JP4550313B2 - 光コネクタおよび光コネクタの接続構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを接続相手にコネクタ接続させるための光コネクタ、および、光コネクタの接続構造に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図8には、接続し合う光コネクタの一構造例が模式的な断面図により示されている。第1の光コネクタ2は、ハウジング5と、このハウジング5内に収容配置されるフェルール6とを有して構成されており、光ファイバコード部材8の先端部に設けられる。光ファイバコード部材8は光ファイバ心線10を抗張力繊維(図8では図示せず)を介して外皮11により被覆して成るものであり、この光ファイバコード部材8の先端部は外皮11および抗張力繊維が除去されて光ファイバ心線10が露出した状態となっている。なお、光ファイバコード部材8には、光ファイバ心線10が1本のみであるものや、複数の光ファイバ心線10が並設されテープ状に形成されたもの等、様々な種類がある。
【0003】
フェルール6には光ファイバ挿通孔7が形成されており、この光ファイバ挿通孔7に、光ファイバ心線10の露出部位が挿通され例えば接着剤等により固定されている。
【0004】
第2の光コネクタ3は、ハウジング13と、フェルール14と、筒状部材16と、フード17とを有して構成されており、第1の光コネクタ2と同様に、光ファイバコード部材8の先端部に設けられる。その光ファイバコード部材8の先端部も外皮11および抗張力繊維が除去されて光ファイバ心線10が露出した状態と成している。
【0005】
フェルール14には、第1の光コネクタ2のフェルール6と同様に、光ファイバ挿通孔18が形成されており、この光ファイバ挿通孔18には光ファイバコード部材8の先端部の露出した光ファイバ心線10が挿通固定されている。フェルール14から引き出された上記露出した光ファイバ心線10は筒状部材16に挿通されている。換言すれば、フェルール14から引き出された光ファイバ心線10の露出部位の外周は筒状部材16によって覆われている。
【0006】
筒状部材16の一端側はフェルール14に固定されており、筒状部材16の他端側にはその外周部に光ファイバコード部材8の外皮11および抗張力繊維の端部が固定されている。フード17はその筒状部材16と、外皮11および抗張力繊維との接続部分を覆って保護している。
【0007】
第1の光コネクタ2と第2の光コネクタ3の各ハウジング5,13は、コネクタ接続し合う機構を備えている。これらハウジング5,13を接続して各光コネクタ2,3の各フェルール6,14の接続端面同士を突き合わせることにより、第1の光コネクタ2側の光ファイバコード部材8(8a)の光ファイバ心線10(10a)と、第2の光コネクタ3側の光ファイバコード部材8(8b)の光ファイバ心線10(10b)とを光接続させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そのように第1の光コネクタ2と第2の光コネクタ3をコネクタ接続する場合や、そのコネクタ接続を解除する場合に、そのコネクタ着脱の作業を行い易くするために、第1の光コネクタ2や第2の光コネクタ3の後方側はスリムであることが好ましい。このことを考慮して、第2の光コネクタ3における筒状部材16の肉薄化が図られている。
【0009】
しかしながら、筒状部材16を肉薄化すると、筒状部材16の強度が弱くなることから、次に示すような問題が発生することがある。その問題とは、筒状部材16の外周部に外皮11および抗張力繊維を圧着により固定する場合があり、この場合に、圧着力によって筒状部材16が破損してしまうという問題である。
【0010】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、光ファイバコード部材の固定に起因した筒状部材の破損を防止しつつ、筒状部材の肉薄化を促進させることができて、コネクタ接続あるいはその接続解除の作業を容易に行うことができる光コネクタ、および、光コネクタの接続構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成を持って前記課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、光ファイバ心線を抗張力繊維を介し外皮により被覆して成る光ファイバコード部材の先端部に設けられる光コネクタであって、光ファイバコード部材の先端部の外皮が除去されて露出している光ファイバ心線の先端部を収容固定するフェルールと、このフェルールから引き出された