JP3936976B2 - Ampの酵素的分解 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨床検査や食品検査の分野において行われる検査方法に関するものであり、試料中の酵素活性や基質濃度を測定する方法に関する。より詳細には、本発明は、定量性に優れた、ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系を利用して試料中の酵素活性や基質濃度を測定するための方法ならびにそのための試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性細菌(Thermococcus由来、Pyrococcus由来)よりアデノシン−5’−二リン酸(ADP)依存性のヘキソキナーゼ(HK)(以下、ADP依存性のヘキソキナーゼをADP−HKともいう)が分離、精製されている。本酵素は、通常のリン酸化酵素とは異なり、アデノシン−5’−三リン酸(ATP)を基質としないで、ADPと特異的に反応してAMPと6単糖リン酸化物(グルコース−6−リン酸等)を生じる反応を触媒する(反応式(1) )。
【0003】
【化1】
Figure 0003936976
【0004】
本酵素は安定性が高いため、グルコースや中性脂肪等の基質及びクレアチンリン酸キナーゼ等の酵素類の測定に有効であることが知られている〔オランダ特許9400836 、J. Biol. Chem. (1994), 269, 17537-17541 、J. Biol. Chem. (1995), 270, 30453-30457 、Arch. Microbiol. (1997), 167, 217-232 〕。
【0005】
本酵素を用いて、物質Aを定量する原理は一連の反応式(2) 〜(4) で例示される。
【0006】
【化2】
Figure 0003936976
【0007】
この場合、最終的に生じるNAD(P)Hの量を波長340nmの吸光度で測定することになるが、生体試料とりわけ血清中の物質を測定する際に、血清中に含まれるアデニレートキナーゼ(MK)の作用により、反応過程で生じるAMPがADPに逆戻りするため、正確な定量が不可能である。このMKの作用を阻害するために、P1,P5−ジ(アデノシン−5’)5リン酸(Ap5A)が使用されている。しかし、本阻害剤単独ではMKの活性を完全に阻害することは困難であった(臨床化学・補冊236-255, 1987 )。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ADP−HKの作用により基質や酵素を定量する方法において、上述のような試料中に共存するMKの影響を回避して定量性を向上させる方法を提供することである。さらに本発明の別の目的は、ADP−HKを作用させる反応系(以下、ADP−HK反応系ともいう)において生じるAMPの定量的な測定方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ADP−HK反応の直接の生成物であるAMPを酵素的に加水分解することにより、共存するMKの影響を回避できることを見出し、さらにAMPを酵素的に加水分解して生成した物質を定量することにより当該AMPを定量できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを加水分解する酵素を用いて、当該反応系よりAMPを実質的に除去する方法。
(2) AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5'ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である上記(1) 記載の方法。
(3) 上記(1) 又は(2) 記載の、AMPを実質的に除去する方法にてAMPを実質的に除去することにより、少なくともADP依存性ヘキソキナーゼと試料とを反応させる反応系に及ぼす、試料中に共存するアデニレートキナーゼの影響を実質的に排除する方法。
(4) ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解して生成した物質を定量することを特徴とする、ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを定量する方法。
(5) AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5'ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である上記(4) 記載の方法。
(6) 加水分解して生成した物質がイノシン−1−リン酸、アデニン及びアデノシンからなる群より選択される少なくとも1種である上記(4) 又は(5) 記載の方法。
(7) ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解し、当該反応系よりAMPを実質的に除去することを特徴とする、試料にADP依存性ヘキソキナーゼを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定する方法。
