JP7427522B2 - キットおよび方法 - Google Patents

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Description

本発明は、キットおよび方法に関する。
small dense LDLコレステロール(sdLDL-C)の定量に吸光度や濁度の測定を用いる技術として、特許文献1~4に記載のものがある。
特許文献1(特開2003-28882号公報)には、特定の濃度の1価のカチオンおよび/または2価のカチオンと、ポリアニオンとを存在させる検体中のSmall dense L
DLの測定方法について記載されている。そして、同文献に記載の方法によれば、Small dense LDLのみを特異的且つ高感度に測定し得る検体中のSmall dense LDLの測定方法を提供することができるとされている。また、同文献においては、主波長660nmにおける濁度測定により、Small dense LDLを測定したことが記載されている。
特許文献2(国際公開第2008/50636号)および特許文献3(国際公開第2009/48143号)には、sdLDL-Cの定量にあたり、主波長600nm、副波長700nmにおける吸光度を測定したことが記載されている。
また、特許文献4(国際公開第2008/105486号)には、sdLDL-Cの測定にあたり、600nmにおける吸光度を測定したことが記載されている。
特開2003-28882号公報 国際公開第2008/50636号 国際公開第2009/48143号 国際公開第2008/105486号
前述の通り、特許文献1~4では、sdLDL-Cの定量に際し、波長600~700nm程度の長波長側での吸光度測定が用いられていた。
こうした技術について本発明者らが検討したところ、高水準の測定精度を安定的に得るという点で改善の余地があった。
本発明は、sdLDL-Cを高い精度で安定的に定量する技術を提供するものである。
本発明者らは、波長600~700nm程度の領域における吸光度測定を用いるsdLDL-Cの定量について、より微量の試料についても高い測定精度を得ることをめざして検討した。すると、定量に用いる試薬を保存した場合に試薬が劣化し、sdLDL-Cの定量における波長域よりも短波長側にピークを有する吸収が生じて、かかる吸収の影響が高波長側にわたって観測される場合があることが新たな課題として見出された。そして、こうした吸収が生じると、sdLDL-Cの定量時の吸光度に影響を及ぼすため、測定精度が低下する場合があることが明らかになった。また、短波長側の吸収ピークの出現の仕方は、たとえば測定に用いる試薬の成分や保存条件、保存日数により変化しうることがあわせて見出された。
そこで、短波長領域で生じる吸収の影響を極力排除すべくさらに検討したところ、sdLDL-Cの分別に用いる試薬組成物について、sdLDL-Cの測定波長領域外の特定の波長において、加速試験後の吸光度の比を特定の範囲とすることにより、長波長側への吸収の影響を効果的に抑制し、高精度でのsdLDL-Cの定量が可能となることを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、以下のキットおよび方法が提供される。
[1] 試料中のsmall dense LDLコレステロール(sdLDL-C)の分別に用いられるキットであって、
コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する第1試薬組成物と、
前記sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物と、
を含み、
前記第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上3.00以下であり、
前記第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上8.00以下である、キット。
[2] 第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、[1]に記載のキット。
[3] 前記第1試薬組成物が、カタラーゼ活性をさらに有する、[1]または[2]に記載のキット。
[4] 前記第1試薬組成物が、small dense LDL(sdLDL)以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を含む、[1]乃至[3]いずれか1項に記載のキット。
[5]
第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、[1]乃至[4]いずれか1項に記載のキット。
[6] 前記第2試薬組成物が、small dense LDL(sdLDL)に作用する界面活性剤を含む、[1]乃至[5]いずれか1項に記載のキット。
[7] 前記第1試薬組成物が、以下の条件1~3の1つまたは2つの条件を満たすとともに、
前記第2試薬組成物が、前記条件1~3のうち、前記1つまたは2つの条件は満たさず、他のすべての条件を満たす、[1]乃至[6]いずれか1項に記載のキット。
条件1:カップラーを含む
条件2:鉄錯体を含む
条件3:ペルオキシダーゼ活性を有する
[8] 試料中のsmall dense LDLコレステロール(sdLDL-C)を定量する方法であって、
コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する第1試薬組成物を前記試料に作用させる工程と、
第1試薬組成物を前記試料に作用させる前記工程の後、前記sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程と、
を含み、
前記第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上3.00以下であり、
前記第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上8.00以下である、方法。
[9] 第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、[8]に記載の方法。
[10] 前記第1試薬組成物が、カタラーゼ活性をさらに有する、[8]または[9]に記載の方法。
[11] 前記第1試薬組成物が、前記sdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を含む、[8]乃至[10]いずれか1項に記載の方法。
[12] 第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、[8]乃至[11]いずれか1項に記載の方法。
[13] 前記第2試薬組成物が、前記sdLDLに作用する界面活性剤を含む、[8]乃至[12]いずれか1項に記載の方法。
[14] 前記第1試薬組成物が、以下の条件1~3の1つまたは2つの条件を満たすとともに、
前記第2試薬組成物が、前記条件1~3のうち、前記1つまたは2つの条件は満たさず、他のすべての条件を満たす、[8]乃至[13]いずれか1項に記載の方法。
条件1:カップラーを含む
条件2:鉄錯体を含む
条件3:ペルオキシダーゼ活性を有する
本発明によれば、sdLDL-Cを高い精度で安定的に定量する技術を提供することができる。
第1試薬組成物の吸光度測定結果の例を示す図である。 第1試薬組成物の吸光度測定結果の例を示す図である。 第2試薬組成物の吸光度測定結果の例を示す図である。 第2試薬組成物の吸光度測定結果の例を示す図である。
以下、実施の形態について説明する。本実施形態において、測定試薬等の組成物は、各成分を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。また、本明細書において、数値範囲の「x~y」は「x以上y以下」を表し、下限値xおよび上限値yをいずれも含む。
