JP6634557B2 - プロテインsの活性測定試薬キット及び活性測定方法 - Google Patents

プロテインsの活性測定試薬キット及び活性測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料中のプロテインSの活性を正確、簡便かつ短時間に測定することができる活性測定試薬キット及び活性測定方法に関するものである。
本発明は、特に、臨床検査、臨床病理学及び医学などの生命科学分野等において有用なものである。
プロテインSは、生体内の血液凝固系の制御機構において中心的に機能する血漿タンパク質である。
このプロテインSは、主に血液中に存在するものであって、活性化プロテインCの補欠因子(補助因子)であり、活性化プロテインCの活性を上昇させることができ、血液中での活性化プロテインCの働きに欠かせないものである。
なお、活性化プロテインCは、ヒトにおける血液凝固を促進する活性化血液凝固第V因子(第Va因子;FVa)、及び活性化血液凝固第VIII因子(第VIIIa因子;FVIIIa)を分解することにより、血液凝固反応を抑制する役割を担った因子である。
プロテインSは、C4b結合タンパク質(補体第4因子b結合タンパク質;C4bBP)と1対1で特異的に結合し、複合体を形成する。つまり、C4b結合タンパク質は、プロテインSのリガンドとなる。
このプロテインSとC4b結合タンパク質との複合体形成反応は、下に示した通りであるが、この反応は可逆反応である。
Figure 0006634557
そして、ヒト血液中においては、通常、プロテインSに比べてC4b結合タンパク質のモル濃度は小さく、また解離定数も小さいため、血液中には「プロテインS」及び「プロテインS−C4b結合タンパク質複合体」のみ存在する。つまり、上記の反応の平衡は、完全に右に寄っていることになる。
通常、健常者の血液中(血漿中)のプロテインSは、その約60%が「プロテインS−C4b結合タンパク質複合体」(すなわち、結合型)であり、その約40%は「遊離状態のプロテインS」(すなわち、遊離型)である。
なお、遊離のプロテインS(すなわち、遊離型)のみが、活性化プロテインCに対する補酵素活性を示し、活性化プロテインCの活性を上昇させることができるのである。
なお、本明細書において、「プロテインS」又は「C4b結合タンパク質」等の語は、特に複合体(若しくは結合型)又は遊離(若しくは遊離型)等の記載が無い場合は、それぞれこれらの物質の複合体(又は結合型)及び遊離状態(又は遊離型)のものの総称を意味するものとする。
下に、プロテインC及びプロテインSによる血液凝固系の制御機構の模式図を示した。
Figure 0006634557
プロテインCは生体内において、トロンビン・トロンボモジュリン複合体により限定分解され活性化ペプチドが遊離することにより活性化され、活性化プロテインCとなる。
活性化プロテインCは、ヒトにおける血液凝固を促進する活性化血液凝固第V因子、及び活性化血液凝固第VIII因子を分解することにより、血液凝固反応を抑制する役割を担ったセリンプロテアーゼである。
プロテインSは、活性化プロテインCの補欠因子(補助因子)であり、プロテインSの存在により、活性化プロテインCの活性は上昇し、活性化プロテインCによる活性化血液凝固第V因子の分解反応及び活性化血液凝固第VIII因子の分解反応は促進される。
血液凝固反応を抑制する働きを持つプロテインSの活性の低下又は異常は、生体内において血栓症を引き起こす原因となりうる。
実際、プロテインSの先天性異常症者は、高い頻度で深部静脈血栓症、表在性静脈炎若しくは肺梗塞などの血栓症等を発症することになる。
また、播種性血管内凝固症候群(DIC)、ビタミンK欠乏症又は肝機能低下症等においても、プロテインSの活性の低下又は異常が認められる。
即ち、血漿等の試料中のプロテインSの活性を測定することにより、プロテインSの活性の低下又は異常を把握することができ、引いては血栓症等の疾患の発症の予測、早期発見及び治療効果の判定等に重要な役割を果たすものである。
試料中のプロテインSの活性を測定する方法として、試料を蛇毒からのプロテインC−活性化剤と共に、活性化プロテインCの形成下にインキュベートし、血液凝固第XII因子、血液凝固第VII因子又は血液凝固第II因子(プロトロンビン)の活性化剤を添加し、かつ血液凝固因子及びその活性剤により媒介される、プロトロンビンからのトロンビンの形成の減少を、色素原トロンビン基質を使用して測光測定する方法が開示されている(特許文献1参照。)。
別の試料中のプロテインSの活性を測定する方法として、血漿試料にプロテインCを活性化するプロテインC活性化物質又は活性化プロテインCを添加し、次に活性化血液凝固第IX因子を加えインキュベートし、生成するトロンビンの量を知られた方法で測定し、これをプロテインS活性が既知の標品を測定して得た値と比較して、試料中のプロテインSの活性を測定する方法が開示されている(特許文献2参照。)。
また、別の試料中のプロテインSの活性を測定する方法として、試料を、活性化プロテインC、血液凝固第VIII因子、リン脂質及びカルシウムイオンとインキュベートし、次にこの混合物を、活性化血液凝固第II因子(トロンビン)、活性化血液凝固第IX因子及び活性化血液凝固第X因子とインキュベートし、次にこのインキュベーション混合物へ活性化血液凝固第X因子特異性基質を添加し、この基質の開裂によって生成したシグナルの量を測定することよりなる、試料中のプロテインSの活性を測定する方法が開示されている(特許文献3参照。)。
これら従来の試料中のプロテインSの活性測定方法及び活性測定試薬においては、その測定反応に使用する血液凝固反応の成分(因子)の少なくとも一つは、試料に含まれている成分(因子)をそのまま用いているものであった。すなわち、試料に含まれている成分に依存しているものであった。
従って、このような試料に含まれている成分(因子)をそのまま用いる従来の試料中のプロテインSの活性測定方法及び活性測定試薬においては、その成分(因子)〔例えば、活性化血液凝固第X因子〕がその試料提供者において欠損又は低下しているときには、前記測定反応の反応成分(因子)の少なくとも一つが十分量存在しない訳であるから、測定反応は十分に進行せず、得られるプロテインS活性値は、場合により本来の値よりかい離し、誤差を含むものになるという問題を有するものであった。
すなわち、測定値が、血液凝固反応に係わる成分(因子)の試料中の存在量(濃度)又はその変異により、影響を受けてしまうことが起こるという問題を有するものであった。
そこで、本発明者らは、試料に由来しない、活性化プロテインC、リン脂質、カルシウムイオン、活性化血液凝固第V因子、活性化血液凝固第X因子、プロトロンビン及びトロンビンの基質を含有する試料中のプロテインSの活性測定試薬、並びに、試料に由来しない、活性化プロテインC、リン脂質、カルシウムイオン、活性化血液凝固第V因子、活性化血液凝固第X因子、プロトロンビン及びトロンビンの基質を試料と接触させ、次に、前記の各成分による反応の結果トロンビンの基質から生成されるシグナル量を測定し、次に、試料に含まれるプロテインSの活性に応じて生成が抑制されたシグナル量を求めることにより、試料中に含まれていたプロテインSの活性値を得る試料中のプロテインSの活性測定方法を発明し、開示した(特許文献4及び非特許文献1参照。)。
また、本発明者らは、試料中に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕、すなわち総プロテインSについて、その総プロテインSの活性を測定することができる測定試薬及び測定方法を発明し(特許文献5参照。)、また、その総プロテインSのタンパク質量を測定することができる測定試薬及び測定方法を発明し(特許文献6参照。)、更に、その総プロテインSの活性値及びタンパク質量に基づいてプロテインS異常症を検出する方法を発明した(特許文献7参照。)。
ところで、従来のプロテインSの活性測定方法及び活性測定試薬は、4以上の試薬を使用するものであった。
しかし、病院や診療所等の医療機関の臨床検査室等で繁用されている汎用生化学自動分析装置においては、4以上の試薬を使用できるものは、ごく限られており、ほとんどの当該自動分析装置においては、4以上の試薬は使用できないものであった。
このため、多くの施設においては、試料中のプロテインSの活性測定に当該自動分析装置を使用することができず、よって、用手法により測定を行うしかなく、従って、4以上の試薬を使用する煩雑なプロテインSの活性測定操作に少なからぬ人手を要し、そして時間も掛かり、また手技の問題などの正確性における問題を有するものであった。
また、4以上の試薬を使用することができる、ごく限られた当該自動分析装置においても、その測定は時間が掛かるものであった。
例えば、日立ハイテクノロジーズ社(日本国)の7170S形汎用自動分析装置は4つの試薬を使用できるものであるが、この自動分析装置を用い、「希釈液」(界面活性剤等を含む)、「第1試薬」(活性化プロテインC、リン脂質、塩化カルシウム、及び界面活性剤等を含む)、「第2試薬」(活性化血液凝固第V因子等を含む)、及び「第3試薬」(活性化血液凝固第X因子、プロトロンビン、及びトロンビンの基質等を含む)の4つの構成試薬よりなるプロテインSの活性測定試薬を使用して試料中のプロテインSの活性測定を行う場合には、試料(血漿)8μLが前記「希釈液」の112μLに添加、混合され、次にこの混合液の2μLが分取された後、これに前記「第1試薬」の98μLが添加、混合され、37℃で1.4分間インキュベーションされ、その後前記「第2試薬」20μLが添加、混合され、37℃で8.3分間インキュベーションされ、更にその後前記「第3試薬」236μLが添加、混合され、37℃で12.3分間インキュベーションされ、そして前記「第3試薬」添加後の測定ポイント47ポイントと53ポイントに吸光度(主波長:405nm、副波長:505nm)が測定され、これらのポイント間の吸光度の変化の量又はその速度より試料に含まれていたプロテインSの活性値が求められる。
この場合、試料と前記「希釈液」の混合液に「第1試薬」が添加されてから測定が完了するまでにおいても、約22分間も掛かるものであった(特許文献5参照。)。
特開昭62−212569号公報 特表平4−506603号公報 特表平6−504682号公報 特開2004−337143号公報 国際公開第2012/124798号 特開2012−193959号公報 特開2012−191852号公報
Clin Chem Lab Med,2004,Vol.42,No.3,p.350−352
本発明の課題は、多くの汎用生化学自動分析装置において使用可能な、3つの構成試薬よりなるプロテインSの活性測定試薬キットを提供することであり、更には、多くの汎用生化学自動分析装置において使用可能な、3つの構成試薬を使用するプロテインSの活性測定方法を提供することである。
すなわち、測定の自動化が容易であり、試料に含まれるプロテインSの活性を正確、簡便かつ短時間に測定することができる、プロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法を提供することである。
本発明者らは、プロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法について検討を重ねたところ、構成試薬に含有させる成分の組み合わせが特定の場合に、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) プロテインSの活性測定試薬キットであって、次の(i)〜(iii)の各構成試薬よりなることを特徴とする、プロテインSの活性測定試薬キット。
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 少なくとも活性化プロテインCを含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: 少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含む。
(2) 活性化プロテインC含有試薬及び活性化血液凝固第V因子含有試薬から選ばれる少なくとも一つの試薬がリン脂質を含むものである、前記(1)記載のプロテインSの活性測定試薬キット。
(3) 活性化プロテインC含有試薬及び活性化血液凝固第V因子含有試薬から選ばれる少なくとも一つの試薬がカルシウムイオンを含むものである、前記(1)又は(2)記載のプロテインSの活性測定試薬キット。
(4) 活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬及びプロトロンビン・基質含有試薬から選ばれる少なくとも一つの試薬が活性化血液凝固第X因子を含むものである、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のプロテインSの活性測定試薬キット。
(5) 活性化プロテインC含有試薬及び活性化血液凝固第V因子含有試薬が、プロトロンビン及びトロンビンの基質のいずれをも含まないものである、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のプロテインSの活性測定試薬キット。
(6) プロテインSが、総プロテインSである、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のプロテインSの活性測定試薬キット。
(7) プロテインSの活性測定方法であって、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のプロテインSの活性測定試薬キットを使用することを特徴とする、プロテインSの活性測定方法。
(8) プロテインSが、総プロテインSである、前記(7)記載のプロテインSの活性測定方法。
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法は、測定の自動化が容易であり、試料に含まれるプロテインSの活性を正確、簡便かつ短時間に測定することができるものである。
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、総プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、総プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 本発明及び比較例それぞれのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法によるプロテインSの活性値の測定結果とプロテインSのタンパク質量の測定結果との比較を示したグラフである。 本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、総プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、総プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。 本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、総プロテインS活性値が既知の6種類の試料を測定したときの吸光度(405nm)の時間による変化を示したグラフである。
〔I〕プロテインSの活性測定試薬キット
1.総論
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットは、プロテインSの活性測定試薬キットであって、次の(i)〜(iii)の各構成試薬よりなることを特徴とするものである。
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 少なくとも活性化プロテインCを含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: 少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含む。
なお、本発明のプロテインSの活性測定試薬キットにおいては、活性化プロテインC含有試薬及び活性化血液凝固第V因子含有試薬から選ばれる少なくとも一つの試薬がリン脂質を含むものである。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キットにおいては、活性化プロテインC含有試薬及び活性化血液凝固第V因子含有試薬から選ばれる少なくとも一つの試薬がカルシウムイオンを含むものである。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キットにおいては、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬及びプロトロンビン・基質含有試薬から選ばれる少なくとも一つの試薬が活性化血液凝固第X因子を含むものである。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キットにおいては、活性化プロテインC含有試薬及び活性化血液凝固第V因子含有試薬が、プロトロンビン及びトロンビンの基質のいずれをも含まないものである。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キットは、プロテインSが、総プロテインSである場合に好適である。
2.活性化プロテインC含有試薬
本発明において、活性化プロテインC含有試薬は、少なくとも活性化プロテインCを含むものである。
また、本発明において、活性化プロテインC含有試薬は、プロトロンビン及びトロンビンの基質のいずれをも含まないものである。
(1)活性化プロテインC
本発明において、活性化プロテインC含有試薬に含有させる活性化プロテインCは、その由来(起源)や調製方法によらず、特に制限なく用いることができる。
例えば、ヒト、ウシ又はブタ等の哺乳動物由来のもの等を挙げることができる。
また、血漿等の体液若しくは臓器などから精製し調製したものや、又は遺伝子工学操作、細胞工学操作若しくは細胞培養操作などにより調製したもの等を挙げることができる。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法における測定反応中に、プロテインC活性化物質等によりプロテインCより活性化プロテインCを生成させて、これを本発明における活性化プロテインCとして用いてもよい。
本発明において、活性化プロテインC含有試薬に含有させる活性化プロテインCは、試料中にプロテインSが含まれている場合には、この試料由来のプロテインSと接触することにより、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、この活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、活性化プロテインCは、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、活性化血液凝固第V因子を分解する反応の触媒となる。
よって、プロテインSが存在することにより、活性化プロテインCが活性化血液凝固第V因子を分解する反応は促進される。
本発明において、活性化プロテインC含有試薬に含有させる活性化プロテインCを用いる際の濃度は、活性化血液凝固第V因子と接触させ、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下に活性化血液凝固第V因子を分解させる際には、通常、1pM〜200nMにあることが好ましい。
しかしながら、測定の感度を高く得るには、活性化プロテインC濃度が高い方が好ましいので、前記の活性化プロテインC濃度としては、10pM〜20nMにあることがより好ましく、100pM〜2nMにあることが特に好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、前記の活性化血液凝固第V因子の分解反応時に活性化プロテインCが前記の濃度となるように、この活性化プロテインC含有試薬に含有させることが好ましい。
例えば、本発明における活性化プロテインC含有試薬においては、活性化プロテインCを、1pM〜1000nM含有させることが好ましく、10pM〜100nM含有させることがより好ましく、100pM〜10nM含有させることが特に好ましい。
(2)リン脂質
本発明において、活性化プロテインC含有試薬は、リン脂質を含むものであってよい。
なお、本発明において、このリン脂質は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にリン脂質を含有させてもよい。
なお、このリン脂質の詳細については、後に記載する。
(3)カルシウムイオン
本発明において、活性化プロテインC含有試薬は、カルシウムイオンを含むものであってよい。
なお、本発明において、このカルシウムイオンは、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の二つの試薬にカルシウムイオンを含有させてもよい。
なお、このカルシウムイオンの詳細については、後に記載する。
(4)活性化血液凝固第X因子
本発明において、活性化プロテインC含有試薬は、活性化血液凝固第X因子を含むものであってよい。
なお、本発明において、この活性化血液凝固第X因子は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
なお、この活性化血液凝固第X因子の詳細については、後に記載する。
3.活性化血液凝固第V因子含有試薬
本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含むものである。
また、本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、プロトロンビン及びトロンビンの基質のいずれをも含まないものである。
(1)活性化血液凝固第V因子
本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬に含有させる活性化血液凝固第V因子(第Va因子;FVa)は、その由来(起源)や調製方法によらず、特に制限なく用いることができる。
例えば、ヒト、ウシ又はブタ等の哺乳動物由来のもの等を挙げることができる。
また、血漿等の体液若しくは臓器などから精製し調製したものや、又は遺伝子工学操作、細胞工学操作若しくは細胞培養操作などにより調製したもの等を挙げることができる。
本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬に含有させる活性化血液凝固第V因子は、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、活性化プロテインCにより分解される。
そして、試料にプロテインSが含まれている場合、そのプロテインSの存在により、活性化プロテインCの活性が上昇して、この活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
また、活性化血液凝固第V因子は、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下に活性化血液凝固第X因子が触媒する、プロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応を促進するものである。
よって、試料にプロテインSが含まれていると、活性化プロテインCの活性が上昇して、活性化血液凝固第V因子の分解反応が促進されて、活性化血液凝固第V因子の存在量(濃度)は少なくなる。
そうすると、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応に対する活性化血液凝固第V因子の促進効果が小さくなるので、前記のプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応は抑制される。
なお、活性化血液凝固第V因子を、リン脂質及びカルシウムイオンとともに活性化プロテインCと接触させ、少なくとも1分間以上、好ましくは3分間以上、より好ましくは5分間以上、室温又は37℃等においてインキュベートした後に、プロトロンビン等と接触させ、インキュベートして、プロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応を行わせることが好ましい。
この活性化血液凝固第V因子を用いる際の濃度は、活性化プロテインCと接触させ、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下に活性化血液凝固第V因子を分解する反応を行わせる際には、通常、0.5pM〜25nMにあることが好ましい。
しかしながら、この活性化血液凝固第V因子の濃度が高いと、試料に由来する成分(因子)等による血液凝固反応が進行してしまい、フィブリンが析出したり又は多大な発色が生じて正確な測定が行えなくなるので、前記の活性化血液凝固第V因子濃度としては、5pM〜5nMにあることがより好ましく、20pM〜1nMにあることが特に好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、前記の活性化血液凝固第V因子の分解反応時に活性化血液凝固第V因子が前記の濃度となるように、本発明における活性化血液凝固第V因子含有試薬に含有させることが好ましい。
例えば、活性化血液凝固第V因子を、本発明における活性化血液凝固第V因子含有試薬に、0.5pM〜1.25μM含有させることが好ましく、5pM〜250nM含有させることがより好ましく、20pM〜50nM含有させることが特に好ましい。
(2)リン脂質
本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、リン脂質を含むものであってよい。
なお、本発明において、このリン脂質は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にリン脂質を含有させてもよい。
なお、このリン脂質の詳細については、後に記載する。
(3)カルシウムイオン
本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、カルシウムイオンを含むものであってよい。
なお、活性化血液凝固第V因子の安定化のため、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、カルシウムイオンを含むものであることが好ましい。
なお、本発明において、このカルシウムイオンは、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にカルシウムイオンを含有させてもよい。
なお、このカルシウムイオンの詳細については、後に記載する。
(4)活性化血液凝固第X因子
本発明において、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、活性化血液凝固第X因子を含むものであってよい。
なお、本発明において、この活性化血液凝固第X因子は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
なお、この活性化血液凝固第X因子の詳細については、後に記載する。
4.プロトロンビン・基質含有試薬
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬は、少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むものである。
(1)プロトロンビン
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬に含有させるプロトロンビンは、その由来(起源)や調製方法によらず、特に制限なく用いることができる。
例えば、ヒト、ウシ又はブタ等の哺乳動物由来のもの等を挙げることができる。
また、血漿等の体液若しくは臓器などから精製し調製したものや、又は遺伝子工学操作、細胞工学操作若しくは細胞培養操作などにより調製したもの等を挙げることができる。
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬に含有させるプロトロンビンは、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、活性化血液凝固第X因子が触媒する反応の基質となり、トロンビンになる。
この活性化血液凝固第X因子によるプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応は、活性化血液凝固第V因子の存在により促進される。
よって、先に述べたように、試料にプロテインSが含まれていると、活性化プロテインCの活性が上昇し、これにより活性化血液凝固第V因子の分解反応が促進され、このため活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応に対する活性化血液凝固第V因子の促進効果が小さくなるので、前記のプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応は抑制され、生成されるトロンビンの量(濃度)は低減される。
このプロトロンビンを用いる際の濃度であるが、このプロトロンビンは活性化血液凝固第X因子の基質であるので、活性化血液凝固第X因子による触媒反応において飽和となる濃度とすることが好ましいが、このプロトロンビンの濃度は、活性化血液凝固第V因子及び活性化血液凝固第X因子と接触させ、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、プロトロンビンよりトロンビンを生成させる際には、通常、1nM〜100μMにあることが好ましく、10nM〜10μMにあることがより好ましく、そして100nM〜1μMにあることが特に好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、前記のトロンビン生成反応時にプロトロンビンが前記の濃度となるように、このプロトロンビン・基質含有試薬に含有させることが好ましい。
例えば、本発明におけるプロトロンビン・基質含有試薬においては、プロトロンビンを、このプロトロンビン・基質含有試薬に1nM〜1mM含有させることが好ましく、10nM〜100μM含有させることがより好ましく、100nM〜10μM含有させることが特に好ましい。
(2)トロンビンの基質
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬に含有させるトロンビンの基質は、トロンビンのプロテアーゼとしての触媒作用を(トロンビンの基質として)受けることにより何らかのシグナルを生じるもの、又はトロンビンによる触媒反応に加え更に他の反応を続けることにより何らかのシグナルが生じるものであれば、特に制限なく用いることができる。
この何らかのシグナルが生じるということであるが、これはトロンビンの触媒作用を受けることにより光学的、電気的、磁気的若しくは他のエネルギー等におけるシグナル(信号)の生成又は変化を検出することができるということを意味する。
例えば、トロンビンの触媒作用を受けることにより、吸光度、透過率若しくは蛍光強度が変化するもの、光の吸収曲線が変化するもの、又は発光するもの等を挙げることができる。
この一例としては、遊離したときに吸光度、透過率若しくは蛍光強度、又は光の吸収曲線が変化するような化合物を結合したペプチド又はタンパク質、或いは遊離したときに発光するような化合物を結合したペプチド又はタンパク質等であって、トロンビンの触媒作用により前記の化合物が前記のペプチド又はタンパク質より遊離するような物質等を挙げることができる。
このような物質においては、トロンビンの触媒作用を受け、前記化合物が遊離することにより、吸光度、透過率若しくは蛍光強度又は光の吸収曲線の変化或いは発光等として検出できるので、トロンビンの触媒作用すなわちトロンビンの酵素活性を、生成したシグナル(吸光度、透過率若しくは蛍光強度又は光の吸収曲線の変化或いは発光等)の量を測定することにより求めることができる。
このような物質としては、例えば、「H−D−フェニルアラニル−L−ピペコリル−L−アルギニル−p−ニトロアニリド・二塩酸塩」〔テストチーム(登録商標)発色基質S−2238〕(製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)、「H−D−ヘキサハイドロチロシル−L−アラニル−L−アルギニル−p−ニトロアニリド・二酢酸塩」〔SPECTROZYME(登録商標)TH〕(AMERICANDIAGNOSTICA社;コスモバイオ社)、「ベンゾイル−フェニルアラニル−バリニル−アルギニル−p−ニトロアニリド・塩酸塩」〔Thrombin Substrate I,Colorimetric〕(CALBIOCHEM社;コスモバイオ社)、「トシル−グリシル−プロリル−アルギニル−p−ニトロアニリド」〔CHROMOZYME TH〕(PENTAPHARM社)、「H−D−フェニルアラニル−プロリル−アルギニル−3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−アニリン」(第一三共社)、「ベンゾイル−フェニルアラニル−バリニル−アルギニル−AMC・塩酸塩」〔Thrombin Substrate III,Fluorogenic〕(CALBIOCHEM社;コスモバイオ社)、「t−ブトキシカルボニル−アスパラギル(O−ベンジル)−プロリル−アルギニル−MCA」(ペプチド研究所)、又は「t−ブトキシカルボニル−バリニル−プロリル−アルギニル−MCA」(ペプチド研究所)等を挙げることができる。なお、特に「H−D−フェニルアラニル−L−ピペコリル−L−アルギニル−p−ニトロアニリド・二塩酸塩」が好ましい。
前記の活性化血液凝固第V因子と活性化血液凝固第X因子とプロトロンビン等とを接触させることと、生成したトロンビンとこのトロンビンの基質とを接触させることは、同時に行う。
なお、いずれにしても、生成したトロンビンにトロンビンの基質を接触させ、少なくとも1分間以上、好ましくは3分間以上、より好ましくは5分間以上、室温又は37℃等においてインキュベートして、トロンビンの基質からシグナルを生じさせる。
このトロンビンの基質を用いる際の濃度は、このトロンビンの基質がトロンビンの触媒作用を受ける際に、通常、5μM〜100mMにあることが好ましく、50μM〜10mMにあることが特に好ましい。
そして、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、トロンビンの触媒作用を受ける際にこのトロンビンの基質が前記の濃度となるように、このプロトロンビン・基質含有試薬に含有させることが好ましい。
例えば、このトロンビンの基質を、5μM〜200mM含有させることが好ましく、50μM〜20mM含有させることが特に好ましい。
(3)リン脂質
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬は、リン脂質を含むものであってよい。
なお、本発明において、このリン脂質は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にリン脂質を含有させてもよい。
なお、このリン脂質の詳細については、後に記載する。
(4)カルシウムイオン
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬は、カルシウムイオンを含むものであってよい。
なお、本発明において、このカルシウムイオンは、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にカルシウムイオンを含有させてもよい。
なお、このカルシウムイオンの詳細については、後に記載する。
(5)活性化血液凝固第X因子
本発明において、プロトロンビン・基質含有試薬は、活性化血液凝固第X因子を含むものであってよい。
なお、本発明において、この活性化血液凝固第X因子は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
なお、この活性化血液凝固第X因子の詳細については、後に記載する。
5.リン脂質
本発明において、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬は、リン脂質を含むものであってよい。
なお、本発明において、このリン脂質は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にリン脂質を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にリン脂質を含有させてもよい。
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料に含まれていたプロテインSによる活性化プロテインCの活性上昇反応時、活性化プロテインCによる活性化血液凝固第V因子の分解反応時、及び活性化血液凝固第V因子の存在下に活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応時には、その活性化プロテインCの活性上昇反応、活性化血液凝固第V因子の分解反応、及びプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応に必要なため、リン脂質を存在させる。
このリン脂質は、その由来(起源)や調製方法によらず、特に制限なく用いることができる。
例えば、ヒト、ウシ又はブタ等の哺乳動物由来のもの、その他の動物由来のもの、植物由来のもの、微生物由来のもの又は人工的に合成したもの等を挙げることができる。
プロテインS活性の測定反応時に、このリン脂質を存在させる際の濃度は、通常、0.0005%(W/V)〜10%(W/V)にあることが好ましく、0.001(W/V)〜5%(W/V)にあることがより好ましく、0.005(W/V)〜3%(W/V)にあることが特に好ましい。
そして、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、プロテインS活性の測定反応時に、リン脂質が前記の濃度となるように、その構成試薬にリン脂質を含有させることが好ましい。
例えば、活性化プロテインC含有試薬及び/又は活性化血液凝固第V因子含有試薬に(場合により更に、プロトロンビン・基質含有試薬に)、リン脂質を0.0005%(W/V)〜20%(W/V)含有させることが好ましく、0.001(W/V)〜10%(W/V)含有させることがより好ましく、0.005(W/V)〜6%(W/V)含有させることが特に好ましい。
このリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール若しくはジホスファチジルグリセロールなどのグリセロリン脂質や、又はスフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質等を挙げることができる。
なお、このリン脂質としては、プロテインS括性の測定反応時に、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質を存在させることが、プロテインSの活性測定のために好ましい。
また、このホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン及びホスファチジルエタノールアミンよりなるリン脂質を存在させる場合、この3種類のリン脂質の組成としては、ホスファチジルエタノールアミンの組成比が10%(W/V)以上であり、かつホスファチジルセリンの組成比が20%(W/V)以上であることが好ましい。
特に、ホスファチジルエタノールアミンの組成比が30%(W/V)以上であり、かつホスファチジルセリンの組成比が30%(W/V)以上であることが好ましい。
6.カルシウムイオン
本発明において、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬は、カルシウムイオンを含むものであってよい。
なお、活性化血液凝固第V因子の安定化のため、活性化血液凝固第V因子含有試薬は、カルシウムイオンを含むものであることが好ましい。
なお、本発明において、このカルシウムイオンは、少なくとも活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方にカルシウムイオンを含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬にカルシウムイオンを含有させてもよい。
なお、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料に含まれていたプロテインSによる活性化プロテインCの活性上昇反応時、活性化プロテインCによる活性化血液凝固第V因子の分解反応時、及び活性化血液凝固第X因子及び活性化血液凝固第V因子によるプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応時には、カルシウムイオンを存在させる必要がある。