前記露出した光ファイバ心線部分の外周を覆う筒状部材とを有し、筒状部材の外側には、外皮が除去された光ファイバコード部材の先端側に露出した抗張力繊維が配置され、その外側に固定用部材が嵌め込まれており、この固定用部材の内壁面と、この内壁面に対向する筒状部材の外周面部分とのうちの少なくとも一方には凹凸が形成されており、筒状部材と固定用部材は前記凹凸の凸部を利用して前記抗張力繊維をかしめることなく挟持固定しており、前記筒状部材の断面は略長方形状であり、前記凸部はその断面形状の長辺側の部位に形成され、前記抗張力繊維は凸部頂部上に配され、筒状部材に対する固定用部材の配置位置を決める位置決め手段が前記筒状部材の前記断面形状の短辺側の部位に設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の構成を備え、固定用部材には光ファイバコード部材の長手方向に沿ったスリットが形成されて当該固定用部材はばね性を持つ構成と成し、固定用部材から抗張力繊維にばね性の押圧力が加えられて筒状部材に抗張力繊維が押し付け固定されていることを特徴として構成されている。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成を備え、光ファイバコード部材は、筒状部材の凸部と固定用部材によって、抗張力繊維を挟持するだけで筒状部材に固定されていることを特徴として構成されている。
【0014】
の発明は、一対の光コネクタの接続構造であって、その接続し合う光コネクタの少なくとも一方の光コネクタは第1乃至第のいずれか1つの発明の光コネクタと成し、接続し合う光コネクタのフェルールはそれぞれハウジングに収容配置されており、一方側の光コネクタのハウジングにはラッチ爪部が設けられ、他方側の光コネクタのハウジングには前記ラッチ爪部を係止する係止受け部が設けられており、一方側の光コネクタのラッチ爪部が、他方側の光コネクタの係止受け部に係止することにより、一対の光コネクタがコネクタ接続することを特徴として構成されている。
【0015】
上記構成の発明では、光ファイバコード部材を筒状部材に固定する際に、圧着によって光ファイバコード部材の外皮および抗張力繊維を筒状部材に固定するのではなく、筒状部材と、その外側に嵌め込まれる固定用部材とによって光ファイバコード部材の抗張力繊維を挟持固定することにより、光ファイバコード部材を筒状部材に固定している。この発明では、固定用部材の内壁面と、この内壁面に対応する筒状部材の外周面部分とのうちの少なくとも一方には凹凸が形成されており、筒状部材と固定用部材は、その凹凸の凸部を利用して抗張力繊維を挟持固定する。このため、抗張力繊維は筒状部材に強固に固定されることとなる。
【0016】
この発明では、光ファイバコード部材を筒状部材に固定する際に、破損を招くような大きな力が筒状部材に作用することを防止することができ、これにより、筒状部材の肉薄化を促進させることが可能となる。
【0017】
このように筒状部材の肉薄化を促進させることができるので、その肉薄な筒状部材を有する光コネクタのコネクタ接続あるいはその接続解除の作業を行い易くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1には本実施形態例の光コネクタにおいて特徴的な構成部分が抜き出され模式的な断面図により示され、図2にはその部分が分解され模式的な斜視図により示されている。なお、この実施形態例の説明において、従来例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0020】
この実施形態例では、第2の光コネクタ3において、光ファイバコード部材8(8b)の先端部は外皮11が除去されて抗張力繊維21が露出され、さらに、その先端側は抗張力繊維21が除去されて光ファイバ心線10が露出している。この露出した光ファイバ心線10の先端部はフェルール14に収容固定され、光ファイバ心線10のそれ以外の露出部分は筒状部材16の内部に挿通されている。
【0021】
この筒状部材16の構成材料は特に限定されるものではないが、その一例として、プラスチック材料がある。プラスチック材料を筒状部材16の構成材料とする場合には、例えば、強度の観点から、ガラスフィラーを含有したPBT(ポリブチレンテレフタレート)や、PPS(ポリフェニレンスルフィド)を採用することが好ましい。
【0022】
筒状部材16の後端部の外周面には凸部22が形成されている。この実施形態例では、筒状部材16は断面が略長方形状と成しており、その断面形状の長辺側の部位(図1、図2では上面と底面)に凸部22が形成されている。この凸部22の頂部上に前記露出した抗張力繊維21が配置されている。換言すれば、抗張力繊維21は筒状部材16の上面側と底面側に分けられて凸部22の頂部側に配置されている。