はじめに、リポタンパク質について説明する。
リポタンパク質は、大きくVery Low Density Lipoprotein(VLDL)、Low Density Lipoprotein(LDL)およびHigh Density Lipoprotein(HDL)の分画に分けられ、LDLはさらにsmall dense LDL(sdLDL)とそれ以外の亜分画に分けられる。sdLDLを小粒子LDL、small LDL(SLDL)、dense LDL、small, dense LDLと呼ぶこともあり、またそれ以外のLDLをlarge LDL(L LDL)、Light LDLと呼ぶこともある。
これらのリポタンパク質の分画および亜分画は、粒子サイズまたは比重により区別できる。
リポタンパク質の粒子サイズの直径については、報告者により異なるが、たとえばVLDLが30nm~80nm(または30nm~75nm)であり、LDLが22nm~28nm(または19nm~30nm)であり、HDLが7~10nmである。
リポタンパク質の比重については、たとえばVLDLが1.006以下、LDLが1.019~1.063、HDLが1.063~1.21である。
リポタンパク質のうち、LDL粒子直径は、たとえばグラジエントゲル電気泳動(GGE)(JAMA, 260, p.1917-21, 1988)、NMR(HANDBOOK OF LIPOPROTEIN TESTING 2ndEdition、Nader Rifai他編、p.609-623、AACC PRESS:TheFats of Life Summer 2002、LVDD 15 YEAR ANNIVERSARY ISSUE、Volume AVI No.3、p.15-16)により測定できる。また、比重は、たとえば超遠心分離による分析(Atherosclerosis, 106, p.241-253, 1994: Atherosclerosis, 83, p.59, 1990)に基づいて決定できる。
本実施形態において、測定しようとするsdLDLは、一般的にはLDL画分のうち直径が約22.0~約25.5nmの亜分画、または、比重1.040~1.063の亜分画を指す。
LDLを大きさにより亜分画に分けているのは、LDLのうち粒子径が小さいものが動脈硬化惹起性が高く、LDLの中でもより悪性度が高いので、LDLの中でも小さいものを分別測定する必要があったからである。LDL内で直径分布や比重分布は連続しており、比重がどの程度以上のものがとりわけ悪性度が高いというように明確に区別できるものではない。従って、上記の比重1.040~1.063という値もsdLDLの特性として確立したものではなく、広く用いられており確立した値といえるLDLの比重範囲1.019~1.063を中央点で分けた高比重側の値である。たとえば、sdLDLの比重について、別の報告では1.044~1.060に分画される(Atherosclerosis:106 241-253 1994)。sdLDLの比重をどの範囲にするかは、報告者により若干の違いがあるが、いずれもその範囲で分別した場合のsdLDLの存在が臨床的な悪性度と関連している。
本明細書において、sdLDLという場合、具体的には、LDLのうち比重が大きいものであって、臨床的に動脈硬化惹起性がそれ以外のLDLよりも大きいものをいう。また、sdLDLは、好ましくはLDLの比重範囲のうち中央点より高い比重範囲に属するもの、より好ましくは比重1.044~1.063の範囲に属するLDLをいう。また、LDL以外のリポタンパク質という場合、VLDLまたはHDLを指し、さらにカイロミクロン、IDL(intermediate density lipoprotein)またはVHDL(very high density lipoprotein)を含めることもある。
(キット)
本実施形態において、キットは、試料中のsdLDL-Cの分別に用いられるものであり、以下の第1試薬組成物および第2試薬組成物を含む。
(第1試薬組成物)
第1試薬組成物は、コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する試薬組成物である。第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.9以上3.0以下である。
(第2試薬組成物)
第2試薬組成物は、sdLDL-Cを定量するための試薬組成物である。第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上8.00以下である。
本発明者らは、sdLDL-Cの測定波長領域外の特定の波長において、第1および第2試薬組成物の加速試験後の吸光度の比を特定の範囲とすることにより、sdLDL-Cの高精度での定量が可能となることを新たに見出した。具体的には、短波長側の吸収の存在の有無や程度の指標として、ABS400/ABS450の比R1が好適であることを見出した。R1を上限値以下とすることにより、sdLDL-Cの測定波長域、たとえば波長600~700nmの領域よりも低波長側にピークを有する吸収の波長600~700nmの領域への緩衝を効果的に抑制することができるため、高精度でのsdLDL-Cの定量が可能となる。
ここで、sdLDL-Cの測定波長域自体において、緩衝の有無を判定するのは困難であったが、観測領域外の400nmmおよび450nmの吸光度を用いるとともに、第1および第2試薬組成物の加速試験後の吸光度比を指標とすることにより、低波長側にピークを有する吸収の存在や緩衝の影響を把握することができる。そして、R1が特定の範囲にある試薬組成物を用いることにより、測定精度を向上することができる。
第1試薬組成物については、37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、sdLDL-Cの測定精度を向上する観点から、3.00以下であり、好ましくは2.80以下、より好ましくは2.70以下、さらに好ましくは2.60以下、さらにより好ましくは2.50以下である。
また、sdLDL-Cを安定的に定量する観点から、第1試薬組成物のR1は、0.90以上であり、また、たとえば0.95以上、または1.00以上であってもよい。
また、第2試薬組成物については、37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、sdLDL-Cの測定精度を向上する観点から、8.00以下であり、好ましくは7.00以下、より好ましくは6.00以下、さらに好ましくは5.00以下、さらにより好ましくは4.00以下である。
また、sdLDL-Cを安定的に定量する観点から、第2試薬組成物のR1は、0.90以上であり、また、たとえば0.95以上、または1.00以上であってもよい。
本実施形態においては、キットに含まれる第1および第2試薬組成物がいずれもR1について上述の条件を満たすため、sdLDL-Cを精度良く測定することができる。
また、本実施形態のキットにおいて、第1および第2試薬組成物の少なくとも一つについては、37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、sdLDL-Cの測定精度をより安定的に向上する観点から、ABS360/ABS400で表される比R2が、2.50以下であり、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.80以下、さらに好ましくは1.70以下、さらにより好ましくは1.50以下である。
また、sdLDL-Cをさらに安定的に定量する観点から、R2は、たとえば0.9以上であってもよく、また、たとえば1.0以上、または、たとえば1.2以上であってもよい。
