JP2007116977A - 他測定項目への影響低減方法 - Google Patents

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里文 齋木
Shinsuke Kimata
木全  伸介
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Abstract

【課題】従来技術の課題を背景になされたもので、体液、特に血液または尿中の臨床的意義を有する物質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの電解質を測定対象とする物質により活性化あるいは不活性化される酵素を利用して測定する測定試薬の他測定項目への影響回避方法に関し、良好な定量性を持たせるための新規な方法を提供する。
【解決手段】試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した該測定対象測定方法であって、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含むことを特徴とする測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、体液、特に血液または尿中の臨床的意義を有する物質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの電解質を測定対象とする物質により活性化あるいは不活性化される酵素を利用して測定する測定試薬の他測定項目への影響低減方法に関し、更に詳細にはα−アミラーゼ活性を利用した電解質を測定する測定試薬における他測定項目への影響低減方法に関する。
生体内の電解質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの濃度は、通常、厳密に代謝調節されていることから、体液中の電解質の測定は、生体機能のバロメーターとして、生化学的臨床検査の中で最も一般的な分析であり、これらを測定することにより、各種疾患の診断が行われる。たとえば、血清中のカルシウムイオン量の測定は、低カルシウム血症として、低タンパク血症、低リン血症、腎炎、ネフローゼ、ビタミンD欠乏症、副甲状腺機能低下症、クル病等の疾患、高カルシウム血症としては、骨腫瘍、アジソン病、肺気腫、副甲状腺機能亢進症、腎不全等の疾患の診断に用いられる。また、血清中の塩素イオン量の測定は、低クロール血症として、低張性脱水症、グルココルチコイド過剰症、呼吸性アシドーシス等の疾患、高クロール血症としては、高張性脱水症、尿細管性アシドーシス、呼吸性アルカローシス等の疾患の診断に用いられる。
現在、カルシウムの測定方法として使用されている方法としては、原子吸光法、電極法、ο−クレゾールフタレイン・コンプレクソン法(以下、OCPC法と略すこともある)などがある。これらの方法は、高価な機器を必要とし、また試料の前処理を必要とする場合がある。特にOCPC法ではマグネシウムイオンの影響を受ける、まら温度や測定時間によって吸光度が変化するなどの欠点がある。
このため、最近では、カルシウムイオンによる酵素の活性化又は阻害を利用した測定方法として、カルシウムイオンによるホスホリパーゼDの活性化を利用した測定(例えば、特許文献1〜5参照。)、カルシウムイオンによるピルビン酸キナーゼ活性の阻害を利用した測定(例えば、特許文献6参照。)、カルシウムイオンによるグルタミン酸脱水素酵素の活性化を利用した方法(例えば、特許文献7参照。)カルシウムイオンによるα−アミラーゼの活性化を利用した測定(例えば、特許文献8および9参照。)等が提案されている。
特開昭62−195297号公報 特開平4−187098号公報 特開2002−238598号公報 特開2004−329203号公報 特開2004−337100号公報 特開平2−142498号公報 特開2000−102392号公報 特開平2−276597号公報 特公平6−87798号公報
ホスホリパーゼDの活性化を利用した方法としては、例えば基質としてリゾレシチンを用いた場合、検体中のカルシウム濃度依存的に活性化されたホスホリパーゼDが基質であるリゾレシチンを分解し、反応生成物であるコリンをコリンオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ共役系にてキノン型色素の生成に導きこれを工学的に測定する方法が挙げられる。
また、ホスホリパーゼDを用いた方法としては、基質としてリン酸ジエステル化合物であるビス(4−ニトロフェニル)リン酸を用いた方法も報告されている。これは57キロダルトンのホスホリパーゼDアイソザイムの割合が50%以上であるホスホリパーゼDのカルシウム依存的なフォスファターゼ活性を利用した方法で、試料中のカルシウム濃度に依存して活性化されたホスホリパーゼDがビス(4−ニトロフェニル)リン酸を加水分解し、発色性基である4−ニトロフェニル基を2分子遊離させ、この発色性基が吸収を示す波長において、分光光度計を用いて吸光度(4−ニトロフェニル基である場合405nmなど)を測定することにより、遊離した発色性基の量を求め、これによりホスホリパーゼDの活性値を求め、さらに試料中のカルシウム濃度を算出する方法である。
ピルビン酸キナーゼの活性阻害を用いた方法としては、例えば基質をホスホエノールピルビン酸(PEP)として使用した場合、ピルビン酸キナーゼはPEPを脱リン酸し、ピルビン酸(PA)に変換する酵素であり、このときアデノシンジホスフェート(ADP)はリン酸化され、アデノシントリホスフェート(ATP)に変換され、この反応にはマグネシウムイオンを必要とする。この系にカルシウムイオンを添加するとピルビン酸キナーゼが濃度依存的に阻害され、反応が進行しなくなるため、その阻害程度を出発原料(ADP、PEP)、生成物(ATP、PA)のいずれか一つの量を測定することにより、カルシウム濃度を算出する方法がある。
グルタミン酸脱水素酵素の活性化を用いた方法としては、試料中のカルシウム濃度により活性化されたグルタミン脱水素酵素と2−オキソグルタル酸およびNADHを反応させ、反応前後のNADH量の変化からカルシウム濃度を算出する方法である。
α-アミラーゼの活性化を用いた方法としては、カルシウムイオンによりアポ化α-アミラーゼが活性化され、糖基質例えば2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドに作用し、2−クロロ−4−ニトロフェニル(CNP)を生成する。このCNPの生成速度を測定することによりカルシウムイオンを測定する方法である。生成するCNPは遊離した後プロトンを解離することで発色し、400nm付近に吸収極大を持つ。
また、カルシウムを除去され、不活性化されたα−アミラーゼがカルシウムを取り込んで再度活性化されるためには、塩素イオンの存在が必須であり、その活性化の度合は塩素イオン濃度に比例することが知られている。この原理に基づきα−アミラーゼを用いて塩素イオン濃度を測定する方法(特許文献10、11参照)は、現在実際に臨床検査分野で用いられている。
特開平3−176000号公報 特開平4−94698号公報
測定対象による酵素の活性化あるいは不活性化を利用した試料中のカルシウム測定方法(測定試薬)においてはその測定原理上測定範囲に限界があるという欠点を有していた。即ち、測定対象による酵素の活性化あるいは不活性化は測定対象の濃度依存的に行われるが、酵素に接触する測定対象濃度がある範囲を超えると、酵素の活性化あるいは不活性化度合は一定となってしまい、濃度に依存した反応が進行しなくなる。その結果、ある濃度以上の測定対象の測定の定量性は失われてしまう。
カルシウムなどのイオンを酵素の活性化又は阻害を利用して測定する方法において、測定の定量性を向上させるために種々の検討がなされている。測定の定量性とは、測定対象の濃度とある測定試薬を用いて測定した測定値がほぼ一致することを指し、測定対象の濃度と測定値とがほぼ一致している濃度範囲をその測定試薬の定量範囲とする。測定の定量性とは測定可能としたい濃度範囲の上限濃度の測定対照物質を含む溶液の希釈系列を作製し、その溶液を測定した時の測定値をその溶液の理論濃度で除した値が1.00に近いほど、その濃度範囲での定量性が良好であると判断できる。より具体的には1.00±0.10、より好ましくは1.00±0.05の範囲内に収まっているとき、その濃度範囲における定量性が良好であり、測定対象濃度と測定値がほぼ一致していると判断する。
