JP2006129801A - 測定再現性向上方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】体液、特に血液または尿中の電解質、アポ化酵素を用いた体液中の電解質(特にカルシウムイオンや塩素イオン)の測定において、その再現性を向上させる測定再現性向上法を提供する。
【解決手段】電解質測定において、αーアミラーゼであるアポ化酵素と該酵素の阻害剤である1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸および/またはガラクトシルマルトースを同一試薬中に処方することにより、基質分解速度が一定となる時間を短縮することが可能となり、その結果測定の再現性を向上させることができた。
【選択図】なし

Description

本発明は体液、特に血液または尿中の電解質、例えばカルシウムイオン、塩素イオン等の電解質を測定する試薬の測定再現性を向上する方法に関する。また、電解質を測定する試薬の測定再現性を向上した組成物、更には、そのような測定再現性を向上した組成物の製造法に関する。
生体内の電解質の濃度は、通常厳密に代謝調節されていることから、体液中の電解質の測定は生体機能のバロメータとして生化学的臨床検査の中で最も一般的な分析であり、これらを測定することにより各種疾患の診断が行われる。例えば、血清中のカルシウムイオン量の測定は、低カルシウム血症として、低タンパク質血症、低リン血症、腎炎、ネフローゼ、ビタミンD欠乏症、副甲状腺機能低下症、クル病などの疾患、高カルシウム血症としては、骨腫瘍、アジソン病、肺気腫、副甲状腺機能亢進症、腎不全などの疾患の診断に用いられる。また例えば、血清中の塩素イオンの測定は低クロール血症として、低張性脱水症、グルココルチコイド過剰症、呼吸性アシドーシスなどの疾患、高クロール結晶としては、高張性脱水症、尿細管性アシドーシス、呼吸性アルカローシスなどの疾患の診断に用いられる。
本発明者らは先にα−アミラーゼを用いた体液中のカルシウムの測定法を提案している。
(特許文献1参照)。この方法はカルシウムによりα−アミラーゼが活性化されることを利用し、糖基質を分解し、分解した生成物を測定することにより、体液中のカルシウムを定量するものである。α−アミラーゼは活性発現に必要なカルシウムをそれ自体に含むため、前記方法に使用されるα−アミラーゼは脱塩処理によりカルシウムが除去され不活化する必要がある。α−アミラーゼを用いたカルシウム測定は他の酵素法であるホスホリパーゼDを利用する方法(特許文献2参照)、カルモジュリンを利用する方法(特許文献3参照)と比較して正確性かつ簡便性に優れているとして実際に臨床検査分野で用いられている。
特公平6−87798号公報 特開昭62−195297号公報 特開昭62−36199号公報
また、カルシウムを除去され、不活性化されたα−アミラーゼがカルシウムを取り込んで再度活性化されるためには、塩素イオンの存在が必須であり、その活性化の度合は塩素イオン濃度に比例することが知られている(非特許文献1、2参照)。この原理に基づきα−アミラーゼを用いて塩素イオン濃度を測定する方法(特許文献4、5参照)は、現在実際に臨床検査分野で用いられており、他の測定法と比較して正確性、簡便性、分析効率の点で優れている。
最新検査,6 (6) 363,(1989) The Chemical Times,2,32(1989) 特開平3−176000号公報 特開平4−94698号公報
一方、近年臨床検査分野では正確性および安定性向上、またはコスト削減、作業の省力化等の要求により、液状化試薬が主流になっている。従来は酵素等液状状態で不安定なものは凍結乾燥状態で流通し、使用時に添付の溶解液で溶解し測定に使用していたが、最近の成分酵素等の耐熱化、またはpH、バッファー条件の至適化などによる成分酵素の安定化により、液状状態での流通が可能となり、製造側としては凍結乾燥の手間が省け、また臨床検査現場においては溶解する手間が省け、臨床検査に関わる省力化に大きく貢献しているものである。しかし、アポ化酵素を利用する電解質測定法においては、液状化試薬の安定性を維持することが難しく、安定性の向上を中心にさらなる改良が続けられてきた。
アポ化酵素を利用する電解質測定法においては、α−アミラーゼの例で述べたように測定対象とする電解質が該酵素と結合して活性化され、活性化された酵素が基質を分解した結果生成された物質を測定することにより測定対象の濃度を定量する場合が多い。
例えば、α−アミラーゼを利用する電解質測定法は、簡便性、正確性などの点で優れていることは上述したとおりである。この方法において、α−アミラーゼは測定対象となるその活性発現に必要なカルシウムまたは塩素イオンを予め除去し、通常不活性型つまりアポ化された状態で用いられる。また、この方法においては、ブランク反応を抑える、競合阻害剤として定量性を調節する、または測定対象外の類似共雑イオンをマスキングする等の目的で、測定試薬中にキレート剤や基質アナログといった阻害剤が処方されている。
