JP6522466B2 - オートタキシンの活性測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オートタキシンの活性測定方法に関する。より詳細には、本発明は、リゾホスファチジルグリセロールを基質とするオートタキシンの反応を利用した、試料中のオートタキシンの活性の測定方法及び測定用組成物に関する。
オートタキシンは、ヒト悪性黒色腫細胞株であるA2058の培養上清より、同細胞の運動促進因子として1992年に単離、同定された糖タンパク質であり、ウシ血清やヒト血漿から精製取得された酵素の研究により、リゾホスファチジン酸産生酵素であるリゾホスホリパーゼDと同一であることが見出され、リゾホスファチジン酸(以下LPAと訳す場合がある。)生成酵素として生体内で重要な役割を果たす(非特許文献1及び2)。
血清中のオートタキシンの活性測定法として、リゾホスファチジルコリン(以下LPCと略す場合がある。)を基質として遊離されたコリンを、コリンオキシダーゼを用いて測定する酵素法が知られている(非特許文献3)。この方法は、LPCと試料を、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び塩化ナトリウムの存在下に37℃にて一定時間、例えば3時間加温したのち、コリンオキシダーゼ、パーオキシダーゼ及び発色色素を含んだ発色液を添加し、オートタキシン反応により生成したコリンを定量するものである。
また合成基質を用いた測定法も提案されている(特許文献1及び2)。この方法は、天然基質LPCの代わりにリゾホスファチジル−p−ニトロフェノールを合成し、これを基質に用い、リゾホスホリパーゼDの反応により遊離したp−ニトロフェノールをアルカリ条件下で発色させる方法や、リゾリン脂質のリン酸ジエステルのグリセロール骨格とは反対側の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物を合成し、この化合物からリゾホスホリパーゼDの反応により遊離したチオール化合物を、ジスルフィド化合物の存在下、チオール−ジスルフィド交換反応により生成したチオール化合物に由来する吸光度から測定する方法である。
一方、抗体を用いた測定方法も報告されている(特許文献3)。この方法は酵素活性の代わりに、オートタキシンに対する2種類の抗体を用い、一方の抗体を不溶性担体に固定化し、オートタキシンを作用させた後、酵素等で標識されたもう一つの抗体を用いてさらにオートタキシンを認識させ、質量として測定する方法である。
WO2002/053569 特開2009−149582 特開2013−178286
J Cell Biol. 158:227-233,2002 JBiol Chem. 277:39436-39442,2002 Clin Biochem 40:274-277, 2007
オートタキシンの活性測定方法は前述のように数種類知られている。
しかしながら、LPCから遊離されたコリンを酵素的に検出する方法は、内在性のLPCや遊離コリンの影響を受ける可能性がある。また、血中のオートタキシンは安定であるが、一方で、採血後の血清中では、内在性LPCがその加温時間に応じて増加することが報告されている(非特許文献3)。このため生体試料を用いた場合、オートタキシンの活性の測定値が採血後の保存状態により影響を受ける問題もある。
さらに、合成基質を用いたオートタキシンの活性測定法も報告されているが、低コスト化が困難である。さらに抗体法も報告されているが操作が煩雑であり、特別な装置が必要であるという問題がある。
これらの課題を解決するべく、本発明は、LPCや遊離コリン等の内在性オートタキシン基質又はその生成物の影響を受けず、採血後に増加するLPC等のオートタキシン基質の影響も受けず、安価且つ簡便に、オートタキシンの活性を測定する方法及び測定用組成物を提供する。
本発明者らは、前述の課題を解決すべく、鋭意検討したところ、驚くべきことにオートタキシンの基質としては、これまで知られていなかったリゾホスファチジルグリセロールを用いて、酵素反応が進むことを初めて確認した。そして、この酵素反応の生成物であるグリセロール、及び/又はそのリン酸化物を、グリセロールキナーゼを用いた新規な酵素サイクリング法で反応させることにより、従来法に比べてLPCや遊離コリン等の内在性オートタキシン基質又はその生成物の影響を受けず、採血後に増加するLPC等のオートタキシン基質の影響も受けず、安価且つ簡便にオートタキシンの活性を測定する方法及び測定用組成物を見出した。即ち本発明は以下に関する。
[0]
試料中のオートタキシンの活性測定方法であって、(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、
を含む測定方法。
[1]
試料中のオートタキシンの活性測定方法であって:、
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程;、
(2)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、少なくともそれぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、第一のヌクレオチド補酵素と、前記第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる第二のヌクレオチド補酵素と、を
上記工程(1)で得られた処理物をした試料と、接触せしめさせ、下記式(I):のサイクリング反応をせしめる工程と、
のサイクリング反応を実施せしめる工程;
(3)工程(2)における、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出された変化量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法。
[1−1]
工程(2)と同時に又は工程(2)に先立って、さらに以下の工程:
(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
を行う方法であって、工程(2)が、グリセロールキナーゼと工程(1)及び(1a)で得られた処理物とを接触せしめる工程である、[1]に記載の測定方法。
[1−1−2]
上記工程(2)が、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量に対応するシグナルの変化量を検出する工程である、[1]又は[1−1]に記載の測定方法。
[1−2]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン、及びデオキシイノシンのいずれかである、[1]〜[1−1−2]のいずれかに記載の測定方法。
[1−3]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかである、[1]〜[1−2]のいずれかに記載の測定方法。
[1−4]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン、及びデオキシイノシンのいずれかである、[1]〜[1−3]のいずれかに記載の測定方法。
[1−5]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかである、[1]〜[1−4]のいずれかに記載の測定方法。
[1−6]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシグアノシンのいずれかである、[1]〜[1−5]のいずれかに記載の測定方法。
[1−7]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオチド部分と前記第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド補部分の組み合わせが、アデノシンとイノシン、グアノシンとアデノシン、デオキシアデノシンとグアノシン、デオキシアデノシンとデオキシグアノシン、デオキシアデノシンとイノシン、及びイノシンとアデノシンのいずれかである、[1]〜[1−6]のいずれかに記載の測定方法。
[1−8]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がアデノシンであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、イノシンである、[1]〜[1−7]のいずれかに記載の測定方法。
[1−9]
第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン2リン酸(IDP)である、[1]〜[1−8]のいずれかに記載の測定方法。
[1−10]
工程(3)が:第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素;又は第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素;を用いて、正反応による第一のヌクレオチド補酵素の変化物の増加量又は逆反応による第二のヌクレオチド補酵素の増加量を検出する工程である、[1]〜[1−9]のいずれかに記載の測定方法。
[1−11]
第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物が、アデノシン2リン酸(ADP)であり、
工程(3)がADP依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、グルコースの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、[1]〜[1−10]のいずれかに記載の測定方法。
[1−12]
工程(3)が、アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、[1−11]に記載の測定方法。
[1−13]
試料中のオートタキシンの測定方法であって:
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてATPを利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、ATPと、IDPと、を、工程(1)及び(1a)で得られた処理物と接触せしめ、下記式(II)

