JP6047778B2 - 測定対象物質の測定方法及び測定試薬、並びにビリルビンに由来する影響の回避方法 - Google Patents

測定対象物質の測定方法及び測定試薬、並びにビリルビンに由来する影響の回避方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法及び試薬であって、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができる試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬に関するものである。
また、本発明は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定する試料中の測定対象物質の測定における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避する方法に関するものである。
本発明は、臨床検査、臨床病理学及び医学などの生命科学分野、並びに分析化学などの化学分野等において有用なものである。
酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法及び試薬は、その測定が正確であること等により繁用されている。
しかしながら、これらの測定方法及び測定試薬による試料中の測定対象物質の測定は、試料に含まれる種々の還元物質、薬剤又は色素等により、影響を受け易いことも知られている。
これらの影響を与える物質の中でも、ビリルビンは生体試料中に遊離型又は抱合型として存在しており、試料中の測定対象物質の測定値に誤差を生じさせ、測定に影響を与えることが分かっている。
試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避する方法としては、例えば、過酸化水素に対する親和性が高く、ビリルビンより速く過酸化水素と反応して発色する色原体を使用する方法(非特許文献1参照。)、フェロシアン化カリウム、ヨウ素酸又は過ヨウ素酸などの酸化剤を使用してビリルビンを分解する方法(非特許文献1参照。)、内因性基質を利用する乳酸オキシダーゼ若しくはウリカーゼ反応などの前処理酵素反応により発生させた過酸化水素によりビリルビンを酸化分解する方法(非特許文献1参照。)、ビリルビンオキシダーゼを使用する方法(特許文献1参照。)、2価の銅イオン化合物と界面活性剤及び/又はシアン化合物を使用する方法(特許文献2参照。)、陽イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を使用する方法(特許文献3参照。)、両性界面活性剤を使用する方法(特許文献4参照。)、フェロシアン化化合物と多糖及びアルキル基等のアグリコンよりなる非イオン性界面活性剤を使用する方法(特許文献5参照。)、鉄錯体とステロイド骨格を有するアルキル基及びポリオキシアルキレン基を含む界面活性剤を使用する方法(特許文献6参照。)、及びpH7以上で亜鉛イオンを使用する方法(特許文献7参照。)等が提案されているが、必ずしも完全とは言えなかった。
すなわち、試料中の測定対象物質の測定においては、正確な測定結果(測定値)を得るため、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避する方法の更なる改善が望まれていた。
特公昭55−25840号公報 特開昭59−159798号公報 特開平3−10696号公報 特開平7−39394号公報 特開平9−224697号公報 特開平11−243993号公報 特開2004−271440号公報
臨床検査法提要,第33版,第37頁,金井正光監修,金原出版,2010年4月1日発行
試料中の測定対象物質の測定においては、試料に含まれるビリルビンにより当該測定が影響を受け、測定結果(測定値)に誤差が生じることがあった。
このため、例えば、医療の場における臨床検査において、試料中の測定対象物質の測定結果(測定値)を診断に利用しようとする場合、疾患等の診断を誤らせる可能性があった。
従って、試料中の測定対象物質の測定においては、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避が更に向上した、測定方法、測定試薬及びビリルビンに由来する測定への影響の回避方法が望まれていた。
これに対して、本発明の課題は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法及び試薬であって、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができる試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬を提供することである。
また、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することによる試料中の測定対象物質の測定における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避する方法を提供することである。
本発明者らは、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避について検討を重ねたところ、特定の化合物を存在させて測定を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明よりなる。
(1) 酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法。
(2) ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避する、前記(1)記載の試料中の測定対象物質の測定方法。
(3) 酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する試薬において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含有させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定試薬。
(4) ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避剤として含有させる、前記(3)記載の試料中の測定対象物質の測定試薬。
(5) 酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当り、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とする、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法。
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法、試料中の測定対象物質の測定試薬、及び試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法は、試料に含まれる測定対象物質の測定において、試料に含まれるビリルビンにより当該測定が影響を受けるのを回避し、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができるものである。
すなわち、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法、試料中の測定対象物質の測定試薬、及び試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法においては、試料に含まれるビリルビンによる影響を受けない、正確な測定結果(測定値)を得ることができるものである。
これにより、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法、試料中の測定対象物質の測定試薬、及び試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法は、例えば、医療の場において、診断を誤らせることを防ぐことができるものである。
〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法
1.総論
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とするものである。
そして、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法においては、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができる。
2.ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物
(1)総論
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法においては、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なう。
本発明においては、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物を総称して、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物という。
(2)ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物
本発明におけるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物であるが、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物であれば特に限定なく用いることができる。
本発明において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物としては、一般式(I)〔式中、R1は炭素数5〜30の飽和又は不飽和のアルキル基であり、m及びnはそれぞれエチレンオキシド付加モル数であって1以上の整数のものであり、mとnの和は2〜30である〕で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物が好ましい。
なお、この一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物のR1における飽和又は不飽和のアルキル基の炭素数の下限については、より好ましくは炭素数8以上であり、特に好ましくは炭素数12以上である。
また、この一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物のR1における飽和又は不飽和のアルキル基の炭素数の上限については、より好ましくは炭素数20以下であり、特に好ましくは炭素数18以下である。
そして、この一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物におけるmとnの和の下限については、より好ましくは5以上であり、特に好ましくは10以上である。(なお、m及びnはそれぞれ1以上の整数である。)
また、この一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物におけるmとnの和の上限については、より好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下である。(なお、m及びnはそれぞれ1以上の整数である。)
ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物として、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンオレイルアミン(アルキル基R1は炭素数18、二重結合数1のオレイル基)、ポリオキシエチレンステアリルアミン(アルキル基R1は炭素数18、飽和のステアリル基)、ポリオキシエチレンラウリルアミン(アルキル基R1は炭素数12、飽和のラウリル基)、又はポリオキシエチレンオクチルアミン(アルキル基R1は炭素数8、飽和のオクチル基)等を挙げることができる。
また、本発明において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物として、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルアミンをも挙げることができる。
なお、ヤシ油の一般的な脂肪酸組成は、カプリル酸(C15COOH;飽和)8%、カプリン酸(C19COOH;飽和)6%、ラウリン酸(C1123COOH;飽和)49%、ミリスチン酸(C1327COOH;飽和)18%、パルミチン酸(C1531COOH;飽和)8%、ステアリン酸(C1735COOH;飽和)3%、及びオレイン酸(C1734COOH;二重結合数1)7%である。
なお、本発明において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物として、ポリオキシエチレン牛脂アルキルアミンをも挙げることができる。
ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物として、更に具体的には、例えば、ポリオキシエチレンオレイルアミン(アルキル基R1は炭素数18、二重結合数1のオレイル基)として、「ナイミーン O」〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンステアリルアミン(アルキル基R1は炭素数18、飽和のステアリル基)として、例えば、「ナイミーン S」〔日油株式会社(日本国)〕又は「アミート」〔花王株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンラウリルアミン(アルキル基R1は炭素数12、飽和のラウリル基)として、例えば、「ナイミーン L」〔日油株式会社(日本国)〕、「アミート」〔花王株式会社(日本国)〕、又は「ニッコールTAMND」〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕、等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルアミンとして、例えば、「ナイミーン F」〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレン牛脂アルキルアミンとして、例えば、「ナイミーン T2」〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。(なお、「ナイミーン」は登録商標である。)
ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物として、より詳細には、例えば、ポリオキシエチレンオレイルアミン(アルキル基R1は炭素数18、二重結合数1のオレイル基)として、「ナイミーン O−205」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:5)〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンステアリルアミン(アルキル基R1は炭素数18、飽和のステアリル基)として、例えば、「ナイミーン S−202」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:2)若しくは「ナイミーン S−204」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:4)若しくは「ナイミーン S−210」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:10)若しくは「ナイミーン S−215」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:15)若しくは「ナイミーン S−220」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:20)〔いずれも日油株式会社(日本国)〕、又は「アミート 302」若しくは「アミート 308」若しくは「アミート 320」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:20)〔いずれも花王株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンラウリルアミン(アルキル基R1は炭素数12、飽和のラウリル基)として、例えば、「ナイミーン L−202」若しくは「ナイミーン L−207」〔いずれも日油株式会社(日本国)〕、又は「アミート 102」若しくは「アミート 105」〔いずれも花王株式会社(日本国)〕、又は「ニッコールTAMND−15」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:15)〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンオクチルアミン(アルキル基R1は炭素数8、飽和のオクチル基)として、例えば、「ポリオキシエチレンオクチルアミン」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:10)等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルアミンとして、例えば、「ナイミーン F−202」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:2)、「ナイミーン F−203」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:3)、「ナイミーン F−205」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:5)、「ナイミーン F−210」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:10)、又は「ナイミーン F−215」(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:15)〔いずれも日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレン牛脂アルキルアミンとして、例えば、「ナイミーン T2−202」、「ナイミーン T2−210」、又は「ナイミーン T2−230」〔いずれも日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