また、第1試薬組成物について、37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、sdLDL-Cの測定精度をより安定的に向上する観点から、ABS360/ABS400で表される比R2は、たとえば3.0以下であり、好ましくは2.50以下、より好ましくは2.20以下、さらに好ましくは2.00以下、さらにより好ましくは1.68以下、よりいっそう好ましくは1.60以下である。
また、sdLDL-Cをさらに安定的に定量する観点から、第1試薬組成物のR2は、たとえば0.90以上であってもよく、また、たとえば0.95以上、または1.00以上であってもよい。
また、第2試薬組成物について、37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、sdLDL-Cの測定精度をより安定的に向上する観点から、ABS360/ABS400で表される比R2は、たとえば3.00以下であり、好ましくは2.50以下、より好ましくは2.00以下、さらに好ましくは1.70以下、さらにより好ましくは1.50以下である。
また、sdLDL-Cをさらに安定的に定量する観点から、第2試薬組成物のR2は、たとえば0.90以上であってもよく、また、たとえば0.95以上、または1.00以上であってもよい。
sdLDL-Cの測定精度をさらに向上する観点から、より好ましくは第1および第2試薬組成物がいずれもR2について上述の条件を満たす。
本実施形態において、キットは、sdLDL-Cの分別または定量に用いられ、好ましくはsdLDL-Cの分別および定量に用いられる。
また、キットは、具体的には2以上の工程を含むsdLDL-Cの定量方法に用いられる。このとき、第1および第2試薬組成物は、それぞれ異なる工程に用いられ、好ましくは第1および第2試薬組成物の順に用いられる。
以下、各試薬組成物の構成をさらに具体的に説明する。
(第1試薬組成物)
第1試薬組成物は、コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有し、好ましくはコレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性を有する。
第1試薬組成物は、上記1または2以上の活性を有する組成物であるため、試料に第1試薬組成物を添加したときに、たとえば、試料中のsdLDL以外のリポタンパク質を消去することができる。また、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを反応系外に導くことができる。
第1試薬組成物は、たとえばコレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する1または2以上の酵素を含む組成物であり、好ましくはコレステロールエステラーゼ活性を有する酵素、コレステロールオキシダーゼ活性を有する酵素およびスフィンゴミエリナーゼ活性を有する酵素を含む。
ここで、「界面活性剤が作用(反応)する」とは、界面活性剤がリポタンパク質を分解し、リポタンパク質中のコレステロールが遊離することをいう。たとえば、「sdLDL以外のリポタンパク質に作用(反応)する界面活性剤」という場合、界面活性剤がsdLDLに全く作用しないことは要求されず、主にsdLDL以外のリポタンパク質に作用すればよい。「消去」とは、被検体試料中の物質を分解し、その分解物が次の工程において検出されないようにすることを意味する。すなわち、「sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを消去する」とは、被検体試料中のsdLDL以外のリポタンパク質を分解し、その分解産物であるこれらリポタンパク質中のコレステロールがその後の工程で検出されないようにすることをいう。
「反応系外に導く」とは、具体的には、HDLやVLDL、L LDLなどに含まれるコレステロールがsdLDL-Cの定量に影響を及ぼさないように、HDL、VLDL、L LDLなどに含まれるコレステロールを消去、凝集させたり、後の工程で反応しないよう阻害したりすることをいう。
また、「コレステロールエステラーゼ活性を有する」とは、具体的には、コレステロールエステラーゼが存在し、ペルオキシダーゼコレステロールエステラーゼが触媒する反応が起こり得ることをいう。コレステロールオキシダーゼ活性、スフィンゴミエリナーゼ活性、カタラーゼ活性、ペルオキシダーゼ活性等の他の酵素活性についても同様である。
また、試料中のsdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールをより安定的に反応系外に導く観点から、第1試薬組成物は、好ましくはカタラーゼ活性をさらに有する。さらに具体的には、第1試薬組成物は、好ましくはカタラーゼ活性を有する1または2以上の酵素をさらに含む組成物である。
次に、第1試薬組成物に含まれる成分をさらに具体的に説明する。
第1試薬組成物に含まれる成分として、たとえば、酵素、酵素作用を有しないタンパク質、界面活性剤、緩衝液、カップラー、電子供与体、鉄錯体が挙げられる。
酵素としては、たとえばコレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する酵素が挙げられる。また、上記活性以外の活性を有する酵素を含んでもよい。たとえば、第1試薬組成物は好ましくはカタラーゼ活性をさらに有し、より好ましくはカタラーゼを有する酵素を含む。
酵素の具体例として、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼが挙げられる。
このうち、コレステロールエステラーゼとしては、たとえば細菌や菌類由来のものを用いることができる。
コレステロールオキシダーゼとしては、たとえば細菌や酵母由来のものを用いることができる。
また、スフィンゴミエリナーゼの具体例として、SPC(旭化成社製)、Sphingomyelinase from bacillus cereus、Sphingomyelinase from staphylococcus aureus(SIGMA社製)が挙げられる。
また、第1試薬組成物中の酵素活性について、たとえばスフィンゴミエリナーゼ活性は、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールをより安定的に反応系外に導く観点から、好ましくは0.1U/mL以上であり、より好ましくは0.2U/mL以上であり、また、好ましくは100U/mL以下であり、より好ましくは20U/mL以下である。
また、第1試薬組成物は、各種リポタンパク質に対する作用を好ましく調整する観点から、好ましくはリポタンパク質分解酵素を含んでもよい。
リポタンパク質分解酵素としては、たとえばリポプロテインリパーゼを用いることができる。リポプロテインリパーゼはリポタンパク質を分解する能力を有する酵素であれば限定されず、たとえば動物または微生物由来のリポプロテインリパーゼを用いることができる。
酵素作用を有しないタンパク質の具体例として、アルブミンが挙げられる。
界面活性剤として、たとえばsdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤が挙げられ、より好ましくはsdLDL以外のリポタンパク質に作用するとともにsdLDLに作用しない界面活性剤が挙げられる。また、第1試薬組成物は、sdLDL-Cを安定的に分別する観点から、好ましくはsdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を含み、より好ましくはsdLDL以外のリポタンパク質に作用するとともにsdLDLに作用しない界面活性剤を含む。
sdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤として、ポリオキシエチレン誘導体が挙げられる。誘導体の例としてはポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレン多環フェニルエーテルからなる群から選択される1または2以上の非イオン界面活性剤を挙げることができる。