例えば、ホスホリパーゼDを用いた測定法においては、測定系に使用する酵素のアイソザイムの比率を規定することで定量性が改善され、またコバルトイオン、ニッケルイオン、亜鉛イオンといった金属イオンやクエン酸、酒石酸、シュウ酸などといったキレート剤を添加することによっても定量性が改善されるとの報告がある(例えば特許文献12)。
特開2004−298083号公報
また例えば、カルシウム依存型グルタミン酸脱水素酵素を用いた測定法においては、カルシウム濃度に対する活性調節可能な因子、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、CyDTA(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N,N',N'−四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、GEDTA(グリコールエーテルジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)などといったキレート剤を測定試薬中に含有させることで低濃度のカルシウムに対する定量性も維持することができるとの報告がある(例えば特許文献4参照。)。
また、本発明者らは先にα−アミラーゼを用いたカルシウム濃度測定法においては反応阻害剤としてキレート剤や少糖を試薬中に添加することや反応pHを調節することにより定量性を調節可能であることを報告している(例えば特許文献13参照。)。
特開2000−276199号公報
しかし、測定に使用する酵素の活性化程度を調節するために金属イオンを添加した場合、他の測定項目の測定試薬への影響が懸念されることに加え、廃液が環境に悪影響を与える可能性も否定できない。また、キレート剤を添加した場合、測定対象以外の物質と錯体を形成する可能性があるために、測定値に誤差が生じる可能性があった。
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、体液、特に血液または尿中の臨床的意義を有する物質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの電解質を測定対象とする物質により活性化あるいは不活性化される酵素を利用して測定する測定試薬および測定方法に関し、他の測定項目に与える影響を低減し良好な定量性を持たせるための新規な方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示すような手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は体液、特に血液または尿中の臨床的意義を有する物質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの電解質を測定対象とする物質により活性化あるいは不活性化される酵素を利用して測定する測定試薬の他測定項目への影響回避方法関し、更に詳細にはα−アミラーゼ活性を利用した電解質を測定する測定試薬における他測定項目への影響回避方法に関する。
(項1)
酵素を利用した該測定対象測定方法における測定対象以外の測定に与える影響を低減する方法であって、該酵素が、試料中の測定対象により活性化または不活性化される酵素であり、かつ、以下の(1)(2)に示す物質を含む測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
(1)タンパク質以外の物質であって、測定対象と実質的に結合しない物質
(2)タンパク質以外の物質であって、測定対象に実質的に結合する物質
(項2)
試料中の測定対象が電解質である項1記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
(項3)
測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質および/または測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質がキレート剤、有機酸、または包接化合物よりからなる群から選択される少なくとも一つの物質を含むことを特徴とする項1または2に記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
(項4)
測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質および測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質が測定対象との親和性により選択された物質であることを特徴とする項1乃至3記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
(項5)
試料中の測定対象がカルシウムイオンである項1乃至4記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
(項6)
試料中の測定対象が塩素イオンである項1乃至4記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
(項7)
試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素がα−アミラーゼであることを特徴とする項1乃至6記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
(項8)
試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定試薬であって、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と、測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含む、測定対象以外の測定に与える影響が低減した測定試薬。
(項9)
試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定キットであって、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含む、測定対象以外の測定に与える影響が低減した
測定キット。
(項10)
測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含有させる工程を含む、試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定試薬であって、測定対象以外の測定に与える影響が低減した測定試薬の製造方法。
(項11)
測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含有させる工程を含む、試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定キットであって、測定対象以外の測定に与える影響が低減した測定キットの製造方法。
本発明により、体液、特に血液または尿中の臨床的意義を有する物質、例えばカルシウムイオン、塩素イオンなどの電解質を測定対象とする物質により活性化あるいは不活性化される酵素を利用して測定する測定試薬および測定方法において、測定対象に実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を各々少なくとも1種ずつ含有させることにより、良好な定量性を有した特異性の高い試料中の電解質濃度測定が可能となった。
本発明において試料とは試料中のカルシウム濃度の測定を行おうとするもののことであり、このようなものであれば特に限定されない。このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、汗などの体液、ヒト若しくは動物の腎臓、心臓、肺、脳などの臓器等の抽出液;骨格筋、骨髄、皮膚、又は神経組織などの抽出液;毛髪などの抽出液、ヒト又は動物の糞便の抽出液又は懸濁液;細胞の抽出液;植物の抽出液;食品又はこれらの抽出液;農林水産物又はこれらの抽出物;飲料水;飲料;環境試料(土壌、海水、河川水、湖沼水、地下水など);あるいは薬剤などが挙げられる。