(3)ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物
本発明におけるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物であるが、ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物であれば特に限定なく用いることができる。
本発明において、ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物としては、一般式(II)〔式中、R2−CO−Nは炭素数5〜30の飽和又は不飽和の脂肪酸残基であり、p及びqはそれぞれエチレンオキシド付加モル数であって1以上の整数のものであり、pとqの和は2〜30である〕で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物が好ましい。
なお、一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物において、R2−CO−Nにおける飽和又は不飽和の脂肪酸残基の炭素数の下限については、より好ましくは炭素数8以上であり、特に好ましくは炭素数12以上である。
また、一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物において、R2−CO−Nにおける飽和又は不飽和の脂肪酸残基の炭素数の上限については、より好ましくは炭素数20以下であり、特に好ましくは炭素数18以下である。
そして、この一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物におけるpとqの和の下限については、より好ましくは5以上であり、特に好ましくは10以上である。(なお、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
また、この一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物におけるpとqの和の上限については、より好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下である。(なお、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
また、本発明において、ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物としては、一般式(III)〔式中、R3−CO−NHは炭素数5〜30の飽和又は不飽和の脂肪酸残基であり、rはエチレンオキシド付加モル数であって1〜30の整数である〕で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物も好ましい。
なお、一般式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物において、R3−CO−NHにおける飽和又は不飽和の脂肪酸残基の炭素数の下限については、より好ましくは炭素数8以上であり、特に好ましくは炭素数12以上である。
また、一般式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物において、R3−CO−NHにおける飽和又は不飽和の脂肪酸残基の炭素数の上限については、より好ましくは炭素数20以下であり、特に好ましくは炭素数18以下である。
そして、この一般式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物におけるrの下限については、より好ましくは5以上であり、特に好ましくは10以上である。(なお、rは整数である。)
また、この一般式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物におけるrの上限については、より好ましくは25以下であり、特に好ましくは20以下である。(なお、rは整数である。)
ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物として、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド(脂肪酸残基の基となる脂肪酸は炭素数18、二重結合数1のオレイン酸)、又はポリオキシエチレンラウリン酸アミド(脂肪酸残基R3−CO−NHの基となる脂肪酸は炭素数12、飽和のラウリン酸)等を挙げることができる。
また、本発明において、ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物として、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミド等をも挙げることができる。
なお、ヤシ油の一般的な脂肪酸組成は、カプリル酸(C15COOH;飽和)8%、カプリン酸(C19COOH;飽和)6%、ラウリン酸(C1123COOH;飽和)49%、ミリスチン酸(C1327COOH;飽和)18%、パルミチン酸(C1531COOH;飽和)8%、ステアリン酸(C1735COOH;飽和)3%、及びオレイン酸(C1734COOH;二重結合数1)7%である。
ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物として、更に具体的には、例えば、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド(脂肪酸残基の基となる脂肪酸は炭素数18、二重結合数1のオレイン酸)として、「TAMDO」〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド(脂肪酸残基R3−CO−NHの基となる脂肪酸は炭素数12、飽和のラウリン酸)として、例えば、「ナイミッド ML」〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドとして、例えば、「ナイミッド DF」〔日油株式会社(日本国)〕、「ナイミッド MF」〔日油株式会社(日本国)〕、又は「ナイミッド F」〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。(なお、「ナイミッド」は登録商標である。)
ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物として、より詳細には、例えば、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド(脂肪酸残基の基となる脂肪酸は炭素数18、二重結合数1のオレイン酸)として、「TAMDO−10」(エチレンオキシド付加モル数:10)〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド(脂肪酸残基R3−CO−NHの基となる脂肪酸は炭素数12、飽和のラウリン酸)として、例えば、「ナイミッド ML−203」(エチレンオキシド付加モル数であるrの数:3)、又は「ナイミッド ML−211」(エチレンオキシド付加モル数であるrの数:11)〔いずれも日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドとして、例えば、「ナイミッド DF−203」(エチレンオキシド付加モル数であるpとqの和:3)〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドとして、例えば、「ナイミッド MF−203」(エチレンオキシド付加モル数であるrの数:3)、又は「ナイミッド MF−210」(エチレンオキシド付加モル数であるrの数:11)〔いずれも日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
また、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドとして、例えば、「ナイミッド F−205」(エチレンオキシド付加モル数であるrの数:5)〔日油株式会社(日本国)〕等を挙げることができる。
(4)ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物の濃度等の詳細
本発明においては、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行うものであって、このポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させる濃度は、特に限定されないが、測定反応時において、0.01%(w/v)以上であることが好ましい。
なお、このポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させる好ましい濃度の下限は、測定反応時において、より好ましくは0.05%(w/v)以上であり、特に好ましくは0.1%(w/v)以上である。
また、このポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させる濃度であるが、測定反応時における濃度に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると2%(w/v)迄で十分である。
なお、このポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させる好ましい濃度の上限は、測定反応時において、より好ましくは1%(w/v)以下であり、特に好ましくは0.5%(w/v)以下である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の濃度となるような濃度のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物は、1種類のものを存在させて測定を行ってもよく、又は複数種類のものを存在させて測定を行ってもよい。
そして、本発明においては、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物として、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物だけを存在させて測定を行ってもよく、又はポリオキシエチレンアルキルアミド化合物だけを存在させて測定を行ってもよく、又はポリオキシエチレンアルキルアミン化合物とポリオキシエチレンアルキルアミド化合物の両方を存在させて測定を行ってもよい。
また、本発明において、その測定反応が一つの段階のみよりなる場合は、その段階の測定反応においてポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させる。
また、測定反応が二つ以上の複数の段階よりなる場合は、少なくとも、この測定反応の最終段階の反応時において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させることが好ましい。
そして、本発明においては、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができる。
3.試料中の測定対象物質の測定
(1)総論
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とするものである。
この酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する方法であるが、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定することができる方法であればよく、特に限定はない。
この方法としては、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ及び色原体と混合、接触させて発色系に導き、酸化反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する方法等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ、水素供与体である色原体、及びこの色原体の縮合対象物としてのカップラーと混合、接触させて発色系に導き、酸化縮合反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する方法等を挙げることができる。
また、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ及び色原体と混合、接触させて前記のカップラーを用いることなく発色系に導き、酸化反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する方法等をも挙げることができる。
(2)試料
本発明における試料は、測定対象物質を含む可能性がある試料であって、これを測定しようとするものである。
前記の通りのものであれば、試料として特に限定はないが、例えば、試料として、生体試料、食肉、野菜、穀物、果物、水産物、加工食品、飲料、飲料水、井戸水、河川水、湖沼水、海水、土壌、空気、又は医薬品等を挙げることができる。
例えば、生体試料としては、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、大便、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水、脳等の臓器、毛髪や皮膚や爪や筋肉若しくは神経等の組織及び細胞等を挙げることができる。
本発明においては、試料は液体であることが好ましい。
もし、測定対象物質を含む試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の前処理を公知の方法に従って行ない、測定対象物質を液体中に含有させるようにしてもよい。
なお、本発明において、試料としては生体試料が好ましく、血液、血清、血漿又は尿が試料としてより好ましい。
(3)測定対象物質
本発明における測定対象物質は、試料に含まれ、試料中における存在の有無又は量(若しくは濃度)を測定しようとするものであって、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することによって測定することができる物質である。
前記の通りのものであれば、測定対象物質として特に限定はない
この測定対象物質の例を表1に示した。
本発明において、測定対象物質としてはクレアチニン、又は尿酸が好ましく、測定対象物質としてクレアチニンがより好ましい。
(4)酸化酵素
本発明において、酸化酵素とは、試料に含まれる測定対象物質から直接又は間接的に、酸化性物質である過酸化水素を生成させる反応を触媒する物質をいい、このような物質であれば特に限定なく用いることができる。
この試料中の測定対象物質の測定に用いる、「酸化酵素」及び「他の主要な成分」の例をも表1に示した。(なお、酸化酵素による反応によって生じた過酸化水素から色素を生成させるペルオキシダーゼ、色原体、及びカップラーについては、後に詳細に記載するため、この表1の「他の主要な成分」の欄には記載していない。)
すなわち、酸化酵素としては、例えば、ザルコシンオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ウリカーゼ、グルコース酸化酵素、コリン酸化酵素、又はアシルCoA酸化酵素等を挙げることができる。