このうち、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルの好ましい例として、ポリオキシエチレンベンジルフェニル誘導体やポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル誘導体、特殊フェノールエトキシレートが挙げられる。ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルの具体例として、エマルゲンA-60、エマルゲンA-500、エマルゲンB-66、エマルゲンA-90(以上、花王社製)、ニューコール703、ニューコール704、ニューコール706、ニューコール707、ニューコール708、ニューコール709、ニューコール710、ニューコール711、ニューコール712、ニューコール714、ニューコール719、ニューコール723、ニューコール729、ニューコール733、ニューコール740、ニューコール747、ニューコール780、ニューコール610、ニューコール2604、ニューコール2607、ニューコール2609、ニューコール2614(以上、日本乳化剤社製)、ノイゲンEA-87、ノイゲンEA-137、ノイゲンEA-157、ノイゲンEA-167、ノイゲンEA-177、ノイゲンEA-197D、ノイゲンEA-207D(以上、第一工業製薬社製)、ブラウノンDSP-9、ブラウノンDSP-12.5、ブラウノンTSP-7.5、ブラウノンTSP-16、ブラウノンTSP-50(以上、青木油脂社製)等が挙げられる。
第1試薬組成物中の界面活性剤の濃度は、第1試薬組成物の全組成に対して、sdLDL以外のリポタンパク質に安定的に作用させる観点から、好ましくは0.2%(w/v)以上であり、より好ましくは0.3%(w/v)以上、さらに好ましくは0.5%(w/v)以上である。
また、同様の観点から、第1試薬組成物中の界面活性剤の濃度は、好ましくは5%(w/v)以下であり、より好ましくは3%(w/v)以下である。
なお、第1および第2試薬組成物に含まれる界面活性剤は、IR、NMR、LC-MS等を組み合わせて解析する方法によって同定できる。界面活性剤のイオン性(非イオン性、陰イオン性、陽イオン性)を確認する方法としては、酸性またはアルカリ性条件での有機溶媒による抽出法、固相抽出法が挙げられる。界面活性剤の構造を決定する方法としてはLC-MSMS、NMRを用いて解析する方法が挙げられる。
第1試薬組成物は、好ましくは酵素および界面活性剤を含み、より好ましくはスフィンゴミエリナーゼおよびポリオキシエチレン誘導体を含む。
緩衝液の種類は、たとえば第1試薬組成物に含まれる酵素の種類によって適宜選択することができる。緩衝液の具体例として、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、PIPES緩衝液が挙げられる。
カップラーおよび電子供与体は、たとえばペルオキシダーゼ活性の存在下でカップリング反応する組み合わせで用いられる。
かかるカップリング反応に用いられるカップラーとして、たとえば、4-アミノアンチピリン、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾンが挙げられる。
また、電子供与体は、好ましくはアニリン誘導体である。アニリン誘導体の具体例として、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(MAOS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOPS)、N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(HDAOS)、N-(3-スルホプロピル)アニリン(HALPS)、N-(3-スルホプロピル)-3-メトキシ-5-アニリン(HMMPS)が挙げられる。
また、鉄錯体として、たとえば第2の試薬組成物について後述するものが挙げられる。鉄錯体の濃度としては0.001~0.05mmol/Lが好ましい。
第1試薬組成物は、たとえばスフィンゴミエリナーゼを含むとともに、たとえばコレステロールエステラーゼやコレステロールオキシダーゼ等のコレステロールを分解する酵素、電子供与体またはカップラーのいずれか一方、ならびに、過酸化水素を消去するカタラーゼ等を含む構成とすることができる。
(第2試薬組成物)
第2試薬組成物は、sdLDL-Cを定量するための試薬である。第2試薬組成物の成分は、第1試薬組成物の構成によって異なるが、sdLDL-Cを定量できる配合組成であればよく、公知の物質を用いることができる。
第2試薬組成物の成分としては、たとえば、酵素、緩衝液、界面活性剤、カップラー、鉄錯体が挙げられる。
酵素として、たとえば、ペルオキシダーゼが挙げられる。
緩衝液の種類は、たとえば第2試薬組成物に含まれる酵素の種類によって適宜選択することができる。緩衝液の具体例として、第1試薬組成物について前述したものが挙げられる。
界面活性剤として、たとえばsdLDLに作用する界面活性剤が挙げられる。また、第2試薬組成物は、sdLDL-Cを安定的に定量する観点から、好ましくはsdLDLに作用する界面活性剤を含む。
sdLDLに作用する界面活性剤は、sdLDLのみに作用する界面活性剤等のsdLDLに選択的に作用する界面活性剤であってもよいし、sdLDL以外のリポタンパク質にも作用する界面活性剤またはすべてのリポタンパク質に作用する界面活性剤であってもよい。
sdLDLのみに作用する界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体またはその誘導体を好適に用いることができる。ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体またはその誘導体として、たとえば、プルロニック17R-4、プルロニックL-64、プルロニックPE3100、プルロニックP-85、プルロニックF-88、プルロニックP-103、プルロニックF-127等のプルロニック(登録商標)系界面活性剤(BASF社、ADEKA社)などが挙げられる。
すべてのリポタンパク質に作用する界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン誘導体をあげることができ、また、市販の総コレステロール測定用試薬等に用いられている界面活性剤を使用することができる。かかる界面活性剤として、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえばエマルゲン909(花王社製)、TritonX100)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(たとえばエマルゲン707、エマルゲン709(以上、花王社製))が挙げられる。
第2試薬組成物中の界面活性剤の濃度は、第2試薬組成物の全組成に対して、sdLDLに安定的に作用させる観点から、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.1%(w/v)以上、さらに好ましくは0.5%(w/v)以上である。
また、同様の観点から、第2試薬組成物中の界面活性剤の濃度は、好ましくは8.0%(w/v)以下であり、より好ましくは5.0%(w/v)以下である。
カップラーとしては、たとえば第1試薬組成物について前述したものが挙げられる。
鉄錯体としては、たとえば、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、ポルフィリン鉄錯体、EDTA-鉄錯体が挙げられる。
第2試薬組成物中の鉄錯体の濃度は、第2試薬組成物の全組成に対して、好ましくは0.0015mmol/L以上であり、また、好ましくは0.3mmol/L以下であり、また、たとえば0.05mmol/L以下であってもよい。
