JP6522466B2 - オートタキシンの活性測定方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、LPCから遊離されたコリンを酵素的に検出する方法は、内在性のLPCや遊離コリンの影響を受ける可能性がある。また、血中のオートタキシンは安定であるが、一方で、採血後の血清中では、内在性LPCがその加温時間に応じて増加することが報告されている(非特許文献3)。このため生体試料を用いた場合、オートタキシンの活性の測定値が採血後の保存状態により影響を受ける問題もある。
試料中のオートタキシンの活性測定方法であって、(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、
を含む測定方法。
[1]
試料中のオートタキシンの活性測定方法であって:、
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程;、
(2)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、少なくともそれぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、第一のヌクレオチド補酵素と、前記第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる第二のヌクレオチド補酵素と、を
上記工程(1)で得られた処理物をした試料と、接触せしめさせ、下記式(I):のサイクリング反応をせしめる工程と、
(3)工程(2)における、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出された変化量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法。
[1−1]
工程(2)と同時に又は工程(2)に先立って、さらに以下の工程:
(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
を行う方法であって、工程(2)が、グリセロールキナーゼと工程(1)及び(1a)で得られた処理物とを接触せしめる工程である、[1]に記載の測定方法。
[1−1−2]
上記工程(2)が、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量に対応するシグナルの変化量を検出する工程である、[1]又は[1−1]に記載の測定方法。
[1−2]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン、及びデオキシイノシンのいずれかである、[1]〜[1−1−2]のいずれかに記載の測定方法。
[1−3]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかである、[1]〜[1−2]のいずれかに記載の測定方法。
[1−4]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン、及びデオキシイノシンのいずれかである、[1]〜[1−3]のいずれかに記載の測定方法。
[1−5]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかである、[1]〜[1−4]のいずれかに記載の測定方法。
[1−6]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシグアノシンのいずれかである、[1]〜[1−5]のいずれかに記載の測定方法。
[1−7]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオチド部分と前記第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド補部分の組み合わせが、アデノシンとイノシン、グアノシンとアデノシン、デオキシアデノシンとグアノシン、デオキシアデノシンとデオキシグアノシン、デオキシアデノシンとイノシン、及びイノシンとアデノシンのいずれかである、[1]〜[1−6]のいずれかに記載の測定方法。
[1−8]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がアデノシンであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、イノシンである、[1]〜[1−7]のいずれかに記載の測定方法。
[1−9]
第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン2リン酸(IDP)である、[1]〜[1−8]のいずれかに記載の測定方法。
[1−10]
工程(3)が:第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素;又は第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素;を用いて、正反応による第一のヌクレオチド補酵素の変化物の増加量又は逆反応による第二のヌクレオチド補酵素の増加量を検出する工程である、[1]〜[1−9]のいずれかに記載の測定方法。
[1−11]
第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物が、アデノシン2リン酸(ADP)であり、
工程(3)がADP依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、グルコースの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、[1]〜[1−10]のいずれかに記載の測定方法。
[1−12]
工程(3)が、アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、[1−11]に記載の測定方法。
[1−13]
試料中のオートタキシンの測定方法であって:
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてATPを利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、ATPと、IDPと、を、工程(1)及び(1a)で得られた処理物と接触せしめ、下記式(II)
のサイクリング反応を実施せしめる工程;
(3)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、工程(2)におけるADPの増加量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出されたADPの増加量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法。
[1−14]
[1]〜[1−13]のいずれかに記載の測定方法を含む、臨床検体検査方法。
試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(b)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)第一のヌクレオチド補酵素と、
(d)第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる、第二のヌクレオチド補酵素と、
を含む、組成物。
[2−1]
(a1)リゾホスホリパーゼをさらに含む、[2]に記載の組成物。
[2−2]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、[2]及び[2−1]のいずれかに記載の組成物。
[2−3]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかである、[2]〜[2−2]のいずれかに記載の組成物。
[2−4]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、[2]〜[2−3]のいずれかに記載の組成物。
[2−5]
第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシグアノシンのいずれかである[2]〜[2−4]のいずれかに記載の組成物。
[2−6]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシアデノシンのいずれかであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、イノシン、グアノシン、及びデオキシグアノシンのいずれかである、[2]〜[2−5]のいずれかに記載の組成物。
[2−7]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分と前記第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド補部分の組み合わせが、アデノシンとイノシン、グアノシンとアデノシン、デオキシアデノシンとグアノシン、デオキシアデノシンとデオキシグアノシン、デオキシアデノシンとイノシン、及びイノシンとアデノシンのいずれかである、[2]〜[2−6]のいずれかに記載の組成物。
[2−8]
第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がアデノシンであり、第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分がイノシンである、[2]〜[2−7]のいずれかに記載の組成物。
[2−9]
第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン酸2リン酸(IDP)である、[2]〜[2−8]のいずれかに記載の組成物。
[2−10]
第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素、又は
第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素、
をさらに含む、[2]〜[2−9]のいずれかに記載の組成物。
[2−11]
検出用酵素がアデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 1.7.1.147)であり、グルコースをさらに含む、[2−10]に記載の組成物。
[2−12]
グルコースをさらに含む[2]から[2−10]のいずれかに記載の組成物。
[2−13]
チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
をさらに含む、[2]〜[2−12]のいずれかに記載の組成物。
[2−14]
試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(a1)リゾホスホリパーゼと、
(b)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてアデノシン3リン酸(ATP)を利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)ATPと、
(d)IDPと、
(e)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 1.7.1.147)と、
(f)グルコースと、
(g)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
(h)グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
を含む、組成物。
[3]
上記[2]〜[2−14]のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用試薬キット。
[4]
上記[2]〜[2−14]のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用の臨床検体測定装置。
(2)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、第一のヌクレオチド補酵素と、前記第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる第二のヌクレオチド補酵素と、を