本発明において、酸化酵素としてはザルコシンオキシダーゼ、又はウリカーゼが好ましく、酸化酵素としてザルコシンオキシダーゼがより好ましい。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定において、酸化酵素の活性値は、特に限定されないが、測定反応時において、100単位/L(Unit/L)以上であることが好ましい。
また、この酸化酵素の活性値の下限は、測定反応時において、より好ましくは1,000単位/L以上であり、特に好ましくは5,000単位/L以上である。
そして、この酸化酵素の測定反応時の活性値に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると100,000単位/L迄で十分である。
また、この酸化酵素の活性値の上限は、測定反応時において、より好ましくは80,000単位/L以下であり、特に好ましくは50,000単位/L以下である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の活性値となるような活性値の酸化酵素を、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
(5)ペルオキシダーゼ
本発明においては、酸化酵素による反応によって生じた過酸化水素から色素を生成させるために、色原体と共に、又は色原体及びカップラーと共に、ペルオキシダーゼ(パーオキシダーゼ、POD)を用いることができる。
このペルオキシダーゼとしては、過酸化水素により色原体を酸化し色素を生成する反応を触媒することができるもの、又は過酸化水素により色原体とカップラーを酸化縮合させて色素を生成する反応を触媒することができるもの、であれば特に限定なく用いることができる。
このペルオキシダーゼとしては、いずれの由来のものも使用でき、例えば、ヒト若しくはウシなどの動物由来のもの、西洋ワサビなどの植物由来のもの、又は細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの等を挙げることができる。
なお、このペルオキシダーゼとしては、微生物等のペルオキシダーゼの遺伝子を大腸菌等の微生物等に組み込む遺伝子組み換え技術により調製したもの、又は遺伝子の改変等により性質を改良した微生物等から調製したペルオキシダーゼ等であってもよい。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定において、ペルオキシダーゼの活性値は、特に限定されないが、測定反応時において、10単位/L(Unit/L)以上であることが好ましい。
また、このペルオキシダーゼの活性値の下限は、測定反応時において、より好ましくは50単位/L以上であり、特に好ましくは100単位/L以上である。
そして、このペルオキシダーゼの測定反応時の活性値に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると500,000単位/L迄で十分である。
また、このペルオキシダーゼの活性値の上限は、測定反応時において、より好ましくは100,000単位/L以下であり、特に好ましくは50,000単位/L以下である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の活性値となるような活性値のペルオキシダーゼを、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
(6)色原体
(a) 本発明において、色原体とは、酸化酵素により生じた過酸化水素を当該色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定することができる物質である。このような物質であれば特に限定なく用いることができる。
(b) 本発明において、この色原体は、例えば、測定時、酸化酵素により生じた過酸化水素、ペルオキシダーゼ、及びカップラーと混合、接触させることにより、このカップラーと酸化縮合して色素が生じる物質であってもよい。
なお、この場合、この色原体は、前記の酸化縮合反応時に、水素を放出する水素供与体となる。
また、この場合、この色原体としては、例えば、フェノール、フェノール誘導体、又はアニリン誘導体等を挙げることができる。
このフェノールの誘導体としては、例えば、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブロモフェノール、若しくは2,4,6−トリクロロフェノール、又はこれらの塩等を挙げることができる。
また、アニリン誘導体としては、例えば、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン(FDAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン(FDAPS)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3,5−ジメトキシアニリン(CEDB)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン(ALPS)、N−(3−スルホプロピル)アニリン(HALPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(TOOS)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−m−トルイジン(CEMB)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3−メトキシアニリン(CEMO)、若しくはN−(3−スルホプロピル)−3−メトキシ−5−メチルアニリン(HMMPS)、又はこれらの塩等を挙げることができる。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定において、前記の色原体の濃度は、特に限定されないが、測定反応時において、0.005mM以上であることが好ましい。
また、前記の色原体の濃度の下限は、測定反応時において、より好ましくは0.05mM以上であり、特に好ましくは0.5mM以上である。
そして、前記の色原体の測定反応時の濃度に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると50mM迄で十分である。
また、前記の色原体の濃度の上限は、測定反応時において、より好ましくは20mM以下であり、特に好ましくは10mM以下である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の濃度となるような濃度の前記の色原体を、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
(c) また、本発明において、この色原体は、例えば、測定時、酸化酵素により生じた過酸化水素、及びペルオキシダーゼと混合、接触させることにより(すなわち、カップラーと混合、接触させることなく)、酸化反応によって色素が生じる物質であってもよい。
この場合、この色原体としては、例えば、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチル−アミノフェニル]アミン(BCMA)又はこれらの塩等を挙げることができる。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の濃度となるような濃度の前記の色原体を、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
(7)カップラー
本発明において、カップラーとは、酸化酵素により生じた過酸化水素を当該カップラー、ペルオキシダーゼ、及び前記の水素供与体としての色原体(フェノール、フェノール誘導体、又はアニリン誘導体等)と混合、接触させることにより、前記色原体と酸化縮合して色素を生成させることができる物質である。このような物質であれば特に限定なく用いることができる。
このカップラーとしては、例えば、4−アミノアンチピリン若しくはその誘導体、フェニレンジアミン、又は3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等を挙げることができる。
なお、本発明においては、このカップラーが4−アミノアンチピリンであることが好ましい。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定において、前記のカップラーの濃度は、特に限定されないが、測定反応時において、0.005mM以上であることが好ましい。
また、前記のカップラーの濃度の下限は、測定反応時において、より好ましくは0.05mM以上であり、特に好ましくは0.5mM以上である。
そして、前記のカップラーの測定反応時の濃度に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると50mM迄で十分である。
また、前記のカップラーの濃度の上限は、測定反応時において、より好ましくは20mM以下であり、特に好ましくは10mM以下である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の濃度となるような濃度の前記のカップラーを、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
(8)pH
本発明の試料中の測定対象物質の測定において、pHは特に限定されないが、測定反応時のpHは、当該測定反応が進むpH域にあればよい。
なお、この測定反応時のpHは、当該測定反応の至適pH域又はその近辺にあることが好ましい。
例えば、測定反応時のpHは、pH6.0(20℃)以上であることが好ましい。
また、この測定反応時のpHの下限は、より好ましくはpH6.5(20℃)以上であり、特に好ましくはpH7.0(20℃)以上である。
そして、この測定反応時のpHは、pH9.0(20℃)以下であることが好ましい。
また、この測定反応時のpHの上限は、測定反応時において、より好ましくはpH8.5(20℃)以下であり、特に好ましくはpH8.0(20℃)以下である。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、測定反応時に前記のpH域のpHとなるように、当該測定試薬のpHを設定することが好ましい。
(9)緩衝剤
本発明においては、測定反応時に、緩衝剤を適宜必要に応じて存在させることができる。
例えば、前記の「(8)pH」に記載のpH域等において緩衝能を有する緩衝剤を、緩衝能を有する濃度において、測定反応時に存在させることができる。
このような緩衝剤としては、例えば、MES、Bis−Tris、Bis−Trisプロパン、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、MOPS、MES、BES、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、HEPPS、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPS、リン酸、リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、グリシン、グリシルグリシン、イミダゾール、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕等を挙げることができる。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、測定反応時に前記の「(8)pH」に記載のpH域のpHとなるように、当該測定試薬のpHを設定することが好ましい。
このため、前記の「(8)pH」に記載のpH域等において緩衝能を有する緩衝剤を、測定反応時に緩衝能を有する濃度において、この測定試薬に含有させることが好ましい。
(10)他の成分
本発明においては、測定反応時に、酵素の基質、共役酵素、補酵素、金属イオン若しくはこれを含む金属塩、キレート剤、アルブミンなどのタンパク質、糖類若しくは高分子化合物などの安定化剤、アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの防腐剤、他の試料に含まれる測定妨害物質の消去剤若しくは影響抑制剤(例えば、ビリルビンに対するフェロシアン化カリウムなど、若しくはアスコルビン酸に対するアスコルビン酸オキシダーゼなど等)、界面活性剤、又は活性化剤等を適宜必要に応じて存在させることができる。
なお、これらを存在させる際の濃度は特に限定されるものではないが、測定反応時において、0.001%(w/v)以上であることが好ましい。
また、これらを存在させる際の濃度の下限は、測定反応時において、より好ましくは0.01%(w/v)以上であり、特に好ましくは0.1%(w/v)以上である。
そして、これらを存在させる際の濃度に上限は特にはないが、コスト等のことを考えると10%(w/v)迄で十分である。
また、これらを存在させる際の濃度の上限は、測定反応時において、より好ましくは5%(w/v)以下であり、特に好ましくは2.5%(w/v)以下である。
なお、前記の各界面活性剤の具体例としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬には、測定反応時に前記の濃度となるような濃度の前記の成分を、当該測定試薬に含有させることが好ましい。
(11)測定
本発明により試料中の測定対象物質の測定を行う場合、測定は終点法(エンドポイント法)又は反応速度法(レート法)等の方法を適宜選択して測定を行えばよい。
また、この測定は、一段階のステップにより行う1ステップ法(1試薬法)、又は二段階若しくはそれ以上の多段階のステップにより行う多ステップ法(多試薬法)を適宜選択して測定を行えばよい。
また、この測定において、生成した色素を光学的に測定する際の測定波長は、可視部の適当な波長を適宜選択して使用することができる。なお、この場合、一波長法でもよく、又は二波長法でもよい。
また、この測定において、測定反応時の温度は、30℃又は37℃等測定反応が進行しかつ測定反応に係わる酵素等の反応成分が熱により失活、変性又は変質しない範囲内の温度を設定すればよい。
また、この測定において、測定反応の開始方法は、基質等を加えることにより行う方法、又は試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法でもよい。
また、この測定において、その測定は、用手法により行ってもよく、又は自動分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
(12)試料中の測定対象物質の測定の具体例
本発明における試料中の測定対象物質の測定の具体例として、酸化酵素であるザルコシンオキシダーゼを用いて試料中のクレアチニンを測定する方法を以下記載する。
(a)測定試薬の調製
下記の各成分の一定量をそれぞれ純水に溶解し、pHを一定のpHに調整することにより、クレアチニン測定試薬の第1試薬及び第2試薬を各々調製した。
(i)第1試薬
ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物又はポリオキシエチレンアルキルアミド化合物
ザルコシンオキシダーゼ
クレアチナーゼ
カタラーゼ
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)>
緩衝剤
(ii)第2試薬
クレアチニナーゼ
4−アミノアンチピリン
ペルオキシダーゼ
アジ化ナトリウム
緩衝剤
(b)試料
ヒトの血清を試料として用いた。
(c)測定
(i)第1段階
前記の試料と前記の第1試薬を混合して、混合液を調製する。
この混合する試料及び第1試薬それぞれの量は、第2試薬の量、試料に含まれる測定対象物質(クレアチニン)の濃度、色原体及びカップラーに由来する色素の吸光係数、測定波長、使用する分析装置の仕様等、並びに他の条件に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、試料の量は0.5〜100μL、第1試薬の量は20〜1,000μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
この混合液の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は20分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましく、5分以内であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の混合液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると反応に係わる酵素が変性、失活してしまうので、インキュベートする際の温度は、測定反応に係わる酵素が変性、失活する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、測定反応に係わる酵素が耐熱性酵素であれば更に高温でもよい。
