
ーゼ、グルセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオ
キシダーゼおよび色原体を作用させて、トリグリセライ
ドからグリセリンを生成させ、グリセリンからグリセロ
ール−3−リン酸を生成させ、グリセロール−3−リン
酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させ
た後、その発色強度を測定することにより、前記体液の
トリグリセライドを測定する方法において用いる、「カ
タラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試
薬」が挙げられる。
【0012】3)カタラーゼを含有する、液状の、LD
Lコレステロール測定試薬 体液のLDLコレステロールを測定するに当たり、体液
に含まれるLDL以外のリポ蛋白に、「カタラーゼを含
有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬(コレ
ステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダー
ゼ、界面活性剤(ポリオキシエチレン誘導体)及びカタ
ラーゼを含有する)」を作用させて、LDL以外のリポ
蛋白から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液
のLDLコレステロールにコレステロールエステラー
ゼ、コレステロールオキシダーゼ、非イオン性界面活性
剤を作用させ、過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を
発色させた後、その発色強度を測定することにより前記
体液のLDLコレステロールを測定する方法において用
いる、該「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレ
ステロール測定試薬」が挙げられる。
【0013】4)カタラーゼを含有する、液状の、クレ
アチニン測定試薬 体液のクレアチニンを測定するに当たり、体液に含まれ
るクレアチンに、「カタラーゼを含有する、液状の、ク
レアチニン測定試薬(クレアチンアミジノヒドラーゼ、
ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼを含有する)」を
作用させ、クレアチンから生成した過酸化水素を消去し
た後、次いで体液のクレアチニンにクレアチニンアミド
ヒドラーゼ、クレアチンアミジノヒドラーゼ、ザルコシ
ンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び色原体を作用さ
せて、クレアチニンからクレアチンを生成させ、クレア
チンからザルコシンを生成させ、ザルコシンから過酸化
水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発
色強度を測定することにより前記体液のクレアチニンを
測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含有す
る、液状の、クレアチニン測定試薬」があげられる。
【0014】5)カタラーゼを含有する、液状の、尿素
窒素測定試薬 体液の尿素窒素(UN)を測定するに当たり、体液に含
まれるピルビン酸に「カタラーゼを含有する、液状の、
尿素窒素測定試薬(ピルビン酸オキシダーゼおよびカタ
ラーゼを含有する)」を作用させて、ピルビン酸から生
成した過酸化水素を消去した後、次いで体液の尿素窒素
にATP−hydorolysing型ウレアーゼ(URL)、フォ
スフォエノールピルビン酸カリウム塩(PEP)、ピル
ビン酸キナーゼを作用させ、ピルビン酸を生成させ、さ
らに、ピルビン酸は、ピルビン酸オキシダーゼ(POP
G)から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色さ
せた後、その発色強度を測定することにより体液の尿素
窒素を測定する方法において用いる、該「カタラーゼを
含有する、液状の、尿素窒素測定試薬」が挙げられる。
【0015】6)カタラーゼを含有する、液状の、コレ
ステロールエステル測定試薬 体液のコレステロールエステルを測定するに当たり、体
液に含まれるコレステロールに「カタラーゼを含有す
る、液状の、コレステロールエステル測定試薬(コレス
テロールオキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」
を作用させて、コレステロールから生成した過酸化水素
を消去した後、次いで体液のコレステロールエステルに
リパーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダ
ーゼおよび色原体を作用させて、コレステロールエステ
ルからコレステロールを生成させ、コレステロールから
過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、
その発色強度を測定することにより体液のコレステロー
ルエステルを測定する方法において用いる、該「カタラ
ーゼを含有する、液状の、コレステロールエステル測定
試薬」が挙げられる。
【0016】7)カタラーゼを含有する、液状の、リン
脂質測定試薬 体液のリン脂質を測定するに当たり、体液に含まれるコ
リンに「カタラーゼを含有する、液状の、リン脂質測定
試薬(コリンオキシダーゼおよびカタラーゼを含有す
る)」を作用させて、コリンから生成した過酸化水素を
消去した後、次いで体液のリン脂質にホスフォリパーゼ
D、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原
体を作用させて、リン脂質からコリンを生成させ、コリ
ンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させ
た後、その発色強度を測定することにより体液のリン脂
質を測定する方法において用いる、該「カタラーゼを含
有する、液状の、リン脂質測定試薬」が挙げられる。
【0017】8)カタラーゼを含有する、液状の、無機
リン測定試薬 体液の無機リンを測定するに当たり、体液に含まれるヒ
ポキサンチンに「カタラーゼを含有する、液状の、無機
リン測定試薬(キサンチンオキシダーゼおよびカタラー
ゼを含有する)」を作用させて、ヒポキサンチンから生