のサイクリング反応を実施せしめる工程;
(3)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、工程(2)におけるADPの増加量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出されたADPの増加量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法。
[1−14]
[1]〜[1−13]のいずれかに記載の測定方法を含む、臨床検体検査方法。
[2]
試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(b)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)第一のヌクレオチド補酵素と、
(d)第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる、第二のヌクレオチド補酵素と、
を含む、組成物。
[2−1]
(a1)リゾホスホリパーゼをさらに含む、[2]に記載の組成物。
[2−2]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、[2]及び[2−1]のいずれかに記載の組成物。
[2−3]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかである、[2]〜[2−2]のいずれかに記載の組成物。
[2−4]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、[2]〜[2−3]のいずれかに記載の組成物。
[2−5]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシグアノシンのいずれかである[2]〜[2−4]のいずれかに記載の組成物。
[2−6]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシグアノシンのいずれかである、[2]〜[2−5]のいずれかに記載の組成物。
[2−7]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分と前記第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド補部分の組み合わせが、アデノシンとイノシン、グアノシンとアデノシン、デオキシアデノシンとグアノシン、デオキシアデノシンとデオキシグアノシン、デオキシアデノシンとイノシン、及びイノシンとアデノシンのいずれかである、[2]〜[2−6]のいずれかに記載の組成物。
[2−8]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がアデノシンであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がイノシンである、[2]〜[2−7]のいずれかに記載の組成物。
[2−9]
第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン酸2リン酸(IDP)である、[2]〜[2−8]のいずれかに記載の組成物。
[2−10]
第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素、又は
第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素、
をさらに含む、[2]〜[2−9]のいずれかに記載の組成物。
[2−11]
検出用酵素がアデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 1.7.1.147)であり、グルコースをさらに含む、[2−10]に記載の組成物。
[2−12]
グルコースをさらに含む[2]から[2−10]のいずれかに記載の組成物。
[2−13]
チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
をさらに含む、[2]〜[2−12]のいずれかに記載の組成物。
[2−14]
試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(a1)リゾホスホリパーゼと、
(b)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてアデノシン3リン酸(ATP)を利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)ATPと、
(d)IDPと、
(e)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 1.7.1.147)と、
(f)グルコースと、
(g)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
(h)グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
を含む、組成物。
[3]
上記[2]〜[2−14]のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用試薬キット。
[4]
上記[2]〜[2−14]のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用の臨床検体測定装置。
本発明によれば、リゾホスファチジルグリセロールをオートタキシンの基質として用いて、グリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理を、グリセロールキナーゼによる酵素サイクリング反応と組み合わせることにより、LPCや遊離コリン等の内在性オートタキシン基質又はその生成物の影響を受けず、採血後に増加するLPC等のオートタキシン基質の影響も受けず、安価且つ簡便に、オートタキシンの活性を測定することができる。
遺伝子組換えオートタキシンを用いた反応における、基質リゾホスファチジルグリセロール濃度と生成されたグリセロール量に相当する吸光度との関係を示すグラフである(実施例2)。 リゾホスファチジルグリセロールを基質とした反応における、遺伝子組換えオートタキシン量と生成されたグリセロール量に相当する吸光度との関係を示すグラフである(実施例3)。 本発明のオートタキシン活性測定法における、リゾホスホリパーゼ添加効果を示したグラフである(実施例4)。 LPCを基質に用いる従来法と本発明法とのオートタキシン活性測定の相関図である(実施例5)。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施の形態」ともいう。)について具体的に説明する。ただし、以下の実施の形態が本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかになるはずであり、本発明はここでは具体的に記載していない様々な実施の形態等を包含するということが理解されるべきである。なお、本明細書中のEC番号(Enzyme Commission numbers)は、2015年8月18日現在において確認した番号である。
本実施の形態は、試料中のオートタキシンの活性測定方法であって:(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、第一のヌクレオチド補酵素と、前記第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる第二のヌクレオチド補酵素と、を
工程(1)で得られた処理物と、接触せしめ、下記式(I):
のサイクリング反応を実施せしめる工程;
(3)工程(2)における、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出された変化量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法である。
本実施の形態に係る方法における測定対象はオートタキシン活性である。オートタキシンは生体内でLPAの生成酵素として重要な役割を果たしているが、本実施の形態に係る方法における測定対象としては、生体内に存在するものに限定されない。例えば、遺伝子操作によって産生されるもの、化学合成により合成されるもの等が例示される。また前述のように、オートタキシンはリゾホスホリパーゼDと呼ばれる場合があり(非特許文献3)、この活性も本実施の形態に係る方法における測定対象に含まれる。
本実施の形態に係る方法におけるオートタキシンの基質はリゾホスファチジルグリセロールであり、例えば生体由来であっても、化学合成されたものであっても、酵素的に合成されたものでもよく、その由来は問わない。
本実施の形態に係る方法において用いることのできる試料としては、特に限定されないが、ヒト又は動物の生体試料が用いられる場合があり、好ましくはヒト血液、さらに好ましくは、ヒト血清である。試料中にはオートタキシンが含まれる場合もあるが結果として含まれない場合もある。また実験室で調整した試料であってもよい。
本実施の形態に係る方法における「接触せしめ」とは、2以上の対象を接触させようとする行為を言い、接触したかどうかの事実を示すものではない。例えば混合、添加、注入、適下等の操作が挙げられるがこれに限定されない。
本実施の形態に係る方法の工程(1)において、試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、試料中のオートタキシンの作用により基質であるリゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめるには、これに限定されないが例えば以下の条件で行えばよい。
リゾホスファチジルグリセロール(LPG)はトリトンX−100等の界面活性剤を用いて溶解させることができるがこれに限定されない。反応時のLPG濃度は、好ましくは2〜40mmol/Lであり、より好ましくは4〜20mmol/Lである。これに反応中のpHを維持するため、pH緩衝剤を例えば20mmol/L以上200mmol/L以下加えて反応液とする。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液並びにPIPES、MES、HEPES等のグッドの緩衝液等を用いることができる。
反応時のpHは適宜反応が効率的に進行する条件を選べばよいが、通常はpH7.0以上pH10.0以下の中性から弱アルカリ性付近に調整し、既報の活性測定法と同様塩化マグネシウムや塩化カルシウム等の金属塩を0.5mmol/L以上20mmol/L以下適宜添加する。同様に、塩化ナトリウム等の塩も1mol/L以下添加することもできる。
反応液は予め25℃以上42℃以下、より好ましくは37℃付近に加温し、オートタキシン反応を実施する。尚、後述するようにオートタキシン反応と工程(2)の酵素サイクリング反応を同時に実施することもできる。
本実施の形態に係る方法において、「生成せしめる」とは、生成させようとする行為を言い、生成するかどうかの事実は問わない。
本実施の形態に係る方法は、は、一態様において、さらに、以下の工程:
(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
を含む場合があり、この場合、工程(2)は、グリセロールキナーゼと工程(1)及び(1a)で得られた処理物とを接触せしめる工程である。この工程(1a)は、工程(2)と同時に又は工程(2)に先立って、行うことができる。
本実施の形態の工程(1a)における、リゾホスホリパーゼは、リゾホスファチジン酸を基質としてグリセロール−3−リン酸を生成するものであれば特に限定されず、例えば、市販品(LYPL;T−32、旭化成ファーマ(株)等)を使用することができる。
本実施の形態の工程(1a)において、リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる方法は公知の方法を参考にして行うことができる(Clin Chim Acta 333,59-67,2003等)。例えば具体的には、下記に示した工程(2)のグリセロールキナーゼによる酵素サイクリング反応をせしめる条件下、さらにリゾホスホリパーゼを2.5u/mL〜100u/mL、より好ましくは5u/mL〜50u/mL添加すればよい。
工程(1a)におけるリゾホスホリパーゼは、リゾリン脂質を基質とするため、工程(1)の実施時に同時に添加すると、工程(1)のオートタキシンの基質であるリゾホスファチジルグリセロールにも作用してしまい、正確なオートタキシン活性測定の妨げになる場合がある。この場合は、工程(1)のオートタキシンの反応を停止させたのちにリゾホスホリパーゼを添加する等多段階に反応を分けて実施すればよい。反応を停止させる方法としては、EDTA等のキレート剤の添加、pHの酸性側への変更、あるいは活性部位に結合する抗体の添加等が挙げられる。また、医薬用途としてオートタキシン阻害剤の探索が現在活発に進められていることから、これらの阻害剤を用いることもできる。このようにしてリゾホスホリパーゼを添加することによって、工程(1)で生成するグリセロール及び工程(1a)で生成するグリセロール−3−リン酸の両物質が工程(2)の酵素サイクリング反応に関与することが出来るため、実質的に2倍のオートタキシン活性測定感度が得られることになる。リゾホスホリパーゼを添加するかしないかは、試料中のオートタキシン活性量に応じて適宜選択すればよい。
工程(1a)は、工程(2)に先立って行うこともでき、工程(2)と同時に行うこともできる。例えば、工程(1)のオートタキシン反応を停止させたのちに、グリセロールキナーゼとリゾホスホリパーゼを工程(1)で得られた処理物に添加し、工程(2)の実施と並行して工程(1a)を行うこともできる。