このカルシウムイオンとしては、カルシウムイオン自体はもちろんのこと、又はカルシウムの塩等のカルシウムイオンを含む化合物であれば、特に制限なく用いることができる。
このカルシウムイオンを含む化合物としては、例えば、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム又はシアン化カルシウム等を挙げることができる。
このカルシウムイオンを用いる際の濃度は、試料に含まれていたプロテインSによる活性化プロテインCの活性上昇反応の際、活性化プロテインCによる活性化血液凝固第V因子の分解反応の際、そして活性化血液凝固第X因子及び活性化血液凝固第V因子によるプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応の際には、通常、0.05mM〜20mMにあることが好ましい。
そして、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、前記の活性化プロテインCの活性上昇反応時、活性化血液凝固第V因子の分解反応時、及びトロンビン生成反応時にカルシウムイオンが前記の濃度となるように、その構成試薬にカルシウムイオンを含有させることが好ましい。
例えば、カルシウムイオン又はカルシウムイオンを含む化合物を、活性化プロテインC含有試薬及び/又は活性化血液凝固第V因子含有試薬に(場合により更に、プロトロンビン・基質含有試薬に)、0.05mM〜200mM含有させることが好ましい。
7.活性化血液凝固第X因子
本発明において、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬は、活性化血液凝固第X因子を含むものであってよい。
なお、本発明において、この活性化血液凝固第X因子は、少なくとも活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬のいずれかに含有させる必要がある。
なお、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の両方に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
また、活性化プロテインC含有試薬と活性化血液凝固第V因子含有試薬とプロトロンビン・基質含有試薬の三つの試薬に活性化血液凝固第X因子を含有させてもよい。
この活性化血液凝固第X因子(第Xa因子;FXa)は、その由来(起源)や調製方法によらず、特に制限なく用いることができる。
例えば、ヒト、ウシ又はブタ等の哺乳動物由来のもの等を挙げることができる。
また、血漿等の体液若しくは臓器などから精製し調製したものや、又は遺伝子工学操作、細胞工学操作若しくは細胞培養操作などにより調製したもの等を挙げることができる。
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法において、活性化血液凝固第X因子は、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、プロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応を触媒する。
この活性化血液凝固第X因子によるプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応は、活性化血液凝固第V因子の存在により促進される。
よって、先に述べたように、試料にプロテインSが含まれていると、活性化プロテインCの活性が上昇し、これにより活性化血液凝固第V因子の分解反応が促進され、このため活性化血液凝固第X因子が触媒するトロンビンを生成させる反応に対する活性化血液凝固第V因子の促進効果が小さくなるので、前記のトロンビンを生成させる反応は抑制される。
この活性化血液凝固第X因子を用いる際の濃度は、活性化血液凝固第V因子及びプロトロンビン等と接触させ、リン脂質及びカルシウムイオンの存在下、プロトロンビンよりトロンビンを生成させる際には、通常、1pM〜3μMにあることが好ましい。
しかしながら、この活性化血液凝固第X因子の濃度が高いと、先の活性化血液凝固第V因子の場合と同様、試料に由来する成分(因子)等による血液凝固反応が進行してしまい、フィブリンが析出したり又は多大な発色が生じて正確な測定が行えなくなるので、前記の活性化血液凝固第X因子濃度としては、10pM〜300nMにあることがより好ましく、100pM〜30nMにあることが特に好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、前記のトロンビン生成反応時に活性化血液凝固第X因子が前記の濃度となるように、その構成試薬に活性化血液凝固第X因子を含有させることが好ましい。
例えば、活性化血液凝固第X因子を、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び/又はプロトロンビン・基質含有試薬に、1pM〜3μM含有させることが好ましく、10pM〜300nM含有させることがより好ましく、100pM〜30nM含有させることが特に好ましい。
8.界面活性剤
本発明において、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬は、界面活性剤を含むものであってよい。
これらの活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及びプロトロンビン・基質含有試薬の内、いずれか一つの試薬が界面活性剤を含むものであってよく、又はいずれかの二つの試薬が界面活性剤を含むものであってよく、或いはこれらの三つの試薬のいずれもが界面活性剤を含むものであってよい。
この界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤又は陽イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上を適宜存在させればよい。
この界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤;又は、アミン塩若しくは第4級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
なお、この界面活性剤が非イオン性界面活性剤の場合、そのHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)は、10〜20の範囲のものが好ましく、12〜18の範囲のものがより好ましく、13〜16の範囲のものが特に好ましい。
この界面活性剤は、非イオン性界面活性剤としては、Triton X−100〔ポリオキシエチレン(n=9,10)p−t−オクチルフェニルエーテル、HLB:13.5〕、Triton X−114〔ポリオキシエチレン(n=7,8)p−t−オクチルフェニルエーテル、HLB:12.4〕、NP−10〔ポリオキシエチレン(n=10)ノニルフェニルエーテル、HLB:16.5〕、NP−11〔ポリオキシエチレン(n=11)ノニルフェニルエーテル〕、NP−12〔ポリオキシエチレン(n=12)ノニルフェニルエーテル〕、NP−13〔ポリオキシエチレン(n=13)ノニルフェニルエーテル〕、NP−15〔ポリオキシエチレン(n=15)ノニルフェニルエーテル、HLB:18.0〕、BT−9〔ポリオキシエチレン(n=9)2級アルキルエーテル、HLB:13.5〕、又はBT−12〔ポリオキシエチレン(n=12)2級アルキルエーテル、HLB:14.5〕等が好ましい。
また、両イオン性界面活性剤としては、AM−301〔ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液〕等が好ましい。
そして、陰イオン性界面活性剤としては、サルコシネート LN〔ラウロイルサルコシンナトリウム〕等が好ましい。
更に、陽イオン性界面活性剤としては、CA−2350〔塩化セチルトリメチルアンモニウム〕等が好ましい。
なお、プロテインS活性の測定反応時に界面活性剤を存在させる際の濃度は、特に限定されるものではないが、0.00001〜5%(W/V)が好ましく、0.0001〜1%(W/V)がより好ましく、0.001〜0.1%(W/V)が更に好ましく、0.005〜0.05%(W/V)が特に好ましい。
そして、非イオン性界面活性剤においては0.001〜0.01%(W/V)が非常に好ましく、両イオン性界面活性剤においては0.001〜0.01%(W/V)が非常に好ましく、陰イオン性界面活性剤においては0.001〜0.1%(W/V)が非常に好ましく、陽イオン性界面活性剤においては0.00001〜0.001%(W/V)が非常に好ましい。
そして、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、プロテインS活性の測定反応時に界面活性剤が前記の濃度となるように、その構成試薬に界面活性剤を含有させることが好ましい。
例えば、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び/又はプロトロンビン・基質含有試薬に、界面活性剤を0.00001〜10%(W/V)含有させることが好ましく、0.0001〜2%(W/V)含有させることがより好ましく、0.001〜0.2%(W/V)含有させることが更に好ましく、0.005〜0.1%(W/V)含有させることが特に好ましい。
そして、非イオン性界面活性剤においては0.001〜0.02%(W/V)、両イオン性界面活性剤においては0.001〜0.02%(W/V)、陰イオン性界面活性剤においては0.001〜0.2%(W/V)、陽イオン性界面活性剤においては0.00001〜0.002%(W/V)の濃度で含有させることが非常に好ましい。
なお、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料に含まれていたプロテインSによる活性化プロテインCの活性上昇反応時、及び当該活性上昇したプロテインCによる活性化血液凝固第V因子の分解反応時に、界面活性剤を存在させることが、試料に含まれていたプロテインSの活性測定のために好ましい。
9.タンパク質
本発明において、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬は、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)若しくは卵白アルブミンなどのアルブミン、カゼイン、又はゼラチン等のタンパク質を含むものであってよい。
これらの活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及びプロトロンビン・基質含有試薬の内、いずれか一つの試薬がこのタンパク質を含むものであってよく、又はいずれかの二つの試薬がこのタンパク質を含むものであってよく、或いはこれらの二つの試薬のいずれもがこのタンパク質を含むものであってよい。
このタンパク質を含有させる濃度は、プロテインSの活性測定時において、通常、0.001%(w/v)〜10%(w/v)にあることが好ましく、0.01%(w/v)〜5%(w/v)にあることがより好ましく、0.1%(w/v)〜1%(w/v)にあることが特に好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、プロテインSの活性測定時にこのタンパク質が前記の濃度となるように、その構成試薬にこのタンパク質を含有させることが好ましい。
例えば、このタンパク質を、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び/又はプロトロンビン・基質含有試薬に、0.001%(w/v)〜10%(w/v)含有させることが好ましく、0.01%(w/v)〜5%(w/v)含有させることがより好ましく、0.1%(w/v)〜1%(w/v)含有させることが特に好ましい。
10.塩
本発明において、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、又はプロトロンビン・基質含有試薬は、ハロゲン元素とアルカリ金属の塩又はハロゲン元素とアルカリ土類金属の塩等の塩を含むものであってよい。
これらの活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及びプロトロンビン・基質含有試薬の内、いずれか一つの試薬がこの塩を含むものであってよく、又はいずれかの二つの試薬がこの塩を含むものであってよく、或いはこれらの三つの試薬のいずれもがこの塩を含むものであってよい。
なお、ハロゲン元素とアルカリ金属の塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、臭化ナトリウム又は臭化カリウム等を挙げることができる。
また、ハロゲン元素とアルカリ土類金属の塩としては、例えば、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム又は臭化マグネシウム等を挙げることができる。
この塩を含有させる濃度は、プロテインSの活性測定時において、通常、5mM〜1Mにあることが好ましく、50mM〜250mMにあることがより好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、プロテインSの活性測定時にこの塩が前記の濃度となるように、その構成試薬にこの塩を含有させることが好ましい。
例えば、この塩を、活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び/又はプロトロンビン・基質含有試薬に、5mM〜2M含有させることが好ましく、50mM〜500mM含有させることがより好ましい。
11.pH
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、プロテインSの活性測定反応を、pH6.0〜pH10.0(20℃)の範囲で行うことが好ましく、pH6.5〜pH8.5(20℃)の範囲で行うことが特に好ましい。
また、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、プロテインSの活性測定時にpHが前記のpHとなるように、その構成試薬のpHを設定することが好ましい。
なお、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、活性測定反応におけるpH又はその構成試薬のpHを前記のpH範囲に保つため、前記のpH範囲に緩衝能を有する緩衝剤を適宜存在させ又は含有させることが好ましい。
12.他の成分
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、必要に応じて適宜、防腐剤、安定化剤、活性化剤、又は糖類等の前記記載した成分以外の成分を前記の構成試薬に含有させることができ、又はプロテインSの活性測定時に存在させることができる。
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、必要に応じて前記成分以外の成分を含有させることができ、又はプロテインSの活性測定時に存在させることができる。
13.プロテインSの活性測定試薬キットの具体例
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットの具体例として、次の(1)〜(6)のものを例として示す。
(1)
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインCを含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、活性化血液凝固第X因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
(2)
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
(3)
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインCを含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、トロンビンの基質、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(4)
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、トロンビンの基質、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(5)
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
(6)
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、活性化血液凝固第X因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
〔II〕プロテインSの活性測定方法
1.総論
本発明のプロテインSの活性測定方法は、プロテインSの活性測定方法であって、前記のプロテインSの活性測定試薬キットを使用することを特徴とするものである。
なお、このプロテインSの活性測定試薬キットの詳細は、前記の「〔I〕プロテインSの活性測定試薬キット」の項に記載した通りである。
また、本発明のプロテインSの活性測定方法は、プロテインSが、総プロテインSである場合に好適である。
2.プロテインSの活性測定
(1) 本発明のプロテインSの活性測定方法においては、使用する前記のプロテインSの活性測定試薬キットの構成試薬である活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及びプロトロンビン・基質含有試薬と、プロテインS活性を測ろうとする試料とを混合することにより、当該測定を行うことができる。
(2) より具体的には、プロテインSの活性測定試薬キットの構成試薬である活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及びプロトロンビン・基質含有試薬と、試料とを混合し、当該混合により行われる反応によってトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定し、このシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
(3) 例えば、本発明のプロテインSの活性測定方法においては、前記のプロテインSの活性測定試薬キットを使用して、次のようにして試料に含まれていたプロテインSの活性測定を行うことができる。
(1−a) 試料と、活性化プロテインC含有試薬とを混合する。
(1−b) 前記(1−a)における混合物の全部又は一部と、活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合する。
(1−c) 前記(1−b)における混合物の全部又は一部と、プロトロンビン・基質含有試薬とを混合する。
(1−d) 前記(1−c)の工程における反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(1−e) 前記(1−d)において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
また、例えば、前記のプロテインSの活性測定試薬キットを使用して、次のようにして試料に含まれていたプロテインSの活性測定を行ってもよい。
(2−a) 試料と、活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合する。
(2−b) 前記(2−a)における混合物の全部又は一部と、活性化プロテインC含有試薬とを混合する。
(2−c) 前記(2−b)における混合物の全部又は一部と、プロトロンビン・基質含有試薬とを混合する。
(2−d) 前記(2−c)の工程における反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(2−e) 前記(2−d)において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
(4) より具体的には、本発明のプロテインSの活性測定方法においては、前記のプロテインSの活性測定試薬キットを使用して、例えば、下記の〔A〕〜〔F〕のようにして試料に含まれていたプロテインSの活性測定を行うことができる(各々、次の反応式を参照。)。
