JP5017614B2 - 試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 - Google Patents
試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5017614B2 JP5017614B2 JP2007062545A JP2007062545A JP5017614B2 JP 5017614 B2 JP5017614 B2 JP 5017614B2 JP 2007062545 A JP2007062545 A JP 2007062545A JP 2007062545 A JP2007062545 A JP 2007062545A JP 5017614 B2 JP5017614 B2 JP 5017614B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- measurement
- sample
- reagent
- color development
- tetrazolium compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
本発明は、特に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野において有用なものである。
このような測定方法の一つとして、電子受容体と測定対象物質の間に酵素等によって酸化反応を起こさせ、生成した電子受容体の還元体の測定を行い、生体試料中に含まれる測定対象物質を測定する方法を挙げることができる。
例えば、電子受容体としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を用い、その還元体である還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)又は還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)にジアホラーゼや1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェイト等の電子伝達体とテトラゾリウム化合物を作用させ、生成するホルマザン色素を比色測定する方法を挙げることができる。
また、本発明の課題は、テトラゾリウム化合物の非特異的発色を抑制する方法を提供することであり、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤を提供することである。
また、本発明者は、テトラゾリウム化合物を用いた試料中の測定対象物質の測定においては、測定試薬にアスコルビン酸オキシダーゼを存在させていた場合においても、試料中のアスコルビン酸によってテトラゾリウム化合物の非特異的発色が起こり、試料中の測定対象物質の測定値に正の誤差を与えてしまうことを見出した。すなわち、テトラゾリウム化合物を用いた試料中の測定対象物質の測定において、測定試薬にアスコルビン酸オキシダーゼを存在させていても、アスコルビン酸の影響抑制が不十分であることを見出した。
更に、本発明者は、テトラゾリウム化合物を用いた試料中の測定対象物質の測定においては、試料中のヘモグロビンやアスコルビン酸以外の種々の血中成分により、テトラゾリウム化合物の非特異的発色が起こり、試料中の測定対象物質の測定値に正の誤差を与えてしまうことを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定方法において、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤としてトリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を、測定反応液中に存在させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法。
(2) テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定試薬において、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤としてトリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を含有させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定試薬。
(3) テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定において、トリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質の存在下で測定を行うことにより、テトラゾリウム化合物の非特異的発色を抑制する方法。
(4) トリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質よりなる、テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質測定時のテトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤。
本発明においては、テトラゾリウム化合物を使用して、試料中の測定対象物質の測定を行う。
本発明において、テトラゾリウム化合物としては、例えば、テトラゾリウムブルー〔TB〕、ニトロテトラゾリウムブルー〔ニトロ−TB〕、テトラゾリウムバイオレット〔TV〕、ニトロブルーテトラゾリウム〔NBT〕、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2Hテトラゾリウム〔MTT〕、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフェニル)−2H−テトラゾリウム塩〔WST−1〕、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフェニル)−2H−テトラゾリウム塩〔WST−3〕、2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフェニル)−2H−テトラゾリウム塩〔WST−8〕、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−フェニル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルフォフェニル)−2H−テトラゾリウム塩〔MTS〕等の公知のものを挙げることができる。
本発明のテトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定においては、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤として、トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を、測定反応液中又は測定試薬中に存在又は含有させることにより、試料中の測定対象物質の測定を行う。
ここで、トリンダー試薬としては、例えば、フェノール、フェノール誘導体又はその塩、若しくは、アニリン誘導体又はその塩を挙げることができる。
