JPH1014596A - 体液中の成分の測定法およびその試薬 - Google Patents

体液中の成分の測定法およびその試薬

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JPH1014596A
JPH1014596A JP17479596A JP17479596A JPH1014596A JP H1014596 A JPH1014596 A JP H1014596A JP 17479596 A JP17479596 A JP 17479596A JP 17479596 A JP17479596 A JP 17479596A JP H1014596 A JPH1014596 A JP H1014596A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】体液中の測定成分を測定するに当たり、体
液中に含まれる妨害物質に、該妨害物質または該妨害物
質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素
およびバチルス属のカタラーゼを含む試薬を作用させ
て、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から生
成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中の測定成
分に、該測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、
該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して
過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色
原体を含む試薬を作用させて、体液中の測定成分から妨
害物質を生成させ、該妨害物質または該妨害物質に由来
する物質から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発
色させた後、その発色強度を測定することを特徴とする
体液中の測定成分の測定法およびその測定試薬。 【効果】体液中の酵素反応系に関与する内因性の物質の
影響を回避して、目的成分を正確に測定することができ
る安定性に優れた試薬が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は試料中に存在する分
析対象物から過酸化水素を生成し、生成した過酸化水素
を測定することにより、分析対象物を検出する方法にお
いて、分析対象物以外の物質(妨害物質)に由来する過
酸化水素をカタラーゼを用いて消去した後、分析対象物
を検出する方法および該方法に使用する試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】体液などの試料中の分析対象物を酵素を
用いて検出する場合、その検出反応系は脱水素酵素を補
酵素であるNAD(P)Hとを共役させる反応系と、酸
化酵素とペルオキシダーゼを共役させる過酸化水素測定
系が一般的に多い。後者は分析対象物またはその反応生
成物に酸化酵素を作用させ、生成する過酸化水素をペル
オキシダーゼと色原体により、例えばキノンイミン色素
に変え、該色素を吸光度測定して比色定量する方法であ
る。また、分析対象物を検出する場合、その分析対象物
に直接、酸化酵素を作用させる場合もあるが、多くの場
合は、酸化酵素およびペルオキシダーゼの他に、更に1
種類以上の他の酵素を必要とする。
【0003】分析対象物に酸化酵素の他に1種類以上の
他の酵素を必要とする例として、トリグリセリド、クレ
アチニン、クレアチン、遊離コレステロール、コレステ
ロールエステル、リン脂質、無機リン、アミラーゼ、G
OT、GTP、シアル酸、グアナーゼなどが挙げられ
る。
【0004】上記分析対象物の反応を下記に示す。グリグリセリド測定
【0005】クレアチニン測定
【0006】コレステロールエステル測定
【0007】リン脂質測定
【0008】無機リン測定
【0009】上記式にて、略記した酵素は、以下の通り
である。 LPL : リポプロテインリパーゼ GK : グリセロールキナーゼ G3O : グリセロール-3- リン酸オキシダーゼ CNH : クレアチニンアミドヒドロラーゼ(クレアチニナ
ーゼ) CRH : クレアチンアミジノヒドロラーゼ(クレアチナー
ゼ) SAO : ザルコシンオキシダーゼ COE : コレステロールエステラーゼ COO : コレステロールオキシダーゼ PLD : ホスフォリパーゼ D CHO : コリンオキシダーゼ PNP : プリンヌクレオチドホスフォリラーゼ XTO : キサンチンオキシダーゼ
【0010】これらの分析対象物を含む試料、例えば体
液中には上記酵素反応系に関与する内因性の物質が存在
し、目的の分析対象物の測定に正の誤差を生じることが
問題となる。例えばトリグリセリドを測定する場合、遊
離グリセロール、クレアチニンを測定する場合、クレア
チンおよびザルコシン、エステル型コレステロールを測
定する場合、遊離コレステロール、リン脂質を測定する
場合、コリン、無機リンを測定する場合、ヒポキサンチ
ン、アミラーゼ活性を測定する場合、グルコース、GO
TまたはGTP活性を測定する場合、ピルビン酸、シア
ル酸を測定する場合、ピルビン酸、グアナーゼを測定す
る場合、尿酸などが例示される。