Figure 0006634557
〔A〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインCを含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、活性化血液凝固第X因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
◎ 測定
(A−1) 試料と活性化プロテインC含有試薬とを混合する。
(A−2) 前記(A−1)の混合物の全部又は一部と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、試料にプロテインSが含まれる場合には、このプロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記の活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(A−3) 前記(A−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(A−2)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による前記(A−2)の工程における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(A−4) 前記(A−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(A−5) 前記(A−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(A−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(A−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
〔B〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
◎ 測定
(B−1) 試料と活性化プロテインC含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、試料にプロテインSが含まれる場合には、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、プロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
(B−2) 前記(B−1)の混合物の全部又は一部と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記(B−1)の工程における活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(B−3) 前記(B−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(B−1)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による前記(B−2)の工程における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(B−4) 前記(B−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(B−5) 前記(B−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(B−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(B−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
〔C〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインCを含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、トロンビンの基質、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
◎ 測定
(C−1) 試料と活性化プロテインC含有試薬とを混合する。
(C−2) 前記(C−1)の混合物の全部又は一部と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、試料にプロテインSが含まれる場合には、このプロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記の活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(C−3) 前記(C−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(C−2)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による前記(C−2)の工程における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(C−4) 前記(C−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(C−5) 前記(C−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(C−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(C−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
〔D〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、トロンビンの基質、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
◎ 測定
(D−1) 試料と活性化プロテインC含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、試料にプロテインSが含まれる場合には、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、プロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
(D−2) 前記(D−1)の混合物の全部又は一部と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記(D−1)の工程における活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(D−3) 前記(D−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(D−1)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による前記(D−2)の工程における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(D−4) 前記(D−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(D−5) 前記(D−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(D−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(D−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
〔E〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
◎ 測定
(E−1) 試料と活性化プロテインC含有試薬とを混合する。
(E−2) 前記(E−1)の混合物の全部又は一部と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、試料にプロテインSが含まれる場合には、このプロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記の活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(E−3) 前記(E−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(E−2)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による前記(E−2)の工程における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(E−4) 前記(E−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(E−5) 前記(E−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(E−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(E−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
〔F〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、活性化血液凝固第X因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
◎ 測定
(F−1) 試料と活性化プロテインC含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、試料にプロテインSが含まれる場合には、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、プロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
(F−2) 前記(F−1)の混合物の全部又は一部と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記(F−1)の工程における活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(F−3) 前記(F−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(F−1)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による前記(F−2)の工程における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(F−4) 前記(F−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(F−5) 前記(F−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(F−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(F−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
(5) また、本発明のプロテインSの活性測定方法においては、前記のプロテインSの活性測定試薬キットを使用して、例えば、下記の〔G〕及び〔H〕のようにして試料に含まれていたプロテインSの活性測定を行うこともできる(各々、前記の反応式[化3]を参照。)。
〔G〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子、及び活性化血液凝固第X因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
◎ 測定
(G−1) 試料と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させる。
(G−2) 前記(G−1)の混合物の全部又は一部と活性化プロテインC含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、試料にプロテインSが含まれる場合には、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、プロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記のプロテインSの存在による活性化プロテインCの活性上昇により、この活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(G−3) 前記(G−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(G−2)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(G−4) 前記(G−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(G−5) 前記(G−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(G−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(G−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
〔H〕
◎ プロテインSの活性測定試薬キット
(i) 活性化プロテインC含有試薬: 活性化プロテインC、活性化血液凝固第X因子、リン脂質、及びカルシウム塩を含む。
(ii) 活性化血液凝固第V因子含有試薬: 活性化血液凝固第V因子を含む。
(iii) プロトロンビン・基質含有試薬: プロトロンビン、及びトロンビンの基質を含む。
◎ 測定
(H−1) 試料と活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合し、各成分を接触させる。
(H−2) 前記(H−1)の混合物の全部又は一部と活性化プロテインC含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、試料にプロテインSが含まれる場合には、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、プロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記のプロテインSの存在による活性化プロテインCの活性上昇により、この活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(H−3) 前記(H−2)の混合物の全部又は一部とプロトロンビン・基質含有試薬とを混合し、各成分を接触させることにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記(H−2)の工程での活性化プロテインCの活性上昇による活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
(H−4) 前記(H−3)の工程における生成したトロンビンが触媒する反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
(H−5) 前記(H−4)の工程において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
なお、前記(H−4)の工程において測定したシグナルの量は、前記(H−3)の工程におけるトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応の抑制によりその生成が抑制されたシグナルの量であるので、この生成が抑制されたシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求めることができる。
3.試料
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法において、試料は、プロテインSを含有する可能性がある物質であって、プロテインSの活性を測定しようとする物質である。
この試料として、例えば、生体試料(ヒト又は動物などに由来する試料)等を挙げることができる。
生体試料としては、例えば、血液、血漿、唾液、汗、尿、涙、髄液、腹水、羊水などの生体の液体;肝臓、心臓、脳、骨、毛髪、皮膚、爪、筋肉、神経組織などの臓器、組織、細胞などの抽出液等を挙げることができる。
4.シグナル量の測定
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法におけるトロンビンの基質は、プロトロンビンより生成したトロンビンの触媒作用を受けることによりシグナルを生じる。
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、このトロンビンの基質より生成したシグナルの量を測定する。
なお、試料にプロテインSが含まれている場合、このシグナルの量は、試料に含まれていたプロテインSの活性値に応じて生成が抑制されたシグナルの量である。
この生成したシグナル量(生成が抑制されたシグナル量)の測定は、そのシグナルに応じて適宜行えばよい。
例えば、シグナルが、吸光度、透過率若しくは蛍光強度又は光の吸収曲線の変化或いは発光等である場合には、吸光度、透過率、蛍光強度又は発光強度などを測定する等により行う。
より具体的には、トロンビンの基質が、前記の「H−D−フェニルアラニル−L−ピペコリル−L−アルギニル−p−ニトロアニリド・二塩酸塩」、「H−D−ヘキサハイドロチロシル−L−アラニル−L−アルギニル−p−ニトロアニリド・二酢酸塩」、「ベンゾイル−フェニルアラニル−バリニル−アルギニル−p−ニトロアニリド・塩酸塩」、又は「トシル−グリシル−プロリル−アルギニル−p−ニトロアニリド」等の、ペプチドにp−ニトロアニリンを結合させた物質である場合には、トロンビンの触媒作用により遊離したp−ニトロアニリンが波長405nm近辺に有する光の吸収を、波長405nm又はその近辺の波長において吸光度を測定することにより行う。
この場合、吸光度の測定は、主波長のみの一波長測定でもよいし、又は主波長と副波長において測定する二波長測定でもよい。
そして、この吸光度の測定は、終点法(エンドポイント法)でもよいし、又は単位時間当たりの吸光度変化量(すなわち吸光度変化の速度)を求める反応速度法(レート法)でもよい。
5.試料に含まれていたプロテインSの活性値
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料にプロテインSが含まれていると、活性化プロテインCの活性が上昇して、活性化血液凝固第V因子の分解反応が促進されて、活性化血液凝固第V因子の存在量(濃度)は少なくなる。
そうすると、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応に対する活性化血液凝固第V因子の促進効果が小さくなるので、前記のプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応は抑制される。
これにより、トロンビンの生成が低減するので、このトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生じさせる反応も抑制されて、生成するシグナルの量は抑制される。
すなわち、試料に含まれるプロテインSの活性値に応じて、このシグナル生成の抑制度は大きくなる。
従って、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料と活性化プロテインC等とを接触させ前記の通りの反応を行わせることによって生成したシグナル量を測定して、すなわち生成が抑制されたシグナル量を測定することにより、試料に含まれていたプロテインSの活性値を得る。
この生成が抑制されたシグナル量を測定した後、試料に含まれていたプロテインSの活性値を得ることは、適宜行えばよいが、例えば以下のようにして行うことができる。
プロテインSの活性値が分かっている試料の少なくとも一つと、プロテインSの活性値が「ゼロ」であることが分かっている試料(生理食塩水又は純水等)について、前記の通り測定操作を行い、生成したシグナル量(生成が抑制されたシグナル量)を求める。