(8) ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解して生成した物質を定量することを特徴とする、試料にADP依存性ヘキソキナーゼを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定する方法。
(9) AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5'ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である上記(7) 又は(8) 記載の方法。
(10)試料にADP依存性ヘキソキナーゼを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定するための試薬であって、AMPを加水分解する酵素を一要素として含む試薬。
(11)AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5'ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である上記(10)記載の試薬。
【0011】
本発明におけるADP−HK反応系を利用する具体的な例としては、試料中のグルコース、中性脂肪、尿素窒素、クレアチニン、1,5アンヒドログルシトール等の基質、クレアチンリン酸キナーゼ、コリンエステラーゼ等の酵素等の測定が挙げられる。
【0012】
本発明の方法が適用可能な試料としては、予め各成分の濃度が既知の、調製試料の他、各成分の濃度が未知の生体試料が用いられる。生体試料としては、ヒトをはじめとした対象の哺乳動物の血液、血清、尿等の体液等が挙げられる。
臨床検査用に採取された試料も好適に用いられる。
【0013】
本発明において使用されるAMPを加水分解する酵素(以下、AMP加水分解酵素ともいう)は、AMPを加水分解できるものであれば特に限定されないが、具体的にはEC No. 3.5.4.6 AMPデアミナーゼ、EC No. 3.2.2.4 AMPヌクレオシダーゼ及びEC No. 3.1.3.6 5’−ヌクレオチダーゼ等が挙げられ、これらの酵素は単独又は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
AMPデアミナーゼとしては動物組織、植物及び酵母由来等のものが使用出来るが、好ましくはウサギ筋肉由来のものが利用される。AMPヌクレオシダーゼとしてはAzotobacter vinelandii等の微生物由来のものが、5’−ヌクレオチダーゼとしては酵母またはじゃがいも由来のものが利用できる。
【0014】
本発明は、ADP−HK反応系において生じるAMPを、ADPに変換させること無しにAMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ又は5’−ヌクレオチダーゼ等のAMP加水分解酵素で処理することにより加水分解し、当該反応系よりAMPを実質的に除去する方法であり、また、当該AMPの除去によって、試料中に共存するMKによるADP−HK反応系に及ぼす影響を実質的に回避する方法である。ここで「AMPを実質的に除去する」とは、MKの基質として働かない程度にまで該AMPが分解されていることを意味し、また「試料中に共存するMKの影響」とは、試料中に共存するMKによって、いったんADP−HK反応によって生じたAMPがADPへと逆戻りし、本来の値よりも高値となることを意味し、「試料中に共存するMKの影響を実質的に排除する」とは、当該「MKの影響の排除」が、少なくとも、酵素活性や基質濃度の測定において、その測定値に影響がでない程度にまでなされていることを意味している。
さらに、上述の様にADP−HK反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解し、当該反応系よりAMPを実質的に除去することにより、試料中に共存するMKの影響を実質的に受けない、試料にADP−HKを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定する方法を得ることができる。
【0015】
以下にクレアチニンの測定例を挙げて本発明を詳細に説明する。クレアチニンは一連の反応式(5) 〜(8) に示す測定原理により定量することができる。
【0016】
【化3】
Figure 0003936976
【0017】
