JP4022799B2 - 電解質測定用試薬組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液、特に血液または尿中の電解質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの電解質を測定する試薬組成物に関する。更に詳細には、α−アミラーゼを利用した電解質を測定する試薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内の電解質の濃度は、通常厳密に代謝調節されていることから、体液中の電解質の測定は生体機能のバロメーターとして生化学的臨床検査の中で最も一般的な分析であり、これらを測定することにより各種疾患の診断が行われる。例えば、血清中のカルシウムイオン量の測定は、低カルシウム血症として、低タンパク血症、低リン血症、腎炎、ネフローゼ、ビタミンD欠乏症、副甲状腺機能低下症、クル病等の疾患、高カルシウム血症としては、骨腫瘍、アジソン病、肺気腫、副甲状腺機能亢進症、腎不全等の疾患の診断に用いられる。また例えば、血清中の塩素イオン量の測定は、低クロール血症として、低張性脱水症、グルココルチコイド過剰症、呼吸性アシドーシス等の疾患、高クロール血症としては、高張性脱水症、尿細管性アシドーシス、呼吸性アルカローシス等の疾患の診断に用いられる。
【0003】
体液中のカルシウムイオン測定法としては、従来から、(1)滴定法、(2)比色法、(3)原子吸光法、(4)炎光光度計法、(5)電極法、(6)酵素法などが知られている。
【0004】
上記(1)の滴定法は、シュウ酸塩やキレートを用いて化学的に滴定する方法であるが、この方法は煩雑であり、実施者により測定値に差異が生ずる、多量の試料を短時間に処理できないという欠点を有する。また、上記(2)の比色法において、発色剤にo−CPC(オルトクレゾールフタレインコンプラクソン)を用いる方法は、汎用の自動分析機に適用できる方法であるが、この方法は温度、時間により吸光度が変化する、マグネシウムイオンの影響を受ける等の欠点を有する。
【0005】
また、上記(3)の原子吸光法は試料を希釈することが必要である、手技に熟練を要する等の欠点を有する。上記(4)の炎光光度計法は特異性、再現性の点に問題を有する。さらに、上記(5)の電極法は、pHの影響を受ける、機器を一定の状態に維持することが煩雑である等の欠点を有する。
【0006】
上記(6)の酵素法については、(a)ホスホリパーゼDを利用する方法(特開昭62−195297号公報)、(b)カルモジュリンを利用する方法(特開昭62−36199号公報)、(c)α−アミラーゼを利用する方法(特公平6−87798号公報など)などが挙げられる。
【0007】
上記(a)の方法は基質を均一に調製することが困難であり、反応に時間がかかるという欠点を有する。上記(b)の方法は検体を希釈する(100〜1000倍)ことが必要である。また、これに対して、(c)の方法はカルシウムイオンにより不活性化型α−アミラーゼが再活性化され、糖基質を分解し、分解した生成物を測定することにより、体液中のカルシウムイオンを測定するカルシウムイオンにより不活性化型α−アミラーゼが再活性化され、糖基質を分解し、分解した生成物を測定することにより体液中のカルシウムイオンを測定する方法であり、上記(1)〜(5)の方法における問題点を解消し、また(6)の(a)、(b)の方法よりも正確性かつ簡便性に優れた酵素法として実際に臨床検査分野で用いられている。
【0008】
一方、体液中の塩素イオン測定法としては、従来から(イ)電量滴定法、(ロ)イオン電極法、(ハ)比色法、(ニ)酵素法などが知られている。上記(イ)の電量滴定法、(ロ)のイオン電極法は専用の装置が必要である、機器の保持、管理に注意が必要である、試料の分析効率が悪いなどの問題点がある。また、(ハ)の比色法はチオシアン酸水銀と硝酸鉄を用いた方法などがあるが、測定後シアン、水銀を含む廃液を生じるため、特別な処理が必要であるといった欠点を有する。
【0009】
上記(ニ)の酵素法には、(a)α−アミラーゼを利用する方法(特開平3−176000号公報、特開平4−94698号公報など)、(b)ザルコシンオキシダーゼを利用する方法(特開平9−187296号公報)などがある。このうち、(a)の方法は塩素イオンにより不活性化型α−アミラーゼが再活性化され、糖基質を分解し、分解された生成物を測定することにより体液中の塩素イオンを測定する方法であるが、現在実際に臨床検査分野で用いられており、電量滴定法、イオン電極法、比色法に比べ、正確性、簡便性および分析効率の点で優れている。
【0010】
一方、近年臨床検査分野では正確性及び安定性向上、またはコスト削減、作業の省力化等の要求により、液状化試薬が主流になっている。従来は酵素等液状状態で不安定なものは凍結乾燥状態で流通し、使用時に添付の溶解液で溶解し測定に使用していたが、最近の成分酵素等の耐熱化、またはpH、バッファー条件の至適化等による成分酵素の安定化により、液状状態での流通が可能となり、製造側としては凍結乾燥の手間が省け、また臨床検査現場においては溶解する手間が省け、臨床検査に関わる省力化に大きく貢献しているものである。
【0011】
α−アミラーゼを利用する電解質測定法は、これまでの種々の測定法の中でも簡便性、正確性等の点で優れていることは上述の通りである。この方法において、α−アミラーゼは、測定対象となるその活性発現に必要なカルシウムまたは塩素イオンをあらかじめ除去し、通常不活性化型の状態で用いられる。また、この方法においては、ブランク反応を抑える、拮抗阻害剤として定量性を調節する、または測定対象外の類似共雑イオンをマスキングする等の目的で、測定試薬中にキレート剤が処方されている。しかしながら、このような不活性化型α−アミラーゼはキレート剤の存在下では不安定であることから、溶液状態で長期の保存ができないという問題を有している。
