JP2007120549A - 自動変速機 - Google Patents

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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect

Abstract

【課題】変速品質を保ちながらクラッチの締結制御の簡素化を達成する。
【解決手段】入力軸13と出力軸14の間には、偶数段の変速歯車列22,24,26を備える動力伝達経路15と、奇数段の変速歯車列21,23,25を備える動力伝達経路16とが設けられる。動力伝達経路15,16には、発進クラッチ17,18を備えるクラッチユニット31,43が組み込まれる。クラッチユニット31,43は、ドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態と、コースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態とに切り換えられる。アップシフト時にはクラッチユニット31,43の一方がコーストトルク遮断状態に切り換えられ、ダウンシフト時にはクラッチユニット31,43の一方がドライブトルク遮断状態に切り換えられる。これにより、2つの発進クラッチ17,18の同期制御が不要となり、クラッチ締結制御の簡素化を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される自動変速機に関し、特に、複数のクラッチユニットが組み込まれる自動変速機に適用して有効な技術に関する。
運転手によって操作されるマニュアル変速機(MT)は、複数の駆動歯車を備える入力軸と、これに平行となって複数の従動歯車を備える出力軸とを有しており、駆動歯車と従動歯車とは相互に噛み合って複数の変速歯車列を形成している。このマニュアル変速機は、運転手のシフト操作に連動するシンクロ機構を備えており、シンクロ機構を用いて変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換えることにより、変速操作つまりシフトチェンジが行われるようになっている。
このシフトチェンジをシフトアクチュエータによって行うようにすると、マニュアル変速機を基本構造とした自動変速機を得ることができる。この複数の変速歯車列を有する自動変速機(Automated Manual Transmission以下AMTと略す)は、遊星歯車式の自動変速機(AT)に比して部品点数が少ないために軽量化を図り易く、しかも動力の伝達効率が高いという利点を有している。しかしながら、変速時にはマニュアル変速機と同じく発進クラッチを一時的に解放する必要があるため、トルク切れが生じてしまい変速品質が低下するという問題があった。
そこで、変速時のトルク切れを防止するため、低速段の変速歯車列を介して動力を伝達して入力軸回転数を引き上げるダウンシフト用の同期クラッチと、高速段の変速歯車列を介して動力を伝達して入力軸回転数を引き下げるアップシフト用の同期クラッチとを備える自動変速機が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この自動変速機にあっては、発進クラッチを締結した状態のもとで、いずれかの同期クラッチをスリップ状態に制御することにより、変速後の回転数に合わせて入力軸の回転数を同期させることができ、発進クラッチを解放することなくシフトチェンジを行うことが可能となっている。
また、変速時のトルク切れを防止するため、奇数段の変速歯車列に対する動力の入力経路と、偶数段の変速歯車列に対する動力の入力経路とをそれぞれ独立させるとともに、それぞれの入力経路に対して発進クラッチを組み込むようにしたツインクラッチタイプの自動変速機も提案されている。このタイプの自動変速機にあっては、それぞれの入力経路を独立させることにより、シフトチェンジに備えて変速歯車列を予め切り換えておくことができるため、一方の発進クラッチを徐々に解放するととともに、これに同期させて他方の発進クラッチを徐々に締結することにより変速操作を完了させることができる。すなわち、双方の発進クラッチを共に解放することがないため、トルク切れを防止して変速品質を向上させることが可能となる。
特開平8−109950号公報
しかしながら、特許文献1に記載される自動変速機にあっては、アップシフト用あるいはダウンシフト用の同期クラッチをスリップ状態に制御することにより、シフトチェンジに合わせて入力軸回転数を制御しているため、同期クラッチのトルク容量を高精度に調整することが可能な制御系統を組み込む必要がある。また、同期クラッチの構造にあっても、様々なギヤ比の変速歯車列に合わせてトルク容量に幅を持たせる必要があることから、変速品質を向上させるためには湿式多板クラッチを採用することが必要となっていた。
同様に、ツインクラッチタイプの自動変速機においても、一方の発進クラッチを徐々に解放するとともに、これに同期させて他方の発進クラッチを徐々に締結する必要があるため、双方の発進クラッチを高精度に同期させる制御系統を組み込む必要がある。また、良好な変速品質を得るためには、一方の入力経路から他方の入力経路に対して滑らかにトルク伝達を切り換える必要があるため、微妙にトルク容量を変化させることのできる湿式多板クラッチを発進クラッチに採用することが必要となっていた。
このように、シフトチェンジに際して、入力軸回転数の同期回転を図るために同期クラッチをスリップ制御させたり、一対の発進クラッチを互いに連動させながらスリップ制御させたりすることは、複雑な制御系統や湿式多板クラッチの採用を招くとともに、自動変速機の高コスト化を招くことになるため、クラッチ制御の簡素化を図ることが望まれていた。
本発明の目的は、変速品質を低下させることなくクラッチの締結制御の簡素化を図ることにある。
本発明の自動変速機は、入力軸から出力軸に偶数段の変速歯車列を介して動力を伝達する偶数段の動力伝達経路と、前記入力軸から前記出力軸に奇数段の変速歯車列を介して動力を伝達する奇数段の動力伝達経路と、前記複数の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換える複数の切換機構とを備える自動変速機であって、前記偶数段の動力伝達経路に組み込まれ、ドライブ方向とコースト方向の双方に動力を伝達する直結状態と、ドライブ方向とコースト方向の双方への動力を遮断する解放状態と、ドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態と、コースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態とに切り換えられる第1のクラッチユニットと、前記奇数段の動力伝達経路に組み込まれ、ドライブ方向とコースト方向の双方に動力を伝達する直結状態と、ドライブ方向とコースト方向の双方への動力を遮断する解放状態と、ドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態と、コースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態とに切り換えられる第2のクラッチユニットとを有し、アップシフトを行う際には、前記第1または第2のクラッチユニットの一方をコーストトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1または第2のクラッチユニットの他方を解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換え、ダウンシフトを行う際には、前記第1または第2のクラッチユニットの一方をドライブトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1または第2のクラッチユニットの他方を解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする。
本発明の自動変速機は、前記偶数段から前記奇数段の変速歯車列にアップシフトを行う際には、前記奇数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第1のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第2のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換え、前記奇数段から前記偶数段の変速歯車列にアップシフトを行う際には、前記偶数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第2のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換え、前記偶数段から前記奇数段の変速歯車列にダウンシフトを行う際には、前記奇数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第1のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第2のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換え、前記奇数段から前記偶数段の変速歯車列にダウンシフトを行う際には、前記偶数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第2のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする。