工程(1)で得られた処理物と、接触せしめ、下記式(I):
(3)工程(2)における、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出された変化量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法である。
反応時のpHは適宜反応が効率的に進行する条件を選べばよいが、通常はpH7.0以上pH10.0以下の中性から弱アルカリ性付近に調整し、既報の活性測定法と同様塩化マグネシウムや塩化カルシウム等の金属塩を0.5mmol/L以上20mmol/L以下適宜添加する。同様に、塩化ナトリウム等の塩も1mol/L以下添加することもできる。
反応液は予め25℃以上42℃以下、より好ましくは37℃付近に加温し、オートタキシン反応を実施する。尚、後述するようにオートタキシン反応と工程(2)の酵素サイクリング反応を同時に実施することもできる。
(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
を含む場合があり、この場合、工程(2)は、グリセロールキナーゼと工程(1)及び(1a)で得られた処理物とを接触せしめる工程である。この工程(1a)は、工程(2)と同時に又は工程(2)に先立って、行うことができる。
工程(1a)は、工程(2)に先立って行うこともでき、工程(2)と同時に行うこともできる。例えば、工程(1)のオートタキシン反応を停止させたのちに、グリセロールキナーゼとリゾホスホリパーゼを工程(1)で得られた処理物に添加し、工程(2)の実施と並行して工程(1a)を行うこともできる。
また、それらのリン酸化物である第一のヌクレオチド補酵素は、1リン酸化物でもよいし、2リン酸化物でもよいし、3リン酸化物でもよいが、一態様において、グリセロールキナーゼにより脱リン酸化されるという観点から3リン酸化物が好ましい。第一のヌクレオチド補酵素の具体例としては、前述の具体例に加え、さらに好ましくはATP、GTP、TTP、UTP、CTP、XTP、ITP、dATP、dGTP、dTTP、dUTP、dCTP、dXTP及びdITP等が挙げられる。
また、それらのリン酸化物である第二のヌクレオチド補酵素は、1リン酸化物でもよいし、2リン酸化物でもよい、一態様において、グリセロールキナーゼによりリン酸化されるという観点から2リン酸化物が好ましい。第二のヌクレオチド補酵素の具体例としては、前述の具体例に加え、さらに好ましくはADP、GDP、TDP、UDP、CDP、XDP、IDP、dADP、dGDP、dTDP、dUDP、dCDP、dXDP及びdIDPが挙げられる。
本実施の一形態において、好ましくは、第一のヌクレオシチ補酵素がATPであり、第二のヌクレオチド補酵素がIDPである。
反応時のpHは、適宜反応が効率的に進行する条件を選べばよいが、通常はpH5.0以上pH9.0以下の中性付近に調整し、グリセロールキナーゼの活性化剤である塩化マグネシウム等の金属塩を例えば0.5mmol/L以上20mmol/L以下添加する。そして、上記反応液を予め25℃以上42℃以下、より好ましくは37℃付近に加温し、工程(1)及び場合により工程(1a)により生成した、ヌクレオシド3リン酸及びヌクレオシド2リン酸に比べて微量(例えば、ヌクレオシド3リン酸及びヌクレオシド2リン酸のどちらか少ない方のヌクレオチド補酵素の1/10以下のモル量)のグリセロール(工程(1)の生成物)及び場合によりグリセロール−3−リン酸(工程(1a)の生成物)の存在下で反応を開始すればよい。
例えば、Candida mycoderma由来グリセロールキナーゼの、グリセロールに対するKm値は0.015mmol/L、グリセロール−3−リン酸に対するKm値は0.08mmol/Lと報告されている(J Biol Chem 249, 2562-2566, 1974)ので、上記の酵素添加量の目安に従えば、この酵素を好ましくは0.08U/mL以上添加することが好ましいが、これに限定されない。
工程(2)は、1種類のグリセロールキナーゼにより実施が可能であるが、起源の異なる2種以上のグリセロールキナーゼを用いて実施することもできる。
工程(3)においては、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量の検出は、各検出対象を測定可能な方法を用いて適宜行うことができ、例えば、各検出対象の変化量に対応するシグナルの変化量を測定することによって検出することができる。
検出する変化量は、第一のヌクレオチド補酵素又は第二のヌクレオチド補酵素の減少量でも、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量でもよく、検出の簡便性の観点から、好ましくは第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量である。
各検出対象の変化量またはこれに対応するシグナルの変化量を検出する方法としては、公知のHPLC法等を用いることができる。HPLC法を用いる場合はキレート剤等を添加して酵素反応を終了させてから、逆相カラム等適宜選択し、反応前後の検出対象を定量すればよい。HPLC分析法についての情報は、樹脂メーカーから容易に入手できる。
一例として、還元型NAD(P)に基づく吸光度変化量の測定は、例えばニトロテトラゾリウムブルー(Nitro−NB)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,ナトリウム塩(WST−1)、及び2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,ナトリウム塩(WST−3)等の水素受容体の存在下:電子キャリヤーである1−メトキシPMSを用いて;或いは、酵素ジアホラーゼを用いてホルマザン色素を形成して;可視部吸光度の測定によっても定量することができる。これらの化合物は市販されており、容易に入手することができる。また、蛍光試薬や発光試薬と組み合わせて検出することもできる。
