JP3719742B2 - ビリルビン測定用試薬および測定方法 - Google Patents

ビリルビン測定用試薬および測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体中の総ビリルビンおよび直接型ビリルビンの測定用試薬および測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体中のビリルビンは直接型ビリルビンと間接型ビリルビンとに大別され、溶血性貧血や溶血性黄疸等の病態では間接型ビリルビン量が増大し、閉塞性黄疸等の病態では直接型ビリルビン量が増大することが知られており、臨床診断上ビリルビンの分別定量は重要である。
臨床検査においてビリルビンを測定する試薬としては総ビリルビン測定用試薬と直接型ビリルビン測定試薬が知られている。
ビリルビンオキシダーゼを用いる酵素法でビリルビンを測定する際に該酵素反応を促進する方法として、界面活性剤、芳香族カルボン酸、サルファ剤およびプロテアーゼよりなる群から選ばれる1種または2種以上の反応促進物質を用いる方法(特公平3−36520)、フェリシアン化カリウムを配合する方法(特公平3−79998)、フェノール類およびアニリン類の1種または2種以上の化合物により促進させる方法(特開平3−175997、特開平3−175998)、等が知られている。しかし、これらの方法を用いてもpHが酸性域では反応促進効果は不十分で、また、フェリシアン化カリウムを用いて十分に反応を促進させようとした場合にはフェリシアン化カリウムの添加量が多くなり、有害物質の排出基準を越えてしまう欠点がある。
【0003】
またビリルビンオキシダーゼを用いた酵素法で直接型ビリルビンを測定する方法としては、pH3.5〜4.5の緩衝液にビリルビンオキシダーゼを配合し測定する方法(特公昭61−44000)、ビリルビンオキシダーゼおよび陰イオン界面活性剤を含有するpH5〜6の酸性緩衝液からなる試薬を作用させて測定する方法(特公平5−9066)、pH9乃至11の範囲の緩衝液中でビリルビンを含有する試料に陰イオン界面活性剤の共存下でビリルビンオキシダーゼを作用させる方法(特公平5−68240)、pH2.0乃至3.3のフェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムを含む緩衝液中で測定する方法(特開昭64−5499)、ビリルビンオキシダーゼを反応させてビリルビンの変化を光学的に測定する直接型ビリルビン測定用試薬において、フッ素化合物または還元剤を共存させ測定する方法(特開平5−276992)、等が知られている。しかし、これらの測定法には直接型ビリルビンに対する反応を十分にした場合、一部の間接型ビリルビンに対しても反応してしまうという問題や、分別性が十分得られる条件にした場合直接型ビリルビンに対する反応性が悪くなる等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ビリルビンオキシダーゼを作用させて総ビリルビンおよび直接型ビリルビンを光学的に測定する際、上述のような欠点のないより改良された測定用試薬および測定方法の開発が望まれており、とくにビリルビンオキシダーゼの必要量を少なくでき、コストが低減された測定試薬および測定方法、さらに、直接型ビリルビンのみを正確に定量する試薬および方法の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる要望に答える改良されたビリルビン測定用試薬および測定方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ビリルビンオキシダーゼを作用させてビリルビンを測定する試薬にフェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体から選ばれる1種または2種以上との熟成物を添加することにより、ビリルビンオキシダーゼの反応性がはるかに強くなることを見いだし、さらに、間接型ビリルビンに対する反応抑制作用を有するキレート剤の1種または2種以上を添加することにより直接型ビリルビンに対する反応を抑制することなく間接型ビリルビンに対する反応のみを抑制することができることを見いだし、さらに、かかるキレート剤の1種または2種以上を添加した試薬に該キレート剤の間接型ビリルビンに対する反応抑制作用を強める作用を有する金属イオンおよび金属錯体(以下、単に金属イオン類と称することがある)の1種または2種以上を併用し添加することにより、間接型ビリルビンに対する反応抑制作用が強くなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) ビリルビンオキシダーゼを用いる総ビリルビン測定試薬において、反応促進剤として、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体から選ばれる1種または2種以上との熟成物を配合することを特徴とする総ビリルビン測定用試薬、
(2) ビリルビンオキシダーゼを用いる直接型ビリルビン測定試薬において、反応促進剤として、該熟成物、およびキレート剤の1種または2種以上を配合することを特徴とする直接型ビリルビン測定用試薬、
(3) 該熟成物、キレート剤に加えて、さらに金属イオンおよび金属錯体から選ばれる1種または2種以上を配合することを特徴とする直接型ビリルビン測定用試薬、