成した過酸化水素を消去した後、次いで体液の無機リン
にイノシンおよびプリンヌクレオチドフォスフォリラー
ゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび
色原体を作用させて、無機リンからヒポキサンチンを生
成させ、ヒポキサンチンから過酸化水素を生成させ、該
過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定するこ
とにより体液の無機リンを測定する方法において用い
る、該「カタラーゼを含有する、液状の、無機リン測定
試薬」が挙げられる。
【0018】9)カタラーゼを含有する、液状の、GP
T測定試薬 体液のGlutamic Pyruvic Transaminase(GPT)を
測定するに当たり、体液に含まれるピルビン酸に「カタ
ラーゼを含有する、液状の、GPT測定試薬(ピルビン
酸オキシダーゼおよびカタラーゼを含有する)」を作用
させて、ピルビン酸から生成した過酸化水素を消去した
後、次いで体液のGPTにL−アラニン、α−ケトグル
タル酸、ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼお
よび色原体を作用させて、GPTからピルビン酸を生成
させ、ピルビン酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化
水素を発色させた後、その発色強度を測定することによ
り体液のGPTを測定する方法において用いる、該「カ
タラーゼを含有する、液状の、GPT測定試薬」が挙げ
られる。
【0019】10)カタラーゼを含有する、液状の、α
−アミラーゼ測定試薬 体液のα−アミラーゼを測定するに当たり、体液のグル
コースに「カタラーゼを含有する液状の、α−アミラー
ゼ測定試薬(グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ
を含有する)」を作用させて、グルコースから生成した
過酸化水素を消去した後、次いで体液のα−アミラーゼ
にアミラーゼ基質、グルコースオキシダーゼ、ペルオキ
シダーゼおよび色原体を作用させて、α−アミラーゼか
らグルコースを生成させ、グルコースから過酸化水素を
生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度
を測定することにより体液のα−アミラーゼを測定する
方法において用いる、該「カタラーゼを含有する、液状
の、α−アミラーゼ測定試薬」が挙げられる。
【0020】本発明は、カタラーゼ水溶液に対し、メチ
ルアルコールを添加する事を最も特徴としている。本発
明においてこの点は極めて重要な点であり、他のアルコ
ール、例えば、エチルアルコールを用いる場合は、他の
安定剤の併用を余儀なくされる。これに対し、メチルア
ルコールの場合は、他の安定剤を併用することなくカタ
ラーゼを安定化させることが出来る。メチルアルコール
濃度は、0.005〜3.0%(以下、メチルアルコー
ル濃度は、V/V%を意味する)が好ましく、0.01
〜2.0%がより好ましい。本発明によれば、「カタラ
ーゼを含有する、液状の、各種の生化学診断用試薬」、
を35℃または42℃にて保存した場合、該カタラーゼ
残存活性を、少なくとも10日間、60%以上に保持す
ることが可能となる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の効果をより具
体的に説明する。
【0022】実施例1 (保存安定性の高い液状カタラーゼの調製例)50mM
リン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム(pH
7.0)にカタラーゼ 500U/mlを含有する水溶
液を調製した。これに安定剤として、メチルアルコール
を、無添加(0.00%)(比較例)、0.005%、
0.01%、0.05%、0.10%、0.20%、
0.50%、1.00%、2.00%あるいは5.00
%となるように加えた。これを、品温35℃で保存し、
2、5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。
その結果を図1(35℃保存)に示す。また、品温42
℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの残存活性
を測定した。その結果を図2(42℃保存)に示す。
【0023】図1の結果から、メチルアルコールを含有
しない(比較例)液状カタラーゼは、35℃、10日間
保存した場合、60%の残存活性を示すが、メチルアル
コールを0.005%〜2.00%含有する液状カタラ
ーゼは、80%以上の残存活性を示し、安定性が良くな
ることが判る。
【0024】また図2の結果から、メチルアルコールを
添加しない液状カタラーゼは、42℃、10日間保存し
た場合(このような過酷な条件は、経験上、冷蔵庫で1
年間保存した場合に相当する)、50%の残存活性を示
すが、メチルアルコールを0.005%〜2.00%含
有する液状カタラーゼは、約70%以上の残存活性を示
し、また0.01%〜1.00%含有する液状カタラー
ゼは、約80%の残存活性を示し、安定性が良くなるこ
とが判る。
【0025】実施例2 (カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測
定試薬の調製例)体液のトリグリセライドを測定するた
め、下記第1試薬および第2試薬から構成されるトリグ
リセライド測定試薬を調製した。
【0026】 第1試薬(以下、カタラーゼを含有する、液状の、トリグリセライド測定試 薬という) カタラーゼ 500 U/ml グリセロールキナーゼ 1.0 U/ml グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ 4.0 U/ml アデノシン三リン酸二ナトリウム 1.5 mM MOPSバッファー 0.2 M、pH 7.0 N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン (TOOS) 1.5 mM トリトンX−100 0.1 % 塩化カリウム 50 mM
【0027】 第2試薬 4−アミノアンチピリン 1.2 mM リポプロテインリパーゼ 300 U/ml ペルオキシダーゼ 6.0 U/ml MOPSバッファー 0.2 M、pH 6.5 トリトンX−100 0.1 % 塩化カリウム 50 mM
