JP6582369B2 - コレステロールエステラーゼの安定化方法およびその試薬 - Google Patents
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Description
[項1] コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩を共存させることを特徴とする、コレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法。
[項2] 前記胆汁酸またはその塩が、抱合胆汁酸またはその塩である、項1記載のコレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法。
[項3] 前記抱合胆汁酸またはその塩が、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリココール酸、およびグリコケノデオキシコール酸並びにその塩からなる群より選択された少なくとも1種の物質である、項2記載のコレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法。
[項4] コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩が共存していることを特徴とする、コレステロールエステラーゼ含有組成物。
[項5] 前記胆汁酸またはその塩が、抱合胆汁酸またはその塩である、項4記載のコレステロールエステラーゼ含有組成物。
[項6] 前記抱合胆汁酸またはその塩が、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリココール酸、およびグリコケノデオキシコール酸並びにその塩からなる群より選択された少なくとも1種の物質である、項5記載のコレステロールエステラーゼ含有組成物。
[項7] 項4−6のいずれかの組成物を含むコレステロール測定試薬。
[項8] 項4−6のいずれかの組成物、または、項7のコレステロール測定試薬を用いて、コレステロールを測定する方法。
また、コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩が共存していることを特徴とする、コレステロールエステラーゼ含有組成物も本発明の実施形態の一つである。
その構成としては、例えば複数の溶液組成物の組合せで構成されるもの、複数の固形物(粉末、凍結乾燥品など)の組合せで構成されるもの、複数の溶液組成物と複数の固形物との組合せで構成されるものなどが挙げられる。そのような試薬として、一般に液状試薬と呼ばれる、汎用の自動分析機に適用できるように2種類の溶液組成物で構成された試薬が例示される。
コレステロールエステラーゼは、前記複数の組成物のいずれの1つに含まれていても良く、2以上の組成物に含まれていても良い。
したがって、例えば、前記コレステロール測定試薬の場合、前記液状試薬であれば製造時にコレステロールエステラーゼと胆汁酸等とを溶解させ共存させておけばよい。また、前記固形物の試薬を含む複数の組成物を組合せであれば、試薬を使用するために前記固形物の試薬を水または予め調製された溶液組成物に溶解した時点で、その溶液にコレステロールエステラーゼと胆汁酸等とが共存するよう構成されていれば良い。
これらのうち、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリココール酸、およびグリコケノデオキシコール酸は抱合胆汁酸である。
(測定試薬)
下記のCOD−POD溶液1.0mL、DMA−MBTH溶液1.0mL、酵素(コレステロールエステラーゼ)溶液0.1mLを混合して反応試液とする。
<COD−POD溶液>
1.44% リン酸水素二ナトリウム十二水和物
3.10% ホウ酸
15U/mL コレステロールオキシダーゼ(COD)
25U/mL ペルオキシダーゼ(POD)
0.029% コール酸ナトリウム
<DMA−MBTH溶液>
0.50M 酢酸緩衝液(pH4.7)
0.040% EDTA・2Na
0.070% ジメチルアニリン(DMA)
0.015% 3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)
<基質溶液>
0.04% コレステロールリノレート
1.00% トリトンX−100
(測定条件)
(1)反応液2.1mLを37℃で約5分間予備加温する。
(2)基質溶液1.0mLを加え、反応を開始する。
(3)正確に3 7℃で10分間反応させた後、1.0N HCl 1.0mLを加えて反応を停止させる。この液につき590nmにおける吸光度を測定する(ODTEST)。
(4)盲検は、酵素溶液の代わりに酵素希釈液0.1mLを添加した反応液2.1mLを、以下上記同様に操作して吸光度を測定する(ODBLANK)。
(5)これらの値から以下の式に従ってCOE活性を求める。