この試料と第1試薬の混合液の調製及びインキュベートにより、試料に含まれていたクレアチンと、第1試薬に含まれる試薬成分とが接触し、これらの成分による試料に含まれていたクレアチンの消去反応が始まる。
すなわち、まず、試料に含まれていたクレアチンと水が、クレアチナーゼによりザルコシンと尿素になる。
次に、このザルコシンと酸素と水が、ザルコシンオキシダーゼ(酸化酵素)によりグリシンとホルムアルデヒドと過酸化水素になる。
次に、この過酸化水素2分子が、カタラーゼにより分解されて水と酸素となる。
以上の反応により、試料に含まれていたクレアチンが消去される。
(ii)第2段階
前記の第1段階で調製した「試料と第1試薬の混合液」に、第2試薬を混合する。これを最終反応液とする。
この混合する第2試薬の量は、試料の量、第1試薬の量、試料に含まれる測定対象物質(クレアチニン)の濃度、色原体及びカップラーに由来する色素の吸光係数、測定波長、使用する分析装置の仕様等、並びに他の条件に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、第2試薬の量は10〜1,000μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
この最終反応液の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は20分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましく、5分以内であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の最終反応液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎると測定反応に係わる酵素が変性、失活してしまうので、インキュベートする際の温度は、測定反応に係わる酵素が変性、失活する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、測定反応に係わる酵素が耐熱性酵素であれば更に高温でも良い。
この最終反応液の調製及びインキュベートにより、前記の第1段階における測定反応に引き続き、この第2段階における測定反応が開始し、試料に含まれていたクレアチニンの測定反応が進められる。
すなわち、まず、第1段階において試料に含まれていたクレアチンの消去反応に用いられたカタラーゼが、第2試薬に含まれていたアジ化ナトリウムによってその活性を阻害され、過酸化水素を水と酸素に分解することが出来なくなる。
そして、試料に含まれていたクレアチニンと水が、クレアチニナーゼによりクレアチンになる。
次に、このクレアチンと水が、クレアチナーゼによりザルコシンと尿素になる。
次に、このザルコシンと酸素と水が、ザルコシンオキシダーゼ(酸化酵素)によりグリシンとホルムアルデヒドと過酸化水素になる。
次に、この過酸化水素2分子と色原体(ADOS)とカップラー(4−アミノアンチピリン)が、ペルオキシダーゼにより色素と水4分子になる。〔色原体とカップラーが酸化縮合して色素が生じた。〕
次に、この生成した色素に由来する最終反応液の吸光度(又は透過率)を測定する。
なお、この吸光度(又は透過率)の測定は、一つの波長においてのみ行う一波長法でもよく、又は二つの波長においてそれぞれ行う二波長法でもよく、適宜選択して行えばよい。
また、吸光度(又は透過率)の測定を行う波長についても、その色素の吸収波長に応じて、適宜選択すればよい。
そして、吸光度(若しくは透過率)の測定は、終点法(エンドポイント法)又は反応速度法(レート法)等の方法を適宜選択して行えばよい。
なお、測定した吸光度(若しくは透過率)又は吸光度(若しくは透過率)の変化量より、試料に含まれていた測定対象物質の濃度又は活性値を算出することは、色素のモル吸光係数を基に測定した吸光度(若しくは透過率)より算出する方法、又は濃度若しくは活性値が分かっている測定対象物質(標準物質)の吸光度(若しくは透過率)と対比して算出する方法等の方法を適宜選択して行えばよい。
また、本発明においては、試料を測定して得た吸光度(若しくは透過率)より試薬盲検(試薬ブランク)を差し引いて、試料に含まれていた測定対象物質の濃度又は活性値を算出することが好ましい。
なお、試料中の測定対象物質の測定の操作は、測定者自身が用手法により行ってもよいし、又は自動分析装置等の装置を使用して行ってもよい。
また、試料中の測定対象物質の測定に使用する測定試薬が、第1試薬、第2試薬、及び他の試薬(一つ又は二つ以上の試薬)よりなる場合、すなわち3以上の試薬よりなる場合は、これらの試薬を使用して測定を行うのに必要な数の段階(必要に応じ2段階又は3段階以上の段階)を経て測定反応を行わせ、試料中の測定対象物質の測定を行えばよい。
〔2〕試料中の測定対象物質の測定試薬
1.総論
本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する試薬において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含有させることを特徴とするものである。
そして、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含有させることにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができる。
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬においては、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避剤として、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含有させることが好適である。
2.ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物
ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「2.ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物」に記載した通りである。
3.試料中の測定対象物質の測定試薬
(1)総論
本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する試薬において、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含有させることを特徴とするものである。
この酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定する試薬であるが、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定することができる試薬であればよく、特に限定はない。
この測定試薬としては、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ及び色原体と混合、接触させて発色系に導き、酸化反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する試薬等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ、水素供与体である色原体、及びこの色原体の縮合対象物としてのカップラーと混合、接触させて発色系に導き、酸化縮合反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する試薬等を挙げることができる。
また、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ及び色原体と混合、接触させて前記のカップラーを用いることなく発色系に導き、酸化反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する試薬等をも挙げることができる。
(2)試料
試料については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(2)試料」に記載した通りである。
(3)測定対象物質
測定対象物質については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(3)測定対象物質」に記載した通りである。
(4)酸化酵素
酸化酵素については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(4)酸化酵素」に記載した通りである。
(5)ペルオキシダーゼ
ペルオキシダーゼについては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(5)ペルオキシダーゼ」に記載した通りである。
(6)色原体
色原体については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(6)色原体」に記載した通りである。
(7)カップラー
カップラーについては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(7)カップラー」に記載した通りである。
(8)pH
pHについては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(8)pH」に記載した通りである。
(9)緩衝剤
緩衝剤については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(9)緩衝剤」に記載した通りである。
(10)他の成分
他の成分については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(10)他の成分」に記載した通りである。
(11)測定試薬
本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、終点法(エンドポイント法)により測定を行うものであってもよく、又は反応速度法(レート法)により測定を行うものであってもよく、適宜選択すればよい。
また、この本発明の測定試薬は、一段階のステップにより測定を行う1ステップ法(1試薬法)のものであってもよく、又は二段階若しくはそれ以上の多段階のステップにより測定を行う多ステップ法(多試薬法)のものであってもよく、適宜選択すればよい。
また、この本発明の測定試薬において、生成した色素を光学的に測定する際の測定波長は、可視部の適当な波長を適宜選択することができる。なお、この場合、一波長法でもよく、又は二波長法でもよい。
また、この本発明の測定試薬において、測定反応時の温度は、30℃又は37℃等測定反応が進行しかつ測定反応に係わる酵素等の反応成分が熱により失活、変性又は変質しない範囲内の温度を設定すればよい。
また、この本発明の測定試薬において、測定反応の開始方法は、基質等を加えることにより行う方法、又は試料を加えることにより行う方法等のいずれの方法のものでもよい。
また、この本発明の測定試薬において、その測定は、用手法により行うものであってもよく、又は自動分析装置等の装置を用いて行うものであってもよい。
また、この本発明の測定試薬は、その構成試薬の全て又は一部が液状試薬であってよい。
また、この本発明の測定試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は試料中の測定対象物質の測定に使用することができる。
また、この本発明の測定試薬は、前記した測定試薬以外のその他の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料中の測定対象物質の測定に使用することもできる。
前記した測定試薬以外のその他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬、又は精度管理を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。
また、この本発明の測定試薬は、第1試薬及び第2試薬、又はその他の試薬等の複数の構成試薬からなる測定試薬キットであってもよい。
〔3〕試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避方法
1.総論
本発明の試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避方法は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当り、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とするものである。
本発明の試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避方法は、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができるものである。
2.ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物
ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「2.ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物」に記載した通りである。
3.試料中の測定対象物質の測定
(1)総論
本発明の試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避方法は、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当り、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とするものである。
この酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定することであるが、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定することができるものであればよく、特に限定はない。
この測定としては、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ及び色原体と混合、接触させて発色系に導き、酸化反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する方法等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ、水素供与体である色原体、及びこの色原体の縮合対象物としてのカップラーと混合、接触させて発色系に導き、酸化縮合反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する方法等を挙げることができる。
また、例えば、酸化酵素を用いて、測定対象物質から直接又は間接的に、過酸化水素を生じさせ、これをペルオキシダーゼ及び色原体と混合、接触させて前記のカップラーを用いることなく発色系に導き、酸化反応により色原体から生成した色素を光学的に測定することにより、生成した過酸化水素の測定を行い、これにより試料に含まれる測定対象物質を測定する方法等をも挙げることができる。
(2)試料
試料については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(2)試料」に記載した通りである。
(3)測定対象物質
測定対象物質については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(3)測定対象物質」に記載した通りである。
(4)酸化酵素
酸化酵素については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(4)酸化酵素」に記載した通りである。
(5)ペルオキシダーゼ
ペルオキシダーゼについては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(5)ペルオキシダーゼ」に記載した通りである。
(6)色原体
色原体については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(6)色原体」に記載した通りである。
(7)カップラー
カップラーについては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(7)カップラー」に記載した通りである。
(8)pH
pHについては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(8)pH」に記載した通りである。
(9)緩衝剤
緩衝剤については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(9)緩衝剤」に記載した通りである。