【0011】例えばクレアチニン測定では、クレアチニ
ン、特に血中クレアチニン濃度は腎機能傷害の指標であ
り、また、尿中クレアチニン濃度は体重1kg当たりに
換算すると食事、運動等に影響を受けず一定であるので
クレアチニン係数として利用されている。ところがクレ
アチニンにクレアチニンアミドヒドロラーゼが作用して
生成するクレアチンも生体内に存在し、特にクレアチン
濃度は他の疾患、例えば甲状腺機能傷害に関与するので
クレアチニンを測定する場合、あらかじめクレアチンを
消去しておく必要性が生じる。内因性のクレアチンを消
去するために、カタラーゼを用いた2試薬系のクレアチ
ニン測定用試薬が知られている(特公平4-34400号公報)
【0012】クレアチニン測定試薬としては、例えば下
記組成を有するものが挙げられる。 試薬R1:クレアチンアミジノヒドロラーゼ ザルコシンオキシダーゼ カタラーゼ ペルオキシダーゼ 試薬R2:クレアチニンアミドヒドロラーゼ (ペルオキシダーゼ) 色原体
【0013】つまり、試薬R1に用いる第1酵素反応
で、試料中のクレアチンをクレアチンアミジノヒドロラ
ーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼおよびペル
オキシダーゼの反応により無色の物質に変換して消去す
る。
【0014】次いで第2酵素反応として、試薬R2を試
料および試薬R1の系に添加して、添加し、クレアチニ
ンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラー
ゼ、ザルコシンオキシダーゼ、カタラーゼ、色原体およ
びペルオキシダーゼの反応により、試料中のクレアチニ
ンから有色物質を生成し、該物質を比色定量する。
【0015】第2酵素反応に共存するカタラーゼは、そ
のカタラーゼ阻害剤を添加することにより該酵素反応を
ブロックできるが、一般にカタラーゼをペルオキシダー
ゼの1〜10倍(活性値)で使用することより検出感度
を低下させずに目的を達成することができる。クレアチ
ニンと同様にトリグリセリド、無機リン測定などの検出
においても同様に分析対象物以外に由来する過酸化水素
の消去が必要とされる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記目的に使用される
カタラーゼとしては、従来から牛肝の酵素が多く使用さ
れている。しかしながら、牛肝由来のカタラーゼは熱安
定性が50℃であって、良好な性質を有するが、分析試
薬の組成中では急速に失活することが判明している。ま
た、他の動物起源のカタラーゼ、微生物由来のカタラー
ゼも牛肝由来の酵素と同様に分析試薬中で速やかに失活
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、バチルス属に属す
る細菌由来のカタラーゼを用いると、分析試薬の組成中
でも安定に活性を保持していることが判明した。
【0018】すなわち、本発明は体液中の測定成分を測
定するに当たり、体液中に含まれる妨害物質に、該妨害
物質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化
水素を生成する酸化酵素およびバチルス属のカタラーゼ
を含む試薬を作用させて、該妨害物質または該妨害物質
に由来する物質から生成した過酸化水素を消去した後、
次いで体液中の測定成分に、該測定成分に作用して妨害
物質を生成する酵素、該妨害物質または該妨害物質に由
来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵素、ペル
オキシダーゼおよび色原体を含む試薬を作用させて、体
液中の測定成分から妨害物質を生成させ、該妨害物質ま
たは該妨害物質に由来する物質から過酸化水素を生成さ
せ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定
することを特徴とする体液中の測定成分の測定法であ
る。
【0019】また、本発明は体液中に含まれる妨害物質
に作用して過酸化水素を生成する酵素または該妨害物質
に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酸化酵
素およびバチルス属のカタラーゼを含有する第1試薬お
よび体液中の測定成分に作用して妨害物質を生成する酵
素、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用
して過酸化水素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよ
び色原体を含有する第2試薬からなる体液中の測定成分
測定試薬である。
【0020】
【発明の実施態様】本発明の一実施態様は、体液中のト
リグリセリドを測定するに当たり、体液中に含まれるグ
リセリンにグリセロールキナーゼ、グリセロール−3−
リン酸オキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作
用させて、グリセリンから生成した過酸化水素を消去し
た後、次いで体液中のトリグリセリドにリポプロテイン
リパーゼ、グリセロールキナーゼ、グルセロール−3−
リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を
作用させて、トリグリセリドからグリセリンを生成さ
せ、グリセリンからグリセロール−3−リン酸を生成さ