本発明でいう試料中の測定対象とは臨床的あるいは生理的に意義を有する物質であれば特に限定されないが、例えば電解質が挙げられる。電解質とは、水などの溶媒に溶かした時、陽イオンと陰イオンに解離し、その溶液が電気を導くようになる物質を指す。例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、塩素、乳酸、クエン酸などであるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いる測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素としては、測定対象とする物質により活性化あるいは不活性化される酵素であればよく、例えば測定対象がカルシウムイオンである場合、α−アミラーゼ、ホスホリパーゼD、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ウレアアミドリアーゼ、トランスグルタミナーゼなどが挙げられるが、特に限定される物ではない。これら酵素は動物、植物、微生物から採取されるもの、またはこれらの遺伝子を他の微生物に組み込まれた遺伝子組換え微生物より製造されたものなどがあり、また、遺伝子的に性質を改変したものを含有する。また、これら酵素の特異性、安定性を向上させる目的で上記酵素を化学的に修飾したものも用いられる。また、これらの酵素は測定試薬の安定性、正確性などの精度を向上させるなどの目的で測定対象とする物質を予め実質的に除去しておくことが好ましい。測定対象とする物質を予め実質的に除去しておくための方法として例えば脱塩処理が挙げられるが、該脱塩処理は、例えば、透析、限外濾過、イオン交換、カラム除去、電気膜透析などの方法により行われるのが好ましい。上記のように調製した酵素の試薬組成中の濃度は、使用する酵素および測定に求められる精度により異なるが、好ましくは0.01〜1000U/mLの範囲で用いられる。好ましくはα−アミラーゼでは0.5〜1000U/mL、より好ましくは1〜500U/mLの範囲、ホスホリパーゼDでは0.01〜5U/mL、より好ましくは0.01〜2U/mL、さらに好ましくは0.01〜0.5U/mLの範囲、カルシウム依存型グルタミン酸デヒドロゲナーゼでは0.1〜50U/mL、より好ましくは0.5〜10U/mLの範囲、ピルビン酸キナーゼでは2〜200U/mLで用いることができる。これらの酵素は種々の市販のものを用いることが出来るし、また、当業者であれば種々の公知文献を参照して製造することも可能である。
本発明でいう測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質とは、測定対象との結合定数が、測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質と測定対象との結合定数と比較して小さい、酵素などタンパク質以外の物質を指す。
一方、測定対象に結合するタンパク質以外の物質とは、測定対象との結合定数が、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象との結合定数と比較して大きい、酵素などタンパク質以外の物質を指す。
本発明でいうタンパク質以外の物質とはタンパク質以外であれば特に限定されないが、例えばキレート剤、有機酸、包接化合物が挙げられる。
キレート剤としては例えば、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(BAPTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、エチレンジアミン二プロピオン酸(EDDP)、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTPO)、ハイドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ハイドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTPO)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)グリシン(Bicine)トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N‘,N’−四酢酸一水和物(CyDTA)、N,N,N‘,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、トリエチレンテトラアミン−N,N,N‘,N’‘,N’‘’,N‘’‘−六酢酸(TTHA)、ジメルカプロール(BAL)、アセチルアミノプロピリジン二リン酸(APDA)、N,N’−ビス−1,3−プロパンジアミン、1、3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、8−ヒドロキシキノリンまたはその塩、フィチン酸、ソルビトール、リン酸、糖酸、チオジプロピオン酸、レシチン、フェニルアラニンおよび薬学的に許容しうるそれらの塩等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
有機酸としては例えば、酒石酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、パントテン酸、グルタル酸、ピルビン酸、グルコン酸、アルギン酸、フタル酸、乳酸酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、ナフテン酸、セバシン酸、アジピン酸、ヘキサン酸、安息香酸、ギ酸、ステアリン酸またはその塩等が挙げられ、より好ましくは酒石酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、シュウ酸およびその塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
包接化合物としては例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが挙げられ、またはその誘導体としてグリコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グリコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、グリコシル−γ−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−β−シクロデキシトリン、トリアセチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンが挙げられ、また1,4,7,10,13−ペンタオキサ(13)オルトシクロファン、1,4,7,10,13,16−ヘキサヒドロキシ−16−オルトシクロファン、1,4,7,10−テトラオキサシクロドデカン、1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロペンタデカン、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、2−デシル−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、1,4,7,14,17,20−ヘキサオクサ[7.7]オルトシクロファン、1,4,7,10,17,20,23,26−オクタオクサ[10.10]オルトシクロファン、2,5,8,15,21−ヘキサオキサトリシクロ[20.4.0.09.14]ヘキサコサン、N−フェニル−13−アザ−1,4,7,10−テトラシクロペンタデカン、4‘−ニトロベンゾ−1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロペンガデカン、ビス[(1,4,7,10−テトラオキサシクロドデカン)メチル]−2−ドデシル−2−メチルマロネート、ビス[(ベンゾ−1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロペンタデカン)−4−メチル]ピメレート、2,7−ジーtert−ブチル−9,9−ジメチル−4,5−ビス(N’−n−ブチルチオウレイレン)キサンテン、4,13−ビス[N−(1−アダマンチル)カルバモイルアセチル]−8−テトラデシル−1,7,10,16−テトラオキサ−4,13−ジアザシクロオクタデカン、6,6−ジベンジルー1,4,8,11−テトラオキサシクロテトラデカン、4,16−ビス[(N−オクタデシルカルバモイル)−3−オクサブチリル]−1,7,10,13,19−ペンタ−4,16−ジアザシクロヘンエイコサミン、4−[N−(1−アダマンチル)カルバモイルアセチル]−13−[N−(n−オクタデシル)カルバモイルアセチル]−1,7,10,16−テトラオクサー4,13−ジアザシクロオクタデカン、4,13−ビス[N−(シクロドデシル)カルバモイルアセチル]−1,7,10,16−テトラオクサー4,13−ジアザシクロオクタデカン、2,6,13,16,23,26−ヘキサオクサヘプタシクロ[25.4.4.47,12.01,17.07,12.017,22]トリテトラコンタン、2,2,3,3−テトラメチル−9−テトラデシル−1,4,8,11−テトラオクサシクロテトラデカン、4,10,15−トリオクサ−1,7−ジアザバイシクロ[5.5.5]ヘプタデカン、1,4,10−トリオクサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン、4,7,13,18−テトラオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.5.5]エイコサン、1,7,10,16−テトラオクサー4,13−ジアザシクロオクタデカン、4,7,13,16,21−ペンタオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.5]トリコサン、2−デシル−4,7,13,16,21−ペンタオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.5]トリコサン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、5−デシル−4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、1,7,10,13,19−ペンタオクサ−4,16−ジアザシクロヘンエイコサン、1,13−ビス(8−クイノリル)−1,4,7,10,13−ペンタオクサトリデカン,8,8−(1,4,7,10,13−ペンタオクサトリデシレン)−ジクイノリン、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカントリスルフェート、5,6−ベンゾ−4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]−ヘキサコサン、5,6−14,15−ジベンゾ−4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、5,6−14,15−ジシクロヘキシレン−4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,13−ジデシル−1,7,10,16−テトラオクサ−4,13−ジアザシクロオクタデカン、4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、シス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、バリノマイシン、ノナクチン、アンタマニドといった大環状ポリエーテル等が挙げられ、より好ましくは上記大環状ポリエーテル類であるが、これらに限定されるものではない。
これらのキレート剤、有機酸および包接化合物は種々の市販のものを用いることが出来るし、また、当業者であれば種々の公知文献を参照して製造することも可能である。
本発明は測定対象との親和性の大小から選択された、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質を含有することで、その効果を発揮するが、ここでいう親和性の大小は錯体生成定数、結合定数等といった物質間の結合力を表す定数の大小で判断をし、相対的に測定対象との親和性が小さい物質を測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と考え、また相対的に測定対象との親和性が大きい物質を測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質と考えることとする。
測定対象との親和性の大小を評価する具体的な数値としては、例えば測定対象と実質的に結合しない物質と測定対象間の結合力を表す定数を測定対象と実質的に結合する物質と測定対象間の結合力を表す定数で除した値を使用する。その値が0.95以下であれば有意な結合力の差があると判断し、値が0に近ければ近いほど結合力の差が大きいと判断するが、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.6以下、さらにより好ましくは0.1以下であれば本発明の効果を発揮することができる。
ホスホリパーゼDを用いたカルシウム測定試薬に関する公知文献中(特許文献3参照)において、ホスフォリパーゼD、リン酸モノエステラーゼ、ホスフォリパーゼDの基質、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を含有するとの記載があるが、グリコールエーテルジアミン四酢酸の測定対象であるカルシウムとのキレート安定度定数は11.00であり、一方のジエチレントリアミン五酢酸の上記定数は10.74で、数値上は前者が測定対象と実質的に結合する物質であり、後者が実質的に結合しない物質であるが、除した値が0.976と0.95より大きいため、グリコールエーテルジアミン四酢酸とジエチレントリアミン五酢酸の間に測定対象に対する親和性差はないと判断する。
本発明に適用する測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質は、実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象間の親和力との相対差により決定されることは既に述べたが、測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質は本発明の効果のほかに、測定に使用する酵素の活性化および/または不活性化程度を調節する効果も保持する可能性があるため、測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質と測定対象間の親和力は測定に使用する酵素により至適pHなどの差があるため絶対値の違いはあるが、ある程度の測定対象に対して特異的な親和性を持っておく必要があると考えられる。
本発明に適用する測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質を選択する場合に、選択の指標となる物質間の結合力を示す定数が公知でない場合、次に示す方法で簡便に結合力の大小を評価することとする。
測定対象とする物質を含む溶液を準備し、その溶液に測定対象との結合力を比較したい物質Aまたは物質Bを添加して試料Aおよび試料Bとする。測定対象とする物質を含まず、物質Aあるいは物質Bのみを含む溶液をブランク試料Aおよびブランク試料Bとする。物質AおよびBの添加濃度は試料、ブランク試料とも等モル濃度とする等モル濃度は物質種により溶解性が異なるため、この限りではないが、好ましくは10〜100mM、より好ましくは20〜50mMの範囲内の任意の濃度である。各試料を測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を含む測定試薬を用いて測定する。
試料A、試料Bおよびブランク試料A、Bを測定した際の測定感度を評価の指標として使用する。つまり、試料Aの測定感度からブランク試料Aの測定感度を差し引いた感度Aと試料Bの測定感度からブランク試料Bの測定感度を差し引いた感度Bを比較し、感度A>感度Bであれば、物質Aの方が測定対象との結合力が小さく、物質Bの方が測定対象との結合力が大きいと評価でき、そのため物質Aおよび物質Bを本発明に適用する場合は物質Aが測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質に該当し、物質Bが測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質に該当する。
