JPH10225300A - グルコースまたはadpの高感度測定法 - Google Patents

グルコースまたはadpの高感度測定法

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JPH10225300A
JPH10225300A JP3014797A JP3014797A JPH10225300A JP H10225300 A JPH10225300 A JP H10225300A JP 3014797 A JP3014797 A JP 3014797A JP 3014797 A JP3014797 A JP 3014797A JP H10225300 A JPH10225300 A JP H10225300A
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JP
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phosphate
oxidized
glucose
adp
reaction
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JP3014797A
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Shinji Koga
晋治 古賀
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血清、血漿、尿、髄液などの被検液中に存在
するか形成されるグルコースまたはADPを簡便で高感
度に測定する。 【解決手段】 グルコースおよびADPのいづれか一成
分を含有する被検液にグルコースおよびADPのいづれ
か残りの成分および下記反応 【化1】 を触媒する酵素蛋白を作用させ、次いで反応によって生
成するグルコース−6−リン酸を、酸化型チオNAD
(P)類または酸化型NAD(P)類を補酵素とし、少
なくともグルコース−6−リン酸を基質としてグルコノ
−δ−ラクトン−6−リン酸を生成する反応およびその
可逆反応を触媒するグルコース−6−リン酸デヒドロゲ
ナーゼ、酸化型または還元型チオNAD(P)類および
還元型または酸化型NAD(P)類の二種類の補酵素を
含有する試薬を作用させて、サイクリング反応を形成さ
せ、該反応によって変化する補酵素の量を測定すること
を特徴とするグルコースまたはADPの測定法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグルコースおよびA
DPのいづれか一成分を含有する被検液に、少なくとも
グルコースおよびADPのいづれか残りの成分および下
記反応
【0002】
【化3】
【0003】を触媒する酵素蛋白を作用させ、次いで反
応によって生成するグルコース−6−リン酸を(1)酸
化型チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン
酸)類〔酸化型チオNAD(P)類〕および酸化型ニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)類〔酸化
型NAD(P)類〕を補酵素とし、少なくともグルコー
ス−6−リン酸を基質としてグルコノ−δ−ラクトン−
6−リン酸を生成する反応およびその可逆反応を触媒す
るグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD
H)、(2)A1、(3)B1、を含有する試薬を作用
させて、次の反応式
【0004】
【化4】
【0005】〔式中、A1は酸化型チオNAD(P)類
または酸化型NAD(P)類を示し、A2はA1の還元
型生成物を示し、B1はA1が酸化型チオNAD(P)
類のときは還元型NAD(P)類を、A1が酸化型NA
D(P)類のときは還元型チオNAD(P)類を示し、
B2はB1の酸化型生成物を示す。〕で表されるサイク
リング反応を形成させ、該反応によって変化するA2ま
たはB1の量を測定してなるグルコースまたはADPの
測定法に関し、臨床検査などの分野で用いられ、酵素サ
イクリングを用いた、血清、血漿、尿、髄液などの被検
液中に存在するか形成されるグルコースまたはADPを
高感度に測定する目的である。
