JP4785019B2 - 光コネクタ用フェルール - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明の一つは、光ファイバ相互の接続に使用される光コネクタに関するものである。本発明の他の一つは、光コネクタを構成する光コネクタ用フェルールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光コネクタの一例として図9に示す光コネクタがある。この光コネクタは、ファイバ挿入孔Cが貫通している先端面Aが斜面である光コネクタ用フェルールBに光ファイバ(図示しない)を挿入固定してなる斜面コネクタである。この種の光コネクタでは、互いの接合端面A(=互いのフェルールBの先端面A)同士を突き合わせると、夫々に挿入固定されている光ファイバの端面同士が突き合されて接続される。
【0003】
前記図9に示す光コネクタを組立てるには次のようにする。即ち、図10(a)に示すように、光コネクタ用フェルールBのファイバ挿入孔Cに光ファイバDを挿入し、その光ファイバDを接着剤EでフェルールBの先端面Aに固定する。その後、図10(b)に示すように、フェルールBの先端面Aをそこに突出している光ファイバDの端部と共に斜め研磨する(図中の斜線で示す部分を研磨する)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光コネクタ用フェルール及び光コネクタは次のような課題があった。
1.図10(b)に示すようにして図9に示す光コネクタを組立てるには、接合端面Aが平面である光コネクタ(平面コネクタ:図11)を組立てる場合に比べて、フェルールBの先端面Aをより多く研磨しなくてはならない。従って、研磨に長時間を要し、組立作業の効率が悪い。
2.光コネクタ用フェルールに設けられているファイバ挿入孔Cは、厳密にはその長手方向に真っ直ではない。具体的には、図12(a)〜(c)に示すように、長手方向に沿ってわずかに傾斜しており、このため先端面Aから離れれば離れるほど位置精度が低下する。そこで、光コネクタを組立てる場合には先端面Aの研磨量を可及的に少なくすることが好ましい。しかし、斜面コネクタを製造するためには平面コネクタに比べて先端面Aを多く研磨しなくてはならないことは前述の通りである。従って、図12(d)(e)に示すように、研磨後のファイバ挿入孔Cの傾きが大きくなり(位置精度が低下し)、そこに挿入固定された光ファイバDの傾きも大きくなる。この結果、接続損失などが増大し、良好な光学特性が得られなくなることがある。尚、図11中のFはガイドピン差込み穴である。
3.図13(a)に示すように、光ファイバDの端面を光コネクタの接合端面Aから微少に突出させて、光ファイバD同士をPC接続(フィジカルコンタクト: 物理的接触)させる場合には特に次の課題がある。即ち、斜め研磨された接合端面Aの角度θの角度精度が完全ではないと、接合端面A同士の接触面積が広い場合は、同図(b)に示すように、光ファイバDの端面同士の接触が不十分となり、接続損失などの光学特性が劣化する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本件出願の光コネクタ用フェルールの一つは、ファイバ挿入孔が貫通する先端面を備えた光コネクタ用フェルールにおいて、前記先端面が、2以上の垂直面によって階段状に形成され、ファイバ挿入孔が、2以上の垂直面のうちその長手方向最前方に位置する垂直面に貫通するとともに、同垂直面に開口し、前記最前に位置する垂直面に、前記ファイバ挿入孔の開口部を含む垂直面の一部を斜め研磨してなる接合端面を備えたものである。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
本件出願の光コネクタ用フェルールは、ファイバ挿入孔がその長手方向最前方に位置する垂直面に貫通したものとすることもできる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の光コネクタ用フェルールと光コネクタの実施形態の一例を図1及び図2に基づいて説明する。