本発明に適用する測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質を選択する場合に、選択の指標となる物質間の結合力を示す定数が公知でない場合にも、測定対象と実質的に結合する物質と測定対象間の結合力を表す感度を測定対象と実質的に結合しない物質と測定対象間の結合力を表す感度で除した値を測定対象との親和性の大小を評価する指標として使用する。その値が0.95以下であれば有意な結合力の差があると判断し、値が0に近ければ近いほど結合力の差が大きいと判断するが、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.6以下、さらにより好ましくは0.1以下であれば本発明の効果を発揮することができる。
上記方法は本発明に適用する物質が3個以上の場合にも適用することが可能である。
本発明でいう、測定に使用する酵素の測定対象以外の活性化および/または不活性化因子とは測定に使用する酵素がα−アミラーゼである場合、例えば測定対象がカルシウムである場合は塩素イオンをいい、測定対象が塩素イオンである場合はカルシウムをさす。また拮抗阻害剤として機能する少糖類もこれに該当するがこれらに限定されるものではない。
また、測定対象がカルシウムであり、測定に使用する酵素がホスホリパーゼDである場合、測定対象以外の活性化および/または不活性化因子としては硫酸イオン、燐酸イオン、モリブデン酸、ヒ酸、鉄イオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等が挙げられるがこれらの限定されるものではない。
また、測定対象がカルシウムであり、測定に使用する酵素がグルタミン酸デヒドロゲナーゼである場合、測定対象以外の活性化および/または不活性化因子としてはATP、GTP、NADH、ADP、GDP、2−オキソグルタル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、測定対象がカルシウムであり、測定に使用する酵素がピルビン酸キナーゼである場合、測定対象以外の活性化および/または不活性化因子としてはフルクトース1,6−ビスリン酸、ATP、AMP等が考えられるが、これらに限定されるものではない。
本発明は測定対象と実質的に結合しない物質を含有しているため、定量性を改善する効果に加えて、測定の特異性に影響を与える物質を捕捉することにより測定の特異性を向上させる効果も期待できる。
特異性に影響を与える物質としては、試料中に含まれる測定対象以外の物質、本発明の測定試薬中に含まれる物質、または他の測定項目を測定するための試薬に含まれる物質等が挙げられる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、水銀、鉛、モリブデン、アルミニウム、バナジウム、カドミウム等の金属カチオン、塩基性アミノ酸、アンモニウムイオン等の陽イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、燐酸イオン、酸性アミノ酸等の陰イオンが挙げられるが、これらに限定される物ではない。
本発明の「試料中の測定対象測定用組成物」は、液体状、固体状など種々の形態をとることが出来る。また、いくつかのパーツに分割されていて構成されていても良い。例えば液体状の場合は、市販の自動分析機に適用できるよう、あるいは、試薬の安定性を確保する観点から、2以上に分割された構成をとることが好ましい。この場合、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質は同一試薬中に含まれていても良いし、別々の試薬に処方されていても構わない。また、固体状では、粉末、凍結乾燥状態や、例えばドライケミストリーの形態としてチップ等上に塗布された形態などが例示できる。
本発明に用いる基質は、測定対象の電解質により活性化する酵素の基質特異性により設定される。また、本発明は、p−ニトロフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニルなどの発色基を結合した合成基質に限らず、酵素の作用により生成した生成物にさらに追随酵素を作用させ過酸化水素を生成させ、酸化還元色素をペルオキシダーゼの存在下、発色に導く系に用いられうる基質にも適用される。また、本発明に用いる基質の具体例としては、カルシウムイオン測定に用いる酵素としてα−アミラーゼを用いる場合、例えばマルトオリゴ糖の還元末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンとして結合させた誘導体を基質とする方法として、p−ニトロフェニルマルトペンタオシド、p−ニトロフェニルマルトヘキサオシド、p−ニトロフェニルマルトヘプタオシド、2,4−ジクロロニトロフェニルマルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトトリオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニルマルトペンタオシド等を基質として用い、活性化されたα−アミラーゼを作用させ、必要によりα−グルコシダーゼ等の追随酵素を作用させて、これらの基質からアグリコンを遊離させ、遊離したアグリコンの量を光学的に測定することによりカルシウム等の電解質量を求める。これらの基質は種々の市販のものを用いることが出来るし、また、当業者であれば種々の公知文献を参照して製造することも可能である。
カルシウムイオン測定に用いる酵素としてα−アミラーゼを用いる場合、マルトオリゴ糖の還元末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導体をアグリコンとして結合させたマルトオリゴ糖誘導体の非還元末端のグルコースの4位および6位のヒドロキシル基が何らかの手段で修飾された誘導体を基質とする方法は、基質として非還元末端グルコースがハロゲン、グルコピラノシル基等で修飾されたタイプの基質(例えば、特許文献14参照)あるいは、4位および6位のヒドロキシル基をアルキル基、アルコイル基またはフェニル基で置換したタイプの基質(例えば、特許文献15、16参照)あるいは4位および6位のヒドロキシル基をβ−ガラクトピラノシル基で置換したタイプの基質(例えば、特許文献17、18参照)を用いる方法がある。これらの基質は非還元末端が修飾されておりα-グルコシダーゼの影響がないことから原理的に優れている。
特開昭60−237998号公報 特開昭60−54395号公報 特開平1−157996号公報 特開平3−264596号公報 特開平6−315399号公報
なかでも、2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシドを用いる方法は、追随酵素を必要としないことから低コストであり、しかも、α−アミラーゼの基質親和性が高いため好感度であるといったメリットがあり好適に用いられる。該基質の試薬組成物中での濃度は、反応液中に好ましくは0.05〜50mM、より好ましくは0.1〜2mMの範囲で用いられる。
本発明において測定対象によって活性化される酵素としてα−アミラーゼを使用し、測定対象としてカルシウム濃度を測定する場合の試薬組成物の最終pHは5.0〜9.0、より好ましくは6.0〜8.0、更に好ましくは6.5〜7.5の範囲であり、より一層、α−アミラーゼの糖分解反応速度そのものを制御し、測定範囲を広げることが可能となる。一方、α−アミラーゼの安定至適pHは6〜8の中性付近であることより、本発明の試薬組成物をpH6〜8の範囲で調製するのが好ましいと考えられるが、同時に定量性等の性能を得るには、最終pHを調製する試薬をさらに処方し、上述したように第一試薬と第二試薬に分け、これらが混合した状態で反応至適pHになるように処方することもできる。試薬pHを保持する方法は公知の方法であれば、何ら限定されるものではないが、一般的には緩衝剤が用いられる。用いる緩衝剤としては、例えば、グッド緩衝剤、トリス緩衝剤、リン酸緩衝剤等があげられる。中でもトリス緩衝液、燐酸緩衝液は濃度・温度によってpHが変動しやすいが、安価であるという利点がある。一方、GOOD緩衝液にはMES、Bis−Tris、ACES、BES、MOPS、PIPES、TES、HEPES、Tricine、Bicine、POPSO、TAPS、CHES、CAPSなどが例示される。また、緩衝剤濃度は好ましくは10〜500mM、より好ましくは50〜300mMの濃度で用いられる。