次に、本実施の形態に係る方法の工程(2)について説明する。工程(2)おいて用いることのできるグリセロールキナーゼは、少なくとも脱リン酸化反応とリン酸化反応を行う可逆反応性を示し、ヌクレオシド部分が異なる2種類以上のヌクレオチド補酵素に作用する酵素であれば、その由来を問わずに使用することができる。該酵素はトリグリセリド測定用として汎用されているため、数多くの微生物由来酵素が市販されており入手は容易である。例えば、Cellulomonas属由来の酵素が東洋紡(株)から、 Flabobacterium meningosepticum由来の酵素が旭化成ファーマ(株)から市販されている。これらの由来細胞や組織を培養し、該酵素を単離精製して常法により取得してもよい。例えば微生物を培養後、カラムクロマトグラフィ法等の公知の精製法を組み合わせて、実用レベルまで純度を高めた酵素を取得することができる。また、遺伝子を組み込んだ大腸菌等の形質転換細胞を培養して酵素を取得することもできる。さらに、本実施の形態に係るグリセロールキナーゼは、酵素特性を向上する目的等で遺伝的に改変されたものであってもよい。例えば当該改変酵素タンパク質をコードする遺伝子を常法により単離し、遺伝子組み換え技術を用いて適当な宿主中で発現させる方法によって改変酵素を取得することができる。
グリセロールキナーゼの正反応及び逆反応におけるヌクレオチド補酵素(ヌクレオシドリン酸)に対する特異性を確認する方法としては、例えばヌクレオシドリン酸について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法による公知の検出法を使用して反応生成物を確認することで可能である。
また、正反応のヌクレオチド補酵素に対する特異性は、正反応の生成物であるグリセロール−3−リン酸を、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ及びパーオキシダーゼと組合せ、4−アミノアンチピリン等のカップラーとフェノール等の水素供与体の存在下、発色反応として容易に確認することができる。
グリセロールキナーゼの逆反応についての報告例は正反応ほど多くはないものの、逆反応が進行するかについては、生成物の検出により、実験により容易に確認することができる。例えば、Eur J Biochem 267, 2323-2333,2000には、逆反応により生成するATPをルシフェリンの存在下にルシフェラーゼを用いて化学発光量として検出する方法が例示されている。このようにして逆反応が確認された場合、さらに反応時のpHを変化させ、逆反応の至適pHを調べておくことで、本実施の形態における工程(2)の条件を設定するときの参考とすることができる。逆反応の程度は、特に限定されないが、好ましくは相対活性として正反応の1.5%以上あればよい。
工程(2)における、異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を正反応または逆反応における反応物として利用するグリセロールキナーゼは、正反応及び逆反応のそれぞれについて最もよく作用する異なるヌクレオシド部分を持つヌクレオチド補酵素に対して、例えば4%以上、好ましくは8%以上の特異性を有することが望ましいがこれに限定されない。
本実施の形態に係る方法において、「ヌクレオチド補酵素」とは、ヌクレオシドのリン酸化物をいう。本実施の形態に係る方法で用いられる第一のヌクレオチド補酵素及び第二のヌクレオチド補酵素は、互いにヌクレオシド部分が異なるヌクレオチド補酵素である。
本実施の形態に係る方法において、「正反応による第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物脱リン酸化物」とは、キナーゼ正反応において、第一のヌクレオチド補酵素からリン酸がキナーゼの正反応基質へと転移した後の、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物のことをいう。また、「逆反応による第二のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物脱リン酸化物」とは、キナーゼ逆反応において、キナーゼの逆反応基質から第二のヌクレオチド補酵素へとリン酸が転移した後の、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のことをいう。ここで、転移するリン酸の個数は、1個でもよいし、2個でもよいし、3個でもよい。好ましくは1個である。
本実施の形態に係る方法におけるヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分は、天然に存在する物質にとどまらず、化学的あるいは酵素的に合成されたその誘導物質、及び類似物質を含むことを意味する。
尚、本実施の形態に係る方法の工程(2)は、1種類のグリセロールキナーゼにより実施が可能であるが、例えば、同一のサイクリング反応を触媒する2種類以上の起源の異なるグリセロールキナーゼを用いて実施することもできる。
本実施の形態に係る方法で用いられるヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分の種類は特に限定されないが、例えば、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシン等が挙げられる。また、それらのリン酸化物は1リン酸化物でもよいし、2リン酸化物でもよいし、3リン酸化物でもよい。
ヌクレオチド補酵素としては、例えばリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドが挙げられる。
ヌクレオチド補酵素としてのリボヌクレオチドの具体例としては、ATP、ADP、アデニル酸(AMP)、グアノシン3リン酸(GTP)、グアノシン2リン酸(GDP)、グアニル酸(GMP)、5−メチルウリジン3リン酸(TTP)、5−メチルウリジン2リン酸(TDP)、5−メチルウリジン1リン酸(TMP)、ウリジン3リン酸(UTP)、ウリジン2リン酸(UDP)、ウリジン1リン酸(UMP)、シチジン3リン酸(CTP)、シチジン2リン酸(CDP)、シチジン1リン酸(CMP)、キサントシン3リン酸(XTP)、キサントシン2リン酸(XDP)、キサントシン1リン酸(XMP)、イノシン3リン酸(ITP)、イノシン2リン酸(IDP)、及びイノシン1リン酸(IMP)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、ヌクレオチド補酵素としてのデオキシリボヌクレオチドの具体例としては、デオキシアデノシン3リン酸(dATP)、デオキシアデノシン2リン酸(dADP)、デオキシアデノシン1リン酸(dAMP)、デオキシグアノシン3リン酸(dGTP)、デオキシグアノシン2リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン1リン酸(dGMP)、チミジン3リン酸(dTTP)、チミジン2リン酸(dTDP)、チミジン1リン酸(dTMP)、デオキシウリジン3リン酸(dUTP)、デオキシウリジン2リン酸(dUDP)、デオキシウリジン1リン酸(dUMP)、デオキシシチジン3リン酸(dCTP)、デオキシシチジン2リン酸(dCDP)、デオキシシチジン1リン酸(dCMP)、デオキシキサントシン3リン酸(dXTP)、デオキシキサントシン2リン酸(dXDP)、デオキシキサントシン1リン酸(dXMP)、デオキシイノシン3リン酸(dITP)、デオキシイノシン2リン酸(dIDP)、及びデオキシイノシン1リン酸(dIMP)等が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましいヌクレオチド補酵素は、例えば、ATP、ADP、GTP、GDP、TTP、TDP、UTP、UDP、CTP、CDP、XTP、XDP、ITP、IDP、dATP、dADP、dGTP、dGDP、dTTP、dTDP、dUTP、dUDP、dCTP、dCDP、dXTP、dXDP、dITP、及びdIDP等であるが、これらに限定されない。
これらのヌクレオチド酵素には、場合によって、後述の工程(3)における変化量の検出が容易になるよう、例えば発色能力を有する置換基等が結合していてもよい。
本実施の形態に係る方法の工程(2)の正反応における第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分としては、ヌクレオチド補酵素について上述したものが挙げられ、好ましくは、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシン等が挙げられ、さらに好ましくは、アデノシンが挙げられる。
また、それらのリン酸化物である第一のヌクレオチド補酵素は、1リン酸化物でもよいし、2リン酸化物でもよいし、3リン酸化物でもよいが、一態様において、グリセロールキナーゼにより脱リン酸化されるという観点から3リン酸化物が好ましい。第一のヌクレオチド補酵素の具体例としては、前述の具体例に加え、さらに好ましくはATP、GTP、TTP、UTP、CTP、XTP、ITP、dATP、dGTP、dTTP、dUTP、dCTP、dXTP及びdITP等が挙げられる。
本実施の形態に係る方法の工程(2)の逆反応における第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分としては、ヌクレオチド補酵素について上述したものが挙げられ、好ましくは、イノシン、グアノシン、アデノシン、及びデオキシグアノシン等が挙げられ、さらに好ましくは、イノシンが挙げられる。
また、それらのリン酸化物である第二のヌクレオチド補酵素は、1リン酸化物でもよいし、2リン酸化物でもよい、一態様において、グリセロールキナーゼによりリン酸化されるという観点から2リン酸化物が好ましい。第二のヌクレオチド補酵素の具体例としては、前述の具体例に加え、さらに好ましくはADP、GDP、TDP、UDP、CDP、XDP、IDP、dADP、dGDP、dTDP、dUDP、dCDP、dXDP及びdIDPが挙げられる。
本実施の形態に係る方法で用いられる、第一のヌクレオシチ補酵素及び第二のヌクレオチド補酵素の好ましいヌクレオシド部分は、互いに異なる限り、特に限定されず、例えば、アデノシン、イノシン、グアノシン、又はデオキシアデノシン等が挙げられる。例えば、第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分と第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分の組み合わせとしては、アデノシンとイノシン、グアノシンとアデノシン、デオキシアデノシンとグアノシン、デオキシアデノシンとデオキシグアノシン、デオキシアデノシンとイノシン、又はイノシンとアデノシンが挙げられる。さらに好ましくは、第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がアデノシンであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がイノシンである。
本実施の一形態において、好ましくは、第一のヌクレオシチ補酵素がATPであり、第二のヌクレオチド補酵素がIDPである。
本実施の形態に係る方法の工程(2)おけるサイクリング反応は、例えば、以下の要領で行う。
例えば、グリセロールキナーゼの存在下に、第一のヌクレオチド補酵素としてヌクレオシド3リン酸及び第二のヌクレオチド補酵素としてヌクレオシド2リン酸を過剰量、具体的には0.1mmol/L以上12mmol/L以下、より好ましくは0.2mmol/L以上6mmol/L以下用意し、これに反応中のpHを維持するためpH緩衝剤を20mmol/L以上200mmol/L以下加えて反応液とする。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、並びにPIPES、MES、HEPES等のグッドの緩衝液等が挙げられる。
反応時のpHは、適宜反応が効率的に進行する条件を選べばよいが、通常はpH5.0以上pH9.0以下の中性付近に調整し、グリセロールキナーゼの活性化剤である塩化マグネシウム等の金属塩を例えば0.5mmol/L以上20mmol/L以下添加する。そして、上記反応液を予め25℃以上42℃以下、より好ましくは37℃付近に加温し、工程(1)及び場合により工程(1a)により生成した、ヌクレオシド3リン酸及びヌクレオシド2リン酸に比べて微量(例えば、ヌクレオシド3リン酸及びヌクレオシド2リン酸のどちらか少ない方のヌクレオチド補酵素の1/10以下のモル量)のグリセロール(工程(1)の生成物)及び場合によりグリセロール−3−リン酸(工程(1a)の生成物)の存在下で反応を開始すればよい。
一般的な酵素サイクリング反応において、そのサイクリング率は酵素量に依存し、基質に対するミカエリス定数(Km値)が小さいほど、少ない酵素量でより高い感度が得られることが知られている。そこで、加えるグリセロールキナーゼ量の目安としては、反応液1mL当たりグリセロール及びグリセロール−3−リン酸のうち大きいほうのKm値(mmol/L)の1倍以上、好ましくは2倍以上の酵素単位(ユニット:u)、添加すればよい。上限は、実質的に添加可能な量であれば特に制限されない。グリセロール及びグリセロール−3−リン酸に対するグリセロールキナーゼのKm値は公知の方法により求めることができる。なお、上記の添加量は、一例であってこれらに限定されるものではない。
例えば、Candida mycoderma由来グリセロールキナーゼの、グリセロールに対するKm値は0.015mmol/L、グリセロール−3−リン酸に対するKm値は0.08mmol/Lと報告されている(J Biol Chem 249, 2562-2566, 1974)ので、上記の酵素添加量の目安に従えば、この酵素を好ましくは0.08U/mL以上添加することが好ましいが、これに限定されない。
工程(2)は、1種類のグリセロールキナーゼにより実施が可能であるが、起源の異なる2種以上のグリセロールキナーゼを用いて実施することもできる。
本実施の形態に係る方法の工程(3)について、以下に説明する。
工程(3)においては、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量の検出は、各検出対象を測定可能な方法を用いて適宜行うことができ、例えば、各検出対象の変化量に対応するシグナルの変化量を測定することによって検出することができる。
検出する変化量は、第一のヌクレオチド補酵素又は第二のヌクレオチド補酵素の減少量でも、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量でもよく、検出の簡便性の観点から、好ましくは第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量である。