【0006】
【従来の技術】従来、生体試料中のグルコースを測定す
る方法としてはグルコースにグルコースオキシダーゼを
作用させて、生成する過酸化水素をペルオキシダーゼを
用いてキノン色素として測定する方法や酸化型補酵素の
存在下、ヘキソキナーゼおよびグルコース−6−リン酸
デヒドロゲナーゼを作用させて、生成する還元型補酵素
の増加量を測定する方法が知られている。
【0007】また、ADPを測定する方法としては、A
DPにピルビン酸キナーゼと乳酸デヒドロゲナーゼを作
用させて還元型補酵素の減少量を測定する方法やピルビ
ン酸キナーゼとピルビン酸オキシダーゼを作用させて、
生成する過酸化水素をペルオキシダーゼを用いてキノン
色素として測定する方法が知られている。しかしなが
ら、測定対象となるADPの濃度が低い場合には正確な
測定ができないもので、例えば、測定対象のADPが、
ATPおよびMgCl2の存在下にクレアチニンにクレ
アチニニナーゼおよびクレアチンキナーゼを作用させ
て、生成されるADPである場合、被検液中のクレアチ
ニン濃度が低いために生成するADPも濃度が低くな
り、従ってADPの正確な測定ができず、従ってまたク
レアチニンの測定も正確性を欠く欠点があった。
【0008】一般に、酵素を用いて分析を行う場合、測
定しようとする対象物質を分光学的に検出可能な過酸化
水素や還元型補酵素(還元型NAD(P)等)に変換す
ることが行われ、この場合、検出可能な物質の量は化学
量論的に測定対象物と等しくなる。現在、この検出可能
な物質を測定する方法としては、分光分析機器を用いる
方法が最も普及しているが、これも感度上に限界があ
り、測定対象物の含量が少ない場合適さないという欠点
があった。
【0009】そこで、測定対象物の含量が少ない場合
や、測定対象物を含む被検体が少量の場合等は、分光分
析よりも感度の優れた蛍光分析、発光分析等が行われて
いる。しかしながら、これらの方法も臨床検査等の汎用
検査においては、測定機器の普及という点からあまり適
したものではなかった。また、低濃度ないし微量物質を
測定するその他の方法としては、該物質が等量の補酵素
に変換できる場合、2種類の酵素を用いて補酵素等を増
幅する高感度測定法として、いわゆる酵素サイクリング
法が知られている。例えば、NADサイクリング、Co
Aサイクリング、ATPサイクリング等があるが、これ
らの方法は、臨床検査等のルーチン分析においては、操
作が煩雑なため、ほとんど用いられていないのが現状で
あった。
【0010】高感度測定法がもたらす利点としては、測
定対象物の含量が少ない場合はもとより、測定に必要な
検体量を減らすことができるため、例えば血清のように
種々の成分を含むものを被検体に用いる場合は、その測
定系におよぼす共存物質の影響を小さくすることができ
る。また、ある限られた被検体量で検査できる項目数を
増やすことも可能である。更に、検体がヒト血液である
場合などは、採血量を減らすことができるため、被採血
者への心理的負担を軽減することもできるし、新生児な
どのようにわずかな量しか採血できない患者の検査も可
能となる。また、廃棄物の減少により環境汚染を軽減す
ることに貢献することにもなる。
【0011】また、下記反応を触媒する酵素蛋白として
はADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP−HK)が超好
熱菌ピロコッカス・フリオサス・DSM3638(Py
rococcus furiosus DSM363
8)菌株の菌体内に存在することが報告されている
(J.Biol.Chem.,269,17537−1
7541(1994))が、その理化学的性質の記載は
ほとんどなく、また、該菌株の生育温度が90〜105
℃であるため、その由来する酵素の至適温度が90℃以
上であり、活性測定に用いるG6PDHは酵母由来でそ
の熱安定性を考慮して、活性測定を50℃で行っている
もので、ADP−HKの至適温度と異なる温度条件にて
活性測定を行ったものにすぎず、ADP−HKの至適温
度に照らして一般の生体成分の臨床診断の温度条件とは
全く異なる温度条件であった。更に、該測定法はなんら
高感度測定法ではなかった。
【0012】
【化5】
【0013】また、サイクリング反応を用いたグルコー
ス−6−リン酸の高感度測定法は植田らによって報告さ