さらに、本発明の試薬組成物には、必要に応じて、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤、プロテアーゼ阻害剤等を測定する電解質の定量性に影響を及ぼさない範囲で使用することもできる。
本発明の試薬組成物の最終pHは上述したようにα−アミラーゼでは5.0〜9.0が好適に用いられるし、ホスホリパーゼDでは5.0〜9.0、より好ましくはpH5.5〜8.0が好適に用いられるというように使用する酵素の特性により試薬組成物の最終pHは異なるが、本発明でいう測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質と測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質の作用をより発揮させるためには、選択する物質の組合せにより多少傾向が異なるものの、試薬組成物の最終pHは中性〜弱アルカリ、好ましくは7から9、より好ましくは7から8の範囲とすると良い場合が多い。
防腐剤としては、特に限定されないが、測定に使用する酵素の安定性に対する影響の少ない物質を使用するほうが良い。測定にα−アミラーゼを使用した場合、安定性に対する影響の少ない、アジ化ナトリウム、または、セフェム系、ペニシリン系、アミノグリコシド系、キノロン系等の抗生物質、等が好適に用いられ、これらを単独あるいは組み合わせて使用することができる。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などを単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また使用する酵素がα−アミラーゼであり、かつ測定対象がカルシウムイオンの場合は、α−アミラーゼの活性化因子である塩素イオンを供給する物質を添加することが好ましい。塩素イオン供給源とは塩素イオンを含む物質であれば特に限定される物ではないが、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化ランタン、フッ化ラジウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ランタン、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化ストロンチウム、臭化バリウム、臭化ランタン、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化ランタンなどが挙げられ、より好ましくは塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ランタン、さらに好ましくは塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウムの添加が好ましい。上記物質を単独、あるいは組み合わせて使用することができる。添加濃度は特に限定されないが、3〜300mMの濃度で添加することが好ましい。また使用する酵素がα−アミラーゼであり、測定対象が塩素イオンの場合は2価カチオン、例えば、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、銅等を0.01〜200mMの濃度で添加することができる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸およびその塩、ソルボース等の糖類、カタラーゼ等があげられる。プロテアーゼ阻害剤としてはPMSF等があげられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定される物ではない。
(実施例1)
カルシウム測定試薬の第一試薬に実質的に測定対象(実施例における測定対象はカルシウム)と結合する物質として1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(同仁化学製、Caに対するキレート安定度定数(logKML)=6.97)と実質的に測定対象と結合しない物質として4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(メルク社製、Caに対するキレート安定度定数=検出限界以下)を添加した下記組成の試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサンの第一試薬中の濃度を0、10、20、30mMと変更した4試薬を調製し、評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン 0〜30mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
カルシウム量の測定方法
試料量5.2μLに第一試薬180μL加え、5分間予備加温した後、さらに第二試薬60μLを加えて反応を開始させ、該試薬添加後2分後からの3分間における1分あたりの吸光度変化を求め、精製水およびカルシウム10mg/dL標準液での2点検量線に基づき、試料中のカルシウム量を求めた。尚、測定装置は日立7170形自動分析装置を使用し、測定波長は主波長405nm、副波長546nmとし、測定温度は37℃で実施した。
結果を図1に示す。4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン添加濃度が0mMである場合、理論値が20mg/dLでは5%以上、25mg/dLでは10%以上測定値が理論値から乖離しており、良好な定量性であるとはいえないが、当該物質濃度が上昇するに従がって測定値が理論値に近づき、20mMおよび30mMでは0〜20mg/dL間の測定値が理論値とほぼ一致している。このことから、4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサンを試薬中に添加することで定量性を維持したまま、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
(比較例1)
下記組成からなるカルシウム測定試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。第二試薬に添加されているアルカリ金属のハロゲン化物であるNaCl濃度が実施例1と比較して2倍量になっている。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 60mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果 図1に示す。Ca濃度が測定値が理論値とほぼ一致しており、良好な定量性を示している。
(実施例2)
カルシウム測定試薬の第一試薬に実質的に測定対象(実施例における測定対象はカルシウム)と結合する物質として1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(同仁化学製、Caに対するキレート安定度定数(logKML)=6.97)を、第二試薬に実質的に測定対象と結合しない物質として1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(SIGMA社製、Caに対するキレート安定度定数<0.5)を添加した下記組成の試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンの第二試薬中の濃度を0、30、300mMと変更した3試薬を調製し、評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン 0〜300mM
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果を図2に示す。1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン添加濃度が上昇するに従がって測定値が理論値に近づき、定量性が向上した。このことから、試薬中に1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンを添加することで定量性を維持したまま、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