せ、グリセロール−3−リン酸から過酸化水素を生成さ
せ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定
することを特徴とする体液中のトリグリセリド測定法で
ある。
【0021】上記方法に使用する試薬としては、グリセ
ロールキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダー
ゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬および
リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グル
セロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ
および色原体を含む第2試薬からなる体液中のトリグリ
セリド測定試薬がある。
【0022】また、本発明の別な実施態様は、体液中の
クレアチニンを測定するに当たり、体液中に含まれるク
レアチンにクレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシ
ンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用さ
せて、クレアチンから生成した過酸化水素を消去した
後、次いで体液中のクレアチニンにクレアチニンアミド
ヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザル
コシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を
作用させて、クレアチニンからクレアチンを生成させ、
クレアチンからザルコシンを生成させ、ザルコシンから
過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、
その発色強度を測定することを特徴とする体液中のクレ
アチニンの測定法である。
【0023】上記方法に使用する試薬としては、クレア
チンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼお
よびバチルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびクレ
アチニンアミジノヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒ
ドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダー
ゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中のクレア
チニンの測定試薬がある。
【0024】さらに、本発明の一実施態様は、体液中の
コレステロールエステルを測定するに当たり、体液中に
含まれるコレステロールにコレステロールオキシダー
ゼ、およびバチルス属のカタラーゼを作用させて、コレ
ステロールから生成した過酸化水素を消去した後、次い
で体液中のコレステロールエステルにリパーゼ、コレス
テロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体
を作用させて、コレステロールエステルからコレステロ
ールを生成させ、コレステロールから過酸化水素を生成
させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測
定することを特徴とする体液中のコレステロールエステ
ルの測定法である。
【0025】上記方法に使用する試薬としては、コレス
テロールにコレステロールオキシダーゼおよびバチルス
属のカタラーゼを含む第1試薬およびリパーゼ、コレス
テロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体
を含む第2試薬からなる体液中のコレステロールエステ
ルの測定試薬がある。
【0026】本発明の別な実施態様は、体液中のリン脂
質を測定するに当たり、体液中に含まれるコリンにコリ
ンオキシーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させ
て、コリンから生成した過酸化水素を消去した後、次い
で体液中のリン脂質にホスフォリパーゼ D、コリンオキ
シダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させ
て、リン脂質からコリンを生成させ、コリンから過酸化
水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発
色強度を測定することを特徴とする体液中のリン脂質の
測定法である。
【0027】上記方法に使用する試薬としては、コリン
オキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む第1
試薬およびホスフォリパーゼ D、コリンオキシダーゼ、
ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる
体液中のリン脂質の測定試薬がある。
【0028】また、本発明の一実施態様は、体液中の無
機リンを測定するに当たり、体液中に含まれるヒポキサ
ンチンにキサンチンオキシダーゼおよびバチルス属のカ
タラーゼを作用させて、ヒポキンチンから生成した過酸
