JP6582369B2 - コレステロールエステラーゼの安定化方法およびその試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、コレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法および該方法により安定化されたコレステロール測定試薬に関する。更に詳しくは、臨床化学分野において用いられる総コレステロール測定試薬、高密度リポ蛋白コレステロール測定試薬、または低密度リポ蛋白コレステロール測定試薬に関する。
コレステロールエステラーゼは、臨床化学分野においてコレステロール測定試薬の主反応酵素として広く利用されている。コレステロールエステラーゼを用いるコレステロール測定方法は種々報告されているが、その代表的な方法として以下の二つが挙げられる。すなわち、(1)コレステロールエステラーゼによるエステル型コレステロールの加水分解の後、得られた遊離型コレステロールに対しコレステロールオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを作用させ測定する方法並びに(2)前述の遊離型コレステロールに対しコレステロールデヒドロゲナーゼを作用させ測定する方法である。このようにコレステロールエステラーゼは、いずれの手法においても重要な役割を果たしている。
更に近年においては、高密度リポ蛋白(本明細書ではHDLとも記載。)および低密度リポ蛋白(本明細書ではLDLとも記載)等の各リポ蛋白中コレステロールを選択的に定量する方法においてもコレステロールエステラーゼが用いられている。例えば、被検試料中のHDL以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、前記第1工程の産物に、HDLに特異的に作用する、HLBが13〜14の界面活性剤を加え、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量することによりHDL中のコレステロール(本明細書ではHDL−Cとも記載)を酵素的に定量する第2工程とを含む、HDL−Cの定量方法(特許文献1)が知られている。また、被検試料中のLDL以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次いで、被検試料中の残存コレステロールを定量する第2工程とから成る、被検試料中のLDL中のコレステロール(本明細書ではLDL−Cとも記載)の定量方法において、前記第1工程をアルブミンの存在下で行うことを特徴とする方法であって、前記第1工程は、LDL以外のリポ蛋白に作用する界面活性剤の存在下において、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用させ、生じた過酸化水素を消去することから成る、方法(特許文献2)が知られている。
特許第3644490号 特許第4519239号 特許第5332611号 特開2010−63468号
臨床検査分野における試薬には、測定値の正確性および精密性が求められる。コレステロールエステラーゼを成分として含むコレステロール測定試薬においても同様である。
試薬の正確性および精密性に影響を及ぼす要因として、試薬の安定性が挙げられる。臨床検査に用いられる試薬は、液状あるいは凍結乾燥製剤として市場に供されるが、溶解操作が必要な凍結乾燥製剤に比較し、事前の調整を要せず利便性の高い液状製剤が望まれている。従って、コレステロール測定試薬においても、供給されるまでの間、保存期間、および使用時において、液状での安定性が十分に確保される必要がある。
しかし、すべてのコレステロール測定試薬で液状での安定性が十分に確保されるとは限らない。例えば、本発明者らの検討によれば、特許文献3に記載のHDL−C測定試薬および特許文献4に記載のLDL−C測定試薬では、保存中に試薬性能の低下が認められた。本発明者らがさらに検討を加えたところ、その原因はコレステロールエステラーゼ活性が著しく低下するからであることがわかった。前記2種類の測定試薬では、各リポ蛋白中コレステロールを選択的に定量するため、第一反応においてコレステロールエステラーゼの作用により測定リポ蛋白以外のリポ蛋白を優先的に消去する必要があり、そのため第一試薬においてコレステロールエステラーゼと測定リポ蛋白の反応を阻害する界面活性剤をコレステロールエステラーゼと共存させることがあるが、本発明者らは、かかる現状において、コレステロールエステラーゼと前記界面活性剤とを含むコレステロール測定試薬中において、コレステロールエステラーゼ活性が著しく低下する現象があることを突き止めた。