工程(4)において、工程(3)で検出された変化量に基づき試料中のオートタキシンの活性を算出する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、工程(2)における酵素サイクリング反応において、正反応により生成する第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物及び逆反応により生成する第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物は、時間に比例して増加する。よって、試料中の被検物質の量を算出するには、工程(2)における酵素サイクリング反応の反応時間を規定し(例えば反応開始から5分後〜7分後等)、濃度や活性が既知の基準となる物質(キャリブレーター)を対照において、キャリブレーターの変化に対応するシグナルの変化量を測定することによって、試料中の被検物質の量を計算することができる。
酵素活性(単位時間当たりのグリセロール生成量)= 2p/(kc・t2)
(式中、t=反応時間、p=反応開始から時間tまでの生成物濃度(吸光度変化量より計算))
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてATPを利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、ATPと、IDPと、を、工程(1)及び(1a)で得られた処理物と接触せしめ、下記式(II)
(3)ADP依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオNADP、チオNAD、NADP、及びNADのいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、工程(2)におけるADPの増加量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出されたADPの増加量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む。各工程については、上述したとおりに行うことができる。
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(b)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)第一のヌクレオチド補酵素と、
(d)第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる、第二のヌクレオチド補酵素と、
を含む、組成物である。
リゾホスホリパーゼ;
第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素、又は第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素;並びに
チオNADP、チオNAD、NADP及びNADのいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ;
のいずれか一以上を含むものであってもよい。
具体的には、例えば:ATP、グルコース、NADP、及びADP依存性グルコキナーゼを一方の試薬に、リゾホスファチジルグリセロール、IDP、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、及びグリセロールキナーゼを他方の試薬に振り分けた試薬キットとすることもできるし;リゾホスファチジルグリセロール、ATP、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びADP依存性グルコキナーゼを一方の試薬に、IDP、NADP、グルコース及びグリセロールキナーゼを他方の試薬に振り分けた試薬キットとすることもできる。
さらに、例えばチオNADP、チオNAD、NADP又はNADと、グルコースと、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素は基質としない検出用酵素、あるいは第一のヌクレオチド補酵素は基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素を含む組成物を、適宜上記二つ又は三つ以上の試薬キットに振り分けることができる。
一態様において、好ましくは、ATP、グリセロールキナーゼ及びIDPを含む組成物を適宜二つの試薬キットに分けることができる。さらにNADP、ADP依存性グルコキナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを適宜二つの試薬キットに振り分けてもよい。
それぞれの成分は、それぞれ分けられた複数の試薬中に重複して含まれてもよい。
[反応液1]
50mM PIPES緩衝液(pH7.0)
10mM グルコース
1mM NAD
10mM 塩化マグネシウム
1u/mL ADP依存性グルコキナーゼ(旭化成ファーマ製:ADP−HKPII)
1u/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
0.5mmol/L デオキシATP
20u/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)
上記反応液1を1mL、37℃にて予備加温した。0.2mmol/Lのグリセロール溶液を0.025mL加え、さらに20mmol/Lに調製したIDP溶液を0.02mL添加して、酵素サイクリング反応を開始した。グリセロール溶液の代わりに生理食塩水を添加し、同様の操作を行ったものを試薬ブランクとした。グリセロール溶液と生理食塩水のそれぞれについて、反応開始から3分後及び5分後の還元型NAD生成に伴う340nmにおける吸光度を読み取り、2分間当たりの吸光度変化量を求めたところ、それぞれ、0.0713、0.0151であった。