また、第1試薬組成物が、以下の条件1~3の1つまたは2つの条件を満たすとともに、第2試薬組成物が、以下の条件1~3のうち、第1試薬組成物が満たす1つまたは2つの条件は満たさず、他のすべての条件を満たすことが好ましい。
条件1:カップラーを含む
条件2:鉄錯体を含む
条件3:ペルオキシダーゼ活性を有する
sdLDL-Cの定量においては、たとえば電子供与体とカップラーをペルオキシダーゼ活性の存在下でカップリング反応させ、生成した色素により特定波長の吸光度を測定する。このとき、反応促進剤として鉄錯体を使用することができるが、カップラーとペルオキシダーゼ活性、鉄錯体が同一試薬中に存在すると、試薬が徐々に自然発色し、sdLDL-Cの定量に影響をおよぼす場合があった。この点、第1および第2試薬組成物を上述の構成とすることにより、第1または第2試薬組成物中にカップラー、ペルオキシダーゼ活性および鉄錯体が共存しないようにすることができるため、試薬組成物の自然発色を抑制することができる。このため、sdLDL-Cの定量をさらに安定的におこなうことができる。
sdLDL-Cをより安定的に定量する観点から、より好ましくは第1試薬組成物が条件1および条件3を満たすとともに、第2試薬組成物が条件2を満たす。
同様の観点から、カップラーと電子供与体とを、別々の試薬組成物中に分離して存在させることも好ましい。
また、第1または第2試薬組成物には、血清アルブミンが含まれていてもよい。
各試薬組成物のpHは、中性付近、たとえばpH6~pH8、好ましくはpH6.5~7.5であり、緩衝液を添加してpHを調整すればよい。
(方法)
本実施形態における方法は、前述の第1および第2試薬組成物を用いて試料中のsdLDL-Cを定量する方法である。本実施形態における定量方法は、以下の第1工程および第2工程を含む。
(第1工程)前述の第1試薬組成物を試料に作用させる工程
(第2工程)第1工程の後、前述の第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程
第1および第2試薬組成物の構成は前述のとおりである。
かかる方法においては、吸光度の比R1が前述の条件を満たす第1および第2試薬組成物を用いることにより、sdLDL-Cを高い精度で安定的に定量することができる。
また、sdLDL-Cの定量方法は、たとえば試料(被検体試料)に第1試薬組成物を添加し反応させ、次いで第2試薬組成物を添加し反応させ、吸光度を測定することによりおこなえばよい。
被検体試料は、たとえば血清または血漿であり、好ましくは血清である。
第1および第2工程は、通常、自動分析装置内でおこなわれる。
試料の量、各試薬組成物の量は、たとえば各試薬組成物中の試薬の濃度等を考慮して適宜決定できるが、自動分析装置に適用可能な範囲で行う。たとえば、被検体試料1~10μL、第1試薬50~300μL、第2試薬25~200μLを用いればよい。
以下、各工程をさらに具体的に説明する。
(第1工程)
第1工程では、試料に第1試薬組成物を作用させる。これにより、sdLDL以外のリポタンパク質を消去し、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを遊離させて反応系外に導く。
さらに具体的には、第1工程では、好ましくはsdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を、スフィンゴミエリナーゼおよびコレステロールエステラーゼの存在下で試料に作用させる。そして、リポタンパク質からの遊離により生じたコレステロールをたとえばコレステロールオキシダーゼ等のコレステロールと反応する酵素と反応させて反応系外へ導く。第1工程においては、たとえば、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを消去し反応系外に導く、sdLDL以外のリポタンパク質のコレステロールを凝集させたり、後の工程で反応しないよう阻害したりする等の公知の技術を用いることができる。
たとえば第1試薬組成物がスフィンゴミエリナーゼ活性を有するとき、第1工程における反応液のスフィンゴミエリナーゼ活性は、sdLDL以外のリポタンパク質を選択的に消去する観点から、好ましくは0.05U/mL以上であり、より好ましくは0.1U/mL以上であり、また、好ましくは100U/mL以下であり、より好ましくは20U/mL以下である。
また、たとえば第1試薬組成物がsdLDL以外のリポタンパクに作用反応する界面活性剤を含むとき、第1工程における反応液中の界面活性剤の濃度は、sdLDL以外のリポタンパク質を選択的に消去する観点から、好ましくは0.15%(w/v)以上であり、より好ましくは0.25%(w/v)以上であり、また、好ましくは5%(w/v)以下であり、より好ましくは3%(w/v)以下である。
第1工程において、sdLDL以外のリポタンパク質から生じたコレステロールを消去し反応系外に導く工程は、好ましくは以下のいずれかの方法でおこなうことができる。
(1)コレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性により、sdLDL以外のリポタンパク質の中コレステロールから過酸化水素を生成し、カタラーゼ活性の存在下で過酸化水素を水と酸素に分解させる方法
(2)コレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性により生じた過酸化水素、ならびにカップラーもしくは電子供与体の存在下で無色キノンを形成させる方法
(3)カタラーゼ活性の存在下で過酸化水素を分解させ、かつ同時にカップラーまたは電子供与体の存在下で無色キノンを形成させる方法
上記の方法において、第1試薬組成物は、コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有するとともに、たとえば以下の構成とする。
上記(1)の方法とする場合、第1試薬組成物はカタラーゼ活性をさらに有する。
上記(2)の方法とする場合、第1試薬組成物が少なくともカップラーおよび電子供与体の一方を含むとともに、第1試薬組成物がペルオキシダーゼ活性をさらに有する。
上記(3)の方法とする場合、第1試薬組成物がカタラーゼ活性およびペルオキシダーゼ活性を有するとともに、第1試薬組成物がカップラーもしくは電子供与体を含む。
上記(1)または(2)の方法では、コレステロールにコレステロールエステラーゼおよびコレステロールオキシダーゼを作用させて過酸化水素を発生させ、発生した過酸化水素は消去される。
反応液中のコレステロールエステラーゼ濃度は、好ましくは0.010U/mL以上であり、より好ましくは0.3U/mL以上、さらに好ましくは0.6U/mL以上であり、また、好ましくは10U/mL以下であり、より好ましくは2.5U/mL以下、さらに好ましくは2.0U/mL以下である。
また、反応液中のコレステロールオキシダーゼの濃度は、0.1~0.7U/mL程度であることが好ましい。
上記(3)の方法では、カタラーゼの反応液中の濃度は、40~2500U/mL程度であることが好ましい。
また、ペルオキシダーゼ反応液中の濃度は、0.4~2.0U/mL程度であることが好ましい。
上記(2)または(3)の方法において、電子供与体の使用濃度は、反応液中の最終濃度で好ましくは0.1mmol/L以上であり、また、好ましくは8mmol/L以下である。
また、第1試薬組成物がリポプロテインリパーゼを含むとき、反応液中のリポプロテインリパーゼの濃度は好ましくは0.01U/mL以上であり、また、好ましくは10U/mL以下であり、より好ましくは5U/mL以下、さらに好ましくは1U/mL以下である。