【0023】
筒状部材16の後端部の外側には図3(a)に示されるような断面矩形の筒状の固定用部材20が嵌め込まれている。この固定用部材20の構成材料の例としては、例えば、ステンレスや、銅合金や、アルミニウム合金等の様々な金属や、プラスチック材料等が挙げられる。ただ、プラスチック材料よりも金属の方が肉薄化し易いので、スリム化を図る上では、金属の方が好ましい。
【0024】
固定用部材20と、筒状部材16の凸部22の頂部との間の間隔は、抗張力繊維21の太さとほぼ同程度の寸法(例えば、0.1〜0.2mm)となっており、固定用部材20と、筒状部材16の凸部22とによって、抗張力繊維21が挟み込まれて固定されている。
【0025】
このように、この実施形態例では、圧着によって光ファイバコード部材8の外皮11等を筒状部材16に固定するのではなく、筒状部材16の凸部22と、固定用部材20とによって抗張力繊維21を挟持固定して光ファイバコード部材8を筒状部材16に固定する構成とした。このため、光ファイバコード部材8を筒状部材16に固定する際に、破損を招くような大きな力が筒状部材16に作用することを防止することができる。このことから、筒状部材16の肉薄化を促進させることができる。また、固定用部材20の肉厚も例えば0.2〜0.5mm程度に薄くすることができることから、第2の光コネクタ3の後方側のスリム化を促進させることが容易となる。これにより、第1の光コネクタ2のコネクタ接続あるいはその接続解除の作業を行い易くすることができることとなり、作業効率を高めることができる。
【0026】
なお、筒状部材16の凸部22と、固定用部材20とによって、抗張力繊維21を挟持するだけで、光ファイバコード部材8を筒状部材16に固定することができるが、より強固に固定したい場合には、筒状部材16と固定用部材20間に接着剤を設けて抗張力繊維21を接着と挟持の両方でもって固定してもよい。
【0027】
この実施形態例では、図2に示されるように、筒状部材16の後端部には凸部25が形成され、固定用部材20には開口部24が形成されている。凸部25は開口部24に隙間が殆ど無い状態で嵌まる構成と成しており、凸部25と開口部24が嵌め合うことにより、筒状部材16に対する固定用部材20の配設位置が定まる。すなわち、この実施形態例では、開口部24と凸部25によって、位置決め手段が構成されている。また、それら開口部24と凸部25は、固定用部材20が筒状部材16から外れることを防止する抜け止め手段としても機能している。
【0028】
なお、図4に示されるように、固定用部材20の外側を覆うフード17を設けてもよい。フード17の構成材料の例としては、例えば、ゴムやエラストマー等の弾性体がある。また、熱収縮チューブを利用してもよい。
【0029】
以上のような構成を備えた第2の光コネクタ3と、その接続相手の第1の光コネクタ2との各ハウジング5,13は、接続し合って光コネクタ2,3をコネクタ接続させることができる構成を有していれば、どのような構成を備えていてもよいが、ここでは、その一具体例を示して光コネクタの接続構造の一実施形態例を説明する。図5には、その光コネクタの接続構造の一実施形態例を説明するための模式的な斜視図が示されている。また、図6(a)には図5に示す第2の光コネクタ3を上側から見た平面図が示され、図6(b)にはその第2の光コネクタ3の側面図が示され、図6(c)には、図6(a)に示すA−A部分の断面図が示されている。
【0030】
光コネクタの接続構造1において、第1の光コネクタ2のハウジング5にはフェルール6の接続端面を露出させるための開口部が形成され、この開口部の周端縁には突き出し壁部23が形成されている。この突き出し壁部23の先端部には係止受け部24が形成されている。
【0031】
第2の光コネクタ3のハウジング13はハウジング部13aとスライダ13bを有して構成されている。ハウジング部13aは基部30とアーム部31a,31bを有して構成されている。基部30にはスライダ13bを挿通するためのスライダ挿通孔39が形成されている(図6(c)参照)。このスライダ挿通孔39に挿通されたスライダ13bの先端部の両側を間隔を介して挟み込むように基部30の両側部側からそれぞれアーム部31a,31bが伸張形成されている。
【0032】
これらアーム部31a,31bの各先端部にはそれぞれ爪部(ラッチ爪部)32が内側に向けて突出形成されている。これら爪部32は、第1の光コネクタ2のハウジング5の係止受け部24に係止する構成と成す(図7(a)参照)。また、これらアーム部31a,31bの互いに対向し合う壁面には、それぞれ、先端側から基部30に向かうに従ってアーム部31a,31b間の間隔を狭める方向のテーパ面35が形成されている。これら各テーパ面35の上部側は平坦な面38に連接されている。
