JP7437263B2 - 試薬組成物およびキット - Google Patents

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本発明は、試薬組成物およびキットに関する。
LDLコレステロールの測定方法に関する技術として、特許文献1(特開2000-325097号公報)に記載のものがある。同文献には、リポ蛋白質を含有する試料に、酵素と第1界面活性剤を加えることによりHDLコレステロールを選択的に酵素反応させる第1工程、次いで、第2界面活性剤を加えることにより、LDLコレステロールを選択的に酵素反応させる第2工程、及び第1または第2工程において、酵素との反応により消費される化合物または生成される化合物を測定することにより、HDLコレステロール及び/またはLDLコレステロールを測定することを含むリポ蛋白質コレステロールの測定方法について記載されており、かかる方法では、反応液の濁度を上昇させるリポ蛋白質凝集剤を必要とせず、使用する酵素に制限がない上、LDLコレステロールを反応させる工程で新たに別の酵素を加える必要もなく、簡便でかつ安価にLDLコレステロールを定量することができ、また必要に応じてHDLコレステロールを光学的な測定を妨害するリポ蛋白質の凝集を形成することなく正確かつ安価に測定することができる測定方法及び測定試薬を提供することができるため、特に動脈硬化症等の臨床検査の分野に有用であるとされている。
特開2000-325097号公報
本発明者らは、LDLコレステロールの中でも、small dense LDLコレステロール(sdLDL-C)を測定することを検討した。すると、特許文献1に記載の技術においては、測定の正確性の点で改善の余地があることが見出された。
本発明は、正確性に優れるsdLDL-Cの測定技術を提供するものである。
本発明者らは、sdLDL-Cの定量の正確性を向上すべく検討した。その結果、sdLDL-Cの定量に用いる試薬組成物の接触角を特定の範囲とすることにより、正確性に優れるsdLDL-Cの定量が可能となることを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、以下の試薬組成物およびキットが提供される。
[1] 第1試薬組成物を試料に作用させる工程と、
第1試薬組成物を前記試料に作用させる前記工程の後、small dense LDLコレステロール(sdLDL-C)を定量するための第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程と、
を含む、前記試料中の前記sdLDL-Cを定量する方法の前記第1試薬組成物として用いられる試薬組成物であって、
アニオン界面活性剤を含み、
コレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性を有するとともに、ペルオキシダーゼ活性およびカタラーゼ活性からならる群から選択される少なくとも1つの活性を有し、
以下の方法1により測定される、当該試薬組成物とポリエチレンテレフタレート(PET)基材との接触角が、65°以上77°以下である、試薬組成物。
(方法1)
(1)PET基材:PET(非晶性ポリエステル)樹脂板、透明、厚さ2mm
(2)前処理:未使用のPET基材の表面を70%エタノール水溶液で拭き取る。拭き取り後、5分以内に測定を実施する。
(3)測定方法および条件:液滴法、θ/2法、温度:15~25℃、シリンジ:テフロン(登録商標、以下同じ。)コート18G、滴下方法、滴下量:2μL、滴下後1秒後に測定する。
(4)接触角の算出:5回測定し、5回の平均値を求める。
[2] 当該試薬組成物が、アスコルビン酸オキシダーゼ活性をさらに有する、[1]に記載の試薬組成物。
[3] 当該試薬組成物がスフィンゴミエリナーゼ活性を有しない、[1]または[2]に記載の試薬組成物。
[4] 前記アニオン界面活性剤が硫酸エステル塩を含む、[1]乃至[3]いずれか1項に記載の試薬組成物。
[5] 当該試薬組成物が、水素供与体およびカップラーのいずれか一方を含む、[1]乃至[4]いずれか1項に記載の試薬組成物。
[6] 以下の方法2-1により測定される、当該試薬組成物の5℃における粘度が2.0mPa・s以下である、[1]乃至[5]いずれか1項に記載の試薬組成物。
(方法2-1)
(1)装置:EMS(Electro Magnetically Spinning Viscometer)粘度計
(2)測定方法および条件:測定方式:電磁スピニング法、モーター回転数:1000rpm、保持時間:600秒、測定温度:5℃、シーケンスループ:1回、試料:500μL
(3)粘度の算出:5回測定を実施し、5回の平均値を算出する。
[7] 以下の方法2-2により測定される、当該試薬組成物の37℃における粘度が0.89mPa・s以下である、[1]乃至[6]いずれか1項に記載の試薬組成物。
(方法2-2)
(1)装置:EMS(Electro Magnetically Spinning Viscometer)粘度計
(2)測定方法および条件:測定方式:電磁スピニング法、モーター回転数:1000rpm、保持時間:600秒、測定温度:37℃、シーケンスループ:1回、試料:500μL
(3)粘度の算出:5回測定を実施し、5回の平均値を算出する。
[8] [1]乃至[7]いずれか1項に記載の試薬組成物からなる第1試薬組成物と、
前記sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物と、
を含む、前記試料中の前記sdLDL-Cの定量に用いられるキット。
[9] 前記第2試薬組成物が、ペルオキシダーゼ活性を有する、[8]に記載のキット。
[10] 前記第1試薬組成物が、水素供与体およびカップラーのいずれか一方を含み他方を含まず、
前記第2試薬組成物が、前記水素供与体および前記カップラーの前記一方を含まず前記他方を含む、請求項[8]または[9]に記載のキット。
本発明によれば、正確性に優れるsdLDL-Cの測定技術を提供することができる。
sdLDL-Cの測定値の正確性の評価結果を示す図である。 sdLDL-Cの測定値の正確性の評価結果を示す図である。 sdLDL-Cの測定値の正確性の評価結果を示す図である。 sdLDL-Cの測定値の正確性の評価結果を示す図である。
以下、実施の形態について説明する。本実施形態において、測定試薬等の組成物は、各成分を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。また、本明細書において、数値範囲の「x~y」は「x以上y以下」を表し、下限値xおよび上限値yをいずれも含む。
はじめに、リポタンパク質について説明する。
リポタンパク質は、大きくVery Low Density Lipoprotein(VLDL)、Low Density Lipoprotein(LDL)およびHigh Density Lipoprotein(HDL)の分画に分けられ、LDLはさらにsmall dense LDL(sdLDL)とそれ以外の亜分画に分けられる。sdLDLを小粒子LDL、small LDL(SLDL)、dense LDL、small, dense LDLと呼ぶこともあり、またそれ以外のLDLをlarge LDL(L LDL)、Light LDLと呼ぶこともある。
これらのリポタンパク質の分画および亜分画は、粒子サイズまたは比重により区別できる。
リポタンパク質の粒子サイズの直径については、報告者により異なるが、たとえば、VLDLが30nm~80nm(または30nm~75nm)であり、LDLが22nm~28nm(または19nm~30nm)であり、HDLが7~10nmである。