れている(特開平4−335898号報)が、このグル
コース−6−リン酸はグルコースとATPとから形成さ
れた酵素反応を対象とするものであり、ADPの高感度
測定法に関してはこれまで全く報告がなされておらず、
またグルコースの高感度測定法に関してADPを利用し
てなる高感度測定法の報告もなされていないものであっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前述のごとくグルコー
スまたはADPは酵素を用いた種々の方法にて測定され
ているが、これらはいずれも高感度測定法とは言い難
く、特にグルコースまたはADPが他の酵素反応によっ
て遊離され、その含量が少ない場合の測定について簡便
で高感度な測定法の開発が望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点につき鋭意検討した結果、グルコースまたはADP
のいづれか一成分を含有する被検液に、少なくともグル
コースまたはADPのいづれか残りの成分および下記反
【0016】
【化6】
【0017】を触媒する酵素蛋白を作用させ、反応によ
って生成するグルコース−6−リン酸を、酸化型チオN
AD(P)類および酸化型NAD(P)類およびそれら
の補酵素に作用するG6PDHを用いることにより、サ
イクリング反応を形成せしめ、その反応における吸光度
の測定に際し、チオNAD(P)類とNAD(P)類の
還元型吸収波長がそれぞれ400nm付近、340nm
付近と異なっていることを利用し、他物質の吸収波長の
混雑が回避できる酵素サイクリング反応が実施でき、高
感度な測定が可能であることを確認し、本発明を完成す
るに至った。
【0018】すなわち、G6PDHを用いた酵素サイク
リング反応を実施するに当たり、上記二種類の補酵素の
一つにチオNAD(P)類を使用して、どちらか一方の
補酵素の変化量のみを分別定量するもので、その結果、
グルコースまたはADPのいづれか一成分を含有する被
検液に、少なくともグルコースまたはADPのいづれか
残りの成分および下記反応
【0019】
【化7】
【0020】を触媒する酵素蛋白を作用させ、反応によ
って生成するD−グルコース−6−リン酸を高感度に測
定できるものである。本発明は上記知見に基づき完成さ
れたもので、グルコースおよびADPのいづれか一成分
を含有する被検液に、少なくともグルコースおよびAD
Pのいづれか残りの成分および下記反応
【0021】
【化8】
【0022】を触媒する酵素蛋白を作用させ、次いで反
応によって生成するグルコース−6−リン酸を、(1)
酸化型チオNAD(P)類および酸化型NAD(P)類
を補酵素とし、少なくともグルコース−6−リン酸を基
質としてグルコノ−δ−ラクトン−6−リン酸を生成す
る反応およびその可逆反応を触媒するG6PDH、
(2)A1、(3)B1、を含有する試薬を作用させ
て、次の反応式
【0023】
【化9】
【0024】〔式中、A1は酸化型チオNAD(P)類
または酸化型NAD(P)類を示し、A2はA1の還元
型生成物を示し、B1はA1が酸化型チオNAD(P)
類のときは還元型NAD(P)類を、A1が酸化型NA
D(P)類のときは還元型チオNAD(P)類を示し、
B2はB1の酸化型生成物を示す。〕で表されるサイク
リング反応を形成させ、該反応によって変化するA2ま
たはB1の量を測定することにより、グルコースまたは
ADPを簡便かつ高感度に測定可能であることを確認
し、本発明を完成した。
【0025】以下、本発明をより詳細に説明する。本発
明における酵素蛋白としては、下記反応
【0026】
【化10】
【0027】を触媒する酵素蛋白であればなんら限定さ
れるものではなく、例えばこの酵素蛋白の生産菌として
は超好熱菌ピロコッカス・フリオサス・DSM3638
菌株がドイッチェ・ザンムルグ・フォン・マイクロオル
ガニスメン・ウント・チェルクツルレン・GmbH(D
SM)に基準培養物として寄託され、DSMカタログ
(1993)に記載されており、何人も入手可能であ
り、本菌株から得られたADP−HKが好ましい。
【0028】ADP−HK生産菌の培養方法は例えば後
述の培地を用いて、培養温度は菌の生育する温度範囲で
行えばよく、70〜110℃、好ましくは85〜105
℃である。また、培養時間は目的とする酵素が最高力価