しかし、アポ化されたα−アミラーゼをキレート剤と共存させると安定性が悪く、長期の保存が不可能であり、安定化剤の検討がなされてきた。α−アミラーゼを安定化する方法は、いくつか知られており、例えば、カルシウムイオンを加える方法、塩素イオンを加える方法、アルブミンを加える方法(非特許文献3参照)、アミノ酸を加える方法(特許文献6参照)、酸のアルカリ金属塩等を加える方法(特許文献7参照)、メチオニンを加える方法(特許文献8参照)、アルミニウム塩を加える方法(特許文献9参照)などが上げられる。
臨床病理, 37 (10) 1155 (1990) 特開昭51−26284号公報 特開昭57−29286号公報 特開昭63−17690号公報 特開平1−104173号公報
しかし、上述した方法ではカルシウムを除去して不安定になったα−アミラーゼを完全に安定化するには不十分であり、また金属イオン等の使用は測定対象が微量のカルシウムであるために、測定に影響を及ぼすおそれがあり、好ましくない。更にアルブミン、アミノ酸、メチオニン等を加える方法は腐敗のおそれがあるため好ましいものではない。
そこで本発明者らは電解質により可逆的に再活性化するアポ化α−アミラーゼとキレート剤とを別々の試薬に処方することで、安定化剤をむやみに使用することなく低温から実使用レベルである室温での長期的な溶液安定性が得られることが見出している(特許文献10参照)。また、キレート存在下での不活性型α−アミラーゼの安定化方法としては、他にマルトース、α−シクロデキストリン等の小糖類、またはこれらの混合物が有用であることが知られている(特許文献11参照)。
特開2000−228997号公報 特許第2906200号
当業者の上記努力により液状安定性については改善されつつある。しかし、その他の試薬性能、とくに測定の再現性について、なお不満が残るとの指摘もなされていた。
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、電解質測定用液状試薬の安定性を維持し、かつ、測定の再現性を向上させることを課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。
まず、本願出願以前には測定の再現性が損なわれてしまう原因は不明であったが、本発明者らは鋭意検討により、上述のようにキレート剤とアポ化酵素を別々の試薬に処方することで確かに保存安定性は良好になるものの、アポ化酵素と電解質が結合しホロ化する(第2試薬にアポ化酵素がある場合)、あるいはホロ化酵素中の電解質をキレートしアポ化し(第1試薬にアポ化酵素がある場合)、アポ・ホロ比が一定になるまでにタイム・ラグが生じ、その結果基質の分解速度が一定になるまでに時間を要し、測光箇所での吸光度にバラツキが生じてしまうことを見出し、その原因を明らかにした。
そこで、本発明者らは、基質分解速度が一定となる時間を短縮し、体液中の電解質(特にカルシウム、塩素イオン)測定に用いることのできるアポ化酵素の活性化率あるいはホロ化酵素の不活性化率を一定に制御できれば測定の再現性を向上させることができるのではないかと考え、そのような課題を解決する方法を鋭意研究した結果、アポ化酵素と該酵素の阻害剤を同一試薬中に処方することにより基質分解速度が一定となる時間を短縮することが可能であり、その結果測定の再現性を向上させることが可能であることを見出し、本願発明に到達した。
すなわち本発明は、以下のような構成よりなる。
[項1]
測定対象とする電解質により活性化されるアポ化酵素を用いた2試薬系からなる電解質測定系において、アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を同一試液に処方することを特徴とする測定再現性向上方法
[項2]
アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を第一試薬に処方することを特徴とする項1記載の測定再現性向上方法
[項3]
アポ化酵素に対し活性化能を有する物質を第一試薬に処方し、該酵素の基質を第二試薬に処方することを特徴とする項1乃至2記載の測定再現性向上方法
[項4]
アポ化酵素に対し阻害活性を有する物質が測定対象とする電解質のキレート剤及び/または該酵素が活性を有するために必須な元素のキレート剤である項1乃至3記載の測定再現性向上方法
[項5]
アポ化酵素に対し阻害活性を有する物質が該酵素の基質アナログである項1乃至3記載の測定再現性向上方法
[項6]
アポ化酵素がα−アミラーゼである項1乃至5記載の測定再現性向上方法
[項7]
アポ化酵素に対し阻害活性を有する物質が1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸および/またはガラクトシルマルトースである項1乃至6記載の測定再現性向上方法
