JP4877578B2 - 抗原の測定法およびそれに用いるキット - Google Patents

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Description

本発明は、抗原の測定法およびそれに用いるキットに関する。更に詳細には、本発明は、試料中の抗原の競合的均一系免疫凝集測定法による測定法であって、生体試料中に高濃度で存在する蛋白質であるアルブミンなどの抗原の測定に適した抗原の測定法およびそれに用いるキットに関する。
血液試料に存在する蛋白質を測定する一つの方法として、ラテックス免疫比濁法等の免疫比濁法が知られている。これらの方法は、多数の試料を短時間で測定できるので、臨床検査業界で幅広く用いられている。しかし、アルブミンのような血中に10−3M程度の高濃度で存在する蛋白質をこのような方法で測定しようとする場合、いろいろ問題が発生する。つまり、この場合、試料として採取した血液検体を希釈して使用する必要があり、測定前の操作が繁雑であるという問題があった。また、測定試薬として用いる抗体を多量に使用する必要があり、測定試薬が高価になるという問題もあった。さらには、プロゾーン現象が起こりやすく、高濃度域では測定できないことがあるという問題があった。その結果、免疫比濁法による、これら蛋白質の測定は、無希釈系では、実用化されていないのが現状である。
ところで、免疫測定法には、上記の免疫比濁法に関連して、競合的均一系免疫凝集測定法が知られている(特許文献1、2および3)。競合的均一系免疫凝集測定法とは、測定すべき抗原を含む試料と、該抗原に対する抗体と、その抗体と結合可能な抗原を担持してある微細粒子とを混合し、該抗体と、試料中の抗原および微細粒子が担持した抗原との間で、抗原抗体反応を競合させて、微細粒子が担持した抗原と抗体との抗原抗体反応による凝集の度合いから、測定すべき抗原を定量する方法である。この方法は、種々の工夫により、低濃度の抗原を測定できるというメリットがあり、その観点からいくつか研究がなされてきた。しかしながら、この方法を用いて、高濃度の蛋白質を測定する場合には、検量線を作成しようとすると、測定対象の蛋白質濃度が0の場合の測定ブランクが測定限界を超えてしまうため、測定不可能となる。その結果、この方法を用いて高濃度の蛋白質を測定することは、ほとんど研究されておらず、その結果、実用化もされていないのが現状である。
特開昭57−206859号公報 特表昭58−500874号公報 特開2002−296281号公報
従って、本発明の課題は、従来、高濃度の抗原を測定することには、ほとんど用いられていなかった競合的均一系免疫凝集測定法を用いて、無希釈系で抗原を測定できる、抗原の測定法を提供することにある。また、そのような測定法に用いる測定用キットを提供することにある。
そのような状況下、これらの問題を解決するため、本発明者らは、高濃度の蛋白質を測定する点からはほとんど検討されていなかった競合的均一系免疫凝集測定法により、試料中のアルブミンを測定することを検討した。その結果、アルブミンに対する抗体と、試料中のアルブミンおよび微細粒子が担持したアルブミンとの間で、抗原抗体反応を競合させる際に、塩基性アミノ基含有化合物、環状アミド化合物などを抗原抗体反応抑制剤として共存させることにより、試料中の高濃度のアルブミンを、試料を希釈することなく、すなわち、無希釈系で正確に測定できることが判明した。本発明はかかる経過により達成されたものである。
従って、本発明は、測定すべき抗原を含む試料と、該抗原に対する抗体と、該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物であって該抗体と抗原抗体反応し得る類似物に担持した微細粒子とを混合して、該抗体と、試料中の抗原および微細粒子が担持した該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物との間で、抗原抗体反応を競合させて、該抗体と微細粒子が担持した該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物との抗原抗体反応による凝集の度合いから、測定すべき抗原を定量する競合的均一系免疫凝集測定法において、
該抗体と、試料中の抗原および微細粒子が担持した該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物との間で、抗原抗体反応を競合させる際に、抗原抗体反応抑制剤を共存させることを特徴とする、抗原の測定法に関する。
