JP2005134368A - 試料中のビリルビンの測定方法及び測定試薬 - Google Patents

試料中のビリルビンの測定方法及び測定試薬 Download PDF

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Abstract

【目的】ビリルビンオキシダーゼ等の酵素を必要としないため、安価で長期間安定に保存することが可能であり、試料中のビリルビン濃度を簡便かつ正確に測定できる、試料中のビリルビンの測定方法、及び試料中のビリルビンの測定試薬を提供する。
【構成】本発明は、試料をpH7以上の条件下で亜鉛イオンと接触させ、その光学的変化を測定することよりなる、試料中のビリルビンの測定方法である。
また、本発明は、pH7以上であり、かつ亜鉛イオンを含む、試料中のビリルビン測定試薬である。
【選択図】なし

Description

本発明は、試料中のビリルビンの測定方法及び測定試薬に関するものである。
本発明は、特に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野において有用なものである。
ビリルビンは、老化赤血球から遊離するヘモグロビン由来の物質で、胆汁中に多く存在する。このビリルビンは生体試料中にグルクロナイド抱合型あるいは非抱合型(遊離型)として存在しており、前者はジアゾ試薬と直接反応するため直接ビリルビンと呼ばれ、後者はアルコール等の反応促進剤の存在によって初めてジアゾ試薬と反応するため、間接ビリルビンと呼ばれている。この直接ビリルビンと間接ビリルビンとの合計を総ビリルビンと呼んでいる。
また、生体試料中のビリルビン濃度は、肝炎、肝硬変、肝がん等の肝疾患、胆石、閉塞性黄疸、溶血性黄疸、又は溶血性貧血等により変動し、その測定は臨床上極めて重要とされている。
ビリルビンの測定方法として使用されている方法としては、ジアゾ試薬を使用する方法(例えば、非特許文献1参照。)、ビリルビンオキシダーゼを使用する方法(例えば、非特許文献2参照。)、高速液体クロマトグラフィーを使用する方法(例えば、非特許文献3参照。)、フィルム法(例えば、特許文献1参照。)、及び化学酸化法等がある(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、ジアゾ試薬を使用する方法は、感度が低く共存物質や反応温度の影響を受けるという問題がある。また、ビリルビンオキシダーゼを使用する方法は、ビリルビンオキシダーゼの安定化が難しく、また、測定に要する費用が高いという問題点がある。更に、高速液体クロマトグラフィーを使用する方法やフィルム法は、高い測定精度を有しているが、専用装置が必要であり、一度に処理できる試料の数に限界があること等の問題点がある。また、化学酸化法のうち、酸化剤としてシアン化物を利用した方法は、廃液処理が難しいという問題点がある。
特開昭59−171864号公報
特開平5−18978号公報
Journal of Biological Chemistry 119巻,481頁,1937年
Clinical Chemistry 20巻,783頁,1974年
Israel Journal of Chemistry 23巻,241−247頁,1983年
したがって、本発明の課題は、安価で長期間安定に保存することができ、かつ試料中のビリルビン濃度を簡便に測定することができる方法及び試薬を提供することである。
本発明者は、上記の課題の解決を目指して鋭意検討を行った結果、試料中のビリルビンを測定する方法において、試料をpH7以上の条件下で亜鉛イオンと接触させることにより、試料中のビリルビン濃度を測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) 試料をpH7以上の条件下で亜鉛イオンと接触させ、その光学的変化を測定することよりなる、試料中のビリルビンの測定方法。
(2) pHが9以上であることを特徴とする、前記(1)記載の試料中のビリルビンの測定方法。
(3) pH7以上であり、かつ亜鉛イオンを含む、試料中のビリルビン測定試薬。
(4) pHが9以上であることを特徴とする、前記(3)記載の試料中のビリルビン測定試薬。
本発明の試料中のビリルビンの測定方法、及び測定試薬によれば、試料をpH7以上の条件下で亜鉛イオンと接触させ、その光学的変化を測定することにより、試料中のビリルビンを測定することができるものである。
また、本発明の試料中のビリルビンの測定方法、及び測定試薬は、ビリルビンオキシダーゼ等の酵素を必要としないので、安価で長期間安定に保存することが可能であり、試料中のビリルビン濃度を簡便かつ正確に測定できるものである。
本発明は、試料をpH7以上の条件下で亜鉛イオンと接触させ、その光学的変化を測定することよりなる、試料中のビリルビンの測定方法、及びpH7以上であり、かつ亜鉛イオンを含む試料中のビリルビン測定試薬である。
(1) 亜鉛イオン
本発明の試料中のビリルビンの測定方法、及び測定試薬において使用する亜鉛イオンとしては、亜鉛イオンであればどのようなものでもよい。例えば、亜鉛イオンを含む化合物を用いることができる。具体的には、亜鉛イオンと酸基よりなる化合物、亜鉛イオンの水酸化物、亜鉛イオンの塩等を挙げることができる。より具体的には、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、又はヨウ化亜鉛等の亜鉛塩等を挙げることができる。
この亜鉛イオンの濃度は、特に限定されないが、例えば、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.001〜300mMの範囲にあることが好ましく、0.01〜75mMの範囲が特に好ましい。なお、この亜鉛イオンの濃度は、300mMを超えて含有させても問題はないが、その量までで充分な効果が得られる。
また、本発明の測定方法及び測定試薬が、1ステップ法(1試薬系)である場合には、亜鉛イオンの濃度は、上記の範囲のものとすればよく、2ステップ法(2試薬系)である場合には、試料と第1試薬を試料中のビリルビンを測定する際の各々の添加量の比で混合した際、及び試料と第1試薬及び第2試薬を試料中のビリルビンを測定する際の各々の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定反応液中の亜鉛イオンの濃度が上記の範囲となるように、亜鉛イオンを第1試薬又は第2試薬のいずれかに含ませればよい。