となる培養時間、例えば1〜3日にて目的とする酵素を
採取すればよい。ADP−HKは主としてその菌体内に
含有、蓄積されており、その菌体内から抽出すればよ
い。ADP−HKの抽出法を例示すれば培養液から菌体
を遠心分離などによって分離し、菌体をリン酸緩衝液、
トリス塩酸緩衝液などの緩衝液に懸濁した後、リゾチー
ム、超音波、ガラスビーズなどによって破砕して遠心分
離し、可溶性画分を粗酵素液として回収する。このよう
にして得られた粗製のADP−HK含有液を公知の蛋白
質、酵素の単離、精製手段を用いて処理することによ
り、精製されたADP−HKを得ることができる。例え
ばアセトンまたはエタノールなどの有機溶媒による分別
沈殿法、硫酸アンモニウムなどによる塩析法、イオン交
換クロマトグラフィー法、疎水クロマトグラフィー法、
アフィニティークロマトグラフィー法、ゲルろ過法など
の一般的な酵素精製法を適宜選択、組み合わせて精製A
DP−HKを得ることができ、適宜安定化剤例えばショ
糖、グリセロールなどを5〜50%程度、アミノ酸、補
酵素などを0.01〜0.1%程度加えて凍結保存また
は凍結乾燥させてもよい。
【0029】また、本発明において用いられる、G6P
DH(EC1.1.1.49)は、酸化型チオNAD
(P)類と、酸化型NAD(P)類を補酵素とするもの
なら特に限定されない。G6PDHの具体例としては、
動植物に広く分布し、乳腺組織、赤血球、肝、植物微生
物等から生成されている。また、酵母等に見られるよう
に一般に酸化型または還元型NADPに特異的であるが
ロイコノストック・メセンテロイデス(Leucono
stoc・mesenteroides)、アゾトバク
ター・ヴィネランディ(Azotobacter・vi
nelandii)、シュードモナス・フルオレッセン
ス(Pseudomonas・fluorescen
s)等の酵素は、酸化型または還元型NADにも作用す
る。(酵素ハンドブック、p20〜21,朝倉書店(1
983)。また、バチルス・ステアロサーモフィラス
(Bacillus・stearothermophi
lus)由来の酵素も同様に酸化型または還元型NAD
(P)に作用する。(生化学、vol.52、p81
9、1980)。このうち、酵母、ロイコノストック・
メセンテロイデス由来の酵素は例えば、オリエンタル酵
母工業、ベーリンガーマンハイム社、シグマ社等により
市販されており、例えばシグマ社より市販されているパ
ン酵母由来の酵素の補酵素に対する相対活性は40mM
トリス−塩酸緩衝液(pH7.1)では酸化型NADP
を用いたときを100%とすると、酸化型チオNADP
で67%であった。
【0030】また、東洋紡より市販されているロイコノ
ストック・メセンテロイデス由来のものについては、同
様に酸化型NADPを用いたときを100%とすると、
酸化型チオNADPで27%、酸化型NADで176
%、また酸化型チオNADでは49%であった。旭化成
工業より市販されているバチルス・エスピー(Baci
llus・sp.)由来の酵素については、40mMの
リン酸緩衝液(pH7.0)では、酸化型NADPを用
いたときを100%として、酸化型チオNADPが40
%、酸化型NADで7%、酸化型チオNADでは34%
であった。他の起源の酵素についても適宜の系に使用可
能であり、使用する酵素の補酵素、酸化型または還元型
NAD(P)類、酸化型または還元型チオNAD(P)
類に対する特異性は、基質であるグルコース−6−リン
酸に対して反応性を有するものであればよく、そのよう
な酵素の性質はこれら補酵素と基質を用い確認できるも
のである。
【0031】また、A1およびB2で示される補酵素は
酸化型を示すもので、例えばA1は酸化型チオNAD
(P)類または酸化型NAD(P)類、を示すが、B2
はB1の酸化生成物であって、B1はA1が酸化型チオ
NAD(P)類のときは還元型NAD(P)類を示すこ
とからB2は酸化型NAD(P)類であり、またはB1
はA1が酸化型NAD(P)類のときは還元型チオNA
D(P)類を示すことからB2は酸化型チオNAD
(P)類である。この酸化型チオNAD(P)類として
は、例えば酸化型チオNADや酸化型チオNADPの酸
化型チオNAD(P)、酸化型チオニコチンアミドヒポ
キサンチンジヌクレオチドや酸化型チオニコチンアミド
ヒポキサンチンジヌクレオチドリン酸の酸化型チオニコ
チンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(リン酸)等
が挙げられる。
【0032】また、酸化型NAD(P)類としては、例
えば酸化型NADや酸化型NADPの酸化型NAD
(P)、酸化型アセチルピリジンアデニンジヌクレオチ
ドや酸化型アセチルピリジンアデニンジヌクレオチドリ
ン酸の酸化型アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド
(リン酸)〔酸化型アセチルNAD(P)〕、酸化型ア
セチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドや酸化型
アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドリン酸
の酸化型アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチ
ド(リン酸)、酸化型ニコチンアミドヒポキサンチンジ
ヌクレオチドや酸化型ニコチンアミドヒポキサンチンジ
ヌクレオチドリン酸の酸化型ニコチンアミドヒポキサン
チンジヌクレオチド(リン酸)〔酸化型デアミノNAD
(P)〕等が挙げらる。
【0033】本発明のA1およびB1において例えばA
1が酸化型チオNAD(P)類である場合、B1は還元
型NAD(P)類であることが必要であり、A1および
B1の関係において一つのチオ型補酵素を使用するもの
である。また、定量に用いるG6PDHが(チオ)NA
D類(酸化型および還元型を含むことを意味する;以下
同様)のみを補酵素とする場合は上述のチオNAD類と
NAD類より選択でき、また、用いるG6PDHが(チ
オ)NADP類のみを補酵素とする場合は上述のチオN
ADP類とNADP類より選択でき、また用いるG6P
DHが(チオ)NAD類および(チオ)NADP類を共
に補酵素にする場合は、上述のチオNAD類およびチオ
NADP類と上述のNAD類およびNADP類より適宜
選択して用いればよい。従ってまた、A2は上記補酵素
であるA1の還元型生成物であり、B2は上記補酵素で
あるB1の酸化型生成物として特定できる。
【0034】本発明の高感度定量法を用いれば、被検液
中にもともと含有されているグルコースまたはADPを
測定することができるが、また、これらの物質を遊離、
生成する酵素系における基質や、その酵素活性を測定す
ることもできる。さらに、本発明の高感度定量法を用い
れば、上記のようなグルコースまたはADPを遊離、ま
たは生成する酵素系と連結し得る、単一の、もしくは複
数の行程からなる酵素系における基質や、その酵素活性
をも測定することができる。これらの酵素系は、特に限
定されるものではないが、例えば以下に示す種々の酵素
の反応系が挙げられる。
【0035】A1およびB1の量は被検液中のグルコー
スまたはADP量に比較して過剰量であること、かつG
6PDHのA1およびB1それぞれに対するKm値に比
較して過剰量であることが必要であり、特にグルコース
またはADPの20〜10000倍モルが好ましい。本
発明に使用するA1およびB1の濃度は0.02〜10
0mM、特に0.05〜20mMが好ましく、G6PD
Hの量は1〜1000U/ml、特に2〜400U/m
lが好ましいが、その量は被検液の種類等により適宜決
定することができ、これ以上の量を用いることもでき
る。
【0036】上記ADP−HKが触媒する酵素反応に使
用するマグネシウムイオンの代わりにマンガンイオンを
放出し得るイオン放出性塩類を用いてもよく、その塩類
としては塩化物、硫酸化物などが包含され、好適には塩
化マグネシウム、塩化マンガンが挙げられるが、なんら
これらに限定されるものではない。本発明において、A
DP−HK、グルコースまたはADP、酸化型NAD
(P)類およびマグネシウムイオンまたはマンガンイオ
ンの使用量としては酵素反応が円滑に進行する量であれ
ばよく、被検液中グルコースまたはADPの含量、反応
時間および温度などにより適宜調整されるが、ADP−
HKの濃度は0.1〜500U/ml程度、好ましくは
1〜100U/ml程度である。試薬成分としてのAD
Pまたはグルコースの濃度は酵素反応を行うのに十分な
濃度あればよく、ADPまたはグルコースの濃度は0.