この一連の反応は、緩衝液中で行われるが、クレアチニンデイミナーゼ(CRIMI)、N−メチルヒダントイナーゼ(NMHase )、ADP−HK、及びG6PDH(グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)等の使用する酵素の活性至適pH条件下、通常pH7.5〜8.5の範囲で緩衝能を有する適切な緩衝剤を選択する。一般には、Tris緩衝液等が選択される。さらに、当該一連の反応は、酵素の活性至適温度下、通常25〜40℃で行い、通常1〜30分で最終生成物を得ることができる。当該一連の反応において用いられる各種の酵素の量は、適宜、基質の量に応じ、十分量を添加する。試料として血液等の生体試料を用いる場合は、例えばCRIMIは0.3〜10U/ml、NMHase は0.1〜2U/ml、ADP−HKは0.5〜10U/ml、G6PDHは0.5〜10U/ml程度が通常添加される。当該一連の反応において用いられる二価金属イオン(M2+)としては通常、マグネシウム又はマンガンが選ばれ、0.1〜20mMで使用される。試料中にMKが共存している場合には、ここで反応過程で生成されるAMPが、試料中に共存するATPとMKの作用でADPに変換されるのを防ぐために、AMPデアミナーゼやAMPヌクレオシダーゼ等のAMP加水分解酵素を添加する。本発明において用いられるこれらの加水分解酵素の量は、ADP−HK反応系において生じるAMPの量、反応条件等によっても異なるが、通常、酵素の量として0.1〜20U/ml、好ましくは0.2〜10U/ml程度を反応系に添加する。2種以上を併用する場合は適宜増減できる。
【0018】
当該AMP加水分解酵素は、AMP加水分解酵素単独で反応系に添加する以外に、これら試料中の酵素活性や基質濃度の測定において使用する試薬に一要素として必要量を安定な状態で含めておくことができる。AMP加水分解酵素を一要素として含む試薬は、当該反応系に必要な他の酵素等の試薬とともに、必要量を併せて梱包しキットとすることが、臨床検査用等の応用に際して好適である。
AMP加水分解酵素を一要素として含む試薬に含められる、又は別個に梱包し、キットとして含められる試薬は、測定対象によっても異なるが、AMP加水分解酵素(AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ又は5’−ヌクレオチダーゼ等)の他に、本発明はADP−HK反応系を利用するものであるので、少なくとも、ADP−HK、基質としてのヘキソース(グルコース等;測定対象が当該ヘキソースの場合はこの限りではない。)、二価金属イオン(マグネシウム、マンガン等)が含められる。これらの試薬は、安定性を保持している限り適宜緩衝液に溶解した状態で含めることも可能である。さらに、必要に応じて緩衝剤等を含めてもよい。
【0019】
ADP−HK反応系にAMP加水分解酵素を添加して、AMPを加水分解する本発明の方法は、試料中に共存するMKの妨害を回避するばかりでなく、以下のような方法にも適用できる。すなわち、当該反応系において生じるAMPを直接定量することが可能となる。さらに、AMPを酵素的に加水分解することによりAMPを定量する方法を利用することにより、試料にADP−HKを作用させて試料中の基質濃度や酵素活性を測定する、就中高感度に測定する方法が提供され得る。
【0020】
AMPデアミナーゼを使用する場合には、例えば、一連の反応式(9),(10)に示す測定原理によって測定することができる。すなわち反応式(9) の結果生じるイノシン−1−リン酸をイノシン−1−リン酸デヒドロゲナーゼで反応させることによりNADHの生成量として測定できる。当該反応は、使用する酵素の活性至適pH条件下、通常pH7〜8.5の範囲で、酵素の活性至適温度下、通常25〜40℃で行う。通常2〜30分で最終生成物を得ることができる。当該一連の反応において用いられる酵素の量は、適宜、基質の量に応じ、十分量を添加する。当該一連の反応において、例えば試料として血液等の生体試料を用いた場合は、例えばAMPデアミナーゼは0.1〜20U/ml(好ましくは0.2〜10U/ml)、IMPデヒドロゲナーゼは0.3〜10U/ml程度が通常添加される。
【0021】
【化4】
Figure 0003936976
【0022】
さらにこの時、ADP−HKの作用により生じるもう一方の生成物であるグルコース−6−リン酸について、前述の反応式(8) で示されるように、G−6−PDHの作用でNADHを生成させれば2倍のNADH量として検出できるため、高感度測定が可能になる。
【0023】
AMPヌクレオシダーゼを使用する場合には、例えば、一連の反応式(11)〜(15)に示す測定原理によって測定することができる。すなわち、反応式(11)の結果生じるアデニンをアデノシンデアミナーゼでイノシンに変換し(反応式(12))、イノシンをプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼでヒポキサンチンに変換し(反応式(13))、さらにヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼで酸化して生じる過酸化水素(反応式(14))を定量すれば、1分子のAMPから2分子の過酸化水素を発生させることができ高感度化定量が可能である。さらにウリカーゼを作用させれば、反応式(15)に示されるように尿酸からもう1分子の過酸化水素が発生させられるので合計3倍の感度の上昇が可能である。当該反応は、使用する酵素の活性至適pH条件下、通常pH6〜8.5の範囲で、酵素の活性至適温度下、通常25〜40℃で行う。通常2〜30分で最終生成物を得ることができる。当該一連の反応において用いられる酵素の量は、適宜、基質の量に応じ、十分量を添加する。当該一連の反応において、例えば試料として血液等の生体試料を用いた場合は、例えばAMPヌクレオシダーゼは0.1〜20U/ml(好ましくは0.2〜10U/ml)、アデノシンデアミナーゼは0.1〜10U/ml、プリンヌクレオシドフォスフォリラーゼは0.1〜10U/ml、キサンチンオキシダーゼは0.1〜10U/ml、ウリカーゼは0.05〜5U/ml程度が通常添加される。最終生成物である過酸化水素は、ペルオキシダーゼを用いる常法により比色定量することができる。