・コレステロールエステラーゼの活性(U/ml)=ΔODmin(ΔODTEST−ΔODBLANK)×4.1×希釈倍率/{39.0×10(分)×0.1(mL)}
80.0mM グッド緩衝液(ADA)(pH 6.50)
1.00U/mL コレステロールエステラーゼ(東洋紡製COE−301)
3.00U/mL コレステロールオキシダーゼ(東洋紡製COO−321)
2.00U/mL ペルオキシダーゼ(東洋紡製PEO−302)
0.200g/L N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン(同仁化学社製)(同仁化学社製)
35℃で1週間保存後、比較例1では、コレステロールエステラーゼの活性低下のため、コレステロール高値検体の測定に支障をきたす可能性がある。これに対し、組成1〜5では、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
日立7180型自動分析装置を用いた。試料1.6μLに第一試薬150mLを添加し、37℃にて5分間インキュベーションし第一反応とした。その後、コレステロールエステラーゼ、ペルオキシダーゼ、および4−アミノアンチピリンを主要成分とする第二試薬を50μL添加し、5分間インキュベーションし第二反応とした。第一反応および第二反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差をとる2ポイントエンド法で600nm主波長および800nm副波長で吸光度を測定した。HDL−C濃度未知試料のHDL−C濃度の算出は、精製水および83mg/dL HDL−C標準血清の測定吸光度より算出して求めた。
(試薬の調製)下記組成からなるコレステロール測定試薬の第二試薬を調製した。
第二試薬
100.0mM グッド緩衝液(MOPS)(pH 7.50)
7.00U/mL コレステロールエステラーゼ(東洋紡製LPL−314)
8.00U/mL ペルオキシダーゼ(東洋紡製PEO−302)
0.200g/L 4−アミノアンチピリン
9.000g/L エマルゲンA90(花王社製)
35℃で1週間保存後、タウロデオキシコール酸ナトリウムの添加濃度0.10%以上、deoxy BIGCHAPの添加濃度0.16%以上を除き、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
ただし、界面活性剤(各種胆汁酸またはdeoxy BIGCHAP)の添加がない組成では、35℃で1週間保存後のコレステロールエステラーゼの残存活性は92%維持されていたが、この組成をコレステロール測定試薬に適用しても感度が得られず測定はできない。
グリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムは、deoxy BIGCHAPと比較して、ほぼ同じ添加濃度での残存活性が大きく上回っていた(たとえば、deoxy BIGCHAP 0.24%、グリココール酸ナトリウム 0.26%、および、タウロコール酸ナトリウム 0.27%の比較)。
タウロデオキシコール酸ナトリウムは、0.04%以上0.08%以下の相対的に低い添加濃度でも、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。特に0.06%以下でその傾向は顕著であった。
タウロウルソデオキシコール酸ナトリウムは、0.12%以上0.36%以下の全ての添加濃度水準で高い残存活性を示した。
グリコケノデオキシコール酸ナトリウムは、添加濃度0.08%の相対的に低い添加濃度でも、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
Claims (3)
- 0.01〜20U/mLのコレステロールエステラーゼを含むコレステロール測定試薬溶液に、
0.15〜0.51%のグリココール酸及びその塩、0.18〜0.54%のタウロコール酸及びその塩、0.04〜0.08%のタウロデオキシコール酸及びその塩、0.12〜0.36%のタウロウルソデオキシコール酸及びその塩、並びに0.08%のグリコケノデオキシコール酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種の胆汁酸またはその塩を共存させることを特徴とする、コレステロール測定試薬溶液中でのコレステロールエステラーゼの安定化方法。 - 前記コレステロール測定試薬が、超高比重リポ蛋白、高密度リポ蛋白、低密度リポ蛋白、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、カイロミクロン、small−LDL、βリポ蛋白、pre−βリポ蛋白、及びαリポ蛋白からなる群より選択される少なくとも一種のリポ蛋白分画中のコレステロールを選択的に定量するコレステロール測定試薬である、請求項1に記載の方法。
- 35℃で7日間保存しても安定である、請求項1又は2に記載の方法。
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