そして、この生成したシグナル量(生成が抑制されたシグナル量)と試料に含まれるプロテインSの活性値との関係を、数式又はグラフ等に表して、検量線を作成する。
この検量線は、すなわち、シグナル生成の抑制度と試料に含まれるプロテインSの活性値との関係を表したものである。
次に、プロテインSの活性値が未知の試料について、前記の通り同様に測定操作を行い、生成したシグナル量(生成が抑制されたシグナル量)を求める。
このシグナル量を前記の検量線に当てはめ、相当するプロテインSの活性値を求める。
これにより、プロテインSの活性値が未知の試料における生成したシグナル量(生成が抑制されたシグナル量)より、その試料のプロテインSの活性値を得ることができる。
なお、前記の検量線は、シグナル量(生成が抑制されたシグナル量)すなわちシグナル生成の抑制度と、試料に含まれるプロテインSの活性値との関係を表したものであるが、この検量線におけるシグナル量(生成が抑制されたシグナル量)は、測定されたシグナル量そのものでもよいが、そのシグナル量の値を基に算出した数値であってもよい。
つまり、前記の検量線は、測定されたシグナル量の値を基に算出した数値と、試料に含まれるプロテインSの活性値との関係を表したものであってもよい。
なお、この場合であっても、測定されたシグナル量の値を基に算出した数値は、生成が抑制されたシグナル量に対応したものである。
この測定されたシグナル量の値を基に算出した数値としては、例えば、測定されたシグナル量の単位時間当たりの変化量の数値、又は測定されたシグナル量の値を時間に対して一次微分して算出した数値、若しくは二次微分して算出した数値等を挙げることができる。
例として、測定により得られた吸光度の単位時間(例えば、1分間)当たりの変化量、又は測定により得られた吸光度を時間に対して一次微分して得た吸光度変化の速度、若しくは測定により得られた吸光度を時間に対して二次微分して得た吸光度変化の加速度等を挙げることができる。
6.試料の希釈
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法では、試料に含まれるプロテインSの活性測定において、試料が希釈されることが、当該プロテインSの活性測定のために好ましい。
この試料の希釈であるが、例えば、試料と、前記の本発明のプロテインSの活性測定試薬キットの構成試薬(活性化プロテインC含有試薬、活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び/又はプロトロンビン・基質含有試薬)とを混合することにより、この試料を希釈することができる。
なお、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料、活性化プロテインC含有試薬、及び活性化血液凝固第V因子含有試薬が混合され、これらの混合液が形成された段階で、試料が希釈されていることが好ましい。
この試料と前記のプロテインSの活性測定試薬キットの構成試薬とを混合すること等により試料を希釈する際の希釈倍率であるが、特に限定はないものの、試料に含まれるプロテインSの活性測定のためには、2倍〜50000倍が好ましく、50倍〜40000倍がより好ましく、500倍〜20000倍が特に好ましい。
よって、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法においては、試料と前記のプロテインSの活性測定試薬キットの構成試薬とを混合する場合に、当該混合後の試料の希釈倍率が前記の倍率となるよう、試料及び前記構成試薬の混合比率(それぞれの添加量の比率)を選択することが好ましい。
なお、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法において、試料に含まれるプロテインSの活性測定を自動分析装置等を使用して測定を行う場合、当該装置に試料を希釈する機能が備わっているときには、本発明のプロテインSの活性測定試薬キットの構成試薬のいずれかを当該装置における希釈液として用いて、試料と当該構成試薬とを混合し(当該試料を希釈し)、その後その混合液の全部又は一部を他の構成試薬と混合することにより、当該装置において測定を行ってもよい。
7.測定手法
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法における、プロテインSの活性の測定は、用手法により行ってもよく、又は自動分析装置等の装置を使用して行ってもよいが、正確、簡便かつ短時間に測定することができることから自動分析装置等を使用して測定を行うことが好ましい。
8.試料に含まれるプロテインSの活性測定の具体例
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法における、試料に含まれるプロテインSの活性測定の具体例を以下記載する。
〔A〕具体例−1
(1)プロテインSの活性測定試薬キット
(i)活性化プロテインC含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化プロテインC含有試薬を調製した。
活性化プロテインC (精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 893pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 157pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(2)試料
ヒトの血漿を、試料として用いた。
(3)測定
(i)第1段階
前記(2)の試料と前記(1)の(i)の活性化プロテインC含有試薬を混合し、試料と活性化プロテインC含有試薬の混合液(第1混合液)を調製し、これにより試料に含まれるプロテインSと活性化プロテインC等を接触させる。(なお、これにより、試料は希釈される。)
なお、試料と活性化プロテインC含有試薬の混合比率であるが、これは試料が活性化プロテインC含有試薬等との混合により希釈される際の希釈倍率等に基づいて定めればよい。
当該希釈倍率の好ましい範囲については、先に述べた通りである。
(ii)第2段階
前記の第1混合液の全部又は一部と、前記(1)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合して、混合液(第2混合液)を調製する。
この混合する、第1混合液の量、及び活性化血液凝固第V因子含有試薬の量は、それぞれ、プロトロンビン・基質含有試薬の量、試料に含まれるプロテインSの活性値、この活性測定の反応に係わる各成分の活性値又は濃度、吸光度等の測定を行なう物質の吸光係数など、測定波長、使用する分析装置の仕様など、並びに他の条件等に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬に混合させる前記の第1混合液の量は20〜500μL、前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬の量は50〜300μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
前記の第2混合液の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は1分以上であることが好ましく、3分以上であることがより好ましく、5分以上であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の第2混合液が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎるとプロテインSやこの活性測定反応に係わる成分等が変性、失活、変質又は分解等してしまう可能性があるので、インキュベートする際の温度は、これらのプロテインS又は成分等が変性、失活、変質又は分解等する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、この活性測定反応に係わる成分等が耐熱性の物であれば更に高温でもよい。
この第2混合液の調製及びインキュベートにより、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、試料にプロテインSが含まれる場合には、このプロテインSの存在により活性化プロテインCの活性が上昇する。
そして、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化プロテインCが触媒する活性化血液凝固第V因子の分解反応が行われる。
なお、前記の活性化プロテインCの活性上昇により、当該活性化血液凝固第V因子の分解反応は促進される。
(iii)第3段階
前記の第2段階で調製した第2混合液の全部又は一部に、前記(1)の(iii)のプロトロンビン・基質含有試薬を混合し、混合液(第3混合液)を調製する。これを最終反応液とする。
この混合する、第2混合液の量、及びプロトロンビン・基質含有試薬の量は、それぞれ、第1混合液の量、活性化血液凝固第V因子含有試薬の量、試料に含まれるプロテインSの活性値、この活性測定の反応に係わる各成分の活性値又は濃度、吸光度等の測定を行なう物質の吸光係数など、測定波長、使用する分析装置の仕様など、並びに他の条件等に応じて適宜決めればよい。
なお、一般的には、例えば、前記のプロトロンビン・基質含有試薬の量は10〜500μLの範囲のもの等とすることが好ましい。
前記の第3混合液(最終反応液)の調製後、インキュベートを行う。
このインキュベートの時間は、特に制限はないのであるが、通常は1分以上であることが好ましく、3分以上であることがより好ましく、5分以上であることが特に好ましい。
また、インキュベートする際の温度は、前記の第3混合液(最終反応液)が凍結する温度より上の温度であればよい。
なお、一般的に測定反応時の温度は、高い程、反応速度が高くなるので好ましい。
しかし、温度が高すぎるとプロテインSやこの活性測定反応に係わる成分等が変性、失活、変質又は分解等してしまう可能性があるので、インキュベートする際の温度は、これらのプロテインS又は成分等が変性、失活、変質又は分解等する温度未満の温度とする必要がある。
このインキュベートする際の温度は、通常は2〜70℃であるが、20〜37℃が好ましく、30〜37℃がより好ましい。
なお、この活性測定反応に係わる成分等が耐熱性の物であれば更に高温でもよい。
この第3混合液(最終反応液)の調製及びインキュベートにより、前記の第2段階における反応に引き続き、この第3段階における測定反応が開始し、リン脂質及びカルシウムイオンの共存下、活性化血液凝固第X因子が触媒するプロトロンビンよりトロンビンを生成させる反応が行われる。
そして、生成したトロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が行われる。
具体的には、トロンビンによりトロンビンの基質である「テストチーム(登録商標)発色基質S−2238」が加水分解され、p−ニトロアニリンが生成する反応が行われる。
なお、当該トロンビンの生成反応は、活性化血液凝固第V因子により促進されるものであるので、前記の第2段階における活性化プロテインCの活性上昇による同第2段階における活性化血液凝固第V因子の分解反応の促進によって、当該トロンビンの生成反応は抑制されて、トロンビンの生成が低減される。
そして、このトロンビンの生成の低減により、トロンビンが触媒するトロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制される。
具体的には、トロンビンの基質である「テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238」がトロンビンにより加水分解されてp−ニトロアニリンが生成する反応が抑制される。
次に、トロンビンの基質から生成したシグナルである、生成したp−ニトロアニリンの発色を、第3混合液(最終反応液)の吸光度(又は透過率)を測ることにより測定する。
なお、この吸光度(又は透過率)の測定は、一つの波長においてのみ行う一波長法でもよく、又は二つの波長においてそれぞれ行う二波長法でもよく、適宜選択して行えばよい。
また、吸光度(又は透過率)の測定を行う波長についても、その色素など(p−ニトロアニリン等)の発色の吸収波長に応じて、適宜選択すればよい。
なお、p−ニトロアニリンは400nm近辺に吸収極大を持つので、例えば405nm等において、その吸光度(又は透過率)の測定を行うことが好ましい。
また、吸光度(若しくは透過率)の測定は、終点法(エンドポイント法)又は反応速度法(レート法)等の方法を適宜選択して行えばよい。
なお、測定した吸光度(若しくは透過率)又は測定した吸光度(若しくは透過率)の変化量より、試料に含まれていたプロテインSの活性値を算出することは、トロンビンの基質から生成したシグナルである色素の発色のモル吸光係数を基に測定した吸光度(若しくは透過率)より算出する方法、又はプロテインSの活性値(若しくは力価など)が分かっているプロテインS含有物(標準物質又は標準液等)の吸光度(若しくは透過率)と対比して算出する方法等の方法を適宜選択して行えばよい。
なお、本発明においては、試料に含まれるプロテインSの活性測定を行って得た吸光度(若しくは透過率)より試薬盲検(試薬ブランク)を差し引いて、試料に含まれていたプロテインSの活性値を算出することが好ましい。
なお、本発明における試料に含まれるプロテインSの活性測定の操作は、測定者自身が用手法により行ってもよいし、自動分析装置等の装置を使用して行ってもよいし、又は用手法と自動分析装置等の装置を使用する方法を組み合わせて行ってもよい。
例えば、前記(i)の第1段階を用手法により行い、前記(ii)の第2段階と前記(iii)の第3段階を自動分析装置等の装置を使用して行ってもよい。
また、例えば、前記(i)の第1段階、前記(ii)の第2段階及び前記(iii)の第3段階の全ての段階を自動分析装置等の装置を使用して、完全に全自動で行ってもよい。
なお、正確、簡便かつ短時間に測定することができることから、前記の通り自動分析装置等の装置を使用して完全に全自動で測定を行うことが好ましい。
〔B〕具体例−2
(1)プロテインSの活性測定試薬キット
(i)活性化プロテインC含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化プロテインC含有試薬を調製した。
活性化プロテインC (精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 893pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 470pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(2)試料
ヒトの血漿を、試料として用いた。
(3)測定
前記(1)の(i)の活性化プロテインC含有試薬、(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び(iii)のプロトロンビン・基質含有試薬を使用して、前記(2)の試料について、前記〔A〕の(3)の記載の通りに測定を行うことにより、試料に含まれるプロテインSの活性値を求めることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕(本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法)
本発明及び比較例となるプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法のそれぞれにより、試料に含まれるプロテインSの活性測定を行った。
1.プロテインSの活性測定試薬キット
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットの調製を以下の通り行なった。
また、本発明に対する比較例となるプロテインSの活性測定試薬キットの調製も以下の通り行なった。
なお、これらのプロテインSの活性測定試薬キットの各構成試薬に含まれる主な成分を表1に示した。
Figure 0006634557
(1)本発明試薬・方法−1
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットである「本発明試薬・方法−1」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化プロテインC含有試薬を調製した。
活性化プロテインC (精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 893pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 157pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1のもの;日油社〔日本国〕) 0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(2)本発明試薬・方法−2
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットである「本発明試薬・方法−2」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
前記(1)の(i)の記載の通りに調製し、これを活性化プロテインC含有試薬とした。
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−2)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−2)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 470pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(3)比較試薬・方法−1
比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キットである「比較試薬・方法−1」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
前記(1)の(i)の記載の通りに調製し、これを活性化プロテインC含有試薬とした。
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−1)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)0.5mM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(比較−1)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 470pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
なお、この「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−1)」は、トロンビンの基質を含有しないものであるが、本発明における「プロトロンビン・基質含有試薬」との比較のため、便宜上、「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−1)」ということにする。
(4)比較試薬・方法−2
比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キットである「比較試薬・方法−2」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
前記(1)の(i)の記載の通りに調製し、これを活性化プロテインC含有試薬とした。
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−2)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 231nM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(比較−2)を調製した。
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 470pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