(10)他の成分
他の成分については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(10)他の成分」に記載した通りである。
(11)測定
その他測定に関しては、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(11)測定」に記載した通りである。
(12)試料中の測定対象物質の測定の具体例
本発明における試料中の測定対象物質の測定の具体例については、前記「〔1〕試料中の測定対象物質の測定方法」の「3.試料中の測定対象物質の測定」の「(12)試料中の測定対象物質の測定の具体例」に記載した通りである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔実施例1〕(試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避の効果の確認−1)
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬並びに試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避の効果を確認した。
具体的には、本発明において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物としてポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を用いた場合の、試料に含まれるビリルビンに由来する試料中のクレアチニン測定への影響の回避の効果を確認した。
1.クレアチニン測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−210)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−210)〕を調製した。
ナイミーン S−210 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.05%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(b)第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン O−205)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン O−205)〕を調製した。
ナイミーン O−205 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.05%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(c)第1試薬〔従来発明(0%)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(濃度0%の)、第1試薬〔従来発明(0%)〕を調製した。
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(2)第2試薬
第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.8(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
クレアチニナーゼ 400,000Unit/L
4−アミノアンチピリン 2mM
ペルオキシダーゼ 15,000Unit/L
アジ化ナトリウム 0.15%(w/v)
フェロシアン化カリウム 0.2mM
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
2.試料
(1) 市販の干渉物質検討用コントロール物質である「干渉チェック・Aプラス」〔シスメックス株式会社(日本国)〕の「ビリルビン・C(抱合型)」を、ビリルビン(抱合型)濃度が500mg/dLとなるように純水で溶解し、ビリルビン溶液を調製した。
(2) 前記(1)で調製したビリルビン溶液の1容量に対して、ヒト血清の9容量を添加、混合し、ビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの血清試料を調製した。
(3) 前記の「干渉チェック・Aプラス」の『ビリルビン・C「ブランク」』を、前記(1)における溶解に用いた量と同量の純水で溶解し、ブランク溶液を調製した。
(4) 前記(3)で調製した溶液(ブランク溶液)の1容量に対して、前記(2)で用いたヒト血清の9容量を添加、混合し、ブランク溶液を前記ヒト血清で1/10に希釈したブランク試料を調製した。
(5) 前記(2)で調製した血清試料を、前記(4)で調製したブランク試料で希釈して、ビリルビン(抱合型)濃度が、40mg/dLの血清試料、30mg/dLの血清試料、20mg/dLの血清試料、及び10mg/dLの血清試料をそれぞれ調製した。
なお、この希釈に用いたブランク試料を、ビリルビン(抱合型)濃度が0mg/dLの血清試料とした。
すなわち、次の(a)〜(f)の6種類の血清試料をそれぞれ試料とした。
(a) 血清試料−1 〔ビリルビン(抱合型)濃度 0mg/dL〕
(b) 血清試料−2 〔ビリルビン(抱合型)濃度 10mg/dL〕
(c) 血清試料−3 〔ビリルビン(抱合型)濃度 20mg/dL〕
(d) 血清試料−4 〔ビリルビン(抱合型)濃度 30mg/dL〕
(e) 血清試料−5 〔ビリルビン(抱合型)濃度 40mg/dL〕
(f) 血清試料−6 〔ビリルビン(抱合型)濃度 50mg/dL〕
3.試料中のクレアチニンの測定
前記2の各試料のクレアチニンの測定は、7180形日立自動分析装置〔株式会社日立ハイテクノロジーズ(日本国)〕を使用して行った。
(1) 前記2の(a)〜(f)の血清試料の各々において、当該試料の6.0μLに、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−210)〕の150μLを添加し、37℃で反応させた。
(2) 次に、15ポイント(第1試薬添加後254.193秒)の吸光度及び16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この15ポイントの吸光度及び16ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光1」〕。(試料ブランクの吸光度の測定)
(3) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の(2)の第2試薬の50μLを添加し、37℃で反応させた。
(4) 次に、33ポイント(第1試薬添加後569.582秒)の吸光度及び34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この33ポイントの吸光度及び34ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光2」〕。(試料中に含まれていたクレアチニンの濃度に応じた吸光度の測定)
(5) 次に、試料中に含まれていたクレアチニンの濃度の測定値を次の通り求めた。
すなわち、前記2の(5)の各試料毎に、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から、前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて、吸光度差の値を求めた。
次に、そのクレアチニンの濃度が分かっている標準試料について、前記の(1)〜(4)の通りに測定を行い、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて得た吸光度差の値と前記の各試料における吸光度差の値とを対比し、比例計算を行うことにより、各試料のクレアチニン濃度の測定値を得た。
(6) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−210)〕に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン O−205)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(7) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−210)〕に替えて、前記1の(1)の(c)の第1試薬〔従来発明(0%)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
4.測定結果
前記3において各試料のクレアチニン濃度の測定を行って得られた結果を、表2に示した。
なお、この表において、横の欄は、第1試薬に含有させたポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の種類及びその濃度を表す。〔ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない第1試薬を「0%」と表した。〕
また、この表において、縦の欄は、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度を表す。
そして、この表の各欄において示した値は、当該試料中のクレアチニンの濃度の測定値〔mg/dL〕を示す。
なお、(カッコ)の中の数値は、各測定値を、同一の第1試薬を用いた場合の試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が0mg/dLのときの測定値で除した値をパーセント表示で表したものである。
5.考察
(1) この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まないもの(0%)である場合、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が増すにつれ、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は減少してゆき、試料中のビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの場合には、本来の値の79%にまで測定値が減少してしまっていることが分かる。
すなわち、試料に含まれるビリルビンの存在により、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は影響を受け、大きく負の誤差が生じていることが分かる。
(2) そして、この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を含む場合の試料中のクレアチニンの濃度の測定値は、前記のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(0%)第1試薬における測定値に対して、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少が抑制されていることが分かる。
(3) すなわち、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当たり、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができ、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができることが確かめられた。
〔実施例2〕(試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避の効果の確認−2)
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬並びに試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避の効果を更に確認した。
具体的には、本発明において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物としてポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を用いた場合の、試料に含まれるビリルビンに由来する試料中のクレアチニン測定への影響の回避の効果を確認した。
1.クレアチニン測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕を調製した。
ナイミーン S−215 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.05%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(b)第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン S−215)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン S−215)〕を調製した。
ナイミーン S−215 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.10%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(c)第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−220)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−220)〕を調製した。
ナイミーン S−220 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.05%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(d)第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン S−220)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン S−220)〕を調製した。
ナイミーン S−220 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.10%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(e)第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン F−215)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン F−215)〕を調製した。
ナイミーン F−215 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.05%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(f)第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン F−215)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン F−215)〕を調製した。
ナイミーン F−215 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.10%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(g)第1試薬〔従来発明(0%)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(濃度0%の)、第1試薬〔従来発明(0%)〕を調製した。
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(2)第2試薬
第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.8(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
クレアチニナーゼ 400,000Unit/L
4−アミノアンチピリン 2mM
ペルオキシダーゼ 15,000Unit/L
アジ化ナトリウム 0.15%(w/v)
フェロシアン化カリウム 0.2mM
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
2.試料
(1) 市販の干渉物質検討用コントロール物質である「干渉チェック・Aプラス」〔シスメックス株式会社(日本国)〕の「ビリルビン・C(抱合型)」を、ビリルビン(抱合型)濃度が500mg/dLとなるように純水で溶解し、ビリルビン溶液を調製した。