第1工程では、L LDLやLDL以外のVLDL、HDLなどのリポタンパク質中のコレステロールを反応系外へ導くことにより、その後の工程においては、反応液中に好ましくはリポタンパク質としてはsdLDLのみが残存することになる。このようにsdLDL以外のリポタンパク質を消去し、反応系外へ導き、その後の工程でsdLDL以外のリポタンパク質のコレステロールを検出できないようにすることを、「sdLDLとそれ以外のリポタンパク質を差別化する」ということがある。
また、第1工程では、sdLDL以外のリポタンパク中のコレステロールが完全に消去されていなくてもよいが、その場合は、好ましくは第2工程において、sdLDL-Cが選択的に測定されるような界面活性剤を用いるとよい。
また、第1工程においては、イオン強度調整剤として1価の陽イオンおよび2価の陽イオンの少なくとも1つまたはそれらの塩をさらに反応液に添加して用いることができる。イオン強度調整剤を添加することにより、sdLDLとL LDLを差別化しやすくなる。
イオン強度調整剤は、具体的には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム等の塩化物;硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩;および酢酸マグネシウム等の酢酸塩からなる群から選択して用いることができる。イオン強度調整剤の反応液中の濃度は好ましくは0~100mmol/Lである。
また、第1試薬組成物がスフィンゴミエリナーゼ活性を有するとき、第1工程において、sdLDLとL LDLに対するホスフォリパーゼの触媒活性を調整するためにポリアニオンを添加することもできる。
添加するポリアニオンとしてはヘパリン、リンタングステン酸、デキストラン硫酸などを好適に用いることができる。第1試薬組成物中のポリアニオンの濃度はヘパリンの場合10~250U/mL、リンタングステン酸の場合0.02~1.25%(w/v)、デキストラン硫酸の場合0.02~1.25%(w/v)が好ましい。反応液中の濃度は、それぞれ5~250U/mL、0.01~1.25%(w/v)、0.01~1.25%(w/v)が好ましい。
(第2工程)
第2工程では、第1工程を経て残存したsdLDL-Cを定量する。第2工程には、従来から用いられているLDLの定量方法を用いることができる。たとえば、LDL凝集剤を添加して形成されたLDL特異的凝集物の含有量を比濁測定によって定量する方法、LDL特異的な抗体による抗原抗体反応を用いる方法、酵素を用い分解生成物を定量する方法等がある。これらのうち、酵素を用い分解生成物を定量する方法が好ましい。
酵素を用い分解生成物を定量する方法においては、第1工程後の反応液に、たとえば、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼおよびコレステロールデヒドロゲナーゼからなる群から選択される1または2以上のコレステロール測定用酵素を含む第2試薬組成物を加えてsdLDL-Cを遊離、分解し、その反応生成物を定量する。
また、第2工程において、界面活性剤を含む第2試薬組成物を用いることも好ましい。第2試薬組成物が界面活性剤を含むとき、第2工程における反応液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01%(w/v)以上であり、より好ましくは0.1%(w/v)以上であり、また、好ましくは10%(w/v)以下であり、より好ましくは5%(w/v)以下である。
本実施形態において、各工程における、反応温度は2℃~45℃でおこなうことが好ましく、25℃~40℃でおこなうことがより好ましい。
反応時間は各工程とも1~10分間でおこなうことが好ましく、3~7分でおこなうことがさらに好ましい。
sdLDL-Cの定量方法に供する試料の例として、血清、血漿等の血液由来試料が挙げられる。
sdLDL-Cの定量に用いる自動分析装置として、たとえば、TBA-120FR、TBA-200FR(以上、東芝社製)、JCA-BM1250、JCA-BM1650、JCA-BM2250(以上、日本電子社製)、HITACHI7180、HITACHI7170(以上、日立社製)、AU2700、AU5800、AU680(以上、OLYMPUS社製)、cobas c501、cobas c701(以上、Roche社製)等が挙げられる。
sdLDL-Cの定量は、たとえば580~720nmの波長域、好ましくは600~700nmの波長域の吸光度測定によりおこなう。
次に、第1および第2試薬組成物の酵素活性の測定方法を説明する。
本実施形態において、試薬組成物のコレステロールオキシダーゼ活性、コレステロールエステラーゼ活性、スフィンゴミエリナーゼ活性、ペルオキシダーゼ活性、カタラーゼ活性は、たとえば、以下の方法にて測定できる。
コレステロールオキシダーゼ活性の測定では、基質液として6mMコレステロール溶液(イソプロパノールに溶解)を用いる。測定対象を2~4U/mLとなるように希釈液(0.1M リン酸緩衝液、TritonX100、pH7.0)を加え、希釈後の溶液3mLを37℃5分加温後に基質液0.05mLを加える。その後、混合液を37℃で反応させ波長240nm吸光度変化量を測定する。37℃にて反応後、2分から7分までの吸光度変化量を測定し、コレステロールオキシダーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が3U/L以上あれば、測定対象はコレステロールオキシダーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、コレステロールオキシダーゼが含まれているといえる。
コレステロールエステラーゼ活性の測定では、基質(0.04%リノレン酸コレステロール、1%TritonX100、0.6%コール酸ナトリウム溶液)、300U/mLコレステロールオキシダーゼ溶液、酵素希釈液(20mMリン酸緩衝液、0.5mM EDTA・2Na、2mM MgCl2、0.2% BSA、pH7.5)、反応液(0.06% 4-アミノアンチピリン、0.4% フェノール、7.5KU/L ペルオキシダーゼ)を用いる。反応液1.75mLと基質液1.0mLを混合後、37℃で5分加温し、0.1mLコレステロールオキシダーゼ溶液を加える。37℃、2分加温後に希釈液で希釈した測定対象0.1mLを加え、混合液を37℃で反応させ、波長500nmの吸光度変化量を測定する。37℃反応後、0分から3.5分までの吸光度変化量を測定し、コレステロールエステラーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が8U/L以上あれば、測定対象はコレステロールエステラーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、コレステロールエステラーゼが含まれているといえる。
スフィンゴミエリナーゼ活性の測定では、反応液(0.008% スフィンゴミエリン、0.05% TritonX100溶液、10U/mL アルカリ性フォスファターゼ、10U/mL コレステロールオキシダーゼ、2U/mL ペルオキシダーゼ、0.02% 4-アミノアンチピリン、0.02% TODB混合液)、反応停止液(1% ドデシル硫酸ナトリウム溶液)、希釈液(10mM トリス緩衝液、0.1% TritonX100、pH8.0)を用いる。反応液0.08mLと希釈液で希釈した測定対象0.003mLを混合し37℃で5分加温後に反応停止液0.16mLを加える。反応停止後に主波長546nm、副波長700nmの吸光度変化量を測定し、スフィンゴミエリナーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が2U/L以上あれば、測定対象はスフィンゴミエリナーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、スフィンゴミエリナーゼが含まれているといえる。