リポタンパク質の比重については、たとえば、VLDLが1.006以下、LDLが1.019~1.063、HDLが1.063~1.21である。
リポタンパク質のうち、LDL粒子直径は、たとえばグラジエントゲル電気泳動(GGE)(JAMA, 260, p.1917-21, 1988)、NMR(HANDBOOK OF LIPOPROTEIN TESTING 2ndEdition、Nader Rifai他編、p.609-623、AACC PRESS:TheFats of Life Summer 2002、LVDD 15 YEAR ANNIVERSARY ISSUE、Volume AVI No.3、p.15-16)により測定できる。また、比重は、たとえば超遠心分離による分析(Atherosclerosis, 106, p.241-253, 1994: Atherosclerosis, 83, p.59, 1990)に基づいて決定できる。
本実施形態において、測定しようとするsdLDLは、一般的にはLDL画分のうち直径が約22.0~約25.5nmの亜分画、または、比重1.040~1.063の亜分画を指す。
LDLを大きさにより亜分画に分けているのは、LDLのうち粒子径が小さいものが動脈硬化惹起性が高く、LDLの中でもより悪性度が高いので、LDLの中でも小さいものを分別測定する必要があったからである。LDL内で直径分布や比重分布は連続しており、比重がどの程度以上のものがとりわけ悪性度が高いというように明確に区別できるものではない。従って、上記の比重1.040~1.063という値もsdLDLの特性として確立したものではなく、広く用いられており確立した値といえるLDLの比重範囲1.019~1.063を中央点で分けた高比重側の値である。たとえば、sdLDLの比重について、別の報告では1.044~1.060に分画される(Atherosclerosis:106 241-253 1994)。sdLDLの比重をどの範囲にするかは、報告者により若干の違いがあるが、いずれもその範囲で分別した場合のsdLDLの存在が臨床的な悪性度と関連している。
本明細書において、sdLDLという場合、具体的には、LDLのうち比重が大きいものであって、臨床的に動脈硬化惹起性がそれ以外のLDLよりも大きいものをいう。また、sdLDLは、好ましくはLDLの比重範囲のうち中央点より高い比重範囲に属するもの、より好ましくは比重1.044~1.063の範囲に属するLDLをいう。また、LDL以外のリポタンパク質という場合、VLDLまたはHDLを指し、さらにカイロミクロン、IDL(intermediate density lipoprotein)またはVHDL(very high density lipoprotein)を含めることもある。
(試薬組成物(第1試薬組成物))
本実施形態において、試薬組成物は、第1試薬組成物を試料に作用させる工程と、第1試薬組成物を試料に作用させる工程の後、small dense LDLコレステロール(sdLDL-C)を定量するための第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程と、を含む、試料中のsdLDL-Cを定量する方法の第1試薬組成物として用いられる試薬組成物である。
以下、第1試薬組成物として用いられる試薬組成物を、単に「第1試薬組成物」とも呼ぶ。
第1試薬組成物は、アニオン界面活性剤を含み、コレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性を有するとともに、ペルオキシダーゼ活性およびカタラーゼ活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性を有する。そして、以下の方法1により測定される、第1試薬組成物とポリエチレンテレフタレート(PET)基材との接触角が、65°以上77°以下である。
(方法1)
(1)PET基材:PET(非晶性ポリエステル)樹脂板、透明、厚さ2mm
(2)前処理:未使用のPET基材の表面を70%エタノール水溶液で拭き取る。拭き取り後、5分以内に測定を実施する。
(3)測定方法および条件:液滴法、θ/2法、温度:15~25℃、シリンジ:テフロンコート18G、滴下方法、滴下量:2μL、滴下後1秒後に測定する。
(4)接触角の算出:5回測定し、5回の平均値を求める。
上記(2)では、PET基材の塵などを測定前に拭き取る。静電気は接触角に影響するため、極力摩擦などが発生しないよう拭き取り、その後5分以内に測定を実施する。
本実施形態において、接触角は、具体的にはたとえば協和界面化学社製DMo-901、701、601、501、DMC-MC3等により測定される静的接触角である。
本発明者らは、sdLDL-Cの測定試薬のうち、第1試薬組成物とPET基材との屈折率を特定の範囲とすることにより、正確性に優れるsdLDL-Cの定量が可能となることを新たに見出した。この理由は必ずしも明らかでないが、次のように考えられる。sdLDL-Cの定量においては、たとえば、第1試薬組成物は試薬ボトル(PETなど)に入った状態で生化学自動分析装置にセットされ、測定される。測定の際には試薬プローブが一定量の第1試薬組成物を吸い込み反応セル内に吐出する。sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを消去する工程に用いる第1試薬組成物の接触角(ぬれ性)を制御することにより試薬の液離れを適切に制御できるため、試薬ボトルへの試薬成分の吸着、プローブからの吐出、反応セル内での吸着などを制御することができ、その結果、より正確にsdLDL-Cを測定できると考えられる。
試薬組成物とPET基材との接触角は、sdLDL-C測定の正確性をより高める観点から、65°以上であり、好ましくは66°以上、より好ましくは67°以上である。
また、sdLDL-C測定の正確性をより高める観点から、試薬組成物とPET基材との接触角は、77°以下であり、好ましくは76°以下、より好ましくは75°以下である。
本実施形態では、たとえば第1試薬組成物に含まれる各成分の種類、組み合わせ、配合量等を適切に選択することにより、PET基材との接触角を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば界面活性剤の種類や配合量、タンパク質の種類や配合量を調整すること等が、PET基材との接触角を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
第1試薬組成物は、アニオン界面活性剤を含むとともに、コレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性を有する組成物であるため、試料に第1試薬組成物を添加したときに、たとえば、試料中のsdLDL以外のリポタンパク質に作用して消去することができる。また、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを反応系外に導くことができる。
ここで、「界面活性剤が作用(反応)する」とは、界面活性剤がリポタンパク質を分解し、リポタンパク質中のコレステロールが遊離することをいう。たとえば、「sdLDL以外のリポタンパク質に作用(反応)する界面活性剤」という場合、界面活性剤がsdLDLに全く作用しないことは要求されず、主にsdLDL以外のリポタンパク質に作用すればよい。「消去」とは、被検体試料中の物質を分解し、その分解物が次の工程において検出されないようにすることを意味する。すなわち、「sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを消去する」とは、被検体試料中のsdLDL以外のリポタンパク質を分解し、その分解産物であるこれらリポタンパク質中のコレステロールがその後の工程で検出されないようにすることをいう。