化水素を消去した後、次いで体液中の無機リンにイノシ
ンおよびプリンヌクレオチドフォスフォリラーゼ、キサ
ンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を
作用させて、無機リンからヒポキサンチンを生成させ、
ヒポキサンチンから過酸化水素を生成させ、該過酸化水
素を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴
とする体液中の無機リンの測定法である。
【0029】上記方法に使用する試薬としては、キサン
チンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む
第1試薬およびイノシンおよびプリンヌクレオチドフォ
フォリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダ
ーゼおよび色原体を含む第2試薬からなる体液中の無機
リンの測定試薬がある。
【0030】本発明の別な実施態様は、体液中のGPT
を測定するに当たり、体液中に含まれるピルビン酸にピ
ルビン酸オキシダーゼ、およびバチルス属のカタラーゼ
を作用させて、ピルビン酸から生成した過酸化水素を消
去した後、次いで体液中のGPTにL−アラニン、α−
ケトグルタール酸、ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオキ
シダーゼおよび色原体を作用させて、GPTからピルビ
ン酸を生成させ、ピルビン酸から過酸化水素を生成さ
せ、該過酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定
することを特徴とする体液中のGPTの測定法である。
【0031】上記方法に使用する試薬としては、ピルビ
ン酸オキシダーゼ、およびバチルス属のカタラーゼを含
む第1試薬およびL−アラニン、α−ケトグルタル酸、
ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原
体を含む第2試薬からなるGPTの測定試薬がある。
【0032】本発明の一実施態様は、体液中のα−アミ
ラーゼを測定するに当たり、体液中のグルコースにグル
コースオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作
用させて、グルコースから生成した過酸化水素を消去し
た後、次いで体液中のα−アミラーゼにアミラーゼ基
質、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび
色原体を作用させて、α−アミラーゼからグルコースを
生成させ、グルコースから過酸化水素を生成させ、該過
酸化水素を発色させた後、その発色強度を測定すること
を特徴とする体液中のα−アミラーゼ測定法である。
【0033】上記方法に使用する試薬としては、グルコ
ースオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを含む
第1試薬およびα−アミラーゼ基質、グルコースオキシ
ダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬
からなる体液中のα−アミラーゼ測定試薬がある。基質
としては、マルトテトラオース、マルトペンタオース、
マルトヘプタオースなどのオリゴ糖やそれらの非還元末
端修飾オリゴ糖などがある。
【0034】本発明における試料としては、尿、血清、
唾液、膵液などの体液がある。また、分析対象物として
は、その試料中に対象物以外の物質に起因して過酸化水
素を発生するものを含有するものであれば、何でも適用
可能である。例えばクレアチニン、トリグリセリド、無
機リンが代表的であるが、他にクレアチン、コレステロ
ールエステル、シアル酸、α−アミラーゼ、GOT、G
PT、グアナーゼ、リン脂質などを挙げることができ
る。
【0035】本発明に用いる妨害物質に作用して過酸化
水素を生成する酵素としては、例えばコレステロールオ
キシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、キサンチンオキ
シダーゼ、コリンオキシダーゼ、ザルコシンオキシダー
ゼ、ピルビン酸オキシダーゼなどがある。
【0036】本発明において妨害物質に由来する物質と
は、妨害物質に酵素または基質および他の物質を作用さ
せて生成する物質であって、該物質は該物質に作用する
酵素によって過酸化水素を生成するものである。例えば
グリセロール−3−リン酸、ザルコシン、キサンチンな
どが挙げられる。
【0037】本発明において妨害物質に由来する物質に
作用して過酸化水素を生成する酵素としては、グリセロ
ール−3−リン酸オキシダーゼ、ザルコシンオキシダー
ゼ、コレステロールオキシダーゼ、キサンチンオキシダ
ーゼ、コリンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、
グルコースオキシダーゼ、ウリカーゼ、グリセロールオ
キシダーゼなどがあり、過酸化水素を発生する酸化酵素
であれば、いかなる起源のものでも良い。
【0038】本発明に使用する測定成分に作用して妨害
物質を生成する酵素としては、グリロキナーゼ、リパー
ゼ、リポプロテインリパーゼ、ホスフォリパーゼD、ク
レアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒ
ドロラーゼ、プリンヌクレオチドフォスフォリラーゼな
どが挙げられる。
【0039】本発明に使用するカタラーゼは、その起源
としてバチルス属細菌であれば、いかなる起源のものを
用いても良い。特に好適なのはバチルス・ステアロサー
モフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス
・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・カルド
テナックス(Bacillus cardotenax)由来のものがある。
これらの中でもバチルス・ステアロサーモフィルス(Ba
cillus stearothermophilus)IFO12550、IFO12983、IFO1
3737、ATCC12016 、IAM11001由来のものが特に好まし
い。
【0040】本発明に用いるカタラーゼは、例えば好適
なバチルス・ステアロサーモフィルスを培養し、該培養
物から精製する。このような方法としては、例えば特開
昭63-207384 号公報に記載される方法がある。カタラー
ゼ生産菌の培養にあたって使用する培地としては、使用
菌株が資化しうる炭素源、窒素物、その他必要な栄養素
を適量含有するものを、合成培地、天然培地のいずれか
であっても使用できる。培養は通常、振とう培養あるい
は通気撹拌培養で行い、培養温度は40〜60℃、培養
pHは5〜9の範囲で行う。培養期間は1〜5日で生育
し、菌体内にカタラーゼが生産蓄積される。
【0041】本発明に使用するカタラーゼの精製法は、
例えば以下の様にして行うことができる。菌体からの抽
出法として、超音波破砕、ガラスビーズなどを用いる機
械的な破砕、フレンチプレス、界面活性剤処理が挙げら
れる。さらに抽出液については、硫安やぼう硝などの塩
析法、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどの金属凝
集法、プロタミンやポリエチレンイミンなどの凝集法、
さらにはDEAE(ジエチルアミノメチル)−セファロ
ース、CM(カルボキシメチル)−セファロースなどの
イオン交換クロマト法などにより精製することができ
る。このようにして得られたカタラーゼは通常、比活性
100U/mg以上で得ることができる。
【0042】本発明に使用するペルオキシダーゼとして
は、西洋ワサビをはじめとする植物や各種微生物由来の
ものがある。
【0043】本発明に使用する色原体としては、過酸化
水素により分光学的に吸収の変化を生じさせるものであ
ればいかなるものでもよい。ペルオキシダーゼの存在
下、4−アミノアンチピリンとアニリン誘導体、4−ア
ミノアンチピリンとフェノール誘導体、3−メチル−2
−ベンゾチアゾリンとアニリン誘導体または4−アミノ
アンチピリン単独、アニリン誘導体単独、フェノール誘
導体単独が考えられる。アニリン誘導体としては、アニ
リン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルア
ニリン、N,N−ジエチル−m−トルジン、N,N−ジ
メチル−m−アニシジン、N−エチル−(3−メチルフ
ェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチ
ル−N−(β−ヒドロキシエチル)−m−トルイジン、
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホエチ
ル)−m−トルイジン、N−エチル−N−スルホプロピ
ル−m−トルイジン、N−エチル−スルホプロピル−
3,5−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒ
ドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ
アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−ス
ルホプロピル)−m−アニシジンなどがある。フェノー
ル誘導体としては、フェノール、p−クロロフェノー
ル、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブロモフ
ェノール、2,3,4−トリクロロフェノールなどがあ
る。
【0044】本発明では、まず、体液中の測定成分を測
定するに当たり、体液中に含まれる妨害物質に、該妨害
物質に作用して過酸化水素を生成する酵素およびバチル
ス属のカタラーゼを作用させて、または該妨害物質から
他の物質を誘導し、該物質に作用して過酸化水素を生成
する酵素および該カタラーゼを作用させて、該妨害物質
または該妨害物質に由来する物質から生成した過酸化水
素を消去する。次いで、体液中の測定成分に、該測定成
分に作用して妨害物質を生成する酵素、該妨害物質また
は該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生
成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む試薬
を作用させて、体液中の測定成分から妨害物質を生成さ
せ、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から過
酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、そ
の発色強度を測定する。
【0045】過酸化水素を発色させた後、その発色強度