各検出対象の変化量またはこれに対応するシグナルの変化量を検出する方法としては、公知のHPLC法等を用いることができる。HPLC法を用いる場合はキレート剤等を添加して酵素反応を終了させてから、逆相カラム等適宜選択し、反応前後の検出対象を定量すればよい。HPLC分析法についての情報は、樹脂メーカーから容易に入手できる。
また、本実施の形態に係る方法の工程(3)は:正反応による第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素を用いて、正反応による第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物の増加量に対して変化するシグナル変化量を検出してもよい。あるいは、第一のヌクレオチド補酵素を基質としないが、逆反応による第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素を用いて、逆反応による第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量に対して変化するシグナル変化量を検出してもよい。
例えば、第一のヌクレオチド補酵素にITP、GTP又はCTPを、第二のヌクレオチド補酵素にADPを用いる場合、ATPのみを特異的に検出できる酵素により第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物であるATPのみを検出することができる。ヌクレオチド補酵素の特異性については文献情報を参考にして適宜選択すればよい。例えば、酵素番号EC6に属する合成酵素の中には、ATPのみを特異的に検出する酵素が多々報告されており、例えば、大腸菌由来のNAD合成酵素(EC 6.3.1.5)はATP以外のヌクレオチド補酵素に作用しないことがと報告されているので、これらの酵素を検出用酵素として用いることができる。
このように、本実施の形態に係る方法の工程(3)においては、用いるグリセロールキナーゼの特異性を考慮した第一のヌクレオチド補酵素と第二のヌクレオチド補酵素の組合せに留意して、適宜検出用酵素を選択すればよい。なお、補酵素に対する特異性は、酵素の起源のみならず、補酵素や酵素の添加量等の条件によっても左右される可能性があり、文献に報告された結果とは同一の特異性が得られない場合もあり得るため、検出用酵素の選択に当たってはその特異性を実際に確認することが望ましい。
本実施の一態様において、変化量の検出対象がADPである場合、検出用酵素として好ましくはアデノシン2リン酸依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いることができ、さらに好ましくはPyrococcus furiosus由来アデノシン2リン酸依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いることができる。ADP依存性グルコキナーゼを用いた場合、生成物であるAMP又はグルコース−6−リン酸は既知の方法により定量することができる。
グルコース−6−リン酸の変化量は、一態様において、チオNADP、チオNAD、NADP及びNADのいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量により検出することができ、例えば還元型NAD(P)に基づく340nmの吸光度変化量として測定することができる。また、NAD(P)の代わりにチオNAD(P)等の補酵素アナログを用いることもできる。
一例として、還元型NAD(P)に基づく吸光度変化量の測定は、例えばニトロテトラゾリウムブルー(Nitro−NB)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,ナトリウム塩(WST−1)、及び2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,ナトリウム塩(WST−3)等の水素受容体の存在下:電子キャリヤーである1−メトキシPMSを用いて;或いは、酵素ジアホラーゼを用いてホルマザン色素を形成して;可視部吸光度の測定によっても定量することができる。これらの化合物は市販されており、容易に入手することができる。また、蛍光試薬や発光試薬と組み合わせて検出することもできる。
あるいは、グルコース−6−リン酸の変化量を、G6PDHを用いる酵素サイクリング法により高感度に定量することもできる(特許第3036708号)。これらの変化するシグナルの変化量を検出する工程は、本実施の形態に係る方法におけるサイクリング反応と同時に実施しても、あるいは別個に実施してもよい。
本実施の形態に係る方法の工程(4)について、以下に説明する。
工程(4)において、工程(3)で検出された変化量に基づき試料中のオートタキシンの活性を算出する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、工程(2)における酵素サイクリング反応において、正反応により生成する第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物及び逆反応により生成する第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物は、時間に比例して増加する。よって、試料中の被検物質の量を算出するには、工程(2)における酵素サイクリング反応の反応時間を規定し(例えば反応開始から5分後〜7分後等)、濃度や活性が既知の基準となる物質(キャリブレーター)を対照において、キャリブレーターの変化に対応するシグナルの変化量を測定することによって、試料中の被検物質の量を計算することができる。
本実施の形態に係る方法の工程(4)において試料中のオートタキシンの活性量を算出するには、具体的には、例えば以下の要領で行う。
工程(2)の酵素サイクリング反応に先だって、工程(1)のオートタキシン反応を一定時間実施し、熱処理等の操作によりオートタキシン活性を止め、その一部または全量を酵素サイクリング反応に供する。キャリブレーターには、グリセロールキナーゼの基質又はそのリン酸化物であるグリセロール又はグリセロール−3−リン酸を用いることができる。酵素活性は、単位時間当たりの触媒能力、すなわち物質変化量を表す量であり、当該例の場合、オートタキシン反応により生成するグリセロール及び/又はグリセロール−3−リン酸は時間に比例して増加する。従って、生成したグリセロール及び/又はグリセロール−3−リン酸の量をオートタキシンの反応時間で割れば、オートタキシン活性を算出することができる。
また、オートタキシン反応の生成物であるグリセロールのみを検出する場合は、工程(2)の酵素サイクリング反応と工程(1)のオートタキシン反応を同時に実施することもできる。このような場合、工程(1)のグリセロールの生成量は時間に比例して増加することから、このグリセロールを用いた工程(2)の酵素サイクリング反応において生成するヌクレオチド補酵素のリン酸化物及び脱リン酸化物の量は時間に比例せずに、二次関数的に増加することが知られている。従って、酵素活性が既知のオートタキシンをキャリブレーターに用いれば、容易に試料中のオートタキシン活性を算出することができる。キャリブレーター用途に用いるオートタキシンは、血清を精製するか、あるいは既知の遺伝子組換え法によって取得すればよい。また、オートタキシンをキャリブレーターとして用いることができない場合でも、グリセロールやグリセロール−3−リン酸等の濃度が既知の物質を用い、予め酵素サイクリング反応単独でのサイクリング率kcを実測しておけば、次式のように計算によって酵素活性を求めることもできる:
酵素活性(単位時間当たりのグリセロール生成量)= 2p/(kc・t2
(式中、t=反応時間、p=反応開始から時間tまでの生成物濃度(吸光度変化量より計算))
一態様において、本実施の形態の測定方法は:
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてATPを利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、ATPと、IDPと、を、工程(1)及び(1a)で得られた処理物と接触せしめ、下記式(II)
のサイクリング反応を実施せしめる工程;
(3)ADP依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオNADP、チオNAD、NADP、及びNADのいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、工程(2)におけるADPの増加量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出されたADPの増加量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む。各工程については、上述したとおりに行うことができる。
本実施の形態は、また、上記のオートタキシン活性の測定方法を含む、臨床検体検査方法にも関する。このような方法としては、例えば、血液や脳脊髄液、胸水、腹水、尿等の体液を臨床検体に用いた検査方法が挙げられ、自己血糖測定装置に代表される装置のように、上記のオートタキシン活性の測定方法によりオートタキシン活性を検出するシステムを具備し、場合により検体採取システム及び/又は検体処理システムを具備したポイントオブケア検査(POCT)装置で実施される検査方法であってもよい。
さらなる本実施の形態は、試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(b)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)第一のヌクレオチド補酵素と、
(d)第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる、第二のヌクレオチド補酵素と、
を含む、組成物である。
本実施の形態の係る組成物はさらに:
リゾホスホリパーゼ;
第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素、又は第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素;並びに
チオNADP、チオNAD、NADP及びNADのいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ;
のいずれか一以上を含むものであってもよい。
上記の組成物中の各成分については、本実施の形態に係る方法で説明したとおりである。
本実施の形態に係る組成物を用いれば、例えば上記の本実施の形態に係るオートタキシン活性の測定方法を実施可能である。
本実施の形態に係る組成物は、オートタキシン活性測定用の試薬キットであってもよい。本実施の形態における「試薬キット」は、複数の試薬に分けられていてもよく、一つにまとまっていてもよい。例えば、本実施の形態に係る組成物を、適宜二つ又は三つ以上の試薬に振り分けて試薬キットとしてもよい。例えば、上記の各工程(1)〜(4)に関与する成分のそれぞれを、適宜一つ又は二つ以上の試薬に分けた試薬キットとすることができる。
具体的には、例えば:ATP、グルコース、NADP、及びADP依存性グルコキナーゼを一方の試薬に、リゾホスファチジルグリセロール、IDP、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、及びグリセロールキナーゼを他方の試薬に振り分けた試薬キットとすることもできるし;リゾホスファチジルグリセロール、ATP、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びADP依存性グルコキナーゼを一方の試薬に、IDP、NADP、グルコース及びグリセロールキナーゼを他方の試薬に振り分けた試薬キットとすることもできる。
さらに、例えばチオNADP、チオNAD、NADP又はNADと、グルコースと、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素は基質としない検出用酵素、あるいは第一のヌクレオチド補酵素は基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素を含む組成物を、適宜上記二つ又は三つ以上の試薬キットに振り分けることができる。
一態様において、好ましくは、ATP、グリセロールキナーゼ及びIDPを含む組成物を適宜二つの試薬キットに分けることができる。さらにNADP、ADP依存性グルコキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを適宜二つの試薬キットに振り分けてもよい。
それぞれの成分は、それぞれ分けられた複数の試薬中に重複して含まれてもよい。
本実施の形態は、また、上記のオートタキシン活性測定用組成物を含む、オートタキシン活性測定用の臨床検体測定装置にも関する。このような装置としては、例えば、血液や脳脊髄液、胸水、腹水、尿等の体液を臨床検体として、自己血糖測定装置に代表される装置のように、上記のオートタキシン活性測定用組成物によりオートタキシン活性を検出するシステムを具備し、場合により検体採取システム及び/又は検体処理システムを備えたポイントオブケア検査(POCT)装置が挙げられる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
実施例1 血清中のオートタキシン活性の測定1
(1)グリセロールキナーゼサイクリングによる既知濃度グリセロールの測定
[反応液1]
50mM PIPES緩衝液(pH7.0)
10mM グルコース
1mM NAD
10mM 塩化マグネシウム
1u/mL ADP依存性グルコキナーゼ(旭化成ファーマ製:ADP−HKPII)
1u/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
0.5mmol/L デオキシATP
20u/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)