フェノール誘導体又はその塩としては、例えば、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,4,6−トリクロロフェノールなどのフェノール誘導体又はこれらの塩等の公知のものを挙げることができる。
また、アニリン誘導体又はその塩としては、例えば、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリンナトリウム(HDAOS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−(3−スルホプロピル)アニリン(HALPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン(ALPS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(ADOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン(FDAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン(FDAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)、N−ビス(4−スルホブチル)−3,5−ジメチルアニリン(MADB)、N,N−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン(TODB)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3−メチルアニリン(CEMB)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3,5−ジメトキシアニリン(CEDB)、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3−メトキシアニリン(CEMO)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン、又はこれらの塩等の公知のものを挙げることができる。
本発明において、トリンダー試薬は、市販品をそのまま用いることができる。また、トリンダー試薬の濃度は、特に限定されないが、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜5%の範囲にあることが好ましく、0.1〜1%の範囲が特に好ましい。
本発明において、スーパーオキシドジスムターゼとしては、いずれの由来のものも使用でき、例えば、ヒト若しくはウシなどの動物由来のもの、大豆などの植物由来のもの、細菌若しくはカビなどの微生物由来のもの等を挙げることができる。
なお、このスーパーオキシドジスムターゼには、微生物等のスーパーオキシドジスムターゼの遺伝子を大腸菌等の微生物等に組み込む遺伝子組み換え技術により調製したもの、又は遺伝子の改変等により性質を改良した微生物等から調製したスーパーオキシドジスムターゼ等も含まれる。また、スーパーオキシドジスムターゼは、市販品をそのまま用いることができる。
なお、スーパーオキシドジスムターゼの濃度は、特に限定されないが、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.05〜10単位/mLの範囲にあることが好ましく、0.1〜5単位/mLの範囲が特に好ましい。
また、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸又はその塩の濃度は、特に限定されないが、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜5%の範囲にあることが好ましく、0.1〜1%の範囲が特に好ましい。
例えば、2ステップ法(2試薬系)の場合、混合後の測定反応液中のトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩の濃度が上記濃度範囲となるように、トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩を第1試薬又は第2試薬のいずれかに含ませればよい。
また、混合後の測定反応液中のトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩の濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩は第1試薬と第2試薬の両方に含ませてもよい。
本発明においては、前記の各成分の他に、脱水素酵素、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸等の電子受容体、電子伝達体等の測定反応に使用する成分、公知の防腐剤、又は安定化剤等を必要に応じて適宜使用することができる。
本発明に使用される脱水素酵素とは、電子受容体と測定対象物質又は測定対象物質から生成した物質の間に酸化反応を起こし、電子受容体の還元体を生成させる反応を触媒する酵素のことをいう。例えば、グルコース脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、3α−ヒドロキシステロイド脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、L−グルタミン酸脱水素酵素又はロイシン脱水素酵素等の公知の脱水素酵素を挙げることができる。
また、本発明に使用される電子伝達体としては、例えば、ジアホラーゼ、フェナジンメトサルフェイト(PMS)、1−メトキシフェナジニウムメチルサルフェイト(1−メトキシPMS)又は9−ジメチルアミノベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライド(メルドラブルー)等の物質を挙げることができる。これらの電子伝達体は、市販品をそのまま使用することができる。
本発明において、試料中の測定対象物質測定時のpH範囲は、テトラゾリウム化合物を用いた測定において通常使用する酵素等の至適pHや安定性により適宜設定すればよい。
また、前記のpH範囲となるように使用する緩衝液としては、前記のpH範囲に緩衝能がある従来公知の緩衝液を適宜使用することができる。
このような緩衝液として使用できるものとしては、例えば、リン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グリシルグリシン、MES、Bis−Tris、ADA、ACES、Bis−Trisプロパン、PIPES、MOPSO、MOPS、BES、HEPES、TES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPS、HEPPSO、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、若しくはCAPS又はこれらの塩等の各緩衝剤からなる緩衝液を挙げることができる。
本発明の測定方法及び測定試薬は、1ステップ法(1試薬系)で実施、構成してもよく、又は2ステップ(2試薬)以上の複数ステップ法(複数試薬系)で実施、構成してもよい。
また、本発明の測定方法及び測定試薬が1ステップ法(1試薬系)である場合は、前記した各構成成分の濃度、及びpH等は前記の範囲のものとすればよく、複数ステップ法(複数試薬系)である場合には、測定対象物質を測定する際の各々の添加量の比で混合した時に、この混合後の測定反応液中の前記構成成分の濃度及びpHが、前記した各構成成分の濃度範囲、及びpH範囲等となるように各試薬の構成成分の濃度等を定めればよい。