1〜100mM程度、好ましくは0.5mM〜20mM
程度である。マグネシウムイオンまたはマンガンイオン
の濃度としては0.1〜 50mM程度、好ましくは
0.5〜10mM程度である。
【0037】本発明の反応液組成については、使用する
G6PDHの各種補酵素間の相対活性等を考慮して2種
の補酵素を適宜選択し、その後正反応/逆反応の至適p
H条件を酵素サイクリング反応が効率よく進行するよう
に設定すればよい。これら使用する酵素は単独でも、あ
るいは適宜2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発
明の方法は、酵素反応系に悪影響を及ぼさない適当な緩
衝液(例えば、トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、モ
ノまたはジエタノールアミン緩衝液、グッド緩衝液等)
を用いて行われる。
【0038】また測定対象となる被検液としてはグルコ
ースまたはADPを含有または形成されたADPを含む
ものであればよく、例えば、血清、血漿、尿、髄液など
が例示される。さらに形成されたADPの例示として下
記表1〜6
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】に表され、これらの反応に関与する基質の
測定または酵素活性の測定の目的に組み込まれるもので
あり、これら以外の反応であってもADPを形成しうる
反応系であれば何らこれらに限定されるものではない。
このような被検液としては通常5〜200μlを用いて
上記反応系によって反応を行うもので、反応温度として
は例えば15〜45℃、好ましくは20℃〜40℃の反
応温度条件で行えばよく、また、反応時間は反応が直線
的に行われている時間内、好ましくは、2〜3分間を計
って測定する。
【0046】反応後に、反応によって変化するA2また
はB1の量を測定するもので、A2は、反応によってA
1から生成された還元型補酵素であり、B1は反応によ
ってB2を生成した残存する還元型補酵素である。これ
らの還元型補酵素において、チオNAD(P)類の場合
は吸収波長400nm付近、NAD(P)類の場合は吸
収波長340nm付近にてA2またはB1の量としてい
ずれか一方または両方を測定すればよく、好適には増加
の量として測定できるA2を測定することである。また
A2の測定においても、A1として酸化型チオNAD
(P)類を用いた場合にはA2は還元型チオNAD
(P)類として生成されるもので、吸収波長400nm
付近にて吸光度として測定でき、またはA1として酸化
型NAD(P)類を用いた場合にはA2は還元型NAD
(P)類として生成されるもので、吸収波長340nm
付近にて吸光度として測定できる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づいて本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0048】
【参考例1】ADP−HKの酵素活性測定法 測定試薬 50mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5) 20mM グルコース 2mM ADP 2mM MgCl2 5U/ml G6PDH(ロイコノストック由来、
東洋紡社製) 0.025% NBT 1mM NADP 1% トリトンX−100 5U/ml ジアホラーゼ(NADPH) 測定試薬1mlを37℃で1分間予備加温した後、0.