【0012】
それに対して、キレート剤存在下での不活性化型α−アミラーゼの安定化方法としては、従来からマルトース、α−シクロデキストリン等の少糖類、またはこれらの混合物が有用であることが知られている(特開平6−113894号公報)。しかしながら、この方法でも、短期間(1〜2ヶ月間)の低温(2〜8℃)保存には耐えうるが、長期間の保存、あるいは実際の作業下の室温(18〜37℃)での安定性に関しては未だ十分とは言えない。
【0013】
また、液状化に伴い派生する問題として、外部からの測定検体以外のものに由来するα−アミラーゼの混入の影響がある。これは、例えば人の唾液等が偶発的に測定試液中に混入することにより、唾液中に含まれるα−アミラーゼにより基質が分解され、試薬ブランクの上昇、測定感度の低下により定量性、精密性が損なわれるという問題である。特に、測定試液の製造時または使用時に混入しやすく、汗、唾液に由来するわずかなα−アミラーゼの混入によっても、溶液のまま長期間保存される可能性のある液状試薬では試薬性能に影響を与えることから、α−アミラーゼに対する安定化が必要である。
【0014】
測定検体以外のものに由来するα−アミラーゼ混入の問題に対しては、特開平6−277096号公報に記載されるように、α−アミラーゼ基質として用いられるp−ニトロフェニル−β−ガラクトシル−α−マルトペンタオシドをpH2.0〜5.5の範囲内の水溶液とすることで安定化を図る方法が知られている。しかしながら、この方法ではα−アミラーゼの基質自体の安定化は図れるが、各試液のpH条件に制約が生じることから十分ではない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、α−アミラーゼを利用した電解質測定方法に関しては、今日臨床検査用試薬で主流になっている液状試薬として流通に耐えうるような高い溶液安定性は未だ達成されていないのが現状である。本発明は、上記のような現状に鑑み、安定性、正確性、定量性に優れた酵素アッセイに用いる電解質測定用試薬組成物を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、測定試薬を2試薬の構成とし、安定性不良に起因するキレート剤と電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼとを別々に処方することで、従来のような安定化剤をむやみに使用することなく低温から実使用レベルである室温での長期的な溶液安定性が得られることを見出し、さらに、2試薬の構成を少なくとも第一試薬において(a)α−アミラーゼ基質、(b)キレート剤、第二試薬において(c)電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラ−ゼの構成とし、さらに第一試薬に(d)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有することで混入α−アミラーゼの影響を回避できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち本発明は、以下のような構成より成る。
(1)α−アミラーゼを用いた2試薬からなる電解質測定用試薬組成物において、電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼとキレート剤を別々に処方することを特徴とする電解質測定用試薬組成物。
(2)第一試薬において(a)α−アミラーゼ基質および(b)キレート剤を含有し、かつ第二試薬において(c)電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラ−ゼを含有するように処方される(1)の電解質測定用試薬組成物。
(3)第一試薬において(d)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有する(1)または(2)の電解質測定用試薬組成物。
(4)α−アミラーゼ基質が2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドである(1)〜(3)のいずれかの電解質測定用試薬組成物。
(5)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質が、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−クロロアセトアミド、2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド、イミダゾリジニルウレア、N−メチルイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびN−エチルマレイミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種類である(1)〜(4)のいずれかの電解質測定用試薬組成物。
(6)キレート剤が1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸である(1)〜(5)のいずれかの電解質測定用試薬組成物。
(7)第一試薬がpH7以上であり、かつ第二試薬がpH6〜7である(1)〜(6)のいずれかの電解質測定用試薬組成物。