また、混合後の測定反応液中の亜鉛イオンの濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、亜鉛イオンは第1試薬と第2試薬の両方に含ませてもよい。
なお、測定方法及び測定試薬が多ステップ法(3試薬以上)の場合も同様である。
但し、亜鉛イオンは、第2試薬に含ませるか、又は第1試薬と第2試薬の両方に含有させることが好ましい。
さらに本発明の測定方法及び測定試薬においては、アルカリ性下において亜鉛水酸化物の沈殿が生じることを防ぐ目的で、亜鉛イオンにキレート能力を持つ物質を含有させてもよい。
ここで、亜鉛イオンにキレート能力を持つ物質とは、亜鉛イオンに配位する多座配位子であって、亜鉛イオンへの配位により亜鉛を含んだ環状構造(キレート環)を形成する物質をいう。
ここで、亜鉛イオンにキレート能力を持つ物質としては、例えば、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、若しくはアジピン酸等のジカルボン酸又はその塩、クエン酸、イソクエン酸、若しくはcis−アコニット酸等のトリカルボン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CyDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、若しくはニトリロ三プロピオン酸(NTP)又はその塩等を挙げることができる。
また、亜鉛イオンにキレート能力を持つ物質の濃度は、特に限定されないが、例えば、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.0001〜450mMの範囲にあることが好ましく、0.001〜120mMの範囲が特に好ましい。
(2) pH
本発明において、試料に亜鉛イオンを接触させる際のpHは、pH7以上である。
また、本発明の測定方法及び測定試薬が1ステップ法(1試薬系)である場合は、測定試薬のpHを前記のpH範囲とすればよく、2ステップ法(2試薬系)である場合には、第1試薬と第2試薬を混合した後の混合物のpHが前記のpH範囲となるように適宜設定すればよい。
ここで、前記のpH範囲となるように使用する緩衝剤としては、前記のpH範囲に緩衝能がある従来公知の緩衝剤を適宜使用することができる。
このような緩衝剤として使用できるものとしては、例えば、リン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、イミダゾール、グリシルグリシン、MES、Bis−Tris、ADA、ACES、Bis−Trisプロパン、PIPES、MOPSO、MOPS、BES、HEPES、TES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPS、HEPPSO、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、若しくはCAPS又はこれらの塩等の各緩衝剤を挙げることができる。
(3) 反応調整剤
本発明においてビリルビンを測定する場合には、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を調整する反応調整剤を使用することもできる。ここで、反応調整剤とは、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を促進する反応促進剤、又は、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を抑制する反応抑制剤を挙げることができる。
本発明において、反応促進剤として使用できるものとしては、例えば、2,2’−ビピリジン、チオシアン酸塩、チオ尿素、イソオクチル硫酸塩、又は塩酸グアニジン等を挙げることができる。
また、チオシアン酸塩としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸マグネシウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム等を挙げることができる。
また、イソオクチル硫酸塩としては、例えば、イソオクチル硫酸ナトリウム、イソオクチル硫酸マグネシウム、イソオクチル硫酸リチウム、イソオクチル硫酸カリウム、イソオクチル硫酸カルシウム等を挙げることができる。
これらの反応促進剤の濃度は、反応促進剤の種類によって異なり、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を促進できる濃度であれば特に限定されない。
例えば、上記の反応促進剤のうち、2,2’−ビピリジンの場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜100mMの範囲にあることが好ましく、0.1〜50mMの範囲にあることが特に好ましい。チオシアン酸塩の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜500mMの範囲にあることが好ましく、1〜100mMの範囲にあることが特に好ましい。チオ尿素の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜500mMの範囲にあることが好ましく、1〜100mMの範囲にあることが特に好ましい。イソオクチル硫酸塩の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜10%の範囲にあることが好ましく、0.1〜5%の範囲にあることが特に好ましい。塩酸グアニジンの場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜15Mの範囲にあることが好ましく、0.1〜10Mの範囲にあることが特に好ましい。
なお、本発明においては、1種類の反応促進剤を用いてもよく、又は2種類以上の反応促進剤を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において、反応抑制剤として使用できるものとしては、例えば、アルブミン等の蛋白質、カルシウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、又はコール酸塩等を挙げることができる。