なお、この「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−2)」は、プロトロンビンを含有しないものであるが、本発明における「プロトロンビン・基質含有試薬」との比較のため、便宜上、「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−2)」ということにする。
(5)比較試薬・方法−3
比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キットである「比較試薬・方法−3」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
前記(1)の(i)の記載の通りに調製し、これを活性化プロテインC含有試薬とした。
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−3)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 231nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)0.5mM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(比較−3)を調製した。
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 470pM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
なお、この「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−3)」は、プロトロンビンもトロンビンの基質も含有しないものであるが、本発明における「プロトロンビン・基質含有試薬」との比較のため、便宜上、「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−3)」ということにする。
(6)比較試薬・方法−4
比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キットである「比較試薬・方法−4」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
前記(1)の(i)の記載の通りに調製し、これを活性化プロテインC含有試薬とした。
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−4)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 300pM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 157pM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)0.5mM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(比較−4)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
なお、この「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−4)」は、トロンビンの基質を含有しないものであるが、本発明における「プロトロンビン・基質含有試薬」との比較のため、便宜上、「プロトロンビン・基質含有試薬(比較−4)」ということにする。
2.試料
ヒト血漿を分け、この一方を抗ヒトプロテインS抗体を担体に結合させたカラム(アフィニティーカラム)に通すことにより、前記ヒト血漿に含まれていたプロテインSをこのカラム内に固定化し、素通り画分を分取して、プロテインSを含まないプロテインS欠損血漿を得た。
このプロテインS欠損血漿と、先に分けたヒト血漿(プロテインSを含むもの)を種々の比率で混合することにより、次の5種類のヒト血漿試料を調製した。
なお、これらの試料毎に示した数値は、それぞれの試料の総プロテインS活性値(μg/mL当量)を表す。
また、前記のプロテインS欠損血漿を、総プロテインS活性値が0μg/mL当量の試料とした。
なお、試料の総プロテインS活性値とは、先に述べた通り、当該試料に存在する全てのプロテインS〔プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)、及び遊離のプロテインS(遊離型)〕についての活性値である。
なお、本特許出願の明細書及び図面においては、精製ヒトプロテインS(Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕)の1μg/mLが有するプロテインS活性値をプロテインS活性値1μg/mL当量と定義し、当該精製ヒトプロテインSの1μg/mLが有する総プロテインS活性値を総プロテインS活性値1μg/mL当量と定義した。
よって、本特許出願の明細書及び図面においては、プロテインSの活性及び総プロテインSの活性はそれぞれ、「μg/mL当量」を各々用いて表している。
(1) 試料a (総プロテインS活性値:0μg/mL当量)
(2) 試料b (総プロテインS活性値:6.2μg/mL当量)
(3) 試料c (総プロテインS活性値:12.3μg/mL当量)
(4) 試料d (総プロテインS活性値:18.5μg/mL当量)
(5) 試料e (総プロテインS活性値:24.6μg/mL当量)
(6) 試料f (総プロテインS活性値:31.5μg/mL当量)
3.測定
各試料のプロテインSの活性測定を、汎用自動分析装置TBA−120FR(東芝メディカルシステムズ社〔日本国〕)を使用して、次の通り行った。
(1) この汎用自動分析装置TBA−120FRが備える試料希釈機能により、前記2の(1)〜(6)の試料のそれぞれについて、その2μLと前記1の(1)の(i)の活性化プロテインC含有試薬の270μLを混合した。
なお、この試料と活性化プロテインC含有試薬との混合により、この試料は希釈倍率136倍で希釈されたことになる。
(2) 次に、前記(1)の混合液の3μLがサンプリングされてキュベットに吐出され、これに前記1の(1)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)の150μLを添加し、混合した。〔測定ポイント:0ポイント〕
そして、37℃でインキュベートした。
(3) 次に、測定ポイントが16ポイント(前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)の添加後4分40.46秒)から17ポイント(同試薬添加後4分50.49秒)の間に、前記(2)の混合液に、前記1の(1)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)の50μLを添加し、混合した。
そして、測定ポイント33ポイント〔前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)を添加して9分47秒後〕まで、37℃でインキュベートした。
(4) キュベット内の混合液の吸光度(波長:405nm)の変化を、測定ポイント1ポイント〔前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)を添加して9.93秒後〕から測定ポイント33ポイント〔同試薬を添加して9分47秒後〕まで測定し、記録した。
すなわち、前記1の(1)の本発明試薬・方法−1により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(5) なお、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(2)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−2)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(2)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−2)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(2)の本発明試薬・方法−2により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(6) また、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(3)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−1)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(3)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(比較−1)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(3)の比較試薬・方法−1により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(7) また、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(4)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−2)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(4)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(比較−2)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(4)の比較試薬・方法−2により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(8) また、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(5)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−3)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(5)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(比較−3)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(5)の比較試薬・方法−3により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(9) また、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(6)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(比較−4)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)に替えて前記1の(6)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(比較−4)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(6)の比較試薬・方法−4により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
4.測定結果
(1) 前記3における測定結果、すなわち、本発明及び比較例としてのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法のそれぞれにより試料に含まれるプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を図1〜図6、及び表2〜表7に示した。
なお、前記1の(1)の本発明試薬・方法−1による測定の結果を図1及び表2に示し、前記1の(2)の本発明試薬・方法−2による測定の結果を図2及び表3に示し、前記1の(3)の比較試薬・方法−1による測定の結果を図3及び表4に示し、前記1の(4)の比較試薬・方法−2による測定の結果を図4及び表5に示し、前記1の(5)の比較試薬・方法−3による測定の結果を図5及び表6に示し、そして、前記1の(6)の比較試薬・方法−4による測定の結果を図6及び表7に示した。
(2) なお、これらの図1〜図6において、図の上方に、いずれのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法を用いたかを示した。
なお、これらの図において、横軸は測定に用いた汎用自動分析装置TBA−120FRにおける測定ポイントを示し、縦軸はその各測定ポイントにおける吸光度(波長:405nm)を示す。
また、これらの図において、「□」は前記2の(1)の試料a(総プロテインS活性値:0μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「◇」は前記2の(2)の試料b(総プロテインS活性値:6.2μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「△」は前記2の(3)の試料c(総プロテインS活性値:12.3μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「○」は前記2の(4)の試料d(総プロテインS活性値:18.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「+」は前記2の(5)の試料e(総プロテインS活性値:24.6μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、そして、「−」は前記2の(6)の試料f(総プロテインS活性値:31.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示す。
(3) また、前記の表2〜表7において、表の左上方に、いずれのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法を用いたかを示した。
なお、これらの表においては、上から順に、前記2の(1)の試料a(総プロテインS活性値:0μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(2)の試料b(総プロテインS活性値:6.2μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(3)の試料c(総プロテインS活性値:12.3μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(4)の試料d(総プロテインS活性値:18.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(5)の試料e(総プロテインS活性値:24.6μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(6)の試料f(総プロテインS活性値:31.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示した。
また、これらの表においては、左側より順に、測定ポイントが1ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)、測定ポイントが2ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)、測定ポイントが3ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)、・・・・・測定ポイントが33ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)をそれぞれ示した。
Figure 0006634557
Figure 0006634557
Figure 0006634557
Figure 0006634557
Figure 0006634557
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5.まとめ
(1) 前記3における測定結果である図1〜図6及び表2〜表7より、次のことが分かる。
すなわち、前記1の(1)の本発明試薬・方法−1による測定、及び前記1の(2)の本発明試薬・方法−2による測定では、前記2の(1)の試料a〜(6)の試料fのそれぞれにおいて、前記3の(3)におけるプロトロンビン・基質含有試薬の添加、混合後の吸光度が、試料毎に異なっていることが分かる。
そして、前記の本発明試薬・方法−1による測定、及び本発明試薬・方法−2による測定のいずれにおいても、試料に含まれるプロテインSの活性値が低値から高値になるに従って順に、吸光度は反比例して低くなっていることが分かる。
つまり、前記の本発明試薬・方法−1による測定、及び本発明試薬・方法−2による測定においては、試料に含まれるプロテインSの活性に比例して、トロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制されており、このことより、この生成が抑制されたシグナルの量を測定することによって、試料に含まれていたプロテインSの活性を定量的に求めることができるものであることが分かる。
すなわち、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬の各構成試薬よりなるプロテインSの活性測定試薬キットを使用する前記の本発明試薬・方法−1による測定、及び本発明試薬・方法−2による測定においてはそれぞれ、試料に含まれるプロテインSの活性を定量的に測定できることが分かる。
(2) これに対して、前記1の(3)の比較試薬・方法−1による測定、前記1の(4)の比較試薬・方法−2による測定、前記1の(5)の比較試薬・方法−3による測定、及び前記1の(6)の比較試薬・方法−4による測定では、前記2の(1)の試料a〜(6)の試料fのそれぞれにおいて、前記3の(3)におけるプロトロンビン・基質含有試薬の添加、混合後の吸光度が、ほとんど試料毎には異なっておらず、いずれの試料の測定においても、測定ポイントが同じであれば、ほぼ同じ吸光度であることが分かる。
つまり、前記の比較試薬・方法−1〜比較試薬・方法−4による測定においては、試料に含まれるプロテインSの活性に応じて、トロンビンの基質からシグナルを生成させる反応が抑制されることがなく、よって、前記のシグナルの量を測定することによって、試料に含まれていたプロテインSの活性を定量的に求めることができないものであることが分かる。
すなわち、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬の各構成試薬よりなるプロテインSの活性測定試薬キットとは異なる構成のプロテインSの活性測定試薬キットを使用する、前記の比較試薬・方法−1による測定、比較試薬・方法−2による測定、比較試薬・方法−3による測定、及び比較試薬・方法−4による測定では、いずれの場合においても、試料に含まれるプロテインS活性の定量的な測定が不可能であることが分かる。
(3) 従って、本実施例における検討結果より、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬の各構成試薬よりなることを特徴とする本発明のプロテインSの活性測定試薬キット、並びに当該プロテインSの活性測定試薬キットを使用することを特徴とする本発明のプロテインSの活性測定方法は、試料に含まれるプロテインSの活性を定量的に測定することが可能であって、そして、測定の自動化が容易であり、試料に含まれるプロテインSの活性を正確、簡便かつ短時間に測定することができるものであることが確かめられた。
〔実施例2〕(従来の測定試薬及び測定方法等との比較)
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法と、従来のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法のそれぞれについて、プロテインSのタンパク質量の測定試薬キット及び測定方法により得たプロテインSのタンパク質量と比較を行なった。