「反応系外に導く」とは、具体的には、HDLやVLDL、L LDLなどに含まれるコレステロールがsdLDL-Cの定量に影響を及ぼさないように、HDL、VLDL、L LDLなどに含まれるコレステロールを消去、凝集させたり、後の工程で反応しないよう阻害したりすることをいう。
また、「コレステロールエステラーゼ活性を有する」とは、具体的には、コレステロールエステラーゼが存在し、コレステロールエステラーゼが触媒する反応が起こり得ることをいう。コレステロールオキシダーゼ活性等の他の酵素活性についても同様である。
以下、第1試薬組成物に含まれる成分をさらに具体的に説明する。
(アニオン界面活性剤)
第1試薬組成物は、少なくともアニオン界面活性剤を含む。アニオン界面活性剤は、具体的には、sdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤であり、より好ましくはsdLDL以外のリポタンパク質に作用するとともにsdLDLに作用しない界面活性剤である。
アニオン界面活性剤として、具体的には、硫酸塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、リン酸塩型アニオン界面活性剤、カルボン酸型アニオン界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤が挙げられる。
sdLDL-C測定の正確性をより高める観点から、アニオン界面活性剤は、好ましくは硫酸塩型アニオン界面活性剤を含み、より好ましくは硫酸エステル塩を含む。硫酸エステル塩は、具体的には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アミドエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルアミン硫酸エステル塩からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選択される1種または2種以上であり、さらに好ましくはポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩から選択される1種または2種以上である。
他のアニオン界面活性剤については、スルホン酸塩型アニオン界面活性は、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩からなる群から選択される1種または2種以上である。
また、アミノ酸系界面活性剤は、具体的には、アルキルタウリン酸塩等のN-アシルアミノ酸塩型アニオン界面活性剤である。
また、アニオン界面活性剤において、塩を構成するカチオンの具体例として、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;
マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;
アンモニウムが挙げられる。
sdLDL-C測定の正確性をより高める観点から、塩を構成するカチオンは、好ましくはアルカリ金属イオンおよびアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、より好ましくはアルカリ金属イオンであり、さらに好ましくはナトリウムイオンである。
第1試薬組成物中のアニオン界面活性剤の濃度は、アニオン界面活性剤をsdLDL以外のリポタンパク質に安定的に作用させる観点から、第1試薬組成物の全組成に対して、好ましくは0.005%(w/v)以上であり、より好ましくは0.007%(w/v)以上、さらに好ましくは0.009%(w/v)以上、さらにより好ましくは0.010%(w/v)以上である。
また、第1試薬組成物中のアニオン界面活性剤の濃度は、第1試薬組成物の全組成に対して、好ましくは0.05%(w/v)以下であり、より好ましくは0.045%(w/v)以下であり、さらに好ましくは0.04%(w/v)以下、さらにより好ましくは0.035%(w/v)以下、よりいっそう好ましくは0.03%(w/v)以下、さらにまた好ましくは0.028%(w/v)以下である。
なお、第1試薬組成物中のアニオン界面活性剤は、たとえば、IR、NMR、LC-MS等を組み合わせて解析する方法によって同定できる。第1試薬組成物中のアニオン界面活性剤の構造を決定する方法としてはLC-MSMS、NMRを用いて解析する方法が挙げられる。
(酵素)
第1試薬組成物は、コレステロールエステラーゼ(CHE)活性、コレステロールオキシダーゼ(COO)活性を有するとともに、ペルオキシダーゼ(POD)活性およびカタラーゼ活性からなる群から選択される少なくとも1つの活性を有する。これにより、第1試薬組成物をsdLDL以外のリポタンパク質により安定的に作用させそのコレステロールを反応形外に導くことができる。
また、第1試薬組成物は、具体的には、コレステロールエステラーゼ活性を有する酵素とコレステロールオキシダーゼ活性を有する酵素とを含み、さらに、ペルオキシダーゼ活性を有する酵素およびカタラーゼ活性を有する酵素からなる群から選択される少なくとも1つの酵素を含む。第1試薬組成物は、さらに具体的には、コレステロールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼと、ペルオキシダーゼおよびカタラーゼの少なくとも1つと、を含み、好ましくはコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを含む。
コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびカタラーゼとして、それぞれ、たとえば細菌や菌類由来のものや、植物由来のものを用いることができる。
第1試薬組成物のコレステロールエステラーゼ活性は、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールをより安定的に反応系外に導く観点から、好ましくは50U/L以上であり、より好ましくは100U/L以上であり、また、好ましくは400U/L以下であり、より好ましくは350U/L以下、さらにより好ましくは300U/L以下であり、また、たとえば150U/L以下、または、たとえば180U/L以下であってもよい。
同様の観点から、第1試薬組成物のコレステロールオキシダーゼ活性は、好ましくは100U/L以上であり、より好ましくは150U/L以上であり、また、好ましくは800U/L以下であり、より好ましくは750U/L以下、さらにより好ましくは700U/L以下であり、また、たとえば200U/L以下、または、たとえば250U/L以下であってもよい。
第1試薬組成物のペルオキシダーゼ活性は、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールをより安定的に反応系外に導く観点から、好ましくは200U/L以上であり、より好ましくは300U/L以上であり、また、好ましくは3000U/L以下であり、より好ましくは2500U/L以下であり、また、たとえば2000U/L以下であることも好ましい。また、第1試薬組成物のペルオキシダーゼ活性は、たとえば5000U/L以下、または、たとえば4000U/L以下であってもよい。