ペルオキシダーゼ活性の測定では、反応液1(1.5mM HDAOS、0.05% TritonX100、50mM リン酸緩衝液、pH7.0)、および、反応液2(5mM 4-アミノアンチピリン、0.05% TritonX100、1% 過酸化水素、50mMリン酸緩衝液、pH7.0)、希釈液(50mM リン酸緩衝液、pH7.0)を用いる。0.3mLの反応液1と希釈液で希釈した測定対象0.08mLを混合し、37℃で5分加温する。その後0.1mLの反応液2を加え、37℃で反応させ、主波長600nm、副波長700nmの吸光度変化量を測定する。37℃反応後、2分から5分までの吸光度変化量を測定しペルオキシダーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が10U/L以上あれば、測定対象はペルオキシダーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、ペルオキシダーゼが含まれているといえる。
カタラーゼ活性の測定では、基質(0.06% 過酸化水素、50mM リン酸緩衝液、pH7.0)を用いる。基質溶液2.9mLを25℃で予備加温後、測定対象0.1mLと混合し、240nmにおける吸光度変化量を測定する。25℃反応後、0分から3分までの吸光度変化量を測定しカタラーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が100U/L以上あれば、測定対象はカタラーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、カタラーゼが含まれているといえる。
また、第1および第2試薬組成物中の酵素は以下の方法でも同定できる。すなわち、まず、標的酵素を含む試料をトリプシンで分解することにより得られた断片ペプチドをハイブリッド型質量分析計で検出する。質量分析計により得られたペプチドの質量、および質量分析計内でアルゴンガスと衝突させることにより得られたフラグメントイオンのスペクトル(MS/MSデータ)をデータベース検索(たとえば、Mascotサーチ)することによりタンパク質を同定することができる。試薬組成物中のアミノ酸配列由来の断片ペプチドの配列がデータベースに登録されているアミノ酸配列とユニークな配列として一致する場合、対象酵素を含んでいるとみなせる。
また、第1および第2試薬組成物中の酵素はたとえば以下の定量でも同定できる。すなわち、標的酵素をトリプシンで分解することにより得られる断片ペプチドのうち標的酵素に特異的で、かつ質量分析において強いシグナルが得られるペプチドを定量対象ペプチドとして選択する。定量対象ペプチドについて、非標識のペプチドおよび内部標準としての安定同位体で標識したペプチドを化学合成によって作製する。標的酵素を含む試料をトリプシンによって完全に消化し、既知量の安定同位体標識ペプチドを添加して、HPLCに接続した三連四重極型質量分析計(LC-MS/MS)によりMRMモード(多重反応モニタリングモード)で測定する。定量対象ペプチドの非標識ペプチドと既知量の安定同位体標識ペプチドの混合液を同様に測定して内部標準の濃度比とピーク面積比の検量線を作成し、試料中の定量対象ペプチドの絶対量を計算することにより標的酵素を定量することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下の各例において、吸収スペクトルの測定には、HITACHI社製のU-3900を用いた。
まず、試薬組成物に用いた成分を説明する。
以下の例において、第1および第2の試薬組成物は、いずれも、PIPES緩衝液(50mmol/L、pH7.0)に表1または表2に記載の各成分を各表に記載の濃度で配合することにより調製した。
表1および表2に記載の成分を以下に示す。
TOOS:N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン
4-AA:4-アミノアンチピリン
FeK:フェロシアン化カリウム
POD:ペルオキシダーゼ
B-Cat:カタラーゼ
NaN3:アジ化ナトリウム
(調製例1)
(実施例1-1~1-8、比較例1-1~1-4)
表1に記載の配合組成にて、各例の第1試薬組成物を調製した。
ここで、各例の第1試薬組成物は、表1に記載の成分に加えて、以下の成分を共通して含むものとした。
(第1試薬組成物の共通成分)
コレステロールエステラーゼ:0.6U/mL
コレステロールオキシダーゼ:0.5U/mL
スフィンゴミエリナーゼ:2.7U/mL
ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(花王社製):0.3%(w/v)
得られた第1試薬組成物を37℃にて1週間または2週間加速保存し、保存中の自然発色について波長320nm~480nmの吸収スペクトルを測定した。表1に各例で得られた試薬組成物の吸光度および吸光度比をあわせて示す。
また、図1(a)~図1(f)および図2(a)~図2(f)は、各例で得られた第1試薬組成物の調製直後ならびに37℃にて1週間もしくは2週間加速保存した後の吸収スペクトルを示す図である。
Figure 0007427522000001
(調製例2)
(実施例2-1~2-9、比較例2-1~2-4)
表2に記載の配合組成にて、各例の第2試薬組成物を調製した。
ここで、各例の第2試薬組成物は、表2に記載の成分に加えて、以下の成分を共通して含むものとした。
(第2試薬組成物の共通成分)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王社製):1.0%(w/v)
得られた第2試薬組成物を37℃にて1週間または2週間加速保存し、保存中の自然発色について波長320nm~480nmの吸収スペクトルを測定した。表2に各例で得られた試薬組成物の吸光度および吸光度比をあわせて示す。
また、図3(a)~図3(f)および図4(a)~図4(g)は、各例で得られた第2試薬組成物の調製直後ならびに37℃にて1週間もしくは2週間加速保存した後の吸収スペクトルを示す図である。
Figure 0007427522000002
(実施例3-1~3-4、比較例3-1~3-7)
各例における第1および第2の試薬組成物を37℃、2週間の条件で保存し、加速試験をおこなった。
保存後の第1および第2試薬組成物を表3~表5に示した組み合わせで用い、sdLDLの定量を正確におこなうことができるかどうかを評価した。評価結果を表3~表5にあわせて示す。
(カタラーゼ系)
表3は、カタラーゼでsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去するように第1および第2試薬組成物を組み合わせた測定系の結果である。
各測定系において、キャリブレーション吸光度を、以下の方法で測定した。ここで、キャリブレーション吸光度とは、sdLDL-C濃度が既知の標準物質を測定した場合の測定波長における吸光度である。
すなわち、sdLDL-C濃度が41mg/dLである標準物質およびsdLDL-Cが存在しないブランク物質である生理食塩水について、sdLDL-C濃度をそれぞれ以下の方法で3回測定し、主波長600nmの吸光度から副波長700nmの吸光度を差し引いた吸光度差を求めた。そして標準物質の吸光度差の平均値からブランク吸光度差の平均値を差し引いて、各例のキャリブレーション吸光度を算出した。
具体的には、表3に記載の各例について、以下の手順でsdLDL-C濃度の測定および評価をおこなった。
(sdLDL-C濃度の測定および評価方法)
1.上記標準物質および生理食塩水の試料3.0μLに対し、各例の第1試薬組成物を150μL加え、37℃、5分作用させた。
2.上記2.で得られた試料に各例の第2試薬組成物を50μL加え、37℃、5分作用させた。
3.上記2.で得られた試料について、第2試薬組成物が入る直前、および第2試薬組成物添加5分後に波長600nmおよび700nmにおける吸光度を測定し、(第2試薬組成物添加5分後の600nm吸光度-700nm吸光度)-(第2試薬組成物が入る直前の600nm吸光度-700nm吸光度)より前述のキャリブレーション吸光度を算出した。