更に本発明は、測定すべき抗原に対する抗体と、測定すべき抗原と同じ抗原またはその抗原の類似物であって該抗体と抗原抗体反応し得る類似物に担持した微細粒子と、抗原抗体反応抑制剤とを含む、競合的均一系免疫凝集測定法により抗原を測定するための抗原測定用キットに関する。
本発明の測定法により、測定試薬である高価な抗体を少なく用い、プロゾーン現象を発現することなく、かつ、試料を無希釈のまま、アルブミン等の生体試料中に高濃度で存在する蛋白質である抗原を正確に免疫測定することができる。
本発明の測定法は、競争免疫反応で、反応試薬および生成物のうちの、1個のみが濁りを有し、他の成分が水に溶解するということに基づいており、その原理を、以下に例示して説明する。
まず、反応試薬として混合する対象として、(i) 試料由来の抗原、(ii) 試料由来の抗原と同じ抗原またはその抗原の類似物と微細粒子との結合体、(iii)試薬としての抗体を用いるが、これら (i)-(iii) の反応試薬は、すべて水に可溶あるいは均一分散可能である。次いで、これらを混合して抗原抗体反応をさせると、(iv)(ii)の結合体と (iii) の抗体との結合物、および (v)(i) の抗原と (iii) の抗体との結合物の2つの抗原抗体反応物が競合して生成する。(iv) の結合物は水に不溶性で濁りが生じるのに対し、(v) の結合物は水に可溶性である。従って、(iv)の結合物が多く形成されればされるほど、反応液の濁度が増加する。
この競争反応では、(i) の抗原は、(ii) の結合体と、限定量の (iii) の抗体に対して競争反応し、それによって、生じる不溶性の (iv) の結合物の量を減少させると同時に、反応溶液中の濁度を低下させる。そのため、試料中の抗原が高濃度になればなるほど、反応液の濁りが小さくなる。従って、濁りの度合いから試料中の抗原を測定することができる。
ところで、この競争免疫反応において、(i) の試料中の抗原の濃度が高い場合、(ii) の結合体、(iii) の抗体の濃度を高くしなければならない。この場合、(iv) の結合物が多量に形成され濁りが濃すぎて測定不能になりやすい。
本発明においては、競合反応の際の抗原抗体反応を抑制するために抗原反応抑制剤を用いることにより、反応系の濁りを、測定できる程度に減少させることができる。
本発明において、測定対象の抗原は、生体試料に存在する物質、特に生体試料に高濃度に存在する蛋白質が好適である。具体的には、アルブミン、IgG、IgA、IgMが好適であり、アルブミン、IgGがさらに好適である。特に、アルブミンは、試料を無希釈で免疫測定法で定量することは、臨床検査業界では、未だに実用化されておらず、本発明で初めて実施可能な点から最も好適である。本発明において、試料とは、例えば、生体由来の液体試料であり、具体的には、血漿、血清、尿等を例示できる。
本発明に用いる抗体とは、測定すべき抗原に対する抗体であり、そのような抗体であれば抗血清、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれをも用いることができる。
本発明において、抗原の類似物とは、抗原に類似した構造をもち、かつ、抗体と抗原抗体反応して結合可能な物質である。
微細粒子とは、免疫凝集反応に通常使用される微細粒子をそのまま使用することができる。最も一般的な微細粒子は、ラテックス粒子である。微細粒子は、通常0.01〜0.5ミクロンのものが使用される。
本発明において、測定対象の抗原と同じ抗原またはその類似物を微細粒子に担持しておく場合、担持の方法は、疎水性相互作用による物理的吸着法や共有結合法等の通常の担持する方法を用いることができる。
本発明で用いる抗原抗体反応抑制剤は、特に限定されず、抗原と抗体との結合反応を抑制し得るものであればいずれでもよい。具体的には、塩基性アミノ基含有化合物、環状アミド化合物、二価の金属イオン、チオシアン酸塩などが挙げられる。これらの抗原抗体反応抑制剤は、30℃で水に0.3M以上溶解するものが好ましい。
塩基性アミノ基含有化合物としては、例えば、L−アルギニン、グアニジン、L−プロリン、システアミン、塩化コリン、N−トリスメチル−3−アミノプロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L−リシン、L−ヒスチジン、グアニド酢酸、クレアチン、グアニン、アデニン、クレアチニン、尿酸などが挙げられる。これらの塩基性アミノ基含有化合物は塩であってもよく、塩としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、あるいはクエン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との酸付加塩が挙げられる。環状アミド化合物としては、例えば、5員環もしくは6員環の環状アミド化合物が好ましく挙げられる。5員環の環状アミド化合物としては、例えば、5−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、3−メチル−2−ピロリジノン、4−メチル−2−ピロリジノンなどが好ましく例示でき、6員環の環状アミド化合物としては、例えば、2−ピペリドン、3−メチル−2−ピペリドン、4−メチル−2−ピペリドン、5−メチル−2−ピペリドン、6−メチル−2−ピペリドンなどが好ましく例示できる。これらの環状アミド化合物は、塩基性アミノ基含有化合物と同様に、塩であってもよい。二価の金属イオンとしては、例えばカルシウムイオン、バリウムイオン、マグネシウムイオンなどが挙げられる。これらの二価の金属イオンを用いる場合には、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウムなどの形態で抗原抗体反応系に添加して用いるのが一般的である。チオシアン酸塩としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明では、抗原抗体反応抑制剤は、抗原抗体反応の反応系に0.3M以上の濃度となる量で共存させるのが好ましく、特に、0.5M以上の濃度となる量で共存させるのが好ましい。
本発明においては、凝集の度合いを測定する方法としては、通常、生成する濁りを吸光度で測定するのが一般的であるが、凝集塊を肉眼で観察したり、凝集をしなかった微細粒子を計数することによっても実施することができる。
本発明の測定法を実施するには、例えば、次の具体的な方法が挙げられる。まず、試薬として、測定すべき抗原と同じ抗原または該抗原の類似物に担持した微細粒子と、抗原抗体反応抑制剤とを、リン酸緩衝液などの緩衝液に均一分散した第一試薬、並びに、抗体と抗原抗体反応抑制剤とを、リン酸緩衝液などの緩衝液に溶解した第二試薬を調製する。次いで、自動分析装置を用いて、測定すべき抗原を含む試料に、第一試薬および第二試薬を加えて、抗原抗体反応をさせ、生じる凝集割合を、特定波長にて2ポイントエンド法により吸光度変化量として測定し、得られた測定値から、予め抗原濃度既知の標準試料を用いて作成した検量線に基づいて、目的とする試料中の抗原を定量することができる。ここで採用する波長としては、700nmから850nmが好ましく、特に、750nmから800nmが好ましい。
このような本発明の測定法を実現するためには、測定すべき抗原に対する抗体と、測定すべき抗原と同じ抗原またはその抗原の類似物であって該抗体と抗原抗体反応し得る類似物に担持した微細粒子と、抗原抗体反応抑制剤とを含む抗原測定用キットを用いることができる。抗原に対する抗体、抗原またはその抗原の類似物に担持してある微細粒子および抗原抗体反応抑制剤は、それぞれ、測定法で説明した抗体、微細粒子および抗原抗体反応抑制剤をそのまま用いることができる。
以下の実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
抗原抗体反応抑制剤としてアミノ基含有化合物を用いた血清アルブミンの定量
抗原抗体反応抑制剤として、アミノ基含有化合物を用いて、試料無希釈で、血清中のアルブミンを定量できるかどうか、すなわち、定量のための検量線を作成できるかどうかを検討した。
1)ヒトアルブミン感作ラテックス粒子の調製
1%濃度とした粒径67nmのポリスチレン製ラテックス粒子溶液100mLに、ヒト血清アルブミンをリン酸緩衝液に10%となるように溶解した溶液100mLを混合し、室温にて2時間攪拌した。そして、18,000rpmで3時間遠心分離を行い、上清を廃棄し沈殿物を回収した。この沈殿物にリン酸緩衝液200mLを加え、沈殿物を懸濁した後、再び遠心分離を行い、未吸着の剰余ヒト血清アルブミンを取り除いた。さらに遠心分離後の沈殿物に、リン酸緩衝液20mLを加え、沈殿物を懸濁し超音波処理を行い、ラテックス粒子を完全に分散させ、ラテックス濃度5%のヒトアルブミン感作ラテックス粒子懸濁液を得た。
2)第一試薬の調製
さらに、このラテックス粒子懸濁液に、各種の抗原抗体反応抑制剤として、L−アルギニン塩酸塩1000mM、グアニジン塩酸塩2000mM、L−プロリン3000mM、システアミン塩酸塩2000mM、塩化コリン2000mM、N−トリスメチル−3−アミノプロパンスルホン酸2000mM、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン2000mMとなる様に添加し、さらにラテックス粒子濃度4%となる様にリン酸緩衝液を添加し、第一試薬を調製した。また、対照試薬としてリン酸緩衝液のみ添加した溶液を調製した。
3)抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション溶液(第二試薬)の調製
抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション溶液(タンパク濃度6.5g/ dL)1mLに対して、全量で5mL(タンパク濃度1.3g/dL)となる様に、第一試薬に使用したと同様の抗原抗体反応抑制剤を同様の濃度でリン酸緩衝液に添加して、第二試薬を調製した。
4)各試薬の組成
調製した各試薬の組成は以下の通りである。
リン酸緩衝液
リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
第一試薬
リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
ヒトアルブミン感作ラテックス粒子 4%(v/v)
抗原抗体反応抑制剤(下記抑制剤のいずれかを使用)
L−アルギニン塩酸塩 1000mM
グアニジン塩酸塩 2000mM
L−プロリン 3000mM
システアミン塩酸塩 2000mM
塩化コリン 2000mM
N−トリスメチル−3−アミノプロパンスルホン酸 2000mM
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 2000mM
第二試薬組成
リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション 1.3g/dL(タンパク濃度)
抗原抗体反応抑制剤(下記抑制剤のいずれかを使用)
L−アルギニン塩酸塩 1000mM
グアニジン塩酸塩 2000mM
L−プロリン 3000mM
システアミン塩酸塩 2000mM
塩化コリン 2000mM
N−トリスメチル−3−アミノプロパンスルホン酸 2000mM
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 2000mM
5)吸光度変化量の測定
血清アルブミン濃度の測定は日立7180型自動分析装置を用い、試料として血清2μLに対し第一試薬140μL、第二試薬140μLを反応させ、波長800nmにて19〜30測光ポイント間(R2添加後1分後から4分後に相当)において、2ポイントエンド法による吸光度変化量を測定した。
6)測定結果
上記試薬を用いて、血清アルブミンを測定した際の吸光度変化量を表1に示した。また、L−アルギニンおよびシステアミン塩酸塩を用いた場合の検量線を図1および図2にそれぞれ示した。
表1並びに図1および図2に示したように、アルブミン濃度が高くなるにしたがって、吸光度が減少する。したがって、アミノ基含有化合物を用いた場合、検量線が作成でき、アルブミンを測定できることが判明した。
本発明法では抗原抗体反応抑制剤として、アミノ基含有化合物を用いることにより、反応吸光度が測定可能なレベルに抑えられている。これは、抗体に結合しようとするアルブミンが、抗原抗体反応抑制剤の効果により結合できなくなり、アルブミンの競争反応と阻害反応を合わせて行うことによって、吸光度が適切にコントロールされた結果と考えられる。一方、抗原抗体反応抑制剤を添加しなかった場合には自動分析装置の測定可能吸光度をオーバーしてしまい、測定することができなかった。このように、ラテックス免疫比濁法を用いて、血清アルブミンを無希釈で測定する方法は、これまでに全く報告されておらず、本発明の方法は、極めて有益な方法であるといえる。
抗原抗体反応抑制剤として二価金属イオンを用いた血清アルブミンの定量
抗原抗体反応抑制剤として、二価金属イオンを用いて、試料無希釈で、血清中のアルブミンを定量できるかどうか、すなわち、定量のための検量線を作成できるかどうかを検討した。
1)ヒトアルブミン感作ラテックス粒子の調製
実施例1の1)の調製と同様にして、ラテックス濃度5%のヒトアルブミン感作ラテックス粒子懸濁液を得た。
2)第一試薬の調製
さらに、このラテックス粒子懸濁液に、各種の抗原抗体反応抑制剤として、塩化カルシウム2000mM、塩化バリウム2000mM、または塩化マグネシウム3000mMとなる様に添加し、さらにラテックス粒子濃度4%となる様にトリス緩衝液を添加し、第一試薬を調製した。また、対照試薬としてトリス緩衝液のみ添加した溶液を調製した。
3)抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション溶液(第二試薬)の調製
抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション溶液(タンパク濃度6.5g/ dL)1mLに対して、全量で5mL(タンパク濃度1.3g/dL)となる様に第一試薬に使用したと同様の抗原抗体反応抑制剤を同様の濃度でトリス緩衝液に添加して第二試薬を調製した。
4)各試薬の組成
調製した各試薬の組成は以下の通りである。
トリス緩衝液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
第一試薬
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
ヒトアルブミン感作ラテックス粒子 4%(v/v)
抗原抗体反応抑制剤(下記反応抑制剤のいずれかを使用)
塩化カルシウム 2000mM
塩化バリウム 2000mM
塩化マグネシウム 3000mM
第二試薬組成
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション 1.3g/dL(タンパク濃度)
抗原抗体反応抑制剤(下記反応抑制剤のいずれかを使用)
塩化カルシウム 2000mM
塩化バリウム 2000mM
塩化マグネシウム 3000mM
5)吸光度変化量の測定
血清アルブミン濃度の測定は日立7180型自動分析装置を用い、試料として血清2μLに対し第一試薬140μL、第二試薬140μLを反応させ、波長800nmにて19〜30測光ポイント間(R2添加後1分後から4分後に相当)において、2ポイントエンド法による吸光度変化量を測定した。
6)測定結果
上記試薬を用いて、血清アルブミンを測定した際の吸光度変化量を表2に示した。また、塩化カルシウムを用いた場合の検量線を図3に示した。
表2および図3に示したように、二価の金属イオンを用いて検量線を作成できることから、実施例1と同様に、血清中のアルブミンを測定できることが判明した。
抗原抗体反応抑制剤としてチオシアン酸塩を用いた血清アルブミンの定量
抗原抗体反応抑制剤としてチオシアン酸塩を用いて、試料無希釈で、血清中のアルブミンを定量できるかどうか、すなわち、定量のための検量線を作成できるかどうかを検討した。
1)ヒトアルブミン感作ラテックス粒子の調製
実施例1と同様に、ラテックス濃度5%のヒトアルブミン感作ラテックス粒子懸濁液を得た。
2)第一試薬の調製
さらに、このラテックス粒子懸濁液に、各種反応抑制剤として、チオシアン酸ナトリウム1500mMとなる様に添加し、さらにラテックス粒子濃度4%となる様にリン酸緩衝液を添加し、第一試薬を調製した。また、対照試薬としてリン酸緩衝液のみ添加した溶液を調製した。
3)抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション溶液(第二試薬)の調製
抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション溶液(タンパク濃度6.5g/ dL)1mLに対して、全量で5mL(タンパク濃度1.3g/dL)となる様に第一試薬に使用したと同様の抗原抗体反応抑制剤を同様の濃度でトリス緩衝液に添加して第二試薬を調製した。
4)各試薬の組成
調製した各試薬の組成は以下の通りである。
リン酸緩衝液
リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
第一試薬
リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
ヒトアルブミン感作ラテックス粒子 4%(v/v)
チオシアン酸ナトリウム 1500mM
第二試薬組成
リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mM、pH7.50
EDTA・2Na 1mM
抗ヒトアルブミンヤギ血清γフラクション 1.3g/dL(タンパク濃度)
チオシアン酸ナトリウム 1500mM
5)吸光度変化量の測定
血清アルブミン濃度の測定は日立7180型自動分析装置を用い、試料として血清2μLに対し第一試薬140μL、第二試薬140μLを反応させ、波長800nmにて19〜30測光ポイント間(R2添加後1分後から4分後に相当)において、2ポイントエンド法による吸光度変化量を測定した。
6)測定結果
上記試薬を用いて、血清アルブミンを測定した際の吸光度変化量を表3に示した。
表3に示したように、チオシアン酸塩を用いることにより、実施例1および2と同様に、検量線が作成できることから、血清中のアルブミンを試料無希釈で定量できることが判明した。
抗原抗体反応抑制剤として環状アミド化合物を用いた血清アルブミンの定量
抗原抗体反応抑制剤として環状アミド化合物を用いて、試料無希釈で、血清中のアルブミンを定量できるかどうか、すなわち、定量のための検量線を作成できるかどうかを検討した。
抗原抗体反応抑制剤として、アミノ基含有化合物の代わりに、環状アミド化合物(850mMの5−メチル−2−ピロリジノン)を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、800nmにおける吸光度変化量を求めた。結果を表4に示す。
表4に示したように、環状アミド化合物を用いて実施例1〜3と同様に、血清中のアルブミンを測定できることが判明した。
抗原抗体反応抑制剤としてL−アルギニンを用いて、血清アルブミンを測定した場合の検量線を示す。 抗原抗体反応抑制剤としてシステアミン塩酸塩を用いて、血清アルブミンを測定した場合の検量線を示す。 抗原抗体反応抑制剤として塩化カルシウムを用いて、血清アルブミンを測定した場合の検量線を示す。

Claims (12)

  1. 測定すべき抗原を含む試料と、該抗原に対する抗体と、該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物であって該抗体と抗原抗体反応し得る類似物に担持した微細粒子とを混合して、該抗体と、試料中の抗原および微細粒子が担持した該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物との間で、抗原抗体反応を競合させて、該抗体と微細粒子が担持した該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物との抗原抗体反応による凝集の度合いから、測定すべき抗原を定量する競合的均一系免疫凝集測定法において、
    試料が生体由来の液体試料であり、測定すべき抗原が該液体試料中に高濃度で存在する蛋白質であってアルブミン、IgG、IgAまたはIgMであり、該抗体と、試料中の抗原および微細粒子が担持した該抗原と同じ抗原または該抗原の類似物との間で、抗原抗体反応を競合させる際に、抗原抗体反応抑制剤を共存させて、競合する抗原抗体反応を抑制し、無希釈系で、測定すべき抗原を測定することを特徴とする、抗原の測定法。
  2. 抗原抗体反応抑制剤が、塩基性アミノ基含有化合物、環状アミド化合物、二価の金属イオンまたはチオシアン酸塩である請求項1の測定法。
  3. 抗原抗体反応抑制剤が、30℃で水に0.3M以上溶解するものである請求項1または2の測定法。
  4. 塩基性アミノ基含有化合物が、L−アルギニン、グアニジン、L−プロリン、システアミン、塩化コリン、N−トリスメチル−3−アミノプロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L−リシン、L−ヒスチジン、グアニド酢酸、クレアチン、グアニン、アデニン、クレアチニン、尿酸またはそれらの塩である請求項2の測定法。
  5. 環状アミド化合物が5員環もしくは6員環の環状アミド化合物またはその塩である請求項2の測定法。
  6. 5員環の環状アミド化合物が、5−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、3−メチル−2−ピロリジノン、4−メチル−2−ピロリジノンまたはその塩である請求項5の測定法。
  7. 6員環の環状アミド化合物が、2−ピペリドン、3−メチル−2−ピペリドン、4−メチル−2−ピペリドン、5−メチル−2−ピペリドン、6−メチル−2−ピペリドンまたはその塩である請求項5の測定法。
  8. 二価の金属イオンが、カルシウムイオン、バリウムイオンまたはマグネシウムイオンである請求項2の測定法。
  9. 抗原抗体反応抑制剤を0.3M以上の濃度となる量で共存させる請求項1から8のいずれかの測定法。
  10. 汎用性の自動分析装置を用いて測定する請求項1から9のいずれかの測定法。
  11. 抗原抗体反応による凝集の度合いを、波長が700〜850nmの吸光度により測定する請求項1から10のいずれかの測定法。
  12. 波長が750〜800nmである請求項11の測定法。
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