JP3901860B2 - 複数の酵素を反応させる物質の定量方法及び酵素組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体液 (血液及び尿) 中に存在する物質の定量方法及びその定量に使用する酵素組成物に関する。
さらに詳しくは、測定対象物質あるいはその反応中間体に対して作用する複数の酵素を用いて、生体液中に存在する物質を簡便かつ精度良く定量する方法及びその方法に使用する酵素組成物に関する。
本発明は生体液中に比較的高濃度で存在する物質の定量に好適である。
【0002】
【従来の技術】
物質の定量は、次の式(1) に示すように測定対象物質を信号を発する物質である反応指示物質へと導き、信号を検出して得られた信号の大きさと物質の量とを関係させることによって行われる。
測定対象物質→A→B→・・・→反応指示物質 (1)
測定対象物質:定量する対象となる目的物質
反応指示物質:吸光度などの信号を有し、測定対象物質の量を代弁する物質
反応中間体(A, B,・・・) :測定対象物質自体が反応指示物質となり得ない場合に、測定対象物質を反応指示物質へと導く過程で生じる物質
【0003】
測定対象物質を完全に反応指示物質へと変換させる方法は終点法(エンドポイント法)と呼ばれるのに対し、測定対象物質から反応指示物質への反応を徐々に進行させて、その反応速度から物質を定量する方法は反応速度論的方法(レート法、カイネティック法)と呼ばれている。
終点法は測定対象物質を完全に反応指示物質へと変換させるのであるから、測定対象物質を完全には反応指示物質へと変換しない反応速度論的方法に比べると、得られる信号が大きい、すなわち感度が高いので精度よく測定対象物質を定量することができる。
しかしながら、得られる信号が大きすぎると信号を検出する測定機械の測定上限を上回るために、測定対象物質の測定上限値が限定される。
従って、生体液中に比較的高濃度で存在するブドウ糖や尿素といった生体成分を測定する場合には、測定可能な上限値が生体液中に存在する濃度よりも低いため、生体液を希釈して測定しなければならなかった。
生体液を希釈することは希釈操作が煩雑であるばかりでなく、希釈操作による誤差を生じる原因となる。
【0004】
これに対して反応速度論的方法は、測定対象物質を完全には反応指示物質に変換させずに、一定の速度で変換反応を進行させるために、得られる信号の大きさは終点法よりも小さく、従って生体液中に比較的高濃度で存在する物質であっても測定することが可能である。
しかしながら、反応速度論的方法はその反応の進行速度が基質の濃度以外にも測定温度よって影響を受けることから、反応時の温度管理を厳密にしなければならないとか、反応の進行速度を経時的に観測しなければならないという煩雑さを有している。
【0005】
酵素反応を用いて反応速度論的方法を実施する場合には、酵素が反応する物質、すなわち基質に対するミハエリス定数(Km値) が反応液中での基質の濃度に比べて充分大きいことが必須条件である。
酵素の本来有しているKm値が反応速度論的方法の実施にとって充分大きな値でない場合には、見かけ上Km値を大きくする物質、すなわち拮抗阻害剤を用いることによって、目的が達せられる。拮抗阻害剤を用いる測定法としては、尿素測定時にヒドロキシウレア (クリニカルケミストリー、25巻、1721頁、1979年) 、ホウ酸又はその塩 (特開昭39-131900 号公報) あるいはアセロヒドロキサム酸 (特開平 2-25099号公報) などの拮抗阻害剤を用いる方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
生体液中の濃度が非常に高い場合には、その物質の濃度が高いことを根拠として疾病の診断や病態の把握が行われる他、その物質の濃度が高いことによって重篤な疾患を引き起す可能性があることから、高濃度に存在する物質を簡便、迅速かつ正確に定量する必要がある。
しかしながら、終点法による定量方法は、正確に測定できる測定上限値が低く、物質が高濃度で存在する場合には希釈操作を必要とするという問題点を有している。また、反応速度論的方法による定量法は測定可能範囲は広いが、測定時の条件を厳密にしなければ正確な測定値が得られないといった問題点を有している。
そこで、生体液中に高濃度で存在する物質の場合には、終点法と反応速度論的方法の利点を併せ持つような定量方法が望まれていた。