また、蛋白質としては、例えば、アルブミン、αグロブリン、βグロブリン、又はγグロブリン等を挙げることができる。このアルブミンとしては、例えば、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、又は卵白アルブミン等を挙げることができる。
また、カルシウム塩としては、例えば、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、フッ化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、又はシアン化カルシウム等を挙げることができる。
また、セチルメチルアンモニウム塩としては、例えば、セチルメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
また、コール酸塩としては、例えば、コール酸ナトリウム等を挙げることができる。
これらの反応抑制剤の濃度は、反応抑制剤の種類によって異なり、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を抑制できる濃度であれば特に限定されない。
例えば、前記の反応抑制剤のうち、蛋白質の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜10%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8%の範囲にあることが特に好ましい。また、アルブミンの場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜10%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8%の範囲にあることが特に好ましい。また、カルシウム塩の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜100mMの範囲にあることが好ましく、0.1〜10mMの範囲にあることが特に好ましい。また、セチルトリメチルアンモニウム塩の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.001〜2Mの範囲にあることが好ましく、0.01〜1Mの範囲にあることが特に好ましい。コール酸塩の場合には、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.001〜2Mの範囲にあることが好ましく、0.01〜1Mの範囲にあることが特に好ましい。
なお、本発明においては、1種類の反応抑制剤を用いてもよく、又は2種類以上の反応抑制剤を組み合わせて用いてもよい。
なお、反応抑制剤のうち、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、卵白アルブミン等のアルブミン、及びカルシウム塩は、亜鉛イオンの間接ビリルビンに対する反応を強く抑制することができる。このため、直接ビリルビンの発するシグナルのみを測定することができるので、直接ビリルビンの分別定量に使用することができる。
また、本発明において、亜鉛イオンとともにアルブミンを含有させて直接ビリルビンの分別定量を行う場合には、亜鉛イオンの間接ビリルビンに対する反応を更に抑制し、かつ亜鉛イオンの直接ビリルビンに対する反応を促進させる物質を使用してもよい。
ここで、亜鉛イオンの間接ビリルビンに対する反応を抑制し、かつ亜鉛イオンの直接ビリルビンに対する反応を促進させる物質としては、例えば、カプリル酸、カプロン酸、若しくはカプリン酸等の脂肪酸又はその塩、又は1−ナフトール、m−トリルジエタノールアミン、ο−トリジン、N−メチルアセトアニリド、若しくはビタミンK3等の芳香族性化合物等を挙げることができる。
更に、本発明において、亜鉛イオンとともにカルシウム塩を含有させて直接ビリルビンの分別定量を行う場合には、亜鉛イオンの間接ビリルビンに対する反応を更に抑制し、かつ亜鉛イオンの直接ビリルビンに対する反応を促進させる物質として、例えば、陰イオン性界面活性剤等を使用してもよい。
ここで、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カプリル酸、カプロン酸、リノール酸、デカン酸、ラウリン酸、コール酸、サルコシネート、ヘキシル硫酸、オクチル硫酸、デシル硫酸、ドデシル硫酸、ヘキシルスルホン酸、オクチルスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、又はその塩等を挙げることができる。
更に、本発明においては、反応調整剤として、ドデシル硫酸ナトリウム等のドデシル硫酸塩を用いることができる。なお、このドデシル硫酸塩は、濃度によって反応促進剤としても反応抑制剤としても使用することができる。例えば、後に示す表6に記載したように、ドデシル硫酸塩の濃度によって、適宜使い分けを行うことができる。
(4) 測定における他の構成成分
本発明においては、前記の成分の他に、公知の防腐剤、又は安定化剤等を必要に応じて適宜使用することができる。
なお、本発明の測定試薬において、亜鉛イオンとともに界面活性剤を含有させる場合には、試料との反応や界面活性剤の曇点に由来する濁り等が生じるのを、非イオン性界面活性剤等の他の界面活性剤や糖類等を添加することにより防止してもよい。
(5) 試薬等の構成、及び構成成分の濃度等
本発明の測定方法及び測定試薬は、1ステップ法(1試薬系)で実施、構成してもよく、又は2ステップ法(2試薬系)等の多ステップ法(多試薬系)で実施、構成してもよい。
また、本発明の測定方法及び測定試薬が1ステップ法(1試薬系)である場合は、前記した各構成成分の濃度、及びpH等は前記の範囲のものとすればよく、多ステップ法(多試薬系)である場合には、前記構成成分を試料中のビリルビンを測定する際の各々の添加量の比で混合した時に、前記した各構成成分の濃度範囲、及びpH範囲等となるように各試薬の構成成分の濃度等を定めればよい。
(6) 試料
本発明において、試料とは、試料中のビリルビンの測定を行おうとするもののことであり、このようなものであれば特に限定されない。
このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、汗等の体液、ヒト若しくは動物の腎臓、心臓、肺、脳等の臓器等の抽出液;骨格筋、骨髄、皮膚、又は神経組織等の抽出液;毛髪等の抽出液、ヒト又は動物の糞便の抽出液又は懸濁液;細胞の抽出液等が挙げられる。
(7) ビリルビン