10mmol/Lとなるようリゾホスファチジルグリセロール(LPG(シグマ社製)を秤量し、0.5%Triton X−100に溶解させた。正常人血清(ビジコムジャパンより購入)1容に対して、0.2mol/LのTris塩酸緩衝液0.2溶、5mmol/Lの塩化マグネシウム0.072溶、前記LPG溶液0.4溶を加え、37℃にて反応を開始した(合計1.672溶)。反応直後、30分後及び60分後に、それぞれ0.025mLずつサンプリングし、(1)で用いた反応液1に添加し、(1)と同様の操作を行い、反応開始から3分後及び5分後の吸光度を読み取り、2分間当たりの吸光度変化量を求めた。吸光度変化量は、それぞれ0.0400、0.0442及び0.0475と、血清の加温時間に従い増加した。
以下に血清の加温時間30分の場合を例に、計算方法を示す。30分の吸光度変化量は(0.0442−0.0400)で求まるので、血清とLPGを含んだ液中のグリセロール濃度は、0.2(mmol/L)x(0.0442−0.400)/(0.0713−0.0151)=0.014947(mmol/L)となる。これが30分当たりのグリセロール濃度の変化量に相当するので、血清中の酵素活性に換算するためには、この変化量を時間で割り、さらに液量補正のための係数をかければよく、以下の式で算出される。血清中の酵素活性
=(14.947(μmol/L)/30(min.))x1.672
= 0.833U/L
同様に、血清を60分間加温した場合の血清中の酵素活性は、0.744U/Lと算出された。尚、1分間当たり、1μmolの基質が変化する量を1U(ユニット)とした。
cDNAをORIGEN社より購入し、常法に従いヒトオートタキシン遺伝子を取得(例えば、J.Biol.Chem.283,7776-7789,2008参照)、CHO細胞(ATCC(American type culture collection)より入手)にて発現させた。
[反応液2−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
[反応液2−2]
50mmol/L PIPES緩衝液(pH7.0)
1mmol/L ATP
0.03% 4−アミノアンチピリン
0.02% N,N−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン、2ナトリウム塩(TODB)
5U/mL ペルオキシダーゼ(西洋わさび由来、シグマ社製)
2U/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)
10U/mL グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ製:GPOSP)
遺伝子組換えオートタキシンがリゾホファチジルグリセロール(LPG)を基質として用いることができるか調べた。活性測定の原理は以下のとおりである。
オートタキシンの作用で生成するグリセロールを、GKZ及びGPOSPの作用で過酸化水素に変換し、これに色原体の存在下でペルオキシダーゼを添加し、550nmでの吸光度として定量する。
まず、20mmol/LのLPGを0.2%のTriton X−100を用いて調製した。
反応液2−1中のLPG濃度が、それぞれ0.5、1、2、5及び10mmol/Lになるように調整した。これを0.25mL試験管に分注し、37℃予備加温した後、0.1mg/mLの遺伝子組換えオートタキシンを0.025mL添加し、37℃20分間反応させた。
次いで、予め37℃に加温した反応液2−2を0.75mL加え、添加5分後の、550nmにおける吸光度を読み取った。
基質濃度と吸光度の関係を図1に示した。遺伝子組換えオートタキシンは、LPGにも作用していること、またその酵素活性は基質濃度依存的であることが示された。また、TODBの分子吸光係数を3,8000L/mol・cmとして、LPG濃度が10mmol/Lの時の0.1mg/mLの遺伝子組換えオートタキシンの活性は0.0195U/mLと計算された。従って、重量当たりの活性に換算すると、0.195U/mgとなった。
[反応液3−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
15mmol/L LPG(0.15% Triton X−100)
[反応液3−2]
実施例2における反応液2−2に同じ
遺伝子組換えオートタキシンがリゾホファチジルグリセロール(LPG)に作用することが実施例2により確認された。そこで、LPGを15mmol/Lになるように反応液3−1を調製し、遺伝子組換えオートタキシンの定量性を調べた。すなわち反応液1を0.25mL試験管に分注し37℃予備加温し、0.01、0.02、0.05、0.1及び0.2mg/mLの濃度の遺伝子組換えオートタキシンを、それぞれ0.025mL添加し、37℃20分間反応させた。次いで、予め37℃に加温した反応液3−2を0.75mL加え、添加5分後の550nmにおける吸光度を読み取った。基質濃度と吸光度の関係を図2に示した。吸光度は酵素濃度にほぼ比例して増大した。
[反応液4−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
0.25mol/L 塩化ナトリウム
10mmol/L LPG(0.1% Triton X−100)
2mmol/L デオキシATP
[反応液4−2]
100mM PIPES緩衝液(pH6.5)
10mM グルコース
1.3mM チオNAD(オリエンタル酵母工業製)
12mM 塩化マグネシウム
1.5u/mLADP依存性グルコキナーゼ(旭化成ファーマ製:ADP−HKPII)
1.5u/mLグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
5.5mmol/L IDP
27u/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)
1u/mL リゾホスホリパーゼ(旭化成ファーマ製:LYPL)
上記各反応液を調製した。0.25mLの反応液4−1に対して、血清を0.005、0.01、0.015及び0.025mL(試料添加量が0.025mLになるように生理食塩水を用いて液量を補正した)添加し、37℃にて10分間反応させた。この時、それぞれの血清量に対して、LPGを添加しないものを検体ブランクとした。次いで、反応液4−2を0.75mL添加し、400nmにおける吸光度をモニターした。反応液添加から2分後〜7分後の吸光度変化量を計算し、それぞれの検体ブランクにおける同変化量を差し引いた。
