JPH073424B2 - 免疫学的診断試薬 - Google Patents

免疫学的診断試薬

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JPH073424B2
JPH073424B2 JP7497686A JP7497686A JPH073424B2 JP H073424 B2 JPH073424 B2 JP H073424B2 JP 7497686 A JP7497686 A JP 7497686A JP 7497686 A JP7497686 A JP 7497686A JP H073424 B2 JPH073424 B2 JP H073424B2
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康夫 木原
健二郎 森
孝 辻
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は免疫学的診断試薬に関し、詳しくは、免疫活性
物質を固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散
液からなり、ラテツクス凝集反応において非特異的凝集
反応がなく、且つ、凝集反応の判定が容易であると共
に、検体の個体間差によらずに安定した高い特異的凝集
反応性を有し、更に、保存安定性にすぐれる免疫学的診
断試薬に関する。
(従来の技術) 近年、人間や動物の病理的状態或いはその他の状態の医
学的診断のために、血液、尿その他の体液中の生理活性
物質が有する免疫活性を利用する免疫学的診断方法が広
く用いられている。この方法は、免疫学的な反応を起こ
す抗原又は抗体のいずれか一方、又は両者を組合せて体
液等の被検液と反応させ、抗原又は抗体と、これらに対
応する抗体又は抗原との間の特異的な反応、即ち、抗原
抗体反応に基づく凝集反応又は凝集阻止反応によつて、
上記のような免疫活性成分の存在を測定する方法であ
る。この場合、肉眼又は顕微鏡等の光学的手段による観
察を容易にするために、一般に、抗原又は抗体は微粒子
状の担体、例えば、ラテツクス、赤血球等に担持されて
診断試薬とされ、通常、pHを中性近傍とした水性媒体中
でのこのような粒子の凝集反応の有無を利用して、血清
等の体液中の被検成分が測定される。
例えば、微粒子がラテツクスからなる診断試薬の凝集反
応について説明すると、抗原又は抗体を担持させた微粒
子を含有する水性分散液からなる診断試薬を被検液と混
合すると、上記抗原又は抗体に対応する被検液中の抗体
又は抗原は、微粒子上の抗原又は抗体と特異的に反応
し、ラテツクス凝集反応、即ち、前述したように、肉眼
的に観察し得、又は光学的手段によつて検知し得る微粒
子の凝集反応が生じる。しかし、被検液中に測定すべき
抗体又は抗原が存在しない場合は、肉眼的及び光学的手
段によつて観察検知し得る凝集は起こらない。このよう
にして、抗原又は抗体を担持させた微粒子の凝集反応の
有無によつて、被検液中の抗体又は抗原の存在を決定す
ることができる。
このような免疫学的診断試薬は、免疫活性物質、即ち、
抗原又は抗体が微量にでも被検液中に存在すれば、これ
を検出し得る高い感度と、目的とする免疫活性物質との
み反応する高い特異性を有することが要求される。更
に、長期間の保存によつても、高い検出感度及び特異性
を保持することが要求される。
このような免疫学的診断試薬としては、従来、ポリスチ
レンラテツクス粒子表面に抗原及び抗体を物理吸着によ
り固定化してなる診断試薬や、カルボキシル化ラテツク
ス粒子にカルボジイミド、ジアルデヒド等を用いて共有
結合により固定化してなる診断試薬等が提案されてい
る。しかし、従来のかかる診断試薬は、いずれも、血清
等のような被検液と反応させたとき、対応する抗体又は
抗原を含む陽性血清のみならず、対応する抗体又は抗原
を含まない陰性血清に対しても凝集反応を起こすことが
ある。このような凝集反応は非特異的凝集反応と呼ばれ
ており、しばしば診断を誤まらせることがある。このよ
うな非特異的凝集反応が起こる理由は必ずしも明らかで
はないが、一つには血清中に含まれる補体等の因子によ
るものと考えられる。同時に、これらの非特異的凝集反
応を生じさせる因子の有無や含有量は、検体に個人差が
あつて、場合によつては診断を誤らせる。
一方、従来からラテツクス粒子の非特異的凝集を防ぐこ
とを目的として、ラテツクス凝集反応の有無の判定を行
なう際に、血清をグリシン等の緩衝液で希釈したり、或
いは血清中の補体を失活させる非働化処理を施すことが
行なわれている。しかし、このような処理によつては、
非特異的凝集を十分に抑制することは困難であり、ま
た、手間を要して、診断に時間がかかるという問題があ
る。
このような免疫学的診断試薬における問題を解決するた
めに、従来より、非特異的凝集反応を抑制することを目
的として、診断試薬に添加剤を添加することが一般に行
なわれており、かかる添加剤として、例えば、グリコー
ル類や、ゼラチン、アルブミン等のタンパク質、或いは
ポリアニオン等が知られている。しかし、これらの添加
剤の効果は一般に十分ではないので、近年、添加剤とし
て、例えば、シヨ糖及び塩化コリン(特開昭54-026327
号公報)、N,N−ジアルキルアミドやジ低級アルキルス
ルホキシド(特開昭55-160853号公報)等が提案されて
いる。
更に、近年になつて、種々の無機塩類が非特異的凝集を
抑制する効果をもつ添加剤として提案されている。例え
ば、特開昭56-158947号公報には、グアニジン、グアニ
ジン塩酸塩、グアニジニウムチオシアン酸塩、尿素等を
代表例とするケイオトロピツク(chaotropic)剤と共
に、似ケイオトロピツク剤として塩化リチウム、臭化リ
チウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウ
ムのようなハロゲン化アルカリ金属や、塩化カルシウム
のようなハロゲン化金属が記載されている。
しかし、上記した添加剤を含有する免疫学的診断試薬
も、依然として非特異的凝集を抑制する効果が満足すべ
きものではなく、特に、血清を希釈することなく、原血
清を免疫学的診断試薬と混合したとき、非特異的凝集が
往々にして起こる。特に、上記したような塩類を添加剤
として用いるとき、このような傾向が著しい。
このために、特開昭57-35754号公報には、免疫学的診断
試薬にハロゲン化アルカリ金属を0.2モル/l以上の高濃
度にて含有させることが記載されている。しかし、一般
に、添加剤を高濃度に配合するときは、免疫学的診断試
薬の本来の特異的凝集反応をも抑制する傾向があり、実
用的な添加剤の濃度は自ずから限られることとなる。
従つて、検体の個体間差によらずに、安定した高い特異
凝集反応性を有する一方、非特異的凝集反応が十分に抑
制された免疫学的診断試薬が強く要望されている。
他方、免疫学的診断試薬は、一般に室温又はそれ以上の
温度での保存安定性に劣り、特に、添加剤として無機塩
類を用いるときにこの傾向が強いので、免疫学的診断試
薬は、従来、10℃以下の温度で保存されることが多い。
しかし、このような場合、使用に際しては、再び室温に
戻す煩瑣な手間を必要とするので、従来より室温で保存
することができ、且つ、この室温での保存によつて、自
然凝集を起こすことなく、しかも、診断への使用に当た
つては、高い検出感度を保持しているように、保存安定
性にすぐれた免疫学的診断試薬が強く要望されている。
このように、従来、種々の添加剤を含有する免疫学的診
断試薬が提案されているが、尚、非特異的凝集が十分に
抑制されていないと共に、検体の個体間差による影響が
大きく、また、診断試薬が保存安定性に劣る問題があ
る。
(発明の目的) 本発明者らは、免疫学的診断試薬における上記の問題を
解決するために鋭意研究した結果、免疫活性物質を固定
化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散液からなる
免疫学的診断試薬において、これにある種のアミノカル
ボン酸又はアミノスルホン酸又はこれらの塩と共にチオ
シアン酸塩を溶解共存させることにより、前記無機塩類
系の添加剤を含めて、従来より知られている添加剤に比
較して、検体の個体間差によらずに安定した高い特異的
凝集反応性を確保させると共に、非特異的凝集を抑制す
る効果に格段にすぐれ、更に、保存安定性にも格段にす
ぐれる免疫学的診断試薬を得ることができることを見出
して、本発明に至つたものである。
従つて、本発明は、血清を希釈することなく、しかも、
非働化処理も行なわずに、非特異的凝集反応が抑制さ
れ、且つ、検体の個体間差によらずに安定した高い特異
的凝集反応性を有すると共に、低温のみならず、室温又
はそれ以上の高い温度での保存安定性にすぐれた免疫学
的診断試薬を提供することを目的とする。
(発明の構成) 本発明による免疫学的診断試薬は、免疫活性物質が固定
化された水分散型高分子重合体粒子の水性分散液からな
る免疫学的診断試薬において、上記水性分散液に (a)一般式 (但し、X及びYは水素又は置換基を有していてもよい
アルキル基、シクロアルキル基又は相互に結合してなる
環状アミノ基残基を示し、Zは置換基を有していてもよ
いアルキレン基を示す。但し、X及びYは同時には水素
ではない。) で表わされる第2級又は第3級アミノ基を有するアミノ
スルホン酸又はその塩、 (b)チオシアン酸塩、及び (c)pH調整剤としてのアンモニア又は有機アミン が配合されてなることを特徴とする。
本発明による免疫学的診断試薬において、免疫活性物質
を固定化するための担体である水分散型高分子重合体粒
子の平均粒径は、好ましくは0.03〜2μm、特に好まし
くは0.1〜1μmである。平均粒径が小さすぎると、免
疫活性物質を固定化した水分散型高分子重合体粒子の抗
原抗体反応による凝集を肉眼で観察することが困難であ
り、一方、大きすぎるときは、重合体粒子に安定な分散
状態を保持させるのが困難となるからである。また、重
合体粒子の比重は、0.9〜1.5の範囲にあることが好まし
く、更に、後述するように、免疫活性物質を固定化した
後の比重が1.0〜1.3の範囲にあることが好ましい。重合
体粒子が免疫活性物質の固定化の前後に上記範囲よりも
小さい比重を有するときは、重合体粒子がその水性分散
液における水性媒体表面に浮遊して、分散安定性に劣る
ようになり、一方、上記範囲よりも大きいときは、粒子
が分散液の水性媒体中に沈降し、凝集しやすくなつて、
同様に分散安定性に劣るようになるからである。
本発明において用いる水分散型高分子重合体粒子は、通
常、不飽和二重結合を有する単量体の一又は二以上の乳
化重合によつて調製される。かかる単量体としては、例
えば、エチレン、プロピレン等のオレフイン系単量体、
酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系単量体、スチレ
ン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単
量体、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル系単量
体、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル系単
量体、ブタジエン等のジエン系単量体等が用いられる。
また、これら単量体の単独重合体又は共重合体粒子に官
能基やイオン性基を与え、又は粒子の水性媒体中での分
散安定性を高める等を目的とする重合体粒子の改質のた
めに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アクリルアミド、スチレンスルホ
ン酸ナトリウム、スルホプロピル(メタ)アクリレート
ナトリウム塩、N−ビニルピロリドン等の単量体を前記
単量体と共重合させることもできる。
更に、上記単量体と共に、単量体成分として多官能性単
量体を内部架橋剤として乳化共重合させて、架橋させた
水分散型高分子重合体粒子を得ることもできる。内部架
橋剤は、重合体に架橋構造を導入するので、診断試薬中
に含まれれば好ましくない水溶性重合体の生成を抑制す
ると共に、得られる重合体粒子のガラス転移温度を高め
ることができる。更に、内部架橋剤は、水分散型高分子
重合体粒子を非膨潤化して、重合体粒子の水性媒体中で
の分散安定性を高めるのに効果がある。
かかる内部架橋用多官能性単量体としては、例えば、脂
肪族多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが好ま
しく用いられる。具体例として、例えば、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メ
タ)アクリレート等が好ましく用いられる。また、ジビ
ニルベンゼンやN,N′−メチレンビスアクリルアミド等
も内部架橋剤として用いることができる。
尚、個々の単量体の具体的な種類は、得られる水分散型
高分子重合体粒子が免疫活性物質を固定化した診断試薬
として、保存時に融着、凝集を起こさないように、所要
のガラス転移点を有するように選ばれる。重合体粒子の
ガラス転移点は、診断試薬の保存温度及び診断試薬の使
用温度を考慮して、好ましくは10℃以上、特に室温以上
である。
免疫活性物質を共有結合にて上記水分散型高分子重合体
粒子に固定化する場合や、後述するように、所謂スペー
サ基を介して水分散型高分子重合体粒子に免疫活性物質
を固定化する場合には、重合体粒子はその表面に官能基
を有することが必要である。このような官能基として
は、例えばカルボキシル基、水酸基、グリシジル基、ア
ミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、イソチオシアナ
ート基、アジドカルボニル基、ヒドラジド基、酸無水物
基等を挙げることができる。従つて、これらの官能基を
有する重合体粒子を調製するには、単量体成分として、
例えば、アクリル酸、メタクリル酸のようなカルボキシ
ル基を有する単量体、例えば、ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシメチルメタクリレートのような
水酸基を有する単量体、例えば、グリシジルメタクリレ
ートのようなグリシジル基を有する単量体を、必要に応
じて、他の共重合性単量体と乳化共重合させることによ
つて、それぞれカルボキシル基、水酸基及びグリシジル
基を有する水分散型高分子重合体粒子を得ることができ
る。
また、所要の単量体成分を重合させた後、得られた水分
散型高分子重合体粒子に官能基を導入することもでき
る。このための方法としては、例えば、アクリル酸エス
テルを単量体成分として重合させて得た重合体粒子を加
水分解することにより、カルボキシル基を有する重合体
粒子を得ることができる。また、アミノ基やヒドラジド
基を有する水分散型高分子重合体粒子を調製するには、
例えば、アクリルアミドのようなアミド基を有する単量
体、又はアクリル酸メチルのようなメチルエステル基を
有する単量体をそれぞれ他の単量体と乳化共重合し、得
られた共重合体中のアミド基をホフマン分解し、又はメ
チルエステル基をヒドラジンと反応させることにより得
ることができる。
しかし、このように官能基を有する水分散型高分子重合
体粒子に免疫活性物質を共有結合にて固定化するための
方法は、特に制限されず、従来より知られている任意の
方法によることができる。
更に、本発明による免疫学的診断試薬においては、水分
散型高分子重合体粒子に免疫活性物質を共有結合によつ
て固定化するに際して、必要に応じて、免疫活性物質の
重合体粒子上での自由度を高めるために、重合体粒子と
免疫活性物質とをスペーサ基を介在させて共有結合にて
結合させることができる。このスペーサ基は、予め重合
体粒子に結合させ、この後にこのスペーサ基と免疫活性
物質とを結合させてもよく、或いはスペーサ基を予め免
疫活性物質に結合させ、これを重合体粒子に結合させて
もよい。更に、必要に応じて、重合体粒子及び免疫活性
物質の両方に予めスペーサ基を結合させ、これらを相互
に結合させることもできる。
上記スペーサ基として用い得る化合物は、少なくとも二
官能性の有機化合物であり、多官能性の重合体を排除す
るものではないが、特に、炭素数1〜12の炭素鎖基を有
する二官能性の有機化合物が好ましい。このようなスペ
ーサ基として機能する化合物の具体例として、例えば、
ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、キ
シリレンジアミン等のジアミン類、グリシン、β−アミ
ノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン
酸、ε−アミノカプリル酸等のアミノアルキルカルボン
酸、リジン、グルタミン酸、β−アラニン、アルギニ
ン、グリシルグリシルグリシン等のアミノ酸類等が好ま
しく用いられるが、これらに限定されるものではない。
このスペーサ基は、予め重合体粒子に結合させ、この後
にこのスペーサ基と免疫活性物質とを結合させてもよ
く、或いはスペーサ基を予め免疫活性物質に結合させ、
これを重合体粒子に結合させてもよい。更に、必要に応
じて、重合体粒子及び免疫活性物質の両方に予めスペー
サ基を結合させ、これらを相互に結合させることもでき
る。
前記した官能基を有する水分散型高分子重合体粒子に直
接に免疫活性物質を共有結合にて固定化し、又は重合体
粒子にスペーサ基を結合し、また、このスペーサ基に免
疫活性物質を共有結合にて固定化するための方法は、特
に制限されず、従来より知られている任意の方法による
ことができる。例えば、好ましい方法の一つとして、結
合試薬として水溶性カルボジイミドを用いる方法を挙げ
ることができる。例えば、アミノアルキルカルボン酸を
スペーサ基として用いる場合であれば、水溶性カルボジ
イミドを用いて、アミノアルキルカルボン酸を水分散型
高分子重合体粒子に結合させ、次いで、この重合体粒子
に結合されたアミノアルキルカルボン酸に水溶性カルボ
ジイミドを用いて同様にして、免疫活性物質を共有結合
にて固定化することができる。
かかる方法において用いる水溶性カルボジイミドとして
は、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミド塩酸塩、1−シクロヘキシル−
3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−
p−トルエンスルホネート等を挙げることができる。こ
のような水溶性カルボジイミドを用いて、スペーサ基を
介して、又は介さずして直接に、共有結合によつて免疫
活性物質を重合体粒子に固定化するには、従来より知ら
れている通常の方法及び条件によることができる。例え
ば、スペーサ基を用いる場合であれば、重合体粒子の水
性分散液にスペーサ基と共に適宜量、例えば、水性分散
液の単位容量当りに0.01〜10mg/mlとなるように水溶性
カルボジイミドを添加し、通常の条件、例えばpHを4〜
10に保持して、5〜60℃程度の温度で数分乃至数十時
間、通常、1〜5時間程度反応させればよい。次いで、
このスペーサ基を結合させた重合体粒子に同様にして免
疫活性物質を固定化すればよい。
また、官能基が水酸基であるときは臭化シアン法によ
り、また、アミノ基であるときはジアルデヒドと反応さ
せ、これら官能基を活性化することによつて、スペーサ
基を結合させ、次いで、上記と同様にして免疫活性物質
を重合体粒子に共有結合にて固定化することができる。
また、重合体粒子に直接に免疫活性物質を固定化するこ
ともできる。
勿論、本発明においては、免疫活性物質を上記した共有
結合法以外の従来より知られている任意の方法、例え
ば、物理吸着法やイオン結合法等によつて固定化しても
よい。よく知られているように、物理吸着法による場合
は、担体としての水分散型高分子重合体粒子は、前記し
た単量体が適宜に選ばれて、単独若しくは共重合され
て、表面が疎水性であるように調製され、また、イオン
結合法による場合は、水分散型高分子重合体粒子はイオ
ン性基を有するように調製される。
しかし、このように免疫活性物資が物理吸着法やイオン
結合法によつて水分散型高分子重合体粒子に固定化され
ている場合は、免疫学的診断試薬の水性媒体のイオン強
度によつては、免疫活性物質の水分散型高分子重合体粒
子との結合状態が影響を受けて、例えば、特異凝集性の
低下や保存安定性に欠けることがあるので、本発明にお
いては、免疫活性物質は好ましくは共有結合法によつて
水分散型高分子重合体粒子に固定化される。但し、上記
した問題が生起しないときは、免疫活性物質を物理吸着
法やイオン結合法によつて水分散型高分子重合体粒子に
固定化してもよいのは当然である。
本発明において用いる免疫活性物質としては、特に制限
はなく、抗原、抗体及びハプテン等いずれを用いてもよ
い。例えば、ヒト及び動物免疫グロブリン、変性免疫グ
ロブリン、α−フエトプロテイン、C反応性タンパク
(CRP)や肝炎ウイルス関連抗原、風疹HA抗原等の各種
ウイルス抗原、トキソプラズマ、マイコプラズマ、梅毒
トレポネーマ等の種々の細菌、真菌、毒素等の微生物抗
原、アルブミン、補体成分等の各種血漿タンパク成分、
エストロゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)等の
各種ホルモン等が挙げられ、また、これらの抗原成分に
対する抗体等も使用することができる。
本発明による免疫学的診断試薬は、上記のように固定化
した免疫活性物質の失活が起こらないように、水分散型
高分子重合体粒子が適当なpH及び濃度のグリシン緩衝
液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の緩衝液に分散され
ていると共に、この重合体粒子の水性分散液に粒子の非
特異的凝集を抑制するための添加剤として、前記一般式
(I) で表わされる第2級又は第3級アミノ基を有するアミノ
スルホン酸若しくはその塩と共に、一般式 MSCN (II) (但し、Mは1価の陽イオンを示す) で表わされるチオシアン酸塩とを含有する。ここに、上
記1価の陽イオンは、アルカリ金属イオン又はアンモニ
ウムイオンが好適であり、アルカリ金属イオンとして
は、特に、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びリチ
ウムイオンが好ましい。
先ず、本発明による免疫学的診断試薬において、上記緩
衝液の濃度は、通常、0.2M以下の範囲が適当であり、好
ましくは0.01〜0.1Mの範囲である。
上記一般式(I)で表わされるアミノスルホン酸におい
て、アミノ基は第2級又は第3級であることを必要と
し、第1級の場合は、これを添加剤として用いても、非
特異的凝集を抑制する効果は殆ど得られない。
一般式(I)において、X及びYは水素又は置換基を有
していてもよい鎖状又は分岐鎖状アルキル基、シクロア
ルキル基又は相互に結合してなる環状アミノ基残基を示
し、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜5
の鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数5〜8のシクロ
アルキレン基又は5〜6員環の環状アミノ基残基を示
す。従つて、X及びYの好ましい具体例として、例え
ば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロ
キシプロピル基、トリ(ヒドロキシメチル)メチル基、
カルバモイルメチル基、シクロヘキシル基等の置換基を
有していてもよいアルキル基やシクロアルキル基、以下
に示すようなモルホリノ基等の環状アミノ基残基を挙げ
ることができる。但し、X及びYは同時には水素ではな
い。
また、一般式(I)におけるZは、置換基を有していて
もよいアルキレン基を示し、好ましくは置換基を有して
いてもよい炭素数1〜4の鎖状又は分岐鎖状アルキレン
基を示す。置換基としては、例えば、水酸基を挙げるこ
とができる。Zの好ましい具体例として、例えば、エチ
レン基、プロピレン基、ヒドロキシプロピレン基等を挙
げることができる。
従つて、アミノスルホン酸の好ましい具体例として、例
えば、 (1)(HOCH2CH2)2NCH2CH2SO3H (2)(HOCH2CH2)2NCH2CH(OH)CH2SO3H (3)(HOCH2CH2)3CNHCH2CH2SO3H (4)(HOCH2CH2)3CNHCH2CH2CH2SO3H (5)(HOCH2CH2)3CNHCH2CH(OH)CH2SO3H (6)H2NCOCH2NHCH2CH2SO3H 等を挙げることができる。
尚、本発明によれば、上記アミノスルホン酸に代えて、
一般式(III) A3−mN(B−COOH)m (III) で表わされる第2級又は第3級アミノ基を有するアミノ
カルボン酸又はその塩を用いることができる。
上記一般式(III)で表わされるアミノカルボン酸にお
いても、アミノ基は第2級又は第3級であることを必要
とし、第1級の場合は、これを添加剤として用いても、
非特異的凝集を抑制する効果は殆ど得られない。
また、上記一般式(III)において、Aは水素又は置換
基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を
示し、アルキル基の場合、その炭素数は好ましくは1〜
5である。mは1又は2である。但し、mが2のとき、
Aは同時には水素ではない。Aにおける置換基として、
例えば、水酸基やカルバモイル基を挙げることができ
る。従つて、Aの好ましい具体例として、例えば、ヒド
ロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、トリ(ヒドロキ
シメチル)メチル基、カルバモイルメチル基等を挙げる
ことができる。
また、Bは置換基を有していてもよいアルキレン基、好
ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。従つて、
Bの好ましい具体例として、メチレン基、エチレン基等
のようなアルキレン基を挙げることができる。このアル
キレン基も水酸基のような置換基を有していてもよい。
従つて、上記アミノカルボン酸の好ましい具体例とし
て、例えば、 (14)(HOCH2CH2)2NCH2COOH (15)(HOCH2)3CNHCH2COOH (16)H2NCOCH2N(CH2COOH)2 等を挙げることができる。
本発明においては、上記アミノスルホン酸又はアミノカ
ルボン酸は、前述したように、ナトリウム塩やカリウム
塩のようなアルカリ金属塩や、アンモニウム塩等の塩と
しても用いることもできる。
本発明においては、このようなアミノスルホン酸又はア
ミノカルボン酸又はこれらの塩とチオシアン酸塩の水分
散型高分子重合体粒子の水性分散液における含有量は、
それぞれの至適濃度に基づくある範囲内であることが好
ましい。即ち、本発明によれば、上記添加剤をある濃度
範囲内で用いることによつて、検体の固体間差によらず
に安定して、陰性活性を実質的に消滅させると共に、高
い特異的凝集反応性、即ち、陽性活性を確保することが
でき、更に、それぞれの添加剤の有効な使用範囲が拡大
されるのである。
一般に、免疫学的診断試薬は、原因は必ずしも明らかで
はないが、検体の個体間に非特異的凝集反応を生じさせ
る因子の強度に差が認められること、及び特異的凝集反
応を起こさせる因子、例えば、抗体等の強度や濃度にも
個体間差が認められる。従つて、添加剤を含有する免疫
学的診断試薬においては、陽性活性を保持しつつ、陰性
活性を抑制すると共に、上記したように、個体間差によ
る影響を極力排除することを意図して、添加剤は、通
常、至適濃度といわれる範囲で診断試薬に添加される。
ここに、至適濃度とは、単独の添加剤を含有させた免疫
学的診断試薬において、その生理活性を低下させない添
加剤の最高濃度をXとし、非特異的凝集反応を抑制し得
る添加剤の最低濃度をYとするとき、これらの中間濃度
Zとして定義される濃度であつて、次式で表わされる。
即ち、至適濃度は、第1図に示すように、模式的には、
非特異的凝集が現れず、且つ、陽性活性が最大である濃
度領域の中間点濃度である。かかる至適濃度をはずれた
範囲で添加剤を含有する免疫学的診断試薬を用いる場合
は、例えば、検体と試薬の混合比によつては、陽性が陰
性に、或いは陰性が陽性として判定されるように凝集性
が異なることがあり、診断を誤らせることがある。
しかし、現実には、検体が特に強い非特異的凝集性を有
する場合には、添加剤を至適濃度範囲で用いても、例え
ば、(±)と判定されることもあり、また、診断の対象
となる症状が初期であるような場合には、検体が弱い陽
性活性を有するので、(−)に判定されることがある。
このような場合、従来は、異常値や検出限界外であると
して処理されている。
本発明の免疫学的診断試薬においては、それぞれの至適
濃度に基づいて、各添加剤を所定の範囲の濃度で添加す
るとき、上記した個体間差を大幅に除いて、安定して高
い特異的凝集反応性と低い非特異的凝集反応性とを確保
することができる。
即ち、アミノスルホン酸又はアミノカルボン酸又はこれ
らの塩を単独で用いる場合の至適濃度をZA、チオシアン
酸塩を単独で用いる場合の至適濃度をZBとし、本発明の
免疫学的診断試薬に含有されるそれぞれの添加剤の濃度
をA及びBとするとき、 0.15ZA≦A≦0.8ZA 0.2ZB≦B≦1.1ZB 0.8(ZA+ZB)≦A+B≦1.3(ZA+ZB) を満たすように、A及びBが決定されるのが好ましい。
即ち、本発明の免疫学的診断試薬においては、アミノス
ルホン酸又はアミノカルボン酸又はこれらの塩の至適濃
度Aは、これを単独で用いる場合の至適濃度ZAの15〜80
%の範囲とし、チオシアン酸塩の至適濃度Bは、これを
単独で用いる場合の至適濃度ZBの20〜110%の範囲と
し、且つ、上記アミノスルホン酸又はアミノカルボン酸
又はこれらの塩とチオシアン酸塩の総濃度A+Bは、そ
れぞれの単独の至適濃度の合計量ZA+ZBの80〜130%の
範囲とする。
アミノスルホン酸又はアミノカルボン酸又はこれらの塩
の濃度が、これを単独で用いる場合の至適濃度の15%よ
りも小さいとき、及び/又はチオシアン酸塩の濃度がこ
れを単独で用いる場合の至適濃度の20%よりも小さいと
きは、これら添加剤の併用添加による非特異的凝集反応
の抑制効果を十分に得ることができず、他方、アミノス
ルホン酸又はアミノカルボン酸又はこれらの塩の濃度
が、これを単独で用いる場合の至適濃度の80%よりも大
きいとき、及び/又はチオシアン酸塩の濃度がこれを単
独で用いる場合の至適濃度の110%よりも大きいとき
は、陽性活性自体が低くなるからである。
更に、アミノスルホン酸又はアミノカルボン酸又はこれ
らの塩と、チオシアン酸塩の濃度との合計濃度が、それ
ぞれの添加剤の至適濃度の合計濃度の80%よりも小さい
ときは、検体が強い非特異的凝集反応性を有する場合、
所期の効果を得ることが困難であり、他方、それぞれの
添加剤の至適濃度の合計濃度の130%よりも大きいとき
は、特異的凝集性を低下させる傾向があるからである。
更に、本発明による免疫学的診断試薬は、水分散型高分
子重合体粒子の分散安定性及び抗原抗体反応等の生理反
応の活性を考慮して、そのpHを通常、6〜9、好ましく
は7〜8.5の範囲に調整するために、アンモニア又は前
記アミノスルホン酸及びアミノカルボン酸以外の有機ア
ミンをpH調整剤として溶解含有する。このようなpH調整
剤の使用量は、用いる添加剤アミノスルホン酸やアミノ
カルボン酸によつても異なるので、特に限定されない
が、通常、0.1〜30倍モル、好ましくは0.5〜2倍モルの
範囲である。かかる有機アミンとしては、特に、限定さ
れるものではないが、トリスヒドロキシメチルアミノメ
タン)(以下、単にトリスという。)や、ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メ
タン(以下、単にビストリスという。)等が好ましく用
いられる。
また、診断試薬における重合体粒子の濃度は、通常、診
断試薬の総重量に基づいて0.01〜5重量%の範囲である
が、好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。尚、本発
明による免疫学的診断試薬には、防腐効果を与えるため
に、アジ化ナトリウム等の防腐剤を添加してもよい。
本発明による免疫学的診断試薬は、例えば、一つの方法
として、血清を希釈し、これを用いて免疫学的診断を行
なう場合に、アンモニア又は有機アミンを添加溶解させ
ることによつてpHを調整した希釈液に上記アミノスルホ
ン酸、アミノカルボン酸又はこれらの塩とチオシアン酸
塩とを緩衝液に溶解含有させ、次いで、これを免疫活性
物質を固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散
液に添加混合することにより調製することができる。ま
た、免疫活性物質を固定化した水分散型高分子重合体粒
子の水性分散液に、アンモニア又は有機アミンを添加溶
解させてpHを調整した上記アミノスルホン酸、アミノカ
ルボン酸又はこれらの塩とチオシアン酸塩とを含む水溶
液を添加混合して、免疫学的診断試薬を調製し、これを
保存することができる。但し、本発明による免疫学的診
断試薬の調製方法は、これに限定されるものではない。
更に、本発明による免疫学的診断試薬は、従来より知ら
れている添加剤を含有させることもできる。かかる添加
剤としては、例えば、ヒト、ウシ、ウマ、ウサギ等の動
物血清や血清アルブミン、ゼラチン、糖類、ポリビニル
ピロリドン、ポリエチレングリコール等を挙げることが
できる。これらの添加剤を通常、診断試薬の総重量に基
づいて0.1〜2重量%の範囲で本発明によるアミノカル
ボン酸やアミノスルホン酸と併用することによつて、多
くの場合、免疫学的診断試薬の非特異的凝集の抑制効果
を高めることができ、また、沈降現象を抑制して、診断
時の凝集の有無判定を容易ならしめることができる。
本発明による免疫学的診断試薬を使用する免疫学的診断
は、例えば、診断試薬と被検液とをガラス板又はプラス
チツク板の窪み又は平面板上又はマイクロプレートにお
いて混合し、肉眼又は顕微鏡観察によつて、重合体粒子
の凝集の有無を判定することにより行なわれる。また、
凝集の有無を光学的な変化として判定することもでき
る。
マイクロプレートを用いる方法は、診断に要する液量を
減じて、短時間に検出を行なう高感度検出法であり、一
般に、高濃度の血清は、微粒子を凝集させる傾向が強い
ので、検体血清はこれを高度に希釈して用いる必要があ
る。しかしながら、本発明によつて、凝集反応液中にpH
を調整したアミノスルホン酸又はアミノカルボン酸と共
にチオシアン酸塩とを溶解含有させることにより、非特
異的凝集が抑制されるのみならず、特異凝集活性が高め
られ、しかも、有効範囲が拡大されて、検体の個体間差
によらずに、安定した性能を得ることができる。
(発明の効果) 以上のように、本発明の免疫学的診断試薬は、免疫活性
物質を固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散
液に、前記した特定のアミノスルホン酸、アミノカルボ
ン酸又はこれらの塩と共にチオシアン酸塩を含有させて
なり、この結果、その理由は必ずしも明らかではない
が、重合体粒子の非特異的凝集が完全に阻止されるの
で、診断に際して、血清が緩衝液で希釈したり、或いは
非働化処理しなくとも、迅速に正確な判定を行なうこと
ができる。しかも、添加剤の使用濃度範囲が拡大され
て、検体の個体間差によらずに、安定した高い性能を得
ることができる。
更に、本発明による診断試薬は、従来の診断試薬に比較
して、長期間にわたる保存安定性にすぐれ、特に、低温
のみならず、室温又はそれ以上の比較的高い温度におい
ても、保存安定性にすぐれて、しかも、かかる保存後の
使用に際しても高検出感度を示す。
また、免疫活性物質の担体として用いる水分散型高分子
重合体粒子は、粒径を含む品質が均一であるうえに、そ
れ自体は免疫活性をもたないので、固定化操作が容易で
あると共に、固定化粒子は高い検出感度と高い特異性と
を有し、かくして、高精度での診断を可能とする診断試
薬を与える。
(実施例) 以下に本発明の実施例を示し、具体的に説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以
下においては、重合体粒子に免疫活性物質を固定化した
後、必要に応じて濾紙(No.5)にて濾過し、得られた分
散液に添加剤を添加して、診断試薬とした。
実施例1 (a)水分散型合成高分子重合体粒子の調製 メタクリル酸メチル8.0g、メタクリル酸イソブチル5.0
g、アクリル酸1.0g、メタクリロニトリル3.0g及びトリ
エチレングリコールジメタクリレート0.7gを蒸留水370g
に加え、更に蒸留水10gに過硫酸カリウム0.1gを溶解さ
せた重合開始剤水溶液を加えた後、窒素気流下、75℃の
温度で攪拌速度190rpmで攪拌しつつ、8時間重合を行な
つた。重合率99%にて平均粒径0.30μmの水分散型高分
子重合体粒子を含む水性分散液を得た。
この重合体粒子の水性分散液を最初、蒸留水にて4回遠
心洗浄し、次いで、0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)にて2
回遠心洗浄して、水相中の水溶性高分子を除去し、重合
体粒子を精製した後、この重合体粒子を0.01Mホウ酸緩
衝液(pH7.5)に固形分が5重量%となるように再分散
させた。
(b)重合体粒子へのスペーサ基の結合 上で得た水分散型高分子重合体粒子の水性分散液100ml
とε−アミノカプロン酸水溶液(0.02M)100mlとを混合
し、1N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.5に調製した。
0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)に溶解させた1−エチル−
3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩
酸塩水溶液(25mg/ml)20mlを上記水性分散液に加え、
室温で3時間、攪拌下に反応させた。一夜、冷蔵庫に放
置した後、0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)にて3回遠心洗
浄して、スペーサ基を結合された重合体粒子を得、これ
を0.01Mホウ酸緩衝液(pH7.5)に固形分5重量%になる
ように再分散させた。
(c)ウサギIgGの固定化 上で得たスペーサ基を有する水分散型高分子重合体粒子
の水性分散液5ml、0.1Mホウ酸緩衝液(pH7.5)2ml及び
蒸留水11mlを混合し、これに1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液
(2mg/ml)2mlを加え、10分後にウサギIgG水溶液(5mg/
ml)を5ml添加し、10℃で2時間反応させた。次に、反
応混合物中の余剰の水溶性カルボジイミドを消費するた
めに、10重量%L−アルギニン水溶液(pH7.5)5mlを加
え、1時間インキユベートした。次いで、0.01Mホウ酸
緩衝液(pH8.2)にて遠心洗浄を3回行なつた後、0.01M
ホウ酸緩衝液(pH8.2)に分散させて全量10mlに調整
し、かくして、ウサギIgGを前記スペーサ基を介して共
有結合にて固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性
分散液を得た。固定化量は重合体粒子1g当り約30mgであ
つた。
(d)アミノスルホン酸(1)とチオシアン酸アンモニ
ウムのそれぞれの至適濃度の決定 種々の濃度にて前記アミノスルホン酸(1)又はチオシ