本発明が解決しようとする課題は、コレステロールエステラーゼ活性低下の問題を解消したコレステロール測定試薬を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、コレステロールエステラーゼと共存させる界面活性剤として胆汁酸またはその塩を用いることにより、コレステロール測定試薬の熱に対する安定性を向上させることに成功し、本発明の成功に至った。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[項1] コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩を共存させることを特徴とする、コレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法。
[項2] 前記胆汁酸またはその塩が、抱合胆汁酸またはその塩である、項1記載のコレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法。
[項3] 前記抱合胆汁酸またはその塩が、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリココール酸、およびグリコケノデオキシコール酸並びにその塩からなる群より選択された少なくとも1種の物質である、項2記載のコレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法。
[項4] コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩が共存していることを特徴とする、コレステロールエステラーゼ含有組成物。
[項5] 前記胆汁酸またはその塩が、抱合胆汁酸またはその塩である、項4記載のコレステロールエステラーゼ含有組成物。
[項6] 前記抱合胆汁酸またはその塩が、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリココール酸、およびグリコケノデオキシコール酸並びにその塩からなる群より選択された少なくとも1種の物質である、項5記載のコレステロールエステラーゼ含有組成物。
[項7] 項4−6のいずれかの組成物を含むコレステロール測定試薬。
[項8] 項4−6のいずれかの組成物、または、項7のコレステロール測定試薬を用いて、コレステロールを測定する方法。
本発明により、コレステロールエステラーゼと界面活性剤とを含むコレステロール測定試薬において、コレステロールエステラーゼの熱安定性を著しく向上させることができる。
本発明の実施形態の一つは、コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩(本明細書では胆汁酸等とも記載)を共存させることを特徴とする、コレステロールエステラーゼの溶液中での安定化方法である。
また、コレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩が共存していることを特徴とする、コレステロールエステラーゼ含有組成物も本発明の実施形態の一つである。
本発明で用いるコレステロールエステラーゼとしては、その起源は特に限定されないが、例えば、Schizophyllum属およびPseudomonas属等の微生物に由来する物等を用いることができる。これらは市販のものを入手することが出来る。
本発明のコレステロールエステラーゼを含む溶液の形態は特に限定されない。例えば、体外診断薬等のコレステロール測定試薬の形態をとり、コレステロールの測定に使用される。
前記コレステロール測定試薬は、超高比重リポ蛋白(VHDL)、HDL、LDL、超低比重リポ淡白(VLDL)、中間比重リポ蛋白(IDL)、カイロミクロン、small−LDL、βリポ蛋白、pre−βリポ蛋白、αリポ蛋白等の各リポ蛋白分画中のコレステロールを選択的に定量するものであってもよい。
前記コレステロール測定試薬は、2種類、3種類、4種類など複数の組成物を組合せたものであっても良い。このような組成物の組合せはコレステロール測定キットの形態で供されていても良い。
その構成としては、例えば複数の溶液組成物の組合せで構成されるもの、複数の固形物(粉末、凍結乾燥品など)の組合せで構成されるもの、複数の溶液組成物と複数の固形物との組合せで構成されるものなどが挙げられる。そのような試薬として、一般に液状試薬と呼ばれる、汎用の自動分析機に適用できるように2種類の溶液組成物で構成された試薬が例示される。
コレステロールエステラーゼは、前記複数の組成物のいずれの1つに含まれていても良く、2以上の組成物に含まれていても良い。
本発明のコレステロールエステラーゼを含む溶液に、胆汁酸またはその塩を共存させる方法やタイミングは特に限定されない。
したがって、例えば、前記コレステロール測定試薬の場合、前記液状試薬であれば製造時にコレステロールエステラーゼと胆汁酸等とを溶解させ共存させておけばよい。また、前記固形物の試薬を含む複数の組成物を組合せであれば、試薬を使用するために前記固形物の試薬を水または予め調製された溶液組成物に溶解した時点で、その溶液にコレステロールエステラーゼと胆汁酸等とが共存するよう構成されていれば良い。
