JP4809843B2 - ツインクラッチ変速機用のセレクタドラム付きアクチュエータ構造体 - Google Patents

Description

本発明は、奇数番の前進歯車段を収容した第１の部分変速機及び偶数番の前進歯車段を収容した第２の部分変速機を有するツインクラッチ変速機用のアクチュエータ構造体であって、少なくとも１つの第１のセレクタドラム及び少なくとも１つの第２のセレクタドラムを有し、セレクタドラムが、それぞれ、１つの制御可能な駆動モータ及び少なくとも１つの制御カムを有し、各制御カムには少なくとも１つのカムフォロアが割り当てられ、ツインクラッチ変速機の歯車段を入切する（噛み合わせたり離脱させたりする）ためにカムフォロアをそれぞれ関連のシフトクラッチパックのセレクタスリーブに連結することが可能であるアクチュエータ構造体に関する。

先行技術：
−シフト変速機において、シフトクラッチによって歯車を入切するために、摺動ブロック、ローラ又はこれに類似したカムフォロア、それ故カムフォロアに連結されたシフトフォークを制御カム又は湾曲軌道（セレクタドラム溝）によって軸方向に動かすセレクタドラム。
−１つ又は２つ以上のセレクタドラムを有するセレクタドラムシステム。
−セレクタドラム作動手段を備えたオートバイ用変速機。
−ツインクラッチ変速機（ＤＫＧ）又は２つのクラッチ及びこれに連結された２つの部分変速機を有するパワーシフト変速機の原理的構造及び機能。変速機段及びしたがってツインクラッチ変速機の個々の歯車又は歯車段をシフトクラッチによって回転的形状フィッティング方式で連結できる固定歯車と遊び歯車によって実現できる。
−２つのセレクタドラム及び１つの歯車列構造を備えたセレクタドラムシステムであって、偶数番の歯車が、一方のローラによりまかなわれ、奇数番の歯車が、他方のローラによってまかなわれるセレクタドラムシステム（独国特許第１９８４０６２１号明細書、独国特許第１９９２０４４０号明細書）。
−包囲溝を備えたセレクタドラム（独国特許出願公開第１９９２４３３５号明細書）。
−ツインクラッチ変速機用の少なくとも２つのセレクタドラムの使用法（欧州特許出願公開第１１８２３７６号明細書、独国特許出願公開第１０１２８８５４号明細書）。
−独国特許法第３章第２項の規定による先行技術：独国特許第１０３６１３５６．０号明細書：可動溝フランクを備えたセレクタドラム。
−ツインクラッチ変速機用のセレクタドラムの使用法（独国特許出願公開第１０１２８８５４号明細書、欧州特許第０８３１２５６号明細書、独国特許出願公開第３０３７９９０号明細書）。
−軸方向可動セレクタドラム、調節部材、加重切り換え点若しくは被制御切り換え点、又は対応の溝区分によって歯車を飛ばすことができ（主として、ダウンシフトの際）又は２つの歯車の同時稼働を可能にするセレクタドラムシステム（独国特許出願公開第１０１２８８５４号明細書、独国特許出願公開第１９６３８２６９号明細書、欧州特許第０８３１２５６号明細書、独国特許出願公開第１９９２４３３５号明細書、独国特許出願公開第１９５０９４７７号明細書、独国特許出願公開第１９５４３６４５号明細書）。

独国特許第１９８４０６２１号明細書 独国特許第１９９２０４４０号明細書 独国特許出願公開第１９９２４３３５号明細書 欧州特許出願公開第１１８２３７６号明細書 独国特許出願公開第１０１２８８５４号明細書 欧州特許第０８３１２５６号明細書 独国特許出願公開第３０３７９９０号明細書 独国特許出願公開第１９６３８２６９号明細書 独国特許出願公開第１９５０９４７７号明細書 独国特許出願公開第１９５４３６４５号明細書

先行技術の欠点
１．歯車をマルチプルシフト（多段シフト）で飛ばすこと（例えば、６→３〜５→２等）は、特に、ツインクラッチ変速機において問題である。セレクタドラムを有するセレクタドラム作動構造体を用いる場合、更に特に、２つのセレクタドラムを有し、偶数番歯車の分離が一方のセレクタドラム上に位置し、奇数番歯車が他方のローラ上に位置するセレクタドラム作動構造体を用いる場合、上述の形式のマルチプルシフトは、一般に、中間歯車が「パススルー」され（飛ばされ）、即ち、入切される（噛み合わせたり（係合させたり）離脱させたりする）場合にのみ可能である。歯車を「パススルー」することは、次のシングルアップシフト（単一段アップシフト）を都合の良いシフト順序論理に従って、場合によっては牽引力がブリッジした（続いた）状態で実施できるようにするために必要である。