ならびに、これらの試薬を用いた総ビリルビン測定方法および直接型ビリルビン測定方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、ビリルビンオキシダーゼを作用させて総ビリルビンおよび直接型ビリルビンを光学的に測定する際、特定の熟成物の存在下に測定することを特徴とし、さらに、熟成物とキレート剤の存在下に直接型ビリルビンを測定すること、および、熟成物とキレート剤に加えて金属イオン類の存在下に直接型ビリルビンを測定することを特徴とし、反応のpHは総ビリルビンでは通常6.0〜9.0、好ましくは7.0〜8.0とし、直接型ビリルビンは通常3.0から5.0、好ましくは3.5〜4.5、さらに好ましくは3.5から4.0とする。
【0008】
本発明で用いるチオール化合物としてはL−システイン、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、N−アセチル−L−システイン、DL−ホモシステイン、還元型グルタチオン、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、2−メルカプトベンズイミダゾール等、スルフィド化合物としてはL−メチオニン、L−エチオニン、3−メチルチオプロピオン酸、2−(エチルチオ)エタノール等、スルホキシド化合物としてはジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド等、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体としてはチオ尿素、チオシナミン等が挙げられる。これらチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体(以下、単にチオ化合物類と称す)は、単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用出来る。これらのうちL−システイン、N−アセチル−L−システイン、DL−ホモシステイン、ジチオエリスリトール、グルタチオン還元型、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムは効果が大きく、この中でも還元性の弱いL−メチオニンは多量に入れてもビリルビンオキシダーゼの活性を阻害しないので特に好ましい。
【0009】
これらチオ化合物類の添加量は、十分に反応促進効果が得られる量であり、また、ビリルビンオキシダーゼの活性を阻害しない量であれば特に限定するものではなく、一般に反応液中の最終濃度が1μM以上であれば、所望の効果が得られる。また、通常使用する濃度としては、最終濃度として1μM〜100mM、好ましくは、2μM〜10mM、さらに好ましくは5μM〜1mMである。
【0010】
本発明で用いるキレート剤としては、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)三ナトリウム塩(以下NTPOと称す)、ジアミノプロパノール四酢酸(以下DPTA−OHと称す)、ジエチレントリアミン五酢酸(以下DTPAと称す)、エチレンジアミン二プロピオン酸塩(以下EDDPと称す)、エチレンジアミン−N,N´−ビス(メチレンホスホン酸)・1/2H2O(以下EDDPOと称す)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(以下EDTPOと称す)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(以下GEDTAと称す)、ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(以下HBEDと称す)、ヘキサメチレンジアミン四酢酸(以下HDTAと称す)、ニトリロ三酢酸(以下NTAと称す)、トリエチレンテトラミン六酢酸(以下TTHAと称す)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)(以下EDTA−2Na−Cuと称す)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛(II)(以下EDTA−2Na−Znと称す)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)(以下EDTA−2Na−Niと称す)等が挙げられる。また、これらキレート剤は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。これらの中でもNTPO、DPTA−OH、DTPA、EDDP、EDDPO、EDTPO、HBED、TTHAは効果が大きく、好ましいキレート剤であり、また、これらのうちNTPOが特に好ましい。
【0011】
これらキレート剤の添加量は、間接型ビリルビンの反応抑制効果が十分に得られ、直接型ビリルビンの反応に影響を与えない量であれば特に限定するものではなく、本発明のキレート剤を単独で用いる場合、反応液中の最終濃度が5mM以上であれば、所望の効果が得られる。通常使用する濃度としては、最終濃度として10mM〜500mM、好ましくは20mM〜200mM、さらに好ましくは50mM〜100mMである。また、キレート剤を金属イオン類と組み合わせて用いると、キレート剤による間接型ビリルビンの反応抑制効果は数段に強くなる。したがって、該併用の場合には、キレート剤の反応液中の最終濃度が1mM以上であれば所望の効果が得られ、通常使用する濃度としては、最終濃度として1mM〜50mM、好ましくは2mM〜25mM、さらに好ましくは5mM〜15mMである。