第1試薬組成物のカタラーゼ活性は、試料に第1試薬組成物を適用した際に生じる過酸化水素を安定的に除去する観点、および、試料中のsdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールをより安定的に反応系外に導く観点から、好ましくは100U/mL以上であり、より好ましくは200U/mL以上であり、また、好ましくは1000U/mL以下であり、より好ましくは800U/mL以下である。
第1試薬組成物のコレステロールオキシダーゼ活性、コレステロールエステラーゼ活性、ペルオキシダーゼ活性およびカラターゼ活性は、それぞれ、たとえば、以下の方法にて測定できる。
コレステロールオキシダーゼ活性の測定では、基質液として6mMコレステロール溶液(イソプロパノールに溶解)を用いる。測定対象を2~4U/mLとなるように希釈液(0.1M リン酸緩衝液、TritonX100、pH7.0)を加え、希釈後の溶液3mLを37℃5分加温後に基質液0.05mLを加える。その後、混合液を37℃で反応させ波長240nm吸光度変化量を測定する。37℃にて反応後、2分から7分までの吸光度変化量を測定し、コレステロールオキシダーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が3U/L以上あれば、測定対象はコレステロールオキシダーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、コレステロールオキシダーゼが含まれているといえる。
コレステロールエステラーゼ活性の測定では、基質(0.04%リノレン酸コレステロール、1%TritonX100、0.6%コール酸ナトリウム溶液)、300U/mLコレステロールオキシダーゼ溶液、酵素希釈液(20mMリン酸緩衝液、0.5mM EDTA・2Na、2mM MgCl2、0.2% 牛血清アルブミン(BSA)、pH7.5)、反応液(0.06% 4-アミノアンチピリン、0.4% フェノール、7.5KU/L ペルオキシダーゼ(POD))を用いる。反応液1.75mLと基質液1.0mLを混合後、37℃で5分加温し、0.1mLコレステロールオキシダーゼ溶液を加える。37℃、2分加温後に希釈液で希釈した測定対象0.1mLを加え、混合液を37℃で反応させ、波長500nmの吸光度変化量を測定する。37℃反応後、0分から3.5分までの吸光度変化量を測定し、コレステロールエステラーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が8U/L以上あれば、測定対象はコレステロールエステラーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、コレステロールエステラーゼが含まれているといえる。
第1試薬組成物のペルオキシダーゼ活性は、たとえば以下の方法で測定される。すなわち、反応液1(1.5mM HDAOS、0.05% TritonX100、50mM リン酸緩衝液、pH7.0)、および、反応液2(5mM 4-アミノアンチピリン、0.05% TritonX100、1% 過酸化水素、50mMリン酸緩衝液、pH7.0)、希釈液(50mM リン酸緩衝液、pH7.0)を用いる。0.3mLの反応液1と希釈液で希釈した測定対象0.08mLを混合し、37℃で5分加温する。その後0.1mLの反応液2を加え、37℃で反応させ、主波長600nm、副波長700nmの吸光度変化量を測定する。37℃反応後、2分から5分までの吸光度変化量を測定しペルオキシダーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が10U/L以上あれば、測定対象はペルオキシダーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、ペルオキシダーゼが含まれているといえる。
第1試薬組成物のカタラーゼ活性は、たとえば以下の方法で測定される。すなわち、カタラーゼ活性測定では基質(0.06%過酸化水素、50mMリン酸緩衝液、pH7.0)を用いる。基質溶液2.0mLを25℃で予備加温後、測定対象0.1mLと混合し、240nmにおける吸光度変化量を測定する。たとえば25℃反応後、0分から3分までの吸光度変化量を測定しカタラーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が50U/L以上あれば、測定対象はカタラーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、カタラーゼが含まれているといえる。
第1試薬組成物は、他の酵素活性をさらに有してもよく、具体的には、アスコルビン酸オキシダーゼ活性およびリポプロテインリパーゼ(LPL)活性からなる群から選択される1または2以上の酵素活性をさらに有してもよい。
また、第1試薬組成物は、たとえばアスコルビン酸オキシダーゼ活性を有する酵素およびリポプロテインリパーゼ活性を有する酵素からなる群から選択される1または2以上の酵素活性を有する酵素を含んでもよく、さらに具体的には、アスコルビン酸オキシダーゼおよびリポプロテインリパーゼからなる群から選択される1または2以上の酵素を含む。
第1試薬組成物は、検体中に共存するアスコルビン酸が測定の正確性に与える影響を回避するという観点から、好ましくはアスコルビン酸オキシダーゼ活性をさらに有し、より好ましくはアスコルビン酸オキシダーゼ活性を有する。
同様の観点から、第1試薬組成物は、好ましくはアスコルビン酸オキシダーゼ活性を有する酵素を含み、より好ましくはアスコルビン酸オキシダーゼを含む。
第1試薬組成物のアスコルビン酸オキシダーゼ活性は、検体中に共存するアスコルビン酸が測定の正確性に与える影響を回避するという観点から、好ましくは0.1U/mL以上であり、より好ましくは0.2U/mL以上であり、また、好ましくは15U/mL以下であり、より好ましくは10U/mL以下である。
第1試薬組成物のアスコルビン酸オキシダーゼ活性は、たとえば以下の方法で測定される。すなわち、アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定では基質(10mMアスコルビン酸溶液、0.1%メタクリン酸)を用いる。緩衝液(100mMジメチルグリチル酸 pH6.5を3.0mLと10mMトリスHCl緩衝液pH8.0)で希釈した測定対象0.25mLを混合し37℃で2分間予備加温後、基質液0.075mLを加え、37℃で反応させ245nmにおける吸光度変化量を測定する。たとえば37℃反応後、0分から3.5分までの吸光度変化量を測定しアスコルビン酸オキシダーゼ活性を算出する。たとえば吸光度変化量が10U/L以上あれば、測定対象はアスコルビン酸オキシダーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、「アスコルビン酸オキシダーゼ」が含まれているといえる。
第1試薬組成物のリポプロテインリパーゼ活性は、各種リポタンパク質に対する作用を好ましく調整する観点から、好ましくは2U/mL以上であり、より好ましくは50U/mL以上であり、また、好ましくは300U/mL以下であり、より好ましくは200U/mL以下である。