(8)電解質がカルシウムイオンである(1)〜(7)のいずれかの電解質測定用試薬組成物。
(9)電解質が塩素イオンである(1)〜(7)のいずれかの電解質測定用試薬組成物。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の電解質測定用試薬組成物は、α−アミラーゼの活性化剤であるカルシウム、または塩素イオン等によりα−アミラーゼが活性化されることを利用し、分解された糖基質を測定することにより試料中の電解質を測定するものであり、次のような測定原理が考えられる。ここで、電解質とは、水その他の溶媒に溶解して溶液がイオン電導を行うような物質をいうものであり、具体的には、カルシウムイオン、塩素イオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等を指す。
【0019】
(1)マルトオリゴ糖を基質とする方法
基質としてマルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースなどを用い、活性化されたα−アミラーゼ、さらにはα−グルコシダーゼ等の追随酵素の作用により、これらの基質からグルコースを遊離させ、グルコースの量を測定することでカルシウム等の電解質量を求める。生成したグルコースの測定方法としては、グルコースオキシダーゼ−ペルオキシダーゼ法、ヘキソキナーゼ−グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ法等がある。
【0020】
グルコースオキシダーゼ−ペルオキシダーゼ法ではグルコースにグルコースオキシダーゼを作用させ、生成した過酸化水素をペルオキシダーゼの存在下フェノール等の酸化発色物質とカプラーを酸化縮合してキノン色素に導き、その吸光度をレート測定する方法である。ヘキソキナーゼ−グルコース6ホスフェートデヒドロゲナーゼ法はヘキソキナーゼによりグルコースからグルコース−6−リン酸に導き、続いてグルコース−6−リン酸にNAD+またはNADP+の存在下グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼを作用させNADHまたはNADPHの増加反応をレート測定する方法である。
【0021】
(2)マルトオリゴ糖の還元末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンとして結合させた誘導体を基質とする方法
p−ニトロフェニルマルトペンタオシド、p−ニトロフェニルマルトヘキサオシド、p−ニトロフェニルマルトヘプタオシド、2,4−ジクロロニトロフェニルマルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトペンタオシド等を基質として用い、活性化されたα−アミラーゼを作用させ、必要によりα−グルコシダーゼ等の追随酵素を作用させて、これらの基質からアグリコンを遊離させ、遊離したアグリコンの量を光学的に測定することによりカルシウム等の電解質量を求める。
【0022】
(3)マルトオリゴ糖の還元末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンとして結合させたマルトオリゴ糖誘導体の非還元末端のグルコースの4位および6位のヒドロキシル基が何らかの手段で修飾された誘導体を基質とする方法
(2)に準ずる方法であるが、基質として、非還元末端グルコースがハロゲン、グルコピラノシル基等で修飾されたタイプの基質(例えば、特開昭60−237998号公報)あるいは、4位および6位のヒドロキシル基をアルキル基、アルコイル基またはフェニル基で置換したタイプの基質(例えば、特開昭60−54395号公報、特開平1−157996号公報)あるいは4位および6位のヒドロキシル基をβ−ガラクトピラノシル基で置換したタイプの基質(例えば、特開平3−264596号公報、特開平6−315399号公報)を用いる方法がある。
【0023】
上記のような公知の測定法の中でも、上記(3)に示される測定法は原理的に優れている。なかでも、2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドを用いる方法は、非還元末端が修飾されていることから内因性α−グルコシダーゼ等による分解による試薬ブランクの上昇がなく、また、追随酵素を必要としないことから低コストであり、しかも、α−アミラーゼの基質親和性が高いため好感度であるといったメリットがあり特に好ましい。
【0024】
本発明の一実施態様として、カルシウムイオンの測定について示すと、まず第一反応として試料にα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質、キレート剤、およびα−アミラーゼの基質として2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドを含む電解質測定用試薬組成物を作用させ、続いて第二反応として電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼを含有する電解質測定用試薬組成物を作用させることで、試料中のカルシウムを得て再活性化したアミラーゼが前記基質を分解し、遊離する2−クロロ−4−ニトロフェノールを測定し、試料中のカルシウム量を求めるものである。
【0025】