本発明の自動変速機は、前記第1のクラッチユニットと前記第2のクラッチユニットとの少なくともいずれか一方は、動力を伝達する締結状態と動力を遮断する解放状態とに切り換えられる発進クラッチと、ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する作動状態と、ドライブ方向とコースト方向との双方の動力を遮断する解除状態とに切り換えられる第1の一方向クラッチと、コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する作動状態と、ドライブ方向とコースト方向との双方の動力を遮断する解除状態とに切り換えられる第2の一方向クラッチとを備え、前記第1および前記第2の一方向クラッチを作動状態に切り換え、前記発進クラッチを締結状態に切り換えることにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを直結状態に切り換え、前記発進クラッチを解放状態に切り換えることにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを解放状態に切り換え、前記第1の一方向クラッチを作動状態に切り換え、前記第2の一方向クラッチを解除状態に切り換えるとともに、前記発進クラッチを締結状態に切り換えることにより、前記第1または第2のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換え、前記第2の一方向クラッチを作動状態に切り換え、前記第1の一方向クラッチを解除状態に切り換えるとともに、前記発進クラッチを締結状態に切り換えることにより、前記第1または第2のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする。
本発明の自動変速機は、前記第1のクラッチユニットと前記第2のクラッチユニットとの少なくともいずれか一方は、ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する第1の一方向クラッチと、コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する第2の一方向クラッチと、前記第1の一方向クラッチと接続するドライブ側発進クラッチと、前記第2の一方向クラッチと接続するコースト側発進クラッチとを備え、前記ドライブ側発進クラッチおよび前記コースト側発進クラッチを締結することにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを直結状態に切り換え、前記ドライブ側発進クラッチおよび前記コースト側発進クラッチを解放することにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを解放状態に切り換え、前記ドライブ側発進クラッチを締結し、前記コースト側発進クラッチを解放することにより、前記第1または第2のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換え、前記ドライブ側発進クラッチを解放し、前記コースト側発進クラッチを締結することにより、前記第1または第2のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする。
本発明の自動変速機は、前記発進クラッチは乾式単板クラッチであることを特徴とする。
本発明の自動変速機は、前記ドライブ側発進クラッチおよび前記コースト側発進クラッチは乾式単板クラッチであることを特徴とする。
本発明によれば、偶数段の動力伝達経路に第1のクラッチユニットを組み込み、奇数段の動力伝達経路に第2のクラッチユニットを組み込み、第1のクラッチユニットおよび第2のクラッチユニットを直結状態、解放状態、ドライブトルク遮断状態及びコーストトルク遮断状態に切り換えるようにしたので、いずれかのクラッチユニットをドライブトルク遮断状態またはコーストトルク遮断状態に切り換えることにより、変速歯車列の二重噛み合いを回避することができる。すなわち、変速状況に応じて一方のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態またはコーストトルク遮断状態に切り換えておくことにより、他方のクラッチユニットを解放状態からドライブトルク遮断状態またはコーストトルク遮断状態に切り換えるだけで、変速歯車列の二重噛み合いを回避しながらシフトチェンジを完了させることができる。これにより、従来のツインクラッチタイプの自動変速機のように、一方の発進クラッチを締結状態に切り換える際に、これに同期させて他方の発進クラッチを解放状態に切り換える必要がないため、クラッチの締結制御の簡素化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である自動変速機10を示すスケルトン図である。図1に示すように、自動変速機10は、トルクコンバータ11を介してエンジン12に連結される入力軸13と、これに平行となって図示しない駆動輪に連結される出力軸14とを有している。入力軸13と出力軸14との間には、偶数段(第2速,第4速,第6速)の変速歯車列22,24,26を介して動力を伝達する偶数段の動力伝達経路15が設けられ、奇数段(第1速,第3速,第5速)の変速歯車列21,23,25を介して動力を伝達する奇数段の動力伝達経路16が設けられている。また、それぞれの動力伝達経路15,16には、それぞれに発進クラッチ17,18を備えたクラッチユニット31,43が組み込まれており、偶数段側の発進クラッチ17を締結状態に切り換えることによって、偶数段の変速歯車列22,24,26を介して入力軸13から出力軸14にエンジン動力を伝達することが可能となり、奇数段側の発進クラッチ18を締結状態に切り換えることによって、奇数段の変速歯車列21,23,25を介して入力軸13から出力軸14にエンジン動力を伝達することが可能となる。つまり、図示する自動変速機10は、いわゆるツインクラッチタイプの自動変速機となっている。
続いて、偶数段の動力伝達経路15の構成について説明する。入力軸13には入力側中空軸30が回転自在に設けられており、この入力側中空軸30には偶数段の駆動歯車22a,24a,26aが固定されている。一方、出力軸14には偶数段の従動歯車22b,24b,26bが嵌合されており、駆動歯車22a,24a,26aと従動歯車22b,24b,26bとは相互に噛み合って偶数段の変速歯車列22,24,26を形成している。また、偶数段の変速歯車列22,24,26を介して入力軸13から出力軸14にエンジン動力を伝達するため、入力軸13と入力側中空軸30との間には前述した発進クラッチ17を備える第1のクラッチユニット31が組み付けられ、出力軸14と偶数段の従動歯車22b,24b,26bとの間には変速歯車列22,24,26を動力伝達状態に切り換える2つの切換機構32,33が組み付けられている。つまり、トルクコンバータ11を経たエンジン動力は、入力軸13からクラッチユニット31を経た後に、動力伝達状態となった変速歯車列22,24,26を介して出力軸14に伝達されるようになっている。
入力軸13から入力側中空軸30にエンジン動力を伝達するクラッチユニット31は、前述の発進クラッチ17に加え、ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する第1の一方向クラッチ34と、コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する第2の一方向クラッチ35とを備えている。それぞれの一方向クラッチ34,35は、入力軸13に嵌合するインナレース34a,35aとこれの径方向外方に設けられるアウタレース34b,35bとを備えており、インナレース34a,35aとアウタレース34b,35bとの間には一方向だけに噛み合うスプラグ34c,35cが組み込まれている。なお、ドライブ方向とは、エンジン動力によって車両を加速させる際のトルク伝達方向であり、コースト方向とは、エンジンブレーキによって車両を減速させる際のトルク伝達方向である。
また、エンジン動力を入力側中空軸30に伝達する発進クラッチ17は乾式単板クラッチとなっており、この発進クラッチ17はプレッシャプレート17aとこれに対面するクラッチディスク17bとを備えている。図示しないクラッチスプリングを用いてプレッシャプレート17aにクラッチディスク17bを係合させることにより、発進クラッチ17はエンジン動力を伝達する締結状態に切り換えられる一方、図示しないレリーズフォークを用いてプレッシャプレート17aとクラッチディスク17bとの係合を解くことにより、発進クラッチ17はエンジン動力を遮断する解放状態に切り換えられるようになっている。なお、発進クラッチ17を解放状態に切り換えることにより、クラッチユニット31はドライブ方向とコースト方向との動力伝達を遮断する解放状態に切り換えられることになる。
