JP2008191171A - 凝固パラメーターを決定するためのキット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フィブリン単量体からのフィブリンポリマーの形成を阻害する物質、血液凝固試薬及び、場合によって、凝固パラメーターが既知の標準試薬により構成される凝固パラメーターを決定するためのキット。
【選択図】 なし
Description
ィブリンポリマー形成(フィブリン単量体がフィブリン網として析出する)段階で止めて凝固パラメーターを測定し、測定後フィブリン分子相互の親和性を失わせる溶液を添加してフィブリンポリマーを溶解させる方法が開示されている(特許文献1参照)。かような方法によれば、使用した反応容器が再利用できることも示唆されている。しかしながら、この方法で使用する第XIII因子の阻害剤はいずれも劇薬であるため、安全性の面で問題がある。また、該方法では、フィブリンポリマーを溶解させるためにフィブリン分子相互の親和性を失わせる溶液を添加する必要があるが、該溶液として具体的に例示されているのは塩酸等の強酸であり、反応容器(セル等)や測定装置を腐食、破損させる恐れがある。また、この様な溶液は凝固終了後に添加するため、測定装置においては新たな試薬添加ラインを設ける必要があり、既に普及している自動分析装置をそのまま使用することができないという問題がある。
A.試験すべきフィブリノーゲン含有流体試料を、前記フィブリンの凝固過程におけるフィブリン単量体からのフィブリンポリマーの形成を阻害する物質の存在下で血液凝固試薬と接触させ、
B.かような接触に基づき変化する前記試料における物理的変化量を検出し、そして
C.検出された物理的変化量を凝固パラメーターを表す指標として評価する、
工程を含んでなる。
ターが既知の標準試料を組み合わせとして含んでなる凝固パラメーターを決定するためのキット、も提供する。
本発明の方法は、フィブリンポリマー(もしくはフィブリン網)の析出が生じているが、その析出物が反応容器(例、キュベット、カップ等)から容易に除去できる状態にある限り、所期の作用効果を伴って実施することができる。しかしながら、操作上の利便性を考慮すると、前記フィブリンポリマーに基づく析出が生じる前の試料における物理的変化量を検出することが好ましい。
とができる。
Research Laboratories)等から販売されている。
、血液凝固試薬と組み合わせて使用される。かような血液凝固試薬としては、異物表面を提供する物質(活性化剤)及びセファリン、トロンビン、各種血液凝固因子(例えば、II因子(プロトロンビン)、III因子(組織因子)、IV因子(カルシウムイオン)、V因子(不安定因子)、VII因子、VIII因子(抗血友病因子A)、IX因子、X因子、XI因子、XII因子(ハーゲマン因子)、XIII因子(フィブリン安定化因子)、プレカリクレイン及び高分子キニノーゲン)からなる群よりなる1種以上の因子を含むが、いずれかの因子を欠くもの)、プロテインC活性化剤から選ばれる少なくとも1種と、場合により無機塩又は緩衝剤を含有するものを挙げることができる。上記因子の起源はヒト以外のものであってもよい。これらの試薬の代表的なものは市販されており、それらをそのまま使用することもできる。
Cephaloplastin Reagent)(デイド社製)、フィブリノーゲン測定用試薬としてはデータファイ・フィブリノーゲン(Dade Fibrinogen
Determination Reagent)(デイド社製)、トロンボテスト測定用試薬としては複合因子・T「コクサイ」(Compound Factor−T Kokusai)(国際試薬社製:International Reagents Corp.)等が挙げられる。
る。上記の緩衝剤の濃度もイオン強度に関与するため、無機塩の添加量は使用する緩衝剤の種類等に応じて適宜決定すればよいが、一般的には緩衝剤と無機塩の濃度の和が50〜900mMの範囲となるようにするのが好適である。上記試料は本発明の目的に沿う限り、さらなる処理が行われていてもよい。全血または血漿を例にとれば、採取した静脈血にクエン酸ナトリウムを加えたものを3000rpm、10分間遠心分離し、その上澄みを試験すべき血漿とすることができる。なお、この様な方法で得た血漿試料の保存期間は、通常室温で6時間、4℃で1日、−20℃で10日間程度である。
(吸光度)が通常約20秒間に1回、不連続に測定される。最後に約6分間の測定が終わった後、最後に洗浄機構のノズルによって測定セルから反応液が廃棄されるという測定工程である。
液凝固試薬を添加した後、測定装置備えつけの撹拌機構あるいは撹拌装置で撹拌・混合させることで接触させる条件等が挙げられる。接触時間も得に制限されなく、接触時間は物理量の変化がモニターできる測定装置のモニター時間の設定及び上限に依存する。例として、広く普及している自動分析機では、機種によって異なるが最長約12〜20分間接触できる。
ことができるばかりでなく、その測定結果は信頼性の高いものである。
下記の各緩衝液を使用して、以下に説明する手順に従ってDDを作製した。
緩衝液A:0.15M NaCl、18mM CaCl2・2H2O及び0.01%NaN3を含有した50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)。