【0012】
本発明で用いる金属イオン類としては、二価のマンガンイオン(硫酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)、マンガン(II)アセチルアセトネート、酢酸マンガン(II)、ホウ酸マンガン(II)、炭酸マンガン(II)等)、三価のマンガンイオン(マンガン(III)アセチルアセトネート、酢酸マンガン(III)等)、二価の銅イオン(硫酸銅、酢酸銅、銅(II)アセチルアセトネート等)、二価の鉄イオン(硫酸第一鉄、リン酸第一鉄、塩化第一鉄等)等の金属イオン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムマンガン(II)(以下、EDTA−2Na−Mnと称す)またはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)(以下、EDTA−2Na−Cuと称す)等の金属錯体が挙げられる。また、本発明の金属イオン類は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用出来る。これらのうち二価のマンガンが特に好ましく、硫酸マンガン、塩化マンガン、EDTA−2Na−Mnなどを用いるのが好ましい。
金属イオン類の添加量は、本発明のキレート剤と組み合わせた場合に間接型ビリルビンに対する反応抑制効果が十分に得られ、直接型ビリルビンに対する反応に影響を与えない量であれば特に限定するものではなく、一般に反応液中の最終濃度が0.25mM以上であれば所望の効果が得られる。通常使用する濃度としては、最終濃度として0.25〜50mM、好ましくは1〜20mM、さらに好ましくは5〜15mMである。
【0013】
ビリルビンオキシダーゼとしては公知の酵素がいずれも用いられ、例えば、ミロセシウム(Myrothecium)属由来ビリルビンオキシダーゼ、エビタケ(Trachydermatsumodae)の産生するビリルビンオキシダーゼ等が挙げられる。ビリルビンオキシダーゼの使用量は所望の酵素活性を示す範囲で適宣用いられるが、通常、反応液中に0.04〜10単位/ml、好ましくは、直接型ビリルビン測定用には、0.1〜8単位/mlの範囲で用いられる。
【0014】
本発明の直接型ビリルビン測定用試薬を用いると、熟成物の存在下に本発明のキレート剤を5mM以上添加することにより直接型ビリルビンに対する反応を抑制することなく間接型ビリルビンに対する反応のみを抑制することができる。キレート剤の濃度は実用に際してビリルビンオキシダーゼの作用を阻害しない範囲であれば特に規定されるものではない。また、本発明のキレート剤を添加した直接型ビリルビン測定用試薬に金属イオン類を0.25mM以上共存させることにより間接型ビリルビンの反応抑制効果は数段に強くなり、本発明のキレート剤の必要量を少なくすることができる。
【0015】
本発明において、ビリルビンオキシダーゼによる酵素反応を促進させるために用いられるフェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオ化合物類とは、単に両者が存在すれば足りるものではなく、両者を予め熟成させておく必要がある。熟成とは、調製物質同士を適当な状態、好ましくは溶液下に混合し、一定のpH、温度のもとで、適度な時間放置することによって、その間にゆっくりと物理的または化学的反応を行なわせ、目的の酵素の反応性を促進するという性状を得ることである。
本発明においては、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオ化合物類とから調製される熟成物を用いることにより、それら両化合物を試薬使用時に単に混合して配合した場合や、キット試薬において、別々に調製したものを用時配合した場合などに比べて、後記実施例にも示されるように、より強いビリルビンオキシダーゼの反応促進効果が達成される。
【0016】
このような熟成物を調製するには、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオ化合物類から選ばれる1種または2種以上をそれぞれ適切な濃度になるように精製水で溶かし、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸等のpH調整剤を用いてpHを2.0〜5.5、好ましくはpH3.0〜4.5、さらに好ましくはpH3.7に調整し、適度な温度で、通常5℃〜50℃、好ましくは20℃〜37℃、さらに好ましくは25℃〜30℃で、適度な時間、通常1日以上、好ましくは2〜30日間、さらに好ましくは4〜14日間放置することにより得られる。また、総ビリルビン測定用試薬および直接型ビリルビン測定用試薬において熟成物は、反応のpHを調製する第一試薬(緩衝液)とビリルビンオキシダーゼを含有する第二試薬(酵素試薬)とを有する二試薬系の測定試薬に適用した場合、第一試薬と第二試薬のどちらに添加しても効果は得られる。