本発明において、試料とは、試料中の測定対象物質の測定を行おうとするもののことであり、このようなものであれば特に限定されない。
このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水、脳等の臓器、毛髪や皮膚や爪や筋肉若しくは神経等の組織及び細胞等の抽出液等が挙げられる。
本発明において、測定対象物質としては、電子受容体の存在下で、該測定対象物質に対して、脱水素酵素が使用できるもの、又は該測定対象物質より生成した物質に対して、電子受容体の存在下で、脱水素酵素が使用できるものであれば、特に限定されないが、例えば、胆汁酸、ブドウ糖、1,5−アンヒドログルシトール、フルクトース、トリグリセライド、リン脂質、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、遊離脂肪酸、尿素窒素、尿酸、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、コリンエステラーゼ、クレアチニン等を挙げることができる。
本発明は、トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤として、測定反応液中又は測定試薬中に存在させた、テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定方法又は測定試薬である。したがって、基本的な測定対象物質の測定方法については、電子受容体と脱水素酵素を試料に作用させ、生成した電子受容体の還元体をテトラゾリウム化合物を用いて測定する、公知の測定方法に準じて行うことができる。
試料中の測定対象物質を測定する場合には、例えば、試料とトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を含有する試薬とを混合する。この試料と試薬との混合物を、電子受容体、脱水素酵素、テトラゾリウム化合物を含有する試薬と混合し、酵素反応を行い、生成した電子受容体の還元体とテトラゾリウム化合物を発色反応させる。この発色前後の反応液の吸光度を測定し、テトラゾリウム化合物による吸光度の変化量を求めること等により、生体試料中の測定対象物質の濃度を測定することができる。
なお、測定は、レートアッセイ法及びエンドポイント法のいずれの方法でも行うことができる。
本発明における、テトラゾリウム化合物の非特異的発色を抑制する方法は、試料中の測定対象物質の測定において、トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質の存在下で測定を行うことによるものである。
この試料中の測定対象物質の測定において、トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質の存在下で測定を行うことにより、試料中にアスコルビン酸やヘモグロビン等の妨害物質が混在している場合であっても、この妨害物質による測定値への誤差が生じることを抑制でき、精度が高い測定対象物質の測定値を得ることができる。
また、本発明におけるテトラゾリウム化合物の非特異的発色を抑制する方法を実施する際の試薬の構成成分や試料や条件等は、前記した通りである。
トリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、及び1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸を、テトラゾリウム化合物を用いた測定試薬に含有させた場合の非特異的発色の抑制効果を確かめた。
(1)胆汁酸測定用第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように、更に表1に記載した18種類のトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ、又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸をそれぞれ表1に記載した濃度になるように純水に溶解し、pHを7.2(20℃)に調整し、表1に記載したトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸をそれぞれ含有する(又は含有しない)20種類の胆汁酸測定用第1試薬を調製した。
PIPES 100mM
ピルビン酸 10mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 0.5単位/mL
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを3.0(20℃)に調整し、胆汁酸測定用第2試薬を調製した。(なお、テトラゾリウム化合物の非特異的な発色のみを測定するため、胆汁酸測定のために必要な酵素である3α−ヒドロキシステロイド脱水素酵素は含有させなかった。)
グリシン 10mM
EDTA 1mM
ニコチンアミドアデニンジニクレオチド 3mM
WST−1 300μM
1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェイト 15μM
ヒト血清にヘモグロビンを、添加濃度が250又は500mg/dLになるように添加したものを試料とした。
また、ヘモグロビンの代わりに生理食塩水を添加したものをヘモグロビン無添加試料(ヘモグロビン添加濃度が0mg/dL)とした。
前記2の各試料について、前記1で調製した20種類の胆汁酸測定用第1試薬及び胆汁酸測定用第2試薬にて測定を行い、テトラゾリウム化合物の非特異的発色による測定値への誤差を確認した。
本発明の測定試薬における測定は、日立製作所社製7170S形自動分析装置にて行い、前記2で調製した試料の各8μLに各々前記1で調製した胆汁酸測定用第1試薬160μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記1で調製した胆汁酸測定用第2試薬80μLを添加し、37度で5分間反応させた。胆汁酸測定用第2試薬添加直前と添加5分後の主波長450nm及び副波長700nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。そして、胆汁酸濃度が既知の試料(標準液)について前記の通り測定を行い、この標準液の測定値(吸光度差)と前記の3種類の試料の測定値(吸光度差)を比較することにより、前記3種類の試料の測定値(吸光度差)を胆汁酸濃度に換算した値を各々求めた。
表1から明らかなように、第1試薬にトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸を含有させていない(無添加)場合は、試料中のヘモグロビンの影響を受けて、本来「0」となるべき各試料の測定値に正誤差が生じていることが分かる。また、試料中の添加ヘモグロビン濃度が高くなるにつれて、各試料の測定値が上昇しており、正誤差の程度が大きくなっていることが分かる。
これに対して、第1試薬にトリンダー試薬、スーパーオキシドジスムターゼ又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸を含有させた場合は、この測定値の正誤差が減少し改善されていることが分かる。