02mlの酵素液を添加して10分間反応させる。反応
後、0.1N塩酸を2ml添加して反応を停止させ、5
分以内に層長1.0cmのセルを用いて、波長550n
mにおける吸光度を測定する(As)。また盲検として
酵素液のかわりに蒸留水0.02mlを用いて同一の操
作を行って吸光度を測定する(Ab)、この酵素使用の
吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光度差(A
s−Ab)より酵素活性を求める。酵素活性1単位は3
7℃で1分間に1μモルの還元型NADPを生成させる
酵素量とし、計算式は下記の通りである。 酵素活性(U/ml)=(As−Ab)×0.795×
酵素の希釈倍率 ADP−HKの取得 Pyrococcus・furiosus・DSM36
38の培養 培地組成 0.1% 酵母エキス 0.5% トリプトン 0.72% マルトース 2.39% NaCl 0.4% Na2 SO4 0.07% KCl 0.02% NaHCO3 0.01% KBr 0.03% H3 BO4 1.08% MgCl2 0.15% CaCl2 0.0025% SrCl2 0.025% NH4 Cl 0.014% K2 HPO4 0.1% CH3 COONa 0.0015% N(COOH)3 0.0005% MnSO4 0.0014% FeSO4 0.0002% NiCl2 0.0001% CoSO4 0.0001% ZnSO4 0.00001% CuSO4 0.000001% Na2 Wo4 0.000001% Na2 Mo4 0.1% システイン塩酸塩 上記培地成分を含む液体培地(pH7)500mlを5
00ml溶三角フラスコ10本に分注し、120℃、2
0分間、加熱滅菌した後、これにPyrococcus
・furiosus・DSM3638株の菌体懸濁液1
0mlを移植し、攪拌させながら、95℃で20時間培
養し、種培養液とした。上記培地成分を含む液体培地2
00l/300lタンクを滅菌した後、種培養液を移植
し、攪拌させながら、95℃で15時間培養し、5mU
/mlの培養液200lを得た。
【0049】ADP−HKの精製 得られた培養液200lを遠心分離して、得られた菌体
を0.9%のNaClを含む20mMのトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)で1回洗浄した。洗浄菌体を20m
Mのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁して2l
に調整し、クボタ社製の超音波破砕機(INSONAT
OR 201M)を用いて180W、30分間処理し
て、菌体破砕液を得た。
【0050】この破砕液を8000rpm、30分間遠
心分離し、1.8l(酵素活性980U)の上清を得
た。この上清を透析チューブを用いて10mMのトリス
−塩酸緩衝液(pH7.5)8lに対して5℃で一夜透
析した後、10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)で緩衝化したDEAE−Sepharose FF
(ファルマシア社製)200ml(2.6×38cm)
のカラムに通し、0〜1モルのNaClのリニアグラジ
エントで溶出を行った。その結果、0.08〜0.1モ
ルのNaCl濃度で活性画分(950U)が溶出され
た。
【0051】この得られた活性画分に4Mとなるように
NaClを溶解し、4MのNaClで緩衝化されたPh
enyl−Sepharose FF(ファルマシア社
製)200ml(2.6×38cm)のカラムに通し、
4〜0MのNaClのリニアグラジエントにより溶出を
行った。その結果、0.02から0.07モルのNaC
l濃度で活性画分(900U)が得られた。
【0052】この得られた活性画分を10mMトリス−
塩酸緩衝液(pH7.5)8lに5℃、一夜透析した
後、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で緩衝
化したヒドロキシアパタイト(ペンタックス社製)10
0ml(2.6×19cm)のカラムに通し、0〜0.
5Mのリン酸緩衝液(pH7.5)のリニアグラジエン
トにより溶出を行った。その結果、0.02〜0.03
Mのリン酸緩衝液濃度で活性画分(850U)が溶出さ
れた。この酵素液を凍結乾燥して5mgの酵素粉末(1
70U/mg)を得た。
【0053】ADP−HKの理化学的性質は以下の通り
であった。 ADP−HKの理化学的性質 (1)酵素作用 基質としてADP−HKを用いた酵素作用を以下に示
す。
【0054】
【化11】
【0055】(2)基質特異性 基質特異性を表7に示す。
【0056】
【表7】
【0057】(3)分子量 トーソー社製TSK−G3000SWXL(0.75×3
0cm)を用いたゲル濾過法により測定したADP−H
Kの分子量は100000±5000であった。 (4)至適pHはpH6.0〜7.0(リン酸緩衝液)
であった。
【0058】(5)至適温度は80〜100℃であるこ
とから高度好熱性酵素と認められた。
【0059】
【実施例1】 <グルコースの測定> 反応液組成 50mM PIPES(pH6.5) 5U/ml ADP−HK 2mM ADP 2mM MgCl2 1mM 酸化型チオNAD 0.2mM 還元型NADP 10U/ml G6PDH 上記反応液1mlをキュベットにとり、0、5、10、
15、20μMのグルコース溶液をそれぞれ0.05m
l添加し、37℃にて反応を開始させた。反応開始後2
分目と3分目の400nmにおける吸光度を読みとり、
その差を求めた。その結果、グルコース量に対する吸光
度変化量は良好な直線性を示した(図1)。
【0060】
【実施例2】 <ADPの測定> 反応液組成 50mM PIPES(pH6.5) 5U/ml ADP−HK 20mM グルコース 2mM MgCl2 1mM 酸化型チオNAD 0.2mM 還元型NADP 10U/ml G6PDH 上記反応液1mlをキュベットにとり、0、10、2
0、30、40、50μMのADP溶液をそれぞれ0.