第1試薬組成物のリポプロテインリパーゼ活性は、たとえば以下の方法で測定される。すなわち、リポプロテインリパーゼ活性の測定では、基質液としてオリーブ油エマルジョン溶液(オリーブ油5g、エタノール2mLに5.0%TritonX100 5mLを加え20分間超音波処理し、その後4%BSA 25mL、0.1M リン酸緩衝液pH7.0 15mLを加え室温で1~2時間攪拌したもの)を用いる。37℃、5分間予備加温した基質液に、0.9~1.6U/mLとなるように希釈液(20mMリン酸緩衝液、2mM MgCl2、0.5mM EDTA-2Na、pH7.5)を加え、希釈した検体0.2mLを加え、37℃15分加温後に反応停止液(0.2Mトリクロル酢酸)2.0mLを加える。その後、濾過(東洋濾紙No. 131またはWhatman No. 42)を行い、濾液を回収する。濾液0.05mLに発色試薬(50mM MES-NaOH緩衝液200mL、5%TritonX100 4mL、N,N-dimethyl-m-toluidine 40μL、4アミノアンチピリン4mg、ATP・2Na・3H2O 24.2mg、MgCl2・6H2O 40.7mg、グリセロールキナーゼ 200U、Lαグリセロリン酸オキシダーゼ 500U、ペルオキシダーゼ 300U)3.0mLを加え、混合液を37℃で15分間反応させ波長545nm吸光度を測定すし、リポプロテインリパーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が3U/L以上あれば、測定対象はリポプロテインリパーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、リポプロテインリパーゼが含まれているといえる。
リポプロテインリパーゼはリポタンパク質を分解する能力を有する酵素であれば限定されず、たとえば動物または微生物由来のリポプロテインリパーゼを用いることができる。
また、第1試薬組成物は、測定対象物であるsdLDL-Cを、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを遊離させて反応系外に導く工程(後述の第1工程)中で過剰に消去しない観点から、好ましくはスフィンゴミエリナーゼ活性を有しない。同様の観点から、第1試薬組成物は、好ましくはスフィンゴミエリナーゼ活性を有する酵素を実質的に含まず、より好ましくはスフィンゴミエリナーゼを実質的に含まない。
ここで、スフィンゴミエリナーゼ活性を有しないとは、具体的には、以下の方法で測定されるスフィンゴミエリナーゼ活性が2U/L未満であることをいい、より好ましくは1U/L以下、さらに好ましくは0.1U/L以下、さらにより好ましくは0U/Lである。
また、スフィンゴミエリナーゼ活性を有する酵素およびスフィンゴミエリナーゼを実質的に含まないとは、具体的には、第1試薬組成物において後述の方法で同定されるこれらの酵素が検出限界以下であることをいう。
第1試薬組成物のスフィンゴミエリナーゼ活性は、たとえば以下の方法で測定される。すなわち、反応液(0.008% スフィンゴミエリン、0.05% TritonX100溶液、10U/mL アルカリ性フォスファターゼ、10U/mL コレステロールオキシダーゼ、2U/mL ペルオキシダーゼ、0.02% 4-アミノアンチピリン、0.02% TODB混合液)、反応停止液(1% ドデシル硫酸ナトリウム溶液)、希釈液(10mM トリス緩衝液、0.1% TritonX100、pH8.0)を用いる。反応液0.08mLと希釈液で希釈した測定対象0.003mLを混合し37℃で5分加温後に反応停止液0.16mLを加える。反応停止後に主波長546nm、副波長700nmの吸光度変化量を測定し、スフィンゴミエリナーゼ活性を算出する。たとえば、吸光度変化量が2U/L以上あれば、測定対象はスフィンゴミエリナーゼ活性が存在するといえ、さらに具体的には、スフィンゴミエリナーゼが含まれているといえる。
また、本実施形態において、第1試薬組成物および後述する第2試薬組成物中の酵素は以下の方法でも同定できる。すなわち、まず、標的酵素を含む試料をトリプシンで分解することにより得られた断片ペプチドをハイブリッド型質量分析計で検出する。質量分析計により得られたペプチドの質量、および質量分析計内でアルゴンガスと衝突させることにより得られたフラグメントイオンのスペクトル(MS/MSデータ)をデータベース検索(たとえば、Mascotサーチ)することによりタンパク質を同定することができる。試薬組成物中のアミノ酸配列由来の断片ペプチドの配列がデータベースに登録されているアミノ酸配列とユニークな配列として一致する場合、対象酵素を含んでいるとみなせる。
また、第1試薬組成物および後述する第2試薬組成物中の酵素はたとえば以下の定量でも同定できる。すなわち、標的酵素をトリプシンで分解することにより得られる断片ペプチドのうち標的酵素に特異的で、かつ質量分析において強いシグナルが得られるペプチドを定量対象ペプチドとして選択する。定量対象ペプチドについて、非標識のペプチドおよび内部標準としての安定同位体で標識したペプチドを化学合成によって作製する。標的酵素を含む試料をトリプシンによって完全に消化し、既知量の安定同位体標識ペプチドを添加して、HPLCに接続した三連四重極型質量分析計(LC-MS/MS)によりMRMモード(多重反応モニタリングモード)で測定する。定量対象ペプチドの非標識ペプチドと既知量の安定同位体標識ペプチドの混合液を同様に測定して内部標準の濃度比とピーク面積比の検量線を作成し、試料中の定量対象ペプチドの絶対量を計算することにより標的酵素を定量することができる。
(その他の成分)
第1試薬組成物は、上述の成分以外の成分を含んでもよい。他の成分として、たとえば、緩衝液、塩、酵素作用を有しないタンパク質、防腐剤、水素供与体、カップラーが挙げられる。
緩衝液の種類は、たとえば適宜選択することができる。緩衝液の具体例として、MOPS(3-モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、PIPES(ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸))緩衝液、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)緩衝液が挙げられる。
緩衝液の濃度は、組成物中の酵素活性を保持する観点、および、試薬の保存安定性向上の観点から、好ましくは1mM以上であり、より好ましくは5mM以上、さらに好ましくは10mM以上であり、また、好ましくは300mM以下であり、好ましくは200mM以下、さらに好ましくは150mM以下、さらにより好ましくは100mM以下である。
塩は、具体的には、pH調整剤、または、イオン強度調整剤として配合される。塩の具体例として、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム塩;水酸化カリウム等のカリウム塩;硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩等の塩基性物質が挙げられる。また、第1試薬組成物が1価の陽イオンおよび2価の陽イオンの少なくとも1つまたはそれらの塩を含むことにより、sdLDLとL LDLの分別がさらに容易となる。
第1試薬組成物中の塩濃度は、pH調整剤、または、イオン強度調整剤としてより安定的に作用させる観点から、第1試薬組成物の全組成に対して、好ましくは0.2g/L以上であり、より好ましくは0.5g/L以上であり、また、好ましくは5g/L以下であり、より好ましくは3g/L以下である。
第1試薬組成物のpHは、組成物中の酵素活性を保持する観点、および、試薬の保存安定性向上の観点から、好ましくは6以上、より好ましくは6.5以上であり、また、好ましくは8以下であり、より好ましくは7.5以下である。
酵素作用を有しないタンパク質の具体例として、BSA等のアルブミンが挙げられる。
第1試薬組成物中のBSA等のアルブミン濃度は、第1試薬組成物中の酵素を安定化させる観点から、またsdLDL以外のリポタンパク質中コレステロールを反応系外に導く第1工程を安定化させる観点から、第1試薬組成物の全組成に対して、好ましくは1g/L以上であり、より好ましくは2g/L以上であり、また、好ましくは20g/L以下であり、より好ましくは10g/L以下である。