【0024】
【化5】
Figure 0003936976
【0025】
5’ヌクレオチダーゼを使用する場合には、例えば、一連の反応式(16),(17) に示す測定原理によって測定することができる。すなわち、反応式(16)の結果生じるアデノシンをアデノシンオキシダーゼで酸化させ過酸化水素を発生させ(反応式(17))、その過酸化水素をペルオキシダーゼを用いる常法により比色定量する。当該反応は、使用する酵素の活性至適pH条件下、通常pH6〜8の範囲で、酵素の活性至適温度下、通常25〜40℃で行う。通常2〜30分で最終生成物を得ることができる。当該一連の反応において用いられる酵素の量は、適宜、基質の量に応じ、十分量を添加する。当該一連の反応において、例えば試料として血液等の生体試料を用いた場合は、例えば5’ヌクレオチダーゼは0.1〜20U/ml(好ましくは0.2〜10U/ml)、アデノシンオキシダーゼは0.1〜10U/ml程度が通常添加される。
【0026】
【化6】
Figure 0003936976
【0027】
【実施例】
本発明をより詳細に説明するために参考例、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
尚、緩衝剤として用いたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸をそれぞれトリスおよびHEPESと略記する。
参考例:クレアチニン濃度の測定(従来法)
1)測定試薬の調製
参考例として、以下の組成の試薬を調製し、従来法である阻害剤を用いた測定法を行った。
(第1試薬)
トリス(緩衝剤) 100 mM(pH8.0)
塩化マグネシウム 7 mM
β−NADP 2 mM
CRIMI 8 U/ml
NMHase 0.5U/ml
ADP−HK 5 U/ml
G6PDH 5 U/ml
(第2試薬)
トリス(緩衝剤) 100 mM(pH8.0)
グルコース 50 mM
ATP 10 mM
Ap5A X μM
【0028】
2)測定
上記の第2試薬中のAp5A (アデニレートキナーゼ阻害剤)の濃度(XμM)を0、42.5、85、170、340、680、及び1360μMと変化させた。尚、最終反応液中のAp5A濃度はそれぞれ0、10、20、40、80、160、及び320μMとなるように調製した。約20mg/Lのクレアチニン水溶液にヒト筋肉由来のアデニレートキナーゼ(MK)を、5,000U/ml含ませたものと含ませていないものをそれぞれ測定試料とした。試料20μlに第1試薬240μlを加え、37℃で5分間インキュベート後、波長340nmの吸光度A1を測定する。第2試薬を80μl加えて反応を開始させる。5分間反応させた後、再度波長340nmの吸光度A2を測定する。クレアチニン濃度は次式により求めた。
【0029】
【化7】
Figure 0003936976
【0030】
3)結果
表1に示すようにMKを含まない試料では、阻害剤Ap5Aの有無に関係なく調製したクレアチニン濃度とほぼ等しい値が測定されている。一方、MKを含む試料ではAp5Aの濃度依存的に測定値が減少し、Ap5AがMKの影響を減少させていることがわかる。しかし、320μMのAp5Aでも完全にはMKの影響を除去することはできなかった。
【0031】
【表1】
Figure 0003936976
【0032】
実施例1:クレアチニン濃度の測定(AMPデアミナーゼの使用)
1)測定試薬の調製
以下の組成の試薬を調製し、本発明の方法によるAMPデアミナーゼの効果を調べた。
(第1試薬)
トリス(緩衝剤) 100 mM(pH8.0)
塩化マグネシウム 7 mM
β−NADP 2 mM
CRIMI 8 U/ml
NMHase 0.5U/ml
ADP−HK 5 U/ml
G6PDH 5 U/ml
AMPデアミナーゼ y U/ml
(第2試薬)
トリス(緩衝剤) 100 mM(pH8.0)
グルコース 50 mM
ATP 10 mM
【0033】
2)測定・結果
上記の第1試薬中のAMPデアミナーゼの濃度(yU/ml)を0、1、2、4、8、及び16U/mlと変化させた。また、各種濃度のAMPデアミナーゼに加え、第2試薬にAp5Aを最終濃度10μMとなるように添加した場合についても同様に操作した。試料は参考例と同じものを用い、参考例と同様に操作してそれぞれのクレアチニン濃度を測定した。MK(5,000U/ml)を含ませた測定試料についての結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003936976
【0035】