(実施例3)
カルシウム測定試薬の第一試薬に実質的に測定対象(実施例における測定対象はカルシウム)と結合する物質として1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(同仁化学製、Caに対するキレート安定度定数(logKML)=6.97)と実質的に測定対象と結合しない物質として4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(Fluka社製、Caに対するキレート安定度定数<0.5)を添加した下記組成の試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンの第一試薬中の濃度を0、15、30、150mMと変更した4試薬を調製し、評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン 0〜150mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果を図3に示す。4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン添加濃度が上昇するに従がって測定値が理論値に近づき、定量性が向上した。このことから試薬中に4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンを添加することで定量性を維持したまま、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
(実施例4)
カルシウム測定試薬の第一試薬に実質的に測定対象(実施例における測定対象はカルシウム)と結合する物質として1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(同仁化学製、Caに対するキレート安定度定数(logKML)=6.97)と実質的に測定対象と結合しない物質としてシス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(SIGMA社製、Caに対するキレート安定度定数=検出限界以下)を添加した下記組成の試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。シス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンの第一試薬中の濃度を0、120mMと変更した2試薬を調製し、評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
シス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン 0、120mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果を図4に示す。シス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン添加濃度が上昇させると測定値が理論値に近づき、定量性が向上した。このことから試薬中にシス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカンを添加することで定量性を維持したまま、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
(実施例5)
カルシウム測定試薬の第一試薬に実質的に測定対象(実施例における測定対象はカルシウム)と結合する物質として1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(同仁化学製、Caに対するキレート安定度定数(logKML)=6.97)と実質的に測定対象と結合しない物質としてエチレンジアミン二酢酸(同仁化学社製、Caに対するキレート安定度定数=検出限界以下)を添加した下記組成の試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。エチレンジアミン二酢酸の第一試薬中の濃度を0、120mMと変更した2試薬を調製し、評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
エチレンジアミン二酢酸 0、140mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果を図5に示す。エチレンジアミン二酢酸添加濃度を上昇させると測定値が理論値に近づき、定量性が向上した。このことから試薬中にエチレンジアミン二酢酸を添加することで定量性を維持したまま、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
(実施例6)
カルシウム測定試薬の第一試薬に実質的に測定対象(実施例における測定対象はカルシウム)と結合する物質として1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸(同仁化学製、Caに対するキレート安定度定数(logKML)=6.97)と実質的に測定対象と結合しない物質としてクエン酸一水和物(ナカライテスク社製、Caに対するキレート安定度定数=文献情報なし。上述した方法にてCaに対する結合力を1,2-(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸と比較した結果、後者よりもCaに対する結合力が小さいことを確認した)を添加した下記組成の試薬を調製し、30mg/dLカルシウム溶液を10段階希釈して調製した試料を用いて定量性の評価を行った。クエン酸一水和物の第一試薬中の濃度を0、0.8Mと変更した2試薬を調製し、評価した。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
クエン酸一水和物 0、0.8M
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果を図6に示す。クエン酸一水和物添加濃度を上昇させると測定値が理論値に近づき、定量性が向上した。このことから試薬中にクエン酸一水和物を添加することで定量性を維持したまま、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
(実施例7)
下記組成からなるカルシウム測定試薬を調製し、市販の管理血清の20回繰り返し測定を実施し、特異性および再現性を評価した。測定結果は比較例1に記載した組成で調製したカルシウム測定試薬での評価結果と比較した。測定の特異性とは検出・同定結果または測定値などの正確さを示す。測定の再現性とは同一試料を複数回連続して測定した際の測定値のばらつき程度を示す。通常、測定値の最大値と最小値の差、標準偏差および変動係数で評価する。測定の回数は限定しないが、通常20乃至30回測定を行う。
第一試薬
グッド緩衝液(pH7.1) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン 30mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
グッド緩衝液(pH6.4) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
上記表1は市販の管理血清の20回繰り返し測定結果である。再現性の性能は比較例1と実施例2の間に顕著な差は見られない。また測定の特異性についても比較例1と実施例2の間に顕著な測定値差は見られない。
(実施例8)
緩衝剤を種々の物質に変更した下記組成からなるカルシウム測定試薬を調製し、25mg/dLカルシウム溶液の5回繰り返し測定を実施し、理論値との乖離の度合を測定値を理論濃度で除した後100を乗じた値を指標として評価した。評価は11種の緩衝剤を用いて実施し、各緩衝剤についてpH水準を3水準で評価した。詳細にはMES(pH5.50、6.15、7.00)、ADA(5.80、6.60、7.40)、PIPES(6.10、6.80、7.50)、MOPSO(6.20、6.95、7.40)、MOPS(6.50、7.20、7.90)、HEPES(6.80、7.55、8.20)、TAPSO(7.00、8.35、9.10)、Bicine(7.70、8.35、9.10)、TAPS(7.70、8.40、9.10)、CHES(8.60、9.50、10.00)、CAPS(9.70、10.40、11.10)で評価した。