本発明においてα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質とは、α−アミラーゼのある特定の部位に結合して反応速度を低下させる物質であり、特に阻害形式としてはいわゆる拮抗阻害を除く阻害作用を有する物質をいうものであり、例えば、蛋白質を構成するチオール基、アミノ基等と作用または結合する物質が挙げられる。具体的には、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−クロロアセトアミド、2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド、イミダゾリジニルウレア、N−メチルイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−エチルマレイミド、p−クロロマーキュリ安息香酸、β−ブロモエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを複数組み合わせて用いても良い。また、該α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質の試薬組成中濃度は特に限定されないが、試薬組成物に含まれる電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼへの影響を考慮し、第一試薬中に0.01〜100mMの範囲で好適に用いられる。
【0026】
本発明においてα−アミラーゼとは、微生物、植物、または動物のいずれの起源のものも用いることが可能であるが、好適には動物起源のものであり、例えばブタ膵臓、人膵臓、人唾液由来のα−アミラーゼが例示される。本発明に用いられるα−アミラーゼは、脱塩処理によって不活性化型とされている必要がある。そして、実際に測定に関与する不活性化型α−アミラーゼは、上述のように試料中のカルシウムまたは塩素イオン等の電解質を得て活性化型α−アミラーゼとなり、α−アミラーゼの基質と反応する、電解質により可逆的に再活性化するものである必要がある。該脱塩処理は、例えば、透析、限外濾過、イオン交換、カラム除去、電気膜透析などの方法により行われるのが好ましい。電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼの試薬組成中の濃度は、好ましくは反応液中に0.1〜1000IU/mlの範囲で用いられる。
【0027】
なお、複数のイオンから特定のイオンを選択されるための特異性に関しては、測定対象以外のイオンなどの妨害イオンの各濃度範囲を推定し、その他の測定される検体の性能も考慮したうえで、妨害イオンに特異的なキレート剤を共存させることにより、該妨害イオンによるα−アミラーゼの活性化を抑える、あるいは、妨害イオンになりうるイオンを予め組成中に十分量存在せしめることで、試料中の妨害イオンの濃度レベルでは妨害を受けないようにするなどの方法により達成される。
具体的な態様を例示すると、カルシウムイオンを測定する場合は、塩素イオン等が妨害イオンとなるので、例えば塩化ナトリウムのような塩素を含む化合物を試薬組成中に測定に影響を受けないレベルで共存させる。また、塩素イオンを測定する場合は、カルシウムイオン等が妨害イオンとなりうるので、検体中のカルシウムイオンをトラップするようなキレート剤を加えるなどの方法が挙げられる。
【0028】
本発明においてキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸ならびにこれらの塩等が挙げられる。なかでも、本発明における至適pHである中性付近での金属選択性の点から、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸が特に好ましい。該キレート剤の電解質測定用試薬組成物中での役割としては、上述のようにブランク反応を抑える、拮抗阻害剤として定量性を調節する、または測定対象外の類似共雑イオンをマスキングする等が挙げられる。該キレート剤は、反応液中に好ましくは0.01〜10mM、より好ましくは0.1〜1mMの範囲で用いられる。また、上記に示されるキレート剤を複数組合わせて用いても良い。
【0029】
本発明に係るα−アミラーゼの基質は、上述の通り何ら限定されるものではないが、追随酵素を必要としないことから低コストであるというメリットより、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル4−o−β−D−ガラクトピラノシルマルトシドが好適である。さらに、非還元末端が修飾されていることから内因性α−グルコシダーゼ等による分解による試薬ブランクの上昇がない、α−アミラーゼの基質親和性がより高いため好感度であるといったメリットがあることから、2−クロロ−4−ニトロフェニル4−o−β−D−ガラクトピラノシルマルトシドがさらに好適に用いられる。該基質の試薬組成物中での濃度は、反応液中に好ましくは0.05〜50mM、より好ましくは0.1〜2mMの範囲で用いられる。
【0030】
また本発明の電解質測定用試薬組成物は、第一反応、第二反応の2ステップで測定する必要があることから、2試薬により構成させるいわゆる2試薬系である必要がある。そして、キレート剤と電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼを別々に処方することを特徴とする。該キレート剤と該不活性化型α−アミラーゼを別々に処方することにより、該不活性型α−アミラーゼの長期的な溶液安定性を得ることができるものである。また、該電解質測定用試薬組成物の最終pHを5.0〜8.0の範囲にすることによって、α−アミラーゼの糖分解反応速度そのものを制御し、測定範囲をより広げることが可能となる。