緩衝液B:0.4M硫安、2mM ε−アミノカプロン酸、1mM NaN3を含有した10mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)。
緩衝液C:0.15M NaCl、2mM ε−アミノカプロン酸、1mM NaN3を含有した20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)。
緩衝液D:1M硫安、2mM ε−アミノカプロン酸、1mM NaN3を含有した20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)。
緩衝液E:2mM ε−アミノカプロン酸、1mM NaN3を含有した20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)。
20ml・hr−1,Phenyl Toyopearl量40mlである。
PT測定で、DDによるフィブリンポリマーの形成の阻害効果を調べた。PT測定試薬としては、市販の「トロンボプラスチンCプラス」(デイド社製)を用いた。PT測定試薬は凍結乾燥品を通常の半分の量の蒸留水で再生することにより2倍濃度にして使用した。
ブリノーゲン(以下、Fibと略す。)に対するDDのモル比を表1に示す。
抗FgDP−E抗体20mlを限外濾過濃縮器であるセントリコン10(Centricon−10)(アミコン社:Amicon,Inc.製、カットオフ分子量10000)10本に2mlづつ分注した。セントリコン10を遠心分離(3000r.p.m.、120分間)することで濃縮した。次いでこの濃縮抗体溶液を透析膜(Dialysis
membrane)(和光純薬工業株式会社製)に入れ、緩衝液(組成:350mM塩化ナトリウムを含有する30mMHEPES緩衝液、pH7.4)で2時間透析することにより測定に使用する抗FgDP−E抗体の溶液を得た。該溶液における抗体濃度は、280nmにおける吸光度を測定して、1%濃度の抗体溶液の吸光度係数を13.0、分子
量を144kd(日本生化学会編 生化学データブックII、1008ページ、東京化学同人、1980年発行)として算出したところ、174μMであった。これを透析に用いたものと同一の緩衝液で希釈することにより、それぞれ、20、30、50、70、80、100、120μMの濃度の7種類の抗FgDP−E抗体溶液を得た。
により抗FgDP−E抗体のフィブリン凝固阻害効果が明確に示された。尚、フィブリン凝固が回避できた場合にはサンプルカップ中の反応終了物は、サンプルカップを逆さにするだけで流出し、容易に取り除くことができた。
PT測定用:トロンボプラスチンCプラス(デイド社製、凍結乾燥品)を通常使用する半分の量の蒸留水で再生したもの
APTT測定用:アクチンデータファイ・APTT(デイド社製)
(液体試料)
サイトロール1(デイド社製):正常域血漿のコントロール血漿(フィブリノーゲン濃度は8μM)
サイトロール2(デイド社製):中等度異常血漿のコントロール血漿(フィブリノーゲン濃度は9μM)
サイトロール3(デイド社製):高等度異常血漿のコントロール血漿(フィブリノーゲン濃度は8μM)
但し、フィブリノーゲン濃度はアメルング社製測定装置KC−10Aを用いデータファイ・フィブリノーゲン(デイド社製)試薬を用いて測定した実測値である。
PT測定用:前記の抗FgDP−E抗体のフィブリン凝固阻害効果を確認する際に使用した濃縮抗体溶液を透析膜に入れ、350mM NaClを含有した30mM HEPES緩衝液(同仁化学製;pH7.4)で透析して調製した80μM 抗FgDP−E抗体溶液。
APTT測定用:上記濃縮抗体溶液を透析膜に入れ、20mM CaCl2、350mM
NaClを含有した30mM HEPES緩衝液
(同仁化学:Dojindo Laboratories製;pH7.4)で透析して調製した80μM 抗FgDP−E抗体溶液。
測定装置:クイックターボ2((株)エイアンドテイー:A&T Corp製)測定波長:405nm
測定頻度:毎秒1回
測定セルに各液体試料100μlをマイクロピペットで分取し、該測定セルに抗FgDP−E抗体溶液100μlを添加し、37℃で5分間加温した。その後、PT測定試薬を100μl添加し、この時点からクイック・ターボ2で濁度変化の測定を開始した。なお、反応系における、抗FgDP−E抗体/Fibモル比は約10倍である。
測定セルに各液体試料100μlをマイクロピペットで分取し、該測定セルにAPTT測定試薬を100μl添加・混合し、37℃で5分間加温した。その後、抗FgDP−E抗体溶液を100μl添加し、この時点からクイック・ターボ2で濁度変化の測定を開始した。なお、反応系における抗FgDP−E抗体/Fibモル比は約10倍である。
PT測定用緩衝液:150mM NaClを含有した30mM HEPES緩衝液(同仁化学製;pH7.4)。
APTT測定用緩衝液:20mM CaCl2、150mM NaClを含有した30mM HEPES緩衝液(同仁化学製;pH7.4)を用いた。
サンプル量 40μl
抗FgDP−E抗体溶液(R1) 60μl
PT測定試薬(R2) 60μl
測定波長 340nmおよび795nm
測定ポイント 16−36(18秒間隔)