4.一方、sdLDL-C濃度の測定結果が41±2.1mg/dLである場合には「○」、上記範囲外である場合には「×」として各例の測定精度を評価した。
Figure 0007427522000003
表3に示した各例より、カタラーゼでsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去する測定系では、sdLDL-Cを正確に測定できるキャリブレーション吸光度範囲が、73mABS以上120mABS以下となった。ここで、キャリブレーション吸光度範囲は、sdLDL-Cを定量する際の正確度を表す指標である。
また、第1および第2試薬組成物のR1がいずれも特定の範囲にある実施例においては、sdLDL-Cを正確に測定することができた。
(無色キノン系)
表4は、第1試薬組成物がペルオキシダーゼを含む構成として無色キノンを形成してsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去するように第1および第2試薬組成物を組み合わせた測定系の結果である。
表4に記載の各例について、表3における前述の方法に準じてsdLDL-C濃度の測定および評価をおこなった。
Figure 0007427522000004
表4に示した各例より、無色キノンでsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去する測定系では、sdLDL-Cを正確に測定できるキャリブレーション吸光度範囲が150mABS以上195mABS以下となった。
また、第1および第2試薬組成物のR1がいずれも特定の範囲にある実施例においては、sdLDL-Cを正確に測定することができた。
(ハイブリッド消去系)
表5は、第1試薬組成物がペルオキシダーゼを含む構成として無色キノンを形成してsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去するとともに、カタラーゼでsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去するハイブリッド消去系となるよう第1および第2試薬組成物を組み合わせた結果である。
表5に記載の各例について、表3における前述の方法に準じてsdLDL-C濃度の測定および評価をおこなった。
Figure 0007427522000005
表5に示した各例より、カタラーゼおよび無色キノンでsdLDL以外のリポタンパク質コレステロールを消去する測定系では、sdLDL-Cを正確に測定できるキャリブレーション吸光度範囲が110mABS以上160mABS以下となった。
また、第1および第2試薬組成物のR1がいずれも特定の範囲にある実施例においては、sdLDL-Cを正確に測定することができた。

Claims (14)

  1. 試料中のsmall dense LDLコレステロール(sdLDL-C)の分別に用いられるキットであって、
    コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する1または2以上の酵素を含む第1試薬組成物と、
    前記sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物と、
    を含み、
    前記第1試薬組成物が鉄錯体を含み、
    前記第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上3.00以下であり、
    前記第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上8.00以下である、キット。
  2. 第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、請求項1に記載のキット。
  3. 前記第1試薬組成物が、カタラーゼ活性を有する1または2以上の酵素を含む、請求項1または2に記載のキット。
  4. 前記第1試薬組成物が、small dense LDL(sdLDL)以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を含む、請求項1乃至3いずれか1項に記載のキット。
  5. 第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載のキット。
  6. 前記第2試薬組成物が、small dense LDL(sdLDL)に作用する界面活性剤を含む、請求項1乃至5いずれか1項に記載のキット。
  7. 前記第1試薬組成物が、以下の条件1~3の1つまたは2つの条件を満たすとともに、
    前記第2試薬組成物が、前記条件1~3のうち、前記1つまたは2つの条件は満たさず、他のすべての条件を満たす、請求項1乃至6いずれか1項に記載のキット。
    条件1:カップラーを含む
    条件2:前記鉄錯体を含む
    条件3:ペルオキシダーゼ活性を有する1または2以上の酵素を含む
  8. 試料中のsmall dense LDLコレステロール(sdLDL-C)を定量する方法であって、
    コレステロールエステラーゼ活性、コレステロールオキシダーゼ活性およびスフィンゴミエリナーゼ活性からなる群から選択される1または2以上の活性を有する1または2以上の酵素を含む第1試薬組成物を前記試料に作用させる工程と、
    第1試薬組成物を前記試料に作用させる前記工程の後、前記sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程と、
    を含み、
    前記第1試薬組成物が鉄錯体を含み、
    前記第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上3.00以下であり、
    前記第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の吸収スペクトルにおいて、波長400nmにおける吸光度をABS400とし、450nmにおける吸光度をABS450としたとき、ABS400/ABS450で表される比R1が、0.90以上8.00以下である、方法。
  9. 第1試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第1試薬組成物が、カタラーゼ活性を有する1または2以上の酵素を含む、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記第1試薬組成物が、前記sdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を含む、請求項8乃至10いずれか1項に記載の方法。
  12. 第2試薬組成物を37℃にて2週間保存した後の前記吸収スペクトルにおいて、波長360nmにおける吸光度をABS360としたとき、ABS360/ABS400で表される比R2が、0.90以上2.50以下である、請求項8乃至11いずれか1項に記載の方法。
  13. 前記第2試薬組成物が、前記sdLDLに作用する界面活性剤を含む、請求項8乃至12いずれか1項に記載の方法。
  14. 前記第1試薬組成物が、以下の条件1~3の1つまたは2つの条件を満たすとともに、
    前記第2試薬組成物が、前記条件1~3のうち、前記1つまたは2つの条件は満たさず、他のすべての条件を満たす、請求項8乃至13いずれか1項に記載の方法。
    条件1:カップラーを含む
    条件2:前記鉄錯体を含む
    条件3:ペルオキシダーゼ活性を有する1または2以上の酵素を含む
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