JP4691627B2 - 非特異的発色の抑制方法 - Google Patents
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Description
本発明は、特に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野において有用なものである。
例えば、コレステロール、尿酸、及びブドウ糖等の測定に、それぞれコレステロールオキシダーゼ、ウリカーゼ、及びグルコースオキシダーゼ等の酸化酵素を働かせて過酸化水素を生成させ、この生成した過酸化水素をペルオキシダーゼ及び被酸化性発色試薬と混合、接触させて発色系に導き、酸化縮合反応により被酸化性発色試薬から生成した色素を光学的に測定することにより測定し、これより各特定成分を正確に測定することができる。
また、このような測定方法は、1ステップ法あるいは2ステップ法で行なわれており、前者は測定試薬成分が全部一緒になった1試薬系であり、後者は測定試薬成分を2つに分けた2試薬系を使う。
また、この生体試料中のビリルビンの影響を回避する方法としては、測定試薬中にフェロシアン化物を含有させる方法が一般的に使用されている(例えば、非特許文献2参照。)。
本発明者が、検討を行った結果、酵素的測定試薬中の被酸化性発色試薬が非特異的に発色することにより、測定値に正の誤差を生じさせてしまい、測定値が高くなる場合があることを見出した。また、この正の誤差には、酵素的測定試薬中のフェロシアン化物が関与していることが判明した。更に、非特異的な発色が起こる生体試料は、全て不飽和鉄結合能(UIBC)が低値であることを本発明者が初めて見出した。
(1)色原体及びカップラーからなる被酸化性発色試薬並びに酸化酵素及びペルオキシダーゼを用い、更にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含む酵素的測定試薬であって、フェロシアン化物及びコレステロールエステラーゼを含む前記酵素的測定試薬に、鉄イオンには配位するが、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンには配位しないキレート剤を含有させることを特徴とする、試料に依存する非特異的発色の抑制方法。
本発明において用いられる被酸化性発色試薬とは、酸化酵素の作用により生成した過酸化水素を測定することにより特定成分を測定する場合に、ペルオキシダーゼの作用により過酸化水素と酸化縮合させ色素を生成させるための、色原体とカップラーの組み合わせからなる試薬のことをいう。
なお、本発明においては、カップラーが4−アミノアンチピリンであることが好ましい。
また、カップラーの濃度は、特に限定されないが、試料と酵素的測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.05〜10mMの範囲にあることが好ましく、0.1〜5mMの範囲が特に好ましい。
本発明において、酸化酵素とは、特定成分から直接又は間接的に、酸化性物質である過酸化水素を生成させる反応を触媒する物質をいう。
ここで、酸化酵素としては、例えば、コレステロールオキシダーゼ、ウリカーゼ、グルコースオキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、又はピルビン酸オキシダーゼ等を挙げることができる。
また、本発明において、酸化酵素の濃度は、特に限定されないが、試料と酵素的測定試薬を混合した後の測定反応液中において、7〜800単位/Lの範囲にあることが好ましい。
本発明において、ペルオキシダーゼとしては、いずれの由来のものも使用でき、例えば、ヒト若しくはウシなどの動物由来のもの、西洋ワサビなどの植物由来のもの、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの等を挙げることができる。
なお、このペルオキシダーゼとしては、微生物等のペルオキシダーゼの遺伝子を大腸菌等の微生物等に組み込む遺伝子組み換え技術により調製したもの、又は遺伝子の改変等により性質を改良した微生物等から調製したペルオキシダーゼ等も含まれる。
また、ペルオキシダーゼの濃度は、特に限定されないが、試料と酵素的測定試薬を混合した後の測定反応液中において、20単位/L以上であることが好ましい。
本発明においては、酵素的測定試薬は、第1の金属イオン又はこれを含有する物質を含むものである。
そして、前記第1の金属イオン又はこれを含有する物質は、前記被酸化性発色試薬である色原体及びカップラーの酸化縮合反応を促進し、非特異的発色を生じさせるものである。