第1試薬組成物は、好ましくは水素供与体およびカップラーのいずれか一方を含む。このとき、水素供与体およびカップラーのいずれか一方は、第1工程でsdLDL以外のリポタンパク質中コレステロールを反応系外に導くために使用される。さらに具体的には、sdLDL以外のリポタンパク質中コレステロールにコレステロールエステラーゼやコレステロールオキシダーゼを作用させ、発生した過酸化水素をペルオキシダーゼの存在下で無色キノンに転化させるために水素供与体およびカップラーのいずれか一方が用いられる。
水素供与体の具体例として、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(MAOS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOPS)、N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(HDAOS)、N-(3-スルホプロピル)アニリン(HALPS)、N-(3-スルホプロピル)-3-メトキシ-5-アニリン(HMMPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-4-フルオロ-3,5-ジメトキシアニリン(FDAOS)、N-エチル-N-(3-メチルフェニル)-N'-サクシニルエチレンジアミン(EMSE)等のアニリン誘導体が挙げられる。
第1試薬組成物中の水素供与体の試薬中濃度は、sdLDL以外のリポタンパク質中コレステロールを反応系外に導く観点から、好ましくは1mM以上であり、より好ましくは1.5mM以上であり、また、好ましくは5mM以下であり、より好ましくは3mM以下である。
また、水素供与体が後述の第2試薬組成物で用いられる場合、カップリング反応に用いるカップラーが第1試薬組成物中に用いられる。カップラーとしては、たとえば、4-アミノアンチピリン、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン等を用いることができるが、これらに限定されない。
次に、第1試薬組成物の物性を説明する。
第1試薬組成物の性状は、具体的には液体である。
第1試薬組成物の5℃における粘度は、測定の正確性向上の観点から、第1試薬組成物の5℃における粘度は、たとえば3.0mPa・s以下であってよく、好ましくは2.0mPa・s以下であり、より好ましくは1.9mPa・s以下である。
また、第1試薬組成物の5℃における粘度は、たとえば1.4mPa・s以上であってよく、また、たとえば1.5mPa・s以上であってもよい。
第1試薬組成物の37℃における粘度は、測定の正確性向上の観点から、第1試薬組成物の5℃における粘度は、好ましくは0.89mPa・s以下であり、より好ましくは0.87mPa・s以下、さらにより好ましくは0.85mPa・s以下であり、また、0.80mPa・s以下または0.75mPa以下であることも好ましい。
また、第1試薬組成物の37℃における粘度は、たとえば0.5mPa・s以上であってよい。
ここで、各温度における第1試薬組成物の粘度は、以下の方法2により測定される。方法2において、測定温度を5℃とするのが方法2-1であり、37℃とするのが方法2-2である。
(方法2)
(1)装置:EMS(Electro Magnetically Spinning Viscometer)粘度計
(2)測定方法および条件:測定方式:電磁スピニング法、モーター回転数:1000rpm、保持時間:600秒、測定温度:5℃(方法2-1)および37℃(方法2-2)、シーケンスループ:1回、試料:500μL
(3)粘度の算出:5回測定を実施し、5回の平均値を算出する。
本実施形態において、粘度は、たとえば京都電子工業社製EMS-1000等により測定される。
本発明者らは、またsdLDL-Cの測定試薬のうち、第1試薬組成物の粘度を特定の範囲とすることにより、さらに正確性に優れるsdLDL-Cの定量が可能となることを新たに見出した。この理由は必ずしも明らかでないが、次のように考えられる。sdLDL-Cの定量においては、測定の際には試薬プローブが一定量の第1試薬組成物を吸い込み反応セル内に吐出する。sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを消去する工程に用いる第1試薬組成物の粘度が高すぎる場合、粘性により吐出量が変わり消去量が変動する可能性があるが、粘度を的確に制御することにより試薬の液離れを適切に制御できるため、その結果、より正確にsdLDL-Cを測定できると考えられる。
本実施形態において、第1試薬組成物は、特定の成分を含むとともに接触角が特定の範囲にあるため、sdLDL-Cの定量に好適に用いることができ、sdLDL-Cの測定の正確性を優れたものとすることができる。
たとえば、第1試薬組成物は、後述する第2試薬組成物と組み合わせてsdLDL-Cの定量に用いられる。
(キット)
本実施形態において、キットは、試料中のsdLDL-Cの定量に用いられるものであり、上述の第1試薬組成物と、sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物を含む。
また、キットは、具体的には2以上の工程を含むsdLDL-Cの定量方法に用いられる。このとき、第1および第2試薬組成物は、それぞれ異なる工程に用いられ、好ましくは第1および第2試薬組成物の順に用いられる。
以下、第2試薬組成物の構成をさらに具体的に説明する。
(第2試薬組成物)
第2試薬組成物は、具体的には、sdLDL-Cを定量するための試薬組成物である。第2試薬組成物の成分は、第1試薬組成物の構成によって異なるが、sdLDL-Cを定量できる配合組成であればよく、公知の物質を用いることができる。
第2試薬組成物に含まれる成分の具体例として、酵素、緩衝液、塩、界面活性剤、酵素作用を有しないタンパク質、防腐剤、ならびに、水素受供与体およびカップラーのいずれか一方が挙げられる。
また、キットの好ましい構成においては、第1試薬組成物が、水素供与体およびカップラーのいずれか一方を含み他方を含まず、第2試薬組成物が、水素供与体およびカップラーの一方を含まず他方を含む。
酵素として、たとえば、ペルオキシダーゼが挙げられる。また、第2試薬組成物は、たとえばペルオキシダーゼ活性を有する。第2試薬組成物のペルオキシダーゼ活性は、第2工程でsdLDL-Cを正確に測定する観点から、好ましくは500U/L以上であり、より好ましくは1000U/L以上であり、また、好ましくは10000U/L以下である。ただし、第1試薬組成中にペルオキシダーゼ活性が含まれる場合は、第2工程にもペルオキシダーゼ活性が持ち越されるため、第2試薬中の濃度を減量する、あるいは含まなくすることもできる。
緩衝液および塩の種類は、たとえば第2試薬組成物に含まれる酵素の種類によって適宜選択することができる。緩衝液の具体例として、第1試薬組成物について前述したものが挙げられる。
第2試薬組成物のpHは、組成物中の酵素活性を保持する観点、および、試薬の保存安定性向上の観点から、好ましくは6以上、より好ましくは6.5以上であり、また、好ましくは8以下であり、より好ましくは7.5以下である。
界面活性剤として、たとえばsdLDLに作用する界面活性剤が挙げられる。また、第2試薬組成物は、sdLDL-Cを安定的に定量する観点から、好ましくはsdLDLに作用する界面活性剤を含む。
sdLDLに作用する界面活性剤は、sdLDLのみに作用する界面活性剤等のsdLDLに選択的に作用する界面活性剤であってもよいし、sdLDL以外のリポタンパク質にも作用する界面活性剤またはすべてのリポタンパク質に作用する界面活性剤であってもよい。