上記反応液1を1mL、37℃にて予備加温した。0.2mmol/Lのグリセロール溶液を0.025mL加え、さらに20mmol/Lに調製したIDP溶液を0.02mL添加して、酵素サイクリング反応を開始した。グリセロール溶液の代わりに生理食塩水を添加し、同様の操作を行ったものを試薬ブランクとした。グリセロール溶液と生理食塩水のそれぞれについて、反応開始から3分後及び5分後の還元型NAD生成に伴う340nmにおける吸光度を読み取り、2分間当たりの吸光度変化量を求めたところ、それぞれ、0.0713、0.0151であった。
(2)オートタキシン反応
10mmol/Lとなるようリゾホスファチジルグリセロール(LPG(シグマ社製)を秤量し、0.5%Triton X−100に溶解させた。正常人血清(ビジコムジャパンより購入)1容に対して、0.2mol/LのTris塩酸緩衝液0.2溶、5mmol/Lの塩化マグネシウム0.072溶、前記LPG溶液0.4溶を加え、37℃にて反応を開始した(合計1.672溶)。反応直後、30分後及び60分後に、それぞれ0.025mLずつサンプリングし、(1)で用いた反応液1に添加し、(1)と同様の操作を行い、反応開始から3分後及び5分後の吸光度を読み取り、2分間当たりの吸光度変化量を求めた。吸光度変化量は、それぞれ0.0400、0.0442及び0.0475と、血清の加温時間に従い増加した。
(3)オートタキシン活性の計算
以下に血清の加温時間30分の場合を例に、計算方法を示す。30分の吸光度変化量は(0.0442−0.0400)で求まるので、血清とLPGを含んだ液中のグリセロール濃度は、0.2(mmol/L)x(0.0442−0.400)/(0.0713−0.0151)=0.014947(mmol/L)となる。これが30分当たりのグリセロール濃度の変化量に相当するので、血清中の酵素活性に換算するためには、この変化量を時間で割り、さらに液量補正のための係数をかければよく、以下の式で算出される。血清中の酵素活性
=(14.947(μmol/L)/30(min.))x1.672
= 0.833U/L
同様に、血清を60分間加温した場合の血清中の酵素活性は、0.744U/Lと算出された。尚、1分間当たり、1μmolの基質が変化する量を1U(ユニット)とした。
実施例2 遺伝子組換えオートタキシンンの活性測定
(1)遺伝子組換えオートタキシンの取得
cDNAをORIGEN社より購入し、常法に従いヒトオートタキシン遺伝子を取得(例えば、J.Biol.Chem.283,7776-7789,2008参照)、CHO細胞(ATCC(American type culture collection)より入手)にて発現させた。
(2)活性測定(非サイクリング)
[反応液2−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム

[反応液2−2]
50mmol/L PIPES緩衝液(pH7.0)
1mmol/L ATP
0.03% 4−アミノアンチピリン
0.02% N,N−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン、2ナトリウム塩(TODB)
5U/mL ペルオキシダーゼ(西洋わさび由来、シグマ社製)
2U/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)
10U/mL グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ製:GPOSP)

遺伝子組換えオートタキシンがリゾホファチジルグリセロール(LPG)を基質として用いることができるか調べた。活性測定の原理は以下のとおりである。
オートタキシンの作用で生成するグリセロールを、GKZ及びGPOSPの作用で過酸化水素に変換し、これに色原体の存在下でペルオキシダーゼを添加し、550nmでの吸光度として定量する。
まず、20mmol/LのLPGを0.2%のTriton X−100を用いて調製した。
反応液2−1中のLPG濃度が、それぞれ0.5、1、2、5及び10mmol/Lになるように調整した。これを0.25mL試験管に分注し、37℃予備加温した後、0.1mg/mLの遺伝子組換えオートタキシンを0.025mL添加し、37℃20分間反応させた。
次いで、予め37℃に加温した反応液2−2を0.75mL加え、添加5分後の、550nmにおける吸光度を読み取った。
基質濃度と吸光度の関係を図1に示した。遺伝子組換えオートタキシンは、LPGにも作用していること、またその酵素活性は基質濃度依存的であることが示された。また、TODBの分子吸光係数を3,8000L/mol・cmとして、LPG濃度が10mmol/Lの時の0.1mg/mLの遺伝子組換えオートタキシンの活性は0.0195U/mLと計算された。従って、重量当たりの活性に換算すると、0.195U/mgとなった。
実施例3 遺伝子組換えオートタキシンの定量性
[反応液3−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
15mmol/L LPG(0.15% Triton X−100)