さらに、一方向クラッチ34,35のアウタレース34b,35bと発進クラッチ17のプレッシャプレート17aとは、アウタレース34b,35bに移動自在に嵌合する切換スリーブ36を介して相互に連結されている。後述する切換アクチュエータによって駆動される切換スリーブ36は、双方のアウタレース34b,35bに噛み合う直結位置と、一方向クラッチ34のアウタレース34bだけに噛み合うドライブ位置と、一方向クラッチ35のアウタレース35bだけに噛み合うコースト位置とに移動自在となっている。このような切換スリーブ36を直結位置に移動させるとともに、発進クラッチ17を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット31はドライブ方向とコースト方向との双方に動力を伝達する直結状態に切り換えられる。また、切換スリーブ36をドライブ位置に移動させるとともに、発進クラッチ17を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット31はドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態に切り換えられる。そして、切換スリーブ36をコースト位置に移動させるとともに、発進クラッチ17を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット31はコースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態に切り換えられることになる。
また、第4速と第6速の変速歯車列24,26を動力伝達状態に切り換える切換機構32は、出力軸14に固定されるシンクロハブ32aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ32bとを有している。このシンクロスリーブ32bを従動歯車24bのスプライン24cに噛み合わせると、第4速の変速歯車列24が動力伝達状態に切り換えられ、逆に従動歯車26bのスプライン26cに噛み合わせると、第6速の変速歯車列26が動力伝達状態に切り換えられる。同様に、第2速の変速歯車列22を動力伝達状態に切り換える切換機構33は、出力軸14に固定されるシンクロハブ33aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ33bとを有している。このシンクロスリーブ33bを従動歯車22bのスプライン22cに噛み合わせると、第2速の変速歯車列22が動力伝達状態に切り換えられることになる。
続いて、奇数段の動力伝達経路16の構成について説明する。出力軸14には出力側中空軸40が回転自在に設けられており、この出力側中空軸40には奇数段の従動歯車21b,23b,25bが固定されている。一方、入力軸13には奇数段の駆動歯車21a,23a,25aが嵌合されており、駆動歯車21a,23a,25aと従動歯車21b,23b,25bとは相互に噛み合って奇数段の変速歯車列21,23,25を形成している。さらに、奇数段の変速歯車列21,23,25を介して入力軸13から出力軸14にエンジン動力を伝達するため、入力軸13と奇数段の駆動歯車21a,23a,25aとの間には変速歯車列21,23,25を動力伝達状態に切り換える2つの切換機構41,42が組み付けられ、出力軸14と出力側中空軸40との間には前述した発進クラッチ18を備える第2のクラッチユニット43が組み付けられている。つまり、トルクコンバータ11を経たエンジン動力は、入力軸13から動力伝達状態となった変速歯車列21,23,25を介して出力側中空軸40に伝達された後に、クラッチユニット43を経て出力軸14に伝達されるようになっている。
出力側中空軸40から出力軸14にエンジン動力を伝達するクラッチユニット43は、前述したクラッチユニット31と同様に、前述の発進クラッチ18に加えて、ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する第1の一方向クラッチ44と、コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する第2の一方向クラッチ45とを備えている。それぞれの一方向クラッチ44,45は、出力軸14に嵌合するインナレース44a,45aとこれの径方向外方に設けられるアウタレース44b,45bとを備えており、インナレース44a,45aとアウタレース44b,45bとの間には一方向だけに噛み合うスプラグ44c,45cが組み込まれている。
また、エンジン動力を出力軸14に伝達する発進クラッチ18は、前述した発進クラッチ17と同様に、プレッシャプレート18aとこれに対面するクラッチディスク18bとを備える乾式単板クラッチとなっている。図示しないクラッチスプリングを用いてプレッシャプレート18aにクラッチディスク18bを係合させることにより、発進クラッチ18はエンジン動力を伝達する締結状態に切り換えられる一方、図示しないレリーズフォークを用いてプレッシャプレート18aとクラッチディスク18bとの係合を解くことにより、発進クラッチ18はエンジン動力を遮断する解放状態に切り換えられるようになっている。なお、発進クラッチ18を解放状態に切り換えることにより、クラッチユニット43はドライブ方向とコースト方向との動力伝達を遮断する解放状態に切り換えられることになる。
さらに、前述した切換スリーブ36と同様の切換スリーブ46によって、クラッチユニット43のアウタレース44b,45bと発進クラッチ18のプレッシャプレート18aとが相互に連結されている。後述する切換アクチュエータを用いて、切換スリーブ46を双方のアウタレース44b,45bに噛み合う直結位置に移動させるとともに、発進クラッチ18を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット43はドライブ方向とコースト方向との双方に動力を伝達する直結状態に切り換えられる。また、切換スリーブ46を一方向クラッチ44のアウタレース44bだけに噛み合うドライブ位置に移動させるとともに、発進クラッチ18を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット43はドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態に切り換えられる。そして、切換スリーブ46を一方向クラッチ45のアウタレース45bだけに噛み合うコースト位置に移動させるとともに、発進クラッチ18を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット43はコースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態に切り換えられることになる。
また、第3速と第5速の変速歯車列23,25を動力伝達状態に切り換える切換機構41は、入力軸13に固定されるシンクロハブ41aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ41bとを有している。このシンクロスリーブ41bを駆動歯車23aのスプライン23cに噛み合わせると、第3速の変速歯車列23が動力伝達状態に切り換えられ、逆に駆動歯車25aのスプライン25cに噛み合わせると、第5速の変速歯車列25が動力伝達状態に切り換えられる。同様に、第1速の変速歯車列21を動力伝達状態に切り換える切換機構42は、入力軸13に固定されるシンクロハブ42aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブ42bとを有している。このシンクロスリーブ42bを駆動歯車21aのスプライン21cに噛み合わせると、第1速の変速歯車列21が動力伝達状態に切り換えられることになる。
なお、切換機構42に隣接して入力軸13には後退段の駆動歯車27aが嵌合され、出力側中空軸40には後退段の従動歯車27bが固定されており、駆動歯車27aと従動歯車27bとはアイドル歯車47を介して噛み合って後退段の変速歯車列27を形成している。そして、切換機構42のシンクロスリーブ42bを駆動歯車27aのスプライン27cに噛み合わせると、後退段の変速歯車列27が動力伝達状態に切り換えられ、入力軸13の回転はアイドル歯車47を介して逆転された後に、クラッチユニット43から発進クラッチ18を経て出力軸14に伝達されるようになっている。
図2は自動変速機10の変速制御系を示すブロック図である。図2に示すように、変速制御系は、偶数段側の発進クラッチ17を締結状態と解放状態とに切り換える第1発進クラッチアクチュエータ50と、奇数段側の発進クラッチ18を締結状態と解放状態とに切り換える第2発進クラッチアクチュエータ51とを備えている。また、変速制御系は、偶数段側の切換スリーブ36の作動位置を切り換える第1切換アクチュエータ52と、奇数段側の切換スリーブ46の作動位置を切り換える第2切換アクチュエータ53とを備えている。さらに、変速制御系は、偶数段の変速歯車列22,24,26のいずれかを動力伝達状態に切り換える第1および第2シフトアクチュエータ54,55と、奇数段の変速歯車列21,23,25のいずれかを動力伝達状態に切り換える第3および第4シフトアクチュエータ56,57とを備えている。