第2試薬組成物中の界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン誘導体をあげることができ、また、市販の総コレステロール測定用試薬等に用いられている界面活性剤を使用することができる。かかる界面活性剤として、たとえば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえば、エマルゲン909(花王社製)、Triton X-100)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(たとえばエマルゲン707、エマルゲン709(以上、花王社製))が挙げられる。
第2試薬組成物中の界面活性剤の濃度は、第2試薬組成物添加後の混合溶液に対して、sdLDLに安定的に作用させる観点から、好ましくは0.01%(w/v)以上であり、より好ましくは0.02%(w/v)以上、さらに好ましくは0.03%(w/v)以上である。
また、同様の観点から、第2試薬組成物中の界面活性剤の濃度は、好ましくは2.0%(w/v)以下であり、より好ましくは1.0%(w/v)以下である。
第2試薬組成物がカップラーを含むとき、カップラーは、好ましくは4-アミノアンチピリン(4-AA)、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾンからなる群から選択される1または2以上の化合物である。
第2試薬組成物中のカップラーの濃度は、第2試薬組成物添加後の反応液全組成に対して、sdLDLに安定的に作用させる観点から、好ましくは0.5mM以上であり、より好ましくは1.0mM以上であり、また、好ましくは15mM以下であり、より好ましくは10mM以下である。
一方、カップラーが第1試薬組成物中に含まれる場合、水素供与体は好ましくは第2試薬組成物中に含まれる。この場合の水素供与体の試薬中濃度は、第2試薬組成物添加後の反応液全組成に対して、sdLDLに安定的に作用させる観点から、好ましくは3mM以上であり、より好ましくは4.5mM以上であり、また、好ましくは15mM以下であり、より好ましくは12mM以下である。
酵素作用を有しないタンパク質および防腐剤の具体例としては、それぞれ、第1試薬組成物について前述したものが挙げられる。
(方法)
本実施形態における方法は、前述の第1および第2試薬組成物を用いて試料中のsdLDL-Cを定量する方法である。本実施形態における定量方法は、以下の第1工程および第2工程を含む。
(第1工程)前述の第1試薬組成物を試料に作用させる工程
(第2工程)第1工程の後、前述の第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程
第1および第2試薬組成物の構成は前述のとおりである。かかる方法において、本実施形態における第1試薬組成物を用いることにより、正確性に優れた測定をおこなうことができるため、たとえば、sdLDL-Cを高い正確性で安定的に定量することも可能となる。
また、sdLDL-Cの定量方法は、たとえば試料(被検体試料)に第1試薬組成物を添加し反応させ、次いで第2試薬組成物を添加し反応させ、吸光度を測定することによりおこなえばよい。
被検体試料は、たとえば血清、血漿等の血液由来試料であり、好ましくは血清である。
第1および第2工程は、通常、自動分析装置内でおこなわれる。
試料の量、各試薬組成物の量は、たとえば各試薬組成物中の試薬の濃度等を考慮して適宜決定できるが、自動分析装置に適用可能な範囲で行う。たとえば、被検体試料1~10μL、第1試薬50~300μL、第2試薬25~200μLを用いればよい。
以下、各工程をさらに具体的に説明する。
(第1工程)
第1工程では、試料に第1試薬組成物を作用させる。これにより、sdLDL以外のリポタンパク質を消去し、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを遊離させて反応系外に導く。
さらに具体的には、第1工程では、好ましくはsdLDL以外のリポタンパク質に作用する界面活性剤を、コレステロールエステラーゼの存在下で試料に作用させる。そして、リポタンパク質からの遊離により生じたコレステロールをたとえばコレステロールオキシダーゼ等のコレステロールと反応する酵素と反応させて反応系外へ導く。第1工程においては、たとえば、sdLDL以外のリポタンパク質中のコレステロールを消去し反応系外に導く、sdLDL以外のリポタンパク質のコレステロールを凝集させたり、後の工程で反応しないよう阻害したりする等の公知の技術を用いることができる。
第1試薬組成物が電子供与体を有するとき、第1工程において、sdLDL以外のリポタンパク質から生じたコレステロールを消去し反応系外に導く工程は、たとえば、第1試薬組成物におけるコレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性により生じた過酸化水素、ならびに、電子供与体の存在下で無色キノンを形成させることを含んでもよい。
また、第1工程においては、イオン強度調整剤として1価の陽イオンおよび2価の陽イオンの少なくとも1つまたはそれらの塩をさらに反応液に添加して用いることができる。イオン強度調整剤を添加することにより、sdLDLとL LDLを差別化しやすくなる。
(第2工程)
第2工程では、第1工程を経て残存したsdLDL-Cを定量する。第2工程には、従来から用いられているLDLの定量方法を用いることができる。たとえば、LDL凝集剤を添加して形成されたLDL特異的凝集物の含有量を比濁測定によって定量する方法、LDL特異的な抗体による抗原抗体反応を用いる方法、酵素を用い分解生成物を定量する方法等がある。定量方法は、たとえば第2試薬組成物に含まれる成分や組成に応じて選択される。
第2試薬組成物が酵素を含むとき、酵素を用い分解生成物を定量する方法とすることができる。具体的には、第1工程後の反応液に、たとえば、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼおよびペルオキシダーゼからなる群から選択される1または2以上のコレステロール測定用酵素を含む第2試薬組成物を加えてsdLDL-Cを遊離、分解し、その反応生成物を定量する。
本実施形態において、各工程における、反応温度は2℃~45℃でおこなうことが好ましく、25℃~40℃でおこなうことがより好ましい。
反応時間は各工程とも1~10分間でおこなうことが好ましく、3~7分でおこなうことがさらに好ましい。
sdLDL-Cの定量に用いる自動分析装置として、たとえば、TBA-120FR、TBA-200FR(以上、東芝社製)、JCA-BM1250、JCA-BM1650、JCA-BM2250(以上、日本電子社製)、HITACHI7180、HITACHI7170(以上、日立社製)、AU2700、AU5800、AU680(以上、OLYMPUS社製)、cobas c501、cobas c701(以上、Roche社製)等が挙げられる。
sdLDL-Cの定量は、たとえば580~720nmの波長域、好ましくは600~700nmの波長域の吸光度測定によりおこなう。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
(実施例1~7、比較例1、2)
各例の第1試薬組成物を調製し、第2試薬組成物と組み合わせてsdLDL-Cの定量をおこなった際の測定の正確性を評価した。
(試薬組成物の調製)
以下に示す各成分を以下の濃度で配合することにより、各例の第1試薬組成物および第2試薬組成物を調製した。