ここで、第1の金属イオンとしては、例えば、二価又は三価の鉄イオン等を挙げることができる。
また、第1の金属イオンとしての鉄イオンを含有する物質としては、例えば、フェロシアン化物等を挙げることができる。このフェロシアン化物としては、例えば、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム等を挙げることができる。
本発明においては、酵素的測定試薬にキレート剤を含有させることを特徴とする。本発明においては、このキレート剤を酵素的測定試薬に含有させることにより、試料の第1の金属イオン又はこれを含有する物質との結合能に依存する非特異的発色を防ぎ、誤差のない正確な測定を行うことが可能となる。
更に、この非特異的発色が、不飽和鉄結合能(UIBC)が低値である生体試料で起こることも見出した。
以上のことから、本発明においては、このフェロシアン化物中の鉄イオンに配位するキレート剤を酵素的測定試薬に含有させることにより鉄イオンを捕獲し、これにより、UIBCが低値である試料においても、色原体及びカップラーの酸化縮合反応が起こらず、非特異的発色を抑制することが可能となった。
ここで、有機化合物しては、例えば、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸〔EDTA〕、エチレンジアミン二プロピオン酸〔EDDP〕、ビス(アミノフェニル)エチレングリコール四酢酸〔BAPTA〕、クエン酸、コハク酸、酒石酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン〔トリシン〕、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン〔ビシン〕、サリチル酸、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸〔ADA〕、シュウ酸、若しくはグリシルグリシン又はその塩等を挙げることができる。
また、無機化合物としては、例えば、チオ硫酸、若しくはチオシアン酸又はその塩等を挙げることができる。
更に、蛋白質としては、例えばトランスフェリン等を挙げることができる。
また、ペプチドとしては、例えば、メタロチオネイン等を挙げることができる。
薬剤としては、例えば、デフェロキサミン等を挙げることができる。
更に、本発明は、被酸化性発色試薬と第1の金属イオン又はこれを含有する物質とを含む酵素的測定試薬であれば、いずれのものにおいても実施することができる。
なお、このキレート剤は1種類だけを用いてもよいし、又は複数種類のものを同時に用いてもよい。
本発明における酵素的測定試薬においては、前記の第1の金属イオン又はこれを含有する物質とは異なる、第2の金属イオン又はこれを含有する物質が含まれていてもよい。
この第2の金属イオン又はこれを含有する物質としては、例えば、酵素的測定試薬に含まれる試薬成分を安定化及び/又は活性化させるもの等を挙げることができる。
より具体的には、これらの第2の金属イオンとして、例えば、カルシウムイオン又はマグネシウムイオン等を挙げることができる。
なお、本発明は、前記した試薬成分に加えて、第2の金属イオン又はこれを含有する物質を含む酵素的測定試薬において好適である。
本発明における、第2の金属イオン又はこれを含有する物質により安定化及び/又は活性化される試薬成分であるが、例えば、カルシウムイオン又はこれを含有する物質により安定化及び/又は活性化される試薬成分としては、コレステロールエステラーゼ又はホスホリパーゼ等を挙げることができる。
また、例えば、マグネシウムイオン又はこれを含有する物質により安定化及び/又は活性化される試薬成分としては、例えば、リポプロテインリパーゼ等を挙げることができる。
なお、本発明においては、第2の金属イオン又はこれを含有する物質により安定化及び/又は活性化される試薬成分が、コレステロールエステラーゼであることが好ましい。
(本発明による非特異的発色の抑制効果の確認−1)
試料の不飽和鉄結合能に依存して非特異的発色が生じること、及びキレート剤であるグルコン酸ナトリウムを酵素的測定試薬に含有させることによりこの非特異的発色が抑制できることを確かめた。
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを6.9(20℃)に調整して、キレート剤であるグルコン酸ナトリウムを含有する総コレステロール測定用酵素的測定試薬の第1試薬(本発明・第1試薬)を調製した。
グッド緩衝剤(埼京化成) 100mM
4−アミノアンチピリン(第一化学) 0.11g/L