【0015】
本実施形態に示す光コネクタ用フェルールは、光ファイバが差込まれる差込み口の先に、同差込み口から差込まれた光ファイバが挿入されるファイバ挿入孔が形成され、ファイバ挿入孔の先に同挿入孔に挿入された光ファイバの端面が露出又は突出する先端面が形成されている。
【0016】
図1に示すように前記先端面1は、ファイバ挿入孔2の長手方向に対して垂直をなす垂直面3と、同垂直面3に対して一定の角度をもつ傾斜面4とから構成され、ファイバ挿入孔2は垂直面3に貫通し、同垂直面3において開口している。
【0017】
本実施形態に示す光コネクタは前記図1に示す光コネクタ用フェルール10に光ファイバを挿入固定したものである。この光コネクタは次のようにして組立られる。図2(a)に示すように、前記光コネクタ用フェルール10の差込み口(図示しない)から差込んだ光ファイバ12を差込み口の先に形成されているファイバ挿入孔2に挿入し、その光ファイバ12の端面14をフェルール10の先端面1(詳しくは垂直面3)よりも外側に突出させる。次に、垂直面3から突出した光ファイバ12の端部16を接着剤18によって同垂直面3に固定する。その後、図2(b)に示すように、先端面1の一部(詳しくは垂直面3及び傾斜面4の一部)を垂直面3から突出している光ファイバ12の端部16と共に斜めに研磨して(図中の斜線部分を研磨して)、図2(c)に示すように傾斜した接合端面20を形成する。ここで、図2(d)に示すように、前記垂直面3(垂直面3のうち、斜め研磨されていない部分)に対する接合端面20の角度をα、傾斜面4の前記垂直面3(垂直面3のうち、斜め研磨されていない部分)に対する角度をβとした場合に、β≧αの関係を満たすように接合端面20を形成することが好ましい。
【0018】
光コネクタ用フェルール10の先端面1と共に斜め研磨された光ファイバ12の端面14は前記接合端面20より数ミクロン程度外側に突出させてある。従って、当該光コネクタの接合端面20を他の光コネクタの接合端面に接合させると、前記光ファイバ12の端面14が他の光コネクタのそれに直接突き合されてPC接続される。
【0019】
(実施形態2)
本発明の光コネクタ用フェルールと光コネクタの実施形態の一例を図3及び図4に基づいて説明する。本実施形態に示す光コネクタ用フェルールの基本構成は前記実施形態1に示すものと同一である。異なるのは、図3に示すように、ファイバ挿入孔2が傾斜面4に貫通し、同傾斜面4において開口していることである。
【0020】
本実施形態に示す光コネクタは前記図3に示す光コネクタ用フェルール10に光ファイバを挿入固定したものである。この光コネクタは前記実施形態1に示す光コネクタと同様にして組立られる。もっとも、本実施形態に示す光コネクタでは、図4に示すように、フェルール10の垂直面3(垂直面3のうち、斜め研磨されていない部分)と、接合端面20において光ファイバ12の軸線X−Xと直交する平面Yとの間の距離をfとした場合に、f≦0.1mmの関係を満たすように接合端面20を形成することが好ましい。
【0021】
(実施形態3)
本発明の光コネクタ用フェルールと光コネクタの実施形態の一例を図5及び図6に基づいて説明する。本実施形態に示す光コネクタ用フェルールの基本構成は前記実施形態1に示すものと同一である。異なるのは、図5に示すように、先端面1がファイバ挿入孔2の長手方向に対して垂直をなす2つの垂直面3a、3bによって2段の階段状に形成されていることである。尚、2つの垂直面3a、3bのうち、一方の垂直面3aはファイバ挿入孔2の長手方向前方(ファイバ挿入孔2への光ファイバ挿入方向前方)に位置し、他方の垂直面3bは一方の垂直面3aよりも前記光ファイバ挿入方向手前に位置している。尚、ファイバ挿入孔2は一方の垂直面3aに貫通し、同垂直面3aにおいて開口している。また、垂直面3a、3b間にはファイバ挿入孔2の長手方向に対して平行をなす段差面28が存在する。