A=(合成した濁度デ−タの中の濁度最大値)−(濁度最小値)
B=修正マルカット法による微調整の係数
C=修正マルカット法による微調整の係数
D=合成した濁度データの中で隣り合うデータ間の濁度変化量が最大となる時間
E=合成した濁度データの中の濁度最小値
を求めた。
(凝固時間)= 0.1103 × (仮想凝固時間) + 3.6172
PT測定用:前記作製方法で最終的に得られたDD精製画分を限外濾過によって濃縮し、その後、濃縮液を透析膜(和光純薬工業株式会社製)に入れ、30mM HEPES緩衝液(同仁化学製;pH7.4)で透析して作製した80μM DD濃縮液
APTT測定用:前記作製方法で最終的に得られたDD精製画分を限外濾過によって濃縮し、その後、濃縮液を透析膜に入れ、20mM CaCl2を含有した30mM HEPES緩衝液(同仁化学製;pH7.4)で透析して作製した80μM DD濃縮液。
ぞれ表6及び表7に示す。凝固阻害物質としてDDを使用した場合にも濁度変化には特異性があること、および良好な同時再現性を示すことが確認され、抗FgDP−E抗体を用いたときと同様に濁度変化測定により凝固パラメーターを決定することができることが確認された。
サンプルA〜Eの5種の実検体を液体試料とした。
まず、リコンビプラスチン1.0RPT試薬(オーソ・ダイアグノステイック社製、凍結乾燥品)を通常使用する量の蒸留水で再生して、組織トロンボプラスチン液を作製する。次に、anti−human FDP−D抗体(医学生物学研究所製)液を0.25MNaClを含んだ50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)で透析して、抗体液を作製する。最後に、蒸留水175μl、組織トロンボプラスチン液300μl及び抗体液100μlという割合で混合してR1試薬液を作製した。
まず、テストチーム発色基質S−2238(第一化学薬品(株)社製)を通常使用する量の蒸留水で再生して、発色基質液を得る。最後に、発色基質液150μl、リコンビプラスチン1.0RPT溶解液(オーソ・ダイアグノステイック社製、カルシウム溶液)1
50μlの割合で混合してR2試薬液を作製した。
1.Kudryx,B.J.et al.,(1974)J.Biol.Chem.249,3322−3325
要約;フィブリンモノマー分子間の結合は、重合部位と呼ばれる相補的部位の相互作
用によって生じる。D領域に存在する重合部位aは、フィブリノーゲン分子に
元からあるものである。
2.Laudano,A.P.et al.,(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75,3085−3089、及びLaudano,A.P.et al.,(1981)Science 212,457−459
要約;フィブリノーゲンは、トロンビンによるフィブリノペプチドAの切断・放出に
よってE領域上に重合部位Aを露出する。E領域は2量体構造をとっているの
で、重合部位AはE領域に2コピー存在することになる。
3.Fowler,W.E.et al.,(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78,4872−4876、及びHantgan,R.R.et
al.,(1979)J.Biol.Chem.254,11272−11281
要約;重合部位aと重合部位Aとで非共有結合し、フィブリンモノマーが半分子ずつ
ずれ合って結合した2本鎖のプロトフィブリルが生成され、該プロトフィブリ
ルが二次元、さらに三次元へと結合してフィブリンはゲル化する。
4.Chen R.et al.,(1971)Biochemistry 10,4486−4491
要約;トロンビンは、フィブリノーゲンだけではなく、血液凝固第XIII因子(X
III)をも基質とする。血液凝固第XIII因子(XIII)は、トロンビ
ンの作用によってトランスグルタミナーゼ活性をもつ活性型第XIII因子因
子(XIIIa)となる。XIIIaはCa2+存在下で、フィブリンモノマ
ー分子D領域に存在している(γ鎖C末端近くに配置している)リジン残基と
もう一方のフィブリンモノマー分子D領域に存在している(γ鎖C末端近くに
配置している)グルタミン残基との間にイソペプチド結合(−CO・NH−)
を生じさせる。この効果によって、フィブリンモノマー分子間は架橋されてい
き、安定化フィブリンをもたらす。
5.Pandya,B.V.et al.,(1991)Biochemistry 30,162−168
要約;トロンビンはフィブリノーゲンβ鎖のN末端から14番目のArgと15番目
のGly間を切断し、フィブリノペプチドBを放出し、重合部位Bを露出する
。
Claims (2)
- フィブリン単量体からのフィブリンポリマーの形成を阻害する物質、血液凝固試薬及び、場合によって、凝固パラメーターが既知の標準試薬を組み合わせとして含んでなる凝固パラメーターを決定するためのキット。
- フィブリン単量体からのフィブリンポリマーの形成を阻害する物質が、フィブリン単量体のE領域に結合可能なペプチドもしくはタンパク質である請求項1記載のキット。
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