フェロシアン化カリウム(国産化学) 31μM
塩化カルシウム(国産化学) 2mM
コレステロールエステラーゼ(東洋紡績)500単位/L
グルコン酸ナトリウム(東京化成) 23mM
グルコン酸ナトリウムを含有しないこと以外は組成が上記(1)の本発明・第1試薬と同じである、キレート剤を含有しない総コレステロール測定用酵素的測定試薬の第1試薬(従来・第1試薬)を調製した。
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを8.5(20℃)に調整し、総コレステロール測定用酵素的測定試薬の第2試薬を調製した。
グッド緩衝剤(埼京化成) 20mM
N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)
−3,5−ジメトキシアニリン[HDAOS](埼京化成) 2mM
ペルオキシダーゼ(東洋紡績) 8000単位/L
コレステロールオキシダーゼ(天野製薬) 1320単位/L
43種類のヒト血清試料(試料番号:1〜43)を用意した。
(1) 前記の各ヒト血清試料中の総コレステロール濃度の測定は、日立製作所社製7170S形自動分析装置にて行い、前記2のヒト血清試料の2μLに前記1の(1)で調製した本発明・第1試薬150μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記1の(3)で調製した第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。
第1試薬添加後4分30秒目(16ポイント目)と第2試薬添加後5分17秒目(34ポイント目)の主波長600nm及び副波長700nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。
そして、総コレステロール濃度が既知(200mg/dL)の試料〔標準液〕について、前記の通り測定を行い、この標準液の測定値(吸光度差)と前記のヒト血清試料の測定値(吸光度差)を比較することにより、前記のヒト血清試料中の総コレステロール濃度を求めた。
これを43種類のヒト血清試料全てについて行った。
(2) 前記1の(1)で調製した本発明・第1試薬に代えて前記1の(2)で調製した従来・第1試薬を用いること以外は、上記(1)の記載の通りに操作を行い、43種類のヒト血清試料についてそれぞれ総コレステロール濃度を求めた。
(3) 前記2の43種類のヒト血清試料のそれぞれについて、不飽和鉄結合能(UIBC)の値を求めた。
前記試料の不飽和鉄結合能の測定は、市販の不飽和鉄結合能測定試薬「クイックオートネオ UIBC」(シノテスト社)を用いて、日立製作所社製7170S形自動分析装置により行った。
なお、この7170S形自動分析装置における測定は、前記試薬の製造元であるシノテスト社が顧客及び販売店に案内、公表している所定の方法(パラメータ)に従い行った。
(1) 43種類のヒト血清試料の測定結果である、「従来・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度」、「本発明・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度」、「従来・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度から本発明・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度を差し引いた値」、及び「不飽和鉄結合能値」を表1に示した。
不飽和鉄結合能が低くない試料(試料番号:1〜20)においては、「従来・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度から本発明・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度を差し引いた値」は、ほとんどゼロである。
すなわち、酵素的測定試薬にキレート剤を含有させることにより、このキレート剤が非特異的発色の元であるフェロシアン化カリウムの鉄イオン(第1の金属イオン)に配位して、これにより鉄イオンが色原体とカップラーの酸化縮合反応を促進することを妨げ、その結果、非特異的な発色が生じるのを抑制できることが確かめられた。
(試料の不飽和鉄結合能に依存する非特異的発色の出現頻度の確認)
3,119種類のヒト血清試料を測定して、試料の不飽和鉄結合能に依存する非特異的発色の出現頻度を確かめた。
(1) 本発明・第1試薬
前記実施例1の1の(1)の本発明・第1試薬を、本参考例の本発明・第1試薬として用いた。