【0031】
また、第二試薬添加後、より速やかにレート測定可能な零次反応が得られる、または干渉電解質の前処理、前消去のの点から、第一試薬において(a)α−アミラーゼ基質および(b)キレート剤を含有し、かつ第二試薬において(c)電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラ−ゼを含有するように処方される態様が好ましい。さらには、外部からの測定検体以外のものに由来するα−アミラ−ゼの混入の影響回避の点から、上記の第一試薬において(d)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有せしめることがより好ましい。
【0032】
一方、α−アミラーゼの安定性至適pHは6〜8の中性付近であり、またキレート剤の安定性至適pHはアルカリ側であることより、本発明の試薬組成物をpH6〜8の範囲で調製するのが好ましいと考えられるが、同時に定量性等の性能を得るには、第一試薬と第二試薬を混合した際に反応至適pHになるように処方することもできる。好ましくはキレート剤を含む試薬をpH7以上、より好ましくはpH7〜9、電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼを含む試薬をpH6〜7とし、バッファー濃度またはこれら2試薬の混合比を調整し、反応至適pHになるように処方する。
試薬pHを保持する方法は、公知の方法であれば何ら限定されるものではないが、一般的には緩衝剤が用いられる。該緩衝剤としては、例えば、グッド緩衝剤、トリス緩衝剤、リン酸緩衝剤等が挙げられる。第一試薬、第二試薬各々における緩衝剤は、好ましくは10〜500mM、より好ましくは50〜300mMの濃度で用いられる。
【0033】
また、本発明の電解質測定用試薬組成物には、上記α−アミラーゼ基質(いわゆるメディエーター基質)とは別に、レギュレーター基質として、試薬ブランクを抑える、定量性を向上させる等の目的のため、必要により最終的な光学的測定法が異なる2つの基質または基質とその生成物を組合わせて用いることで、糖分解反応を競合せしめ、見かけの基質親和性を低下させることができる。例えば、マルトオリゴ糖、またはその非還元末端グルコースを修飾したマルトオリゴ糖、またはその還元末端グルコースに非発色源基が結合したマルトオリゴ糖より選ばれる基質を競合させ、主反応である還元末端グルコースに発色源基を結合させるか、あるいは、さらに非還元末端に置換基を結合させた基質に対するα−アミラーゼの反応速度を調節する。なかでも、非還元末端グルコースを修飾したマルトオリゴ糖は内因性α−グルコシダーゼの分解を受けず測定値に影響を及ぼさないことから、好適に用いられる。
【0034】
上記マルトオリゴ糖としては、例えば、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなどグルコース数が2〜7のマルトオリゴ糖が挙げられる。非還元末端グルコースを修飾したマルトオリゴ糖としては、ガラクトシルマルトース、ガラクトシルトリオース、ガラクトシルテトラオース、ガラクトシルペンタオースが挙げられ、還元末端グルコースに非発色源基が結合したマルトオリゴ糖としては、例えば、2,4−ジクロロフェニル−α−D−マルトトリオシド、2,4−ジクロロフェニル−(αまたはβ)−D−マルトペンタオシド、2,4−ジクロロフェニル−(αまたはβ)−D−マルトトリオシドなどが挙げられる。該マルトオリゴ糖の用いる濃度としては、好ましくは反応液中で0.01〜250mM、より好ましくは0.1〜200mMであり、第一試薬、第二試薬いずれにおいても用いられ得る。
【0035】
さらに、本発明の電解質測定用試薬組成物には、必要に応じてイオノフォア、クラウンエーテル等の干渉電解質の影響回避、あるいは感度調節のため干渉電解質または測定対象電解質に対する選択的結合剤を使用することができる。該選択的結合剤としては、上述のようなキレート剤の他に、18−クラウン−6(メルク社製)、クリプトフィックス221(メルク社製)などが挙げられる。また、必要に応じて、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤、プロテアーゼ阻害剤等を測定する電解質の定量性に影響を及ぼさない範囲で添加することも可能である。
【0036】
防腐剤は特に限定されないが、α−アミラーゼの安定性に対する影響の少ないアジ化ナトリウム、あるいは、セフェム系、ペニシリン系、アミノグリコシド系、キノロン系等の抗生物質等が好適に用いられ、これらを単独あるいは組合わせて使用することができる。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などを単独あるいは組合わせて使用することができる。
【0037】
測定する電解質がカルシウムイオンの場合は、アルカリ金属のハロゲン化物、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどを3〜300mMの濃度で添加することが好ましい。また測定する電解質が塩素イオンの場合は、2価カチオン、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等を0.01〜200mMの濃度で添加することができる。
【0038】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸およびその塩、ソルボース等の糖類、カタラーゼ等が挙げられる。プロテアーゼ阻害剤としてはフッ化フェニルメチルスルホニル等が挙げられる。