本発明の目的は、生体液中に存在する物質を生体液を希釈することなく、複数の酵素を用いて簡便、迅速かつ正確に定量する方法及びそれに用いる酵素組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、採取した生体液中のある物質に対して作用する複数の酵素を反応させ、かつこれらの酵素のうちの一つの酵素によって生じる反応指示物質を検出することにより、測定対象物質を定量するものである。
このことによって、物質は完全に他の物質へと変換されるにもかかわらず、得られる信号の大きさは信号を検出する測定機械の測定上限値以下に納めることができる。
また、本発明は、複数の酵素よりなり、それを用いて採取した生体液中のひとつの物質に対して該複数の酵素を作用させ、該物質を定量することができるようにした生体液中の物質測定用酵素組成物に関する。
【0008】
すなわち、本発明は、採取した生体液中のある物質(基質)に複数の酵素を作用させて該物質(基質)の反応指示物質あるいは反応中間体に変換するとともに該物質(基質)あるいはその酵素反応により生成する中間体に他の酵素を作用させて反応指示物質以外の物質に変換させ過剰の反応指示物質の生成を防止し、生成した反応指示物質を定量することよりなる生体液中の物質の定量方法に関する。
本発明においては複数の酵素を同時に生体液中の物質に作用させてもよく、また逐次的に作用させてもよい。
また、本発明は、生体液中の物質の定量に用いられる複数の酵素よりなり、その一酵素が生体液中のある物質を反応指示物質あるいは反応中間体に変換する酵素であり、他の酵素は該物質あるいは前記酵素反応によって生ずる中間体に作用して反応指示物質以外の物質に変換させて過剰の反応指示物質の生成を防止する酵素である生体液中の物質の定量に用いられる酵素組成物に関する。
【0009】
本発明の酵素は、測定対象物質そのもの、あるいは測定対象物質を適当な反応系を用いて変換した結果生じる物質のいずれにも適用することができる。本発明ではこれらを生体液中のある物質 (基質) という。
しかしながら、ある物質に対して作用する2つ以上の酵素を単に用いただけでは目的は達成できない。
本発明の理論的な背景を測定対象物質に作用する複数の酵素として2つの酵素を用いた場合で具体的に以下で説明する。
測定対象物質をSとし、Sに作用する2つの酵素をそれぞれE1、E2とする。
酵素E1、E2の基質Sに対するミハエリス定数(Km値) をそれぞれKm1 、Km2 とする。
基質Sに酵素E1及びE2が作用して生じる生成物をそれぞれP1、P2とする。
ここでP1は反応指示物質であるが、P2は信号を有さず、反応指示物質ではない。酵素の反応速度vはミハエリス−メンデンの式により、
v= [S] ×V/( [S] +Km)
[S] :酵素の基質の反応時の濃度
V :酵素の最大反応速度
で表されるので、2つの酵素のKm値が同じであれば、その反応速度はそれぞれの酵素の最大反応速度の比によって決まることになる。
【0010】
すなわち、E1とE2の酵素量の添加比が1:1 であれば、それぞれの生成物P1とP2の比も1:1 となるし、酵素量の添加比が1:4 であれば、それぞれの生成物の量比は1:4 となる。
従って、基質定量の際に酵素E1だけを用いる場合に比べて、E1とE2を1:1 の比で添加すると1/2 、E1とE2を1:4 の比で添加すると1/5 の感度となる。
このようにE1とE2の添加量を変えることにより、得られる感度が任意に調整できるので、測定対象物質を高濃度まで測定することが可能となる。
この場合、Km1 とKm2 の比は0.5 〜1.5 、最も好ましくは1.0 である。
また、Km1 とKm2 が大きく異なる場合、例えばKm2 がKm1 に比べて遙かに大きい場合には、基質Sに予め酵素E2を作用させ、基質濃度に関係なく一定の割合で基質Sを消費させてから、酵素E1を作用させる。
Km値が大きく異なる場合に、酵素E1とE2が共存すると、Km値が大きい方の酵素反応はKm値が小さい方の酵素に比べて著しく遅いため、系としての反応速度はKm値の小さい方の酵素のみによって規定されることとなる。
【0011】
従って、反応の終了時に存在する反応指示物質であるP1の量は基質Sに予めE2を作用させることによって消費されずに残ったSの量となる。
この場合にも、基質Sを1つの酵素E1だけを用いて定量する場合に比べて、生成する反応指示物質であるP1の量は少なく、従って基質Sを高濃度まで測定することができる。
この場合、Km1 とKm2 の比は0.2 以下、最も好ましくは0.02以下である。