を測定する方法としては、生成したキノン色素の測定
に、通常、540〜650nmの波長の吸光度測定で行
う。測定法としては、エンド法およびレート法で行う。
【0046】本発明の測定試薬は通常、2試薬系から成
り、色原体が4−アミノアンチピリンまたは3−メチル
−2−ベンゾチアゾリルノンヒドラジン等とアニリン誘
導体またはフェノール誘導体から構成されている場合、
その内の1種、好ましくはアニリン誘導体またはフェノ
ール誘導体は、必ず第2試薬に含まれなければならない
が、他の1種は第1試薬または第2試薬のどちらかに含
まれていても良い。
【0047】本発明において2試薬系の場合には、第1
試薬および第2試薬には前記成分に加えてペルオキシダ
ーゼ、緩衝液および必要により測定成分に作用して過酸
化水素を生成する酸化酵素、ペルオキシダーゼ以外の酵
素、これらの酵素の基質、界面活性剤、安定化剤、各種
妨害物質等を含んでいても良い。ペルオキシダーゼは第
1、第2試薬どちらに含まれても良いが、好ましくは第
1試薬の方が良い。
【0048】
【発明の効果】本発明によって、長期保存性に優れた過
酸化水素消去試薬が得られる。液状化試薬が主流である
現在、これらのように液状で安定な試薬は非常に有用で
ある。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示
す。実施例1 クレアチニン測定試薬として、下記の溶液を作製した。 第1試薬 クレアチンアミジノヒドロラーゼ 65U/ml ザルコシンオキシダーゼ 25U/ml カタラーゼ 120U/ml ペルオキシダーゼ 5U/ml PIPESバッファー 0.1M、pH6.8 コール酸ナトリウム 0.1% トリトンX−100 0.1% EDTA 0.01%
【0050】 第2試薬 クレアチニンアミドヒドロラーゼ 200U/ml 4−アミノアンチピリン 1.4mM EHSPT 2.0mM PIPESバッファ、 0.1M、pH6.8 コール酸ナトリウム 0.1% トリトンX−100 0.1% EDTA 0.01%
【0051】カタラーゼはバチルス・ステアロサーモフ
ィラス(Bacillus stearothermophilus)IAM1100
1より公知の方法により調製した。クレアチンをそれぞ
れ2、4、6、8mg/dlを含み、かつクレアチン1
mg/dlを含む試料8μlを第1試薬300μlと混
和し、37℃、5分間された後、555nmで吸光度を
測定した(Abs1)。更に第2試薬100μlを混和
し、37℃、5分間反応させ、555nmで吸光度を測
定した(Abs2)。それぞれのAbs2−Abs1の
値を5mg/dlのクレアチニン標準液の値と比較する
ことによって、試料中のクレアチニン値を算出した(図
1)。該試薬は8mg/dlまでのクレアチンの影響を
受けず、試料中のクレアチンはクレアチニン、ザルコシ
ンオキシダーゼ、カタラーゼにより消去されていること
が確認された。
【0052】実施例2 実施例1で作製した第1試薬を25℃および40℃で保
存して、1、2、3、4、7日目に残存カタラーゼ活性
を測定した。なお、カタラーゼは以下の方法により作製
した。16mM 過酸化水素溶液0.25mlを試験管
に採り、25℃で5分間予備加温し、酵素液0.25m
lを加え、混和した。正確に5分間、25℃で保温した
後、チタン試薬2.5mlを加え、反応を停止し、水を
対照に410nmの吸光度を求めた(ODtest)。
同時に過酸化水素溶液とチタン試薬2.5mlを混和
し、25℃で5分間保温した後、酵素液を加えた(OD
blannk)。カタラーゼ1単位は1分間に1マイク
ロモルの過酸化水素を分解する酵素量とした。その結果
を図2に示す。
【0053】比較例1 クレアチニン測定試薬として、実施例1の組成の溶液を
作製した。ただし、カタラーゼとして市販の牛肝の酵素
を用いた。その結果を図3に示す。
【0054】比較例2 クレアチニン測定試薬として、実施例1の組成の溶液を
作製した。ただし、カタラーゼとして市販のアスペルギ
ルス属由来の酵素を用いた。本発明の結果を図2、比較
例1の結果を図3、比較例2の結果を図4に示す。これ
らの図から明らかなように、バチルス属のカタラーゼは
40℃、7日間の保存で、50%の残存活性を示すのに
対して、牛肝由来のカタラーゼでは0%、アスペルギル
ス属由来のカタラーゼでは20%の残存活性を示すに過
ぎず、バチルス属のカタラーゼのクレアチニン測定試薬
中での安定性が示された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のクレアチニン測定試薬でのクレアチ
ン消去能を示すグラフである。
【図2】 本発明のクレアチニン測定試薬中でのカタラ
ーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図3】 クレアチニン測定試薬中での牛肝由来のカタ
ラーゼ保存安定性を示すグラフである。
【図4】 クレアチニン測定試薬中でのアスペルギルス
属由来のカタラーゼ保存安定性を示すグラフである。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体液中の測定成分を測定するに当たり、
    体液中に含まれる妨害物質に、該妨害物質または該妨害
    物質に由来する物質に作用して過酸化水素を生成する酵
    素およびバチルス属のカタラーゼを含む試薬を作用させ