また、変速制御系には制御ユニット58が組み込まれており、前述した各アクチュエータ50〜57は制御ユニット58から出力される駆動信号に基づいて制御されるようになっている。さらに、制御ユニット58には各種センサやスイッチから車両状態を示す検出信号が入力されており、制御ユニット58は入力された検出信号に基づいてアクチュエータ50〜57に対する駆動信号を算出している。検出信号を制御ユニット58に送信する各種センサやスイッチとしては、運転手によるアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ60、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ61、入力軸13の回転数を検出する入力軸回転数センサ62、出力軸14の回転数を検出する出力軸回転数センサ63、運転手によるセレクトレバーの操作状況を検出するインヒビタスイッチ64などが設けられている。
なお、各クラッチ17,18,34,35,44,45や切換機構32,33,41,42を制御するアクチュエータ50〜57は、油圧駆動される油圧アクチュエータであっても良く、モータ駆動される電動アクチュエータであっても良い。また、図示する場合には、切換機構32,33,41,42毎にシフトアクチュエータ54〜57を設けるようにしているが、これに限られることはなく、1つのアクチュエータによって複数の切換機構を切り換えるようにしても良い。
図3(A)および(B)は、偶数段側の発進クラッチ17を締結する一方、奇数段側の発進クラッチ18を解放したときの動力伝達状況、つまり偶数段の動力伝達経路15を介した動力伝達の状況を示す概略図である。また、図4(A)および(B)は、奇数段側の発進クラッチ18を締結する一方、偶数段側の発進クラッチ17を解放したときの動力伝達状況、つまり奇数段の動力伝達経路16を介した動力伝達の状況を示す概略図である。なお、図示する場合には、クラッチユニット31,43のいずれかが直結状態に切り換えられ、変速歯車列21〜26のいずれかが動力伝達状態に切り換えられた状態を示している。
まず、図3(A)に示すように、偶数段側の発進クラッチ17が締結され、かつ、偶数段側の切換スリーブ36が直結位置に切り換えられるとともに、奇数段側の発進クラッチ18が解放された状態のもとで、運転者によってアクセルペダルが踏み込まれた場合には、エンジン12からの駆動トルクが一方向クラッチ34から発進クラッチ17を介して入力側中空軸30に伝達される。そして、いずれかの変速歯車列22,24,26から切換機構32,33を介して出力軸14に駆動トルクが伝達される。一方、アクセルペダルの踏み込みを解除した場合には、図3(B)に示すように、エンジンブレーキの作動によって逆向きに駆動輪からの減速トルク(慣性トルク)が伝達されるため、一方向クラッチ34から一方向クラッチ35にトルクの伝達経路が切り換えられることになる。
また、図4(A)に示すように、奇数段側の発進クラッチ18が締結され、かつ、奇数段側の切換スリーブ46が直結位置に切り換えられるとともに、偶数段側の発進クラッチ17が解放された状態のもとで、運転者によってアクセルペダルが踏み込まれた場合には、駆動トルクがいずれかの切換機構41,42から変速歯車列21,23,25を経た後に、一方向クラッチ44から発進クラッチ18を介して出力軸14に伝達される。一方、アクセルペダルの踏み込みを解除した場合には、図4(B)に示すように、エンジンブレーキの作動によって逆向きに減速トルクが伝達されるため、一方向クラッチ44から一方向クラッチ45にトルクの伝達経路が切り換えられることになる。
以下、低速段から高速段に変速歯車列21〜26を切り換えるアップシフトの手順について説明する。図5は偶数段から奇数段にアップシフトを行う際の手順を示す概略図であり、図6は奇数段から偶数段にアップシフトを行う際の手順を示す概略図である。なお、図5(A)および図6(A)はアップシフト準備時の状態を示し、図5(B)および図6(B)はアップシフト開始時の状態を示し、図5(C)および図6(C)はアップシフト完了時の状態を示している。
まず、図5(A)に示すように、偶数段から奇数段にアップシフトを行う際には、偶数段側の発進クラッチ17が締結された状態のもとで、偶数段側の切換スリーブ36がドライブ位置に切り換えられ、偶数段側のクラッチユニット31は直結状態からコーストトルク遮断状態に切り換えられる。このとき、駆動トルクは作動状態となる一方向クラッチ34を介して伝達され続けるため、トルク切れを発生させることなく、クラッチユニット31をコーストトルク遮断状態に切り換えることが可能となる。続いて、奇数段側の発進クラッチ18を解放した状態のもとで、奇数段側の切換機構41,42を作動させておくことにより、変速後に使用される奇数段の変速歯車列21,23,25が予め動力伝達状態に切り換えられる。
次いで、図5(B)に示すように、偶数段側の発進クラッチ17を締結状態に維持したまま、解放されていた奇数段側の発進クラッチ18が徐々に締結状態に切り換えられる。このとき、奇数段側の切換スリーブ46は直結位置に移動しており、発進クラッチ18を締結に伴って奇数段側のクラッチユニット43は、解放状態から直結状態に切り換えられることになる。このように、発進クラッチ18を締結してクラッチユニット43を直結状態に切り換える過程においては、奇数段の動力伝達経路16と偶数段の動力伝達経路15との双方を介して駆動トルクが伝達されるようになっている。そして、奇数段側の発進クラッチ18がほぼ締結状態となり、駆動トルクの大部分が奇数段の動力伝達経路16を介して伝達される状態になると、図5(C)に示すように、偶数段側の発進クラッチ17が締結状態に維持されることから、偶数段の動力伝達経路15に対してコースト方向に駆動トルクが伝達される状態になる。
すなわち、奇数段側の発進クラッチ18を締結してアップシフトを実行することにより、駆動輪側の出力軸回転数Noはほぼ一定となるのに対し、エンジン側の入力軸回転数Niはアップシフト後のギヤ比に応じて低下することになる。このように、出力軸回転数Noはほぼ一定に保たれる一方、入力軸回転数Niに連動して出力側中空軸40の回転数が低下するため、出力側中空軸40よりも出力軸14が速く回転することになり、出力軸14から出力側中空軸40に向けて駆動トルクが伝達される状態となる。
しかしながら、偶数段側のクラッチユニット31は予めコーストルク遮断状態に切り換えられており、解除状態となる一方向クラッチ35によってコースト方向の駆動トルクが遮断されることになる。このため、偶数段側の発進クラッチ17を締結したまま、奇数段側のクラッチユニット43を直結状態に切り換えてアップシフトを実行した場合であっても、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらアップシフトを完了させることが可能となる。なお、アップシフト完了後、偶数段側の発進クラッチ17は所定のタイミングで解放されるようになっている。また、偶数段から奇数段にアップシフトを実行する際に、クラッチユニット43を直結状態に切り換えるようにしているが、切換スリーブ46をドライブ位置に作動させた状態のもとで、発進クラッチ18を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット43をドライブ方向に動力を伝達するコーストトルク遮断状態に切り換えるようにしても良い。
一方、奇数段から偶数段にアップシフトを行う際には、図6(A)に示すように、奇数段側の発進クラッチ18が締結された状態のもとで、奇数段側の切換スリーブ46がドライブ位置に切り換えられ、奇数段側のクラッチユニット43は直結状態からコーストトルク遮断状態に切り換えられる。続いて、偶数段側の発進クラッチ17が解放された状態のもとで、偶数段側の切換機構32,33を作動させておくことにより、変速後に使用される偶数段の変速歯車列22,24,26が予め動力伝達状態に切り換えられる。次いで、図6(B)に示すように、奇数段側の発進クラッチ18を締結状態に維持したまま、解放されていた偶数段側の発進クラッチ17が徐々に締結状態に切り換えられる。このとき、偶数段側の切換スリーブ36は直結位置に移動しており、発進クラッチ17を締結に伴って偶数段側のクラッチユニット31は、解放状態から直結状態に切り換えられるようになっている。
このように、偶数段側のクラッチユニット31を直結状態に切り換えてアップシフトを実行した場合であっても、図6(C)に示すように、奇数段側のクラッチユニット43は予めコーストトルク遮断状態に切り換えられており、解除状態となる一方向クラッチ45によってコースト方向の駆動トルクは遮断され、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらアップシフトが完了させることが可能となる。なお、アップシフト完了後、発進クラッチ18は所定のタイミングで解放されるようになっている。また、奇数段から偶数段にアップシフトを実行する際に、クラッチユニット31を直結状態に切り換えるようにしているが、切換スリーブ36をドライブ位置に作動させた状態のもとで、発進クラッチ17を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット31をドライブ方向に動力を伝達するコーストトルク遮断状態に切り換えるようにしても良い。