予めE2を作用させてからE1を添加する場合、E1を添加する時には可逆的あるいは不可逆的阻害剤の添加、活性化成分の捕捉、pH変化等の処理によってE2の反応を完全に停止させても、させなくてもどちらでも構わないし、これらの処理によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
同様にして、基質Sが測定対象物質でなくとも、測定対象物質を適当な反応系によって複数の酵素の基質Sに変換すれば、測定対象物質を高濃度まで測定することが可能となる。
なお、複数の酵素によって一つの指示反応のみへ導くのではなく、複数の指示反応に導き、それぞれで生成する反応指示物質の濃度と反応指示物質自体の信号の大きさとから、測定対象物質の濃度域に合わせて、検出する反応指示物質を選択することもできる。
すなわち、P1とP2のいずれもが反応指示物質であっても、それぞれを検出する条件、例えば測定波長が異なれば、測定対象物質の濃度によってどちらかの反応指示物質を検出するかを選択することで、異なる測定上限値を設定することが可能である。
【0013】
同じ物質に作用する複数の酵素のKm値が本発明の条件下に合わない場合には、反応のpH、イオン強度、緩衝剤の種類と濃度、阻害剤の種類と濃度、活性化剤の種類と濃度などを選択することよって定量可能な条件とすることが可能であるが、本発明ではこれらの方法について限定するものではない。
また、本発明では特に測定対象物質を限定するものではなく、定量方法と組成物を限定するものである。
【0014】
本発明の生体液中の物質の定量法は、生体液中に比較的多量に存在する物質の定量に用いられる。このような物質としては尿素、グルコース、ピルビン酸、無機リン、コレステロール等がある。
【0015】
例えば尿素定量は、ウレアーゼと尿素アミドリアーゼを作用させて実施例に記載した方法により行なうことができる。
また、グルコースの定量は、グルコースにヘキソキナーゼとグルコース酸化酵素とを作用させて次の反応を行なう。
そして、生成したグルコース 6−リン酸にニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化型(NADP)の存在下でグルコース 6−リン酸脱水素酵素を作用させて生ずるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NADPH)を測定するか、あるいはグルコース酸化酵素を反応させて生ずるH2O2に4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリンの存在下でベルオキシダーゼを作用させて生じるキノリン色素を測定する。
【0016】
さらにまた、酸化酵素の基質となるものは酸化酵素によって生ずる過酸化水素にカタラーゼとペルオキシダーゼを作用させて定量することができる。
このような基質としては、コレステロール、クレアチニンにクレアチニナーゼ及びクレアチナーゼを作用させて生じるサルコシン、グルコース、ピルビン酸、無機リンにイノシンの存在下でプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼを作用させて生じるキサンチン等を例示することができる。
それぞれの場合に用いられる酸化酵素はコレステロール酸化酵素、サルコシン酸化酵素、グルコース酸化酵素、キサンチン酸化酵素である。
4-AA: 4-アミノアンチピリン
TOOS: N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-3-メチルアニリン
そして、生ずるキノン色素を定量して基質を定量することができる。
【0017】
本発明の酵素組成物は、これらの酵素を組み合わせればよく、またさらにこれらの酵素に酵素活性化剤、酵素安定剤、界面活性剤、反応指示薬等を組み合わせてもよい。
酵素活性化剤としては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が、酵素安定剤としては、ウシ血清アルブミン、ショ糖、エチレンジアミン四酢酸、アミノ酸等が、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンモノアシルエステル等が、さらに反応指示薬等としては、フェノールレッド、フェノールフタレイン、パラニトフェノールが例示される。
【0018】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
本発明を実施例により詳細に説明する。
(1) 測定試薬
実験例 (本発明による測定用試薬)