[項8]
測定対象とする電解質がカルシウムイオンである項1乃至7記載の測定再現性向上方法
[項9]
測定対象とする電解質が塩素イオンである項1乃至7記載の測定再現性向上方法
[項10]
測定対象とする電解質により活性化されるアポ化酵素を用いた2試薬系からなる電解質測定系において、アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を同一試液に処方した反応タイムラグが短い電解質測定用試薬
[項11]
測定対象とする電解質により活性化されるアポ化酵素を用いた2試薬系からなる電解質測定系において、アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を同一試液に処方することを特徴とする、測定再現性が向上した電解質測定試薬を製造する方法
上述したように、本発明における測定再現性向上方法により、反応開始後から基質の分解速度が一定になるのに要する時間を短くし、その結果測光ポイント間での吸光度変化のずれを小さくすることが可能であることがわかった。また、吸光度変化のずれが小さくすることにより測定の再現性を向上させることができる。
本発明に用いるアポ化酵素としては、測定対象とする電解質量により活性化する酵素であり、当該酵素中の測定対象の電解質が測定に用いられる程度に除去されているものであればよく、このような酵素としては例えばカルシウムイオン測定に用いられる酵素としてα−アミラーゼ、ホスホリパーゼD、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ウレアアミドリアーゼ、トランスグルタミナーゼ等が挙げられる。これら酵素は動物、植物、微生物から採取されるもの、またはこれらの遺伝子を他の微生物に組み込まれた遺伝子組換え微生物より製造されたものなどがあり、また、遺伝子的に性質を改変したものを含有する。また、これら酵素の特異性、安定性を向上させる目的で上記酵素を化学的に修飾したものも用いられる。また、これら酵素は、脱塩処理によってアポ化して用いるが、該脱塩処理は、例えば、透析、限外濾過、イオン交換、カラム除去、電気膜透析などの方法により行われるのが好ましい。このようなアポ化酵素の試薬組成中の濃度は、好ましくは反応液中に0.1〜1000IU/mlの範囲で用いられる。
本発明に用いる基質は、測定対象の電解質により活性化する酵素の基質特異性により設定される。また、本発明は、p−ニトロフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニルなどの発色基を結合した合成基質に限らず、酵素の作用により生成した生成物にさらに追随酵素を作用させ過酸化水素を生成させ、酸化還元色素をペルオキシダーゼの存在下、発色に導く系に用いられうる基質にも適用される。また、本発明に用いる基質の具体例としては、カルシウムイオン測定に用いる酵素としてα−アミラーゼを用いる場合、例えばマルトオリゴ糖の還元末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンとして結合させた誘導体を基質とする方法として、p−ニトロフェニルマルトペンタオシド、p−ニトロフェニルマルトヘキサオシド、p−ニトロフェニルマルトヘプタオシド、2,4−ジクロロニトロフェニルマルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトペンタオシド等を基質として用い、活性化されたα−アミラーゼを作用させ、必要によりα−グルコシダーゼ等の追随酵素を作用させて、これらの基質からアグリコンを遊離させ、遊離したアグリコンの量を光学的に測定することによりカルシウム等の電解質量を求める。
カルシウムイオン測定に用いる酵素としてα−アミラーゼを用いる場合、マルトオリゴ糖の還元末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンとして結合させたマルトオリゴ糖誘導体の非還元末端のグルコースの4位および6位のヒドロキシル基が何らかの手段で修飾された誘導体を基質とする方法は、基質として非還元末端グルコースがハロゲン、グルコピラノシル基等で修飾されたタイプの基質(例えば、特開昭60−237998号公報)あるいは、4位および6位のヒドロキシル基をアルキル基、アルコイル基またはフェニル基で置換したタイプの基質(例えば、特開昭60−54395号公報、特開平1−157996号公報)あるいは4位および6位のヒドロキシル基をβ−ガラクトピラノシル基で置換したタイプの基質(例えば、特開平3−264596号公報、特開平6−315399号公報)を用いる方法がある。これらの基質は非還元末端が修飾されておりα−グルコシダーゼの影響がないことから原理的に優れている。