前記実施例1の1の(2)の従来・第1試薬を、本参考例の従来・第1試薬として用いた。
前記実施例1の1の(3)の第2試薬を、本参考例の第2試薬として用いた。
3,119種類のヒト血清試料を用意した。
前記2の3,119種類のヒト血清試料について、前記実施例1の3の(1)、(2)及び(3)の記載の通りに測定を行い、「従来・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度」、「本発明・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度」、及び「不飽和鉄結合能値」を求めた。
3,119種類のヒト血清試料の測定結果を図1に示した。
なお、この図において、横軸は「不飽和鉄結合能値」(μg/dL)を表し、縦軸は「従来・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度から本発明・第1試薬を用いた場合の総コレステロール濃度を差し引いた値」(mg/dL)を表す。
なお、この3,119種類のヒト血清試料のうち、非特異的発色が生じていると判断できたものは計109試料あり、その出現頻度は約3.5%であった。
(本発明による非特異的発色の抑制効果の確認−2)
本発明において、各種のキレート剤を酵素的測定試薬に含有させた場合の非特異的発色の抑制効果を確かめた。
(1) 第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように、更に表2に記載した9種類のキレート剤をそれぞれ表2に記載した濃度になるように純水に溶解し、pHを6.9又は6.5(20℃)に調整し、表2に記載したキレート剤をそれぞれ含有する(又は含有しない)29種類の総コレステロール測定用酵素的測定試薬の第1試薬を調製した。
グッド緩衝剤(埼京化成) 100mM
4−アミノアンチピリン(第一化学) 0.11g/L
フェロシアン化カリウム(国産化学) 31μM
塩化カルシウム(国産化学) 2mM
コレステロールエステラーゼ(東洋紡績)500単位/L
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを8.5(20℃)に調整し、総コレステロール測定用酵素的測定試薬の第2試薬を調製した。(なお、非特異的な発色のみを測定するため、通常含有させるコレステロールオキシダーゼは含有させなかった。)
グッド緩衝剤(埼京化成) 20mM
N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)
−3,5−ジメトキシアニリン[HDAOS](埼京化成) 2mM
ペルオキシダーゼ(東洋紡績) 8000単位/L
(1)精製水試料
精製水を試料として用意した。
(2)ヒト血清試料
多人数の健常者の血清を混合したものを試料として用意した。
(3)低UIBC試料
上記(2)のヒト血清試料に鉄イオンを添加し、このヒト血清試料中のトランスフェリンに鉄イオンを結合させ、不飽和鉄結合能(UIBC)が低いヒト血清試料を実験的に調製した。
前記の各酵素的測定試薬における非特異的な発色の測定は、日立製作所社製7170S形自動分析装置にて行い、前記2の各試料の2μLに各々前記1の(1)で調製した第1試薬150μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記1の(2)で調製した第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。
第1試薬添加後4分30秒目(16ポイント目)と第2試薬添加後5分17秒目(34ポイント目)の主波長600nm及び副波長700nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。
そして、総コレステロール濃度が既知(200mg/dL)の試料〔標準液〕について、前記の通り測定を行い、この標準液の測定値(吸光度差)と前記のヒト血清試料及び低UIBC試料の測定値(吸光度差)をそれぞれ比較することにより、前記のヒト血清試料及び低UIBC試料の測定値(吸光度差)について総コレステロール濃度に換算した値を各々求めた。
以上の測定結果を表2に示した。
なお、この表において、精製水試料における値は得られた吸光度差であり、ヒト血清試料及び低UIBC試料における値は前記の通り測定値(吸光度差)を総コレステロール濃度に換算した値である。