これとは別に、反応液4−2からリゾホスホリパーゼ(LYPL)を除いた試薬を調製し、同様の操作を実施した。
結果を図3に示した。LYPLを添加することにより、オートタキシン反応の生成物であるホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸が生成され、これがグリセロールキナーゼサイクリング反応の基質となるため、LYPLを添加しない場合に比べて、ほぼ2倍の感度が得られた。
従来法としてLPCを基質に用い、遊離されたコリンを測定する方法と本発明法を、5種類のヒト血清(ビジコムジャパンより購入)を用いて比較した。
[比較例反応液1]
100mM Tris−HCl(pH9.0)
500mM NaCl
5mM 塩化マグネシウム
5mM 塩化カルシウム
2mM リゾホスファチジルコリン(卵黄レシチン由来:シグマ社製)
0.05% Triton X−100
[比較例反応液2]
50mmol/L PIPES緩衝液(pH7.0)
0.03% 4−アミノアンチピリン
0.02% N−エチル−N(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、ナトリウム塩(TOOS)
5U/mL ペルオキシダーゼ(西洋わさび由来、シグマ社製)
10U/mL コリン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ製:COD)
0.1mLの上記比較例反応液1に各々の血清を0.02mL分注し、37℃3時間酵素反応を行った。その後、比較例反応液2を2mL加え、37℃で5分間加温後、555nmの吸光度を測定した。各々の検体について、37℃3時間の酵素反応を行なわないものを検体ブランクとし、この吸光度を差し引いた。
[反応液5−1]
100mmol/L Tris−HCl(pH8.0)
5mmol/L 塩化マグネシウム
0.25mol/L 塩化ナトリウム
10mmol/L LPG(0.1% Triton X−100)
[反応液5−2]
100mM PIPES緩衝液(pH6.5)
10mM グルコース
1mM NADP(オリエンタル酵母工業製)
12mM 塩化マグネシウム
1.5u/mL ADP依存性グルコキナーゼ(旭化成ファーマ製:ADP−HKPII)
1.5u/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
4mmol/L IDP
100u/mL グリセロールキナーゼ(旭化成ファーマ製:GKZ)
[反応液5−3]
10mM デオキシATP
反応液5−1を0.1mLに対し血清0.02mL加え、37℃15分加温した。また、加温しないものを検体ブランクとした。その後反応液5−2を1mL加え、さらに反応液5−3を0.05mL加えて酵素サイクリング反応を開始した。反応液5−3添加後、3分後〜5分後の340nmにおける吸光度変化量を測定し、各々の検体ブランクの測定値を差し引いた。両方法の測定結果を図4に示した。従来法との相関は良好であり、また従来法の3時間に比べて本法のオートタキシン反応は15分と、より短時間でオートタキシンを測定できることが示された。
Claims (22)
- 試料中のオートタキシンの活性測定方法であって:
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、第一のヌクレオチド補酵素と、前記第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる第二のヌクレオチド補酵素と、を
工程(1)で得られた処理物と、接触せしめ、下記式(I):
(3)工程(2)における、第一のヌクレオチド補酵素、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、前記第二のヌクレオチド補酵素、及び第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物のいずれか1以上の変化量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出された変化量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法。 - 工程(2)と同時に又は工程(2)に先立って、さらに以下の工程:
(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
を行う方法であって、工程(2)が、グリセロールキナーゼと工程(1)及び(1a)で得られた処理物とを接触せしめる工程である、請求項1に記載の測定方法。 - 工程(3)が、第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物、又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物の増加量を検出する工程である、請求項1及び2のいずれかに記載の測定方法。
- 第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
- 第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載の測定方法。
- 第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン2リン酸(IDP)である、請求項1〜5のいずれかに記載の測定方法。
- 工程(3)が:第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素;又は第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素;を用いて、正反応による第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物の増加量又は逆反応による第二のヌクレオチド補酵素の増加量を検出する工程である、請求項1〜6のいずれかに記載の測定方法。