05ml添加し、37℃にて反応を開始させた。反応開
始後2分目と3分目の400nmにおける吸光度を読み
とり、その差を求めた。その結果、ADP量に対する吸
光度変化量は良好な直線性を示した(図2)。
【0061】
【実施例3】 <クレアチニンの測定> 反応液組成 50mM Tris−塩酸緩衝液(pH7.
5) 2mM ATP 2mM MgCl2 300U/ml クレアチンキナーゼ 5U/ml ADP−HK 20U/ml G6PDH 1mM 酸化型チオNAD 20mM グルコース 600U/ml クレアチニナーゼ 0.2mM 還元型NADP 上記反応液1.0mlをキュベットにとり、0、2、
4、6、8、10mg/dlのクレアチニン溶液をそれ
ぞれ0.05ml添加し、37℃にて反応を開始させ
た。反応開始後、2分目と3分目の400nmにおける
吸光度を読みとり、その差を求めた。その結果、クレア
チニンに対する吸光度変化量は良好な直線性を示した
(図3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、グルコースの定量曲線を示す。
【図2】図2は、ADPの定量曲線を示す。
【図3】図3は、クレアチニンの定量曲線を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グルコースおよびADPのいづれか一成
    分を含有する被検液に、少なくともグルコースおよびA
    DPのいづれか残りの成分および下記反応 【化1】 を触媒する酵素蛋白を作用させ、次いで反応によって生
    成するグルコース−6−リン酸を(1)酸化型チオニコ
    チンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)類および
    酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン
    酸)類を補酵素とし、少なくともグルコース−6−リン
    酸を基質としてグルコノ−δ−ラクトン−6−リン酸を
    生成する反応およびその可逆反応を触媒するグルコース
    −6−リン酸デヒドロゲナーゼ、(2)A1、(3)B
    1、を含有する試薬を作用させて、次の反応式 【化2】 〔式中、A1は酸化型チオニコチンアミドアデニンジヌ
    クレオチド(リン酸)類または酸化型ニコチンアミドア
    デニンジヌクレオチド(リン酸)類を示し、A2はA1
    の還元型生成物を示し、B1はA1が酸化型チオニコチ
    ンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)類のときは
    還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン
    酸)類を、A1が酸化型ニコチンアミドアデニンジヌク
    レオチド(リン酸)類のときは還元型チオニコチンアミ
    ドアデニンジヌクレオチド(リン酸)類を示し、B2は
    B1の酸化型生成物を示す。〕で表されるサイクリング
    反応を形成させ、該反応によって変化するA2またはB
    1の量を測定することを特徴とするグルコースまたはA
    DPの測定法。
  2. 【請求項2】 チオニコチンアミドアデニンジヌクレオ
    チド(リン酸)類がチオニコチンアミドアデニンジヌク
    レオチド(リン酸)またはチオニコチンアミドヒポキサ
    ンチンジヌクレオチドリン酸である請求項1記載の測定
    法。
  3. 【請求項3】 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
    (リン酸)類がニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
    (リン酸)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド
    (リン酸)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレ
    オチド(リン酸)およびニコチンアミドヒポキサンチン
    ジヌクレオチド(リン酸)からなる群より選ばれた補酵
    素である請求項1記載の測定法。
  4. 【請求項4】 ADPが、存在または形成されるADP
    である請求項1記載の測定する方法。
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