(2) 前記(1)で調製したビリルビン溶液の1容量に対して、ヒト血清の9容量を添加、混合し、ビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの血清試料を調製した。
(3) 前記の「干渉チェック・Aプラス」の『ビリルビン・C「ブランク」』を、前記(1)における溶解に用いた量と同量の純水で溶解し、ブランク溶液を調製した。
(4) 前記(3)で調製した溶液(ブランク溶液)の1容量に対して、前記(2)で用いたヒト血清の9容量を添加、混合し、ブランク溶液を前記ヒト血清で1/10に希釈したブランク試料を調製した。
(5) 前記(2)で調製した血清試料を、前記(4)で調製したブランク試料で希釈して、ビリルビン(抱合型)濃度が、40mg/dLの血清試料、30mg/dLの血清試料、20mg/dLの血清試料、及び10mg/dLの血清試料をそれぞれ調製した。
なお、この希釈に用いたブランク試料を、ビリルビン(抱合型)濃度が0mg/dLの血清試料とした。
すなわち、次の(a)〜(f)の6種類の血清試料をそれぞれ試料とした。
(a) 血清試料−1 〔ビリルビン(抱合型)濃度 0mg/dL〕
(b) 血清試料−2 〔ビリルビン(抱合型)濃度 10mg/dL〕
(c) 血清試料−3 〔ビリルビン(抱合型)濃度 20mg/dL〕
(d) 血清試料−4 〔ビリルビン(抱合型)濃度 30mg/dL〕
(e) 血清試料−5 〔ビリルビン(抱合型)濃度 40mg/dL〕
(f) 血清試料−6 〔ビリルビン(抱合型)濃度 50mg/dL〕
3.試料中のクレアチニンの測定
前記2の各試料のクレアチニンの測定は、7180形日立自動分析装置〔株式会社日立ハイテクノロジーズ(日本国)〕を使用して行った。
(1) 前記2の(a)〜(f)の血清試料の各々において、当該試料の6.0μLに、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕の150μLを添加し、37℃で反応させた。
(2) 次に、15ポイント(第1試薬添加後254.193秒)の吸光度及び16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この15ポイントの吸光度及び16ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光1」〕。(試料ブランクの吸光度の測定)
(3) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の(2)の第2試薬の50μLを添加し、37℃で反応させた。
(4) 次に、33ポイント(第1試薬添加後569.582秒)の吸光度及び34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この33ポイントの吸光度及び34ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光2」〕。(試料中に含まれていたクレアチニンの濃度に応じた吸光度の測定)
(5) 次に、試料中に含まれていたクレアチニンの濃度の測定値を次の通り求めた。
すなわち、前記2の(5)の各試料毎に、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から、前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて、吸光度差の値を求めた。
次に、そのクレアチニンの濃度が分かっている標準試料について、前記の(1)〜(4)の通りに測定を行い、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて得た吸光度差の値と前記の各試料における吸光度差の値とを対比し、比例計算を行うことにより、各試料のクレアチニン濃度の測定値を得た。
(6) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン S−215)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(7) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕に替えて、前記1の(1)の(c)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−220)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(8) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕に替えて、前記1の(1)の(d)の第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン S−220)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(9) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕に替えて、前記1の(1)の(e)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン F−215)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(10) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕に替えて、前記1の(1)の(f)の第1試薬〔本発明(0.10% ナイミーン F−215)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(11) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% ナイミーン S−215)〕に替えて、前記1の(1)の(g)の第1試薬〔従来発明(0%)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
4.測定結果
前記3において各試料のクレアチニン濃度の測定を行って得られた結果を、表3に示した。
なお、この表において、横の欄は、第1試薬に含有させたポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の種類及びその濃度を表す。〔ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない第1試薬を「0%」と表した。〕
また、この表において、縦の欄は、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度を表す。
そして、この表の各欄において示した値は、当該試料中のクレアチニンの濃度の測定値〔mg/dL〕を示す。
なお、(カッコ)の中の数値は、各測定値を、同一の第1試薬を用いた場合の試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が0mg/dLのときの測定値で除した値をパーセント表示で表したものである。
5.考察
(1) この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まないもの(0%)である場合、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が増すにつれ、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は減少してゆき、試料中のビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの場合には、本来の値の79%にまで測定値が減少してしまっていることが分かる。
すなわち、試料に含まれるビリルビンの存在により、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は影響を受け、大きく負の誤差が生じていることが分かる。
(2) そして、この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を含む場合の試料中のクレアチニンの濃度の測定値は、前記のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(0%)第1試薬における測定値に対して、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少が抑制されていることが分かる。
また、この表より、第1試薬に含まれるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の濃度が0.05%(w/v)の場合よりも0.10%(w/v)の場合の方が、このビリルビンに由来する測定値の減少が、より抑制されていることが分かる。
(3) すなわち、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当たり、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができ、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができることが確かめられた。
〔実施例3〕(試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避の効果の確認−3)
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬並びに試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避の効果を更に確認した。
具体的には、本発明において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物としてポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を用いた場合の、試料に含まれるビリルビンに由来する試料中のクレアチニン測定への影響の回避の効果を確認した。
1.クレアチニン測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕を調製した。
アミート 320 〔花王株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.04%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(b)第1試薬〔本発明(0.08% アミート 320)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.08% アミート 320)〕を調製した。
アミート 320 〔花王株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.08%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(c)第1試薬〔本発明(0.12% アミート 320)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.12% アミート 320)〕を調製した。
アミート 320 〔花王株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.12%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(d)第1試薬〔本発明(0.16% アミート 320)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.16% アミート 320)〕を調製した。
アミート 320 〔花王株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.16%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(e)第1試薬〔従来発明(0%)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(濃度0%の)、第1試薬〔従来発明(0%)〕を調製した。
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(2)第2試薬
第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.8(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
クレアチニナーゼ 400,000Unit/L
4−アミノアンチピリン 2mM
ペルオキシダーゼ 15,000Unit/L
アジ化ナトリウム 0.15%(w/v)
フェロシアン化カリウム 0.2mM
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
2.試料
(1) 市販の干渉物質検討用コントロール物質である「干渉チェック・Aプラス」〔シスメックス株式会社(日本国)〕の「ビリルビン・C(抱合型)」を、ビリルビン(抱合型)濃度が500mg/dLとなるように純水で溶解し、ビリルビン溶液を調製した。
(2) 前記(1)で調製したビリルビン溶液の1容量に対して、ヒト血清の9容量を添加、混合し、ビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの血清試料を調製した。
(3) 前記の「干渉チェック・Aプラス」の『ビリルビン・C「ブランク」』を、前記(1)における溶解に用いた量と同量の純水で溶解し、ブランク溶液を調製した。
(4) 前記(3)で調製した溶液(ブランク溶液)の1容量に対して、前記(2)で用いたヒト血清の9容量を添加、混合し、ブランク溶液を前記ヒト血清で1/10に希釈したブランク試料を調製した。
(5) 前記(2)で調製した血清試料を、前記(4)で調製したブランク試料で希釈して、ビリルビン(抱合型)濃度が25mg/dLの血清試料を調製した。
なお、この希釈に用いたブランク試料を、ビリルビン(抱合型)濃度が0mg/dLの血清試料とした。
すなわち、次の(a)〜(c)の3種類の血清試料をそれぞれ試料とした。
(a) 血清試料−1 〔ビリルビン(抱合型)濃度 0mg/dL〕
(b) 血清試料−2 〔ビリルビン(抱合型)濃度 25mg/dL〕
(c) 血清試料−3 〔ビリルビン(抱合型)濃度 50mg/dL〕
3.試料中のクレアチニンの測定
前記2の各試料のクレアチニンの測定は、7180形日立自動分析装置〔株式会社日立ハイテクノロジーズ(日本国)〕を使用して行った。
(1) 前記2の(a)〜(c)の血清試料の各々において、当該試料の6.0μLに、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕の150μLを添加し、37℃で反応させた。
(2) 次に、15ポイント(第1試薬添加後254.193秒)の吸光度及び16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この15ポイントの吸光度及び16ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光1」〕。(試料ブランクの吸光度の測定)
(3) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の(2)の第2試薬の50μLを添加し、37℃で反応させた。
(4) 次に、33ポイント(第1試薬添加後569.582秒)の吸光度及び34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この33ポイントの吸光度及び34ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光2」〕。(試料中に含まれていたクレアチニンの濃度に応じた吸光度の測定)
(5) 次に、試料中に含まれていたクレアチニンの濃度の測定値を次の通り求めた。
すなわち、前記2の(5)の各試料毎に、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から、前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて、吸光度差の値を求めた。
次に、そのクレアチニンの濃度が分かっている標準試料について、前記の(1)〜(4)の通りに測定を行い、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて得た吸光度差の値と前記の各試料における吸光度差の値とを対比し、比例計算を行うことにより、各試料のクレアチニン濃度の測定値を得た。