トリンダー試薬を、テトラゾリウム化合物を用いた測定試薬に含有させた場合の非特異的発色の抑制効果を確かめた。
(1)胆汁酸測定用第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.2(20℃)に調整し、トリンダー試薬であるHDAOS濃度の異なる5種類の胆汁酸測定用第1試薬を調製した。
HDAOS 0%、0.01%、0.1%、0.5%又は1%
PIPES 100mM
ピルビン酸 10mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 0.5単位/mL
実施例1の1の(2)で調製した胆汁酸測定用第2試薬をそのまま使用した。
ヒト血清にアスコルビン酸を、添加濃度が10、20、30、40又は50mg/dLになるように添加したものを試料とした。
また、アスコルビン酸の代わりに生理食塩水を添加したものをアスコルビン酸無添加試料(アスコルビン酸添加濃度が0mg/dL)とした。
前記2の各試料について、前記1で調製した5種類の胆汁酸測定用第1試薬及び胆汁酸測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行い、テトラゾリウム化合物の非特異的発色による測定値への誤差を確認した。
試料の測定結果を表2に示した。なお、表2の胆汁酸換算値は、アスコルビン酸の影響を明確にするために、各アスコルビン酸添加試料の測定値を、アスコルビン酸無添加試料(アスコルビン酸添加濃度が0mg/dL)の測定値に対する差として示したものである。
表2から明らかなように、第1試薬にHDAOSを含有させていない場合は、試料中のアスコルビン酸の影響を受けて、本来「0」となるべき各試料の測定値に正誤差が生じていることが分かる。更に、試料中の添加アスコルビン酸濃度が高くなるにつれて、各試料の測定値が上昇しており、正誤差の程度が大きくなっていることが分かる。
また、本実施例1において、第1試薬にはアスコルビン酸の影響を抑制するためのアスコルビン酸オキシダーゼが含有されているが、第1試薬にHDAOSを含有させていない場合は、胆汁酸の測定値に正誤差が生じてしまっていることが分かる。すなわち、アスコルビン酸オキシダーゼでは、テトラゾリウム化合物の非特異的発色を抑制できていないことが分かる。
これに対して、第1試薬にHDAOSを含有させた場合は、この測定値の正誤差が減少し改善されていることが分かる。
トリンダー試薬を、テトラゾリウム化合物を用いた測定試薬に含有させた場合の非特異的発色の抑制効果を確かめた。
(1)胆汁酸測定用第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを7.2(20℃)に調整し、トリンダー試薬であるHDAOS濃度の異なる5種類の胆汁酸測定用第1試薬を調製した。
HDAOS 0%、0.01%、0.05%、0.1%又は0.2%
PIPES 100mM
ピルビン酸 10mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 0.5単位/mL
実施例1の1の(2)で調製した胆汁酸測定用第2試薬をそのまま使用した。
40種類のヒト血清試料(試料番号:1〜40)を用意した。
前記2の各試料について、前記1で調製した5種類の胆汁酸測定用第1試薬及び胆汁酸測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行い、テトラゾリウム化合物の非特異的発色による測定値への誤差を確認した。
試料の測定結果を表3に示した。
表3から明らかなように、試薬にHDAOSを含有させていない場合は、試料中の何らかの妨害物質の影響を受けて、本来「0」となるべき各試料の測定値に正誤差が生じていることが分かる。
これに対して、第1試薬にHDAOSを含有させた場合は、この測定値の正誤差が減少し改善されていることが分かる。
Claims (4)
-
テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定方法において、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤としてトリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を、測定反応液中に存在させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定方法。 -
テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定試薬において、テトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤としてトリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質を含有させることを特徴とする、試料中の測定対象物質の測定試薬。 -
テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質の測定において、トリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質の存在下で測定を行うことにより、テトラゾリウム化合物の非特異的発色を抑制する方法。 -
トリンダー試薬又は1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンジスルホン酸若しくはその塩から選択された1種以上の物質よりなる、テトラゾリウム化合物を用いる試料中の測定対象物質測定時のテトラゾリウム化合物の非特異的発色抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007062545A JP5017614B2 (ja) | 2007-02-13 | 2007-02-13 | 試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007062545A JP5017614B2 (ja) | 2007-02-13 | 2007-02-13 | 試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008197077A JP2008197077A (ja) | 2008-08-28 |
JP5017614B2 true JP5017614B2 (ja) | 2012-09-05 |
Family
ID=39756153
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007062545A Expired - Fee Related JP5017614B2 (ja) | 2007-02-13 | 2007-02-13 | 試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5017614B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210381935A1 (en) * | 2015-03-31 | 2021-12-09 | Eiken Kagaku Kabushiki Kaisha | Preservative solution for heme protein, and method for stabilizing heme protein |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2845209T3 (es) * | 2016-02-04 | 2021-07-26 | Terumo Corp | Reactivo para la medición del nivel de azúcar en sangre, chip de medición del nivel de azúcar en sangre y dispositivo de medición del nivel de azúcar en sangre |