【0039】
本発明においては、電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼが、上述のように試料中のカルシウムまたは塩素イオン等の電解質を得て活性化型α−アミラーゼとなり、α−アミラーゼの基質と反応することを利用し、上述のような測定方法に基づき測定することができる。例えば、カルシウムの測定の場合は、第一反応として試料にα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質、キレート剤、およびα−アミラーゼの基質として2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドを含む第一試薬を作用させ、続いて第二反応として電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼを含有する第二試薬を作用させることで、試料中のカルシウムに依存して再活性化したアミラーゼの反応により2−クロロ−4−ニトロフェノールを生成する。
【0040】
2−クロロ−4−ニトロフェノールがそれ自体400nm付近に吸収があることから、遊離後400nm付近の吸光度の変化を測定し、既知濃度の試料の吸光度を対照に、試料中のカルシウムの濃度を求める。上記2−クロロ−4−ニトロフェノールの測定方法としては、アミラーゼの反応を連続的に追跡するレート法および一定時間反応させた後反応を止めて測定するエンドポイント法のいずれもが適用されうる。
【0041】
本発明の一実施様態として、塩素イオンの測定について示すと、第一反応として試料にα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質、キレート剤およびα−アミラーゼの基質として2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドを含む第一試薬を作用させ、続いて第二反応として電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼを含有する第二試薬を作用させることで、試料中の塩素イオンに依存して再活性化したアミラーゼの反応により、生成する2−クロロ−4−ニトロフェノールを測定し、試料中の塩素イオン量を求めるものである。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
【0043】
実施例1
下記組成からなるカルシウム測定試薬を調製し、α−アミラーゼを含む第二試薬を35℃で14日間保存した。そして、調製直後5、10、14日目の試液中のα−アミラーゼ活性を市販のα−アミラーゼ活性測定試薬(ダイヤカラー・AMYネオレート:東洋紡績(株)製)を用いて測定し、残存活性(%)を求めた。その結果を表1に示す。
【0044】
(1)第一試薬組成
トリス塩酸バッファー(pH7.1) 50mM
NaCl 200mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.9mM
【0045】
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.0) 300mM
NaCl 200mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
不活性化型α−アミラーゼ(ブタ膵臓由来) 4.2IU/ml
【0046】
比較例1
下記組成からなるカルシウム測定試薬を調製し、α−アミラーゼを含む第一試薬を35℃で14日間保存し、実施例1と同様に35℃保存後の残存活性(%)を求めた。その結果を表1に示す。
【0047】
(1)第一試薬組成
トリス塩酸バッファー(pH7.1) 50mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
NaCl 200mM
不活性化型α−アミラーゼ(ブタ膵臓由来) 2.1IU/ml
【0048】
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.0) 300mM
NaCl 200mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 1.8mM
【0049】
【表1】
Figure 0004022799
【0050】
上記表1より、比較例1のα−アミラーゼの残存活性が39.4%に対し、実施例1では97.2%とほとんど劣化がなく、安定性が良好であることが確認された。
【0051】
実施例2
実施例1と同様のカルシウム測定試薬について35℃で14日間保存し、調製直後とあわせて、下記に示すカルシウム量の測定方法に従い、試料として精製水、10mg/dl標準液及び酢酸カルシウム水溶液(Caイオン換算で50mg/dl)の10水準の希釈系列を測定し、高値直線性を検討した。
【0052】
カルシウム量の測定方法
試料量3.5μlに第一試薬180μl加え、5分間予備加温した後、さらに第二試薬90μlを加えて反応を開始させ、該基質試液添加後2分後からの3分間における1分あたりの吸光度変化を求め、精製水およびカルシウム10mg/dl標準液での2点検量線に基づき試料中のカルシウム量を求めた。尚、測定装置は日立7170形自動分析装置を使用し、測定波長は、主波長405nm、副波長546nmとし、測定温度は37℃で実施した。
【0053】
比較例2
比較例1と同様のカルシウム測定試薬について35℃で14日間保存し、調製直後とあわせて、実施例2と同様に高値直線性を検討した。