(6) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬〔本発明(0.08% アミート 320)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(7) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕に替えて、前記1の(1)の(c)の第1試薬〔本発明(0.12% アミート 320)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(8) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕に替えて、前記1の(1)の(d)の第1試薬〔本発明(0.16% アミート 320)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(9) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.04% アミート 320)〕に替えて、前記1の(1)の(e)の第1試薬〔従来発明(0%)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
4.測定結果
前記3において各試料のクレアチニン濃度の測定を行って得られた結果を、表4に示した。
なお、この表において、横の欄は、第1試薬に含有させたポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の種類及びその濃度を表す。〔ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない第1試薬を「0%」と表した。〕
また、この表において、縦の欄は、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度を表す。
そして、この表の各欄において示した値は、当該試料中のクレアチニンの濃度の測定値〔mg/dL〕を示す。
なお、(カッコ)の中の数値は、各測定値を、同一の第1試薬を用いた場合の試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が0mg/dLのときの測定値で除した値をパーセント表示で表したものである。
5.考察
(1) この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まないもの(0%)である場合、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が増すにつれ、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は減少してゆき、試料中のビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの場合には、本来の値の73%にまで測定値が減少してしまっていることが分かる。
すなわち、試料に含まれるビリルビンの存在により、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は影響を受け、大きく負の誤差が生じていることが分かる。
(2) そして、この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を含む場合の試料中のクレアチニンの濃度の測定値は、前記のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(0%)第1試薬における測定値に対して、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少が抑制されていることが分かる。
また、この表より、第1試薬に含まれるポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の濃度が0.04%(w/v)の場合に対して、0.08%(w/v)以上の場合は、このビリルビンに由来する測定値の減少が、より抑制されていることが分かる。
(3) すなわち、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当たり、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができ、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができることが、この実験からも確かめられた。
〔実施例4〕(試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避の効果の確認−4)
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬並びに試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避の効果を更に確認した。
具体的には、本発明において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物としてポリオキシエチレンアルキルアミド化合物を用いた場合の、試料に含まれるビリルビンに由来する試料中のクレアチニン測定への影響の回避の効果を確認した。
1.クレアチニン測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕を調製した。
TAMDO−10 〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物> 0.05%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(b)第1試薬〔本発明(0.10% TAMDO−10)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.10% TAMDO−10)〕を調製した。
TAMDO−10 〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物> 0.10%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(c)第1試薬〔本発明(0.50% TAMDO−10)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.50% TAMDO−10)〕を調製した。
TAMDO−10 〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物> 0.50%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(d)第1試薬〔本発明(1.00% TAMDO−10)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(1.00% TAMDO−10)〕を調製した。
TAMDO−10 〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミド化合物> 1.00%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(e)第1試薬〔従来発明(0%)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(濃度0%の)、第1試薬〔従来発明(0%)〕を調製した。
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(2)第2試薬
第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.8(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
クレアチニナーゼ 400,000Unit/L
4−アミノアンチピリン 2mM
ペルオキシダーゼ 15,000Unit/L
アジ化ナトリウム 0.15%(w/v)
フェロシアン化カリウム 0.2mM
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
2.試料
(1) 市販の干渉物質検討用コントロール物質である「干渉チェック・Aプラス」〔シスメックス株式会社(日本国)〕の「ビリルビン・C(抱合型)」を、ビリルビン(抱合型)濃度が500mg/dLとなるように純水で溶解し、ビリルビン溶液を調製した。
(2) 前記(1)で調製したビリルビン溶液の1容量に対して、ヒト血清の9容量を添加、混合し、ビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの血清試料を調製した。
(3) 前記の「干渉チェック・Aプラス」の『ビリルビン・C「ブランク」』を、前記(1)における溶解に用いた量と同量の純水で溶解し、ブランク溶液を調製した。
(4) 前記(3)で調製した溶液(ブランク溶液)の1容量に対して、前記(2)で用いたヒト血清の9容量を添加、混合し、ブランク溶液を前記ヒト血清で1/10に希釈したブランク試料を調製した。
(5) 前記(2)で調製した血清試料を、前記(4)で調製したブランク試料で希釈して、ビリルビン(抱合型)濃度が25mg/dLの血清試料を調製した。
なお、この希釈に用いたブランク試料を、ビリルビン(抱合型)濃度が0mg/dLの血清試料とした。
すなわち、次の(a)〜(c)の3種類の血清試料をそれぞれ試料とした。
(a) 血清試料−1 〔ビリルビン(抱合型)濃度 0mg/dL〕
(b) 血清試料−2 〔ビリルビン(抱合型)濃度 25mg/dL〕
(c) 血清試料−3 〔ビリルビン(抱合型)濃度 50mg/dL〕
3.試料中のクレアチニンの測定
前記2の各試料のクレアチニンの測定は、7180形日立自動分析装置〔株式会社日立ハイテクノロジーズ(日本国)〕を使用して行った。
(1) 前記2の(a)〜(c)の血清試料の各々において、当該試料の6.0μLに、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕の150μLを添加し、37℃で反応させた。
(2) 次に、15ポイント(第1試薬添加後254.193秒)の吸光度及び16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この15ポイントの吸光度及び16ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光1」〕。(試料ブランクの吸光度の測定)
(3) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の(2)の第2試薬の50μLを添加し、37℃で反応させた。
(4) 次に、33ポイント(第1試薬添加後569.582秒)の吸光度及び34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この33ポイントの吸光度及び34ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光2」〕。(試料中に含まれていたクレアチニンの濃度に応じた吸光度の測定)
(5) 次に、試料中に含まれていたクレアチニンの濃度の測定値を次の通り求めた。
すなわち、前記2の(5)の各試料毎に、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から、前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて、吸光度差の値を求めた。
次に、そのクレアチニンの濃度が分かっている標準試料について、前記の(1)〜(4)の通りに測定を行い、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて得た吸光度差の値と前記の各試料における吸光度差の値とを対比し、比例計算を行うことにより、各試料のクレアチニン濃度の測定値を得た。
(6) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬〔本発明(0.10% TAMDO−10)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(7) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕に替えて、前記1の(1)の(c)の第1試薬〔本発明(0.50% TAMDO−10)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(8) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕に替えて、前記1の(1)の(d)の第1試薬〔本発明(1.00% TAMDO−10)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(9) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(0.05% TAMDO−10)〕に替えて、前記1の(1)の(e)の第1試薬〔従来発明(0%)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、及び「血清試料−3」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
4.測定結果
前記3において各試料のクレアチニン濃度の測定を行って得られた結果を、表5に示した。
なお、この表において、横の欄は、第1試薬に含有させたポリオキシエチレンアルキルアミド化合物の種類及びその濃度を表す。〔ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない第1試薬を「0%」と表した。〕
また、この表において、縦の欄は、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度を表す。
そして、この表の各欄において示した値は、当該試料中のクレアチニンの濃度の測定値〔mg/dL〕を示す。
なお、(カッコ)の中の数値は、各測定値を、同一の第1試薬を用いた場合の試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が0mg/dLのときの測定値で除した値をパーセント表示で表したものである。
5.考察
(1) この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まないもの(0%)である場合、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が増すにつれ、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は減少してゆき、試料中のビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの場合には、本来の値の71%にまで測定値が減少してしまっていることが分かる。
すなわち、試料に含まれるビリルビンの存在により、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は影響を受け、大きく負の誤差が生じていることが分かる。
(2) そして、この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキルアミド化合物を含む場合の試料中のクレアチニンの濃度の測定値は、前記のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含まない(0%)第1試薬における測定値に対して、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少が抑制されていることが分かる。
また、この表より、第1試薬に含まれるポリオキシエチレンアルキルアミド化合物の濃度が高い場合の方が、このビリルビンに由来する測定値の減少が、より抑制されていることが分かる。
(3) すなわち、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当たり、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができ、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができることが、この実験からも確かめられた。
〔実施例5〕(試料に含まれるビリルビンに由来する影響の回避の効果の確認−5)
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬並びに試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避方法における、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避の効果を更に確認した。
具体的には、本発明において、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物としてポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を用いた場合の、試料に含まれるビリルビンに由来する試料中のクレアチニン測定への影響の回避の効果を確認した。