キレート剤を含有していない第1試薬(pH6.9)でのヒト血清試料における総コレステロール濃度換算値は0.3mg/dLであるが、このヒト血清試料に鉄イオンを添加した低UIBC試料における総コレステロール濃度換算値は7.1mg/dLであり、このヒト血清試料の不飽和鉄結合能の低下により、このキレート剤を含有していない第1試薬を用いた測定では非特異的な発色が生じていることが分かる。
(キレート剤のコレステロールエステラーゼ活性に対する影響の確認−1)
本発明において、酵素的測定試薬に含有させたキレート剤のコレステロールエステラーゼに対する影響を確かめた。
(1) 第1試薬の調製
23mMのグルコン酸ナトリウムに代えて、表3に記載の9種類のキレート剤それぞれを表に記載した濃度で含有すること(又は含有しないこと)以外は、実施例1の1の(1)の本発明・第1試薬と同様にして、28種類の第1試薬をそれぞれ調製した。
前記実施例1の1の(3)で調製した第2試薬をそのまま使用した。
上記1の(1)で調製した28種類の第1試薬及び上記1の(2)で調製した第2試薬を10℃で36日間保存した。
保存開始時及び保存7日後、並びに36日後に、28種類の第1試薬の各々のコレステロールエステラーゼの活性値(吸光度)を測定した。
なお、コレステロールエステラーゼ活性値(吸光度)の測定は、東洋紡績社酵素製品カタログ「TOYOBO ENZYMES」(2002年7月1日発行)の第54頁に記載されたコレステロールエステラーゼの活性測定方法に従って行った。
そして、保存7日後及び36日後の吸光度(コレステロールエステラーゼ活性値)をそれぞれ、キレート剤無添加第1試薬の保存開始時の吸光度(コレステロールエステラーゼ活性値)で除して100を乗ずることにより、保存7日後及び36日後のコレステロールエステラーゼ活性の残存率(%)をそれぞれ算出した。
コレステロールエステラーゼ活性値の測定結果を表3に示した。
なお、この表で、カッコ内の数値は、前記の通りに算出した保存後のコレステロールエステラーゼ活性の残存率(%)を示す。
また、第1試薬にクエン酸又はADAを含有させた場合も、濃度や保存日数による差はあるものの保存開始時のコレステロールエステラーゼの活性値(吸光度)を100%とした場合に、最低70%台まで低下していることが分かる。
(キレート剤のコレステロールエステラーゼ活性に対する影響の確認−2)
本発明において、酵素的測定試薬に含有させたキレート剤のコレステロールエステラーゼに対する影響を確かめた。
(1) 第1試薬の調製
23mMのグルコン酸ナトリウムに代えて、表4に記載の11種類のキレート剤それぞれを表に記載した濃度で含有すること(又は含有しないこと)こと以外は、実施例1の1の(1)の本発明・第1試薬と同様にして、33種類の第1試薬をそれぞれ調製した。
前記実施例1の1の(3)で調製した第2試薬をそのまま使用した。
上記1の(1)で調製した33種類の第1試薬及び上記1の(2)で調製した第2試薬を10℃で36日間保存した。
保存開始時及び保存7日後、並びに36日後に、33種類の第1試薬の各々のコレステロールエステラーゼ活性値(吸光度)を実施例3と同様の方法で測定した。
コレステロールエステラーゼ活性値の測定結果を表4に示した。
なお、この表で、カッコ内の数値は、実施例3の3の記載と同様にして算出した保存後のコレステロールエステラーゼ活性の残存率(%)を示す。
Claims (4)
- 色原体及びカップラーからなる被酸化性発色試薬並びに酸化酵素及びペルオキシダーゼを用い、更にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを含む酵素的測定試薬であって、フェロシアン化物及びコレステロールエステラーゼを含む前記酵素的測定試薬に、鉄イオンには配位するが、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンには配位しないキレート剤を含有させることを特徴とする、試料に依存する非特異的発色の抑制方法。
- 前記の試料に依存する非特異的発色が、試料の鉄イオンとの結合能に依存する非特異的発色である、請求項1記載の試料に依存する非特異的発色の抑制方法。
- 前記の試料に依存する非特異的発色が、試料の不飽和鉄結合能に依存する非特異的発色である、請求項1記載の試料に依存する非特異的発色の抑制方法。
- 前記キレート剤が、グルコン酸、酒石酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、又はサリチル酸よりなる群から選択される少なくとも一つの物質である、請求項1〜3に記載の試料に依存する非特異的発色の抑制方法。
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