本発明におけるビリルビンとしては、抱合型ビリルビンであるジタウロビリルビン、モノグルクロナイドビリルビン又はジグルクロナイドビリルビン、非抱合型(遊離型)ビリルビン、アルブミン結合型ビリルビンであるデルタビリルビン等を挙げることができる。
また、本発明においては、抱合型ビリルビンを直接ビリルビン、非抱合型(遊離型)ビリルビンを間接ビリルビンと呼ぶこともある。なお、この直接ビリルビンと間接ビリルビンとを合計したものを総ビリルビンと呼ぶこともある。
(8) 試料中のビリルビン測定方法
本発明の試料中のビリルビンの測定方法及び測定試薬を用いて試料中のビリルビンを測定する場合の例を具体的に説明する。
試料中の総ビリルビンを測定する場合には、例えば、試料とpH7以上の第1試薬とを混合し、この溶液をビリルビンが吸収を示す波長域(400〜480nm)の特定の波長、好ましくは450nm付近の波長において、分光光度計を用いて吸光度を測定する。
次いで、試料と第1試薬の混合物に、亜鉛イオンを含む第2試薬を添加し、25〜40℃で3〜15分間反応を行い、試料中のビリルビンをビリベルジンに変化させた後、再度ビリルビンが吸収を示す波長域(400〜480nm)の特定の波長における吸光度を測定する。
ここで得られた吸光度の値と先に得られた吸光度の値に液量補正等を行った後、ビリルビンの酸化反応前後での吸光度変化量を求める。この吸光度変化量と、あらかじめビリルビン濃度既知の標準液を用いて、上記と同様の操作を行って得られた吸光度変化量によって作成された検量線から、試料中の総ビリルビン濃度を算出することができる。
なお、400〜480nmの任意の波長を主波長とし、この主波長の他に副波長として任意の波長を設定し、主波長における吸光度差と副波長における吸光度差を用いて総ビリルビンの測定を行うこともできる。
また、直接ビリルビンを測定する場合には、例えば、間接ビリルビンの反応抑制剤としてウシ血清アルブミン、若しくはヒト血清アルブミン等のアルブミン、又はカルシウム塩を添加した第1試薬、及び亜鉛イオンを含む第2試薬を用いて、前記した試料中の総ビリルビンを測定する場合と同様にして測定を行えばよい。
なお、直接ビリルビンと間接ビリルビンの合計が総ビリルビンとなるので、間接ビリルビン濃度は、総ビリルビン濃度から直接ビリルビン濃度を差し引くことによって求めることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(ビリルビン測定時の直線性の検討)
本発明のビリルビン測定試薬において、ビリルビン測定を行う際の直線性の検討を行った。
1. 測定試薬の調製
(1) ビリルビン測定用第1試薬(A)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pH9.0(20℃)のビリルビン測定用第1試薬(A)を調製した。
Bicine(緩衝剤) 0.1M
(2) ビリルビン測定用第1試薬(B)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pH10.0(20℃)のビリルビン測定用第1試薬(B)を調製した。
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(3) ビリルビン測定用第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを6.2(20℃)に調整し、ビリルビン測定用第2試薬を調製した。
硫酸亜鉛 2mM
酒石酸ナトリウムカリウム 25mM
2. 試料の調製
生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンC(シスメックス社製)を、抱合型ビリルビン(ビリルビンC;BIL−C)の濃度が1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mg/dLになるように添加したものを〔試料1〕とした。
また、生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンF(シスメックス社製)を、遊離型ビリルビン(ビリルビンF;BIL−F)の濃度が1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mg/dLになるように添加したものを〔試料2〕とした。
更に、生理食塩水をビリルビン無添加試料(ビリルビン濃度が0mg/dL)とした。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した第1試薬及び第2試薬にて測定した。
本発明の測定試薬における抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビンの測定は、日立製作所社製7170S形自動分析装置にて行い、前記2で調製した試料1又は試料2の各10μLに各々前記1の(1)で調製したビリルビン測定用第1試薬(A)160μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬160μLを添加し、37℃で5分間反応させた。第1試薬添加後4分30秒目(16ポイント目)と第2試薬添加後5分17秒目(34ポイント目)の波長450nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。
また、第1試薬を前記1の(2)で調製したビリルビン測定用第1試薬(B)に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を図1及び図2に示した。図1は試料中の抱合型ビリルビンを測定したものであり、図2は試料中の遊離型ビリルビンを測定したものである。なお、これらの図において横軸は試料中のビリルビン濃度(mg/dL)を表し、縦軸は測定により得られた吸光度差を表す。
この結果から、本発明の亜鉛を含むビリルビン測定試薬を用いた場合には、試料中のビリルビン濃度と測定により得られる吸光度差の値との関係が直線的となり、これにより直線的な検量線が得られ、そして低濃度域から高濃度域までビリルビン濃度測定値がほぼ直線上に位置するようになることが分かる。
従って、低濃度域から高濃度域まで試料中のビリルビン濃度を正確に測定できるようになる。
これらのことより、pH7以上の条件下で、かつ亜鉛イオンを含有させた本発明の測定試薬及び測定方法は、試料中のビリルビン濃度を正確に測定できることが確かめられた。