[反応液3−2]
実施例2における反応液2−2に同じ

遺伝子組換えオートタキシンがリゾホファチジルグリセロール(LPG)に作用することが実施例2により確認された。そこで、LPGを15mmol/Lになるように反応液3−1を調製し、遺伝子組換えオートタキシンの定量性を調べた。すなわち反応液1を0.25mL試験管に分注し37℃予備加温し、0.01、0.02、0.05、0.1及び0.2mg/mLの濃度の遺伝子組換えオートタキシンを、それぞれ0.025mL添加し、37℃20分間反応させた。次いで、予め37℃に加温した反応液3−2を0.75mL加え、添加5分後の550nmにおける吸光度を読み取った。基質濃度と吸光度の関係を図2に示した。吸光度は酵素濃度にほぼ比例して増大した。
実施例4 リゾホスホリパーゼの併用
[反応液4−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
0.25mol/L 塩化ナトリウム
10mmol/L LPG(0.1% Triton X−100)
2mmol/L デオキシATP

[反応液4−2]
100mM PIPES緩衝液(pH6.5)
10mM グルコース
1.3mM チオNAD(オリエンタル酵母工業製)
12mM 塩化マグネシウム
1.5u/mLADP依存性グルコキナーゼ(旭化成ファーマ製:ADP−HKPII)
1.5u/mLグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
5.5mmol/L IDP
27u/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)
1u/mL リゾホスホリパーゼ(旭化成ファーマ製:LYPL)