AMPデアミナーゼを2U/ml添加することにより、ほぼ完全にMKの影響を除去できることがわかった。また参考例では10μMのAp5Aの添加ではMKの影響をほとんど除去できなかったが、1U/mlのAMPデアミナーゼを添加することにより10μMのAp5A濃度でもほぼ完全にMKの影響を除去できることがわかり、両者を混合することにより効果的にMKの影響を除去できることもわかった。
【0036】
実施例2:クレアチニン濃度の測定(AMPヌクレオシダーゼの使用)
実施例1のAMPデアミナーゼの代わりにAMPヌクレオシダーゼを用いて操作し、AMPヌクレオシダーゼの効果を調べた。その結果を表3に示した。AMPヌクレオシダーゼもAMPデアミナーゼ同様の効果が認められた。
【0037】
【表3】
Figure 0003936976
【0038】
実施例3:AMPの定量に基づくクレアチニン濃度の測定
1)測定試薬の調製
本発明のAMPの加水分解によるAMPの定量法の効果を確かめるために以下の組成の試薬を調製した。
(第1試薬)
トリス(緩衝剤) 100 mM(pH8.0)
塩化マグネシウム 7 mM
CRIMI 8 U/ml
NMHase 0.5U/ml
ADP−HK 5 U/ml
AMPヌクレオシダーゼ 5 U/ml
アデノシンデアミナーゼ 5 U/ml
プリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ 5 U/ml
キサンチンオキシダーゼ 5 U/ml
アスコルビン酸オキシダーゼ 5 U/ml
カタラーゼ 500 U/ml
トリヨードフェノール 4 mM
(第2試薬)
トリス(緩衝剤) 100 mM(pH8.0)
グルコース 50 mM
ATP 25 mM
4−アミノアンチピリン 1.6mM
ペルオキシダーゼ 20 U/ml
アジ化ナトリウム 50 mM
【0039】
2)測定・結果
試料は約20mg/Lのクレアチニン濃度を含むヒト血清にヒト筋肉由来の精製MK5,000U/mlを添加したものをもとに同じヒト血清で希釈しMK濃度0、1,000、2,000、3,000、4,000、及び5,000U/mlとなるよう調製した。さらに、ヒト血球を生理食塩水で3回洗浄後、精製水中で溶血させ、前述のヒト血清と1:9の比率で混合した溶血試料を調製した(5g/Lのヘモグロビン相当)。この試料を生理食塩水と血清を1:9で混和したヘモグロビン0g/ml濃度の試料で希釈し、ヘモグロビン0、1、2、3、4、及び5g/L濃度の試料を調製した。
20μlの検体に第1試薬240μlを加え、37℃で5分間インキュベートした後、波長546nmの吸光度A1 を測定した。第2試薬を80μl加えて反応を開始させ、5分間反応させた後、再度波長546nmの吸光度A2 を測定した。クレアチニン濃度は標準液の吸光度と対比して算出した。結果を表4に示す。この結果、試料中のMK濃度に関係なく測定値が一定であること、及びMKが含まれることが知られている溶血試料においても測定値が一定であることから、本発明の方法はこれらの影響を除去できることが明らかである。さらに、得られた吸光度を実施例2で得られた吸光度と比較すると約7倍もの高感度測定が実現されている。この結果は、用いた色原体のみかけの分子吸光係数がNADHの約3.5倍であることと、過酸化水素が2倍量生成するためであり、本発明の方法が実施できることが明らかとなった。
【0040】
【表4】
Figure 0003936976
【0041】
実施例4:尿素窒素濃度の測定
A法、B法及びC法により、尿素窒素濃度を測定した。ここでA法は、AMPを加水分解することなしに測定する方法であり、B法はAMPを加水分解した後、残っているグルコース−6−リン酸(G6P)を、C法はAMPを加水分解した後、水解して得られた水解物を測定したものである。即ち、本発明の方法はB法及びC法に相当する。各方法について以下の試薬を調製した。
<A法>
(第1試薬)
HEPES(緩衝剤) 20 mM(pH7.0)
β−NADP 2 mM
ウレアアミドリアーゼ 1 U/ml
ADP−HK 5 U/ml
G6PDH 3 U/ml
(第2試薬)
トリス(緩衝剤) 50 mM(pH8.0)
塩化マグネシウム 3 mM
グルコース 50 mM
炭酸水素カリウム 100 mM
ATP 10 mM
<B法>
(第1試薬)
HEPES(緩衝剤) 20 mM(pH7.0)
β−NADP 2 mM
ウレアアミドリアーゼ 1 U/ml
ADP−HK 5 U/ml
G6PDH 3 U/ml
AMPデアミナーゼ 5 U/ml
(第2試薬)
トリス(緩衝剤) 50 mM(pH8.0)
塩化マグネシウム 3 mM
グルコース 50 mM
炭酸水素カリウム 100 mM
ATP 10 mM
<C法>
(第1試薬)
HEPES(緩衝剤) 20 mM(pH7.0)
β−NADP 2 mM
ウレアアミドリアーゼ 1 U/ml
ADP−HK 5 U/ml
AMPデアミナーゼ 5 U/ml
IMPデヒドロゲナーゼ 3 U/ml
(第2試薬)
トリス(緩衝剤) 50 mM(pH8.0)
塩化マグネシウム 3 mM
グルコース 50 mM
炭酸水素カリウム 100 mM