【0022】
本実施形態に示す光コネクタは前記図5に示す光コネクタ用フェルール10に光ファイバを挿入固定したものである。この光コネクタは次のようにして組立られる。図6(a)に示すように、前記光コネクタ用フェルール10の差込み口(図示しない)から差込んだ光ファイバ12を差込み口の先に形成されているファイバ挿入孔2に挿入し、その光ファイバ12の端面14をフェルール10の先端面1(詳しくは一方の垂直面3a)よりも外側に突出させる。次に、一方の垂直面3aから突出した光ファイバ12の端部16を接着剤18によって同垂直面3aに固定する。その後、図6(b)に示すように、フェルール10先端面1の一部(詳しくは一方の垂直面3aの一部)をそこから突出している光ファイバ12の端部16と共に斜め研磨して(図中の斜線部分を研磨して)、図6(c)に示すように傾斜した接合端面20を形成する。ここで、図6(d)に示すように、前記一方の垂直面3a(一方の垂直面3aのうち、斜め研磨されていない部分)に対する接合端面20の角度をα、2つの垂直面3a、3b間の段差(2つの垂直面3a、3b間の距離)をd、ファイバ挿入孔2に挿入固定された光ファイバ12の軸線X−Xから他方の垂直面3bに直交するフェルール10の外面22までの距離をaとした場合に、d≧a×tanαの関係を満たすように前記接合端面20を形成することが望ましい。他方の垂直面3bに直交するフェルール10の外面22は幾つか存在するが、ここでは軸線X−Xに対して鉛直方向に存在する外面22を意味する。
【0023】
光コネクタ用フェルール10の先端面1と共に斜め研磨された光ファイバ12の端面14は前記接合端面20よりも数ミクロン程度外側に突出させてある。従って、当該光コネクタの接合端面20を他の光コネクタの接合端面に接合させると、前記光ファイバ12の端面14が他の光コネクタのそれに直接突き合されてPC接続される。
【0024】
(実施形態4)
本発明の光コネクタ用フェルールと光コネクタの実施形態の一例を図7及び図8に基づいて説明する。本実施形態に示す光コネクタ用フェルールの基本構成は前記実施形態3に示すものと同一である。異なるのは、図7に示すように、先端面1が3つの垂直面3a、3b、3cによって3段の階段状に形成されていることである。図7に示すように、前記3つの垂直面3a、3b、3cのうち、垂直面3aはファイバ挿入孔2の長手方向最前方(ファイバ挿入孔2への光ファイバ挿入方向最前方)に位置し、垂直面3bは垂直面3aよりも前記光ファイバ挿入方向後方に位置し、垂直面3cはさらに後方に位置している。尚、ファイバ挿入孔2は前記光ファイバ挿入方向最前方に位置する垂直面3aに貫通し、同垂直面3aにおいて開口している。また、垂直面3a、3b間にはファイバ挿入孔2の長手方向に対して平行をなす段差面30が存在し、垂直面3b、3c間には同様の段差面32が存在する。
【0025】
本実施形態に示す光コネクタは前記図7に示す光コネクタ用フェルール10に光ファイバを挿入固定したものである。この光コネクタは前記実施形態3に示す光コネクタと同様にして組立られる。もっとも、本実施形態に示す光コネクタでは、図8に示すように、垂直面3a(垂直面3aのうち、斜め研磨されていない部分)に対する接合端面20の角度をα、垂直面3a、3b間の段差(2つの垂直面3a、3b間の距離)をd1、垂直面3b、3c間の段差(2つの垂直面3b、3c間の距離)をd2、ファイバ挿入孔2に挿入固定された光ファイバ12の軸線X−Xから垂直面3b、3c間の段差面32までの距離をa1、同光ファイバ12の軸線X−Xから垂直面3cに直交するフェルール10の外面22までの距離をa2とした場合に、d1≧a1×tanαの関係及びd2≧a2×tanαの関係を満たすように前記接合端面20を形成することが望ましい。尚、垂直面3cに直交するフェルール10の外面22は幾つか存在するが、ここでは軸線X−Xに対して鉛直方向に存在する外面22を意味する。
【0026】
【発明の効果】
本発明の光コネクタ用フェルールは、その先端面が、2以上の垂直面によって階段状に形成されている。従って、光ファイバを挿入固定した後に先端面の一部を斜め研磨するだけで、従来と同様の作用・効果を備えた斜面コネクタを得ることができる。従って、先端面の研磨量を可及的に少なくなり、研磨後のファイバ挿入孔の位置精度が高くなる。この結果、ファイバ挿入孔に挿入固定された光ファイバの位置精度が高い光コネクタを実現することができる。特に、光ファイバの端面位置の精度が向上するため、同端面の突き当たり接続性(PC性)が向上し、良好な光学特性を有する光コネクタを実現することができる。また、フェルール先端面の研磨量が少ないため、前記効果を有する光コネクタを従来に比べて短時間で組立てることができる。
【0027】
本発明の光コネクタは、前記効果を有する光コネクタ用フェルールに光ファイバを挿入固定してなるので、前記効果と同様の効果を有する。また、本発明の光コネクタの接合端面は、フェルールの先端面の一部を斜め研磨して形成されている。従って、フェルールの先端面全面が接合端面となる従来の光コネクタに比べて接合面積が小さくなり、接合端面の研磨精度による影響を受け難い光コネクタとなる。
【0028】
【0029】
【0030】
請求項2記載の光コネクタ用フェルールを用いた請求項3記載の光コネクタは、ファイバ挿入孔の長手方向最前方に位置する垂直面に対する接合端面の角度をα、同垂直面とこれに隣接する他の垂直面との間の段差をd、ファイバ挿入孔に挿入固定された光ファイバの軸線から前記フェルールの外面までの距離をaとした場合に、d≧a×tanαの関係を満たすので、フェルール先端面の研磨量がより一層少なくなる。従って、前記効果がより一層確実となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に示す本発明の光コネクタ用フェルールの側面説明図。
【図2】 (a)〜(c)は実施形態1に示す本発明の光コネクタの組立工程を示す側面説明図、(d)は(c)の部分拡大説明図。
【図3】 実施形態2に示す本発明の光コネクタ用フェルールの側面説明図。
【図4】 実施形態2に示す本発明の光コネクタの部分拡大説明図。
【図5】 実施形態3に示す本発明の光コネクタ用フェルールの側面説明図。
【図6】 (a)〜(c)は実施形態3に示す本発明の光コネクタの組立工程を示す側面説明図、(d)は(c)の部分拡大説明図。
【図7】 実施形態4に示す本発明の光コネクタ用フェルールの側面説明図。
【図8】 実施形態4に示す本発明の光コネクタの側面説明図。
【図9】 従来の斜面コネクタの一例を示す説明斜視図。
【図10】 (a)(b)は図9に示す斜面コネクタの組立工程を示す側面説明図。
【図11】 平面コネクタの組立工程を示す側面説明図。
【図12】 光コネクタ用フェルールのファイバ挿入孔がその長手方向に沿って傾斜していることを示す図であって、(a)は側面説明図、(b)は平面説明図、(c)は端面説明図、(d)は研磨後の側面説明図、(e)は研磨後の端面説明図。
【図13】 (a)(b)は接合端面の加工精度によって光ファイバのPC性が影響を受けることを示す説明図。
【符号の説明】
1 フェルールの先端面
2 ファイバ挿入孔
3 垂直面
4 傾斜面
10 本発明の光コネクタ用フェルール
12 光ファイバ
14 光ファイバの端面
16 光ファイバの端部
18 接着剤
20 光コネクタの接合端面
22 フェルールの外面
28、30、32 段差面
Claims (1)
- ファイバ挿入孔が貫通する先端面を備えた光コネクタ用フェルールにおいて、
前記先端面が、2以上の垂直面によって階段状に形成され、
ファイバ挿入孔が、2以上の垂直面のうちその長手方向最前方に位置する垂直面に貫通するとともに、同垂直面に開口し、
前記最前方に位置する垂直面に、前記ファイバ挿入孔の開口部を含む垂直面の一部を斜め研磨してなる接合端面を備えていることを特徴とする光コネクタ用フェルール。
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