    て、該妨害物質または該妨害物質に由来する物質から生
    成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中の測定成
    分に、該測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、
    該妨害物質または該妨害物質に由来する物質に作用して
    過酸化水素を生成する酸化酵素、ペルオキシダーゼおよ
    び色原体を含む試薬を作用させて、体液中の測定成分か
    ら妨害物質を生成させ、該妨害物質または該妨害物質に
    由来する物質から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素
    を発色させた後、その発色強度を測定することを特徴と
    する体液中の測定成分の測定法。
  2. 【請求項2】 体液中のトリグリセリドを測定するに当
    たり、体液中に含まれるグリセリンにグリセロールキナ
    ーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼおよびバ
    チルス属のカタラーゼをを作用させて、グリセリンから
    生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中のトリ
    グリセリドにリポプロテインリパーゼ、グリセロールキ
    ナーゼ、グルセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペル
    オキシダーゼおよび色原体を作用させて、トリグリセリ
    ドからグリセリンを生成させ、グリセリンからグリセロ
    ール−3−リン酸を生成させ、グリセロール−3−リン
    酸から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させ
    た後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中
    のトリグリセリド測定法。
  3. 【請求項3】 体液中のクレアチニンを測定するに当た
    り、体液中に含まれるクレアチンにクレアチンアミジノ
    ヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよびバチルス
    属のカタラーゼを作用させて、クレアチンから生成した
    過酸化水素を消去した後、次いで体液中のクレアチニン
    にクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジ
    ノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシ
    ダーゼおよび色原体を作用させて、クレアチニンからク
    レアチンを生成させ、クレアチンからザルコシンを生成
    させ、ザルコシンから過酸化水素を生成させ、該過酸化
    水素を発色させた後、その発色強度を測定することを特
    徴とする体液中のクレアチニンの測定法。
  4. 【請求項4】 体液中のコレステロールエステルを測定
    するに当たり、体液中に含まれるコレステロールにコレ
    ステロールオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼ
    を作用させて、コレステロールから生成した過酸化水素
    を消去した後、次いで体液中のコレステロールエステル
    にリパーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシ
    ダーゼおよび色原体を作用させて、コレステロールエス
    テルからコレステロールを生成させ、コレステロールか
    ら過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた
    後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中の
    コレステロールエステルの測定法。
  5. 【請求項5】 体液中のリン脂質を測定するに当たり、
    体液中に含まれるコリンにコリンオキシダーゼおよびバ
    チルス属のカタラーゼを作用させて、コリンから生成し
    た過酸化水素を消去した後、次いで体液中のリン脂質に
    ホスフォリパーゼ D、コリンオキシダーゼ、ペルオキシ
    ダーゼおよび色原体を作用させて、リン脂質からコリン
    を生成させ、コリンから過酸化水素を生成させ、該過酸
    化水素を発色させた後、その発色強度を測定することを
    特徴とする体液中のリン脂質の測定法。
  6. 【請求項6】 体液中の無機リンを測定するに当たり、
    体液中に含まれるヒポキサンチンにキサンチンオキシダ
    ーゼおよびバチルス属のカタラーゼを作用させて、ヒポ
    キンチンから生成した過酸化水素を消去した後、次いで
    体液中の無機リンにイノシンおよびプリンヌクレオチド
    フォスフォリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオ
    キシダーゼおよび色原体を作用させて、無機リンからヒ
    ポキサンチンを生成させ、ヒポキサンチンから過酸化水
    素を生成させ、該過酸化水素を発色させた後、その発色