第一試薬
各緩衝液(pHは上記) 50mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
ガラクトシルマルトース 150mM
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン四酢酸 0.16g/L
4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン 30mM
2−クロロ−4−ニトロフェニル−4−o−β−D−ガラクトピラノシル−α−マルトシド 0.2g/L
第二試薬
各緩衝液(pHは第1試薬と同一) 300mM
界面活性剤 0.1%(W/V)
NaCl 30mM
マルトース一水和物 150mM
不活性型α−アミラーゼ(ヒト唾液由来) 26IU/mL
結果を図7に示す。緩衝液pHが7.0以下の条件では緩衝液の種類にほぼ無関係に25mg/dLの測定値が理論値から10%以上乖離しており、良好な定量性を有しているとは言えない。一方緩衝液pHが7.0以上の条件では緩衝液が何れであっても理論値との乖離の度合の指標の値が100±5%以内に収まっており、このpH範囲では良好な定量性を有しており、他の測定に影響を与える可能性がある試薬中のナトリウムイオン濃度を下げることが可能であると言える。
以上の結果から、測定対象であるカルシウムに対する親和力が大きい、実質的に測定対象と結合する物質とカルシウムに対する親和力が小さい、実質的に測定対象と結合しない物質を試薬中に含有させることにより濃度依存的に定量性が直線的に改善することができた。またこのときの特異性は公知の手法により定量性を確保した場合の測定と差異がないことも確認した。
本発明は、体外診断用医薬品(電解質測定用試薬など)などの用途分野に利用することができ、産業界に寄与することが大である。
30mg/dLのカルシウム溶液の10段階希釈液を試料とした際の、4,7,13,16,21,24−ヘキサオクサ−1,10−ジアザバイシクロ[8.8.8]ヘキサコサン添加濃度を変えた各試薬および比較例1の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、理論値をX軸に示したもの 30mg/dLのカルシウム溶液の10段階希釈液を試料とした際の、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン添加濃度を変えた各試薬および比較例1の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、理論値をX軸に示したもの 30mg/dLのカルシウム溶液の10段階希釈液を試料とした際の、4',4',(5'')−ジ−tert−ブチルジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン添加濃度を変えた各試薬および比較例1の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、理論値をX軸に示したもの 30mg/dLのカルシウム溶液の10段階希釈液を試料とした際の、シス−ジシクロヘキサノ−1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン添加濃度を変えた各試薬および比較例1の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、理論値をX軸に示したもの 30mg/dLのカルシウム溶液の10段階希釈液を試料とした際の、エチレンジアミン二酢酸添加濃度を変えた各試薬および比較例1の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、理論値をX軸に示したもの 30mg/dLのカルシウム溶液の10段階希釈液を試料とした際の、クエン酸一水和物添加濃度を変えた各試薬および比較例1の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、理論値をX軸に示したもの 30mg/dLのカルシウム溶液を試料とした際の、緩衝剤種およびpHを変更した各試薬の測定値を理論値で除してパーセント表示した値をY軸に、pHをX軸に示したもの。各シンボルは各々緩衝剤種を表している

Claims (11)

  1. 酵素を利用した該測定対象測定方法における測定対象以外の測定に与える影響を低減する方法であって、該酵素が、試料中の測定対象により活性化または不活性化される酵素であり、かつ、以下の(1)(2)に示す物質を含む測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
    (1)タンパク質以外の物質であって、測定対象と実質的に結合しない物質
    (2)タンパク質以外の物質であって、測定対象に実質的に結合する物質
  2. 試料中の測定対象が電解質である請求項1記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
  3. 測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質および/または測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質がキレート剤、有機酸、または包接化合物よりからなる群から選択される少なくとも一つの物質を含む、請求項1または2に記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
  4. 測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質および測定対象と実質的に結合するタンパク質以外の物質が、測定対象との親和性により選択された物質である、請求項1乃至3に記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
  5. 試料中の測定対象がカルシウムイオンである、請求項1乃至4に記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
  6. 試料中の測定対象が塩素イオンである請求項1乃至4に記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法。
  7. 試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素がα−アミラーゼである、請求項1乃至6に記載の測定対象以外の測定に与える影響を低減させる方法
  8. 試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定試薬であって、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と、測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含む、測定対象以外の測定に与える影響が低減した測定試薬。
  9. 試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定キットであって、測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含む、測定対象以外の測定に与える影響が低減した
    測定キット。
  10. 測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含有させる工程を含む、試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定試薬であって、測定対象以外の測定に与える影響が低減した測定試薬の製造方法。
  11. 測定対象と実質的に結合しないタンパク質以外の物質と測定対象に実質的に結合するタンパク質以外の物質を含有させる工程を含む、試料中の測定対象により活性化あるいは不活性化される酵素を利用した、測定対象の測定キットであって、測定対象以外の測定に与える影響が低減した測定キットの製造方法。
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