なかでも、2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドを用いる方法は、追随酵素を必要としないことから低コストであり、しかも、α−アミラーゼの基質親和性が高いため好感度であるといったメリットがあり好適に用いられる。該基質の試薬組成物中での濃度は、反応液中に好ましくは0.05〜50mM、より好ましくは0.1〜2mMの範囲で用いられる。
本発明でいう2試薬系とは、2試薬より構成される測定系を指す。本発明は第一反応によりアポ化酵素のアポ・ホロ比を一定にし、続いて第二反応において基質を添加し基質分解反応を開始させることが必要であるため、試薬構成としては2試薬系が適している。
本発明において阻害活性を有する物質とはいわゆる競合阻害剤であり、金属キレート剤、基質アナログが挙げられる。これらは各々単独で用いることもできるが、これらの競合阻害剤としての役割(ブランク反応を抑える、定量性を調節する等)は同じではあるが、その化学的な機序は異なるため組合わせて用いることも可能である。
金属キレート剤としては、測定対象の電解質が特に金属イオンである場合は測定対象以外の金属イオンの試料に存在しうる濃度および当該金属イオンに対するキレート安定度定数を考慮して選択される。例えば、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(BAPTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、エチレンジアミン二プロピオン酸(EDDP)、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTPO)、ハイドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ハイドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTPO)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、クエン酸、酒石酸等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。なかでも、α−アミラーゼを用いたカルシウムイオン測定に用いられる物質としては、α−アミラーゼの至適pHが中性付近であり、本pH条件下で金属選択性を保持する、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸が好ましい。該金属キレート剤の試薬組成中濃度は反応液中濃度として、0.01〜100mM、好ましくは0.01〜10mM、より好ましくは0.1〜1mMの範囲で用いられる。また、上記に示されるキレート剤を複数組合わせて用いることができる。
基質アナログとしては、例えばカルシウムイオン測定に用いる酵素としてα−アミラーゼを用い、基質として2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトトリオシドまたは2−クロロ−4−ニトロフェニル4−o−β−D−ガラクトピラノシルマルトシドを用いる場合は、マルトオリゴ糖、またはその非還元末端グルコースを修飾したマルトオリゴ糖、またはその還元末端グルコースに非発色源基が結合したマルトオリゴ糖より選ばれる基質が好適に用いられる。また、カルシウムイオン測定に用いる酵素としてアポ化されたホスフォリパーゼを用いた場合、リン酸のアナログとしてモリブデン酸、ヒ酸、硫酸イオン等が挙げられるがこれらに限定するものではない。
本発明で言う電解質とは、水その他の溶媒に溶解して溶液がイオン電導を行うような物質をいうものであり、具体的には、カルシウムイオン、塩素イオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等を指す。
本発明はアポ化酵素の安定性ではなく、それを用いて電解質を測定した場合の再現性が良好になるための方法を提案しているため、本発明を用いて電解質測定試薬を調整する場合、アポ化酵素の安定化剤を添加する必要がある。用いられる安定化剤としては、特に限定されないが、チオール化合物、フラビン含有化合物、糖類、アルブミン、キレート剤等の公知の各安定化剤が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アポ化したα−アミラーゼとそれに対し阻害活性を有する1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸を共存させ、第一試薬とした下記組成からなるカルシウム測定試薬を調整し、市販の管理血清2種の100回繰り返し測定を実施し、再現性を評価した。また第二試薬として基質溶液添加直後からの吸光度変化についても評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
マルトース一水和物 150mM