【0054】
図1、2より、比較例2の直線性が高値において顕著にそり上がっているのに対し、実施例2ではほとんどそり上りがなく、良好な直線性が得られ安定性が良好であることが確認された。
【0055】
実施例3
下記組成にα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質として、(ア)5−ブロモ−5−ニトロ−1,3ジオキサン、(イ)2−クロロアセトアミド、(ウ)2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド、(エ)イミダゾリジニルウレア、(オ)N−メチルイソチアゾロン、(カ)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(キ)N−エチルマレイミドを各々0.05%添加した7試薬、及び(ク)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有しない試薬の計8種のカルシウム測定試薬を調製し、各試薬にヒト唾液由来α−アミラーゼを試薬中で3IU/Lになるように混入させ、35℃で14日間保存した。また、各試薬ともα−アミラーゼ未混入の試薬について同様に保存した。測定は実施例2のカルシウム量の測定方法に従い、試料として精製水を測定して、調製直後35℃で5,10,14日の試薬の初期吸光度(精製水を測定したときの測光開始ポイントの吸光度)を求めた。結果を表2に示す。
【0056】
(1)第一試薬組成
トリス塩酸バッファー(pH7.1) 50mM
NaCl 200mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.9mM
α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質 0.05%
【0057】
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.0) 300mM
NaCl 200mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
不活性化型α−アミラーゼ(ブタ膵臓由来) 4.2IU/ml
【0058】
比較例3
上記比較例1に示される組成からなるカルシウム測定試薬を調製して、実施例3と同様の用法で同様の試料を測定し、調製直後35℃で5,10,14日の試薬の初期吸光度を求めた。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
Figure 0004022799
【0060】
上記表2より、比較例3のα−アミラーゼ混入試薬の初期吸光度が未混入試薬に対し明らかに上昇しているのに対し、実施例3においてはいずれの試薬に関しても初期吸光度の上昇が抑えられる。なかでも、第一試薬にさらにα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有する試薬において初期吸光度の上昇が顕著に改善されることが確認された。
【0061】
実施例4
下記組成からなるカルシウム測定試薬について40℃で保存し、調製直後より1、4、7日後の試薬を用い、実施例2と同様の測定方法に従い、試料として精製水、10mg/dl標準液及び市販管理血清モニトロールIX、モニトロールIIXを測定し、10mg/dl標準液感度、血清値の経日変化を調製直後を対照に相対値(%)を求めた。結果を表3、4に示す。
【0062】
(1)第一試薬組成
トリス−塩酸緩衝液(pH7.1) 50mM
NaCl 200mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.9mM
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.5) 300mM
NaCl 200mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
不活性化型α−アミラーゼ(ブタ膵臓由来) 4.2IU/ml
【0063】
比較例4
下記組成からなるカルシウム測定試薬について実施例4と同様の検討を行った。結果を表3、4に示す。
(1)第一試薬組成
トリス−塩酸緩衝液(pH7.1) 50mM
NaCl 200mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド 0.05%
不活性化型α−アミラーゼ(ブタ膵臓由来) 2.1IU/ml
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.5) 300mM
NaCl 200mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 1.8mM
【0064】
実施例5
下記組成からなるカルシウム測定試薬について実施例4と同様の検討を行った。結果を表3、4に示す。
【0065】
(1)第一試薬組成
トリス−塩酸緩衝液(pH7.1) 50mM
NaCl 200mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.9mM
【0066】
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.5) 300mM
NaCl 200mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
不活性化型α−アミラーゼ(人唾液由来) 12 IU/ml