1.クレアチニン測定試薬
(1)第1試薬
(a)第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕を調製した。
ポリオキシエチレンオクチルアミン(エチレンオキシド付加モル数であるmとnの和:10) <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 3.50%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(b)第1試薬〔本発明(0.15% ナイミーン S−220)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔本発明(0.15% ナイミーン S−220)〕を調製した。
ナイミーン S−220 〔日油株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物> 0.15%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(c)第1試薬〔従来発明(0.10% BT−9)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔従来発明(0.10% BT−9)〕を調製した。
BT−9 〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテル> 0.10%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(d)第1試薬〔従来発明(1.00% BT−9)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔従来発明(1.00% BT−9)〕を調製した。
BT−9 〔日光ケミカルズ株式会社(日本国)〕 <ポリオキシエチレン(9)2級アルキルエーテル> 1.00%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(e)第1試薬〔従来発明(0.10% サンニックス GP−400)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔従来発明(0.10% サンニックス GP−400)〕を調製した。
サンニックス GP−400 〔三洋化成工業株式会社(日本国)〕 <ポリオキシプロピレングリセリルエーテル> 0.10%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(f)第1試薬〔従来発明(1.00% サンニックス GP−400)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、第1試薬〔従来発明(1.00% サンニックス GP−400)〕を調製した。
サンニックス GP−400 〔三洋化成工業株式会社(日本国)〕 <ポリオキシプロピレングリセリルエーテル> 1.00%(w/v)
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(g)第1試薬〔従来発明(0%)〕の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.4(20℃)に調整して、ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物も他の界面活性剤(BT−9及びサンニックス GP−400等)も含まない(濃度0%の)、第1試薬〔従来発明(0%)〕を調製した。
ザルコシンオキシダーゼ 13,000Unit/L
クレアチナーゼ 40,000Unit/L
カタラーゼ 200,000Unit/L
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン,ナトリウム塩,2水和物 〔ADOS〕 <色原体(水素供与体)> 2mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3,000Unit/L
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
(2)第2試薬
第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.8(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
クレアチニナーゼ 400,000Unit/L
4−アミノアンチピリン 2mM
ペルオキシダーゼ 15,000Unit/L
アジ化ナトリウム 0.15%(w/v)
フェロシアン化カリウム 0.2mM
TES 〔N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸〕 <緩衝剤> 20mM
2.試料
(1) 市販の干渉物質検討用コントロール物質である「干渉チェック・Aプラス」〔シスメックス株式会社(日本国)〕の「ビリルビン・C(抱合型)」を、ビリルビン(抱合型)濃度が500mg/dLとなるように純水で溶解し、ビリルビン溶液を調製した。
(2) 前記(1)で調製したビリルビン溶液の1容量に対して、ヒト血清の9容量を添加、混合し、ビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの血清試料を調製した。
(3) 前記の「干渉チェック・Aプラス」の『ビリルビン・C「ブランク」』を、前記(1)における溶解に用いた量と同量の純水で溶解し、ブランク溶液を調製した。
(4) 前記(3)で調製した溶液(ブランク溶液)の1容量に対して、前記(2)で用いたヒト血清の9容量を添加、混合し、ブランク溶液を前記ヒト血清で1/10に希釈したブランク試料を調製した。
(5) 前記(2)で調製した血清試料を、前記(4)で調製したブランク試料で希釈して、ビリルビン(抱合型)濃度が、40mg/dLの血清試料、30mg/dLの血清試料、20mg/dLの血清試料、及び10mg/dLの血清試料をそれぞれ調製した。
なお、この希釈に用いたブランク試料を、ビリルビン(抱合型)濃度が0mg/dLの血清試料とした。
すなわち、次の(a)〜(f)の6種類の血清試料をそれぞれ試料とした。
(a) 血清試料−1 〔ビリルビン(抱合型)濃度 0mg/dL〕
(b) 血清試料−2 〔ビリルビン(抱合型)濃度 10mg/dL〕
(c) 血清試料−3 〔ビリルビン(抱合型)濃度 20mg/dL〕
(d) 血清試料−4 〔ビリルビン(抱合型)濃度 30mg/dL〕
(e) 血清試料−5 〔ビリルビン(抱合型)濃度 40mg/dL〕
(f) 血清試料−6 〔ビリルビン(抱合型)濃度 50mg/dL〕
3.試料中のクレアチニンの測定
前記2の各試料のクレアチニンの測定は、7180形日立自動分析装置〔株式会社日立ハイテクノロジーズ(日本国)〕を使用して行った。
(1) 前記2の(a)〜(f)の血清試料の各々において、当該試料の6.0μLに、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕の150μLを添加し、37℃で反応させた。
(2) 次に、15ポイント(第1試薬添加後254.193秒)の吸光度及び16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この15ポイントの吸光度及び16ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光1」〕。(試料ブランクの吸光度の測定)
(3) 次に、16ポイント(第1試薬添加後270.093秒)から17ポイント(第1試薬添加後286.977秒)の間に、前記1の(2)の第2試薬の50μLを添加し、37℃で反応させた。
(4) 次に、33ポイント(第1試薬添加後569.582秒)の吸光度及び34ポイント(第1試薬添加後587.426秒)の吸光度それぞれを主波長600nm、副波長800nmにて測定して、この33ポイントの吸光度及び34ポイントの吸光度の平均値を算出した〔「測光2」〕。(試料中に含まれていたクレアチニンの濃度に応じた吸光度の測定)
(5) 次に、試料中に含まれていたクレアチニンの濃度の測定値を次の通り求めた。
すなわち、前記2の(5)の各試料毎に、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から、前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて、吸光度差の値を求めた。
次に、そのクレアチニンの濃度が分かっている標準試料について、前記の(1)〜(4)の通りに測定を行い、前記(4)において測定した吸光度の平均値(「測光2」)から前記(2)において測定した吸光度の平均値(「測光1」)を差し引いて得た吸光度差の値と前記の各試料における吸光度差の値とを対比し、比例計算を行うことにより、各試料のクレアチニン濃度の測定値を得た。
(6) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕に替えて、前記1の(1)の(b)の第1試薬〔本発明(0.15% ナイミーン S−220)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(7) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕に替えて、前記1の(1)の(c)の第1試薬〔従来発明(0.10% BT−9)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(8) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕に替えて、前記1の(1)の(d)の第1試薬〔従来発明(1.00% BT−9)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(9) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕に替えて、前記1の(1)の(e)の第1試薬〔従来発明(0.10% サンニックス GP−400)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(10) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕に替えて、前記1の(1)の(f)の第1試薬〔従来発明(1.00% サンニックス GP−400)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
(11) また、前記(1)において、前記1の(1)の(a)の第1試薬〔本発明(3.50% ポリオキシエチレン(10)オクチルアミン)〕に替えて、前記1の(1)の(g)の第1試薬〔従来発明(0%)〕を用いること以外は、前記(1)〜(5)の通りに操作を行い、「血清試料−1」、「血清試料−2」、「血清試料−3」、「血清試料−4」、「血清試料−5」、及び「血清試料−6」のそれぞれのクレアチニン濃度の最終的な測定値を求めた。
4.測定結果
前記3において各試料のクレアチニン濃度の測定を行って得られた結果を、表6に示した。
なお、この表において、横の欄は、第1試薬に含有させたポリオキシエチレンアルキルアミン化合物又は他の界面活性剤(BT−9若しくはサンニックス GP−400)の種類及びその濃度を表す。〔ポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物も他の界面活性剤(BT−9及びサンニックス GP−400等)も含まない第1試薬を「0%」と表した。〕
また、この表において、縦の欄は、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度を表す。
そして、この表の各欄において示した値は、当該試料中のクレアチニンの濃度の測定値〔mg/dL〕を示す。
なお、(カッコ)の中の数値は、各測定値を、同一の第1試薬を用いた場合の試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が0mg/dLのときの測定値で除した値をパーセント表示で表したものである。
5.考察
(1) この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物も他の界面活性剤(BT−9及びサンニックス GP−400等)も含まないもの(0%)である場合、試料中のビリルビン(抱合型)の濃度が増すにつれ、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は減少してゆき、試料中のビリルビン(抱合型)濃度が50mg/dLの場合には、本来の値の73%にまで測定値が減少してしまっていることが分かる。
すなわち、試料に含まれるビリルビンの存在により、試料中のクレアチニンの濃度の測定値は影響を受け、大きく負の誤差が生じていることが分かる。
(2) そして、この表より、第1試薬がポリオキシエチレンアルキルアミン化合物を含む場合の試料中のクレアチニンの濃度の測定値は、前記のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物も他の界面活性剤(BT−9及びサンニックス GP−400等)も含まない(0%)第1試薬における測定値に対して、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少が抑制されていることが分かる。
(3) これに対して、第1試薬が他の界面活性剤(BT−9又はサンニックス GP−400)を含む場合の試料中のクレアチニンの濃度の測定値は、前記のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物も他の界面活性剤(BT−9及びサンニックス GP−400等)も含まない(0%)第1試薬における測定値に対して、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少度が同等であるか又はそれ以上であることが分かる。つまり、この場合、試料に含まれるビリルビンに由来する測定値の減少を抑制できていないことが分かる。
(4) すなわち、酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中の測定対象物質を測定するに当たり、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことにより、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができ、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができることが確かめられた。
そして、このポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物以外の他の界面活性剤(BT−9又はサンニックス GP−400)を存在させて測定を行っても、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避することができず、測定結果(測定値)に誤差が生じるのを防ぐことができないことが確かめられた。

Claims (3)

  1. 酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中のクレアチニンを測定する方法において、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響を回避するため、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とする、試料中のクレアチニンの測定方法。
  2. 酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中のクレアチニンを測定する試薬において、試料に含まれるビリルビンに由来する測定への影響の回避剤として、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を含有させることを特徴とする、試料中のクレアチニンの測定試薬。
  3. 酸化酵素により生じた過酸化水素を色原体を用いて光学的に測定することにより試料中のクレアチニンを測定するに当り、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物及びポリオキシエチレンアルキルアミド化合物から選ばれる少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキル含窒素化合物を存在させて測定を行なうことを特徴とする、試料に含まれるビリルビンに由来するクレアチニン測定への影響の回避方法。
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