これまで説明したように、奇数段にアップシフトを行う際には、偶数段側のクラッチユニット31をコーストトルク遮断状態に切り換えておくことにより、奇数段側の発進クラッチ18を締結して、奇数段側のクラッチユニット43を解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換えるだけで、アップシフトを完了させることが可能となる。また、偶数段にアップシフトを行う際には、奇数段側のクラッチユニット43をコーストトルク遮断状態に切り換えておくことにより、偶数段側の発進クラッチ17を締結して、偶数段側のクラッチユニット31を解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換えるだけで、アップシフトを完了させることが可能となる。つまり、従来のツインクラッチタイプの自動変速機のように、一方の発進クラッチを締結する際に、これに同期させながら他方の発進クラッチを解放する必要がないため、発進クラッチの締結制御の簡素化を図ることができる。しかも、発進クラッチ17,18を解放することなくアップシフトを完了させることができるため、変速時にトルク切れを発生させることなく良好な変速品質を得ることが可能となる。
また、発進クラッチ17,18のトルク容量を微妙に変化させる必要がないため、発進クラッチ17,18を乾式単板クラッチによって構成することができ、自動変速機10の低コスト化を達成することが可能となる。さらに、クラッチユニット31,43をコーストトルク遮断状態に切り換えることにより、コースト方向のトルク伝達を遮断することができるため、アクセルペダルの急激な解放によって生じるADショック(Acceleration−Deceleration)を回避することも可能となる。このようなADショックの発生を回避することにより、特に低速領域における走行品質を向上させることが可能となる。
続いて、高速段から低速段に変速歯車列21〜26を切り換えるダウンシフトの手順について説明する。図7は偶数段から奇数段にダウンシフトを行う際の手順を示す概略図であり、図8は奇数段から偶数段にダウンシフトを行う際の手順を示す概略図である。なお、図7(A)および図8(A)はダウンシフト準備時の状態を示し、図7(B)および図8(B)はダウンシフト開始時の状態を示し、図7(C)および図8(C)はダウンシフト完了時の状態を示している。
まず、図7(A)に示すように、偶数段から奇数段にダウンシフトを行う際には、偶数段側の発進クラッチ17が締結された状態のもとで、偶数段側の切換スリーブ36がコースト位置に切り換えられ、偶数段側のクラッチユニット31が直結状態からドライブトルク遮断状態に切り換えられる。このとき、減速トルクは作動状態となる一方向クラッチ35を介して伝達され続けるため、トルク抜けを発生させることなく、クラッチユニット31をドライブトルク遮断状態に切り換えることが可能となる。続いて、奇数段側の発進クラッチ18が解放された状態のもとで、奇数段側の切換機構41,42を作動させておくことにより、変速後に使用される奇数段の変速歯車列21,23,25が予め動力伝達状態に切り換えられる。
次いで、図7(B)に示すように、偶数段側の発進クラッチ17を締結状態に維持したまま、解放されていた奇数段側の発進クラッチ18が徐々に締結状態に切り換えられる。このとき、奇数段側の切換スリーブ46は直結位置に移動しており、発進クラッチ18を締結に伴って奇数段側のクラッチユニット43は、解放状態から直結状態に切り換えられることになる。このように、発進クラッチ18を締結してクラッチユニット43を直結状態に切り換える過程においては、奇数段の動力伝達経路16と偶数段の動力伝達経路15との双方を介して減速トルクが伝達されることになる。そして、奇数段側の発進クラッチ18がほぼ締結状態となり、減速トルクの大部分が奇数段の動力伝達経路16を介して伝達される状態になると、図7(C)に示すように、偶数段側の発進クラッチ17が締結状態に維持されることから、偶数段の動力伝達経路15に対してドライブ方向に減速トルクが伝達される状態になる。
すなわち、奇数段側の発進クラッチ18を締結してダウンシフトを実行することにより、駆動輪側の出力軸回転数Noはほぼ一定となるのに対し、エンジン側の入力軸回転数Niはダウンシフト後のギヤ比に応じて上昇することになる。このように、出力軸回転数Noに連動して入力側中空軸30の回転数はほぼ一定に保たれる一方、入力軸回転数Niが上昇するため、入力側中空軸30よりも入力軸13が速く回転することになり、入力軸13から入力側中空軸30に減速トルクが伝達される状態となる。
しかしながら、偶数段側のクラッチユニット31は予めドライブトルク遮断状態に切り換えられており、解除状態となる一方向クラッチ34によってドライブ方向の減速トルクが遮断されることになる。このため、偶数段側の発進クラッチ17を締結したままダウンシフトを開始した場合であっても、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらダウンシフトを完了させることが可能となる。なお、ダウンシフト完了後、発進クラッチ17は所定のタイミングで解放されるようになっている。また、偶数段から奇数段にダウンシフトを実行する際に、クラッチユニット43を直結状態に切り換えるようにしているが、切換スリーブ46をコースト位置に作動させた状態のもとで、発進クラッチ18を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット43をコースト方向に動力を伝達するドライブトルク遮断状態に切り換えるようにしても良い。
一方、奇数段から偶数段にダウンシフトを行う際には、図8(A)に示すように、奇数段側の発進クラッチ18が締結された状態のもとで、奇数段側の切換スリーブ46がコースト位置に切り換えられ、奇数段側のクラッチユニット43は直結状態からドライブトルク遮断状態に切り換えられる。続いて、偶数段側の発進クラッチ17が解放された状態のもとで、偶数段側の切換機構32,33を作動させておくことにより、変速後に使用される偶数段の変速歯車列22,24,26が予め動力伝達状態に切り換えられる。次いで、図8(B)に示すように、奇数段側の発進クラッチ18を締結状態に維持したまま、解放されていた偶数段側の発進クラッチ17が徐々に締結状態に切り換えられる。このとき、偶数段側の切換スリーブ36は直結位置に移動しており、発進クラッチ17を締結に伴って偶数段側のクラッチユニット31は、解放状態から直結状態に切り換えられるようになっている。
このように、偶数段側のクラッチユニット31を直結状態に切り換えてダウンシフトを実行した場合であっても、図8(C)に示すように、奇数段側のクラッチユニット43は予めドライブトルク遮断状態に切り換えられており、解除状態となる一方向クラッチ44によってドライブ方向の減速トルクが遮断されるため、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらダウンシフトを完了させることが可能となる。なお、ダウンシフト完了後、発進クラッチ18は所定のタイミングで解放されるようになっている。また、奇数段から偶数段にダウンシフトを実行する際に、クラッチユニット31を直結状態に切り換えるようにしているが、切換スリーブ36をコースト位置に作動させた状態のもとで、発進クラッチ17を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット31をコースト方向に動力を伝達するドライブトルク遮断状態に切り換えるようにしても良い。
これまで説明したように、奇数段にダウンシフトを行う際には、偶数段側のクラッチユニット31をドライブトルク遮断状態に切り換えておくことにより、奇数段側の発進クラッチ18を締結して、奇数段側のクラッチユニット43を解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換えるだけで、ダウンシフトを完了させることが可能となる。また、偶数段にダウンシフトを行う際には、奇数段側のクラッチユニット43をドライブトルク遮断状態に切り換えておくことにより、偶数段側の発進クラッチ17を締結して、偶数段側のクラッチユニット31を解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換えるだけで、ダウンシフトを完了させることが可能となる。つまり、前述したアップシフトだけでなくダウンシフトを行う場合であっても、従来のツインクラッチタイプの自動変速機のように、一方の発進クラッチを締結する際に、これに同期させながら他方の発進クラッチを解放する必要がないため、発進クラッチの締結制御の簡素化を図ることができる。しかも、発進クラッチ17,18を解放することなくダウンシフトを完了させることができるため、変速時にトルク抜けを発生させることなく良好な変速品質を得ることが可能となる。