〔実施例2〕
(亜鉛イオンのビリルビンに対する反応の反応促進剤の検討1)
亜鉛イオンのビリルビンに対する反応への各種反応促進剤による促進効果を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬(A)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pH10.0(20℃)の本発明・第1試薬(A)を調製した。
2,2’−ビピリジン 10mM
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 本発明・第1試薬(B)の調製
前記(1)の本発明・第1試薬(A)の2,2’−ビピリジンを50mMのチオシアン酸ナトリウムに変えること以外は、前記(1)と同様にして本発明・第1試薬(B)の調製を行った。
(3) 本発明・第1試薬(C)の調製
前記(1)の本発明・第1試薬(A)の2,2’−ビピリジンを50mMのチオ尿素に変えること以外は、前記(1)と同様にして本発明・第1試薬(C)の調製を行った。
(4) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬(A)の2,2’−ビピリジンを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(5) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンC(シスメックス社製)を、抱合型ビリルビン(ビリルビンC;BIL−C)の濃度が10、20、30、40、又は50mg/dLになるように添加したものを〔試料1〕とした。
また、生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンF(シスメックス社製)を、遊離型ビリルビン(ビリルビンF;BIL−F)の濃度が10、20、30、40、又は50mg/dLになるように添加したものを〔試料2〕とした。
更に、生理食塩水をビリルビン無添加試料(ビリルビン濃度が0mg/dL)とした。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した本発明・第1試薬(A)〜(C)及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。また、第1試薬を前記1の(4)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表1に示した。また、表1に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表1において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬に各種反応促進剤を含有させた本発明・第1試薬を用いた場合には、反応促進剤無添加の対照・第1試薬を用いた場合に比べて、抱合型ビリルビン、遊離型ビリルビンのいずれにおいても、測定で得られた吸光度差が増加していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更に2,2’−ビピリジン、チオシアン酸ナトリウム、又はチオ尿素を添加することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を促進できることが確かめられた。
〔実施例3〕
(亜鉛イオンのビリルビンに対する反応の反応促進剤の検討2)
亜鉛イオンのビリルビンに対する反応への反応促進剤による促進効果を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pH10.0(20℃)の本発明・第1試薬を調製した。
イソオクチル硫酸ナトリウム 3%
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬のイソオクチル硫酸ナトリウムを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
実施例2の2で調製した試料をそのまま使用した。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した本発明・第1試薬及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表2に示した。また、表2に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表2において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬に反応促進剤を含有させた本発明・第1試薬を用いた場合には、反応促進剤無添加の対照・第1試薬を用いた場合に比べて、抱合型ビリルビン、遊離型ビリルビンのいずれにおいても、測定で得られた吸光度差が増加していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更にイソオクチル硫酸ナトリウムを添加することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を促進できることが確かめられた。
〔実施例4〕
(亜鉛イオンのビリルビンに対する反応の反応促進剤の検討3)
亜鉛イオンのビリルビンに対する反応への反応促進剤による促進効果を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、塩酸グアニジン濃度の異なる3種類の本発明・第1試薬を調製した。
塩酸グアニジン 0.01M、0.1M、又は1M
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬の塩酸グアニジンを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