尿素窒素に対して作用するウレアーゼ (酵素番号3,5,1,5)と尿素アミドリアーゼ (酵素番号3.5.1.43) を用い、尿素窒素を測定した実施例を示す。
ここではウレアーゼのKm値を尿素アミドリアーゼのKm値よりも著しく大きく (50倍) し、反応液1に添加されているウレアーゼを検体中の尿素と反応させた後に、反応液2に添加されている尿素アミドリアーゼを尿素と反応させた。
すなわち、試料中の尿素は反応液1中で分解され、反応液2が添加された後に尿素はアデノシン−三−リン酸(ATP)、カリウム及び重炭酸の存在下で尿素アミドリアーゼによって分解されてアデノシン−二−リン酸(ADP)を生じる。
ADP はブドウ糖の存在下でヘキソキナーゼの作用を受けてアデノシン−1−リン酸(AMP)となり、ブドウ糖はグルコース6-リン酸となる。
グルコース6-リン酸はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化型 (NADP) の存在下でグルコース6-リン酸脱水素酵素の作用を受けて6-ホスホグルコン酸となるが、NADPはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型 (NADPH)へ還元される。
従って、NADPH に由来する340nm での吸光度を測定することにより、試料中に存在していた尿素濃度を求めることができた。
【0019】
この反応の経路を図1に示した。
(反応液1)
ヘキソキナーゼ 600単位
ATP 76mg
塩化カリウム 466mg
重炭酸水素カリウム 100mg
塩化マグネシウム 24mg
グルコース6-リン酸脱水素酵素 600単位
トリエタノールアミン塩酸塩 8.0g
ウレアーゼ 10,000単位
アセトヒドロキサム酸 0.5g
上記成分を精製水100mL に溶解した後、希塩酸を加えてpHを8.0 とする。
(反応液2)
尿素アミドリアーゼ 1,000単位
トリエタノールアミン塩酸塩 8.0g
NADP 420mg
ブドウ糖 1.8g
上記成分を精製水100mL に溶解した後、希塩酸を加えてpHを8.0 とする。
【0020】
【比較例1】
(従来技術の終点法)
上記の実験例の反応液からウレアーゼとアセトヒドロキサム酸を除外し、尿素に尿素アミドリアーゼのみを反応させて、終点法で定量した。
(反応液1)
ヘキソキナーゼ 600単位
ATP 76mg
塩化カリウム 466mg
重炭酸水素カリウム 100mg
塩化マグネシウム 24mg
グルコース6-リン酸脱水素酵素 600単位
トリエタノールアミン塩酸塩 8.0g
上記成分を精製水100mL に溶解した後、希塩酸を加えてpHを8.0 とする。
(反応液2)
尿素アミドリアーゼ 1000単位
トリエタノールアミン塩酸塩 8.0mg
NADP 420mg
ブドウ糖 1.8mg
上記成分を精製水100mL に溶解した後、希塩酸を加えてpHを8.0 とする。
【0021】
【比較例2】
(従来技術の反応速度論的方法)
尿素に対するウレアーゼのKm値を大きくした条件下で尿素にウレアーゼを作用させ、生じたアンモニアをグルタミン酸脱水素酵素と反応させて、反応速度論的方法で定量した。
(反応液1)
グルタミン酸脱水素酵素 400単位
NADPH 30mg
α- ケトグルタル酸 150mg
トリエタノールアミン塩酸塩 8.0g
上記成分を精製水100mL に溶解した後、希塩酸を加えてpHを8.0 とする。
(反応液2)
ウレアーゼ 500単位
アセトヒドロキサム酸 2.5g
トリエタノールアミン塩酸塩 8.0g
上記成分を精製水100mL に溶解した後、希塩酸を加えてpHを8.0 とする。
【0022】
(2) 測定試料
500mg/dL濃度の尿素水溶液の10点希釈系列と2濃度 (血清1及び血清2(表1及び2参照))のヒト血清。
【0023】
(3) 測定操作
いずれの測定方法の場合にも、試料量は0.08mL、反応液1は2.8mL 、反応液2は0.7mL を測定に使用した。
実験例及び比較例1では試料と反応液1を混和後、37℃で5分間加温後に反応液2を加えた。反応液2を加えてから37℃で5分間加温後に分光光度計で340nm での吸光度を盲検を対象として測定した。
濃度は試料での吸光度と標準液 (尿素窒素30mg/dL)での吸光度の比に標準液の濃度を乗じて求めた。
比較例2では試料と反応液1を混和後、37℃で5分間加温後に反応液2を加えた。反応液2を加えてから37℃で加温して1〜3分間、分光光度計で340nm での吸光度を盲検を対象として測定し、1分間当たりの吸光度変化量を計算した。