NaCl 60mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 8.7IU/mL
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.6g/L
再現性については日立7700型自動分析機を用いて検討した。試料量3.5μLに第一試薬120μlを加え、5分間予備加温した後、さらに第二試薬40μlを加えて反応を開始させ、第二試液添加後2分後からの3分間における1分当たりの吸光度変化を求め、精製水およびカルシウム10mg/dL標準液での2点検量線に基づき試料中のカルシウム量を求めた。測定波長は、主波長405nm、副波長546nmとし、測定温度は37℃で実施した。
基質溶液添加直後からの吸光度変化については日立7170型自動分析機を用いて検討した。カルシウム濃度10mg/dlに調整した水溶液5.2μLに第一試薬180μLを加え、5分間予備加温した後、さらに第二試薬60μLを加えて反応を開始させ、第二試薬添加2分後(測光ポイント23)から最終測光ポイント(34)間の各測光ポイント間の吸光度/分を算出し、標準偏差および変動係数を評価対象とした。
比較例1
下記組成からなるカルシウム測定試薬を調整し、市販の管理血清2種の100回繰り返し測定を実施し、再現性を評価した。また第二試薬として基質溶液添加直後からの吸光度変化についても評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 60mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
Figure 2006129801
Figure 2006129801
結果 表1および表2に示す。表1より実施例1の方が比較例1よりも同時再現性CVが良好であることがわかる。同様に表2についても実施例1の方が比較例1よりもCVが小さいことから、アポ化酵素と該酵素に対する阻害剤を共存させ、第一試薬として処方することで分析機の測光ポイント間での吸光度変化のずれが小さくなるといえる。
本発明の測定再現性向上方法は、体外診断用医薬品などの用途分野に利用することができ、産業界に寄与することが大である。

Claims (11)

  1. 測定対象とする電解質により活性化されるアポ化酵素を用いた2試薬系からなる電解質測定系において、アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を同一試液に処方することを特徴とする測定再現性向上方法
  2. アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を第一試薬に処方することを特徴とする請求項1記載の測定再現性向上方法
  3. アポ化酵素に対し活性化能を有する物質を第一試薬に処方し、該酵素の基質を第二試薬に処方することを特徴とする請求項1乃至2記載の測定再現性向上方法
  4. アポ化酵素に対し阻害活性を有する物質が測定対象とする電解質のキレート剤及び/または該酵素が活性を有するために必須な元素のキレート剤である請求項1乃至3記載の測定再現性向上方法
  5. アポ化酵素に対し阻害活性を有する物質が該酵素の基質アナログである請求項1乃至3記載の測定再現性向上方法
  6. アポ化酵素がα−アミラーゼである請求項1乃至5記載の測定再現性向上方法
  7. アポ化酵素に対し阻害活性を有する物質が1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸および/またはガラクトシルマルトースである請求項1乃至6記載の測定再現性向上方法
  8. 測定対象とする電解質がカルシウムイオンである請求項1乃至7記載の測定再現性向上方法
  9. 測定対象とする電解質が塩素イオンである請求項1乃至7記載の測定再現性向上方法
  10. 測定対象とする電解質により活性化されるアポ化酵素を用いた2試薬系からなる電解質測定系において、アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を同一試液に処方した反応タイムラグが短い電解質測定用試薬
  11. 測定対象とする電解質により活性化されるアポ化酵素を用いた2試薬系からなる電解質測定系において、アポ化酵素と該酵素に対し阻害活性を有する物質を同一試液に処方することを特徴とする、測定再現性が向上した電解質測定試薬を製造する方法
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JP2006180742A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Toyobo Co Ltd 電解質測定試薬の定量域拡大方法

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