【0067】
比較例5
下記組成からなるカルシウム測定試薬について実施例4と同様の検討を行った。結果を表3、4に示す。
【0068】
(1)第一試薬組成
トリス−塩酸緩衝液(pH7.1) 50mM
NaCl 200mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.8mM
ガラクトシルマルトース 2.3mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド 0.05%
不活性化型α−アミラーゼ(人唾液由来) 6 IU/ml
【0069】
(2)第二試薬組成
グッド緩衝液(pH6.5) 300mM
NaCl 200mM
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.05%
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 1.8mM
【0070】
【表3】
Figure 0004022799
【0071】
【表4】
Figure 0004022799
【0072】
表3より、10mg/dl標準液感度の経日変化では比較例4と実施例4、比較例5と実施例5の比較において実施例4、5の40℃保存経日後の感度低下が小さいことがわかった。また実施例4と5の比較よりブタ膵臓由来α−アミラーゼよりも人唾液由来を用いた試薬の感度低下が小さく、保存安定性が優れていることがわかった。
また、表4より、血清値の経日変化では比較例4、5においてモニトロールIXの相対値(%)に低下傾向がみられ、モニトロールIIXに上昇傾向がみられるのに対し、実施例4、5ではほとんど変動はみられなかった。
【0073】
【発明の効果】
上述したように、本発明における電解質測定用試薬組成物は、測定試薬を2試薬の構成とし、安定性不良に起因するキレート剤と電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラーゼとを別々に処方することにより、従来のような安定化剤をむやみに使用することなく低温から実使用レベルである室温での長期的な溶液安定性が得られる。さらに、2試薬の構成を少なくとも第一試薬において(a)α−アミラーゼ基質および(b)キレート剤、第二試薬において(c)電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラ−ゼを含有する構成とし、さらに第一試薬において(d)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有することにより、混入α−アミラーゼの影響を回避できることから、安定性、正確性および定量性に優れた電解質測定用試薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2において、調製直後及び35℃、14日間保存した試薬を用いて〜50mg/dlのカルシウム水溶液10水準を測定した結果を、X軸に希釈水準、Y軸にカルシウム濃度(mg/dl)でプロットした図である。
【図2】比較例2において、調製直後及び35℃、14日間保存した試薬を用いて〜50mg/dlのカルシウム水溶液10水準を測定した結果を、X軸に希釈水準、Y軸にカルシウム濃度(mg/dl)でプロットした図である。

Claims (8)

  1. α−アミラーゼを用いた2つの試薬組成物からなる電解質測定用試薬において、第一試薬において(a)α−アミラーゼ基質および(b)キレート剤を含有し、かつ第二試薬において(c)電解質により可逆的に再活性化する不活性化型α−アミラ−ゼを含有し、かつ、(e)不活性型α−アミラーゼを含む試薬中にキレート剤を含有しないように処方された電解質測定用試薬。
  2. 第一試薬において(d)α−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有する請求項1に記載の電解質測定用試薬。
  3. α−アミラーゼ基質が2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドである請求項1〜2のいずれかに記載の電解質測定用試薬。
  4. 5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−クロロアセトアミド、2−ヒドロキシピリジン−N−オキサイド、イミダゾリジニルウレア、N−メチルイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびN−エチルマレイミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種類であるα−アミラーゼに対し阻害活性を有する物質を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電解質測定用試薬。
  5. キレート剤が1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸である請求項1〜4のいずれかに記載の電解質測定用試薬。
  6. 第一試薬がpH7以上であり、かつ第二試薬がpH6〜7である請求項1〜5のいずれかに記載の電解質測定用試薬。
  7. 電解質がカルシウムイオンである請求項1〜6のいずれかに記載の電解質測定用試薬。
  8. 電解質が塩素イオンである請求項1〜6のいずれかに記載の電解質測定用試薬。
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