【0033】
スライダ13bにはアーム部31a,31bにより挟み込まれる部位に被開角駆動カム部33が形成されている。この被開角駆動カム部33は、ハウジング13bの他の部位よりもZ方向に張り出している。これにより、被開角駆動カム部33をハウジング部13aの基部30に近付ける方向にスライダ13bをハウジング部13aに対して変位させた際に、被開角駆動カム部33がハウジング部13aの基部30の前面30aに当接し、スライダ13bの移動が停止する(図7(b)参照)。
【0034】
その停止状態のときにアーム部31a,31bのそれぞれの面38に対応する被開角駆動カム部33の各々の部位に張り出し部34が形成されている。これら各張り出し部34の先端面はそれぞれアーム部31a,31bの面38に当接する平坦な面と成している。
【0035】
さらに、スライダ13bにはハウジング部13aの基部30よりも後方側となる部位に突起部40が形成されている。この突起部40は基部30の後端面30bに係止することにより、ハウジング部13aに対するスライダ13bの先端方向への移動を規制する。
【0036】
さらにまた、スライダ13bには被開角駆動カム部33と突起部40との間の部位に、Z方向に貫通する穴部41が形成されている(図6(c)参照)。また、被開角駆動カム部33にはその穴部41からX方向に貫通する貫通孔42が形成されている。この貫通孔42を通してコイルバネ37が配置されている。このコイルバネ37の先端部はスライダ13bの前端よりも前に突き出し配置され、後端部は穴部41に配置されている。このコイルバネ37の前方側にフェルール14が配置されている。
【0037】
この実施形態例では、フェルール14にはブーツ15が固定されており、光ファイバ心線10の先端部はブーツ15を通してフェルール14に収容固定されている。ブーツ15はコイルバネ37の内部に収容されている。また、筒状部材16の先端部にはZ方向に張り出した係止部16aが形成されており、この係止部16aの内部にはブーツ15の後端部が収容されている。その係止部16aもコイルバネ37の内部に収容されている。
【0038】
スライダ13bには後端面から穴部41までX方向に貫通する貫通孔43が形成されており、この貫通孔43には筒状部材16の係止部16a以外の部位の一部分が挿通されている。筒状部材16がスライダ13bに対して後方側に変位した際に、筒状部材16の係止部16aがスライダ13bの穴部41の内壁面(換言すれば、貫通孔43の開口部が形成されている面)に当接する構成と成している。これにより、スライダ13bに対する筒状部材16の後方側への移動が停止される。つまり、穴部41の後方側の内壁面は係止受け部と成しており、この実施形態例では、その内壁面と、筒状部材16の係止部16aとによって、筒状部材16の後退方向への移動を規制するストッパー手段が構成されている。
【0039】
このような構成の第1の光コネクタ2と第2の光コネクタ3を用いて、光ファイバコード部材8aの光ファイバ心線10と、光ファイバコード部材8bの光ファイバ心線10とを光接続させる場合には、図7(a)に示すように、第1の光コネクタ2のフェルール6の接続端面と、第2の光コネクタ3のフェルール14の接続端面とを突き合わせ接続させる。この際、第2の光コネクタ3のアーム部31a,31bの各爪部32が第1の光コネクタ2のハウジング5の係止受け部24に係止して抜け止め状態となる。また、第2の光コネクタ3のフェルール14とハウジング部13aの基部30との間のコイルバネ37は圧縮状態となり、このコイルバネ37の付勢力によって、光ファイバ心線10の接続端面に押圧力を付与することができる。
【0040】
なお、図7(a)〜(c)では、ハウジング5は断面により図示されている。
【0041】
光ファイバコード部材8aの光ファイバ心線10と、光ファイバコード部材8bの光ファイバ心線10との接続を解除する際には、スライダ13bを後方側に引っ張る。すると、スライダ13bの被開角駆動カム部33の張り出し部34が、ハウジング部13aのアーム部31a,31bに対してテーパ面35に沿って後方側に移動する。これにより、図7(b)に示すように、アーム部31a,31bの先端側の間隔が広がっていく。そして、アーム部31a,31bの各先端部の爪部32と、光コネクタ1のハウジング5の係止受け部24との係止状態が解除される。これにより、図7(c)に示すように、フェルール6,14の突き合わせ接続を解除できて、光ファイバ心線10の接続が解除できる。
【0042】
以上のような光コネクタの接続構造1を備えることにより、光ファイバ心線10の接続と接続解除を簡単、かつ、確実に行うことができる。
【0043】
なお、この発明は本実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得るものである。例えば、この実施形態例では、筒状部材16の後端側の外周面に形成される凸部22は図2に示されるような形状と成していたが、凸部22の形状や配置数や配置位置は限定されるものではなく、適宜に形成してよいものである。また、この実施形態例では、筒状部材16の後端側の外周面に凸部22を設けて凹凸を形成していたが、例えば、筒状部材16の外周面に凹部を形成して凹凸を形成してもよい。
【0044】
さらに、この実施形態例では、筒状部材16の外周面に凹凸を形成していたが、例えば、固定用部材20の内壁面に凸部や凹部を設けて凹凸を形成してもよい。さらに、固定用部材20の内壁面と、この内壁面に対向する筒状部材16の外周面部分との両方に凹凸を形成してもよい。この場合には、筒状部材16の外周面の凹凸と固定用部材20の内壁面の凹凸とが嵌め合うように、それら筒状部材16の外周面の凹凸と固定用部材20の内壁面の凹凸とを形成することにより、抗張力繊維20を、より外れ難くすることができる。また、この場合には、筒状部材16の外周面の凹凸および固定用部材20の内壁面の凹凸に、筒状部材16に対する固定用部材20の配設位置を決める位置決め手段としての機能を持たせることができる。この場合には、開口部24と凸部25を省略することができる。
【0045】
さらに、この実施形態例では、外皮11の先端部は何処にも固定されていなかったが、例えば、接着剤等を利用して筒状部材16の後端面に外皮11の先端面を固定してもよいし、固定用部材20の外周面や後端面に外皮11を固定してもよい。
【0046】
さらに、この実施形態例では、光ファイバコード部材8の外皮11が除去されて露出した抗張力繊維21の先端部は除去されて固定用部材20から外部に食み出さないように構成されていたが、例えば、抗張力繊維21の先端部を折り曲げて固定用部材20から外部に食み出さないようにしてもよい。
【0047】
さらに、この実施形態例では、固定用部材20は図3(a)に示される形態と成していたが、固定用部材20は筒状部材16に嵌って抗張力繊維21を挟み込むことができる形態であれば特に限定されるものではなく、例えば、図3(b)や(c)に示されるような形態をも採り得る。これら断面矩形に形成された筒状の固定用部材20には光ファイバコード部材8の長手方向に沿ったスリット23が形成されて固定用部材20は、ばね性を持つ構成と成している。この場合には、固定用部材20から抗張力繊維21にばね性の押圧力が加えられて筒状部材16に抗張力繊維21が押し付けられ、より一層強固に抗張力繊維21を挟持固定することができる。
【0048】
さらに、この実施形態例では、第2の光コネクタ3のみに筒状部材16が設けられる構成であったが、筒状部材16は第1の光コネクタ2に設けてもよいし、第1の光コネクタ2と第2の光コネクタ3の両方に設けてもよい。この場合にも、筒状部材16の後端部に光ファイバコード部材8の抗張力繊維21が固定用部材20を利用して挟持固定される構成とする。このようにすることにより、第1の光コネクタ2や第2の光コネクタ3の後端部のスリム化を促進させることが容易となる。
【0049】
さらに、この実施形態例では、接続し合う一対の光コネクタ2,3は両方共に、光ファイバコード部材8の先端部に固定されるものであったが、それら光コネクタのうちの一方側だけが光ファイバコード部材の先端部に固定されるものであってもよく、この場合には、その光ファイバコード部材に固定される側の光コネクタに、この実施形態例に示したと同様の筒状部材と、固定用部材とを設けて、筒状部材に光ファイバコード部材を固定することで、この実施形態例と同様の効果を奏することができる。
【0050】
【発明の効果】
この発明によれば、光ファイバコード部材の先端部に設けられる光コネクタにおいて、光ファイバコード部材の先端部の露出した光ファイバ心線の外周を覆う筒状部材の外側に、固定用部材を嵌め込む構成と成し、固定用部材の内壁面と、この内壁面に対向する筒状部材の外周面部分とのうちの少なくとも一方には凹凸が形成されており、筒状部材と固定用部材は、その凹凸の凸部を利用して、光ファイバコード部材の先端部の露出した抗張力繊維を挟持固定する。このような構成とすることによって、光ファイバコード部材の外皮や抗張力繊維を筒状部材に圧着固定する場合のような大きな力が筒状部材に作用することを回避することができる。