なお、本発明の熟成物は、予め調製したものを試薬系に配合するのが一般的であるが、試薬系で調製してもよい。例えば、キット試薬において、上記の反応条件を満たすような第一試薬(緩衝液)中にフェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオ化合物類の1種または2種以上を配合し、その試薬系で保存中に熟成物を生成させてもよい。
【0017】
本発明の方法において、直接型ビリルビン測定用試薬の調製に用いる本発明のキレート剤や金属イオン類は、第一試薬と第二試薬とを有する二試薬系の測定試薬に適用した場合、第一試薬と第二試薬のどちらに添加しても効果は得られる。かくして、本発明の総ビリルビン測定用試薬および直接型ビリルビン測定用試薬は、所望の成分を、所望の量で混合、溶解等するごとき常法により粉末等の固形状、液状等の試薬とすることができる。また、これらを個別の剤型にして組み合わせたキットとすることもできる。また、必要により、本発明の総ビリルビン測定用試薬および直接型ビリルビン測定用試薬には、緩衝剤や防腐剤、界面活性剤、等の他の成分を適宣添加ないしは組み合わせてもよい。
【0018】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における本発明の効果を調べるために使用した処方(総ビリルビン測定用基本処方、直接型ビリルビン測定用基本処方)およびビリルビンの測定条件を次に示す。
【0019】
基本処方
総ビリルビン測定用基本処方:
総ビリルビン測定用第一試薬としては100mMリン酸緩衝液(pH7.2)にトリトンX−100 0.05%、コール酸ナトリウム13.9mMを添加したものを用い、総ビリルビン測定用第二試薬としては10mMビシン緩衝剤(pH10.0)にビリルビンオキシダーゼ(ミロセシウム・ベルカリアMT−1由来、天野製薬社製)0.5 U/mlを添加したものを用いた。
【0020】
直接型ビリルビン測定用基本処方:
直接型ビリルビン測定用第一試薬としては400mMクエン酸−乳酸緩衝液(pH3.7)にトリトン X−100 0.05 %を添加しているものを用い、直接型ビリルビン測定用第二試薬としては10mMビシン緩衝剤(pH10.0)にビリルビンオキシダーゼ(ミロセシウム・ベルカリアMT−1由来、天野製薬社製)1 U/mlを添加したものを用いた。
【0021】
測定法
ビリルビン検体10μlに第一試薬270μlを添加し、37℃で5分間インキュベートした後、第二試薬90μlを加えて5分間インキュベートする。この時の第一試薬添加5分後と第二試薬添加2.5分後または5分後における吸光度の変化(主波長450nm/副波長600nm)を測定し、予め測定しておいた該値のビリルビンの標準血清の吸光度の変化と対比させビリルビンの濃度を測定した。
【0022】
実施例1
熟成物によるビリルビンオキシダーゼの反応促進効果:
直接型ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMとチオ化合物類50μMを含有するように調整し、pH3.7で30℃5日間(チオ化合物としてDL−ホモシステインを用いる場合は7日間)熟成させた試薬を使用し、上記測定方法によりビリルビンの高値の検体を測定した。その吸光度変化を直接型ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMのみを添加して上記熟成条件で処理した試薬を対照として比較した。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0003719742
【0024】
効果の有無の判定は第一試薬添加5分後から第二試薬添加2.5分後までにおける吸光度の変化(主波長450nm/副波長600nm)が対照と比較して明らかに大きくなっているものを効果のあるものと判定した。(表の吸光度変化が対照と比較して大きくなった場合に反応は促進されたと判定する)
表1に示すごとく、フェロシアン化カリウムとチオ化合物類を混合して熟成したもので反応促進効果があることが認められた。
【0025】
また、直接型ビリルビン測定用基本処方(フェロ,メチオニン無添加)と、直接型ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMおよびメチオニン50μMを添加した熟成前の試薬(フェロ,メチオニン熟成前)と直接型ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMおよびメチオニン50μMを添加しpH3.7で30℃5日間熟成させた試薬(フェロ,メチオニン熟成後)とで反応性を比較した結果を図1に示す。この図1よりフェロシアン化カリウム5μMおよびメチオニン50μMを直接型ビリルビン測定用第一試薬に溶解しpH3.7で30℃5日間熟成させた場合に、明らかに反応が促進されていることがわかる。
【0026】
また、総ビリルビン測定用基本処方(フェロ,メチオニン無添加)と、総ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMおよびメチオニン50μMを添加した熟成前の試薬(フェロ,メチオニン熟成前)と総ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMおよびメチオニン50μMを添加しpH3.7で30℃5日間熟成させた試薬(フェロ,メチオニン熟成後)とで反応性を比較した結果を図2に示す。この図2よりフェロシアン化カリウム5μMおよびメチオニン50μMを総ビリルビン測定用第一試薬に溶解しpH3.7で30℃5日間熟成させた場合、明らかに反応が促進されていることがわかる。