そのようなコレステロール測定試薬の1実施態様として、第一試薬としてコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼ等を含有し、第二試薬としてコレステロールエステラーゼおよびペルオキシダーゼ等を含有する2試薬系からなるコレステロール測定試薬において、コレステロールエステラーゼを含む第一試薬に胆汁酸またはその塩を共存させることを特徴とするコレステロールエステラーゼの安定化方法がある。
本発明で用いられる胆汁酸またはその塩とは、哺乳類の胆汁より見出されるステロイド様化合物であり、その起源は特に限定されず、天然および化学合成品等いずれも用いることができる。また、胆汁酸の塩は、カウンターカチオンとしてナトリウムイオンやカリウムイオンを持つことができるが、これに限定されるものではない。これらは、市販のものを用いることができる。
本発明で用いられる胆汁酸は、抱合胆汁酸であっても良い。抱合胆汁酸とは、胆汁酸がアミド結合を介してグリシンまたはタウリン等と結びついた化合物であり、その起源は特に限定されず、天然および化学合成品等いずれも用いることができる。また、抱合胆汁酸の塩は、カウンターカチオンとしてナトリウムイオンやカリウムイオンを持つことができるが、これに限定されるものではない。これらは、市販のものを用いることができる。
胆汁酸の具体例として、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ヒオコール酸、ヒオデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、およびその塩を用いることができる。
これらのうち、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリココール酸、およびグリコケノデオキシコール酸は抱合胆汁酸である。
これらの胆汁酸等は、単独もしくは2種類以上または他の胆汁酸等と組み合わせて用いることができる。また、コレステロールエステラーゼを含む溶液中の胆汁酸等の濃度としては特に限定されるものではないが、好ましくは限界ミセル濃度(c.m.c)付近かそれ以下で使用するのがよい。
本発明において、コレステロールエステラーゼを含む溶液中のコレステロールエステラーゼ濃度は特に限定されない。酵素の起源によっても異なるが、好ましい下限は0.01U/mLであり、さらに好ましくは0.02U/mLである。一方、好ましい上限は20U/mLであり、さらに好ましくは2U/mLである。
本発明において、コレステロールエステラーゼを含む溶液中のコレステロールエステラーゼと胆汁酸等との比率は特に限定されない。
本発明のコレステロールエステラーゼ溶液には、更に防腐剤などをコレステロールエステラーゼの反応に悪い影響を及ぼさない範囲で添加してもよい。防腐剤としては、アジ化物、キレート剤、抗生物質、および抗菌剤等を挙げることができる。
また、本発明のコレステロールエステラーゼ溶液がコレステロール測定試薬の場合、該コレステロールエステラーゼ溶液には診断用試薬として必要な他の試薬が含まれていてもよい。コレステロール測定試薬としては、一般にコレステロールエステラーゼの他、コレステロールオキシダーゼ、二価の金属イオン、ペルオキシダーゼ、色源体およびアスコルビン酸オキシダーゼが含有される。
本発明において、コレステロールエステラーゼの活性測定は、以下の方法で行うのが好ましい。
(測定試薬)
下記のCOD−POD溶液1.0mL、DMA−MBTH溶液1.0mL、酵素(コレステロールエステラーゼ)溶液0.1mLを混合して反応試液とする。
<COD−POD溶液>
1.44% リン酸水素二ナトリウム十二水和物
3.10% ホウ酸
15U/mL コレステロールオキシダーゼ(COD)
25U/mL ペルオキシダーゼ(POD)
0.029% コール酸ナトリウム
<DMA−MBTH溶液>
0.50M 酢酸緩衝液(pH4.7)
0.040% EDTA・2Na
0.070% ジメチルアニリン(DMA)
0.015% 3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)
<基質溶液>
0.04% コレステロールリノレート
1.00% トリトンX−100
(測定条件)
(1)反応液2.1mLを37℃で約5分間予備加温する。
(2)基質溶液1.0mLを加え、反応を開始する。
(3)正確に3 7℃で10分間反応させた後、1.0N HCl 1.0mLを加えて反応を停止させる。この液につき590nmにおける吸光度を測定する(ODTEST)。
(4)盲検は、酵素溶液の代わりに酵素希釈液0.1mLを添加した反応液2.1mLを、以下上記同様に操作して吸光度を測定する(ODBLANK)。
(5)これらの値から以下の式に従ってCOE活性を求める。
・コレステロールエステラーゼの活性(U/ml)=ΔODmin(ΔODTEST−ΔODBLANK)×4.1×希釈倍率/{39.0×10(分)×0.1(mL)}
本発明において「安定」とは、加温処理に対しても酵素活性が維持されていることを意味し、具体的には、胆汁酸またはその塩を溶液中においてコレステロールエステラーゼと共存させたとき、35℃で7日間保存後の残存酵素活性が加温処理していないものと比べて2%以上維持されていることをいう。