アン酸アンモニウムとを含有し、トリスにてpHを8.0に
調整した水溶液と、前記ウサギIgGを固定化した水分散
型高分子重合体粒子の水性分散液とを混合して、上記ア
ミノスルホン酸又はチオシアン酸アンモニウムとを種々
の濃度にて含有する重合体粒子濃度1.0重量%の免疫学
的診断試薬を調製した。
この診断試薬と関節リウマチ因子陽性血清及び陰性血清
を原液のままそれぞれガラス板上にて等容量混合攪拌し
ながら、3分後に凝集状態を肉眼判定した。その結果を
第2図及び第3図に示す。
これらの結果から前記アミノスルホン酸(1)の至適濃
度は、前記式に基づいて0.36M/l、チオシアン酸アンモ
ニウムの至適濃度は0.33M/lである。
尚、血清としては、赤血球にIgGを固定したリウマチ診
断薬(富士レビオ社製RAHA)を160倍に希釈した陽性活
性試薬と20倍以下に希釈した陰性活性試薬を用いた。
(e)免疫学的診断試薬の調製 免疫活性物質としてウサギIgGを固定化した本試薬は、
リウマチ因子検出試薬として用いることができる。
上記と同様にして、前記アミノスルホン酸(1)の濃度
を0.14M/l(単独で用いる場合の至適濃度の39%)と
し、チオシアン酸アンモニウムの濃度を種々に変えて免
疫学的診断試薬を調製し、その活性を測定した。結果を
第4図に示す。この結果からチオシアン酸アンモニウム
の至適濃度は0.25M/lと計算される。この濃度は、チオ
シアン酸アンモニウムを単独で用いる場合の至適濃度の
76%である。また、この免疫学的診断試薬において、添
加剤の総濃度は、それぞれの添加剤の至適濃度の合計量
の115%である。
次に、チオシアン酸アンモニウムの濃度を0.125M/l(単
独で用いる場合の至適濃度の38%)とし、前記アミノス
ルホン酸(1)の濃度を種々に変えて免疫学的診断試薬
を調製し、その活性を測定した。結果を第5図に示す。
この結果から、前記アミノスルホン酸(1)の至適濃度
は0.19M/lであつて、単独で用いる場合の至適濃度の53
%である。この免疫学的診断試薬において、添加剤の総
濃度は、それぞれの添加剤の至適濃度の合計量の91%で
ある。
(f)アミノスルホン酸(8)の至適濃度の決定 種々の濃度にて前記アミノスルホン酸(8)を含有し、
トリスにてpHを8.0に調整した水溶液と、前記ウサギIgG
を固定化した水分散型高分子重合体粒子の水性分散液と
を混合して、上記アミノスルホン酸又はチオシアン酸ア
ンモニウムとを種々の濃度にて含有する重合体粒子濃度
1.0重量%の免疫学的診断試薬を調製した。
この診断試薬と関節リウマチ因子陽性血清及び陰性血清
を原液のままそれぞれガラス板上にて等容量混合攪拌し
ながら、3分後に凝集状態を肉眼判定した。その結果を
第6に示す。
この結果から、前記アミノスルホン酸(8)の至適濃度
は、前記式に基づいて0.15M/lである。
(g)免疫学的診断試薬の調製 チオシアン酸アンモニウムの濃度を単独で用いる場合の
至適濃度の38%である0.125M/lとし、前記アミノスルホ
ン酸(8)の濃度を種々に変えて免疫学的診断試薬を調
製し、その活性を測定した。結果を第7図に示す。この
結果から前記アミノスルホン酸(8)の至適濃度は0.11
3M/lであつて、単独で用いる場合の至適濃度の75%であ
る。この免疫学的診断試薬において、添加剤の総濃度
は、それぞれの添加剤の至適濃度の合計量の113%であ
る。
実施例2 実施例1と同様にして、種々の濃度にて添加剤を含有す
る免疫学的診断試薬を調製し、その活性を調べた。用い
た血清は前記したのと同じであり、その希釈倍率は、陽
性血清については、Aが640倍、Bが320倍、Cが160
倍、Dが80倍、Eが40倍であり、陰性血清はすべて20倍
以下である。結果を第1表に示す。
本発明による診断試薬においては、非特異的凝集反応が
起こらないが、対照診断試薬では非特異的凝集が生じ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は一般に添加剤濃度と凝集性との関係を示すグラ
フであつて、斜線領域が至適濃度範囲を示す。第2図は
チオシアン酸アンモニウムを単独で用いる場合の至適濃
度範囲を示すグラフ、第3図はアミノスルホン酸(1)
を単独で用いる場合の至適濃度範囲を示すグラフ、第4
図はアミノスルホン酸(1)の濃度を0.14M/lとしたと
きのアミノスルホン酸(1)の至適濃度範囲を示すグラ
フ、第5図はチオシアン酸アンモニウムの濃度を0.125M
/lとしたときのアミノスルホン酸(1)の至適濃度範囲
を示すグラフ、第6図はアミノスルホン酸(8)を単独
で用いる場合の至適濃度範囲を示すグラフ、第7図はチ
オシアン酸アンモニウムの濃度を0.125M/lとしたときの
アミノスルホン酸(8)の至適濃度範囲を示すグラフで
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】免疫活性物質が固定化された水分散型高分
    子重合体粒子の水性分散液からなる免疫学的診断試薬に
    おいて、上記水性分散液に (a)一般式 (但し、X及びYは水素又は置換基を有していてもよい
    アルキル基、シクロアルキル基又は相互に結合してなる
    環状アミノ基残基を示し、Zは置換基を有していてもよ
    いアルキレン基を示す。但し、X及びYは同時には水素
    ではない。) で表わされる第2級又は第3級アミノ基を有するアミノ
    スルホン酸又はその塩、 (b)チオシアン酸塩、及び (c)pH調整剤としてのアンモニア又は有機アミン が配合されてなることを特徴とする免疫学的診断試薬。
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