【0027】
実施例2
熟成物によりビリルビンオキシダーゼの反応を促進させた場合にキレート剤を添加した時の間接型ビリルビンに対する反応抑制効果:
直接型ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム5μMとL−メチオニン50μMを添加し、pH3.7で30℃5日間熟成させた試薬に、キレート剤を50mM含有するように調製し、キレート剤による間接型ビリルビンに対する反応抑制効果を上記測定方法により測定し比較した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003719742
【0029】
効果の有無の判定は直接型ビリルビンに対する反応には影響を与えず、間接型ビリルビンに対する反応のみ抑制するものを効果のあるものと判定した。(表の吸光度変化が対照と比較して半分以下になった場合に反応は抑制されたと判定する)
表2に示すごとく、キレート剤の中でもNTPO、DPTA−OH、DTPA、EDDP、EDDPO、EDTPO、GEDTA、HBED、HDTA、NTA、TTHA、EDTA−2Na−Cu、EDTA−2Na−Zn、EDTA−2Na−Ni等で直接型ビリルビンに対する反応を抑制することなく間接型ビリルビンに対する反応を抑制する効果があることが認められた。特にNTPOの効果が顕著であった。
【0030】
実施例3
熟成物によりビリルビンオキシダーゼの反応を促進させ、それに本発明のキレート剤を添加して間接型ビリルビンの反応を抑制した場合における、金属イオン類を添加することによる間接型ビリルビンの反応抑制効果の向上:
直接型ビリルビン測定用第一試薬にフェロシアン化カリウム25μMとL−メチオニン50μMを溶解しpH3.7で30℃5日間熟成させた試薬に、キレート剤としてNTPOを50mM含有するように調製し、それに各金属イオンおよび金属錯体を5mM含有するように添加して、間接型ビリルビンの反応抑制効果を上記測定方法により測定し比較した。その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
Figure 0003719742
【0032】
効果の有無の判定は、直接型ビリルビンに対する反応には影響を与えず、間接型ビリルビンに対する反応のみ抑制するものを効果のあるものと判定した。(表の吸光度変化が対照と比較して小さくなった場合に反応は抑制されたと判定する)
表3に示すごとく、マンガンイオン、銅イオン、鉄イオン等で直接型ビリルビンに対する反応を抑制することなく間接型ビリルビンに対する反応を抑制する効果を促進する効果があることが認められた。特にマンガンイオンの効果が顕著であった。
【0033】
実施例4
ジアゾ法(別法)による直接型ビリルビン測定用試薬(ジアゾ法)と、直接型ビリルビン測定用基本処方にフェロシアン化カリウム5μMとメチオニン50μMとをpH3.7で30℃5日間熟成させた試薬にNTPO 10mMを添加し、さらにEDTA−2Na−Mn 5mMを添加した処方(本法)との相関関係を図3に示す。この図3より、本法はジアゾ法と良い相関関係が得られることが示される。
【0034】
実施例5
直接型ビリルビン測定用基本処方にフェロシアン化カリウム5μMとメチオニン50μMを添加しpH3.7で30℃、5日間熟成し、さらにNTPO 10mMおよびEDTA−2Na−Mn 5mMを添加した第一試薬を7℃で保存し、その安定性を調べた。下記コントロール血清(血清1,2,3)に、調製時の第一試薬またはそれを7℃で4カ月または7カ月保存したものを添加し、その5分後と第二試薬(ビリルビンオキシダーゼ含有試薬)添加5分後の吸光度変化を測定した。
コントロール血清
血清1:国際試薬(株)製 ビリトロール Lot.3300
血清2:国際試薬(株)製 ビリトロール Lot.4112
血清3:三光純薬(株)製 EXA ビリルビン Lot.37011
その結果を表4に示す。表中の値は第一試薬添加5分後と第二試薬添加5分後における吸光度変化を示す。この表より7℃で4カ月および7カ月保存した試薬においても調製時とほぼ同じ吸光度変化が得られることから、本法を用いた試薬は溶液状態で7カ月間安定であることがわかる。
【0035】
【表4】
Figure 0003719742
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ビリルビンオキシダーゼを用いて総ビリルビンおよび直接型ビリルビンを光学的に測定する際、熟成物の存在下に測定することによりビリルビンオキシダーゼの必要量を少なくすることでき、さらに、総ビリルビン測定用試薬および直接型ビリルビン測定用試薬のコストを低減することができる。また、熟成物とキレート剤の1種または2種以上の存在下で直接型ビリルビンのみを測定することができる。さらに、熟成物とキレート剤の1種または2種以上との存在下に直接型ビリルビンを測定する際、金属イオン類の1種または2種以上を存在させることにより、キレート剤の必要量を少なくすることができ、さらに直接型ビリルビン測定用試薬のコストを低減することができる。また、本発明の熟成物、キレート剤、および金属イオン類は液状にしても安定なものなので、総ビリルビン測定用試薬および直接型ビリルビン測定用試薬の液状試薬に有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 直接型ビリルビンの測定において、本発明の熟成物によるビリルビンオキシダーゼの反応促進効果を示すための、時間の経過による吸光度変化を示すグラフである。