胆汁酸類の同定は、ガスクロマトグラフ質量分析器(gas chromatograph mass spectrometry : GC/MS)や高速液体クロマトグラフタンデム質量器(high performance liquid chromatograph tandem mass spectrometry : LC/MS/MS)を用いて行うことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例により特に限定されるものではない。
[実施例1] 本発明の実施形態の一つとして、高密度リポ蛋白コレステロール測定試薬が考えられる。コレステロールエステラーゼ(東洋紡製COE−301)1.0 U/mLを反応主要成分とする下記高密度リポ蛋白コレステロール測定試薬(第一試液)に対し表1に示す各種界面活性剤を添加溶解した後、4℃および35℃で7日間保存した。保存後のコレステロールエステラーゼの酵素活性を測定し、残存活性(4℃保存後の活性値に対する35℃保存後の活性値の割合)を検討した。
(試薬の調製) 下記組成からなるコレステロール測定試薬の第一試薬をそれぞれ調製した。
80.0mM グッド緩衝液(ADA)(pH 6.50)
1.00U/mL コレステロールエステラーゼ(東洋紡製COE−301)
3.00U/mL コレステロールオキシダーゼ(東洋紡製COO−321)
2.00U/mL ペルオキシダーゼ(東洋紡製PEO−302)
0.200g/L N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン(同仁化学社製)(同仁化学社製)
結果を表1に示す。組成1〜5(各種胆汁酸を添加した組成)は、いずれも35℃で1週間保存した場合のコレステロールエステラーゼ残存活性10%以上を保持しており、特にタウロウルソデオキシコール酸ナトリウムでは残存活性78%と良好な安定性が確認された。一方、比較例1(deoxy BIGCHAP(商標、同仁化学製)を添加した組成)では、残存活性2%と著しい活性低下が認められた。
35℃で1週間保存後、比較例1では、コレステロールエステラーゼの活性低下のため、コレステロール高値検体の測定に支障をきたす可能性がある。これに対し、組成1〜5では、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
[実施例2] 実施例1に示したタウロウルソデオキシコール酸ナトリウム(組成4)について、ナトリウム塩でないものについても検討した。すなわち、前記高密度リポ蛋白コレステロール測定試薬(第一試液)に対しタウロウルソデオキシコール酸ナトリウムおよびタウロウルソデオキシコール酸(二水和物)を添加溶解した後、4℃および35℃で14日間保存した。保存後の酵素活性を測定し、残存活性(4℃保存後の活性値に対する35℃保存後の活性値の割合)を検討した。
結果を表2に示す。組成4のタウロウルソデオキシコール酸ナトリウムは、35℃で2週間保存した場合においてもコレステロールエステラーゼ残存活性63%を保持していた。また、組成6のタウロウルソデオキシコール酸(二水和物)は、ナトリウム塩(組成4)と同等以上の残存活性を保持(71%)することが確認された。いずれの組成も、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。従って、本発明に用いる胆汁酸は、ナトリウム塩に限定されるものではない。
[実施例3] 実施例1に示したタウロデオキシコール酸ナトリウム(組成3)について、添加濃度の影響を検討した。すなわち、前記高密度リポ蛋白コレステロール測定試薬(第一試液)に対しタウロデオキシコール酸ナトリウム(0.06〜0.08%)を添加溶解した後、4℃および35℃で14日間保存した。保存後の酵素活性を測定し、残存活性(4℃保存後の活性値に対する35℃保存後の活性値の割合)を検討した。
結果を表3に示す。タウロデオキシコール酸ナトリウム添加濃度0.08%(組成3)では、35℃で2週間保存した場合のコレステロールエステラーゼ残存活性は4%であったが、添加濃度の上限を0.07%以下に下げることで残存活性が向上することが明らかとなった。添加濃度の上限を0.06%以下にするとさらに残存活性が向上した。なお、いずれの組成も、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
[実施例4] 実施例1に示した組成1〜5を用い、以下に示す方法で、試料として血清60検体を測定した。また、比較例として市販の高密度リポ蛋白コレステロール測定試薬にて同検体を測定し、測定値を比較した。
(測定方法)