実施例2の2で調製した試料をそのまま使用した。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した3種類の本発明・第1試薬及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表3に示した。また、表3に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表3において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬に反応促進剤として塩酸グアニジンを含有させた本発明・第1試薬を用いた場合には、反応促進剤無添加の対照・第1試薬を用いた場合に比べて、抱合型ビリルビン、遊離型ビリルビンのいずれにおいても、測定で得られた吸光度差が増加していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更に塩酸グアニジンを添加することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を促進できることが確かめられた。
〔実施例5〕
(亜鉛イオンのビリルビンに対する反応の反応抑制剤の検討1)
亜鉛イオンのビリルビンに対する反応への反応抑制剤による抑制効果を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、コール酸ナトリウム濃度の異なる4種類の本発明・第1試薬を調製した。
コール酸ナトリウム 0.001M、0.01M、0.1M、又は0.5M
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬のコール酸ナトリウムを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンC(シスメックス社製)を、抱合型ビリルビン(ビリルビンC;BIL−C)の濃度が4、8、12、16、又は20mg/dLになるように添加したものを〔試料1〕とした。
また、生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンF(シスメックス社製)を、遊離型ビリルビン(ビリルビンF;BIL−F)の濃度が4、8、12、16、又は20mg/dLになるように添加したものを〔試料2〕とした。
更に、生理食塩水をビリルビン無添加試料(ビリルビン濃度が0mg/dL)とした。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した4種類の本発明・第1試薬及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表4に示した。また、表4に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表4において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬に反応抑制剤としてコール酸ナトリウムを含有させた本発明・第1試薬を用いた場合には、反応抑制剤無添加の対照・第1試薬を用いた場合に比べて、抱合型ビリルビン、遊離型ビリルビンのいずれにおいても、測定で得られた吸光度差が減少していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更にコール酸ナトリウムを添加することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を抑制できることが確かめられた。
〔実施例6〕
(亜鉛イオンのビリルビンに対する反応の反応抑制剤の検討2)
亜鉛イオンのビリルビンに対する反応への反応抑制剤による抑制効果を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pH10.0(20℃)の本発明・第1試薬を調製した。
セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.1M
2,2’−ビピリジン 2mM
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬のセチルトリメチルアンモニウムクロライドを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
実施例5の2で調製した試料をそのまま使用した。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した本発明・第1試薬及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表5に示した。また、表5に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表5において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬に反応抑制剤としてセチルトリメチルアンモニウムクロライドを含有させた本発明・第1試薬を用いた場合には、反応抑制剤無添加の対照・第1試薬を用いた場合に比べて、抱合型ビリルビン、遊離型ビリルビンのいずれにおいても、測定で得られた吸光度差が減少していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更にセチルトリメチルアンモニウムクロライドを添加することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を抑制できることが確かめられた。
〔実施例7〕
(亜鉛イオンのビリルビンに対する反応の反応調整剤の検討)
反応調整剤の亜鉛イオンのビリルビンに対する反応への反応調整剤による調整効果を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、ドデシル硫酸ナトリウム濃度の異なる4種類の本発明・第1試薬を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム 0.01M、0.1M.0.5M、又は0.8M
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬のドデシル硫酸ナトリウムを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
実施例5の2で調製した試料をそのまま使用した。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した4種類の本発明・第1試薬及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表6に示した。また、表6に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表6において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この表6に示されるように、ドデシル硫酸ナトリウムの添加濃度及び試料中のビリルビン濃度により、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応が促進される場合と、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応が抑制される場合があることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更にドデシル硫酸ナトリウムを添加することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を調整できることが確かめられた。
すなわち、ドデシル硫酸ナトリウムの濃度を適宜調整することにより、亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を促進する反応促進剤として、又は亜鉛イオンのビリルビンに対する反応を抑制する反応抑制剤として使用できることが確かめられた。
〔実施例8〕
(試料中の直接ビリルビンの分別定量の確認1)
反応抑制剤を使用して試料中の直接ビリルビンの分別定量の可能性を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 本発明・第1試薬の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、本発明・第1試薬を調製した。
ウシ血清アルブミン 5%
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 対照・第1試薬の調製
前記(1)の本発明・第1試薬のウシ血清アルブミンを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・第1試薬の調製を行った。
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)で調製したビリルビン測定用第2試薬をそのまま使用した。
2. 試料の調製
実施例5の2で調製した試料をそのまま使用した。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1の(1)で調製した本発明・第1試薬及び第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。
また、第1試薬を前記1の(2)で調製した対照・第1試薬に変えて同様に測定を行った。
4. 測定結果
試料の測定結果を表7に示した。また、表7に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表7において、かっこ内の数値は、対照・第1試薬を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬にウシ血清アルブミンを含有させた本発明・第1試薬を用いた場合には、ウシ血清アルブミン無添加の対照・第1試薬を用いた場合に比べて、遊離型ビリルビンにおいて測定で得られた吸光度差が減少していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更にウシ血清アルブミンを添加することにより、亜鉛イオンの遊離型ビリルビン(間接ビリルビン)に対する反応を強く抑制できることが確かめられた。
すなわち、ウシ血清アルブミンの存在下で、試料を亜鉛イオンと接触させると、亜鉛イオンと遊離型ビリルビン(間接ビリルビン)との反応性を強く抑制することができるので、これにより抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)の分別定量を行うことができる。
〔実施例9〕
(試料中の直接ビリルビンの分別定量の確認2)
反応抑制剤としてカルシウム塩を含有させた測定試薬を使用して、試料中の直接ビリルビンの分別定量の可能性を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 第1試薬(A)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、第1試薬(A)を調製した。
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(2) 第1試薬(B)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、第1試薬(B)を調製した。
塩化カルシウム 0.1mM
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(3) 第1試薬(C)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、第1試薬(C)を調製した。
塩化カルシウム 1mM
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(3) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)のビリルビン測定用第2試薬と同様にして第2試薬の調製を行った。
2. 試料の調製
実施例2の2の試料と同様にして試料1、試料2及びビリルビン無添加試料の調製を行った。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した第1試薬及び第2試薬にて測定した。
本発明の測定試薬における抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビンの測定は、日立製作所社製7180形自動分析装置にて行い、前記2で調製した試料1、試料2及びビリルビン無添加試料の各8μLに各々前記1の(1)で調製した第1試薬140μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記1の(3)で調製した第2試薬140μLを添加し、37℃で5分間反応させた。第1試薬添加後4分30秒目(16ポイント目)と第2試薬添加後5分17秒目(34ポイント目)の波長450nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。
4. 測定結果