【0028】次いで、上記第1試薬(カタラーゼを含有
する、液状の、トリグリセライド測定試薬)にメチルア
ルコールを、無添加(0.00%)(比較例)、0.0
05%、0.01%、0.05%、0.10%、0.2
0%、0.50%、1.00%、2.00%、あるいは
5.00%となるように加え、本発明の「カタラーゼ
を、含有する液状の、トリグリセライド測定試薬」を調
製した。
【0029】これを、35℃で保存し、2、5、10日
目にカタラーゼの残存活性を測定した。その結果を図3
(35℃保存)に示す。また、42℃で保存し、2、
5、10日目にカタラーゼの残存活性を測定した。その
結果を図4(42℃保存)に示す。
【0030】図3の結果から、メチルアルコールを添加
しない場合(比較例)、カタラーゼ活性は、10日間の
保存で、40%が失われる。これに対し、メチルアルコ
ールを0.005%〜2.00%添加した場合、カタラ
ーゼは大部分の活性が保持され、約80%〜約90%の
残存活性を示すことが判る。
【0031】また図4の結果から、メチルアルコールを
添加しない場合(比較例)、42℃、10日間の保存
で、0%の残存活性を示し、活性が完全に失活するのに
対して、メチルアルコールを0.005%から2.0%
まで添加した場合、37%以上の残存活性を、0.01
%から2.0%まで添加した場合、50%以上の残存活
性を示すことが判る。以上のことから、本発明によれば
保存安定性の高い「カタラーゼを含有する、液状の、ト
リグリセライド測定試薬」が得られることが判る。
【0032】実施例3 (カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロー
ル測定試薬の調製例)体液のLDLコレステロール測定
するための、下記第1試薬および第2試薬から構成され
るLDLコレステロール測定試薬を調製した。
【0033】 第1試薬(以下、カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測 定試薬という) カタラーゼ 500 U/ml コレステロールエステラーゼ 0.7 U/ml コレステロールオキシダーゼ 0.6 U/ml 塩化マグネシウム 15 mM 塩化ナトリウム 50mM BESバッファー 0.1 M、pH 7.0 N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチオキシアニリン (HDAOS) 1.0 mM エマルゲンB-66 0.2 %
【0034】 第2試薬 4−アミノアンチピリン 3.0 mM ペルオキシダーゼ 7.0 U/ml BESバッファー 0.1 M、pH 7.0 トリトンX−100 3.0 % 塩化ナトリウム 50mM
【0035】次いで、上記第1試薬(カタラーゼを含有
する、液状の、LDLコレステロール測定試薬)にメチ
ルアルコールを、無添加(カタラーゼ濃度0.00%)
(比較例)、0.005%、0.01%、0.05%、
0.10%、0.20%、0.50%、1.00%、
2.00%、あるいは5.00%となるように加え、本
発明の「カタラーゼを含有する、液状の、LDLコレス
テロール測定試薬」を得た。
【0036】次いで、本実施例で得られた「カタラーゼ
を含有する、液状の、LDLコレステロール測定試薬」
を、35℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの
残存活性を測定した。その結果を図5(35℃保存)に
示す。また、42℃で保存し、2、5、10日目にカタ
ラーゼの残存活性を測定した。その結果を図6(42℃
保存)に示す。
【0037】図5の結果から、メチルアルコールを添加
しない場合(比較例)、35℃、10日間の保存で、7
0%の残存活性を示すのに対して、メチルアルコールを
0.005%〜2.00%添加した場合、約80%の残
存活性を示した。
【0038】また、図6の結果から、メチルアルコール
を添加しない場合(比較例)、42℃、10日間の保存
で、約20%の残存活性を示すのに対して、メチルアル
コールを0.005%〜2.0%添加した場合、約40
%の残存活性を、0.01%〜2.0%添加した場合、
約50〜65%の残存活性を示した。図5および図6の
結果から、本発明によれば保存安定性の高い「カタラー
ゼを含有する、液状の、LDLコレステロール測定試
薬」が得られることが判る。
【0039】実施例4 (カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試
薬の調製例)体液のクレアチニンを測定するための、下
記第1試薬および第2試薬から構成されるクレアチニン
測定試薬を調製した。
【0040】 第1試薬(以下、カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬とい う) カタラーゼ 500 U/ml クレアチンアミジノヒドラーゼ 30 U/ml ザルコシンオキシダーゼ 10 U/ml TESバッファー 0.1 M、pH 7.0 N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン( TOOS) 3.0 mM トリトンX−100 0.1 % 塩化ナトリウム 50mM
【0041】 第2試薬 4−アミノアンチピリン 3.0 mM クレアチニンアミドヒドラーゼ 250 U/ml ペルオキシダーゼ 10 U/ml TESバッファー 0.1 M、pH 7.0 トリトンX−100 0.1 % 塩化ナトリウム 50mM
【0042】次いで、上記第1試薬(カタラーゼを含有
する、液状の、クレアチニン測定試薬)にメチルアルコ
ールを、無添加(カタラーゼ濃度0.00%)(比較
例)、0.005%、0.01%、0.05%、0.1
0%、0.20%、0.50%、1.00%、2.00
%、あるいは5.00%となるように加え、本発明の
「カタラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試
薬」を得た。
【0043】次いで、本実施例で得られた第1試薬(カ
タラーゼを含有する、液状の、クレアチニン測定試薬)
を、35℃で保存し、2、5、10日目にカタラーゼの
残存活性を測定した。その結果を図7(35℃保存)に
示す。また、42℃で保存し、2、5、10日目にカタ