日立7180型自動分析装置を用いた。試料1.6μLに第一試薬150mLを添加し、37℃にて5分間インキュベーションし第一反応とした。その後、コレステロールエステラーゼ、ペルオキシダーゼ、および4−アミノアンチピリンを主要成分とする第二試薬を50μL添加し、5分間インキュベーションし第二反応とした。第一反応および第二反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差をとる2ポイントエンド法で600nm主波長および800nm副波長で吸光度を測定した。HDL−C濃度未知試料のHDL−C濃度の算出は、精製水および83mg/dL HDL−C標準血清の測定吸光度より算出して求めた。
(試薬の調製)下記組成からなるコレステロール測定試薬の第二試薬を調製した。
第二試薬
100.0mM グッド緩衝液(MOPS)(pH 7.50)
7.00U/mL コレステロールエステラーゼ(東洋紡製LPL−314)
8.00U/mL ペルオキシダーゼ(東洋紡製PEO−302)
0.200g/L 4−アミノアンチピリン
9.000g/L エマルゲンA90(花王社製)
結果を表4に示す。市販のHDL−C測定試薬による測定値を比較例2とし、これに対する組成1〜5の相関を求めた。すべての組成において、相関係数0.97以上で傾きおよびY切片が良好であった。従って本発明方法は、コレステロールエステラーゼを安定化するだけでなく、市販の方法と極めて良好な相関を有するものであることが示された。
[実施例5] ADA−NaOH緩衝液(pH6.5)にコレステロールエステラーゼ(東洋紡製COE−301)および各種胆汁酸を加え、コレステロールエステラーゼの安定性を検討した。コレステロールエステラーゼ1.0 U/mLを緩衝液に溶解し、これに表5に示す各種界面活性剤(各種胆汁酸またはdeoxy BIGCHAP)を添加溶解した後、35℃で7日間保存した。保存後のコレステロールエステラーゼの酵素活性を測定し、残存活性(4℃でのコレステロールエステラーゼ添加直後の活性値と35℃で1週間保存後の活性値の割合)を検討した。
結果を表5に示す。添加する界面活性剤の違いにより、コレステロールの安定性に大きく差があることがわかった。
35℃で1週間保存後、タウロデオキシコール酸ナトリウムの添加濃度0.10%以上、deoxy BIGCHAPの添加濃度0.16%以上を除き、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
ただし、界面活性剤(各種胆汁酸またはdeoxy BIGCHAP)の添加がない組成では、35℃で1週間保存後のコレステロールエステラーゼの残存活性は92%維持されていたが、この組成をコレステロール測定試薬に適用しても感度が得られず測定はできない。
グリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムは、deoxy BIGCHAPと比較して、ほぼ同じ添加濃度での残存活性が大きく上回っていた(たとえば、deoxy BIGCHAP 0.24%、グリココール酸ナトリウム 0.26%、および、タウロコール酸ナトリウム 0.27%の比較)。
タウロデオキシコール酸ナトリウムは、0.04%以上0.08%以下の相対的に低い添加濃度でも、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。特に0.06%以下でその傾向は顕著であった。
タウロウルソデオキシコール酸ナトリウムは、0.12%以上0.36%以下の全ての添加濃度水準で高い残存活性を示した。
グリコケノデオキシコール酸ナトリウムは、添加濃度0.08%の相対的に低い添加濃度でも、コレステロールエステラーゼに関して、測定に必要な活性が維持されていた。
本発明のコレステロールエステラーゼの安定化方法およびその試薬は、正確かつ精密に血中リポ蛋白コレステロール濃度を測定可能な安定な臨床検査用試薬を提供するものである。従って本発明は、特に脂質関連疾患の診断のための臨床検査の分野に寄与すること大である。

Claims (3)

  1. 0.01〜20U/mLのコレステロールエステラーゼを含むコレステロール測定試薬溶液に、
    0.15〜0.51%のグリココール酸及びその塩、0.18〜0.54%のタウロコール酸及びその塩、0.04〜0.08%のタウロデオキシコール酸及びその塩、0.12〜0.36%のタウロウルソデオキシコール酸及びその塩、並びに0.08%のグリコケノデオキシコール酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種の胆汁酸またはその塩を共存させることを特徴とする、コレステロール測定試薬溶液中でのコレステロールエステラーゼの安定化方法。
  2. 前記コレステロール測定試薬が、超高比重リポ蛋白、高密度リポ蛋白、低密度リポ蛋白、超低比重リポ蛋白、中間比重リポ蛋白、カイロミクロン、small−LDL、βリポ蛋白、pre−βリポ蛋白、及びαリポ蛋白からなる群より選択される少なくとも一種のリポ蛋白分画中のコレステロールを選択的に定量するコレステロール測定試薬である、請求項1に記載の方法。
  3. 35℃で7日間保存しても安定である、請求項1又は2に記載の方法。
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