例：
セレクタドラム０１（ＳＣＨＷ＿０１）：Ｒ−１−３−５ 部分変速機１
セレクタドラム０２（ＳＣＨＷ＿０２）：２−４−６ 部分変速機２

この場合、牽引ダウンシフト５−２が、特に牽引力がブリッジした状態で、即ち、牽引力を中断しないで直接実施される場合、以下のことが起こり、即ち、実際の「ギヤシフト」がクラッチ相互間でマージ（クロスフェード）することにより、即ち、ＳＣＨＷ＿０２で部分変速機１から部分変速機２へのトルクの伝達によって起こることができ、ＳＣＨＷ＿０２は、セレクタドラム論理に従って、４速歯車又は４速歯車と６速歯車との間の中立位置若しくは６速歯車の状態にあり、当初、６速歯車は、切られ、４速歯車が、入れられて切られ、又は、４速歯車のみが切られ、次いで、２速歯車が入れられる。

次に、トルク伝達が生じるに過ぎない。最終的に、この場合、ＳＣＨＷ＿０１は、後で、牽引力がブリッジした状態で可能な２−１又は２−３シフトを直接実施することができるようにするため、５速歯車を切り又は追加的に、３速歯車を入れ、場合によっては再びこれを切る。したがって、ＳＣＨＷ＿０１を「追跡」しなければならない（辿らなければならない）。

２．したがって、先行技術においては、歯車は、互いに関連して直接自由に選択することができず、したがって、あらゆる運転手の要求又はあらゆる運転状況を最適に果たし、又はカバーすることはできない。

例えばマルチプルダウンシフトの場合に直接的な選択の自由が無いので、時間の面において相当な度合の追加のコストが必要である。したがって、例えば５−２又は６−３シフトによって必要とされる車両の加速性能は、低くなる。というのは、上述したように、歯車は、それぞれ追加的に噛み合わせ又は離脱させなければならず、純粋に連続的なシフト順序しか可能でない。

３．したがって、機能性の面において、セレクタドラム作動構造体は、他のシフト作動構造体より、特に、個々のロッドを備えた、即ち、シフトユニットがギヤの対又はセレクタスリーブ１つ当たり１つのアクチュエータを備えた油圧シフト作動構造体よりもかなり都合が悪い。

４．歯車をパススルーすること又は歯車を追跡することも又、同期化ユニットの追加の加重及びそれによる有効寿命の減少を招く。

５．先行技術の２つのセレクタドラムを有するセレクタドラム作動構造体では、上述したような考えられる適当な直接マルチプルシフトのうちの幾つかだけを実施するにも、構造的コストをかなり増大させ又は設置空間に対する要求及びコストを増大せざるを得ない。

したがって、本発明の目的は、改良型アクチュエータ構造体及びかかるアクチュエータ構造体を備えたツインクラッチ変速機を提供することにある。

この目的は、本明細書の導入部に記載したアクチュエータ構造体において、
−少なくとも１つのセレクタドラムの制御カムは、少なくとも３６０°にわたってぐるりと包囲し、
−関連の駆動モータは、セレクタドラムを少なくとも３６０°にわたって駆動するよう設計され、
−歯車段は、少なくとも１つの直接マルチプルシフトを実施できるような仕方で、２つのセレクタドラム上に分布した状態で制御カム上に配置されていることを特徴とするアクチュエータ構造体によって達成される。

この目的は又、上述した形式のアクチュエータ構造体を備えたツインクラッチ変速機によって達成される。

好ましい実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。

本発明は、好ましくは６＋Ｒ−歯車変速機、即ち、７つの係合可能な歯車を備えた変速機におけるシフトシステムに特に適合した歯車装置／歯車対と関連した好ましくは２つのセレクタドラムを有するシフト作動構造体で実現される。

これにより、設置空間の面でほどほどの費用効果の良いセレクタドラム作動構造体が得られ、このセレクタドラム作動構造体は、特に６＋Ｒ−歯車ツインクラッチ変速機用の２つのセレクタドラムを有し、それにより、直接歯車選択に関しツインクラッチ変速機にとって十分な度合の選択の自由度が得られる。

したがって、本発明のツインクラッチ変速機では、可能な牽引力がブリッジした状態で又は中間支持体を備えた本質的にマルチプルダウンシフト又はマルチプルアップシフトを特に、特に変速機における歯車の追加の入切プロセスを行わないで直接実現できる。

特に重要なシフトは、マルチプルダウンシフト６−３，５−２；６−５−２；６−３，２及びマルチプルアップシフト３−６；２−５；２−５−６；２−３−６を含む（これとは対照的に、シフト４−１及び１−４は、エンジンの速度に関する制約のために通常は都合の良さは低い）。

本発明のシフト作動構造体は、上述のマルチプルシフト５、可能な牽引力がブリッジした状態で、次に可能なシングルアップシフト及びシングルダウンシフトを全て実施できる。したがって、シフト順序論理は、常に維持される。歯車を追跡する必要はない。

この結果、コストの増大を最小限に抑えた状態で、全体として機能性の相当な向上が得られる。

フロント横置き型ツインクラッチ変速機のための本発明の具体化は、特に好ましい。

好ましくは、後退歯車のシフト機能のための切り換え点（例えば、ばね押し制御切り換え点）が設けられる。これにより、１速歯車及び後退歯車が２つの部分変速機相互間に分割された特に好ましい実施形態を実現することができる。

切り換え点は又、１速歯車により、即ち、例えば、他のセレクタドラムによって動的に制御できる。

セレクタドラムは、それぞれ、クラシックなセレクタドラムとして、カムディスクとして、巻き金属シート等から作ることができ、具体的には、対応の制御カムは、制御溝、制御ビード又は他の制御輪郭等の形態をしている。

カムフォロアを摺動ブロック、ローラ、ピン等として具体化できる。

セレクタドラムは、全ての公知の製造方法を用いて制動でき、例えば、塊状設計又は組み立て（多くの部品）設計のものであるのが良い。
アクチュエータ構造体は、機能性が制限されることなく、６個又はこれよりも少ない数の歯車を備えた変速機用に実現できる。上述のアクチュエータ構造体は又、機能性が制限されることなく、８個又はそれ以上の数の歯車を備えた変速機用に実現できる。

上述の特徴及び更に以下に説明されるべき特徴は、それぞれ指定された組合せだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組合せの状態で又は個々に利用できることは自明である。

本発明の例示の実施形態が、図面に記載されており、以下の説明においてこれら実施形態につき詳細に説明する。

図１において、本発明のツインクラッチ変速機の第１の実施形態が全体を符号１０で示されている。

ツインクラッチ変速機１０は、第１の駆動入力シャフト１２及び第２の駆動入力シャフト１４を有している。第２の駆動入力シャフト１４は、中空シャフトとして具体化されていて、第１の駆動入力シャフト１２に対して同心状に配置されている。

第１の駆動入力シャフト１２を第１のクラッチＫ１に連結するのが良い。第２の駆動入力シャフト１４を第２のクラッチＫ２に連結するのが良い。

第１の駆動入力シャフト１２は、第２の駆動入力シャフトよりも軸方向広がりが大きい状態で延び、この第２の駆動入力シャフトを越えて突き出ている。

ツインクラッチ変速機１０は、第１の駆動出力シャフト１６及び第２の駆動出力シャフト１８を更に有している。２つの駆動出力シャフト１６，１８を更に有している。２つの駆動出力シャフト１６，１８は、それぞれ、駆動入力シャフト１２，１４に平行に配置され、駆動出力一定歯車列によって、差動歯車装置２６の差動駆動入力歯車２４に連結されている。

正確に言えば、駆動出力一定歯車列は、第１の駆動出力シャフト１６に回転的に固定状態で連結された第１の駆動出力歯車２０を有すると共に第２の駆動出力シャフト１８に回転的に固定状態で連結された第２の駆動出力歯車２２を有している。

２つの駆動出力歯車２０，２２は、互いに軸方向に整列しており、両方共、特に図２で理解できるように、差動駆動入力歯車２４と噛み合っている。

ツインクラッチ変速機１０は、６つの前進歯車段１〜６及び１つの後退歯車Ｒを有している。奇数番の前進歯車段１，３，５は、ツインクラッチ変速機１０の第１の部分変速機に割り当てられ、したがって、第１のクラッチＫ１に割り当てられている。

偶数番の前進歯車段２，４，６及び後退歯車段Ｒは、ツインクラッチ変速機１０の第２の部分変速機に割り当てられ、したがって、第２のクラッチＫ２に割り当てられている。

前進歯車段２，４，６は、第１の駆動出力シャフト１６に割り当てられている。前進歯車段３，４，５及び後退歯車段Ｒは、第２の駆動出力シャフト１８に割り当てられている。

１つのシフトクラッチを有するシフトクラッチパックＳＫ１が、第１の駆動出力シャフト１６に取り付けられると共に前進歯車段１に割り当てられている。２つのシフトクラッチを有するシフトクラッチパックＳＫ２／６が、前進歯車段２，６に割り当てられている。これに対応して、２つのシフトクラッチを有するシフトクラッチパックＳＫ３／５が、前進歯車段３，５に割り当てられ、シフトクラッチパックＳＫ４／Ｒが、歯車段４，Ｒに割り当てられている。

シフトクラッチパックＳＫに設けられたシフトクラッチは、例えば、従来型同期クラッチとして具体化されている。

第１の出力シャフト１６には、変速機入力から進んで次の順序で、即ち、第１の出力歯車２０、前進歯車段２のための遊び歯車、後退歯車段Ｒのための回転方向逆転歯車２８、シフトクラッチパックＳＫ２／６、前進歯車段６のための遊び歯車、シフトクラッチパックＳＫ１、そして前進歯車段１のための遊び歯車が、取り付けられている。

これに対応して、第２の出力シャフト１８には、変速機入力から進んで次の順序で、即ち、第２の出力歯車２２、駐車ロック３０、後退歯車段Ｒのための遊び歯車、シフトクラッチパックＳＫ４／Ｒ、前進歯車段４のための遊び歯車、前進歯車段５のための遊び歯車、シフトクラッチパックＳＫ３／５、そして前進歯車段３のための遊び歯車が、取り付けられている。

回転方向逆転歯車２８と前進歯車段２のための遊び歯車は、互いに回転的に固定状態で連結されている。回転方向逆転歯車２８は、第２の出力シャフト１８に取り付けられた後退歯車段Ｒの遊び歯車と軸方向に整列している。これに対応して、駐車ロック３０は、第１の駆動出力シャフト１６に取り付けられた第２の前進歯車段２のための遊び歯車に軸方向に整列している。

加うるに、前進歯車段４，６は、互いに軸方向に整列していて、共通シフト歯車３２と噛み合っている。換言すると、前進歯車４，６のデュアルユースが実現されている。

変速機１０では、前進歯車段１及び後退歯車段Ｒは、互いに異なる部分変速機に取り付けられており、したがって、互いに異なるクラッチＫ１，Ｋ２に割り当てられている。

後退歯車段Ｒは、前進歯車段２の回転方向逆転歯車２８により、即ち、言わば、段付きの２速歯車によって駆動される。この場合、１速歯車の変速比とほぼ同じ変速機を実現することが可能である。

駐車ロック３０は、前進歯車段２の遊び歯車又はシフト歯車と対向して取り付けられている。

１つのデュアルユースが実現されている。前進歯車段１，２は、一方の出力シャフト、即ち、出力駆動シャフト１６に取り付けられている。全体として、４つの同期クラッチパックＳＫが提供されている。

前進歯車段１は、短い軸方向間隔を置いて出力シャフト１６に取り付けられている。大きなシフト又は遊び歯車直径を備えた歯車段（この場合、駆動出力シャフト１６に取り付けられた歯車段１，２及び駆動出力シャフト１８に取り付けられた歯車段３，Ｒ）は、外部では軸方向に配置され、したがって、上述したように２つのセレクタドラムＳＷ１ｃ，ＳＷ２ｃを備えた作動構造体を出力シャフト１６，１８に半径方向に近接して中間に配置できるようになっている。

ツインクラッチ変速機１０は、自動変速機として具体化されている。シフトクラッチパックＳＫは、２つのセレクタドラムＳＷ１ｃ，ＳＷ２ｃに連結されている。これに対応して、クラッチＫ１，Ｋ２も又、自動的に作動される。

ツインクラッチ変速機１０用の本発明のアクチュエータ構造体は、第２の駆動出力シャフト１８に取り付けられた歯車段３，Ｒの遊び歯車相互間に配置された第１のセレクタドラムＳＷ１ｃを有すると共に第１の駆動出力シャフト１６に取り付けられた歯車段１，２の遊び歯車相互間に配置された第２のセレクタドラムＳＷ２ｃを有している。セレクタドラムＳＷ１ｃ，ＳＷ２ｃは、シャフト１６，１８に平行に取り付けられ、概略的に示されたモータ、特に、電気モータＭ１，Ｍ２によってそれぞれ駆動される。

第１のセレクタドラムＳＷ１ｃには、第１のカムフォロア４８ｃが嵌まり込む第１の制御カム４０ｃ及び第２のカムフォロア５０ｃが嵌まり込む第２の制御カム４２ｃが取り付けられている。

第２のセレクタドラムＳＷ２ｃには、第３のカムフォロア５２ｃが嵌まり込む第３の制御カム４４ｃ及び第４のカムフォロア５４ｃが嵌まり込む第４の制御カム４６ｃが取り付けられている。

カムフォロア４８ｃは、シフトクラッチパックＳＫ３／５を作動させるセレクタスリーブに結合されている。カムフォロア５０ｃは、シフトクラッチパックＳＫ４／Ｒを作動させるセレクタスリーブに結合されている。カムフォロア５２ｃは、シフトクラッチパックＳＫ１を作動させるセレクタスリーブに結合されている。カムフォロア５４ｃは、シフトクラッチパックＳＫ２／６を作動させるセレクタスリーブに結合されている。

図２は、一方の駆動出力シャフトに歯車段１，２，６，Ｒが割り当てられ、他方の駆動出力シャフトに歯車段３，４，５が割り当てられた変形例としてのツインクラッチ変速機に割り当てることができる２つのセレクタドラムＳＷ１，ＳＷ２の広げた図である。

図３〜図６は、以下のように図２のセレクタドラムによる代表的なシフト順序を示している。

分かりやすくするため、セレクタドラムＳＷ１，ＳＷ２を回転したときに結果的に得られるカムフォロア４８〜５４（例えば、摺動ブロック）の位置を考察する。

以下の状態が、始動点として取られる。即ち、「始動歯車」を係合させ、別の「ターゲット歯車」を追加的に係合させる。クラッチＫ１，Ｋ２相互間のマージ（クロスフェード）後においては、ターゲット歯車は、シフト位置のままであり、始動歯車は、中立状態に離脱されている。

これらの位置は、単なる例として理解されるべきである。というのは、シフト方式に応じて、対応のターゲット歯車を既に選択することができ又は当初離脱させなければならない別のターゲット歯車が既にあらかじめ選択され又は対応の始動歯車がクラッチ相互間のマージ後には離脱されないからである。しかしながら、本発明のシフトを実現する可能性は、常時維持される。

シフト要求の開始時に、シフト方式に応じてシフト順序を類似的に種々の歯車位置に移すことができる。

図３〜図６では、黒塗りの丸は、考えられる始動位置を示し、チェック付きの丸は、考えられる標的位置を示し、ストライプ付きの丸は、中間位置を示している。

図示のように、マルチプルダウンシフトは、本発明によれば、特に中間歯車を係合させる必要なく、直接実施できる。この場合、図５及び図６の例は、中くらいの程度のダウンシフトを牽引下で（例えば、キックダウン中）実施され、次に、（例えば、キックダウンの続行中）それ以上のダウンシフトが実施され、又は牽引力を中断させないで中間歯車を介して直接ダウンシフトが実施される状況を示している。

全ての順序は、可逆的である。したがって、マルチプルアップシフト２−５；３−６；２−３−６；２−５−６も又、直接的に実施できる。全ての順序は、これらの基本的な論理の面において、図示の実施形態の全てに適用できる。この場合、少なくとも１つのセレクタドラムは、３６０°以上にわたり常時回転する。

図７及び図８は、変形実施形態を示している。

シフト作動構造体は、一般に、全ての形式の変速機に使用できる。このシフト作動構造体は、有利には、フロント横置き型変速機に使用できる。シフト作動構造体、有利には、特に３シャフト設計のフロント横置き型変速機に使用できる。シフト作動構造体は、３シャフト設計のものであり、駆動出力シャフトに対して軸方向に平行に配置されたシフト装置／セレクタドラムを有するフロント横置き型変速機に特に有利に使用できる。これにより、歯車列へのシフト装置の最適な適合が可能になり、したがって、最適な変速機パッケージが得られる。

２つのセレクタドラムを備えたセレクタドラムシステムによる直接マルチプルシフトを実施する可能性は、以下の特徴のうちの少なくとも１つ、好ましくは組合せによって実現される。
−セレクタドラムシステムが、２つのセレクタドラムを有し、少なくとも一方のセレクタドラムが、包囲する溝を有していること。
−少なくとも１つのセレクタドラムが、３６０°にわたって回転可能であること。
−セレクタドラムに対して偶数番／奇数番歯車の分離が無いこと。
−１／Ｒが、１つのセレクタスリーブ上に位置していること。
−セレクタドラムの制御カム中の領域Ｕをオーバーラップさせることにより、一方のセレクタドラムについてのみ、ツインクラッチ変速機（牽引力がブリッジする）の基本的概念の脈絡の中で２つの連続した歯車を作動させ、２つの歯車を同時に係合させる状態を生じさせることが可能である。

図９は、特に図１のツインクラッチ変速機１０に用いることができる２つのセレクタドラムＳＷ１，ＳＷ２を備えたアクチュエータ構造体の特に好ましい実施形態を示している。動作モードは、全体として、図２、図７、及び図８のアクチュエータ構造体と同等である。以下の説明は、この点に関し実質的に相違点のみに関する。

一方において、１速歯車及び後退歯車は、一方の同期化ユニット／セレクタスリーブ上には位置していない。加うるに、１速歯車及び後退歯車Ｒは又、一方のセレクタドラム溝又は一方のカムフォロアによっては制御されない。

セレクタドラムＳＷ１ｃは、歯車３，５及び歯車４，Ｒのためのそれぞれの包囲した制御カム４０ｃ，４２ｃを備えている。加うるに、制御カム４２ｃは、特に後退歯車に係合し又は飛ばす切り換え点６０を備えている。

切り換え点６０の設計又は作動は、原理的には、可動セレクタドラム溝フランク６２（図１０と図１１を比較参照のこと）、特に、セレクタドラム係合溝フランクに対応しているのが良い。切り換え点６０を補助エネルギー源、好ましくはばね力（ばね６４）によって制御するのが良い。

変形例として、切り換え点６０は、例えば他方のセレクタドラムＳＷ２ｃによって動的に制御される（図１２と図１３を比較参照のこと）。図示の場合、動的制御は、１速歯車の歯車位置のカップリング（カップリング部材６６）によって提供される。

図９〜図１３の変形例は、シフトの面における複雑さが増大しているにもかかわらず、好ましい。というのは、関連の歯車列構造体では、かかる歯車列に関する要件、例えば、設置空間の要件、費用の要件、変速比の要件、ばらつき、及び更にコンパクトなシフトパッケージに関する要求を満たすのが著しく容易だからである。

包囲溝を備えたセレクタドラムＳＷ１ｃに切り換え点６０を導入することにより、かかる溝は又、溝の端又は切り換え点６０それ自体による閉塞によって後退歯車の停止部を有する。したがって、両方のドラムをソフトウェア利用制御のための基準にすることができる。

受動的（ばね力制御式）切り換え点機能を備えたシフト順序論理が、図１０及び図１１に示されている。

３６０°を超えるセレクタドラムＳＷ１ｃのそれ以上の回転が可能である。切り換え点６０は、これが例えば傾斜フェースによってカムフォロア５０ｃ（摺動ブロック）に当たったときに、及ぼされるばね力に抗して逸らされ、それにより、バイパスされる。

回転方向がＲの方向である場合、カムフォロア５０ｃは、切り換え点６０により逸らされる。というのは、この切り換え点は、ばね力によってベース位置に保持されるからである（場合によっては、Ｒの係合）。

したがって、後退歯車を回転方向に依存する仕方で他方のセレクタドラムＳＷ２ｃとは別個独立に係合させることができる。

したがって、マルチプルアップシフトは、一般的に言って、可能ではない。

シフト順序論理は、セレクタドラムＳＷ２ｃ（図１２及び図１３）によって動的に制御される一体形切り換え点機能によって拡張される。

３６０°を超えるセレクタドラムＳＷ１ｃのそれ以上の回転が可能である。切り換え点６０は、バイパスされる。

セレクタドラムＳＷ１ｃの回転方向がＲの方向である場合、このセレクタドラムは、切り換え点６０が、セレクタドラムＳＷ２ｃに対するその依存性により、例えば、係合状態の１速歯車によって作動されていない限り、係合されない。したがって、０°以下及び０°を超えるセレクタドラムの運動が生じうる。マルチプルアップシフトも又可能である。

ドラム６０の運動方向が後退歯車の方向であり且つ切り換え点６０がセレクタドラムＳＷ２ｃにより、例えば、係合状態の１速歯車によって同時に作動される場合にのみ、後退歯車を係合させることが可能である。

したがって、１速歯車及び後退歯車を別々の部分変速機で同時に係合させることができる。したがって、前方方向又は後退方向に走り去ること（例えば、低速操作や車両が動かなくなった場合のロッキングフリー（rocking free））は、ギヤシフトを行わないで、したがって、時間の点で迅速に連続して交互に実施できる。というのは、部分変速機のタイヤのクラッチしか作動させる必要がないからである。したがって、走行方向の変更は、クラッチＫ１，Ｋ２を後退させることだけで実施される。

本発明のツインクラッチ変速機の第１の実施形態の歯車列の略図である。 図２a、ｂは、本発明のアクチュエータ構造体の第１の実施形態の２つのセレクタドラムの概略展開図である。 図２のアクチュエータ構造体によるマルチプルシフト６→３の概略順序図である。 図２のアクチュエータ構造体によるマルチプルシフト５→２の概略順序図である。 図２のアクチュエータ構造体によるマルチプルシフト６→５→２の概略順序図である。 図２のアクチュエータ構造体によるマルチプルシフト６→３→２の概略順序図である。 図７a、ｂは、本発明のアクチュエータ構造体の第２の実施形態の２つのセレクタドラムの概略展開図である。 図８a、bは、本発明のアクチュエータ構造体の第３の実施形態の２つのセレクタドラムの概略展開図である。 図９a、bは、図１のツインクラッチ変速機で実現される本発明のアクチュエータ構造体の第４の実施形態の２つのセレクタドラムの概略展開図である。 図２のアクチュエータ構造体によるシフトＮ→３の概略順序図である。 図２のアクチュエータ構造体によるシフト３→Ｒの概略順序図である。 図９のアクチュエータ構造体の改造実施形態によるシフトＮ→３→Ｎの概略順序図であり、後退歯車段の切り換え点がカップリング部材により動的に作動可能である状態を示す図である。 図９のアクチュエータ構造体の改造実施形態によるシフトＮ→Ｒの概略順序図である。

Claims (21)

1. 奇数番の前進歯車段（１，３，５）を収容した第１の部分変速機及び偶数番の前進歯車段（２，４，６）を収容した第２の部分変速機を有するツインクラッチ変速機（１０）用のアクチュエータ構造体であって、少なくとも１つの第１のセレクタドラム（ＳＷ１）及び少なくとも１つの第２のセレクタドラム（ＳＷ２）を有し、前記セレクタドラム（ＳＷ１，ＳＷ２）は、それぞれ、１つの制御可能な駆動モータ（Ｍ１，Ｍ２）及び少なくとも１つの制御カム（４０，４２，４４，４６）を有し、各制御カム（４０，４２，４４，４６）には少なくとも１つのカムフォロア（４８，５０，５２，５４）が割り当てられ、前記ツインクラッチ変速機（１０）の歯車段（１〜６，Ｒ）を入切するために前記カムフォロア（４８，５０，５２，５４）をそれぞれ関連のシフトクラッチパック（ＳＫ）のセレクタスリーブに連結することが可能であり、
   −少なくとも１つのセレクタドラム（ＳＷ２；ＳＷ１ｃ）の前記制御カム（４４，４６；４０ｃ，４２ｃ）は、少なくとも３６０°にわたってぐるりと包囲し、
   −前記関連の駆動モータ（Ｍ１；Ｍ２）は、前記セレクタドラム（ＳＷ２；ＳＷ１ｃ）を少なくとも３６０°にわたって駆動するよう設計され、
   −前記歯車段（１〜６，Ｒ）は、少なくとも１つの直接マルチプルシフト（６〜３；５〜２）を実施できるような仕方で、２つの前記セレクタドラム（ＳＷ１，ＳＷ２）上に分布した状態で前記制御カム（４０，４２，４４，４６）上に配置され、前記セレクタドラム（ＳＷ１，ＳＷ２）のうち少なくとも一方には、少なくとも１つの偶数番前進歯車段（２，４，６）及び少なくとも１つの奇数番前進歯車段（１，３，５）の両方が割り当てられている、アクチュエータ構造体。
2. 前記制御カム（４０〜４６）は、それぞれ、少なくとも１つの歯車周辺区分（Ｇ）及び少なくとも１つの中立周辺区分（Ｎ）を有し、歯車段（１〜６，Ｒ）は、関連のカムフォロア（４８〜５４）が前記歯車周辺区分（Ｇ）内に位置すると、稼働され、前記カムフォロア（４８〜５４）が、前記中立周辺区分（Ｎ）内に位置すると、前記制御カム（４０〜４６）に割り当てられた前記歯車段（１〜６，Ｒ）のうち稼働しているものは無い、請求項１記載のアクチュエータ構造体。
3. 前記セレクタドラム（ＳＷ１，ＳＷ２）のうち少なくとも一方は、２つの制御カム（４０，４２及び４４，４６）を有し、第１の制御カムの歯車周辺区分（Ｇ）と第２の制御カムの歯車周辺区分（Ｇ）は、オーバーラップした周辺区分（Ｕ）内で部分的にオーバーラップする、請求項２記載のアクチュエータ構造体。
4. １速歯車及び後退歯車のための前記歯車段（１，Ｒ）は、１つの制御カム（４２）に割り当てられている、請求項１〜３のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
5. １速歯車及び後退歯車のための前記歯車段（１，Ｒ）は、２つの前記部分変速機のうちの一方の中に収容されている、請求項１〜４のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
6. 後退歯車のための歯車周辺区分（ＧＲ）は、回転範囲が３６０°以下に制限されているセレクタドラム（ＳＷ１）に割り当てられている、請求項４又は５記載のアクチュエータ構造体。
7. 前記一方のセレクタドラム（ＳＷ１）には、１速歯車、２速歯車、６速歯車、及び後退歯車のための前記歯車段（１，２，６，Ｒ）が割り当てられている、請求項１〜６のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
8. 前記一方のセレクタドラム（ＳＷ１）には、１速歯車、２速歯車、４速歯車、及び後退歯車のための前記歯車段（１，２，４，Ｒ）が割り当てられている、請求項１〜６のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
9. 前記一方のセレクタドラム（ＳＷ１）には、１速歯車、４速歯車、６速歯車、及び後退歯車のための前記歯車段（１，４，６，Ｒ）が割り当てられている、請求項１〜６のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
10. 前記制御カムは、分岐していない、請求項１〜９のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
11. １速歯車及び後退歯車のための前記歯車段（１，Ｒ）は、別々の制御カム（４４ｃ，４２ｃ）に割り当てられている、請求項１〜３のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
12. １速歯車及び後退歯車のための前記歯車段（１，Ｒ）は、別々の部分変速機内に収容されている、請求項１〜３のうちいずれか一又は請求項１１記載のアクチュエータ構造体。
13. 前記後退歯車のための前記歯車段（Ｒ）は、少なくとも３６０°にわたって包囲する前記セレクタドラム（ＳＷ１ｃ）に割り当てられている、請求項１１又は１２記載のアクチュエータ構造体。
14. 前記後退歯車の歯車周辺区分（ＧＲ）には、前記関連の制御カム（４２ｃ）の切り換え点（６０）を介して一回転方向にのみ前記カムフォロア（５０ｃ）が到達できる、請求項１１〜１３のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
15. 前記切り換え点（６０）を前記カムフォロア（５０ｃ）により逆の回転方向で開き位置に逸らすことができる、請求項１４記載のアクチュエータ構造体。
16. 前記切り換え点（６０）は、好ましくはばね（６４）によって閉じ位置に予荷重されている、請求項１５記載のアクチュエータ構造体。
17. 前記切り換え点（６０）をカップリング部材（６６）によって逸らすことができる、請求項１４記載のアクチュエータ構造体。
18. 前記カップリング部材（６６）は、前記他方のセレクタドラム（ＳＷ２ｃ）に連結され、前記切り換え点（６０）は、前記他方のセレクタドラム（ＳＷ２ｃ）において、１速歯車のための前記歯車段（１）が稼働されると、前記カップリング部材（６６）によって閉じ位置に逸らされる、請求項１７記載のアクチュエータ構造体。
19. 前記セレクタドラム（ＳＷ１，ＳＷ２）は、軸方向には動くことができないよう取り付けられている、請求項１〜１８のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体。
20. 請求項１〜１９のうちいずれか一に記載のアクチュエータ構造体を有するツインクラッチ変速機（１０）。
21. 第１の歯車段及び第２の歯車段は、別々の部分変速機に割り当てられている、請求項２０記載のツインクラッチ変速機。

Images