【図2】 総ビリルビンの測定において、本発明の熟成物によるビリルビンオキシダーゼの反応促進効果を示すための、時間の経過による吸光度変化を示すグラフである。
【図3】 直接型ビリルビン測定法において、本発明方法と従来法のジアゾ法との相関関係を示すグラフである。

Claims (13)

  1. ビリルビンオキシダーゼを用いる総ビリルビン測定試薬において、反応促進剤として、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体から選ばれる1種または2種以上との熟成物を配合することを特徴とする総ビリルビン測定用試薬。
  2. ビリルビンオキシダーゼを用いる直接型ビリルビン測定試薬において、反応促進剤として、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体から選ばれる1種または2種以上との熟成物、および間接型ビリルビンに対する反応抑制作用を有するキレート剤の1種または2種以上を配合することを特徴とする直接型ビリルビン測定用試薬。
  3. チオール化合物がL−システイン、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、N−アセチル−L−システイン、DL−ホモシステイン、還元型グルタチオン、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムまたは2−メルカプトベンズイミダゾール、スルフィド化合物がL−メチオニン、L−エチオニン、3−メチルチオプロピオン酸または2−(エチルチオ)エタノール、スルホキシド化合物がジメチルスルホキシドまたはテトラメチレンスルホキシド、チオ尿素の誘導体がチオシナミンである請求項1または2に記載の試薬。
  4. 該熟成物がフェロシアン化カリウムとメチオニンとの熟成物である請求項1に記載の試薬。
  5. 該試薬が溶液状態である請求項4に記載の試薬。
  6. 該キレート剤がニトリロトリス(メチレンホスホン酸)三ナトリウム塩(NTPO)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二プロピオン酸塩(EDDP)、エチレンジアミン−N,N'−ビス(メチレンホスホン酸)・1/2H2O(EDDPO)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(HBED)、ヘキサメチレンジアミン四酢酸(HDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)(EDTA−2Na−Cu)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛(II)(EDTA−2Na−Zn)またはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)(EDTA−2Na−Ni)である請求項2または3に記載の試薬。
  7. 金属イオンおよび金属錯体から選ばれる1種または2種以上をさらに配合することを特徴とする請求項2,3または6に記載の試薬。
  8. 該金属イオンが二価のマンガンイオン、三価のマンガンイオン、二価の銅イオンまたは二価の鉄イオン、金属錯体がエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムマンガン(II)(EDTA−2Na−Mn)またはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)(EDTA−2Na−Cu)である請求項7に記載の試薬。
  9. 該熟成物がフェロシアン化カリウムとメチオニンの熟成物であり、該キレート剤がニトリロトリス(メチレンホスホン酸)三ナトリウム塩(NTPO)およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムマンガン(II)(EDTA−2Na−Mn)である請求項2に記載の試薬。
  10. 該試薬が溶液状態であることを特徴とする請求項9に記載の試薬。
  11. ビリルビンオキシダーゼを用いる総ビリルビン測定方法において、反応促進剤として、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体から選ばれる1種または2種以上との熟成物を添加することを特徴とする総ビリルビン測定方法。
  12. ビリルビンオキシダーゼを用いる直接型ビリルビン測定方法において、反応促進剤として、フェロシアン化カリウムおよび/またはフェリシアン化カリウムとチオール化合物、スルフィド化合物、スルホキシド化合物、チオ尿素およびチオ尿素の誘導体から選ばれる1種または2種以上との熟成物、および間接型ビリルビンに対する反応抑制作用を有するキレート剤の1種または2種以上を添加することを特徴とする直接型ビリルビン測定方法。
  13. 金属イオンおよび金属錯体から選ばれる1種または2種以上をさらに添加することを特徴とする請求項12に記載の測定方法。
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