- 第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物又は第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物が、アデノシン2リン酸(ADP)であり、
工程(3)がADP依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、グルコースの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、請求項1〜7のいずれかに記載の測定方法。 - 工程(3)が、さらに、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、ADPの増加量に対応して変化するシグナルの変化量を検出する工程である、請求項8に記載の測定方法。
- 試料中のオートタキシンの測定方法であって:
(1)試料とリゾホスファチジルグリセロールを接触せしめ、リゾホスファチジルグリセロールからグリセロールとリゾホスファチジン酸を生成せしめる処理をする工程、(1a)リゾホスホリパーゼと工程(1)で得られた処理物とを接触せしめ、リゾホスファチジン酸からグリセロール−3−リン酸を生成せしめる処理をする工程;
(2)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてATPを利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、ATPと、IDPと、を、工程(1)及び(1a)で得られた処理物と接触せしめ、下記式(II)
(3)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)を用いて、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかの補酵素と、グルコースと、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼの存在下、工程(2)におけるADPの増加量を検出する工程;及び
(4)工程(3)で検出されたADPの増加量に基づき、試料のオートタキシン活性を算出する工程;
を含む測定方法。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の測定方法を含む、臨床検体検査方法。
- 試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(b)グリセロールキナーゼであって、ヌクレオチド補酵素の存在下、グリセロールからそのリン酸化物を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、前記正反応と前記逆反応において、それぞれ異なるヌクレオシド部分を有するヌクレオチド補酵素を利用するグリセロールキナーゼと、
(c)第一のヌクレオチド補酵素と、
(d)第一のヌクレオチド補酵素とはヌクレオシド部分が異なる、第二のヌクレオチド補酵素と、
を含む、組成物。 - (a1)リゾホスホリパーゼをさらに含む、請求項12に記載の組成物。
- 第一のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項12又は13に記載の組成物。
- 第二のヌクレオチド補酵素のヌクレオシド部分が、アデノシン、グアノシン、チミジン、ウリジン、シチジン、キサントシン、イノシン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、デオキシキサントシン及びデオキシイノシンのいずれかである、請求項12〜14のいずれかに記載の組成物。
- 第一のヌクレオチド補酵素がアデノシン3リン酸(ATP)であり、第二のヌクレオチド補酵素がイノシン2リン酸(IDP)である、請求項12〜15のいずれかに記載の組成物。
- 第一のヌクレオチド補酵素の脱リン酸化物を基質とするが、第二のヌクレオチド補酵素を基質としない検出用酵素、又は
第一のヌクレオシド補酵素を基質としないが、第二のヌクレオチド補酵素のリン酸化物を基質とする検出用酵素、
をさらに含む、請求項12〜16のいずれかに記載の組成物。 - 検出用酵素がアデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)であり、グルコースをさらに含む、請求項17に記載の組成物。
- チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
をさらに含む、請求項12〜18のいずれかに記載の組成物。 - 試料中のオートタキシン活性測定用組成物であって、
(a)リゾホスファチジルグリセロールと、
(a1)リゾホスホリパーゼと、
(b)グリセロールキナーゼであって、アデノシン3リン酸(ATP)の存在下、グリセロールからグリセロール−3−リン酸を生成する正反応、及びその逆反応を触媒し、正反応においてアデノシン3リン酸(ATP)を利用し、逆反応においてイノシン2リン酸(IDP)を利用する、グリセロールキナーゼと、
(c)ATPと、
(d)IDPと、
(e)アデノシン2リン酸(ADP)依存性グルコキナーゼ(EC 2.7.1.147)と、
(f)グルコースと、
(g)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のいずれかと、
(h)グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと、
を含む、組成物。 - 請求項12〜20のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用試薬キット。
- 請求項12〜20のいずれかに記載の組成物を含む、オートタキシン活性測定用の臨床検体測定装置。
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