また、クラッチユニット31,43をドライブトルク遮断状態に切り換えることにより、ドライブ方向のトルク伝達を遮断することができるため、アクセルペダルを急激に踏み込むことによって生じるDAショック(Deceleration−Acceleration)を回避することも可能となる。このようなDAショックの発生を回避することにより、特に低速領域における走行品質を向上させることが可能となる。
続いて、図9および図10に基づき、本発明の他の実施の形態である自動変速機100について説明する。図9は本発明の他の実施の形態である自動変速機100を示すスケルトン図であり、図10は図9に示す自動変速機100の変速制御系を示すブロック図である。なお、図9において図1に示す部材と同様の部材については同一の符号を付してその説明を省略し、図10において図2に示す部材と同様の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
まず、図9に示すように、図9の自動変速機100は偶数段側の動力伝達経路15に設けられた第1のクラッチユニット113の構成が図1の自動変速機10と異なっている。自動変速機100の動力伝達経路15には、入力軸13と入力側中間軸30との間にクラッチユニット113が組み付けられている。入力軸13から入力側中間軸30にエンジン動力を伝達するクラッチユニット113は、ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する第1の一方向クラッチ114と、コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する第2の一方向クラッチ115とを備えている。
それぞれの一方向クラッチ114,115は、入力軸に勘合するインナレース114a,115aとこれの径方向外方に設けられるアウタレース114b,115bとを備えており、インナレース114a,115aとアウタレース114b,115bとの間には一方向だけに噛み合うスプラグ114c,115cが組み込まれている。
また、それぞれの一方向クラッチ114,115には、入力側中空軸30に並列に固定された2つの乾式単板クラッチ111,112がそれぞれ接続している。一方のドライブ側発進クラッチ111は、第1の一方向クラッチ114のアウタレース114bと入力側中間軸30との間に組み込まれており、他方のコースト側発進クラッチ112は、第2の一方向クラッチ115のアウタレース115bと入力側中間軸30との間に組み込まれている。また、それぞれの発進クラッチ111,112はプレッシャプレート111a,112aとこれに対面するクラッチディスク111b,112bとを備えている。
また、図10に示すように、自動変速機100の変速制御系の構成は、図2の自動変速機10の変速制御系に示される第1発進クラッチアクチュエータ50および第1切換アクチュエータ52に代えて、ドライブ側発進クラッチアクチュエータ150およびコースト側発進クラッチアクチュエータ151を備えた構成となっている。ここで、ドライブ側発進クラッチアクチュエータ150はドライブ側発進クラッチ111を締結状態と解放状態とに切り換え、コースト側発進クラッチアクチュエータ151はコースト側発進クラッチ112を締結状態と解放状態とに切り換えるように作動する。
次に、自動変速機100において低速段から高速段に変速歯車列21〜26を切り換えるアップシフトの手順を説明する。まず、偶数段から奇数段にアップシフトを行う際には、偶数段側に設けられる第1のクラッチユニット113をコーストトルク遮断状態に切り換える。つまり、第1のクラッチユニット113のうち、ドライブ側の一方向クラッチ114に接続されたドライブ側発進クラッチ111を締結した状態のもとで、コースト側の一方向クラッチ115に接続されたコースト側発進クラッチ112を解放状態に切り換える。このとき、駆動トルクは作動状態となる一方向クラッチ114を介して伝達され続けるため、トルク切れを発生させることなく、クラッチユニット113をコーストトルク遮断状態に切り換えることが可能となる。
続いて、奇数段側の発進クラッチ18が解放された状態のもとで、奇数段側の切換機構41,42を作動させておくことにより、変速後に使用される奇数段側の変速歯車列21,23,25が予め動力伝達状態に切り換えられる。次いで、偶数段側のドライブ側発進クラッチ111を締結したまま、解放されていた奇数段側の発進クラッチ18が徐々に締結状態に切り換えられる。この発進クラッチ18の締結過程においては、奇数段の動力伝達経路16と偶数段の動力伝達経路15との双方を介して駆動トルクが伝達されることになる。そして、奇数段側の発進クラッチ18がほぼ締結状態となり、駆動トルクの大部分が奇数段の動力伝達経路16を介して伝達される状態になると、偶数段の動力伝達経路15に向けてコースト方向に駆動トルクが伝達される状態となる。しかしながら、偶数段側のクラッチユニット113は予めコーストトルク遮断状態に切り換えられており、解放されるコースト側発進クラッチ112によってコースト方向の駆動トルクが遮断されることになる。このため、偶数段側のドライブ側発進クラッチ111を締結した状態のままアップシフトを実行した場合であっても、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらアップシフトを完了させることが可能となる。なお、アップシフト完了後、ドライブ側発進クラッチ111は所定のタイミングで解放されるようになっている。
一方、奇数段から偶数段にアップシフトを行う際には、奇数段側の発進クラッチ18が締結された状態のもとで、奇数段側の切換スリーブ46がドライブ位置に切り換えられ、奇数段側のクラッチユニット43は直結状態からコーストトルク遮断状態に切り換えられる。続いて、第1のクラッチユニット113の解放状態のもと、つまりドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112を解放した状態のもとで、偶数段側の切換機構32,33を作動させておくことにより、変速後に使用される偶数段の変速歯車列22,24,26が予め動力伝達状態に切り換えられる。
次いで、奇数段側の発進クラッチ18を締結状態に維持したまま、解放されていた偶数段側の第1のクラッチユニット113が徐々に解放状態から直結状態に切り換えられる。クラッチユニット113を直結状態に切り換える過程においては、偶数段の動力伝達経路15と奇数段の動力伝達経路16との双方を介して駆動トルクが伝達されることになる。そして、偶数段側のクラッチユニット113がほぼ直結状態となり、駆動トルクの大部分が偶数段の動力伝達経路15を介して伝達される状態になると、奇数段の動力伝達経路16に向けてコースト方向に駆動トルクが伝達される状態となる。しかしながら、奇数段側のクラッチユニット43は予めコーストトルク遮断状態に切り換えられており、解除状態となる一方向クラッチ45によってコースト方向の駆動トルクが遮断され、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらアップシフトを完了させることが可能となる。
また、第1のクラッチユニット113を直結状態に切り換える際には、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112を同時に締結状態に切り換えてもよいし、何れか一方を先に締結状態に切り換えてもよいが、ドライブ側発進クラッチ111が締結状態に切り換わったところでアップシフトが完了する。なお、奇数段から偶数段にアップシフトを実行する際に、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112の双方を締結することによって、クラッチユニット113を直結状態に切り換えるようにしているが、ドライブ側発進クラッチ111のみを締結することにより、ドライブ方向に動力を伝達するコーストトルク遮断状態にクラッチユニット113を切り換えるようにしても良い。また、アップシフト完了後、奇数段側の発進クラッチ18は所定のタイミングで解放されるようになっている。
次に、自動変速機100において高速段から低速段に変速歯車列21〜26を切り換えるダウンシフトの手順について説明する。まず、偶数段から奇数段にダウンシフトを行う際には、偶数段側のクラッチユニット113を直結状態からドライブトルク遮断状態に切り換える。つまり、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112をそれぞれ締結した状態から、ドライブ側発進クラッチ111を解放状態に切り換えるとともに、コースト側発進クラッチ112を締結状態に維持する。このとき、減速トルクは一方向クラッチ115とコースト側発進クラッチ112とを介して伝達され続けるため、トルク抜けを発生させることなく、クラッチユニット113をドライブトルク遮断状態に切り換えることが可能となる。