上記各反応液を調製した。0.25mLの反応液4−1に対して、血清を0.005、0.01、0.015及び0.025mL(試料添加量が0.025mLになるように生理食塩水を用いて液量を補正した)添加し、37℃にて10分間反応させた。この時、それぞれの血清量に対して、LPGを添加しないものを検体ブランクとした。次いで、反応液4−2を0.75mL添加し、400nmにおける吸光度をモニターした。反応液添加から2分後〜7分後の吸光度変化量を計算し、それぞれの検体ブランクにおける同変化量を差し引いた。
これとは別に、反応液4−2からリゾホスホリパーゼ(LYPL)を除いた試薬を調製し、同様の操作を実施した。
結果を図3に示した。LYPLを添加することにより、オートタキシン反応の生成物であるホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸が生成され、これがグリセロールキナーゼサイクリング反応の基質となるため、LYPLを添加しない場合に比べて、ほぼ2倍の感度が得られた。
実施例5 血清中のオートタキシン活性の測定2
従来法としてLPCを基質に用い、遊離されたコリンを測定する方法と本発明法を、5種類のヒト血清(ビジコムジャパンより購入)を用いて比較した。
(従来法)
[比較例反応液1]
100mM Tris−HCl(pH9.0)
500mM NaCl
5mM 塩化マグネシウム
5mM 塩化カルシウム
2mM リゾホスファチジルコリン(卵黄レシチン由来:シグマ社製)
0.05% Triton X−100

[比較例反応液2]
50mmol/L PIPES緩衝液(pH7.0)
0.03% 4−アミノアンチピリン
0.02% N−エチル−N(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、ナトリウム塩(TOOS)
5U/mL ペルオキシダーゼ(西洋わさび由来、シグマ社製)
10U/mL コリン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ製:COD)

0.1mLの上記比較例反応液1に各々の血清を0.02mL分注し、37℃3時間酵素反応を行った。その後、比較例反応液2を2mL加え、37℃で5分間加温後、555nmの吸光度を測定した。各々の検体について、37℃3時間の酵素反応を行なわないものを検体ブランクとし、この吸光度を差し引いた。
(本発明法)
[反応液5−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
0.25mol/L 塩化ナトリウム
10mmol/L LPG(0.1% Triton X−100)

[反応液5−2]
100mM PIPES緩衝液(pH6.5)
10mM グルコース
1mM NADP(オリエンタル酵母工業製)
12mM 塩化マグネシウム
1.5u/mL ADP依存性グルコキナーゼ(旭化成ファーマ製:ADP−HKPII)
1.5u/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
4mmol/L IDP
100u/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)

[反応液5−3]
10mM デオキシATP

反応液5−1を0.1mLに対し血清0.02mL加え、37℃15分加温した。また、加温しないものを検体ブランクとした。その後反応液5−2を1mL加え、さらに反応液5−3を0.05mL加えて酵素サイクリング反応を開始した。反応液5−3添加後、3分後〜5分後の340nmにおける吸光度変化量を測定し、各々の検体ブランクの測定値を差し引いた。両方法の測定結果を図4に示した。従来法との相関は良好であり、また従来法の3時間に比べて本法のオートタキシン反応は15分と、より短時間でオートタキシンを測定できることが示された。
本発明によれば、LPCや遊離コリン等の内在性オートタキシン基質又はその生成物の影響を受けず、採血後に増加するLPC等のオートタキシン基質の影響も受けず、安価且つ簡便に、オートタキシンの活性を測定する方法及び測定用組成物を提供することができるという産業上の利用可能性を有する。本発明は、特に、医薬、医療、疾病診断、検体検査、試薬等の分野において有用である。

Claims (22)

  1. 試料中のオートタキシンの活性測定方法であって:
    (1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程;
    (2)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、第一のヌクレオチド補酵素と、前記第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる第二のヌクレオチド補酵素と、を
    工程(1)で得られた処理物と、接触せしめ、下記式(I):
    のサイクリング反応を実施せしめる工程;
    (3)工程(2)における、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量を検出する工程;及び
    (4)工程(3)で検出された変化量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
    を含む測定方法。
  2. 工程(2)と同時に又は工程(2)に先立って、さらに以下の工程:
    (1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
    を行う方法であって、工程(2)が、グリセロールキナーゼと工程(1)及び(1a)で得られた処理物とを接触せしめる工程である、請求項1に記載の測定方法。
  3. 工程(3)が、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量を検出する工程である、請求項1及び2のいずれかに記載の測定方法。
  4. 第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
  5. 第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載の測定方法。
  6. 第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン2リン酸(IDP)である、請求項1〜5のいずれかに記載の測定方法。
  7. 工程(3)が:第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素;又は第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素;を用いて、正反応による第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物の増加量又は逆反応による第二のヌクレオチド補酵素の増加量を検出する工程である、請求項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
  8. 第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物が、アデノシン2リン酸(ADP)であり、
    工程(3)がADP依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、グルコースの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、請求項1〜7のいずれかに記載の測定方法。
  9. 工程(3)が、さらに、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、請求項8に記載の測定方法。
  10. 試料中のオートタキシンの測定方法であって:
    (1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
    (2)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてATPを利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、ATPと、IDPと、を、工程(1)及び(1a)で得られた処理物と接触せしめ、下記式(II)
    のサイクリング反応を実施せしめる工程;
    (3)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、工程(2)におけるADPの増加量を検出する工程;及び
    (4)工程(3)で検出されたADPの増加量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
    を含む測定方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の測定方法を含む、臨床検体検査方法。
  12. 試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
    (a)リゾホスファチジルグリセロールと、
    (b)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、
    (c)第一のヌクレオチド補酵素と、
    (d)第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる、第二のヌクレオチド補酵素と、
    を含む、組成物。
  13. (a1)リゾホスホリパーゼをさらに含む、請求項12に記載の組成物。
  14. 第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項12又は13に記載の組成物。
  15. 第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項12〜14のいずれかに記載の組成物。
  16. 第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン2リン酸(IDP)である、請求項12〜15のいずれかに記載の組成物。
  17. 第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素、又は
    第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素、
    をさらに含む、請求項12〜16のいずれかに記載の組成物。
  18. 検出用酵素がアデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)であり、グルコースをさらに含む、請求項17に記載の組成物。
  19. チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
    グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
    をさらに含む、請求項12〜18のいずれかに記載の組成物。
  20. 試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
    (a)リゾホスファチジルグリセロールと、
    (a1)リゾホスホリパーゼと、
    (b)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてアデノシン3リン酸(ATP)を利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、
    (c)ATPと、
    (d)IDPと、
    (e)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)と、
    (f)グルコースと、
    (g)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
    (h)グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
    を含む、組成物。
  21. 請求項12〜20のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用試薬キット。
  22. 請求項12〜20のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用の臨床検体測定装置。
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