濃度は試料での吸光度変化量と標準液(尿素窒素30mg/dL)での吸光度変化量の比に標準液の濃度を乗じて求めた。
【0024】
(4) 測定結果
2濃度のヒト血清を検体として同時再現性能を比較した結果を表1及び表2に、尿素水溶液の10点希釈系列を検体として直線性能を比較した結果を図2に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】
前記実施例の結果から、以下の点が確認された。
従来の技術である一つの物質に対して作用する一つの酵素を用いる測定法のうち、終点法は同時再現性能に優れるものの直線性能が低い。
また、反応速度論的方法では直線性能は高いものの同時再現性能が悪い。
これらの測定方法に対して本発明は再現性及び検量域の両方に優れた結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の本発明方法の酵素反応経路を示す。
【図2】実施例1の本発明方法、従来の終点法及び反応速度論的方法の測定結果を、500mg/dLの尿素水溶液の10点希釈系列 (横軸) と測定値 (縦軸) との関係で示す。
Claims (6)
- 採取した生体液中に含まれる尿素に、尿素アミドリアーゼとウレアーゼを作用せしめることによって、尿素アミドリアーゼにより尿素の定量に適量のADPに変換すると共に、尿素にウレアーゼを反応させて過剰なADPへの変換を防止し、変換された適量のADPを定量することによって生体液中に存在する尿素を定量することを特徴とする、生体液中に含まれる尿素の定量方法。
- 以下の(i)または(ii)を特徴とする、請求項1に記載の尿素の定量方法。
(i)ウレアーゼと尿素アミドリアーゼのKm値を同一にして、ウレアーゼ及び尿素アミドリアーゼを同時に採取した生体液中の尿素に作用せしめることを特徴とする、請求項1に記載の尿素の定量方法。
(ii)ウレアーゼのKm値を尿素アミドリアーゼのKm値よりも大きくし、ウレアーゼを予め採取した生体液中の尿素に作用させ、次いで、尿素アミドリアーゼを採取した生体液中の尿素に作用せしめることを特徴とする、請求項1に記載の尿素の定量方法。 - ウレアーゼのKm値を尿素アミドリアーゼのKm値よりも大きくし、ウレアーゼを予め採取した生体液中の尿素に作用させ、次いで、尿素アミドリアーゼを採取した生体液中の尿素に作用せしめることを特徴とする請求項2に記載の尿素の定量方法において、ウレアーゼ拮抗剤を用いることによってウレアーゼのKm値を尿素アミドリアーゼのKm値よりも大きくする前記方法。
- 請求項3に記載の尿素の定量方法において、以下の(i)の反応液1を添加する工程と(ii)の反応液2を添加する工程を順次行い、生体液中に含まれる尿素を定量する方法。
(i)採取した生体液中の尿素に、少なくともウレアーゼ、及び、ウレアーゼ拮抗剤を含む反応液1を添加して該生体液中に含まれる尿素をアンモニアに分解する工程、及び
(ii)少なくとも尿素アミドリアーゼを含む反応液2を添加して尿素アミドリアーゼの作用を開始させて(i)の工程における残存尿素をアンモニアとADPへ分解し、該ADPを定量する工程。 - 反応液1が少なくともウレアーゼ、ウレアーゼ拮抗阻害剤、ATP、及びヘキソキナーゼを含み、反応液2が少なくとも尿素アミドリアーゼ、グルコース6−リン酸脱水素酵素、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びグルコースを含む請求項4に記載の尿素の定量方法であって、以下の(i)の工程と(ii)の工程を順次行い、生成されるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NADPH)を検出定量することで、生体液中に含まれる尿素を定量する方法。
(i)採取した生体液に反応液1を添加してウレアーゼの作用により尿素をアンモニアに分解させる工程、及び、
(ii)反応液2を添加して尿素アミドリアーゼの作用を開始させて(i)の工程における残存尿素をアンモニアとADPへ分解し、該ADPに(i)の工程によって添加された反応液1に含まれるヘキソキナーゼ、及び反応液2に含まれるグルコース、NADP、グルコース6−リン酸脱水素酵素を作用させてNADPHを生成する工程。 - 少なくともウレアーゼおよび尿素アミドリアーゼを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の尿素の定量方法に使用する酵素組成物。
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