I.本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定
1.プロテインSの活性測定試薬キット
◎ 本発明試薬・方法−1
(i)活性化プロテインC含有試薬
前記実施例1の1の(1)の(i)の記載の通りに調製し、これを活性化プロテインC含有試薬とした。
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
前記実施例1の1の(1)の(ii)の記載の通りに調製し、これを活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)とした。
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
前記実施例1の1の(1)の(iii)の記載の通りに調製し、これをプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)とした。
2.試料
次の(1)及び(2)をそれぞれ試料として用いた。
(1) 健常人32名の血漿
(2) プロテインSの遺伝子変異であるPS−K155Eヘテロ接合体(プロテインSの異常症の一つであるプロテインS徳島)であることが判明している1名の血漿
3.測定
各試料のプロテインSの活性測定を、7170S形汎用自動分析装置(日立ハイテクノロジーズ社〔日本国〕)を使用して、次の通り行った。
(1) この7170S形汎用自動分析装置が備える試料希釈機能により、前記2の(1)及び(2)の試料のそれぞれについて、その2μLと前記1の(i)の活性化プロテインC含有試薬の270μLを混合した。
なお、この試料と活性化プロテインC含有試薬との混合により、この試料は希釈倍率136倍で希釈されたことになる。
(2) 次に、前記(1)の混合液の3μLがサンプリングされてキュベットに吐出され、これに前記1の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)の150μLを添加し、混合した。〔測定ポイント:0ポイント目〕
そして、この混合液を、37℃でインキュベートした。
(3) 次に、測定ポイントが16ポイント(前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)の添加後4分30.093秒)から17ポイント(同試薬添加後4分46.977秒)の間に、前記(2)の混合液に、前記1の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−1)の50μLを添加し、混合した。
そして、この混合液を、37℃でインキュベートした。
(4) 次に、キュベット内の混合液について、測定ポイント25ポイント〔前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)を添加して7分9.732秒後〕から28ポイント〔前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−1)を添加して8分0.36秒後〕にかけての吸光度変化量を波長405nmにて測定した。
そして、この測定した吸光度変化量より、1分間当たりの吸光度変化量を求めた。
(5) 次に、総プロテインSの活性値が既知の試料について、前記の(1)〜(4)の通り測定を行い、1分間当たりの吸光度変化量を求めた。
(6) 次に、前記(4)で求めた当該試料における1分間当たりの吸光度変化量と、前記(5)で求めた総プロテインSの活性値が既知の試料における1分間当たりの吸光度変化量とを、対比することによって、当該試料に含まれていた総プロテインSの活性値(μg/mL当量)を算出した。
こうして、前記2の各試料の総プロテインSの活性値を得た。
この前記2の各試料について総プロテインSの活性の測定を行って得られた結果を図7及び表8に示した。
II.従来のプロテインS・の活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定
1.プロテインSの活性測定試薬キット
(i)希釈液
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH8.0(20℃)に調整して、希釈液を調製した。
Triton X−100 (和光純薬工業社〔日本国〕) <界面活性剤>0.06%(W/V)
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
クエン酸三ナトリウム 10.6mM
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン <緩衝剤> 50mM
(ii)第1試薬
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH8.0(20℃)に調整して、第1試薬を調製した。
活性化プロテインC(精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 397pM
Triton X−100 (和光純薬工業社〔日本国〕) <界面活性剤>0.006%(W/V)
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 2.5mM
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン <緩衝剤> 50mM
(iii)第2試薬
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶斛し、pHをpH8.0(20℃)に調整して、第2試薬を調製した。
活性化血液凝固第V因子(精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 357pM
Triton X−100 (和光純薬工業社〔日本国〕) <界面活性剤>0.006%(W/V)
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 2.5mM
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン <緩衝剤> 50mM
(iv)第3試薬
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.5(20℃)に調整して、第3試薬を調製した。
活性化血液凝固第X因子(精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 50pM
プロトロンビン(精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 738nM
テストチーム(登録商標)発色基質S−2238(トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕) 750μM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が3:2:5のもの) 7.5μM
塩化カルシウム 5.0mM
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
塩化ナトリウム <塩> 0.15M
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン <緩衝剤> 50mM
なお、上記のリン脂質は、ホスファチジルセリン(ブタ脳ホスファチジルセリン;PS;DOOSAN Serdary Research Laboratories社〔韓国〕)0.6mg、ホスファチジルコリン(ブタ肝臓ホスファチジルコリン;PC;DOOSAN Serdary Research Laboratories社〔韓国〕)0.4mg、及びホスファチジルエタノールアミン(ブタ肝臓ホスファチジルエタノールアミン;PE;DOOSAN Serdary Research Laboratories社〔韓国〕)1.0mgをそれぞれ試験管に採取し、エバポレーターにて溶媒であるクロロフォルムを蒸発させた後、蒸留水を添加し1分間激しく撹拌した後、60℃で10分間超音波処理を行って調製したホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンの組成比が3:2:5(すなわち、30%(W/V):20%(W/V):50%(W/V))のリン脂質を、15μMの濃度となるように含有させたものである。
2.試料
前記Iの2の(1)及び(2)の各試料を、試料として用いた。
3.測定
各試料のプロテインSの活性測定を、7170S形汎用自動分析装置(日立ハイテクノロジーズ社〔日本国〕)を使用して、次の通り行った。
(1) この7170S形汎用自動分析装置が備える試料希釈機能により、前記2の(1)及び(2)の試料のそれぞれについて、その8μLと前記1の(i)の希釈液の112μLを混合した。
なお、この試料と希釈液との混合により、この試料は希釈倍率15倍で希釈されたことになる。
(2) 次に、前記(1)の混合液の2μLがサンプリングされてキュベットに吐出され、これに前記1の(ii)の第1試薬の98μLを添加し、混合した。〔測定ポイント:0ポイント目〕
そして、この混合液を、37℃でインキュベートした。
(3) 次に、測定ポイントが5ポイント(前記の第1試薬の添加後1分18.654秒)から6ポイント(同試薬添加後1分34.593秒)の間に、前記(2)の混合液に、前記1の(iii)第2試薬の20μLを添加し、混合した。
そして、この混合液を、37℃でインキュベートした。
(4) 次に、測定ポイントが33ポイント(前記の第1試薬の添加後9分29.582秒)から34ポイント(同試薬添加後9分47.426秒)の間に、前記(3)の混合液に、前記1の(iv)第3試薬の236μLを添加し、混合した。
そして、この混合液を、測定ポイント73ポイント〔同試薬添加後21分47.426秒〕まで、37℃でインキュベートした。
(5) そして、キュベット内の混合液について、測定ポイント39ポイント〔前記の第1試薬の添加後11分49.432秒〕から52ポイント〔同試薬添加後15分38.504秒〕にかけての吸光度変化量を主波長405nm及び副波長505nmにて測定した。
そして、この測定した吸光度変化量より、1分間当たりの吸光度変化量を求めた。
(6) 次に、総プロテインSの活性値が既知の試料について、前記の(1)〜(5)の通り測定を行い、1分間当たりの吸光度変化量を求めた。
(7) 次に、前記(5)で求めた当該試料における1分間当たりの吸光度変化量と、前記(6)で求めた総プロテインSの活性値が既知の試料における1分間当たりの吸光度変化量とを、対比することによって、当該試料に含まれていた総プロテインSの活性値(μg/mL当量)を算出した。
こうして、前記2の各試料の総プロテインSの活性値を得た。
この前記2の各試料について総プロテインSの活性の測定を行って得られた結果を図7及び表8に示した。
III.ラテックス比濁法によるプロテインSのタンパク質量の測定試薬キット及び測定方法による測定
1.ラテックス比濁法によるプロテインSのタンパク質量の活性測定試薬キット
(i)第1試薬
C4b結合タンパク質を、B.Dahlbeackらの方法〔Biochem.J.,209巻,847〜856頁,1983年〕に基づいて、ヒト血漿より調製した。
次に、0.1%(W/V)BSA、0.3M塩化ナトリウム及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する50mM MES−塩酸緩衝液〔pH6.2(20℃)〕を調製した。
ここに、前記の通り調製したC4b結合タンパク質を25μg/mLの濃度となるように添加し、第1試薬とした。
(ii)第2試薬
(a)抗プロテインS抗体の調製
本発明者らが、精製した遊離状態のプロテインSを免疫抗原として、常法に従って抗プロテインS抗体の調製を行った。
プロテインSのC4b結合タンパク質との結合部位以外の部位に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行い、マウス/マウスのハイブリドーマ(9H6株)を得た。
このハイブリドーマ(9H6株)より産生されたマウス抗プロテインS・モノクローナル抗体の5mgを、0.5mLのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解した。
これに、0.6mgのS−アセチルメルカプトコハク酸無水物を溶解した0.01mLのN,N−ジメチルホルムアミドを加え、室温で30分間インキュベートした。
次に、これに、0.1M EDTA水溶液の0.02mL、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH7.0)の0.1mL、及び1Mヒドロキシルアミン塩酸緩衝液(pH7.0)の0.1mLをそれぞれ加え、30℃で30分間インキュベートした。
その後、これを、5mM EDTAを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化しておいた、セファデックスG−25カラムでゲルろ過を行い、メルカプト・サクシニル化したマウス抗プロテインSモノクローナル抗体を得た。
(b)抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子懸濁液の調製
平均粒径0.192μmのラテックス粒子の10%懸濁液1.0mLと50mM MES−塩酸緩衝液〔pH6.0(20℃)〕1.0mLとを混和し、更に320mMカルボジイミド(同仁化学研究所;製品番号:348−03631)水溶液32μLを添加して混和し、氷上で10分間放置した。
前記の氷上で10分間放置したラテックス粒子懸濁液1.2mLに、前記(a)で調製したメルカプト・サクシニル化したマウス抗プロテインSモノクローナル抗体を0.083g/dLの濃度で50mM MES−塩酸緩衝液〔pH6.0(20℃)〕に混和した液1.8mLを加え、4℃で一晩攪拌した。
次に、遠心分離により上清を除去した後、沈殿部を0.8%BSAを含む50mM Tris−塩酸緩衝液〔pH8.0(20℃)〕にて懸濁し、37℃で3時間放置し、ブロッキング処理を行った。
次に、遠心分離により沈殿部を回収した後、これを0.1%BSAを含む0.05%アジ化ナトリウム水溶液で再分散し、波長700nmにおける吸光度が15.0ODとなるように懸濁した。
これを抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子懸濁液とした。
(c)第2試薬の調製
前記(b)で調製した抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子懸濁液を、0.1%BSAを含む0.05%アジ化ナトリウム水溶液で10倍希釈し、0.1%の「抗プロテインS抗体固定化ラテックス粒子」を含有する懸濁液を調製した。
これを第2試薬とした。
2.試料
前記のIの2の(1)及び(2)の各試料を、試料として用いた。
3.測定
(a)測定は、汎用自動分析装置TBA−120FR(東芝メディカルシステムズ社〔日本国〕)を使用して行った。
まず、測定用セル(キュベット)に、前記2の試料の3μLを添加した。
次に、これらの測定用セル(キュベット)に、前記1の(i)の第1試薬の100μLを添加し、混合した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置した。
これにより、前記の試料に含まれていた遊離のプロテインSと、前記の第1試薬中のC4b結合タンパク質との複合体を形成させた。
すなわち、試料に含まれていたプロテインSは、全て「プロテインSとC4b結合タンパク質との複合体(結合型)」となった。
(b)前記の第1試薬の添加後4分40秒目(測定ポイント:16ポイント)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液に、更に、前記1の(ii)の(c)の第2試薬の100μLを添加し、混合した。
(c)前記の第1試薬の添加後5分35秒目(測定ポイント:19ポイント)に、これらの測定用セル(キュベット)内の混合液の吸光度(波長700nm)を試料盲検として測定した。
そして、これらの測定用セル(キュベット)を、37℃で静置して、反応を行わせた。
これにより、前記のラテックス粒子に固定化された抗プロテインS抗体と、前記の試料に含まれていたプロテインSとの抗原抗体反応を行わせ、ラテックス粒子の凝集塊を生成させた。
(d)前記の第1試薬の添加後9分47秒目(測定ポイント:33ポイント)に、この測定用セル(キュベット)内の反応混合液の吸光度(波長700nm)を、前記試料の測定値として測定した。
(e)前記(d)において測定した吸光度(測定値)から前記(c)において測定した吸光度(試料盲検)を差し引き、吸光度差を得た。
なお、この吸光度差は試料に含まれる総プロテインSタンパク質量(濃度)に比例したものである。
なお、総プロテインSのタンパク質濃度が既知の試料の吸光度差より検量線を作成し、前記2の各試料を同様の方法で測定した際の吸光度差を検量線に当てはめて、試料に含まれる総プロテインSのタンパク質濃度を求めた。
このようにして、前記2の各試料の総プロテインSのタンパク質量を得た。
この前記2の各試料について総プロテインSのタンパク質量の測定を行って得られた結果を図7及び表8に示した。
IV.測定結果
前記Iにおける本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定結果と、前記IIにおける従来のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定結果と、前記IIIにおけるラテックス比濁法によるプロテインSのタンパク質量の測定試薬キット及び測定方法による測定結果とを比較する図を図7として示し、また、比較する表を表8として示した。
1.図の説明
この図7において、横軸は前記IIIにおけるラテックス比濁法による試料に含まれる総プロテインSのタンパク質量の測定値(単位:μg/mL)を示す。
また、この図7において、縦軸は前記Iにおける本発明及び前記IIにおける従来のそれぞれのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による試料に含まれる総プロテインSの活性の測定値(単位:μg/mL当量)を示す。
また、この図7において、「○」は試料に含まれる総プロテインSの活性の測定を前記Iにおける本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により行なった場合の測定結果を示し、「△」は試料に含まれる総プロテインSの活性の測定を前記IIにおける従来のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により行なった場合の測定結果を示す。
2.表の説明
この表8において、左側より順に、前記IIIにおけるラテックス比濁法による試料に含まれる総プロテインSのタンパク質量の測定値(単位:μg/mL)、前記Iにおける本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による試料に含まれる総プロテインSの活性の測定値(単位:μg/mL当量)、そして、前記IIにおける従来のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による試料に含まれる総プロテインSの活性の測定値(単位:μg/mL当量)をそれぞれ示す。
Figure 0006634557
V.まとめ
(1) 前記IVにおける測定結果である図7及び表8より、次のことが分かる。
すなわち、前記Iにおける本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による活性の測定の結果(測定値)と前記IIにおける従来のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による活性の測定の結果(測定値)とを比較した場合、健常人32名の血漿の試料及びプロテインS異常症(プロテインS徳島)である1名の血漿の試料のいずれにおいても、前記Iにおける本発明の活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定値と、前記IIにおける従来の活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定値とは、そのほとんどが同一の値であることが分かる。