CN109689648B (zh) * | 2016-09-14 | 2022-07-26 | 泰尔茂株式会社 | 2-取代苯并噻唑基-3-取代苯基-5-取代磺化苯基-2h-四唑鎓盐 |
ES2903296T3 (es) * | 2017-07-14 | 2022-03-31 | Terumo Corp | Chip de medición del nivel de glucemia y conjunto de dispositivo de medición del nivel de glucemia |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH066071B2 (ja) * | 1986-12-12 | 1994-01-26 | 日本商事株式会社 | 電気泳動画分測定方法および該画分測定用試薬 |
JPH0621551B2 (ja) * | 1989-06-16 | 1994-03-23 | いすゞ自動車株式会社 | パティキュレートトラップの再生装置 |
JP2743020B2 (ja) * | 1989-09-20 | 1998-04-22 | 株式会社ジェイエスピー | 防舷構築物 |
JP4045322B2 (ja) * | 1998-11-17 | 2008-02-13 | アークレイ株式会社 | 酸化還元反応を用いた測定方法 |
-
2007
- 2007-02-13 JP JP2007062545A patent/JP5017614B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210381935A1 (en) * | 2015-03-31 | 2021-12-09 | Eiken Kagaku Kabushiki Kaisha | Preservative solution for heme protein, and method for stabilizing heme protein |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008197077A (ja) | 2008-08-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5129572B2 (ja) | 生体試料中の2項目の測定対象物の同時分別定量方法 | |
JP6569193B2 (ja) | 生体成分の測定方法および測定用組成物 | |
JP6435605B2 (ja) | 生体成分の測定方法および測定用組成物 | |
JP5017614B2 (ja) | 試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 | |
JP6459268B2 (ja) | 生体成分の測定方法および測定用組成物 | |
JP5216968B2 (ja) | テトラゾリウム化合物を色原体として用いる試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、非特異的発色を抑制する方法、並びに非特異的発色抑制剤 | |
JP2009072136A (ja) | 還元系色素を用いた安定な測定方法、およびその試薬 | |
RU2184778C2 (ru) | Система восстановления конфермента, набор для ферментативного определения концентрации анализируемого вещества и ферментативный способ определения концентрации анализируемого вещества | |
CA2045704A1 (en) | Stable aqueous nadh reagent and kit | |
JP3797603B2 (ja) | 試薬組成物の安定化方法 | |
JP4639287B2 (ja) | 酵素的測定試薬の安定化方法 | |
JP5017612B2 (ja) | 生体試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬、ヘモグロビンの影響回避方法、並びにヘモグロビンの影響回避剤 | |
WO2006030866A1 (ja) | 尿酸の定量方法 | |
JP4691627B2 (ja) | 非特異的発色の抑制方法 | |
JP2009072137A (ja) | 総分岐鎖アミノ酸測定用液状試薬 | |
WO2012124340A1 (ja) | Hdl亜分画中のコレステロールの測定方法、測定用試薬及び測定用キット | |
JP6047778B2 (ja) | 測定対象物質の測定方法及び測定試薬、並びにビリルビンに由来する影響の回避方法 | |
EP0811692B1 (en) | Method of determining bile acid conjugated with sulfuric acid and kit therefor | |
JP6372921B2 (ja) | 高密度リポ蛋白中のコレステロールの測定方法 | |
JP3598438B2 (ja) | エタノールアミン類緩衝液の安定化方法 | |
JP4081709B2 (ja) | 夾雑物質による影響回避方法 | |
JP4328754B2 (ja) | 安定化された試薬組成物 | |
JP2002238598A (ja) | カルシウムイオン測定用組成物および測定方法 | |
US20210246485A1 (en) | Histamine measurement method and kit | |
JP2000236897A (ja) | 酵素阻害物質の測定方法及び測定試薬 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100202 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111026 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111115 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120106 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120417 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120514 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150622 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |