JP4803428B2 - トンネル工法 - Google Patents
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Description
また、近年においては様々な新工法も提案され、たとえば特許文献1には本坑掘削に先立って導坑から人工地山アーチを先行施工するという鯨骨工法(WBR工法)が提案されている。
すなわち、本線トンネルおよびランプトンネルはそれぞれ在来のシールド工法により地山を安定に支保し、また止水性を確保しつつ支障なく施工できるが、分岐合流部では断面を漸次変化させつつ双方のシールドトンネルどうしを接合する必要があることから、分岐合流部の施工に際しては在来のシールド工法をそのまま適用できるものではなく、何らかの補助工法の採用が不可欠である。
請求項2の発明のトンネル工法は、シールド工法により施工する本線シールドトンネルとランプシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、本線シールドトンネルよりもランプシールドトンネルを先行掘進し、ランプシールドトンネルが分岐合流部の施工予定位置に少なくとも達するまで掘進して停止し、その先端部付近からルーフシールド機を発進させることにより、分岐合流部の延長方向に沿う多数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の外側にその輪郭に沿って密に配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、前記ルーフシールドトンネルの内側からその周囲地山を改良して改良ゾーンを形成した後、前記ルーフシールドトンネルの内側からその周囲の改良ゾーンを掘削し、隣接するルーフシールドトンネルとの間に覆工コンクリートを打設形成して前記ルーフシールドトンネルどうしを連結することによって、分岐合流部の施工予定位置の上部にコンクリート造の先行覆工壁を施工し、前記ルーフシールドトンネルの施工と並行して本線シールドトンネルを掘進してシールドルーフ先受工の内側を通過させた後、ルーフシールドトンネルの端部からその内側地山を改良してシールドルーフ先受工の端部内側に改良ゾーンを形成し、しかる後に、前記改良ゾーンの内側において本線シールドトンネルを拡幅してその拡幅部にランプシールドトンネルの先端部を接合するとともに、拡幅部の底部に前記先行覆工壁に連なる後行覆工壁を施工して分岐合流部における覆工壁を完成させることを特徴とする。
その拡幅のための工法としては、例えば本線シールドトンネル1の拡幅側の側壁の一部を撤去し、そこからバックホー等の掘削機械を本線シールドトンネル1外に搬出し、その掘削機械によって分岐合流部の拡幅部分を上方から下方に向かって掘削するとともに、本線シールドトンネル1の側壁の不要部分を撤去して最終的に覆工壁4を完成させることで行えば良い。
なお、本実施形態では本線シールドトンネル1の直径がたとえば16m程度、ランプシールドトンネル2の直径がたとえば11m程度であることを想定している。また、本実施形態では、図2に示すように分岐合流部において本線シールドトンネル1を側方に3段階にわたって拡幅し、最終的には図3に示すように分岐合流部の各部の断面形状が前方に向かって漸次縮小するような横長楕円形状の覆工壁4を形成するものとしているが、本実施形態ではその覆工壁4の上半部を先行覆工壁4Aとして内部掘削に先だって先行施工し、覆工壁4の底部を後行覆工壁4Bとして掘削後に後行施工することとしている。
なお、ルーフシールドトンネル6の間隔とその配列は、後工程により形成する凍結ゾーン8(あるいは薬液による改良ゾーン)が、隣接するルーフシールドトンネル6間で支保機能および止水機能を有効に発揮し得るように、地盤条件等を勘案して設定するものであり、本実施形態では図3に示すように多数のルーフシールドトンネル6を分岐合流部の輪郭に沿って充分に密に配列している。
勿論、可能であれば全てのルーフシールドトンネル6をそれぞれ独立のルーフシールド機により同時に施工することでも良いし、あるいは、分岐合流部の先端部に達したルーフシールド機をそこからUターンさせて他のルーフシールドトンネル6を逆方向に連続的に施工することも考えられる。
また、ランプシールドトンネル2の側壁部からルーフシールド機を発進させるための手法としては、在来のシールドトンネルの側壁部からのシールド機の発進手法、および在来のシールドトンネルどうしのT字接合技術をそのまま採用可能である。
その施工は、各ルーフシールドトンネル6のセグメントの一部を解体撤去し、隣接しているルーフシールドトンネル6間の凍結ゾーン8をたとえばワイヤーソーにより所定厚さ分だけ切断撤去してコンクリートを打設充填するための空隙を確保し、そこに覆工コンクリートを打設充填すれば良い。
その際、図7に示しているように、必要に応じてルーフシールドトンネル6内に適宜の補剛材20を設置してセグメントの解体撤去に伴う変形を拘束すれば良い。また、空隙へのコンクリートの打設に際しては、その内側に断熱材21および型枠22を設置し、外側には断熱材21および防水シート23を設置すると良い。勿論、その先行覆工壁4Aには所望の配筋を行い、必要であれば先行覆工壁4Aを鋼繊維補強コンクリート(SFRC)造とすることも考えられる。図7(b)に示すように先行覆工壁4Aを形成した後には、その外側のルーフシールドトンネル6内を充填材24により埋め戻す。