このことより、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法は、従来の活性測定試薬キット及び活性測定方法に比べ、その構成試薬及び測定段階(測定ステップ)を減らすことにより、その操作が簡便となり、測定に要する時間が大幅に短縮されているにもかかわらず、その構成試薬及び測定段階(測定ステップ)が多い従来の活性測定試薬キット及び活性測定方法と同一の測定結果が得られることが分かる。
(2) また、前記Iにおける本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による活性の測定の結果(測定値)と前記IIIにおけるラテックス比濁法によるタンパク質量の測定の結果(測定値)とを比較した場合、そのほとんどの試料において、y=xの線上又はその近辺に存在しており、総プロテインSの活性値を総プロテインSのタンパク質量で除した比活性がほぼy=xの線上にあることが分かる。
よって、このことからも、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法による測定値が正確なものであることが分かる。
なお、この図7において、その総プロテインSのタンパク質量の測定値に比してその総プロテインSの活性の測定値が明白に低く、前記のy=xの線から大きく下に外れている3つの試料の内、その1つの試料はプロテインS異常症(プロテインS徳島)であることが判明している1名の試料であるが、他の2つの試料についても、プロテインSのII型異常症であることが推測される。
(3) 従って、本実施例における検討結果からも、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬の各構成試薬よりなることを特徴とする本発明のプロテインSの活性測定試薬キット、並びに当該プロテインSの活性測定試薬キットを使用することを特徴とする本発明のプロテインSの活性測定方法は、その測定の正確性を犠牲にすることなく、その構成試薬及び測定段階(測定ステップ)を減らして、その測定の省力化及び測定に要する時間の短縮化を達成したものであって、試料に含まれるプロテインSの活性を正確、簡便かつ短時間に測定することができるものであることが確かめられた。
〔実施例3〕(本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法−2)
本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により、試料に含まれるプロテインSの活性測定を行った。
1.プロテインSの活性測定試薬キット
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットの調製を以下の通り行なった。
なお、これらのプロテインSの活性測定試薬キットの各構成試薬に含まれる主な成分を表9に示した。
Figure 0006634557
(1)本発明試薬・方法−3
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットである「本発明試薬・方法−3」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化プロテインC含有試薬(本発明−3)を調製した。
活性化プロテインC (精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 3.6nM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 5.9nM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 150pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−3)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(2)本発明試薬・方法−4
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットである「本発明試薬・方法−4」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化プロテインC含有試薬(本発明−4)を調製した。
活性化プロテインC (精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 72pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−4)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 7.5nM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 5.9nM
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−4)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(3)本発明試薬・方法−5
本発明のプロテインSの活性測定試薬キットである「本発明試薬・方法−5」を次の通り調製した。
(i)活性化プロテインC含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化プロテインC含有試薬(本発明−5)を調製した。
活性化プロテインC (精製ヒト活性化プロテインC;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 72pM
活性化血液凝固第X因子 (精製ウシ活性化血液凝固第X因子;New England Biolabs,Inc.社〔米国〕) 117pM
リン脂質 (ホスファチジルセリン〔PS〕、ホスファチジルコリン〔PC〕及びホスファチジルエタノールアミン〔PE〕の組成比が1:1:1〔33.33%(W/V):33.33%(W/V):33.33%(W/V)〕のもの;日油社〔日本国〕)0.05%(W/V)
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(ii)活性化血液凝固第V因子含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−5)を調製した。
活性化血液凝固第V因子 (精製ヒト活性化血液凝固第V因子;Haematologic Technologies,Inc.社〔米国〕) 7.5nM
塩化カルシウム 5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
(iii)プロトロンビン・基質含有試薬
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pHをpH7.0(20℃)に調整して、プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−5)を調製した。
プロトロンビン (精製ヒトプロトロンビン;Enzyme Research Laboratories,Inc.社〔米国〕) 694nM
テストチーム(登録商標) 発色基質S−2238 (トロンビンの基質〔トロンビンの発色基質〕;製造元:Chromogenix−Instrumentation Laboratory社〔イタリア国〕、販売元:積水メディカル社〔日本国〕)1.5mM
塩化ナトリウム <塩> 0.1M
ウシ血清アルブミン (BSA;Sigma−Aldrich社〔米国〕) <タンパク質> 0.1%(W/V)
アジ化ナトリウム <防腐剤> 0.05%(W/V)
3−モルフォリノプロパンスルホン酸 (MOPS) <緩衝剤> 50mM
2.試料
ヒト血漿を二つに分け、この一方を抗ヒトプロテインS抗体を担体に結合させたカラム(アフィニティーカラム)に通すことにより、前記ヒト血漿に含まれていたプロテインSをこのカラム内に固定化し、素通り画分を分取して、プロテインSを含まないプロテインS欠損血漿を得た。
このプロテインS欠損血漿と、先に分けたもう一方のヒト血漿(プロテインSを含むもの)を種々の比率で混合することにより、次の5種類のヒト血漿試料を調製した。
なお、これらの試料毎に示した数値は、それぞれの試料の総プロテインS活性値(μg/mL当量)を表す。
また、前記のプロテインS欠損血漿を、総プロテインS活性値が0μg/mL当量の試料とした。
(1) 試料a (総プロテインS活性値:0μg/mL当量)
(2) 試料b (総プロテインS活性値:6.2μg/mL当量)
(3) 試料c (総プロテインS活性値:12.3μg/mL当量)
(4) 試料d (総プロテインS活性値:18.5μg/mL当量)
(5) 試料e (総プロテインS活性値:24.6μg/mL当量)
(6) 試料f (総プロテインS活性値:31.5μg/mL当量)
3.測定
各試料のプロテインSの活性測定を、7170S形汎用自動分析装置(日立ハイテクノロジーズ社〔日本国〕)を使用して、次の通り行った。
(1) この7170S形汎用自動分析装置が備える試料希釈機能により、前記2の(1)〜(6)の試料のそれぞれについて、その2μLと前記1の(1)の(i)の活性化プロテインC含有試薬(本発明−3)の270μLを混合した。
なお、この試料と活性化プロテインC含有試薬(本発明−3)との混合により、この試料は希釈倍率136倍で希釈されたことになる。
(2) 次に、前記(1)の混合液の3μLがサンプリングされてキュベットに吐出され、これに前記1の(1)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)の150μLを添加し、混合した。〔測定ポイント:0ポイント〕
そして、37℃でインキュベートした。
(3) 次に、測定ポイントが16ポイント(前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)の添加後4分30.093秒)から17ポイント(同試薬添加後4分46.977秒)の間に、前記(2)の混合液に、前記1の(1)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−3)の50μLを添加し、混合した。
そして、測定ポイント34ポイント〔前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)を添加して9分47.426秒後〕まで、37℃でインキュベートした。
(4) キュベット内の混合液の吸光度(波長:405nm)の変化を、測定ポイント1ポイント〔前記の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)を添加して7.267秒後〕から測定ポイント34ポイント〔同試薬を添加して9分47.426秒後〕まで測定し、記録した。
すなわち、前記1の(1)の本発明試薬・方法−3により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(5) なお、前記(1)において活性化プロテインC含有試薬(本発明−3)に替えて前記1の(2)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−4)を用いること、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)に替えて前記1の(2)の(i)の活性化プロテインC含有試薬(本発明−4)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−3)に替えて前記1の(2)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−4)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(2)の本発明試薬・方法−4により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
(6) また、前記(1)において活性化プロテインC含有試薬(本発明−3)に替えて前記1の(3)の(ii)の活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−5)を用いること、前記(2)において活性化血液凝固第V因子含有試薬(本発明−3)に替えて前記1の(3)の(i)の活性化プロテインC含有試薬(本発明−5)を用いること、及び前記(3)においてプロトロンビン・基質含有試薬(本発明−3)に替えて前記1の(3)の(iii)プロトロンビン・基質含有試薬(本発明−5)を用いること以外は、前記(1)〜(4)の通りに操作を行い、前記1の(3)の本発明試薬・方法−5により各試料のプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を測定し、記録した。
4.測定結果
(1) 前記3における測定結果、すなわち、本発明のプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法により試料に含まれるプロテインSの活性測定を行ったときの吸光度(波長:405nm)の変化を図8〜図10、及び表10〜表12に示した。
なお、前記1の(1)の本発明試薬・方法−3による測定の結果を図8及び表10に示し、前記1の(2)の本発明試薬・方法−4による測定の結果を図9及び表11に示し、そして、前記1の(3)の本発明試薬・方法−5による測定の結果を図10及び表12に示した。
(2) なお、これらの図8〜図10において、図の上方に、いずれのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法を用いたかを示した。
なお、これらの図において、横軸は測定に用いた7170S形汎用自動分析装置における測定ポイントを示し、縦軸はその各測定ポイントにおける吸光度(波長:405nm)を示す。
また、これらの図において、「□」は前記2の(1)の試料a(総プロテインS活性値:0μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「◇」は前記2の(2)の試料b(総プロテインS活性値:6.2μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「△」は前記2の(3)の試料c(総プロテインS活性値:12.3μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「○」は前記2の(4)の試料d(総プロテインS活性値:18.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、「+」は前記2の(5)の試料e(総プロテインS活性値:24.6μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示し、そして、「−」は前記2の(6)の試料f(総プロテインS活性値:31.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示す。
(3) また、前記の表10〜表12において、表の左上方に、いずれのプロテインSの活性測定試薬キット及び活性測定方法を用いたかを示した。
なお、これらの表においては、上から順に、前記2の(1)の試料a(総プロテインS活性値:0μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(2)の試料b(総プロテインS活性値:6.2μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(3)の試料c(総プロテインS活性値:12.3μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(4)の試料d(総プロテインS活性値:18.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(5)の試料e(総プロテインS活性値:24.6μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)、前記2の(6)の試料f(総プロテインS活性値:31.5μg/mL当量)について測定したときの測定値(前記の吸光度)を示した。
また、これらの表においては、左側より順に、測定ポイントが1ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)、測定ポイントが2ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)、測定ポイントが3ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)、・・・・・測定ポイントが34ポイントであるときの測定値(前記の吸光度)をそれぞれ示した。
Figure 0006634557
Figure 0006634557
Figure 0006634557
5.まとめ
(1) 前記3における測定結果である図8〜図10及び表10〜表12より、次のことが分かる。
すなわち、前記1の(1)の本発明試薬・方法−3による測定、前記1の(2)の本発明試薬・方法−4による測定、及び前記1の(3)の本発明試薬・方法−5による測定では、前記2の(1)の試料a〜(6)の試料fのそれぞれにおいて、前記3における各プロトロンビン・基質含有試薬の添加、混合後の吸光度が、試料毎に異なっていることが分かる。
そして、前記1の(1)の本発明試薬・方法−3による測定、前記1の(2)の本発明試薬・方法−4による測定、及び前記1の(3)の本発明試薬・方法−5による測定のいずれにおいても、試料に含まれるプロテインSの活性値が低値から高値になるに従って順に、吸光度は低くなってゆくことが分かる。
つまり、前記1の(1)の本発明試薬・方法−3による測定、前記1の(2)の本発明試薬・方法−4による測定、及び前記1の(3)の本発明試薬・方法−5による測定においては、試料に含まれるプロテインSの活性が増加してゆくにつれ、トロンビンの基質からシグナルを生成させる反応は抑制されてゆき、このことより、この生成が抑制されたシグナルの量を測定することによって、試料に含まれていたプロテインSの活性を定量的に求めることができるものであることが分かる。
すなわち、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬の各構成試薬よりなるプロテインSの活性測定試薬キットを使用する前記1の(1)の本発明試薬・方法−3による測定、前記1の(2)の本発明試薬・方法−4による測定、及び前記1の(3)の本発明試薬・方法−5による測定においてはそれぞれ、試料に含まれるプロテインSの活性を定量的に測定できることが分かる。
(3) 従って、本実施例における検討結果からも、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬、及び少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬の各構成試薬よりなることを特徴とする本発明のプロテインSの活性測定試薬キット、並びに当該プロテインSの活性測定試薬キットを使用することを特徴とする本発明のプロテインSの活性測定方法は、試料に含まれるプロテインSの活性を定量的に測定することが可能であって、そして、測定の自動化が容易であり、試料に含まれるプロテインSの活性を正確、簡便かつ短時間に測定することができるものであることが確かめられた。

Claims (1)

  1. 次の(a)〜(e)の工程により、試料に含まれていたプロテインSの活性測定を行うことを特徴とする、プロテインSの活性測定方法。
    (a) 試料と、少なくとも活性化プロテインCを含む活性化プロテインC含有試薬とを混合する。
    (b) 前記(a)における混合物の一部と、少なくとも活性化血液凝固第V因子を含む活性化血液凝固第V因子含有試薬とを混合する。
    (c) 前記(b)における混合物の全部と、少なくともプロトロンビン及びトロンビンの基質を含むプロトロンビン・基質含有試薬とを混合する。
    (d) 前記(c)の工程における反応によりトロンビンの基質から生成されるシグナルの量を測定する。
    (e) 前記(d)において測定したシグナルの量より試料に含まれていたプロテインSの活性値を求める。
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