ATP 10 mM
【0042】
2)測定・結果
溶血ヒト血清及び非溶血血清各5例について、上記A、B、及びCの各方法でそれぞれ尿素窒素の定量を行った。検体3μlに第1試薬270μlを加え、37℃で5分間インキュベート後、波長340nmで吸光度を測定する。第2試薬80μlを添加して反応を開始させる。5分後に再度吸光度を測定し、第2試薬添加前後の吸光度差から次式により尿素窒素濃度を求めた。
【0043】
【化8】
Figure 0003936976
【0044】
測定結果を表5に示した。この結果、非溶血検体の測定値は3法とも大差ないのに対して、溶血検体ではAMPを加水分解しないままで行うA法での測定値が他の2法に比べて異常に高く測定されている。これは溶血によりMKが高濃度に共存するため、その影響を受けて、AMPを分解できないA法ではAMPからADPが生成され高値に測定されたものと考えられる。また、ADP−HKの作用により生じるAMPとG6Pのうち、AMPを加水分解させて残ったG6Pを測定しているB法とAMPを加水分解させてその水解物を測定しているC法を比較した場合、両方の測定結果がほぼ一致していることから、本発明の方法が再現性に優れ、有効であることが明らかである。
【0045】
【表5】
Figure 0003936976
【0046】
【発明の効果】
ADP−HK反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解し、当該反応系から除去することにより、公知の阻害剤を使用しなくとも、試料中に共存するMKのADP−HK反応系に及ぼす影響を排除でき、かつこのAMP加水分解酵素の利用により、ADP−HK反応系において生じるAMPを定量することができる。

Claims (12)

  1. アデノシン−5’−二リン酸(ADP)依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるアデノシン−5’−リン酸(AMP)を加水分解する酵素を用いて、当該反応系よりAMPを実質的に除去する方法。
  2. AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5’ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の方法。
  3. 請求項1又は2記載の、AMPを実質的に除去する方法にてAMPを実質的に除去することにより、少なくともADP依存性ヘキソキナーゼと試料とを反応させる反応系に及ぼす、試料中に共存するアデニレートキナーゼの影響を実質的に排除する方法。
  4. ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解して生成した物質を定量することを特徴とする、ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを定量する方法。
  5. AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5’ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である請求項4記載の方法。
  6. 加水分解して生成した物質がイノシン−1−リン酸、アデニン及びアデノシンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項4又は5記載の方法。
  7. ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解し、当該反応系よりAMPを実質的に除去することを特徴とする、試料にADP依存性ヘキソキナーゼを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定する方法。
  8. ADP依存性ヘキソキナーゼを作用させる反応系において生じるAMPを酵素的に加水分解して生成した物質を定量することを特徴とする、試料にADP依存性ヘキソキナーゼを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定する方法。
  9. AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5’ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である請求項7又は8記載の方法。
  10. 試料にADP依存性ヘキソキナーゼを作用させて試料中の酵素活性及び/又は基質濃度を測定するための試薬であって、AMPを加水分解する酵素を一要素として含む試薬。
  11. アデノシン−5’−三リン酸(ATP)及びグルコースを含有する請求項10に記載の試薬。
  12. AMPを加水分解する酵素が、AMPデアミナーゼ、AMPヌクレオシダーゼ及び5’ヌクレオチダーゼからなる群より選択される少なくとも1種である請求項10又は11に記載の試薬。
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