    強度を測定することを特徴とする体液中の無機リンの測
    定法。
  7. 【請求項7】 体液中のGPTを測定するに当たり、体
    液中に含まれるピルビン酸にピルビン酸オキシダーゼお
    よびバチルス属のカタラーゼを作用させて、ピルビン酸
    から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中の
    GPTにL−アラニン、α−ケトグルタル酸、ピルビン
    酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用
    させて、GPTからピルビン酸を生成させ、ピルビン酸
    から過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた
    後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中の
    GPTの測定法。
  8. 【請求項8】 体液中のα−アミラーゼを測定するに当
    たり、体液中のグルコースにグルコースオキシダーゼお
    よびバチルス属のカタラーゼを作用させて、グルコース
    から生成した過酸化水素を消去した後、次いで体液中の
    α−アミラーゼにアミラーゼ基質、グルコースオキシダ
    ーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を作用させて、α
    −アミラーゼからグルコースを生成させ、グルコースか
    ら過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を発色させた
    後、その発色強度を測定することを特徴とする体液中の
    α−アミラーゼ測定法。
  9. 【請求項9】 体液中に含まれる妨害物質に作用して過
    酸化水素を生成する酵素または該妨害物質に由来する物
    質に作用して過酸化水素を生成する酸化酵素およびバチ
    ルス属のカタラーゼを含有する第1試薬および体液中の
    測定成分に作用して妨害物質を生成する酵素、該妨害物
    質または該妨害物質に由来する物質に作用して過酸化水
    素を生成する酵素、ペルオキシダーゼおよび色原体を含
    有する第2試薬からなる体液中の測定成分測定試薬。
  10. 【請求項10】 グリセロールキナーゼ、グリセロール
    −3−リン酸オキシダーゼおよびバチルス属のカタラー
    ゼを含む第1試薬およびリポプロテインリパーゼ、グリ
    セロールキナーゼ、グルセロール−3−リン酸オキシダ
    ーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬か
    らなる体液中のトリグリセリド測定試薬。
  11. 【請求項11】 クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザ
    ルコシンオキシダーゼおよびバチルス属のカタラーゼを
    含む第1試薬およびクレアチニンアミドヒドロラーゼ、
    クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダ
    ーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2試薬か
    らなる体液中のクレアチニンの測定試薬。
  12. 【請求項12】 コレステロールオキシダーゼおよびバ
    チルス属のカタラーゼを含む第1試薬およびリパーゼ、
    コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび
    色原体を含む第2試薬からなる体液中のコレステロール
    エステルの測定試薬。
  13. 【請求項13】 コリンオキシダーゼおよびバチルス属
    のカタラーゼを含む第1試薬およびホスフォリパーゼ
    D、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原
    体を含む第2試薬からなる体液中のリン脂質の測定試
    薬。
  14. 【請求項14】 キサンチンオキシダーゼおよびバチル
    ス属のカタラーゼを含む第1試薬およびイノシンおよび
    プリンヌクレオチドフォスフォリラーゼ、キサンチンオ
    キシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび色原体を含む第2
    試薬からなる体液中の無機リンの測定試薬。
  15. 【請求項15】 ピルビン酸オキシダーゼおよびバチル
    ス属のカタラーゼを含む第1試薬およびL−アラニン、
    α−ケトグルタル酸、ピルビン酸オキシダーゼ、ペルオ
    キシダーゼおよび色原体を含む第2試薬からなるGPT
    の測定試薬。
  16. 【請求項16】 グルコースオキシダーゼおよびバチル
    ス属のカタラーゼを含む第1試薬およびα−アミラーゼ
    基質、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよ
    び色原体を含む第2試薬からなる体液中のα−アミラー
    ゼ測定試薬。
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