第1試薬組成物については、牛血清アルブミンおよびアニオン界面活性剤の濃度を変えて、各例の組成物を調製した。
測定に用いた第1試薬組成物、第2試薬組成物の配合組成を以下に示す。
(第1試薬組成物)
MOPS緩衝液、pH7.0 50mM
コレステロールエステラーゼ 300U/mL
コレステロールオキシダーゼ 600U/mL
ペルオキシダーゼ 2500U/L
牛血清アルブミン
TOOS 2.0mM
アスコルビン酸オキシダーゼ 3.0U/mL
アニオン界面活性剤(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩)
(第2試薬組成物)
MOPS緩衝液、pH7.0 50mM
4-アミノアンチピリン 4.0mM
ペルオキシダーゼ 4000U/L
アジ化ナトリウム 0.05%(w/v)
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1%(w/v)
(接触角の測定方法)
PET基材として、目視にて透明なPET(非晶性ポリエステル)樹脂板(タキロンシーアイ社製、PET板(ペテック)品番6010、厚さ2mm)を用いた。未使用のPET基材の表面を70%エタノール水溶液で拭き取り、その後5分以内に測定を実施した。
接触角計(協和界面科学社製、DMo-501)を用い、液滴法、θ/2法により、温度:15~25℃、シリンジ:テフロンコート18G、滴下方法、滴下量:2μLの条件で、滴下後1秒後に接触角の測定をおこなった。
各例について5回測定し、5回の平均値を算出した。測定結果を表1または表3に示す。
(粘度の測定方法)
実施例1~7について、EMS粘度計(京都電子工業社製EMS-1000)を用いて、電磁スピニング法により、モーター回転数:1000rpm、保持時間:600秒、測定温度:5℃および37℃、シーケンスループ:1回、試料:500μLとして各例の第1試薬組成物の粘度を測定した。各例について各温度で5回ずつ測定を実施し、5回の平均値を算出した。測定結果を表2または表3に示す。
(正確性試験)
各例の第1試薬組成物を用いて濃度既知のsdLDL-Cの測定をおこなった際の正確性を、比較対照法により評価した。具体的には、各例の、すなわち接触角の異なる第1試薬組成物、および、第2試薬組成物を調製した。血清試料2μLに第1試薬組成物75μLを加え、37℃で5分間反応させた後に、第2試薬組成物75μLを加え5分間反応させ主波長600nm、副波長700nmでの吸光度を測定した。
比較対照法として、デンカ生研社製のsdLDLコレステロール測定用試薬sd LDL-C「生研」を用いてsdLDLコレステロール濃度を比較した。
評価結果を図1(a)~図1(c)、図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)に示す。図1(a)~図1(c)、図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)において、横軸は比較対照法によるsdLDL-Cの測定値(濃度)を表し、縦軸は比較対照法に対する比較例、実施例のバイアスを表す。あわせて、バイアスの平均値を表1および表3に示す。バイアスの平均値が±15%以内であるものを合格とした。
図1(a)~図1(c)、図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)ならびに表1~表3より、各実施例では、正確性の高いsdLDL-Cが可能であった。
Figure 0007437263000001
Figure 0007437263000002
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Claims (10)

  1. 第1試薬組成物を試料に作用させる工程と、
    第1試薬組成物を前記試料に作用させる前記工程の後、small dense LDLコレステロール(sdLDL-C)を定量するための第2試薬組成物を作用させることにより、残存するリポタンパク質中のコレステロールを定量する工程と、
    を含む、前記試料中の前記sdLDL-Cを定量する方法の前記第1試薬組成物として用いられる試薬組成物であって、
    アニオン界面活性剤を含み、
    コレステロールエステラーゼ活性およびコレステロールオキシダーゼ活性を有するとともに、ペルオキシダーゼ活性およびカタラーゼ活性からならる群から選択される少なくとも1つの活性を有し、
    以下の方法1により測定される、当該試薬組成物とポリエチレンテレフタレート(PET)基材との接触角が、65°以上77°以下である、試薬組成物。
    (方法1)
    (1)PET基材:PET(非晶性ポリエステル)樹脂板、透明、厚さ2mm
    (2)前処理:未使用のPET基材の表面を70%エタノール水溶液で拭き取る。拭き取り後、5分以内に測定を実施する。
    (3)測定方法および条件:液滴法、θ/2法、温度:15~25℃、シリンジ:テフロンコート18G、滴下方法、滴下量:2μL、滴下後1秒後に測定する。
    (4)接触角の算出:5回測定し、5回の平均値を求める。
  2. 当該試薬組成物が、アスコルビン酸オキシダーゼ活性をさらに有する、請求項1に記載の試薬組成物。
  3. 当該試薬組成物がスフィンゴミエリナーゼ活性を有しない、請求項1または2に記載の試薬組成物。
  4. 前記アニオン界面活性剤が硫酸エステル塩を含む、請求項1乃至3いずれか1項に記載の試薬組成物。
  5. 当該試薬組成物が、水素供与体およびカップラーのいずれか一方を含む、請求項1乃至4いずれか1項に記載の試薬組成物。
  6. 以下の方法2-1により測定される、当該試薬組成物の5℃における粘度が2.0mPa・s以下である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の試薬組成物。
    (方法2-1)
    (1)装置:EMS(Electro Magnetically Spinning Viscometer)粘度計
    (2)測定方法および条件:測定方式:電磁スピニング法、モーター回転数:1000rpm、保持時間:600秒、測定温度:5℃、シーケンスループ:1回、試料:500μL
    (3)粘度の算出:5回測定を実施し、5回の平均値を算出する。
  7. 以下の方法2-2により測定される、当該試薬組成物の37℃における粘度が0.89mPa・s以下である、請求項1乃至6いずれか1項に記載の試薬組成物。
    (方法2-2)
    (1)装置:EMS(Electro Magnetically Spinning Viscometer)粘度計
    (2)測定方法および条件:測定方式:電磁スピニング法、モーター回転数:1000rpm、保持時間:600秒、測定温度:37℃、シーケンスループ:1回、試料:500μL
    (3)粘度の算出:5回測定を実施し、5回の平均値を算出する。
  8. 請求項1乃至7いずれか1項に記載の試薬組成物からなる第1試薬組成物と、
    前記sdLDL-Cを定量するための第2試薬組成物と、
    を含む、前記試料中の前記sdLDL-Cの定量に用いられるキット。
  9. 前記第2試薬組成物が、ペルオキシダーゼ活性を有する、請求項8に記載のキット。
  10. 前記第1試薬組成物が、水素供与体およびカップラーのいずれか一方を含み他方を含まず、
    前記第2試薬組成物が、前記水素供与体および前記カップラーの前記一方を含まず前記他方を含む、請求項8または9に記載のキット。
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