続いて、奇数段側の発進クラッチ18が解放された状態のもとで、奇数段側の切換機構41,42を作動させておくことにより、変速後に使用される奇数段の変速歯車列21,23,25が予め動力伝達状態に切り換えられる。次いで、偶数段側のコースト側発進クラッチ112を締結したまま、解放されていた奇数段側の発進クラッチ18が徐々に締結状態に切り換えられる。この発進クラッチ18の締結過程においては、奇数段の動力伝達経路16と偶数段の動力伝達経路15との双方を介して減速トルクが伝達されることになる。そして、奇数段側の発進クラッチ18がほぼ締結状態となり、減速トルクの大部分が奇数段の動力伝達経路16を介して伝達される状態になると、偶数段の動力伝達経路15に向けてドライブ方向に減速トルクが伝達される状態になる。しかしながら、偶数段側のクラッチユニット113は予めドライブトルク遮断状態に切り換えられており、解放されるドライブ側発進クラッチ111によってドライブ方向の減速トルクが遮断されることになる。このため、偶数段側のコースト側発進クラッチ112を締結した状態のままダウンシフトを実行した場合であっても、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらダウンシフトを完了させることが可能となる。なお、ダウンシフト完了後、コースト側発進クラッチ112は所定のタイミングで解放されるようになっている。
一方、奇数段から偶数段にダウンシフトを行う際には、奇数段側の発進クラッチ18が締結された状態のもとで、奇数段側の切換スリーブ46がコースト位置に切り換えられ、奇数段側のクラッチユニット43は直結状態からドライブトルク遮断状態に切り換えられる。続いて、第1のクラッチユニット113の解放状態のもと、つまりドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112を解放した状態のもとで、奇数段側の切換機構32,33を作動させておくことにより、変速後に使用される偶数段の変速歯車列22,24,26が予め動力伝達状態に切り換えられる。
次いで、奇数段側の発進クラッチ18を締結状態に維持したまま、解放されていた偶数段側の第1のクラッチユニット113が徐々に解放状態から直結状態に切り換えられる。クラッチユニット113を直結状態に切り換える過程においては、偶数段の動力伝達経路15と奇数段の動力伝達経路16との双方を介して減速トルクが伝達されることになる。そして、偶数段側のクラッチユニット113がほぼ直結状態となり、減速トルクの大部分が偶数段の動力伝達経路15を介して伝達される状態になると、奇数段の動力伝達経路16に向けてドライブ方向に減速トルクが伝達される状態となる。しかしながら、奇数段側のクラッチユニット43は予めドライブトルク遮断状態に切り換えられており、解除状態となる一方向クラッチ44によってドライブ方向の減速トルクが遮断され、変速歯車列21〜26の二重噛み合いを回避しながらダウンシフトを完了させることが可能となる。
また、第1のクラッチユニット113を直結状態に切り換える際には、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112を同時に締結状態に切り換えてもよいし、何れか一方を先に締結状態に切り換えてもよいが、コースト側発進クラッチ112が締結状態に切り換わったところでダウンシフトが完了する。なお、奇数段から偶数段にダウンシフトを実行する際に、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112の双方を締結することによって、クラッチユニット113を直結状態に切り換えるようにしているが、コースト側発進クラッチ112のみを締結することにより、コースト方向に動力を伝達するドライブトルク遮断状態にクラッチユニット113を切り換えるようにしても良い。また、ダウンシフト完了後、奇数段側の発進クラッチ18は所定のタイミングで解放されるようになっている。
以上のように自動変速機100では、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット113はドライブ方向とコースト方向との双方に動力を伝達する直結状態に切り換えられる。また、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112を解放状態に切り換えることにより、クラッチユニット113はドライブ方向とコースト方向との動力伝達を遮断する解放状態に切り換えられる。さらに、ドライブ側発進クラッチ111を締結状態に切り換えるとともに、コースト側発進クラッチ112を解放状態に切り換えることにより、クラッチユニット113はドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態に切り換えられる。そして、ドライブ側発進クラッチ111を解放状態に切り換えるとともに、コースト側発進クラッチ112を締結状態に切り換えることにより、クラッチユニット113はコースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態に切り換えられる。
このように、自動変速機100では切換スリーブ36の代わりに、ドライブ側発進クラッチ111およびコースト側発進クラッチ112の係合状態を切り換えることにより、クラッチユニット113をコーストトルク遮断状態とドライブトルク遮断状態とに切り換えることができる。つまり、第1の一方向クラッチ114、第2の一方向クラッチ115、ドライブ側発進クラッチ111、およびコースト側発進クラッチ112によって、ドライブ方向とコースト方向との双方に動力を伝達する直結状態と、ドライブ方向とコースト方向との動力伝達を遮断する解放状態と、ドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態と、コースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態とに切り換えられる第1のクラッチユニット113を構成している。
なお、図9ではエンジン12からの動力が直接伝達される偶数段の動力伝達経路15に組み込まれる第1のクラッチユニット113において、切換スリーブ36の代わりに、2組の一方向クラッチ114,115と発進クラッチ111,112とにより構成されるクラッチユニット113を組み込んだ例を示したが、第1のクラッチユニット113および第2のクラッチユニット43の双方に、または、第2のクラッチユニット43にのみ2組の一方向クラッチと発進クラッチとにより構成されるクラッチユニットを組み込んでもよい。なお、エンジン動力が直接入力される第1のクラッチユニット113においては、切換スリーブ36による切換よりも2組の発進クラッチ111,112による切換のほうがより円滑に切換を行うことができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図1に示す場合には、偶数段側のクラッチユニット31が変速歯車列22,24,26の入力側に設けられ、奇数段側のクラッチユニット43が変速歯車列21,23,25の出力側に設けられているが、これに限られることはなく、偶数段側のクラッチユニット31を変速歯車列22,24,26の出力側に設けるようにしても良く、奇数段側のクラッチユニット43を変速歯車列21,23,25の入力側に設けるようにしても良い。
また、前述の説明においては、全ての変速領域においてクラッチユニット31,43,113をコーストトルク遮断状態などに切り換えるようにしているが、これに限られることはなく、特定の変速領域においてクラッチユニット31,43,113をコーストトルク遮断状態などに切り換えるようにしても良い。この場合、特定の変速領域以外では、全てのクラッチユニット31,43,113を直結状態に維持することにより、従来のツインクラッチタイプの自動変速機と同様に、一方の発進クラッチを締結させるとともに他方の発進クラッチを解放させながら、アップシフトやダウンシフトを実行させることが可能となる。
また、図示する場合には、駆動トルクや減速トルクを滑らかに伝達するため、エンジン12と入力軸13との間にトルクコンバータ11が組み込まれているが、トルクコンバータ11に代えて滑らかな締結が可能な入力クラッチなどを組み込むようにしても良い。さらに、図示する切換機構32,33,41,42は、摩擦トルクによって同期回転を行うようにしたシンクロメッシュ機構であるが、噛み合い式のクラッチ機構を用いて変速歯車列21〜27を動力伝達状態に切り換えるようにしても良い。
なお、図示する場合には、発進クラッチ17,18,111,112として乾式単板クラッチが設けられているが、これに限られることはなく、発進クラッチ17,18,111,112として湿式多板クラッチを設けるようにしても良い。発進クラッチ17,18,111,112として湿式多板クラッチを採用した場合には、発進クラッチ17,18をより滑らかに締結状態に切り換えることができるため、自動変速機10からトルクコンバータ11を削減することができる。