【0051】
このため、光ファイバコード部材の固定に起因した筒状部材の破損を防止しつつ、筒状部材の肉薄化を促進させることができる。また、固定用部材の肉薄化も容易であることから、光コネクタの後方側のスリム化を促進させることができる。これにより、光コネクタのコネクタ接続やその接続解除の作業を行い易くすることができて、作業効率の向上を図ることができる。
【0052】
特に、この発明において特有な光コネクタの接続構造の構成を備えることにより、より一層、光コネクタのコネクタ接続やその接続解除の作業が簡単となり、作業効率を格段に向上させることができる。
【0053】
固定用部材がばね性を持つ構成のものにあっては、固定用部材と筒状部材によって、光ファイバコード部材の先端部の抗張力繊維をより一層強固に挟持固定することができる。
【0054】
また、本発明においては、筒状部材に対する固定用部材の配設位置を決める位置決め手段が設けられているので、光ファイバコード部材の先端部の抗張力繊維を確実に挟持することができる適切な位置で、筒状部材に対する固定用部材の配置位置を定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態例の光コネクタにおいて特徴的な構成部分を抜き出して模式的に示した断面図である。
【図2】本実施形態例において特有な構成部分を分解して模式的に示した斜視図である。
【図3】固定用部材の形態例を示したモデル図である。
【図4】その他の実施形態例を示す説明図である。
【図5】光コネクタの接続構造の一実施形態例を示す斜視図である。
【図6】図5に示した第2の光コネクタを模式的に示した図である。
【図7】図5に示す光コネクタの接続構造におけるコネクタ接続と接続解除の動作を説明するための図である。
【図8】光コネクタの従来例を示すモデル図である。
【符号の説明】
1 光コネクタの接続構造
2 第1の光コネクタ
3 第2の光コネクタ
5,13 ハウジング
6,14 フェルール
8 光ファイバコード部材
10 光ファイバ心線
11 外皮
16 筒状部材
20 固定用部材
21 抗張力繊維
22 凸部
24 開口部
25 凸部

Claims (4)

  1. 光ファイバ心線を抗張力繊維を介し外皮により被覆して成る光ファイバコード部材の先端部に設けられる光コネクタであって、光ファイバコード部材の先端部の外皮が除去されて露出している光ファイバ心線の先端部を収容固定するフェルールと、このフェルールから引き出された前記露出した光ファイバ心線部分の外周を覆う筒状部材とを有し、筒状部材の外側には、外皮が除去された光ファイバコード部材の先端側に露出した抗張力繊維が配置され、その外側に固定用部材が嵌め込まれており、この固定用部材の内壁面と、この内壁面に対向する筒状部材の外周面部分とのうちの少なくとも一方には凹凸が形成されており、筒状部材と固定用部材は前記凹凸の凸部を利用して前記抗張力繊維をかしめることなく挟持固定しており、前記筒状部材の断面は略長方形状であり、前記凸部はその断面形状の長辺側の部位に形成され、前記抗張力繊維は凸部頂部上に配され、筒状部材に対する固定用部材の配置位置を決める位置決め手段が前記筒状部材の前記断面形状の短辺側の部位に設けられていることを特徴とした光コネクタ。
  2. 固定用部材には光ファイバコード部材の長手方向に沿ったスリットが形成されて当該固定用部材はばね性を持つ構成と成し、固定用部材から抗張力繊維にばね性の押圧力が加えられて筒状部材に抗張力繊維が押し付け固定されていることを特徴とした請求項1記載の光コネクタ。
  3. 光ファイバコード部材は、筒状部材の凸部と固定用部材によって、抗張力繊維を挟持するだけで筒状部材に固定されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光コネクタ。
  4. 一対の光コネクタの接続構造であって、その接続し合う光コネクタの少なくとも一方の光コネクタは請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の光コネクタと成し、接続し合う光コネクタのフェルールはそれぞれハウジングに収容配置されており、一方側の光コネクタのハウジングにはラッチ爪部が設けられ、他方側の光コネクタのハウジングには前記ラッチ爪部を係止する係止受け部が設けられており、一方側の光コネクタのラッチ爪部が、他方側の光コネクタの係止受け部に係止することにより、一対の光コネクタがコネクタ接続することを特徴とした光コネクタの接続構造。
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