試料の測定結果を表8に示した。また、表8に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。なお、表8において、かっこ内の数値は、第1試薬(A)を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
この結果から、第1試薬にカルシウム塩を含有させた第1試薬(B)を用いた場合には、カルシウム塩無添加の第1試薬(A)を用いた場合に比べて、遊離型ビリルビンにおいて測定で得られた吸光度差が減少していることが分かる。
これらのことより、本発明のビリルビン測定試薬に、更にカルシウム塩を添加することにより、亜鉛イオンの遊離型ビリルビン(間接ビリルビン)に対する反応を強く抑制できることが確かめられた。
すなわち、カルシウム塩の存在下で、試料を亜鉛イオンと接触させると、亜鉛イオンと遊離型ビリルビン(間接ビリルビン)との反応性を強く抑制することができるので、これにより抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)の分別定量を行うことができる。
〔実施例10〕
(試料中の直接ビリルビンの分別定量の確認3)
反応抑制剤であるカルシウム塩に更に陰イオン性界面活性剤を含有させた測定試薬を使用して、試料中の直接ビリルビンの分別定量の可能性を確かめた。
1. 測定試薬の調製
(1) 第1試薬(A)の調製
実施例9の1の(1)で調製した第1試薬(A)をそのまま使用した。
(2) 第1試薬(B)の調製
下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを10.0(20℃)に調整し、第1試薬(B)を調製した。
塩化カルシウム 10mM
CAPS(緩衝剤) 0.1M
(3) 第1試薬(C)の調製
前記(2)の第1試薬(B)に10mMとなるようにヘキシル硫酸ナトリウムを添加すること以外は、前記(2)と同様にして第1試薬(C)の調製を行った。
(4) 第1試薬(D)の調製
前記(2)の第1試薬(B)に10mMとなるようにオクチル硫酸ナトリウムを添加すること以外は、前記(2)と同様にして第1試薬(D)の調製を行った。
(5) 第1試薬(E)の調製
前記(2)の第1試薬(B)に10mMとなるようにデシル硫酸ナトリウムを添加すること以外は、前記(2)と同様にして第1試薬(E)の調製を行った。
(6) 第2試薬の調製
実施例1の1の(3)のビリルビン測定用第2試薬と同様にして第2試薬の調製を行った。
2. 試料の調製
(1) 試料1の調製
生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンC(シスメックス社製)を、抱合型ビリルビン(ビリルビンC;BIL−C)の濃度が10、20、30、40、又は50mg/dLになるように添加したものを試料1とした。
(2) 試料2の調製
生理食塩水に干渉チェックAプラス・ビリルビンF(シスメックス社製)を、遊離型ビリルビン(ビリルビンF;BIL−F)の濃度が10、20、30、40、又は50mg/dLになるように添加したものを試料2とした。
(3) 試料3の調製
生理食塩水を試料3(ビリルビン無添加試料:ビリルビン濃度が0mg/dL)とした。
(4) 試料4の調製
ヒト血清に干渉チェックAプラス・ビリルビンC(シスメックス社製)を、抱合型ビリルビン(ビリルビンC;BIL−C)の添加濃度が10、20、30、40、又は50mg/dLになるように添加したものを試料4とした。
(5) 試料5の調製
ヒト血清に干渉チェックAプラス・ビリルビンF(シスメックス社製)を、遊離型ビリルビン(ビリルビンF;BIL−F)の添加濃度が10、20、30、40、又は50mg/dLになるように添加したものを試料5とした。
(6) 試料6の調製
干渉チェックAプラス・ビリルビンC又は干渉チェックAプラス・ビリルビンFの代わりに生理食塩水を添加したものを試料6(ビリルビン無添加試料:ビリルビン添加濃度が0mg/dL)とした。
3. 試料の測定
前記2の各試料中の抱合型ビリルビン又は遊離型ビリルビン濃度を、前記1で調製した第1試薬(A)〜(E)及び第2試薬にて実施例9の3と同様にして測定を行った。
4. 測定結果
試料1〜3の測定結果を表9に、試料4〜6の測定結果を表10に示した。なお、表9及び表10に示した値は、測定で得られた吸光度差を10,000倍した値である。また、表9及び表10において、かっこ内の数値は、第1試薬(A)を使用した際の測定値(吸光度差)を100%とした時の百分率を求めたものである。
Figure 2005134368
Figure 2005134368
表9及び表10から明らかなように、第1試薬にカルシウム塩とともに陰イオン性界面活性剤を含有させた第1試薬(C)〜(E)を用いた場合には、カルシウム塩のみを含有させた第1試薬(B)を用いた場合に比べて、抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)の測定で得られた吸光度差と遊離型ビリルビン(間接ビリルビン)の測定で得られた吸光度差との差異が増加していることが分かる。
これらのことより、カルシウム塩と陰イオン性界面活性剤の存在下で、試料を亜鉛イオンと接触させると、抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)の測定で得られた吸光度差と遊離型ビリルビン(間接ビリルビン)の測定で得られた吸光度差との差異を増加させることができるので、これにより抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)の分別定量を行うことができる。
本発明のビリルビン測定試薬を用いて試料中のビリルビンを測定した結果を示したグラフである。 本発明のビリルビン測定試薬を用いて試料中のビリルビンを測定した結果を示したグラフである。

Claims (4)

  1. 試料をpH7以上の条件下で亜鉛イオンと接触させ、その光学的変化を測定することよりなる、試料中のビリルビンの測定方法。
  2. pHが9以上であることを特徴とする、請求項1記載の試料中のビリルビンの測定方法。
  3. pH7以上であり、かつ亜鉛イオンを含む、試料中のビリルビン測定試薬。
  4. pHが9以上であることを特徴とする、請求項3記載の試料中のビリルビン測定試薬。
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