本発明の一実施の形態である自動変速機を示すスケルトン図である。 図1に示す自動変速機の変速制御系を示すブロック図である。 (A)および(B)は偶数段の動力伝達経路を介した動力伝達の状況を示す概略図である。 (A)および(B)は奇数段の動力伝達経路を介した動力伝達の状況を示す概略図である。 (A)〜(C)は偶数段から奇数段にアップシフトを行う際の手順を示す概略図である。 (A)〜(C)は奇数段から偶数段にアップシフトを行う際の手順を示す概略図である。 (A)〜(C)は偶数段から奇数段にダウンシフトを行う際の手順を示す概略図である。 (A)〜(C)は奇数段から偶数段にダウンシフトを行う際の手順を示す概略図である。 本発明の他の実施の形態である自動変速機を示すスケルトン図である。 図9に示す自動変速機の変速制御系を示すブロック図である。
符号の説明
10 自動変速機
13 入力軸
14 出力軸
15 動力伝達経路(偶数段の動力伝達経路)
16 動力伝達経路(奇数段の動力伝達経路)
17 発進クラッチ(乾式単板クラッチ)
18 発進クラッチ(乾式単板クラッチ)
21〜27 変速歯車列
31 クラッチユニット(第1のクラッチユニット)
32,33 切換機構
34 一方向クラッチ(第1の一方向クラッチ)
35 一方向クラッチ(第2の一方向クラッチ)
41,42 切換機構
43 クラッチユニット(第2のクラッチユニット)
44 一方向クラッチ(第1の一方向クラッチ)
45 一方向クラッチ(第2の一方向クラッチ)
100 自動変速機
111 ドライブ側発進クラッチ(乾式単板クラッチ)
112 コースト側発進クラッチ(乾式単板クラッチ)
113 クラッチユニット(第1のクラッチユニット)
114 一方向クラッチ(第1の一方向クラッチ)
115 一方向クラッチ(第2の一方向クラッチ)

Claims (6)

  1. 入力軸から出力軸に偶数段の変速歯車列を介して動力を伝達する偶数段の動力伝達経路と、前記入力軸から前記出力軸に奇数段の変速歯車列を介して動力を伝達する奇数段の動力伝達経路と、前記複数の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換える複数の切換機構とを備える自動変速機であって、
    前記偶数段の動力伝達経路に組み込まれ、ドライブ方向とコースト方向の双方に動力を伝達する直結状態と、ドライブ方向とコースト方向の双方への動力を遮断する解放状態と、ドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態と、コースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態とに切り換えられる第1のクラッチユニットと、
    前記奇数段の動力伝達経路に組み込まれ、ドライブ方向とコースト方向の双方に動力を伝達する直結状態と、ドライブ方向とコースト方向の双方への動力を遮断する解放状態と、ドライブ方向の動力を遮断するドライブトルク遮断状態と、コースト方向の動力を遮断するコーストトルク遮断状態とに切り換えられる第2のクラッチユニットとを有し、
    アップシフトを行う際には、前記第1または第2のクラッチユニットの一方をコーストトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1または第2のクラッチユニットの他方を解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換え、
    ダウンシフトを行う際には、前記第1または第2のクラッチユニットの一方をドライブトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1または第2のクラッチユニットの他方を解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1記載の自動変速機において、
    前記偶数段から前記奇数段の変速歯車列にアップシフトを行う際には、前記奇数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第1のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第2のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換え、
    前記奇数段から前記偶数段の変速歯車列にアップシフトを行う際には、前記偶数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第2のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはコーストトルク遮断状態に切り換え、
    前記偶数段から前記奇数段の変速歯車列にダウンシフトを行う際には、前記奇数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第1のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第2のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換え、
    前記奇数段から前記偶数段の変速歯車列にダウンシフトを行う際には、前記偶数段の変速歯車列のいずれかを動力伝達状態に切り換え、前記第2のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えた状態のもとで、前記第1のクラッチユニットを解放状態から直結状態またはドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項1または2記載の自動変速機において、
    前記第1のクラッチユニットと前記第2のクラッチユニットとの少なくともいずれか一方は、
    動力を伝達する締結状態と動力を遮断する解放状態とに切り換えられる発進クラッチと、
    ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する作動状態と、ドライブ方向とコースト方向との双方の動力を遮断する解除状態とに切り換えられる第1の一方向クラッチと、
    コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する作動状態と、ドライブ方向とコースト方向との双方の動力を遮断する解除状態とに切り換えられる第2の一方向クラッチとを備え、
    前記第1および前記第2の一方向クラッチを作動状態に切り換え、前記発進クラッチを締結状態に切り換えることにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを直結状態に切り換え、
    前記発進クラッチを解放状態に切り換えることにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを解放状態に切り換え、
    前記第1の一方向クラッチを作動状態に切り換え、前記第2の一方向クラッチを解除状態に切り換えるとともに、前記発進クラッチを締結状態に切り換えることにより、前記第1または第2のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換え、
    前記第2の一方向クラッチを作動状態に切り換え、前記第1の一方向クラッチを解除状態に切り換えるとともに、前記発進クラッチを締結状態に切り換えることにより、前記第1または第2のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項1または2記載の自動変速機において、
    前記第1のクラッチユニットと前記第2のクラッチユニットとの少なくともいずれか一方は、
    ドライブ方向に動力を伝達してコースト方向の動力を遮断する第1の一方向クラッチと、
    コースト方向に動力を伝達してドライブ方向の動力を遮断する第2の一方向クラッチと、
    前記第1の一方向クラッチと接続するドライブ側発進クラッチと、
    前記第2の一方向クラッチと接続するコースト側発進クラッチとを備え、
    前記ドライブ側発進クラッチおよび前記コースト側発進クラッチを締結することにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを直結状態に切り換え、
    前記ドライブ側発進クラッチおよび前記コースト側発進クラッチを解放することにより、前記第1または前記第2のクラッチユニットを解放状態に切り換え、
    前記ドライブ側発進クラッチを締結し、前記コースト側発進クラッチを解放することにより、前記第1または第2のクラッチユニットをコーストトルク遮断状態に切り換え、
    前記ドライブ側発進クラッチを解放し、前記コースト側発進クラッチを締結することにより、前記第1または第2のクラッチユニットをドライブトルク遮断状態に切り換えることを特徴とする自動変速機。
  5. 請求項3記載の自動変速機において、前記発進クラッチは乾式単板クラッチであることを特徴とする自動変速機。
  6. 請求項4記載の自動変速機において、前記ドライブ側発進クラッチおよび前記コースト側発進クラッチは乾式単板クラッチであることを特徴とする自動変速機。
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