しかも、ルーフシールドトンネル6間の凍結ゾーン8の厚さの範囲内にさらにコンクリート造の先行覆工壁4Aを先行施工するので、凍結ゾーン8の信頼性が充分に確保できないような場合であってもその先行覆工壁4Aによる万全の支保効果が得られる。
さらに、本実施形態のトンネル工法は、基本的にはいずれも多くの実績のある在来のシールド工法や凍結工法、掘削工法を有機的に組み合わせるものであるから、安全性や信頼性に優れるばかりでなく、比較的低コストでの施工が可能であり、特に都市圏における大深度・大断面の道路トンネルを施工する際に適用して最適な工法であるといえる。
たとえば上記実施形態は都市圏における大深度・大断面の道路トンネルへの適用例であるが、本発明のトンネル工法は分岐合流部を有するものであれば様々な規模、用途、形態のトンネルを施工する場合全般に広く適用できるものであるし、施工対象のトンネルにおける分岐合流部の規模や形態に応じて、また周辺環境等の諸条件を考慮して様々な設計的変更が可能である。
すなわち、ルーフシールドトンネル6の本数やそれによるシールドルーフ先受工3全体の規模や形態は、所望の先受効果を確保できる範囲で適宜変更して良いし、シールドルーフ先受工3に一体に形成する凍結ゾーン8,10の範囲、先行覆工壁4Aの形態やその施工方法、その他の各工程の細部についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で最適設計すれば良く、必要に応じて適宜の補助工法を採用しても勿論良い。
2 ランプシールドトンネル
3 シールドルーフ先受工
4 覆工壁
4A 先行覆工壁
4B 後行覆工壁
6 ルーフシールドトンネル
7 凍結管(改良手段)
8 凍結ゾーン(改良ゾーン)
9 凍結管(改良手段)
10 凍結ゾーン(改良ゾーン)
20 補剛材
21 断熱材
22 型枠
23 防水シート
24 充填材
Claims (2)
- シールド工法により施工する本線シールドトンネルとランプシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、
本線シールドトンネルよりもランプシールドトンネルを先行掘進し、ランプシールドトンネルが分岐合流部の施工予定位置に少なくとも達するまで掘進して停止し、その先端部付近からルーフシールド機を発進させることにより、分岐合流部の延長方向に沿う多数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の外側にその輪郭に沿って密に配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、
前記ルーフシールドトンネルの内側からその周囲地山を凍結して凍結ゾーンを形成した後、
前記ルーフシールドトンネルの内側からその周囲の凍結ゾーンを掘削し、隣接するルーフシールドトンネルとの間に覆工コンクリートを打設形成して前記ルーフシールドトンネルどうしを連結することによって、分岐合流部の施工予定位置の上部にコンクリート造の先行覆工壁を施工し、
前記ルーフシールドトンネルの施工と並行して本線シールドトンネルを掘進してシールドルーフ先受工の内側を通過させた後、
ルーフシールドトンネルの両端部からその内側地山に凍結管を挿入してシールドルーフ先受工の両端部内側に凍結ゾーンを形成し、
しかる後に、前記凍結ゾーンの内側において本線シールドトンネルを拡幅してその拡幅部にランプシールドトンネルの先端部を接合するとともに、拡幅部の底部に前記先行覆工壁に連なる後行覆工壁を施工して分岐合流部における覆工壁を完成させることを特徴とするトンネル工法。 - シールド工法により施工する本線シールドトンネルとランプシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、
本線シールドトンネルよりもランプシールドトンネルを先行掘進し、ランプシールドトンネルが分岐合流部の施工予定位置に少なくとも達するまで掘進して停止し、その先端部付近からルーフシールド機を発進させることにより、分岐合流部の延長方向に沿う多数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の外側にその輪郭に沿って密に配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、
前記ルーフシールドトンネルの内側からその周囲地山を改良して改良ゾーンを形成した後、
前記ルーフシールドトンネルの内側からその周囲の改良ゾーンを掘削し、隣接するルーフシールドトンネルとの間に覆工コンクリートを打設形成して前記ルーフシールドトンネルどうしを連結することによって、分岐合流部の施工予定位置の上部にコンクリート造の先行覆工壁を施工し、
前記ルーフシールドトンネルの施工と並行して本線シールドトンネルを掘進してシールドルーフ先受工の内側を通過させた後、
ルーフシールドトンネルの端部からその内側地山を改良してシールドルーフ先受工の端部内側に改良ゾーンを形成し、
しかる後に、前記改良ゾーンの内側において本線シールドトンネルを拡幅してその拡幅部にランプシールドトンネルの先端部を接合するとともに、拡幅部の底部に前記先行覆工壁に連なる後行覆工壁を施工して分岐合流部における覆工壁を完成させることを特徴とするトンネル工法。
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