ラーゼの残存活性を測定した。その結果を図8(42℃
保存)に示す。
【0044】図7の結果から、メチルアルコールを添加
しない場合(比較例)、35℃、10日間の保存で、約
30%の残存活性を示すのに対して、メチルアルコール
を0.005%から2.0%まで添加した場合、約75
%〜85%の残存活性を示した。
【0045】また図8の結果から、メチルアルコールを
添加しない場合(比較例)、42℃、10日間の保存
で、カタラーゼは、殆ど失活して、残存活性は殆ど示さ
ないのに対して、メチルアルコールを0.005%〜
2.00%添加した場合、40%以上の残存活性を、
0.01%から2.00%まで添加した場合、約50〜
60%残存活性を示した。図7および図8の結果から、
本発明によれば保存安定性の高い「カタラーゼを含有す
る、液状の、クレアチニン測定試薬」が得られることが
判る。
【0046】以上、実施例2〜実施例4の結果から、長
期間保存安定性の高い、「カタラーゼを含有する、液状
の、生化学診断用試薬」が得られることが判る。
【0047】
【本発明の効果】本発明は、安定剤を併用することな
く、保存安定性の高い液状カタラーゼを容易に得ること
ができる。特に、保存安定性の高い、「カタラーゼを含
有する、液状の、生化学診断用試薬」を得ることができ
る。本発明で得られる液状カタラーゼは、従来公知の過
酸化水素消去試薬として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた液状カタラーゼの35℃に
おけるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図2】同液状カタラーゼの42℃におけるカタラーゼ
保存安定性を示すグラフである。
【図3】実施例2で得られた、「カタラーゼを含有す
る、液状の、トリグリセライド測定試薬」の35℃にお
けるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図4】同試薬の42℃におけるカタラーゼ保存安定性
を示すグラフである。
【図5】実施例3で得られた「カタラーゼを含有する、
液状の、LDLコレステロール測定試薬」の35℃にお
けるカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図6】同試薬の42℃におけるカタラーゼ保存安定性
を示すグラフである。
【図7】実施例4で得られた「カタラーゼを含有する、
液状の、クレアチニン測定試薬」の35℃におけるカタ
ラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図8】同試薬の42℃におけるカタラーゼ保存安定性
を示すグラフである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カタラーゼ水溶液に対し、メチルアルコー
    ルを添加することを特徴とする液状カタラーゼの安定化
    法。
  2. 【請求項2】メチルアルコールを0.005〜3.0V
    /V%添加する請求項1記載の液状カタラーゼの安定化
    法。
  3. 【請求項3】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、生化学診断用試薬である請求項1または請
    求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  4. 【請求項4】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、トリグリセライド測定試薬である請求項1
    または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  5. 【請求項5】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、LDLコレステロール測定試薬である請求
    項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化
    法。
  6. 【請求項6】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、クレアチニン測定試薬である請求項1また
    は請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  7. 【請求項7】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、尿素窒素測定試薬である請求項1または請
    求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  8. 【請求項8】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、コレステロールエステル測定試薬である請
    求項1または請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化
    法。
  9. 【請求項9】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、リン脂質測定試薬である請求項1または請
    求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  10. 【請求項10】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、無機リン測定試薬である請求項1または請
    求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  11. 【請求項11】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、GPT測定試薬である請求項1または請求
    項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
  12. 【請求項12】液状カタラーゼが、カタラーゼを含有す
    る、液状の、α−アミラーゼ測定試薬である請求項1ま
    たは請求項2に記載の液状カタラーゼの安定化法。
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